特許第6063886号(P6063886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6063886ジアンヒドロヘキシトールを包装するための高含量の抗酸化剤を有する熱可塑性ポリマーベースの材料の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063886
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】ジアンヒドロヘキシトールを包装するための高含量の抗酸化剤を有する熱可塑性ポリマーベースの材料の使用
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20170106BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20170106BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   B65D65/40 D
   B32B27/18 F
   B32B27/32 Z
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-48901(P2014-48901)
(22)【出願日】2014年3月12日
(62)【分割の表示】特願2010-518715(P2010-518715)の分割
【原出願日】2008年7月10日
(65)【公開番号】特開2014-141306(P2014-141306A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2014年4月11日
(31)【優先権主張番号】0705653
(32)【優先日】2007年8月2日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】フエルテス,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】アングレ,マクシーマ
(72)【発明者】
【氏名】ランバン,アンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアール,エルヴェ
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−509667(JP,A)
【文献】 特開2000−085050(JP,A)
【文献】 特開2004−314620(JP,A)
【文献】 特開2006−168003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B65D 85/84
B32B 27/18
B32B 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアンヒドロヘキシトールと包装材料との組み合わせであって、
前記ジアンヒドロヘキシトールは、前記包装材料に包装されており、
前記包装材料が、少なくとも0.1重量%のカーボンブラックを含有する熱可塑性ポリマー層(層(A))を少なくとも1つ含み、
前記層(A)が、直接ジアンヒドロヘキシトールと接するか、または、最大で150μmに等しい厚さを有する熱可塑性ポリマー(層(B))からできた層によってジアンヒドロヘキシトールから隔てられており、
かつ前記層(A)および/または前記層(B)の熱可塑性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンおよびプロピレンのコポリマー、並びにそれらの混合物から独立して選択されることを特徴とする組み合わせ。
【請求項2】
前記層(B)が10μm〜100μmの間の厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項3】
前記ジアンヒドロヘキシトールがイソソルビドを含み、またはイソソルビドからなることを特徴とする、請求項1または2に記載の組み合わせ。
【請求項4】
前記層(A)および/または前記層(B)の熱可塑性ポリマーが、分枝ポリエチレン、直鎖ポリエチレンおよびメタロセンポリエチレンの少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項5】
前記包装材料が、カーボンブラックで充填されたポリエチレン製の層(A)と、ポリエチレン製でありカーボンブラックで充填されておらずジアンヒドロヘキシトールと直接接する層(B)とを含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項6】
前記包装材料が、水蒸気および酸素に対してあまり透過性でなくまたは不透過性であり
層(A)の外側に位置するバリア層(層(C))も含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項7】
熱可塑性ポリマーベースの前記包装材料が、最大で300μmに等しい全厚を有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項8】
前記層(A)が0.1重量%〜10重量%のカーボンブラックを含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項9】
熱可塑性ポリマーベースの材料からできた包装材料にジアンヒドロヘキシトールを入れるステップと、前記包装材料を密封するステップとを含む、ジアンヒドロヘキシトールを包装する方法であって、
前記包装材料が、少なくとも0.1重量%のカーボンブラックを含有する熱可塑性ポリマー層(層(A))を少なくとも1つ含み、
前記層(A)が、直接ジアンヒドロヘキシトールと接するか、または、最大で150μmに等しい厚さを有する熱可塑性ポリマー(層(B))からできた層によってジアンヒドロヘキシトールから隔てられており、
かつ前記層(A)および前記層(B)の少なくとも1つの熱可塑性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンおよびプロピレンのコポリマー、並びにそれらの混合物から独立して選択されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアンヒドロヘキシトールを包装するための高含量の抗酸化剤を有する層を含有する特定の熱可塑性材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
イソヘキシドとしてもまた知られているジアンヒドロヘキシトールは、ソルビトール、マンニトール、およびイジトールなどのC6水素添加糖(ヘキシトール)の内部脱水の生成物である。
【0003】
上記生成物の二重に脱水された水素添加糖の内、現在それに対して最も多くの産業上の用途が開発されているのはイソソルビドであり、特に製薬分野、化学合成中間体分野、およびプラスチック分野における開発が想定される。
【0004】
これらの用途の大多数では、できる限り純粋な組成物、特に少なくとも98.5重量%に等しく、好ましくは少なくとも99.5重量%に等しいジアンヒドロヘキシトール含量を有することが一般に必要である。
【0005】
ジアンヒドロヘキシトール、特にイソソルビドが高度に吸湿性の製品であるだけでなく、化学的にもあまり安定していないという観察は、比較的最近のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願第EP1287000号明細書
【特許文献2】国際特許出願公開第WO03/043959号パンフレット
【特許文献3】特開2006−117649号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「Plastics Additives Handbook」(2001),Carl Hanser Verlag,Munich(Germany)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願人は、特に既知のプロセスに従って製造されたイソソルビドの保存が、大気中水分から保護された場合でさえ、特定の温度条件下では、とりわけギ酸の形成を引き起こす化学分解をもたらし得ることを観察した。ギ酸は特に製薬用途またはその他の用途において面倒である特徴的で不快な臭気を有する。
【0009】
上記観察により、本出願人は、特に、特許文献1および特許文献2に記載されているジアンヒドロヘキシトールを精製し、安定化するプロセスの開発に至った。
【0010】
これらの出願で開示される発明を導いた研究の文脈では、それぞれ60℃または40℃に等しいサーモスタットで調温された温度において、それぞれプラスチック製(特許文献1)またはガラス製(特許文献2)の容器内に試験されるサンプルを保存することで製品の安定性を評価した。したがってこれらの安定性試験は、本出願人によって販売される製品の保存安定性を予測することを可能にした。
【0011】
特許文献1および特許文献2で記載されている安定性試験の条件下で判定されたジアンヒドロヘキシトールの貯蔵寿命が、実際の輸送および保存条件下にあるこれらの同製品の安定性を不完全にのみ反映することに本出願人が気付いたのは、ごく最近のことである。本出願人は特に場合によっては、ポリエチレン包装フィルム近傍に比較的高濃度のギ酸があることを明らかにした。この局所的に高い濃度は、イソソルビド、およびジアンヒドロヘキシトール一般の分解が、内在性の温度依存性動力学的経路に従ってのみ起きたのでなく、とりわけ包装材料との相互作用にも関連していることを示唆するかもしれない。
【0012】
この発見は、少なくとも意外であった。実際、技術製品、医薬品、および食品の包装のために汎用的に使用されるプラスチックであるポリエチレンは、安定性のある不活性で無害な材料であるという評判を有する。それを異なるプラスチックで置き換えることは、いくつかの問題を提起する。具体的には、ポリエチレンは、販売される最も安価なポリマーの一つであり、とりわけ優れたヒートシール性を有する。この特徴は、酸素および水蒸気に対して不透過性である密封包装内に好ましくは保存される、ジアンヒドロヘキシトールなどの吸湿性および/または化学不安定性製品の包装のために必須であることが判明するかもしれない。
【0013】
したがって本出願人は、高純度のジアンヒドロヘキシトール組成物を包装できるようにし、従来のポリエチレンとは異なりジアンヒドロヘキシトールの化学分解を加速しない、安価でヒートシール可能なプラスチックを見いだすことを目指した。
【0014】
特許文献3は、イソソルビドを吸水から保護して、それを流体粉末形態に保ち凝集形成を防止するための、イソソルビドを包装するためのフィルムタイプ包装材料の使用を開示する。包装フィルムはプラスチックベースの多層フィルムであり、アルミニウムの上にあると非常に漠然と定義されている。さらに特許文献3は、包装材料と接するジアンヒドロヘキシトールの化学不安定性問題について言及していない。
【0015】
このような包装材料の開発または既知の包装材料からのその選択を目標とする研究の文脈で、本出願人は、製品と接するプラスチック層の抗酸化剤濃度を実質的に増大させることにより、ジアンヒドロヘキシトール、特にイソソルビドの安定性を大幅に改善できることを意外にも観察した。さらに本出願人は、なおもより意外にも、抗酸化剤が製品と直接接する層内にある場合だけでなく、製品と接する層に直接隣接する層内にそれが導入された場合にも、製品が過剰な厚さを有さないという条件で、このような量の抗酸化剤の組み込みが安定化効果を与えることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって本発明の一主題は、熱可塑性ポリマーベースの包装材料内に包装されるジアンヒドロヘキシトールであって、包装材料が、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%の少なくとも1つの抗酸化剤(層(A))を含有する熱可塑性ポリマー層を少なくとも1つ含み、前記層(A)が、直接ジアンヒドロヘキシトールと接するか、または最大で150μmに等しく、好ましくは最大で120μmに等しい厚さを有する熱可塑性ポリマー(層(B))からできた補助層によってジアンヒドロヘキシトールから隔てられるかのどちらかであり、かつ層(A)および/または層(B)の熱可塑性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンおよびプロピレンのコポリマー、並びにそれらの混合物から独立して選択されることを特徴とするジアンヒドロヘキシトールである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
さらに本発明の一主題は、ジアンヒドロヘキシトールを包装するためのこのような熱可塑性ポリマーベース包装材料の使用、または前記ジアンヒドロヘキシトールをこのような材料からできた包装内に導入するステップと、前記包装を密封するステップとを含む、ジアンヒドロヘキシトールを包装する方法である。
【0018】
ジアンヒドロヘキシトール(1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトール)は、イソソルビド(1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール)、イソマンニド(1,4:3,6−ジアンヒドロマンニトール)、イソイジド(1,4:3,6−ジアンヒドロイジトール)、および少なくとも2つのこれらの生成物の混合物を包含する。好ましくは本発明による包装されたジアンヒドロヘキシトールはイソソルビドを含み、または本質的にイソソルビドからなる。それは好ましくはイソソルビド含量が少なくとも98.5重量%(乾燥重量/乾燥重量)に等しい組成物である。
【0019】
本発明の用途は、原則としてジアンヒドロヘキシトールの固体および液体双方の組成物にあてはまるが、上記用途は特に固形形態にとって重要である。
【0020】
固形形態としては、これらは例えば冷却および凝固された留出物または結晶であってもよく、これらの全ての生成物は、おそらく特に粉末またはフレークの形態である。
【0021】
したがって固形形態、特に無水結晶形態のジアンヒドロヘキシトールを包装するための本出願で定義されるようなプラスチックの使用は、本発明の好ましい一実施態様を構成する。
【0022】
本発明で使用される「抗酸化剤」という用語は、自己酸化という用語によっても知られている、有機化合物、特に有機ポリマーの熱酸化的分解を制限または排除できる全ての化合物を包含する。
【0023】
これらの化合物の非包括的一覧は、非特許文献1の「抗酸化剤(Antioxidants)」と題された第1章にある。
【0024】
好ましい抗酸化剤化合物としては、次が挙げられる。
−二級芳香族アミンおよび立体障害の大きなヒンダードフェノールなどの水素供与体、
−ホスファイトおよびホスホナイトなどのリンベースのヒドロペルオキシド分解剤、および3,3−チオジプロピオン酸エステルなどのイオウベースのヒドロペルオキシド分解剤、および
−カーボンブラックと、立体障害の大きなヒンダードアミンと、ヒドロキシルアミンと、ベンゾフラノン誘導体と、アクリロイル基によって修飾されたフェノールなどのフリーラジカル捕捉剤。
【0025】
フェノールタイプの水素供与体には、例えば次のCAS番号を有するものが包含される。10191−41−0(トコフェロール)、128−37−0、2082−79−3、12643−61−0、119−47−1、35074−77−2、23128−74−7、976−56−7、65140−91−2、36443−68−2、85−60−9、90498−90−1、1709−70−2、1843−03−4、34137−09−2、27676−62−6、40601−76−1、6683−19−8、32509−66−3、31851−03−3、134701−20−5、96−69−5、90−66−4、110553−27−0、41484−35−9、991−84−4、103−99−1、63843−89−0、4221−80−1、67845−93−6、136−36−7、61167−58−6、128961−68−2、181314−48−7、143925−92−2、135−88−6、26780−96−1、101−72−4、90−30−2、68411−46−1、10081−67−1、および118832−72−7。
【0026】
ホスファイトまたはホスホナイトタイプのヒドロペルオキシド分解剤には、例えば次のCAS番号を有するものが包含される。26523−78−4、31570−04−4、26741−53−7、80693−00−1、140221−14−3、119345−01−6/38613−77−3、118337−09−0、3806−34−6、80410−33−9、145650−60−8、161717−32−4、および154862−43−8。イオウベースのヒドロペルオキシド分解剤には、次のCAS番号を有するものが包含される。693−36−7、123−28−4、16545−54−3、および2500−88−1。
【0027】
立体障害の大きなヒンダードアミンには、次のCAS番号を有する化合物が包含される。52829−07−9、65447−77−0、71878−19−8、106990−43−6、41556−26−7、63843−89−0、129757−67−1、192268−64−7、90751−07−8、219920−30−6、79720−19−7、106917−30−0、24860−22−8、131290−28−3、109−423−00−9、124172−53−8、199−237−39−3、91788−83−9、64022−61−3、107119−91−5、100631−43−4、115055−30−6、100631−44−5、95078−42−5、85099−51−1/85099−50−9、78276−66−1、76505−58−3、136504−96−6、71029−16−8、96204−36−3、130277−45−1、85099−51−0、147783−69−5、154636−12−1、84214−94−8、99473−08−2、164648−93−5、および42774−15−2。
【0028】
本発明の特に好ましい一実施態様では、抗酸化剤はカーボンブラックを含み、または本質的にカーボンブラックからなる。層(A)中に均質に組み込まれるためには、このカーボンブラックは有利には十分に細かい粒度を有さなくてはならない。したがってカーボンブラックの最も適切な粒度は、特に層(A)の厚さに左右される。
【0029】
それがカーボンブラックであるか、または上記で参照した非特許文献1に指定されるものから選択される別の抗酸化剤であるかに関わらず、抗酸化剤濃度は、好ましくは0.1重量%〜10重量%の間、特に0.2重量%〜5重量%の間、なおもより好ましくは0.3重量%〜3重量%の間である。
【0030】
上述の通り、抗酸化剤を含有する層(A)は、直接ジアンヒドロヘキシトールと接してもよい。この実施態様では、前記抗酸化剤、特にカーボンブラックの粒度が層(A)の厚さと比較して相対的に小さくなることを確実にすることが特に推奨される。包装の内面が平滑であって、剥がれたりまたは壊れることにより包装製品を汚染し得る突出粒子を含まないように、前記抗酸化剤、特にカーボンブラックの粒子がポリエチレン層、ポリプロピレン層、および、エチレンとプロピレンとのコポリマーの少なくとも1つの層内に完全に組み込まれることが、実際、特に有利である。
【0031】
第2の実施態様では、抗酸化剤を含有する層(A)は、抗酸化剤を含まないか、または0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満の抗酸化剤含量を有する熱可塑性ポリマーからできた層(B)によって、ジアンヒドロヘキシトールから隔てられる。
【0032】
この補助層(B)は、ジアンヒドロヘキシトールと、抗酸化剤が充填される層(A)との間に挿入され、好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンとプロピレンのコポリマー(PE/PP)、またはそれらの混合物から本質的になる。
【0033】
1つの有利な変形によれば、層(B)にはカーボンブラックが充填されておらず、ジアンヒドロヘキシトールと直接接するポリエチレン層である。
【0034】
しかしこの層(B)は、その1つ以上がPE、PP、PE/PPまたはその混合物ベースであり、任意に1つ以上のその他の層が異なる熱可塑性ポリマーベースである、それ自体が2つ以上の層から構成される多層タイプ構造であってもよい。
【0035】
当然ながら、本発明で使用される包装の層(B)の厚さに関する指標は、単層構造の厚さ、または適切であれば多層構造を形成する層のアセンブリーの全厚のどちらかである。
【0036】
導入部で示唆されたように、この層(B)の厚さは、それが単層または多層であるかに関わらず150μmを超えてはならない。この最大値を超えると、隣接する層(A)中に存在する抗酸化剤の安定化効果は実質的に不十分になる。層(B)は好ましくは最大で120μmに等しく、有利には10μm〜100μmの間、特に15μm〜50μmの間の厚さを有する。
【0037】
上述の通り、本発明の包装材料は、PE、PP、PE/PPまたはその混合物ベースの少なくとも1つの層を含む。これらのポリマーまたはポリマーの組み合わせは、それらの優れたヒートシール性、それらの低価格、およびそれらの広範な入手可能性のために選択される。
【0038】
層(A)および/または層(B)の熱可塑性ポリマーは、好ましくはポリエチレンである。これは特にラジカル重合によって得られる分枝ポリエチレン、チーグラー・ナッタ重合によって調製される直鎖ポリエチレンおよび/または亜鉛/ジルコニウム触媒重合によって得られるメタロセンポリエチレンである。
【0039】
本発明の好ましい一実施態様に従って、層(A)はカーボンブラックが充填されたポリエチレンからできており、層(B)はカーボンブラックが充填されていないポリエチレンからできており、ジアンヒドロヘキシトールと直接接する。
【0040】
別の好ましい実施態様では、ジアンヒドロヘキシトールは密封包装され、すなわちジアンヒドロヘキシトールを含有する、例えば小袋、ライナーまたはパウチまたはバッグなどの包装は、包装内部と周囲空気との間のあらゆるガス交換をできる限り制限し、可能ならば排除するように、例えばヒートシールによって、または適切な留め具によって密封される。包装の密封性能は、固体状態では極めて吸湿性の製品であるイソソルビドのために特に重要である。
【0041】
特定の条件下では、例えば窒素雰囲気下などの無水および/または不活性雰囲気下でジアンヒドロヘキシトールを包装することが有利かもしれない。
【0042】
輸送および保存中におけるジアンヒドロヘキシトールの最適安定性を保証するために、空気中酸素、水蒸気および/または光に対して部分的にまたは完全に保護された補助層を提供することが、時に有用かもしれず、または必要でさえあるかもしれない。水蒸気および酸素に対して、好ましくは光に対してもあまり透過性でなく、不透過性でさえあるこのようなバリア層(層(C))は、好ましくは層(A)の外側に位置し、すなわちそれは層(A)と包装製品との間に挿入されない。この層(C)は好ましくは層(A)の外面と直接接触する。
【0043】
このようなバリア層(C)の一例としては、エチレン/ビニルアルコールコポリマー(「EVOH」)、ポリ塩化ビニリデン(「PVDC」)、ポリアミド(「PA」)、ポリアクリロニトリル(「PAN」)および/またはポリグリコール酸(「PGA」)ベースの層が挙げられる。バリア層(C)はまた、例えば層(A)外面に蒸着されるアルミニウムおよび/または別の適切な金属の蒸着であっても、または好ましくは層(A)外面と直接接触するアルミニウムおよび/または別の適切な金属のシートであってもよい。
【0044】
包装の全厚は、本発明において決定的役割を果たさない。それは実際、例えばその厚さが数十μmまたは数百μmを超えないフィルムまたはシートタイプなどの薄い可撓性材料であってもよいが、また一定形状を有する容器形態のより硬質の材料であってもよい。主にコストの理由から、包装材料は好ましくは最大で300μmに等しい全厚を有する。30μm〜250μmの間の全厚を有する本発明による包装材料は、十分な機械的堅固さと製造コスト間の満足できる両立を一般に達成できるようにする。次に包装は、有利には任意の形状、寸法、および容量の小袋、ライナーまたはパウチまたはバックの形態であり、例えばジアンヒドロヘキシトールの輸送または保存を考慮して、アルミニウムバッグなどの可撓性の容器、または布帛または織物製の「ビッグバッグ」または「可撓性中間容器」(FIS)、またはボール箱などの硬質容器に既に入っていてもよく、またはその中に入れることが意図されてもよい、ライナーまたはパウチの形態である。
【0045】
本出願人は、約2重量%のカーボンブラックが充填されたポリエチレン製の層(A)と、総重量の0.05%未満の抗酸化剤を含有して特にカーボンブラックを含まずジアンヒドロヘキシトールと直接接するポリエチレン製の層(B)とを含む、150μm未満の全厚を有するフィルムで、特に貯蔵安定性の観点から優れた結果を得た。内部ポリエチレンコーティング(層(B))のおかげで、フィルムは従来のヒートシール機で容易に融着され、カーボンブラックによる包装製品汚染のリスクがない。
【0046】
純粋に例示的な性質を有する下の実施例において、総重量の0.05%未満の抗酸化剤を含有して特にカーボンブラックを含まない4種の従来のポリエチレンフィルムに対する、このような包装フィルムの優位性を例示する。
【実施例1】
【0047】
試験される包装材料から構成される小袋(25cm×25cm)に、50gの固形形態(フレーク)のイソソルビドを入れる。インパルスヒートシーラー(Joisten & Kettenbaum GmbH & Co,Bergisch Gladbach,Germanyによって販売されるモデルSZ 380)を使用して、小袋を融着によって即座に密封する。
【0048】
次にこのように密封された小袋を外気に対する密封性能を確実にするために、ポリエチレンコーティングを含むアルミニウム製の第2の小袋に入れて、同じヒートシーラーを使用して融着によって密封する。このようにして包装されたサンプルを50℃の温度サーモスタットで調温される通気オーブン内に入れる。対照サンプルはガラスフラスコ内に封入して、同一条件下に保存する。
【0049】
一定期間後、イソソルビドサンプル全体を包装から取りだして、純水(osmosed water)に40重量%固形分になるまで溶解する。各サンプルについて溶液のpHを測定する。
【0050】
pH測定結果を下の表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
ガラス容器内で保存された対照サンプルのpHは、3ヶ月めまで、全体的に安定していた(7.2〜7.7の間のpH変化)。しかし4ヶ月の保存後には、3.0の値に低下するpHの非常に顕著な低下が測定された。
【0053】
本実施例は、低含量の抗酸化剤を含有してカーボンブラックを含まない4種の従来のポリエチレンフィルムと比較して、そしてガラス包装と比べた場合でさえも、本発明に従って使用できる包装フィルムの優位性を明らかに示した。
【0054】
本発明に従って包装されなかった全サンプルは、4ヶ月後(ガラス包装)、またはわずか2ヶ月後(小袋1)、1ヶ月後(小袋2および4)、またはさらには2週間後(小袋3)に、4を顕著に下回るpHとギ酸に特徴的な臭気を有していた。
【0055】
逆に本発明に従って包装されたイソソルビドは、4ヶ月の保存後にpHの低下を示さなかった。その時点で包装製品について実施した分析では、酸化現象、ひいては不安定性の指標である、いかなる過酸化物の存在も示されなかった。