特許第6063933号(P6063933)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063933
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】再充電可能電気バッテリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20170106BHJP
   H01M 10/6565 20140101ALI20170106BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20170106BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20170106BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20170106BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20170106BHJP
   H01M 10/6553 20140101ALI20170106BHJP
   H01M 10/6561 20140101ALI20170106BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   H01M2/10 S
   H01M10/6565
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/647
   H01M10/653
   H01M10/6553
   H01M10/6561
   B60K11/06
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-517652(P2014-517652)
(86)(22)【出願日】2012年6月26日
(65)【公表番号】特表2014-525118(P2014-525118A)
(43)【公表日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】EP2012062338
(87)【国際公開番号】WO2013000900
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2015年6月26日
(31)【優先権主張番号】A957/2011
(32)【優先日】2011年6月30日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597083976
【氏名又は名称】アー・ファウ・エル・リスト・ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】AVL LIST GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエリッチュ,マルティン
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−323873(JP,A)
【文献】 特開2007−042453(JP,A)
【文献】 特開2007−109546(JP,A)
【文献】 特開2003−338275(JP,A)
【文献】 特開2006−073368(JP,A)
【文献】 特開2005−123007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 10/60
B60K 1/04
B60K 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向(y)に隣接配置されたバッテリセル(5)の少なくとも2つのスタック(3,4)を備え、前記スタック(3,4)が前記積層方向に対して横方向に隣接配置され、隣接配置された少なくとも2つのスタック(3,4)が互いに対して前記積層方向(y)にずらして配置され、スタック(3,4)の少なくとも1つのバッテリセル(5)が隣接するスタック(4,3)の少なくとも1つのバッテリセル(5)と少なくとも部分的に重なるように配置され、少なくとも1つのバッテリセル(5)がプラスチックセルケーシング(14)によって封止された再充電可能電気バッテリ(1)であって、前記プラスチックセルケーシング(14)が、前記バッテリセル(5)の短辺側(5a)に沿って配置された突出シーリングシーム(16)を有し、スタック(3,4)の隣接するバッテリセル(5)の各前記シーリングシーム(16)間に空間(17)が画定されることを特徴とするバッテリ。
【請求項2】
前記2つのスタック(3,4)のずれ(V)が、バッテリセル(5)の厚み(D)の半分であることを特徴とする請求項1に記載のバッテリ(1)。
【請求項3】
少なくとも1つの第1の冷却空気チャネル(26)が、前記重なり(25)の領域において形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のバッテリ(1)。
【請求項4】
前記プラスチックセルケーシング(14)が、前記バッテリセル(5)の短辺側(5a)に沿って配置されるとともに、セル中間平面(15)の領域にある突出シーリングシーム(16)を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のバッテリ(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの空間(17)が、第1及び/又は第2の冷却空気チャネル(26,27)を形成することを特徴とする請求項4に記載のバッテリ(1)。
【請求項6】
少なくとも第1の冷却空気チャネル(26)が、前記バッテリ(1)の縦軸(z)の方向に配置され、少なくとも第2の冷却空気チャネル(27)が、前記縦軸(z)に対して垂直に且つ前記積層方向(y)に対して垂直に延出する前記バッテリ(1)の横軸(x)の方向に配置されることを特徴とする請求項5に記載のバッテリ(1)。
【請求項7】
前記一方のスタック(3,4)のバッテリセル(5)の少なくとも1つのシーリングシーム(16)が、前記他方のスタック(4,3)の2つの隣接するバッテリセル(5)の前記シーリングシーム(16)によって画定される空間(17)内に突出することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載のバッテリ(1)。
【請求項8】
少なくとも1つのスタック(3,4)の2つの隣接するバッテリセル(5)間に熱的且つ電気的な絶縁層(23)が配置され、前記絶縁層(21)が絶縁箔によって形成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のバッテリ(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの空間(17)が冷却空気チャネル(26,27)を形成し、前記空間(17)の境界を形成する又は前記空間(17)内に突出する前記シーリングシーム(16)が前記冷却空気流のための案内表面を形成することを特徴とする請求項4乃至8のいずれか一項に記載のバッテリ(1)。
【請求項10】
2つの隣接するバッテリセル(5)を電気的に接続するための少なくとも1つのセルコネクタ(19,20)が第2の冷却空気チャネル(27)内に突出することを特徴とする請求項5乃至9のいずれか一項に記載のバッテリ(1)。
【請求項11】
前記第1及び/又は第2の冷却空気チャネル(26,27)が前記バッテリ(1)を冷却するための閉冷却空気回路(28)の一部であることを特徴とする請求項3乃至10のいずれか一項に記載のバッテリ(1)。
【請求項12】
前記閉冷却空気回路(28)が少なくとも1つの冷却空気ファン(29)及び少なくとも1つの熱交換器(30)を有することを特徴とする請求項11に記載のバッテリ(1)。
【請求項13】
部分的に重なるバッテリセル(5)を備える各2つのスタック(3,4)がバッテリモジュール(2)を形成することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のバッテリ(1)。
【請求項14】
各バッテリモジュール(2)が2つの熱的及び/又は電気的に絶縁するプレート(6)間に配置されることを特徴とする請求項13に記載のバッテリ(1)。
【請求項15】
前記プレート(6)が前記重なり(25)の領域に段差(24)を備えることを特徴とする請求項13又は14に記載のバッテリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層方向に一列に隣接配置された少なくとも2つのバッテリセルスタックを備え、このスタック同士が隣接して且つ積層方向に対して垂直に配置され、隣接配置された少なくとも2つのスタックが互いに対して積層方向にずらして配置された再充電可能電気バッテリ、好ましくは電気自動車用であり、特に高電圧バッテリに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のリチウムイオンバッテリセルによって構成されたバッテリパックは、これらに加えて、セル締結システム、セル冷却システム、セル監視システム、セル接続システムなどの一連の他のサブシステムを含む。これらサブシステムの一体化のために、セル(電池)化学よって包囲された体積をはるかに超過する更なる設置空間が必要になる。これは、既に化石燃料の体積エネルギー密度よりも低い体積エネルギー密度に悪影響を及ぼす。
【0003】
プラスチックのセルケーシングが活性セル化学の周囲に伸びる連続的な横方向のシーリングシームによって封止された多くの様々な既知のリチウムイオンポーチセルの構造的形状のため、複数のセルが隣接している場合、空の空間が形成される。これらの囲繞された空間は、バッテリセルの製造公差の結果として非常に大雑把にしか寸法を設定することができず、突出したシーリングシームによって別々の空間に分割されることがあるため、技術的に活用することが難しい。
【0004】
独国特許出願公開第102009035463号明細書(特許文献1)は、複数のフラットな略プレート状の個別のバッテリセルを備えるバッテリを開示している。個別のバッテリセルは、セルスタックを形成するように積層され、バッテリハウジングによって包囲される。バッテリの個別のセルは、金属シートと絶縁材料のフレームによって、フラットにフレームに包囲されるように形成される。
【0005】
また、国際公開第2008/048751号明細書(特許文献2)は、ハウジングに収容されたスタックにおいて隣接配置された複数のプレート状バッテリセルを備えるバッテリモジュールを開示している。
【0006】
国際公開第2010/053689号明細書(特許文献3)は、ハウジングと、隣接配置された複数のリチウムイオンセルを備えるバッテリ装置を開示している。熱伝導性の電気的に絶縁する流体が冷却目的でハウジングを流れる。
【0007】
国際公開第2010/067944号明細書(特許文献4)は、バッテリセルが冷却空気によって冷却される、隣接配置されたバッテリセルのスタックを備えるバッテリを開示する。
【0008】
特開2007−109546号公報(特許文献5)は、積層方向に互いにずれて隣接配置された2つのモジュールを備える再充電可能バッテリを記述している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第102009035463号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/048751号明細書
【特許文献3】国際公開第2010/053689号明細書
【特許文献4】国際公開第2010/067944号明細書
【特許文献5】特開2007−109546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上述の欠点を回避すること、及び冒頭で言及したタイプの電気バッテリの体積エネルギー密度を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この目的は、スタックの少なくとも1つのバッテリセルが、隣接するスタックの少なくとも1つのバッテリセルと少なくとも部分的に重なり合うように配置されることによって達成される。
【0012】
2つのスタックのずれは、バッテリセルの厚みの約半分である。これにより、より密度の高いパッキングが容易になる。
【0013】
残りの空隙を活用するために、隣接するスタックのバッテリセルの少なくとも1つの重なる領域間に少なくとも第1の冷却空気チャネルが形成される。
【0014】
少なくとも1つのバッテリセルは、プラスチックセルケーシングに封止され、プラスチックセルケーシングは、バッテリセルの短辺側に沿うように配置された(好ましくはセル中間平面の領域に)突出シーリングシームを有する。スタックの隣接するバッテリセルのシーリングシーム間にはその都度空間が画定される。この空間は第1及び/又は第2の冷却空気チャネルを形成することができる。これに関連して、少なくとも1つの第1の冷却空気チャネルはバッテリの縦軸の方向に、少なくとも第2の冷却空気チャネルは縦軸に対して及び積層方向に対して垂直に延出する、バッテリの横軸の方向に配置され得る。
【0015】
製造を容易にするため、部分的に重なるバッテリセルを備える2つのスタックがその都度1つのバッテリモジュールを形成し、各バッテリモジュールが2つの好ましくは熱的且つ/又は電気的に絶縁するプレート間に配置されると有利である。
【0016】
空気は第1の冷却空気チャネルを介して2つの隣接するスタック間の領域を流れて冷却する。冷却空気流を誘導する第2の冷却空気チャネルは、バッテリの上側に配置され、セル端子及び/又は電気セルコネクタを冷却する。後者は、2つの隣接するバッテリセルを電気的に接続するための好ましくは1つのU字形のプロファイル又はY字形のプロファイルを備える少なくとも1つのセルコネクタが第2の冷却空気チャネル内に突出する場合、特に良好に冷却され得る。第1及び/又は第2の冷却空気チャネルは、バッテリを冷却するための閉冷却空気回路の一部であり得、好ましくは冷却空気回路が少なくとも1つの冷却空気ファン及び少なくとも1つの熱交換器を有する。閉冷却空気回路によって、バッテリは、温度及び湿度の変動、大気汚染などの不利となる環境の影響をほとんど受けることなく冷却され得る。これにより、バッテリに関して一定の最適な動作条件が保証され、バッテリの寿命が延長される。
【0017】
第1のスタックのバッテリセルの少なくとも1つのシーリングシームは、第2のスタックの2つの隣接するバッテリセルのシーリングシームによって画定される空間内に突出し得る。この空間の境界を形成する又はこの空間内に突出するシーリングシームは、冷却空気流のための案内表面を形成する。このように、冷却空気の搬送が改善される一方、冷却領域に接触する表面が拡大される。
【0018】
隣接するバッテリセルの過熱を可能な限り防止するため、少なくとも1つのスタックの2つの隣接するバッテリセル間に熱的且つ電気的な絶縁層が設けられ、好ましくはこの絶縁層は絶縁箔によって形成される。
【0019】
上述した手段によれば、必要な設置空間は減少され、体積エネルギー密度は増加され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のバッテリを上方から見た斜視図で示す。
図2】前記バッテリを図1におけるII‐II線に対応する断面で示す。
図3】前記バッテリを正面図で示す。
図4】前記バッテリを下方から見た斜視図で示す。
図5】前記バッテリのバッテリモジュールを斜視図で示す。
図6】このバッテリモジュールを下方から見た斜視図で示す。
図7】バッテリセルのスタックを斜視図で示す。
図8】このスタックを側面図で示す。
図9】バッテリモジュールのバッテリセルのスタックを斜視図で示す。
図10】バッテリモジュールを図9におけるX‐X線に対応する断面で示す。
図11】このバッテリモジュールの細部を図10と同様な断面で示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を、図面を参照して以下により詳細に記述する。
【0022】
本実施形態における再充電可能バッテリ1は、7つのバッテリモジュール2を備え、各バッテリモジュール2は、隣接配置された締結されたバッテリセル5の2つのスタック3,4を有する。各バッテリモジュール2のスタック3,4は、例えばアルミニウム、又はプラスチック製の2枚の構造的に強固な波形プレート6間に配置され、プレート6はダイカスト部品から形成され得る。プレート6自体は、バッテリ1の前面及び後面上の2つの保定プレート7,8間に固定され、前面上の保定プレート7は、止めねじ9によって後面上の保定プレート8にしっかりと接続される。止めねじ9は、プレート6の領域内に配置される。保定プレート7,8とともに、プレート6はバッテリモジュール2用の保持フレーム10を形成する。保定プレート7,8は、可能な限り重量を最小に抑えるために開口を備える。止めねじ9間に画定された(積層方向yに見られる)間隙によって、バッテリセル5が、正確な位置に、バッテリ1の寿命を通して略一定の特定のプリテンション力(初荷重)によって設置される。各プレート6と隣接するバッテリセル5との間には例えば発泡体で作られた弾性的な絶縁層6aが配置され、圧力が均等に且つ徐々に分散される。
【0023】
バッテリ1は、底面プレート11によって下方から封止されている。
【0024】
取付けフレーム10を含むバッテリ1は、ハウジング12とバッテリ1の間に冷却空気流路が形成されるように、ハウジング12内に配置される。冷却空気のフローを案内するために、図2及び4に示すように、ハウジング床面12aにフローガイド表面13を一体化する。
【0025】
各バッテリセル5は、プラスチックのケーシング14に封止され、プラスチックのケーシング14は、ほぼセルの中間平面15の領域内で短辺側5aに沿う封止目的の突出シーリングシーム16を有する。その都度スタック3,4の隣接するバッテリセル5のシーリングシーム16間には空間17が画定される。
【0026】
設置空間を節約するため、隣接配置された各バッテリモジュール2の2つのスタック3,4は、互いに対して重なり且つずれるように設置される。ずれVは、バッテリセル5の厚みDの約半分である。一方のスタック3,4のバッテリセル5のシーリングシーム16は、他方のスタック4,3の2つの隣接するバッテリセル5のシーリングシーム16によって画定された空間17内に突出する。このように、シーリングシーム16の一部を収容することによって空間17が少なくとも部分的に使用され得る。これは、構成された空間と体積エネルギー密度に対して非常に有益な効果を有する。2つのスタック3,4間のずれVは、プレート6がバッテリ1の長手方向中間平面1aの領域に段差24を形成することを意味する。
【0027】
U字形及びY字形のセルコネクタ19,20を介して接続されるセル端子18は、上方の短辺側5aでプラスチックケーシング14から突出する。セルコネクタ19,20とセル端子18との接続部は、クリンチング処理において1つ以上のクリンチ点21aを備えるクリンチ接続部21として形成され得る。これにより、複数の接続点の結果としての特に高い通電性能だけでなく、更なる構造的要素を用いずに、気密に封止された接続点と、異なる材質とのセル端子18の単純な接触(銅からアルミニウム及びその逆)による長期間の耐腐食性接続が容易になる。クリンチングによって同一のツールを用いて2つ乃至4つのシートを電気的に接続することができ、特に適切には、銅、アルミニウム、及び鋼材料の壁圧は、0.1mm乃至0.5mmである。結果、必要に応じて、クリンチング処理における付加的な作業で同時にセルコネクタ19,20によってセル端子18にセル電圧モニタリングケーブル22が接続され得る。クリンチ接続部21のクリンチ点21aの位置は例えばレーザ溶接された接続部よりも変動が可能であるため、比較的大きな公差補償能力が得られる。パラレルで多目的なツールを使用することによって、材料の壁厚や押圧などの数個の容易に制御可能な入力変数のみを伴う、より大規模な生産運転に対してより単純且つコスト効果の高い生産が可能になる。冷却空気チャネル27内に突出したクリンチ点21aによってバッテリ1の放熱表面積が増し、これは、セル端子18を直接空気冷却する場合、特別な意味を持つ。突出クリンチ点21aは、特に空気冷却の場合、乱流を増大させること、つまり熱伝達を改善することにも寄与する。結果、冷却に対するクリンチ点21aの好影響は、設置空間の効率的活用の結果として体積エネルギー密度の増加にも寄与する。
【0028】
特に良好な体積エネルギー密度を達成するためには、バッテリセル5を可能な限り近くに位置決めする必要がある。更に、隣接するバッテリセル5の熱的過負荷の際の「ドミノ効果」発生を防止するために、バッテリセル5間に可能な限り薄い熱的及び電気的な絶縁層23、例えば絶縁箔が配置される。
【0029】
それと共に、空間17は、冷却空気チャネル26,27を作り出す。空間17は、2つのスタック3,4の重なり部25の領域、即ち、バッテリ1の長手方向中間平面1aの領域に第1の冷却空気チャネル26を形成し、前記チャネルは、バッテリ1の縦軸zの方向に配置される。シーリングシーム16は、空気流のフロー案内表面及び放熱表面を形成する。縦軸zに対して及び積層方向yに対して垂直な横軸xの方向に、バッテリセル5の上側に、空間17によってセル端子18の領域には第2の冷却空気チャネル27が形成される。
【0030】
第1及び第2の冷却空気チャネル26,27は、バッテリ1を冷却するための閉冷却空気回路28の一部であり、冷却空気回路28は、少なくとも1つの冷却空気ファン29と、少なくとも1つの熱交換器30を有する。冷却空気(冷却空気ファン29及び熱交換器30から来る)は、バッテリ1の後部及び/又は上部の保定プレート9の領域又はセル端子18の領域でハウジング12内に搬入される。冷却空気は、第2の冷却空気チャネル27を通過して流れ、セル端子18及びセルコネクタ19,20を冷却する。その後、冷却空気の少なくとも一部は、縦軸zの方向に冷却空気を下方案内する第1の冷却空気チャネル26に達する。空気はバッテリ1の全空隙及び空間17を流れ、蓄積された熱が取り出される。残りの冷却空気は、バッテリ1の前側の保定プレート8とハウジング12との間を流れてハウジング12のハウジング床12aに到達し、そこでフローガイド表面13によって車両の長手方向中間平面εまで案内され、収集される。冷却空気は、次に、冷却空気ファンによって再び吸引され、バッテリ1の閉冷却回路28内に再び送り込まれる前に熱交換器30によって冷却される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11