(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の前記擬似白色発光ダイオードを配置した発光ダイオード基板と、少なくとも前記複数の擬似白色発光ダイオード及び前記発光ダイオード基板を内部に収容する筐体と、該筐体の前面に密封的に取付けられたカバー部材とを備えており、前記黄色フィルタは黄色平板状フィルタを兼用する前記カバー部材であることを特徴とする請求項1に記載のLED集魚灯。
複数の前記擬似白色発光ダイオードを配置した発光ダイオード基板と、少なくとも前記複数の擬似白色発光ダイオード及び前記発光ダイオード基板を内部に収容する筐体と、該筐体の前面に密封的に取付けられた透明なカバー部材とを備えており、前記黄色フィルタは前記カバー部材とは別個に該カバー部材の光照射面側に配置された黄色平板状フィルタであることを特徴とする請求項1に記載のLED集魚灯。
複数の前記擬似白色発光ダイオードを配置した発光ダイオード基板と、少なくとも前記複数の擬似白色発光ダイオード及び前記発光ダイオード基板を内部に収容する筐体と、該筐体の前面に密封的に取付けられたカバー部材とを備えており、前記黄色フィルタは前記カバー部材とは別個に前記筐体内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のLED集魚灯。
前記黄色フィルタは、互いに平行かつ交互に形成されたストリップ状の黄色透明部とストリップ状の完全透明部とを備えており、複数の前記擬似白色発光ダイオードの前面に前記黄色透明部又は前記完全透明部のどちらかが位置するように移動可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載のLED集魚灯。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図1に示すような青色の領域を中心に発光する放射照度分布を有するLED集魚灯を使用して実際に漁を行ってみると、この青色LEDの発光に対してイカやサンマは思ったような反応を示さず、消費電力を低減した以上に漁獲が大幅に低下してしまう結果となった。
【0008】
一方、青色LEDを発光体として黄色の蛍光体を発光させることにより疑似的に白色に見える、
図2に示すような放射照度分布を有する擬似白色LEDを用いたLED集魚灯が存在する。この種のLED集魚灯を使用して漁を行った場合、青色LEDのみを使用したLED集魚灯と比較してわずかながら漁獲の改善は見られたものの、従来の集魚灯との比較においては、漁獲量が大きく落ちる結果となった。
【0009】
従って本発明の目的は、イカやサンマ等の魚類に対して従来の漁法に近い操業形態のままでも、漁獲の低下を伴わずに省電力化を実現することが可能なLED集魚灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、漁船に取付けられ、船上からの光で魚類を集めるLED集魚灯であって、青色LEDに蛍光体を組み合わせて形成された擬似白色LEDと、この擬似白色LEDの光照射面側に配置され青色波長領域において高い光減衰度を有する黄色フィルタとを備えたLED集魚灯が提供される。
【0011】
擬似白色LEDとこの黄色フィルタとの組合せにより、青色波長領域の光が大幅に減衰するため、イカやサンマ等の魚類に過剰な刺激を与えることがなくなり、イカやサンマ等の魚類が忌避的な行動を起こすことがなくなる。また、海中での青色領域の光の拡散効果が高いあまりに釣り針に対する背景とのコントラストの消失が生じて釣り逃がしの発生するおそれもなくなる。その結果、従来の手法と同じ手法でLED集魚灯を操作した場合にも魚類を良好に留めることができ、漁獲量が低減しない。もちろん、LEDを用いているため、消費電力を大幅に低減化することができ、また寿命も非常に長い。
【0012】
複数の擬似白色LEDを配置したLED基板と、少なくともこれら複数の擬似白色LED及びLED基板を内部に収容する筐体と、筐体の前面に密封的に取付けられたカバー部材とを備えており、黄色フィルタは黄色平板状フィルタを兼用するこのカバー部材であることが好ましい。
【0013】
複数の擬似白色LEDを配置したLED基板と、少なくともこれら複数の擬似白色LED及びLED基板を内部に収容する筐体と、筐体の前面に密封的に取付けられた透明なカバー部材とを備えており、黄色フィルタはカバー部材とは別個にカバー部材の光照射面側に配置された黄色平板状フィルタであることも好ましい。
【0014】
複数の擬似白色LEDを配置したLED基板と、少なくとも複数の擬似白色LED及びLED基板を内部に収容する筐体と、この筐体の前面に密封的に取付けられたカバー部材とを備えており、黄色フィルタはカバー部材とは別個に筐体内に設けられていることも好ましい。
【0015】
この場合、黄色フィルタは、互いに平行かつ交互に形成されたストリップ状の黄色透明部とストリップ状の完全透明部とを備えており、複数の擬似白色LEDの前面に黄色透明部又は完全透明部のどちらかが位置するように移動可能に構成されていることがより好ましい。擬似白色LEDの光を黄色フィルタを透過させるか、黄色フィルタを透過させることなく完全に透明な部分をそのまま透過させるかを選択することができる。
【0016】
この場合、黄色平板状フィルタが、黄色の透明板であるか、又は透明板上に黄色フィルタ層を被着して構成されていることがより好ましい。
【0017】
黄色フィルタ層が、黄色塗料を塗布して構成されているか、又は黄色フィルムから構成されていることがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来の手法と同じ手法でLED集魚灯を操作した場合にも魚類を良好に留めることができ、漁獲量が低減しない。もちろん、LEDを用いているため、消費電力を大幅に低減化することができ、また寿命も非常に長い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】従来の青色LEDの放射照度分布を示す特性図である。
【
図2】従来の擬似白色LEDの放射照度分布を示す特性図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態としてのLED集魚灯の構成例を概略的に示しており、(A)は立面図、(B)は一部破断平面図、及び(C)は(B)におけるC−C線断面図である。
【
図4】第1の実施形態におけるLED集魚灯の構成を簡略化して示す模式図である。
【
図5】第1の実施形態における透明アクリル平板の透過率の周波数分布を表す特性図である。
【
図6】第1の実施形態における黄色フィルタを透過した擬似白色LEDの放射照度のスペクトル分布特性図である。
【
図7】海水に対する太陽光の透過率の周波数分布を0.5m、1m、5m及び10mの各水深別に表す特性図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態におけるLED集魚灯の構成を簡略化して示す模式図である。
【
図9】第2の実施形態における印刷用インキの透過率の周波数分布を表す特性図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態におけるLED集魚灯の構成を簡略化して示す模式図である。
【
図11】本発明の第4の実施形態におけるLED集魚灯の構成を簡略化して示す模式図である。
【
図12】本発明の第5の実施形態におけるLED集魚灯の構成を簡略化して示す模式図である。
【
図13】本発明の第6の実施形態におけるLED集魚灯の構成を簡略化して示す模式図である。
【
図14】本発明の第7の実施形態におけるLED集魚灯の構成を簡略化して示す模式図である。
【
図15】本発明の第8の実施形態におけるLED集魚灯の構成を簡略化して示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図3及び
図4は、本発明の第1の実施形態としてのLED集魚灯の構成例を概略的に示している。
【0021】
図3に示すように、この第1の実施形態におけるLED集魚灯は、裏面に冷却用フィン10aが形成された本体部材10と、この本体部材10の前面に配置された透明な平板状のカバー部材11と、カバー部材11を本体部材10との間に挟み、複数のボルト13及びシール部材14等を用いて密封的に取付ける枠部材12とを備えている。本体部材10及び枠部材12はアルミニウム材料をダイキャストで形成されており、カバー部材11は後述するように、光透過性の黄色平板状フィルタを兼用している。本体部材10及び枠部材12は筐体を構成しており、この筐体とカバー部材11とが密封的に取付けられることによって内部が水密に保たれている。
【0022】
図3及び
図4に示すように、この筐体の内部には、LED基板15がボルト16等によって本体部材10に固定されて設けられている。LED基板15の表面上には多数(
図3の例では105個)のチップ型LED17が
図3に示すような配列又はその他の任意の配列で固着されている。LED基板15には、これらチップ型LED17に電気的に接続されたプリント配線部が形成されており、さらに、このプリント配線部に電気的に接続された駆動抵抗及び定電流IC等の電源回路が搭載されている。これら電源回路は、本体部材10に設けられた防水ソケット18を介して電源ケーブル19に接続されている。
【0023】
筐体の内部において、チップ型LED17の前面には、黄色平板状フィルタを兼用するカバー部材11が設けられており、チップ型LED17から出射された光がこのカバー部材11を通過して外部に放射されるように構成されている。
【0024】
チップ型LED17は、青色LEDに蛍光体を組み合わせて形成された擬似白色LEDであり、本実施形態においては、例えば日亜化学工業株式会社製のNS6W183Aを使用している。この擬似白色LEDの放射照度分布は前述した
図2に示す通りである。ただし、同図において横軸は波長(nm)、縦軸は放射照度(μw/cm
2/nm)である。
【0025】
カバー部材11を兼用する黄色平板状フィルタは、魚類(例えばイカやサンマ)の視感度が高い青色波長領域(400〜500nm)において高い光減衰度を有する黄色フィルタである。本実施形態におけるこの黄色平板状フィルタは、例えば三菱レイヨン株式会社の着色透明樹脂板 212 レモンのごとき黄色の透明アクリル板又は透明ポリカーボネート板のごとき黄色透明樹脂板を用いている。この黄色透明樹脂板の厚さとしては、充分な強度が確保できる2.0mm以上であることが望ましい。
【0026】
図5はこの黄色透明樹脂板の透過率の周波数分布を示している。また、
図6の実線は黄色平板状フィルタとしてこの黄色透明樹脂板を用いた場合のLED集魚灯の放射照度周波数分布の一例を示している。光源としては、破線で示した放射照度分布を有する上述の擬似白色LEDを用いている。ただし、
図5において横軸は波長(nm)、縦軸は透過率であり、
図6において横軸は波長(nm)、縦軸は放射照度(μw/cm
2/nm)である。
【0027】
図7は海水に対する太陽光の透過率の周波数分布を0.5m、1m、5m及び10mの各水深別に表している。ただし、同図において横軸は波長(nm)、縦軸は透過率である。同図に示すように、水深が5m程度より浅い場合、青色波長領域(400〜500nm)における光透過率は赤色波長領域(630〜730nm)の場合と比較して5倍程度高い。即ち、水深0.5mで0.91/0.75=約1.21、水深5mで0.58/0.09=約6.44となり、約5.3倍となる。なお、水深が5mより深くなると赤色波長領域では透過率がゼロに近くなるため、考慮していない。
【0028】
このように、青色波長領域の光は、海中において、5倍程度強く届くこととなる。従って、
図6に示すように、この青色波長領域におけるカット率を約80%以上とすることにより、海水の透過率特性に見合った放射照度分布を得ることができる。
【0029】
擬似白色LEDからの光をそのまま放射していた従来のLED集魚灯においては、
図2に示すように青色波長領域の放射照度が著しく高くさらに海水のこの青色波長領域の光透過性が非常に高いため、LED集魚灯からの光に対してイカやサンマは集まるよりも忌避的な行動を起こして逃げてしまうか、又は海中での青色領域の光の拡散効果が高いため釣り針に対する背景とのコントラストの消失が生じて釣り逃がしが発生し、その結果、漁獲量の低減が生じていたものと思われる。これに対して本実施形態によれば、
図6の実線に示すように、イカやサンマの視感度が非常に高く、かつ海水の透過率が高い波長400〜500nmの青色波長領域においてほぼゼロとなる周波数分布の放射照度が得られる。このため、イカやサンマ等の魚類に対して従来の集魚灯に代えてかつその手法と同じ手法でLED集魚灯を操作した場合にもイカやサンマ等の魚類を良好に留めることができ、漁獲量が低減しない。もちろん、LEDを用いているため、消費電力を大幅に低減化することができ、また寿命も非常に長い。
【0030】
図8は本発明の第2の実施形態におけるLED集魚灯の構成を簡略化して示している。
【0031】
本実施形態では、カバー部材及び黄色フィルタの構成が第1の実施形態の場合と相違するのみであり、その他の構成は第1の実施形態の場合と全く同様である。従って、以下の説明は、両者の相違する部分についてのみ行う。また、両実施形態において同様の構成要素には同じ参照符号を用いることとする。
【0032】
本実施形態においては、本体部材10及び枠部材12からなる筐体の前面に完全に透明なカバー部材81が密封的に取付けられており、黄色フィルタは、このカバー部材81の前面に黄色透過フィルタ層86を被着して構成されている。カバー部材81としては、例えば旭硝子株式会社のカーボグラスSG-AHのごとき透明のポリカーボネート板で厚さ2.0〜3.0mmのものからなる透明平板を用いている。黄色透過フィルタ層は第1の実施形態の黄色フィルタと同様のスペクトル分布を有しているものであれば、フィルム層や塗料層等どのようなものであっても良い。本実施形態では、例えば、株式会社中川ケミカルの透明フィルムであるタフカルのレモンイエロー(4321C)、又は黄色の印刷用インキを塗布している。黄色の印刷用インキとしては、例えば株式会社セイコーアドバンス社のLOV208プロセスイエローを用いる。
図9はこの印刷用インキの透過率の周波数分布を表している。ただし、同図において横軸は波長(nm)、縦軸は透過率である。
【0033】
本実施形態によれば、
図6の実線に示すように、イカやサンマの視感度が非常に高く、かつ海水の透過率が高い波長400〜500nmの青色波長領域においてほぼゼロとなる周波数分布の放射照度が得られる。このため、イカやサンマ等の魚類に対して従来の集魚灯に代えてかつその手法と同じ手法でLED集魚灯を操作した場合にもイカやサンマ等の魚類を良好に留めることができ、漁獲量が低減しない。もちろん、LEDを用いているため、消費電力を大幅に低減化することができ、また寿命も非常に長い。
【0034】
図10は本発明の第3の実施形態におけるLED集魚灯の構成を簡略化して示している。
【0035】
本実施形態では、カバー部材及び黄色フィルタの構成が第1の実施形態の場合と相違するのみであり、その他の構成は第1の実施形態の場合と全く同様である。従って、以下の説明は、両者の相違する部分についてのみ行う。また、両実施形態において同様の構成要素には同じ参照符号を用いることとする。
【0036】
本実施形態においては、本体部材10及び枠部材12からなる筐体の前面に完全に透明なカバー部材101が密封的に取付けられており、黄色フィルタは、このカバー部材101の前面にカバー部材101とは別個に設けられ、ビス109等によって取付けられた黄色平板状フィルタ108から構成されている。カバー部材101としては、例えば旭硝子株式会社のカーボグラスSG-AHのごとき透明のポリカーボネート板で厚さ2.0〜3.0mmのものからなる透明平板を用いている。黄色平板状フィルタ108は第1の実施形態の黄色フィルタと同様のスペクトル分布を有している、例えば三菱レイヨン株式会社の着色透明樹脂板 212 レモンのごとき黄色の透明アクリル板又は透明ポリカーボネート板のごとき黄色透明樹脂板を用いている。この黄色透明樹脂板の厚さとしては、充分な強度が確保できる2.0mm以上であることが望ましい。
【0037】
本実施形態によれば、
図6の実線に示すように、イカやサンマの視感度が非常に高く、かつ海水の透過率が高い波長400〜500nmの青色波長領域においてほぼゼロとなる周波数分布の放射照度が得られる。このため、イカやサンマ等の魚類に対して従来の集魚灯に代えてかつその手法と同じ手法でLED集魚灯を操作した場合にもイカやサンマ等の魚類を良好に留めることができ、漁獲量が低減しない。もちろん、LEDを用いているため、消費電力を大幅に低減化することができ、また寿命も非常に長い。
【0038】
図11は本発明の第4の実施形態におけるLED集魚灯の構成を簡略化して示している。
【0039】
本実施形態では、黄色フィルタの構成が第3の実施形態の場合と相違するのみであり、その他の構成は第3の実施形態の場合と全く同様である。従って、以下の説明は、両者の相違する部分についてのみ行う。また、両実施形態において同様の構成要素には同じ参照符号を用いることとする。
【0040】
本実施形態においては、本体部材10及び枠部材12からなる筐体の前面に完全に透明なカバー部材111が密封的に取付けられており、黄色フィルタは、このカバー部材111の前面にカバー部材111とは別個に設けられ、ビス119等によって取付けられた透明平板部材118上に黄色透過フィルタ層116を被着して構成されている。カバー部材111及び透明平板部材118としては、例えば旭硝子株式会社のカーボグラスSG-AHのごとき透明のポリカーボネート板で厚さ2.0〜3.0mmのものからなる透明平板を用いている。黄色透過フィルタ層は第3の実施形態の黄色フィルタと同様のスペクトル分布を有しているものであれば、フィルム層や塗料層等どのようなものであっても良い。本実施形態では、例えば、株式会社中川ケミカルの透明フィルムであるタフカルのレモンイエロー(4321C)、又は黄色の印刷用インキを塗布している。黄色の印刷用インキとしては、株式会社セイコーアドバンス社のLOV208プロセスイエローを用いることができる。
【0041】
本実施形態によれば、
図6の実線に示すように、イカやサンマの視感度が非常に高く、かつ海水の透過率が高い波長400〜500nmの青色波長領域においてほぼゼロとなる周波数分布の放射照度が得られる。このため、イカやサンマ等の魚類に対して従来の集魚灯に代えてかつその手法と同じ手法でLED集魚灯を操作した場合にもイカやサンマ等の魚類を良好に留めることができ、漁獲量が低減しない。もちろん、LEDを用いているため、消費電力を大幅に低減化することができ、また寿命も非常に長い。
【0042】
図12は本発明の第5の実施形態におけるLED集魚灯の構成を簡略化して示している。
【0043】
本実施形態では、カバー部材及び黄色フィルタの構成が第1の実施形態の場合と相違するのみであり、その他の構成は第1の実施形態の場合と全く同様である。従って、以下の説明は、両者の相違する部分についてのみ行う。また、両実施形態において同様の構成要素には同じ参照符号を用いることとする。
【0044】
本実施形態においては、本体部材10及び枠部材12からなる筐体の前面に完全に透明なカバー部材121が密封的に取付けられており、黄色フィルタは、このカバー部材121の後側の筐体内にカバー部材121とは別個に設けられ、スペーサ123及びビス129等によってLED基板15のチップ型LED17の前面に取付けられた黄色平板状フィルタ128から構成されている。カバー部材121としては、例えば旭硝子株式会社のカーボグラスSG-AHのごとき透明のポリカーボネート板で厚さ2.0〜3.0mmのものからなる透明平板を用いている。黄色平板状フィルタ128は第1の実施形態の黄色フィルタと同様のスペクトル分布を有している、例えば三菱レイヨン株式会社の着色透明樹脂板 212 レモンのごとき黄色の透明アクリル板又は透明ポリカーボネート板のごとき黄色透明樹脂板を用いている。この黄色透明樹脂板の厚さとしては、充分な強度が確保できる2.0mm以上であることが望ましい。
【0045】
本実施形態によれば、
図6の実線に示すように、イカやサンマの視感度が非常に高く、かつ海水の透過率が高い波長400〜500nmの青色波長領域においてほぼゼロとなる周波数分布の放射照度が得られる。このため、イカやサンマ等の魚類に対して従来の集魚灯に代えてかつその手法と同じ手法でLED集魚灯を操作した場合にもイカやサンマ等の魚類を良好に留めることができ、漁獲量が低減しない。もちろん、LEDを用いているため、消費電力を大幅に低減化することができ、また寿命も非常に長い。
【0046】
図13は本発明の第6の実施形態におけるLED集魚灯の構成を簡略化して示している。
【0047】
本実施形態では、カバー部材及び黄色フィルタの構成が第2の実施形態の場合と相違するのみであり、その他の構成は第2の実施形態の場合と全く同様である。従って、以下の説明は、両者の相違する部分についてのみ行う。また、両実施形態において同様の構成要素には同じ参照符号を用いることとする。
【0048】
本実施形態においては、本体部材10及び枠部材12からなる筐体の前面に完全に透明なカバー部材131が密封的に取付けられており、黄色フィルタは、このカバー部材131の後側の筐体内にカバー部材131とは別個に設けられ、スペーサ133及びビス139等によってLED基板15のチップ型LED17の前面に取付けられている。即ち、黄色フィルタは、完全に透明な透明平板部材138の前面に黄色透過フィルタ層136を被着して構成されている。透明平板部材138としては、例えば旭硝子株式会社のカーボグラスSG-AHのごとき透明のポリカーボネート板で厚さ2.0〜3.0mmのものからなる透明平板を用いている。黄色透過フィルタ層は第1の実施形態の黄色フィルタと同様のスペクトル分布を有しているものであれば、フィルム層や塗料層等どのようなものであっても良い。本実施形態では、例えば、株式会社中川ケミカルの透明フィルムであるタフカルのレモンイエロー(4321C)、又は黄色の印刷用インキを塗布している。黄色の印刷用インキとしては、前述した例えば株式会社セイコーアドバンス社のLOV208プロセスイエローを用いる。
【0049】
本実施形態によれば、
図6の実線に示すように、イカやサンマの視感度が非常に高く、かつ海水の透過率が高い波長400〜500nmの青色波長領域においてほぼゼロとなる周波数分布の放射照度が得られる。このため、イカやサンマ等の魚類に対して従来の集魚灯に代えてかつその手法と同じ手法でLED集魚灯を操作した場合にもイカやサンマ等の魚類を良好に留めることができ、漁獲量が低減しない。もちろん、LEDを用いているため、消費電力を大幅に低減化することができ、また寿命も非常に長い。
【0050】
図14は本発明の第7の実施形態におけるLED集魚灯の構成を簡略化して示しており、同図(A)はLEDからの光が黄色フィルタ部分ではなく完全に透明な部分を透過してそのまま透過する場合、同図(B)はLEDからの光が黄色フィルタを透過する場合をそれぞれ示している。本実施形態においては、黄色フィルタが互いに平行かつ交互に形成されたストリップ状の黄色透明部とストリップ状の完全透明部とを備えており、チップ型LED17の前面に黄色透明部又は完全透明部のどちらかが位置するように移動可能に構成されている。
【0051】
本実施形態では、カバー部材及び黄色フィルタの構成並びに黄色フィルタが可動となっている点が第1の実施形態の場合と相違するのみであり、その他の構成は第1の実施形態の場合と全く同様である。従って、以下の説明は、両者の相違する部分についてのみ行う。また、両実施形態において同様の構成要素には同じ参照符号を用いることとする。
【0052】
本実施形態においては、本体部材10及び枠部材12からなる筐体の前面に完全に透明なカバー部材141が密封的に取付けられており、黄色フィルタは、このカバー部材141の後側の筐体内にカバー部材141とは別個に設けられ、LED基板15のチップ型LED17の前面に設けられた黄色平板状フィルタ148から構成されている。この黄色平板状フィルタ148は、図にて手前及び奥方向に沿って伸長するストリップ状の黄色透明部148bと図にて手前及び奥方向に沿って伸長するストリップ状の完全透明部148aとが図にて左右方向で交互に形成された樹脂板から構成されている。この黄色平板状フィルタ148は、シール部材149により密封的に取付けられたハンドル143によって図にて左右方向に移動可能に構成されている。カバー部材141としては、例えば旭硝子株式会社のカーボグラスSG-AHのごとき透明のポリカーボネート板で厚さ2.0〜3.0mmのものからなる透明平板を用いている。黄色平板状フィルタ148の黄色透明部148bは、第1の実施形態の黄色フィルタと同様のスペクトル分布を有している、例えば三菱レイヨン株式会社の着色透明樹脂板 212 レモンのごとき樹脂板であり、完全透明部148aは完全な透明である透明アクリル板又は透明ポリカーボネート板のごとき樹脂板を用いている。この樹脂板の厚さとしては、充分な強度が確保できる2.0mm以上であることが望ましい。
【0053】
本実施形態によれば、
図14(A)に示すごとく、ハンドル143が図にて左方向に引かれて黄色平板状フィルタ148が左方向にスライドしておりストリップ状の完全透明部148aがチップ型LED17の前面に位置している際は、チップ型LED17の光が黄色フィルタを通ることなくそのまま外部へ放射される。一方、
図14(B)に示すごとく、ハンドル143が押されて黄色平板状フィルタ148が右方向にスライドしておりストリップ状の黄色透明部148bがチップ型LED17の前面に位置している際は、チップ型LED17の光が黄色フィルタを透過して外部へ放射される。このように、本実施形態では、チップ型LED17の光を黄色フィルタを透過させるか、黄色フィルタを透過させることなく完全に透明な部分をそのまま透過させるかをハンドル143の操作により切り替えることができる。
【0054】
黄色フィルタを透過させた場合、
図6の実線に示すように、イカやサンマの視感度が非常に高く、かつ海水の透過率が高い波長400〜500nmの青色波長領域においてほぼゼロとなる周波数分布の放射照度が得られる。このため、イカやサンマ等の魚類に対して従来の集魚灯に代えてかつその手法と同じ手法でLED集魚灯を操作した場合にもイカやサンマ等の魚類を良好に留めることができ、漁獲量が低減しない。もちろん、LEDを用いているため、消費電力を大幅に低減化することができ、また寿命も非常に長い。
【0055】
なお、本実施形態において、黄色平板状フィルタ148の位置を
図14(A)と
図14(B)との間の位置に制御すれば、黄色フィルタを透過して外部へ放射される光量を調整することが可能である。また、ストリップ状の黄色透明部148bに代えて、チップ型LED17の前面を覆う他の形状の黄色透明部を用いても良い。
【0056】
図15は本発明の第8の実施形態におけるLED集魚灯の構成を簡略化して示しており、同図(A)はLEDからの光が黄色フィルタ部分ではなく完全に透明な部分を透過してそのまま透過する場合、同図(B)はLEDからの光が黄色フィルタを透過する場合をそれぞれ示している。本実施形態においては、黄色フィルタが互いに平行かつ交互に形成されたストリップ状の黄色透明部とストリップ状の完全透明部とを備えており、チップ型LED17の前面に黄色透明部又は完全透明部のどちらかが位置するように移動可能に構成されている。
【0057】
本実施形態では、カバー部材及び黄色フィルタの構成並びに黄色フィルタが可動となっている点が第1の実施形態の場合と相違するのみであり、その他の構成は第1の実施形態の場合と全く同様である。従って、以下の説明は、両者の相違する部分についてのみ行う。また、両実施形態において同様の構成要素には同じ参照符号を用いることとする。
【0058】
本実施形態においては、本体部材10及び枠部材12からなる筐体の前面に完全に透明なカバー部材151が密封的に取付けられており、黄色フィルタは、このカバー部材151の後側の筐体内にカバー部材151とは別個に設けられ、LED基板15のチップ型LED17の前面に設けられた完全に透明な透明平板部材158の後面(LED側の面)に黄色透過フィルタ層156を被着して構成されている。カバー部材151及び透明平板部材158としては、例えば旭硝子株式会社のカーボグラスSG-AHのごとき透明のポリカーボネート板で厚さ2.0〜3.0mmのものからなる透明平板を用いている。この黄色透過フィルタ層156は、図にて手前及び奥方向に沿って伸長するストリップ状に形成されており、これによってストリップ状の黄色透明部とストリップ状の完全透明部とが図にて左右方向で交互に形成されることとなる。黄色透過フィルタ層156は第1の実施形態の黄色フィルタと同様のスペクトル分布を有しているものであれば、フィルム層や塗料層等どのようなものであっても良い。本実施形態では、例えば、株式会社中川ケミカルの透明フィルムであるタフカルのレモンイエロー(4321C)、又は黄色の印刷用インキを塗布している。黄色の印刷用インキとしては、前述した例えば株式会社セイコーアドバンス社のLOV208プロセスイエローを用いる。
【0059】
このような構成の黄色フィルタは、シール部材159により密封的に取付けられたハンドル153によって図にて左右方向に移動可能に構成されている。
【0060】
本実施形態によれば、
図15(A)に示すごとく、ハンドル153が図にて左方向に引かれて透明平板部材158及び黄色透過フィルタ層156が左方向にスライドしておりストリップ状の完全透明部がチップ型LED17の前面に位置している際は、チップ型LED17の光が黄色フィルタを通ることなくそのまま外部へ放射される。一方、
図15(B)に示すごとく、ハンドル153が押されて透明平板部材158及び黄色透過フィルタ層156が右方向にスライドしておりストリップ状の黄色透明部がチップ型LED17の前面に位置している際は、チップ型LED17の光が黄色フィルタを透過して外部へ放射される。このように、本実施形態では、チップ型LED17の光を黄色フィルタを透過させるか、黄色フィルタを透過させることなく完全に透明な部分をそのまま透過させるかをハンドル153の操作により切り替えることができる。
【0061】
黄色フィルタを透過させた場合、
図6の実線に示すように、イカやサンマの視感度が非常に高く、かつ海水の透過率が高い波長400〜500nmの青色波長領域においてほぼゼロとなる周波数分布の放射照度が得られる。このため、イカやサンマ等の魚類に対して従来の集魚灯に代えてかつその手法と同じ手法でLED集魚灯を操作した場合にもイカやサンマ等の魚類を良好に留めることができ、漁獲量が低減しない。もちろん、LEDを用いているため、消費電力を大幅に低減化することができ、また寿命も非常に長い。
【0062】
なお、本実施形態において、透明平板部材158及び黄色透過フィルタ層156の位置を
図15(A)と
図15(B)との間の位置に制御すれば、黄色フィルタを透過して外部へ放射される光量を調整することが可能である。また、ストリップ状の黄色透明部に代えて、チップ型LED17の前面を覆う他の形状の黄色透明部を用いても良い。
【0063】
なお、上述した実施形態では、擬似白色LEDとして青色LEDに黄色蛍光体を組み合わせたものを使用しているが、青色LEDを用いたその他の構成の擬似白色LEDを使用しても良い。また、擬似白色LEDとしてチップ型LEDを用いているが、砲弾型LED又はその他の種類のLEDを用いても良いことはもちろんである。
【0064】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。