(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、大面積の発光面が均一に発光する見栄えの良い照明器具が求められている。
特許文献1の照明器具は、発光ダイオードを有する光源ユニットからの光を、矩形状の開口から出射させている。この照明器具は、矩形状の開口を複数個並べることで、大面積に発光させている。ところが、この照明器具は、各光源ユニットに対してルーバを設けたり、集光レンズを設けたりして光の出射方向を制御している。このため、各光源ユニットが点光りするように見えてしまい、各光源ユニットの開口の境界に暗部が生じている。また、一般に発光ダイオードのような半導体発光素子から出射される光は指向性が高いため、局部的に光が集中しやすく、発光面に明暗が生じやすい。
【0005】
また、半導体発光素子の出射方向に拡散カバーを配置し、拡散カバーを光らせる照明器具も考えられる。この場合、半導体発光素子と拡散カバーとの離間距離を大きく設定すれば、半導体発光素子からの光はある程度広がってから拡散カバーに入射するため、拡散カバーを均一に発光させることができる。しかし半導体発光素子と拡散カバーとの離間距離を大きく設定すると、照明器具の厚みが大きくなり、照明器具が大型化してしまう。
【0006】
そこで本発明は、厚みが薄く、均一に発光する照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば上記目的を達成するために
基板と、
前記基板の上に格子状に配列された複数の半導体光源ユニットと、
前記半導体光源ユニットを覆うように前記半導体光源ユニットから離間して設けられた光拡散部材と、を備え、
前記半導体光源ユニットの互いの離間間隔d[mm]、前記半導体光源ユニットから前記光拡散部材までの離間距離h[mm]としたとき、薄型化係数T=h/dが0.4≦T≦1.0を満たすように形成されている、照明器具が提供される。
【0008】
本発明に係る照明器具によれば、薄型化係数Tが0.4≦T≦1.0を満たすように形成されているので、指向性の高い半導体発光素子を光源に採用しても、半導体発光素子と光拡散部材の離間距離をできるだけ小さく設定して照明器具の厚みを薄くしつつ、均一に発光する照明器具を提供することができる。
【0009】
また、本発明によれば、
ベース部材と、
前記ベース部材に取り付けられ、前記ベース部材との間に収容空間を形成する拡散カバーと、
前記収容空間内に設けられ、前記ベース部材に取り付けられた基板と、
前記収容空間内に設けられ、前記基板に格子状に配列された複数の半導体光源と、を備え、
前記拡散カバーは、前記半導体光源を覆うように設けられた主拡散部と、前記主拡散部から前記ベース部材側に突出する副拡散部とを有し、
前記基板の平面視において、前記副拡散部と最外縁に配置された前記半導体光源との離間距離は、前記半導体光源の互いの離間距離よりも小さく設定されており、前記半導体光源からの光が副拡散部から出射されることを特徴とする照明器具が提供される。
【0010】
また本発明に係る照明器具によれば、副拡散部と最外縁に配置された半導体光源との離間距離が、半導体光源の互いの離間距離よりも小さく設定されているので、半導体光源からの出射光を副拡散部に入射させやすい。したがって、照明器具の側方にも、副拡散部から積極的に光を出射させることができる。これにより、使用者が明るく感じる照明器具を提供することができる。
【0011】
また、本発明によれば、格子状に区画されたシステム天井に取り付けられるパネル型の照明器具であって、
外部電源から供給される電力を所定の電圧または電流で出力線に出力可能な電源ユニットと、
システム天井の支持部材に取り付けられる取付部を備え、入力線から入力される電力によって駆動される灯具ユニットとを備え、
前記電源ユニットは、前記灯具ユニットとは別体に設けられ、
前記出力線および前記入力線は、接離可能なコネクタによって電気的に接続されている、照明器具が提供される。
【0012】
本発明に係るパネル型照明器具によれば、まず電源ユニットを外部電源に接続する電気工事を行い、その後に、灯具ユニットをシステム天井の支持部材に取り付け、コネクタを接続することによって灯具ユニットと電源ユニットとを接続する。したがって、灯具ユニットがシステム天井に取り付けられる時には、電源ユニットと外部電源との接続が完了しているため、コネクタを接続するだけで照明器具のシステム天井への設置を完了させることができる。したがって、照明器具の取付作業が簡便であり、取付の作業効率のよいパネル型照明器具が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、システム天井の支持部材に支持されるパネル型の照明器具であって、
下面が開口する箱型の金属製ハウジングと、
上面が開口し、前記ハウジングとの間に収容空間を形成する箱型の拡散部材と、
前記収容空間内に設けられ、前記ハウジングに取り付けられる基板と、
前記収容空間内に設けられ、前記基板に搭載され前記拡散部材に光を出射する半導体光源と、を有し、
前記ハウジングは、側壁の端部から収容空間の外側側方に張り出した第一フランジ部を備え、
前記拡散部材は、側壁の端部から収容空間の外側側方に張り出して前記第一フランジ部と対向する第二フランジ部を備え、
前記第一フランジ部と前記第二フランジ部とが重ね合わされた状態で、前記第一フランジ部および前記第二フランジ部がシステム天井の支持部材に支持される照明器具が提供される。
【0014】
本発明に係る照明器具によれば、拡散部材は上面が開口した箱型形状に形成されているので、下面と側壁との間の稜線が光り、照明器具の下面全体を発光させることができる。したがって、天井ボードと照明器具の下面が一体的に見える見栄えの良いパネル型照明器具を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る照明器具によれば、指向性の高い半導体発光素子を光源に採用しても、厚みが薄く均一に発光する照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係る照明器具100を、
図1から
図6を参照しつつ説明する。
図1は本実施形態に係るパネル型の照明器具100の平面図であり、拡散カバー40の一部を切り欠いて示している。
図2は
図1に示した照明器具100の側面図である。なお、以降の説明において、上下方向とは
図2に示すX方向を言い、左右方向とは
図2に示すY方向を言う。
【0018】
照明器具100は、
図1,2に示したように、扁平な直方体形状のパネル型の照明器具である。本実施形態に係る照明器具100が取り付けられるシステム天井には、格子状に張り巡らされた梁によって区切られたパネル空間が設けられている。このパネル空間内に照明器具100が嵌めこまれる。
【0019】
本実施形態の照明器具100は、システム天井の矩形状に区切られた縦横が600mmの直方体状のパネル状の空間に隙間無く嵌め込むために、
図1の平面視で縦横が600mmの正方形の形状に形成されている。この照明器具100は複数のTバー(支持部材)200と呼ばれる固定具に支持される。このTバー200は、システム天井の梁から下方に突き出すように取り付けられており、その先端に照明器具100が支持される支持部201が設けられている。
【0020】
図1,2に示したように、照明器具100は、灯具ユニット1と、灯具ユニット1と別体に形成され電源ケーブル2を介して接続された電源ユニット3とを備えている。
【0021】
図2で示したように、電源ケーブル2は灯具ユニット1の上面から外部に向かって延びている。この電源ケーブル2は、灯具側ケーブル(出力線)2aおよび電源側ケーブル(入力線)2bとから構成されている。この電源ケーブル2は、外部電源4と接続された電源ユニット3に、コネクタ5を介して電気的に接続されている。電源ユニット3は、外部電源4からの交流電流を所定の電圧または電流を出力可能である。この灯具ユニット1は、電源ケーブル2を介して電源ユニット3から供給される電力によって駆動される。
【0022】
コネクタ5は、灯具側ケーブル2aの一端に設けられた灯具側コネクタ5aと、電源側ケーブル2bの一端に設けられた電源側コネクタ5bとから構成されている。灯具側コネクタ5aと電源側コネクタ5bとを分離させることにより、灯具ユニット1は電源ユニット3から分離可能とされている。
【0023】
図3は、
図1のIII−III線矢視断面図である。
図3に示したように、灯具ユニット1は、ベースプレート(ベース部材)10と、回路基板(基板)20と、回路基板20上に格子状に配列された半導体光源ユニット30と、拡散カバー(光拡散部材)40とを備えている。この照明器具100は、拡散カバー40を下方に向けてシステム天井に取り付けられている。
【0024】
ベースプレート10は灯具ユニット1の上面を構成する金属製の1枚の板状部材である。ベースプレート10には貫通穴が設けられており、この貫通孔に電源と接続された電源ケーブル2が挿通されている。
【0025】
回路基板20は、プリント基板などによって構成することができる。回路基板20上にはプリント配線が形成され、電源からの電力を回路基板20上に搭載された半導体光源ユニット30に供給する。本実施形態では、
図1に示したように、1枚の回路基板20上に25個の半導体光源ユニット30が格子状に配列されており、9枚の回路基板20が1枚のベースプレート10に取り付けられている。
【0026】
図4は、照明器具100の配線を示す模式図である。照明器具100は、外部電源4からの電力が電源ユニット3に供給される。また、電源ユニット3はコネクタ5を介して灯具ユニット1と接続されている。また、9枚の回路基板20は電源ユニット3に接続されている。なお、9枚の回路基板20は、3枚の回路基板20が直列に接続され、これらの直列接続された3枚の回路基板20が並列に3組接続されている。これにより、外部電源4からの交流電流が電源ユニット3に供給され、電源ユニット3によって交流電流が直流電流に変換され、直流電流が回路基板20上の各LED素子31に供給される。
【0027】
図3に示したように、回路基板20はベースプレート10にファスナ50によって取り付けられている。また、回路基板20はベースプレート10に面接触されており、半導体光源ユニット30からの熱を効率よくベースプレート10に逃がすようにされている。なお、ベースプレート10に逃がされた熱はベースプレート10の上面から大気中に放熱される。
【0028】
拡散カバー40は、乳白色のアクリル樹脂などにより一体成形された樹脂成形品である。拡散カバー40は上方に開口した箱型形状をなしている。拡散カバー40は、開口面をベースプレート10に向けた状態で、ベースプレート10に取り付けられている。これにより、拡散カバー40はベースプレート10との間に灯室(収容空間)Sを形成している。この灯室S内に回路基板20と半導体光源ユニット30とが収容されている。なお、この拡散カバー40の側壁は、平面視で側壁の中央部が角部よりも外側に若干湾曲した形状とされている。
【0029】
拡散カバー40は、半導体光源ユニット30を覆って半導体光源ユニット30から離間して設けられている。この拡散カバー40は、回路基板20と対向する位置に設けられ灯具ユニット1の下面を構成する主発光面(主拡散部)41と、主発光面41の周縁からベースプレート10側へ突出する側面(副拡散部)42とを有している。なお、この側面42は主発光面41の厚みよりも薄く形成されている。また、この主発光面41と側面42とのなす角度θは90°以上に設定されている。
【0030】
図3に示したように、拡散カバー40の側面42の一部には、ベースプレート10側の一部が主発光面41側よりも灯室Sの外側に突出した突出部47が設けられている。また、この突出部47の下面は段差部(取付部)43とされている。この段差部43をTバー200の支持部201に支持させることにより、灯具ユニット1を安定的にシステム天井に取り付けることができる。
【0031】
図5は
図1のV−V線矢視断面図である。
図5に示したように、拡散カバー40の突出部47の形成されていない部位では、拡散カバー40の上方の端部45がベースプレート10と平行に外側に延びている。ベースプレート10と拡散カバー40の端部45とをクリップ60で挟み込むことにより、拡散カバー40がベースプレート10に固定されている。
【0032】
図5に示したように、回路基板20の上には、格子状に配列されたLED素子(半導体光源)31と、LED素子31を覆うように形成されたレンズ(レンズ部材)32とを備える半導体光源ユニット30が搭載されている。本実施形態ではLED素子31として、従来の蛍光灯に近い色合いの白色光を出射するものが採用されている。なお、LED(Light Emitting Diode)素子に代えてLD(Laser Diode)素子を採用してもよい。
【0033】
LED素子31を覆うレンズ32は、LED素子31からの光を屈折させて広範囲に光を出射させる。より具体的には、レンズ32によって屈折された光が、拡散カバー40のうち、光が出射されたLED素子31に隣接するLED素子31に対向し光軸Ax上に位置する領域48に入射するように、レンズ32が形成されている。これにより、拡散カバー40の主発光面41にはLED素子31からの光が広がった状態で入射することになり、主発光面41が均一に発光する。これについて次に詳しく説明する。
【0034】
<薄型化係数T>
図6は、
図5と同様の図であり、薄型化係数Tを説明するための図である。
図6に示すように、半導体光源ユニット30は、互いの離間間隔d[mm]が、半導体光源ユニット30から拡散カバー40までの離間距離h[mm]に対して、薄型化係数T=h/dが0.4≦T≦1.0以下を満たすように形成されている。また、本実施形態では、一例として離間間隔dを40[mm]、離間距離hを20[mm]とし、薄型化係数Tが0.5に設定されている。
【0035】
上述のように構成された本実施形態に係る照明器具100によれば、拡散カバー40が半導体光源ユニット30から離間されているので、半導体光源ユニット30から出射された光は、広がった状態で拡散カバー40に入射する。したがって、拡散カバー40に半導体光源ユニット30による光の明暗が生じにくい。
【0036】
また、複数の半導体光源ユニット30は、互いの離間間隔d[mm]が、半導体光源ユニット30から拡散カバー40までの離間距離h[mm]に対して、薄型化係数T=h/dが0.4≦T≦1.0以下を満たすように形成されている。これにより、本実施形態に係る照明器具100は、主発光面を均一に発光させつつ、薄型の形状とすることができる。
【0037】
薄型化係数Tが大きい状態とは、照明器具100の左右方向寸法が大きく半導体光源ユニット30の離間間隔dが広かったり、あるいは、拡散カバー40の高さが低く離間距離hが小さい場合である。つまり、薄型化係数Tが大きいと、照明器具100は扁平になり、照明器具100を薄型化できる。
その代わりに、半導体光源ユニット30の離間間隔dが広いので、拡散カバー40の主発光面41には半導体光源ユニット30からの光が入射しない領域ができやすく、主発光面41を均一に発光させることが難しい。あるいは、離間距離hが小さいので、半導体光源ユニット30からの光が広がる前に主発光面41に到達しやすく、主発光面41を均一に発光させることが難しい。つまり、薄型化係数Tが大きいほど、主発光面41を均一に発光させることが難しい。
【0038】
そこで本発明者らは、薄型化係数Tを用いて様々な形状の照明器具100を検討したところ、薄型化係数Tを0.4以上1.0以下とすると、照明器具100を薄型化しつつ主発光面41を均一に発光させることができることを見出した。
【0039】
薄型化係数Tを0.4よりも小さく設定すると、レンズ32の形状を工夫しても、LED素子31の光を隣接するLED素子31に対向する領域48に入射させるように光を屈折させることが難しい。なお、LED素子31の光を主発光面41のうち隣接するLED素子31に対向する領域48に照射することができないと、光が届きにくい領域ができてしまう。このため、主発光面41を外から見た場合に、それぞれのLED素子31に対向する複数の明るい領域48と、この明るい領域48の間に形成された暗い領域とが視認されてしまう。したがって、主発光面41を均一に発光させるために、薄型化係数Tは0.4以上に設定する。
【0040】
一方で、薄型化係数Tを大きくするために離間間隔dを小さくすると、拡散カバー40の主発光面41全体を発光させるために要するLED素子31の個数が増大する。そのため、一つの照明器具100に搭載するLED素子31の個数が多くなるため、薄型化係数Tを必要以上に大きくすると、照明器具100のコストが増大する。そこで本発明者らは、薄型化係数Tを1.0よりも大きくしても、主発光面41の輝度の均一性は大きく変わらないことを見出した。このため、照明器具100を薄型化するために薄型化係数Tは1以下に設定する。
【0041】
特に、本実施形態のようにシステム天井に取り付ける照明器具100の場合、照明器具100をシステム天井とTバー200との間の空間に収めるため、照明器具100の高さ寸法をTバー200の高さ寸法よりも小さくすることが好ましい。しかし、システム天井の格子状のパネル空間に隙間無くはめ込まれるように照明器具100の縦横の大きさを設定し、薄型化係数Tを1よりも大きく設定した場合、照明器具100の高さ寸法がTバー200の高さ寸法よりも大きくなる虞がある。このため、特に照明器具100をシステム天井に用いる場合には、薄型化係数Tを1.0以下とすることが好ましい。
【0042】
以上のように、薄型化係数Tを0.4以上1.0以下に設定すると、できるだけ少ない半導体光源ユニット30で主発光面41を均一に光らせ、かつ、できるだけ薄型の照明器具100を提供することができる。
【0043】
なお、半導体光源ユニット30の離間間隔dは30mm≦d≦90mmとすることが好ましい。離間間隔dが30mmより短いと、システム天井用等の大型の照明器具100を構成するために要する半導体光源ユニット30の個数が多くなり、コストが嵩む。また、離間間隔dが90mmより長いと、薄型化係数Tを所定範囲内に収めても、照明器具100の厚みが大きくなりシステム天井に取り付けられなくなることがある。
【0044】
また、半導体光源ユニット30から拡散カバー40までの離間距離hは20mm≦h≦50mmとすることが好ましい。離間距離hが20mmより短いと、LED素子31からの光が拡散するまえに拡散カバー40の主発光面41に到達してしまい、主発光面41に明暗が生じる虞がある。また、離間距離hが50mmより長いと、Tバー200の高さ寸法よりも大きくなりシステム天井に取り付けられなくなる虞がある。
【0045】
<離間距離A,Bの関係>
ところで、半導体発光素子から出射される光は指向性が高いため、光軸方向に光が集中し、側方へ出射される光の量が少ない。このため、天井に取り付けられる照明器具の光源として半導体発光素子を用いた場合、照明器具の下方のみが明るく照らされる。その結果、例えば使用者の机の上には、もっぱら上方から光が照射され、側方から回り込む光が少ない。このため、使用者は部屋全体が暗く感じられたり、あるいは手元が暗く感じたりする。
そこで本実施形態に係る照明器具100によれば、
図1および
図5に示したように、各々の半導体光源ユニット30は、平面視において最外縁に位置するLED素子31aと側面42との離間距離Aが、複数のLED素子31の互いの離間距離Bよりも小さくなるように、配置されている。上述したように、LED素子31の互いの離間距離Bは、LED素子31から出射された光が隣接するLED素子31の光軸Ax上に位置する領域48に入射するように設定されている。したがって、最外縁に位置するLED素子31aから出射された光は確実に側面42に入射する。
なお、最外縁に位置するLED素子31aと側面42との離間距離Aが、LED素子31の互いの離間距離Bよりも大きいと、最外縁に位置するLED素子31aからの光のほぼ全てが主発光面41に入射してしまい、側面42に入射されない。
【0046】
上述のように構成された本実施形態に係る照明器具100によれば、照明器具100の側方に位置する側面42から積極的に光を出射させることができる。これにより、使用者に対して上方からのみならず、側方から回り込むように光を入射させることができる。このため、使用者の手元を確実に照らすことができると共に天井面や壁も照らすことができ、使用者が明るく感じる照明器具100を提供することができる。
【0047】
なお、
図1に示したように、最外縁に位置しないLED素子31bに対向する主発光面41の領域には、LED素子31bとこれを囲む合計9個のLED素子31bからの光が入射する。ところが、側面42のある領域42aには、最外縁に位置するLED素子31aとその両隣の合計3個のLED素子31aからの光が入射する。つまり、側面42への光の入射量は主発光面41への光の入射量よりも少ない。
しかし、本実施形態に係る照明器具100によれば、側面42の厚みが主発光面41の厚みよりも薄く形成されており、側面42の光透過率が主発光面41の光透過率よりも高く設定されている。このため、側面42から外部へ効率よく光を出射し、側方へ回り込む光を多くすることができる。
【0048】
また、拡散カバー40の主発光面41と側面42とのなす角度が90°以上とされている。これにより照明器具100の左右方向の寸法がベースプレート10側から主発光面41側に向かって同等または小さくされている。灯具ユニット1のTバー200への取り付けは、複数のTバー200で囲まれた空間に上方から灯具ユニット1を下降させ、灯具ユニット1の段差部43をTバー200の支持部201に当接させることにより行う。灯具ユニット1の形状が下方に向かって小さくされているので、複数のTバー200で囲まれた空間に上方から灯具ユニット1を下降させやすく、Tバー200への取り付けが容易となる。
また、拡散カバー40は樹脂の一体成形で形成されるため、拡散カバー40の内側表面40bを形成する金型を広く開口した上面の開口から抜きやすく、また、成型された拡散カバーの金型からの取り出しも容易である。
【0049】
また、本実施形態に係る照明器具100は、半導体光源ユニット30が拡散カバー40の側面42の近傍まで設けられているので、主発光面41の縁部を含む全体が均一に発光する。また、拡散カバー40の大きさは、システム天井のパネル空間に隙間無く嵌めこまれるように設定されているため、パネル空間の下面全体が発光するように見える。そこで、システム天井の天井ボードと照明器具100の主発光面41とが連続するように照明器具100の段差部43から主発光面41までの長さを設定することにより、フラットな天井の一部分が発光しているように見せることができる。これにより、システム天井全体の美観を高めることができる。
【0050】
また、拡散カバー40の外側表面40aを表面粗さが数μm程度の微小凹凸が形成された梨地面としてもよい。これにより、拡散カバー40の外側表面40aで半導体光源ユニット30からの光を拡散しながら外部に出射することができると共に、周辺物体への映り込みを防止することができる。また、これによりシステム天井の天井ボードと質感を共通させることができる。このため、照明器具100を消灯している場合に、天井ボードと照明器具100とが一体感を持つように見え、システム天井全体の美観を高めることができる。
【0051】
また、拡散カバー40の内側表面40bは表面が滑らかな光沢面としてもよい。これにより、拡散カバー40の入射角が大きい光を内側表面40bで積極的に反射し、この反射光を回路基板20の表面などで反射させることで、再び拡散カバー40に入射させることができる。半導体光源ユニット30からの光ができるだけ外部に出射させることで、照明器具100の光の利用効率を向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態では、
図1に示したように、1つの回路基板20上に25個の半導体光源ユニット30が格子状に配列されており、9個の回路基板20がベースプレート10に取り付けられている。これとは逆に、単一の回路基板で照明器具を構成した場合には、1つの半導体光源ユニットが故障した場合には、全ての半導体光源ユニットが搭載された回路基板ごと交換する必要がある。しかし、本実施形態に係る照明器具100は、回路基板20が複数個に分割されているので、故障した半導体光源ユニット30が搭載されている回路基板20のみを交換すればよい。したがって、本実施形態に係る照明器具100によれば、メインテナンス費用を軽減することができる。
【0053】
<システム天井への取付方法>
以上のように構成される照明器具100は、次のようにしてシステム天井に取り付けられる。まず、灯具側コネクタ5aを電源側コネクタ5bから分離し、灯具ユニット1と電源ユニット3とを分離する。分離された電源ユニット3を、システム天井に設置する。
【0054】
電源ユニット3は天井裏に取り付けても良いし、梁やTバー200に取り付けても良い。電源ユニット3をシステム天井に取り付ける際に、外部電源4と電源ユニット3とを電気的に接続する。外部電源4と電源ユニット3とを接続する際には、外部電源4から延びている比較的高出力の電力が供給されているケーブル4aを取り扱うため、電気工事の専門業者が施工する。
【0055】
次に、電源ユニット3から分離された灯具ユニット1をTバー200に取り付ける。具体的には、灯具ユニット1をTバー200の上方からTバー200の支持部201に向かって下降させ、拡散カバー40の側面42に設けられた段差部43を支持部201に載せる。次に、灯具側コネクタ5aと電源側コネクタ5bとを接続し、灯具ユニット1と電源ユニット3とを電気的に接続し、照明器具100のシステム天井への取付が完了する。
【0056】
このように、灯具ユニット1のTバー200への取付作業およびコネクタ5の接続は、外部電源4の高出力の電力が供給されているケーブル4aを取り扱う必要がない。このため、電気工事の専門業者による施工が必要ないので、通常の内装工事を取り扱う業者が施工できる。したがって、システム天井へ天井パネルなどを取り付ける内装工事の時に、内装工事の業者が灯具ユニット1をシステム天井に取り付けることができる。
【0057】
なお、従来のように照明器具に電源ユニットが内蔵されており、外部電源から延びるケーブルを照明器具に引き込んで接続する場合は、照明器具をシステム天井に取り付けた状態で、照明器具と外部電源とを接続する必要がある。この場合は、照明器具をシステム天井に取り付けた後に、狭い天井裏空間に電気工事の業者が入り込んで電気工事を行う必要があり、作業効率が悪かった。また、照明器具を取り付けた後に電気工事を行うため、天井裏の配線を行ってから天井パネルを設置する通常の天井工事とスケジュールを合わせ難かった。
【0058】
しかし、本実施形態に係る照明器具100は、上述の如く、電源ユニット3をシステム天井に取り付ける作業と、灯具ユニット1をシステム天井に取り付ける作業とが分離されている。したがって、電源ユニット3を取り付ける作業は、灯具ユニット1をシステム天井に取り付ける前に行うことができる。これにより、電気工事は灯具ユニット1が取り付けられていない広い作業空間を使って行うことができるので、作業効率が良い。
【0059】
また、内装工事の業者が灯具ユニット1をシステム天井に取り付ける時、電源ユニット3と外部電源4との接続が完了しているため、コネクタ5を接続するだけで照明器具100のシステム天井への設置を完了させることができる。このように、内装工事における作業が簡単であるため、内装工事の業者は、例えば、天井パネル等の取付作業にあわせて灯具ユニット1をシステム天井に取り付けることができる。
【0060】
また、例えば、電源ユニット3の取付および外部電源4との接続は、空調設備の配線やLAN配線などの天井裏の電気工事をする時に、合わせて行うことができる。また、上述したように灯具ユニット1の取付工事を天井パネルの取付工事と同時に行うことができる。つまり、照明器具100の取付工事と天井パネルの取付工事とを別々に施工する必要がないので、照明器具100の取付作業を他の天井工事のスケジュールに合わせやすく、工期を短縮することができる。
【0061】
灯具ユニット1の拡散カバー40の側面42ハウジング10Aは、平面視で側面の中央部が角部よりも外側に突出するように湾曲した形状とされている。したがって、地震などによって、Tバー200が取り囲む矩形状のパネル空間がゆがんだ場合でも、灯具ユニット1の角部に応力が集中せず、照明器具100が破損することを抑制することができる。また、灯具ユニット1がパネル空間内の所定位置からずれても、灯具ユニット1の少なくとも一部が常にTバー200に接触するので、Tバー200は灯具ユニット1を支持し続けることができる。
【0062】
(第二実施形態)
なお、上述の第一実施形態では、板状のベースプレート10に箱型形状の拡散カバー40を組み合わせた例を挙げて説明したが、本発明はこの例に限られない。
図7は、本発明の第二実施形態に係る照明器具100Aの灯具ユニット1Aの部分断面図である。
【0063】
図7に示したように、ハウジング10Aは照明器具100Aの上面を構成する金属製の部材である。ハウジング10Aは下面が開口した箱型形状の部材である。ハウジング10Aは、底板(支持板部)11と、側壁(側壁部)12とを有している。側壁12は拡散カバー40側に延びるように底板11から折り曲げられている。この側壁12は、少なくともレンズ32と同じ高さまで底板11から延出している。このハウジング10Aの内側空間S1に半導体光源ユニット30が搭載された回路基板20が収容されている。
【0064】
照明器具100Aの側面のうち、最外縁のLED素子31aとの離間距離が短いLED素子31aの真横近傍は、拡散カバー40の側面42ではなく、遮光性のハウジング10Aの側壁12で覆われている。このように、側面42は最外縁のLED素子31aからある程度離間距離の長い領域に配置されているので、LED素子31aから広がった光が側面42に入射する。つまり、側面42には最外縁のLED素子31aから広がった光が入射されるので、明暗が生じにくい。このため、側面42が均一に発光し、側方からの見栄えの良い照明器具100Aを提供することができる。
【0065】
また、最外縁のLED素子31aの真横近傍に位置する側壁12を反射面で形成することにより、最外縁のLED素子31aの光を拡散カバー40の主発光面41に反射することができる。これにより、照明器具100Aの光の利用効率を高めることができる。
【0066】
また、ハウジング10Aの底板11には、拡散カバー40側に突出された凸部13が形成されており、この凸部13には係止孔15が設けられている。また、回路基板20にも貫通孔21が設けられている。ハウジング10Aの係止孔15および回路基板20の貫通孔21にリベット51を挿通することで、回路基板20がハウジング10Aに固定されている。これにより、回路基板20はハウジング10Aの凸部13に接触した状態で、ハウジング10Aに固定されている。
【0067】
ハウジング10Aの凸部13によって回路基板20とハウジング10Aの底板11との間に空間S2が設けられている。そこで、回路基板20の半導体光源ユニット30から延びる電気配線33を、この空間S2に這わせている。これにより、半導体光源ユニット30から延びる電気配線33を、ハウジング10A側に簡単に取り出すことができる。
【0068】
<下面全体の発光>
拡散カバー40の側面42の上端には、収容空間Sから外側側方に張り出したカバー側フランジ部(第二フランジ部)46が設けられている。また、このカバー側フランジ部46と対向するように、ハウジング10Aの側壁12の下端にも、収容空間Sの外側側方に張り出したハウジング側フランジ部(第一フランジ部)14が設けられている。このカバー側フランジ部46とハウジング側フランジ部14とが重ね合わされた状態で、カバー側フランジ部46とハウジング側フランジ部14とがTバー200の支持部201に支持されている。
【0069】
また、ハウジング側フランジ部14はカバー側フランジ部46にかしめられ、カバー側フランジ部46の外郭形状に沿って折り曲げられている。これにより拡散カバー40はハウジング10Aにかしめ固定されている。なお、かしめに必要な強度を確保するために、拡散カバー40の厚み(外周縁の厚み)は2mm以上とすることが好ましい。このように、ハウジング側フランジ部14をかしめることにより、灯室Sを密閉することができる。これにより、灯室Sに埃や虫が侵入することを防止できる。
【0070】
以上のように構成される本実施形態に係る照明器具100Aによれば、拡散カバー40は箱型形状に形成されているので、その主発光面41と側面42との境界にあたる稜線44も発光させることができる。これにより、灯具ユニット1Aの下面全体が発光するように見える。特にパネル型照明器具には、天井ボードと照明器具の発光面とを一体的に見せたいというデザイン上の要請がある。本実施形態に係る照明器具100Aによれば、拡散カバーの下面の外周が枠などで覆われておらず、拡散カバー40の下面の外周、特に稜線44が外部に露出されている。このため、照明器具100Aの下面全体を発光させることができ、意匠性の高い照明器具を提供することができる。
【0071】
また、ハウジング側フランジ部14は折り曲げられており、強度が向上されている。したがって、照明器具100Aの強度が高い部位でTバー200の支持部201と当接させ、照明器具100Aを支持している。このため、地震などでシステム天井に振動が加わった場合でも、確実に照明器具100Aを支持し続けることができる。
【0072】
また、回路基板20のLED素子を搭載した搭載面20aからその裏面20bへと貫通する貫通電極16を設けてもよい。さらに、回路基板20の裏面に、貫通電極16からの熱が伝導されその表面から放熱が可能な放熱膜17を設けてもよい。
【0073】
貫通電極16により、LED素子で発生した熱を裏面20b側へと導き、放熱膜17からこの熱を効率的に放熱することができる。これにより、LED素子31で発生した熱を放熱するための放熱フィンなどのヒートシンクを別途設ける必要がない。したがって、LED素子31の冷却性が高く、小型の照明器具100Aを提供することができる。なお、放熱膜17には銅やアルミニウム膜などの金属膜を用いることができる。また、放熱膜を回路基板20の裏面20b側の配線として利用してもよい。
【0074】
以上、本発明をその実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
【0075】
上述の説明ではシステム天井用の照明器具を例に挙げて説明したが、本発明は面発光型で薄型の、例えばリビング用の照明器具に適用することができる。
【0076】
また、上述したLED素子の個数、回路基板の個数は一例であって、本発明はこれらの個数に限定されることはない。
【0077】
本出願は、2012年3月9日出願の日本特許出願(特願2012-053356)、2012年3月9日出願の日本特許出願(特願2012-053359)、2012年3月9日出願の日本特許出願(特願2012-053363)、2012年3月9日出願の日本特許出願(特願2012-053364)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。