(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063951
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】通信及び充電のためのコイルを有する埋め込み可能医療デバイスシステムのための外部充電器
(51)【国際特許分類】
A61N 1/372 20060101AFI20170106BHJP
A61N 1/378 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
A61N1/372
A61N1/378
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-541096(P2014-541096)
(86)(22)【出願日】2012年10月29日
(65)【公表番号】特表2014-533172(P2014-533172A)
(43)【公表日】2014年12月11日
(86)【国際出願番号】US2012062393
(87)【国際公開番号】WO2013070452
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2014年5月12日
(31)【優先権主張番号】61/558,601
(32)【優先日】2011年11月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/647,200
(32)【優先日】2012年10月8日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507213592
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】アガシアン ダニエル
【審査官】
井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−315209(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/093384(WO,A1)
【文献】
特表2010−536532(JP,A)
【文献】
特表2010−532700(JP,A)
【文献】
特表2009−513232(JP,A)
【文献】
特表2005−531371(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0305663(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0069992(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/372
A61N 1/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能医療デバイスシステムを作動させる方法であって、
外部充電器内のコイルから発生された充電場を用いて埋め込み可能医療デバイスを充電する段階と、
前記外部充電器内の前記コイルから外部コントローラへのテレメトリのための第1の通信リンクを確立する段階と、
前記第1の通信リンクを通じて前記外部充電器から前記外部コントローラに、前記外部充電器と前記埋め込み可能医療デバイスの間のアラインメントのレベルに関する情報を含む充電情報を送信する段階と、
前記外部コントローラのユーザインタフェースを通じて前記充電情報をユーザに伝達する段階と、
を含み、
充電する段階及び前記第1の通信リンクを確立する段階のための前記外部充電器内の前記コイルへのアクセスが、時間領域で多重化されており、
前記充電情報は、前記アラインメントのレベルに基づいて、高速データ送信モード又は低速データ送信モードに従って送信される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ユーザインタフェースは、グラフィックユーザインタフェースであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記充電情報は、該埋め込み可能医療デバイスのバッテリのステータス、該外部充電器のバッテリのステータス、及び該外部充電器又は該埋め込み可能医療デバイスのいずれかの温度、のうちの1つ又はそれよりも多くを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記充電情報は、前記外部充電器が前記埋め込み可能医療デバイスと位置合わせされていない時に、前記高速データ送信モードに従って送信されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記外部充電器と前記埋め込み可能医療デバイスの間に第2の通信リンクを確立する段階を更に含み、
充電する段階、前記第1の通信リンクを確立する段階、及び前記第2の通信リンクを確立する段階のための前記外部充電器内の前記コイルへのアクセスが、時間領域で多重化されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の通信リンク上で前記埋め込み可能医療デバイスから充電情報を受信する段階と、
前記第1の通信リンクを通じて前記充電情報を前記外部充電器から前記外部コントローラに送信する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記外部コントローラと前記埋め込み可能医療デバイスは、プロトコルを通じて通信し、
前記第1の通信リンクは、前記プロトコルに従って確立される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
埋め込み可能医療デバイスと通信するための、及び充電情報をユーザに伝達するためのユーザインタフェースを含む、外部コントローラと、
コイルを含み、該コイルが、前記埋め込み可能医療デバイスにエネルギを供給するための充電場を発生させ、かつ第1の通信リンクを通じて前記外部コントローラと通信するように構成された外部充電器と、
を含み、
前記外部充電器は、前記第1の通信リンクを通じて前記外部コントローラに、前記外部充電器と前記埋め込み可能医療デバイスの間のアラインメントのレベルに関する情報を含む前記充電情報を通信し、前記充電情報は、前記アラインメントのレベルに基づいて、高速データ送信モード又は低速データ送信モードに従って送信され、
前記外部充電器は、前記コイルに結合された同調回路を更に含み、
前記同調回路は、前記充電場を発生させるための第1の周波数と第1の通信リンクを通じて前記外部コントローラと通信するための第2の周波数とに前記コイルを同調させるように構成されている、ことを特徴とする埋め込み可能医療デバイスシステム。
【請求項9】
前記コイルは、第2の通信リンクを通じて前記埋め込み可能医療デバイスと通信するように更に構成され、
前記同調回路は、前記第2の通信リンクを通じて前記埋め込み可能医療デバイスと通信するための前記第2の周波数に前記コイルを同調させるように構成される、
ことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記充電情報は、前記埋め込み可能医療デバイスのバッテリレベルを含む、
ことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の通信リンクは、前記埋め込み可能医療デバイスと通信するために前記外部コントローラによって使用されるプロトコルを使用することを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、2012年10月8日出願の米国特許出願番号第13/647,200号及び2011年11月11日出願の米国特許仮出願番号第61/558,601号に対する優先権を主張する国際出願であり、これらの両方は、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、外部コントローラと外部充電器の間の通信リンクを有する改善された埋め込み可能医療デバイスシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
埋め込み可能刺激デバイスは、不整脈を治療するためのペースメーカー、心細動を治療するための細動除去器、難聴を治療するための蝸牛刺激器、盲目を治療するための網膜刺激器、協働する体肢運動を生成するための筋肉刺激器、慢性疼痛を治療するための脊髄刺激器、運動障害及び心理的障害を治療するための皮質及び脳深部刺激器、及び尿失禁、睡眠時無呼吸、肩関節亜脱臼などを治療するための他の神経刺激器のような様々な生物学的障害の治療のために電気刺激を発生させて神経及び組織に送出するデバイスである。以下に続く説明は、総じて、米国特許第6,516,227号明細書に開示されているもののような「脊髄刺激(SCS)」システム内での本発明の使用に着目することになる。しかし、本発明は、あらゆる埋め込み可能医療デバイスシステムに適用性を見つけることができる。例えば、開示する本発明は、米国特許公開第2007/0097719号明細書に示されているもののようなBion(登録商標)埋め込み可能刺激器、又は他の埋め込み可能医療デバイスと共に使用することができる。
【0004】
図1A及び
図1Bに示すように、SCSシステムは、典型的には、例えば、チタンで形成された生体適合性デバイスケース30を含む「埋め込み可能パルス発生器(IPG)」100を含む。ケース30は、典型的には、IPGが機能するのに必要な回路及びバッテリ26を保持するが、IPGは、外部RFエネルギによってバッテリを用いずに給電することもできる。IPG100は、1つ又はそれよりも多くの電極リード(2つのそのようなリード102及び104を示す)を通じて電極106に結合され、それによって電極106は、電極アレイ110を形成する。電極106は、各電極に結合された個々の信号ワイヤ112及び114も含む可撓性本体108上に担持される。図示の実施形態において、リード102上にはE1〜E8とラベル付けした8つの電極、かつリード104上にはE9〜E16とラベル付けした8つの電極が存在するが、リード及び電極の個数は用途に特定のものであり、従って、異なる可能性がある。リード102及び104は、例えば、エポキシを含むことができるヘッダ材料36で固定されたリードコネクタ38a及び38bを用いてIPG100に結合される。SCS用途では、電極リード102及び104は、典型的には、患者の脊髄内の硬膜の右側と左側に埋め込まれる。次に、これらのリード102及び104は、IPG100が埋め込まれる臀部のような離れた場所まで患者の肉体を通って進められる。
【0005】
図3の断面図に示すように、IPG100は、典型的には、プリント回路基板(PCB)16を含む電子基板アセンブリ14をPCB16に装着されたマイクロコントローラ、集積回路、及びコンデンサーのような様々な電子構成要素20と共に含む。IPG100内には、外部コントローラ12にデータを送信し、かつそこからデータを受信するのに使用されるテレメトリ(遠隔測定)コイル13、及び外部充電器50を用いてIPGのバッテリ26を充電又は再充電するための充電コイル18という一般的に2つのコイルが存在する。テレメトリコイル13は、図示のように、IPG100のヘッダ36内に装着することができる。
【0006】
図2は、外部コントローラ12及び外部充電器50の平面図であり、
図3は、これらの外部デバイスを断面図にかつそれらが通信するIPG100に関連付けて示している。手持ち式プログラミング器又は臨床医のプログラミング器のような外部コントローラ12は、IPG100にデータを送信し、かつそこからデータを受信するのに使用される。例えば、外部コントローラ12は、IPG100が患者に与えることになる治療を指定する治療設定値のようなプログラムデータをIPG100に送信することができる。更に、外部コントローラ12は、IPGのステータスに関して報告する様々なデータのようなIPG100のデータの受信機として作用することができる。
図3に示すように、外部コントローラ12も、IPG100と同様に、外部コントローラ12の作動を制御するための電子構成要素72が配置されたPCB70を含む。外部コントローラ12は、バッテリ76によって給電されるが、例えば、外部コントローラ12を壁のコンセントに接続することによっても給電することができる。外部コントローラ12内には、テレメトリコイル73も存在し、このコイルに対しては下記で更に解説する。
【0007】
外部コントローラ12は、典型的には、携帯コンピュータ、セル電話、又は他の手持ち式電子デバイスに使用されるものと類似のユーザインタフェース74を含む。ユーザインタフェース74は、典型的には、患者又は臨床医が治療プログラムをIPG100に送信し、かつIPG100から報告されるあらゆる関連情報を概観することを可能にするタッチ可能ボタン80及びディスプレイ82を含む。
【0008】
IPG100と外部コントローラ12の間の無線データ転送は、好ましくは、誘導結合によって行われる。これは、典型的には、論理「0」ビットが第1の周波数(例えば、121kHz)で変調され、論理「1」ビットが第2の周波数(例えば、129kHz)で変調される公知の「周波数シフトキーイング(FSK)」プロトコルを用いて行われる。そのような通信を実施するのに、IPG100及び外部コントローラ12の両方は、それぞれコイル13及び73を有する。いかなるコイルも送信機又は受信機として機能することができ、従って、2つのデバイスの間の双方向通信が可能になる。
図4を参照すると、データを外部コントローラ12からIPG100に送信すべき場合(FSKリンク170)には、コイル73が交流(AC)で励磁され、それによって磁場が発生し、この磁場は、IPGのテレメトリコイル13内に電圧を誘導する。発生した磁場は、転送されるデータに従ってFSK変調(120)される。次に、コイル13内の誘導電圧をIPG100においてテレメトリデータ信号にFSK復調(125)することができる。IPG100から外部コントローラ12への反対方向のデータテレメトリ(FSKリンク172)も同じく行われる。誘導結合によるこの通信手段は経皮的なものであり、すなわち、患者の組織25を通じて行うことができる。
【0009】
外部充電器50は、IPGのバッテリ26を充電(又は再充電)するのに使用される。具体的には、外部コントローラ12と同様に、外部充電器50は、磁気充電場(174)を生成するために、充電回路によって非変調AC電流を用いて励磁されるコイル88を含む。この磁場は、IPG100内の充電コイル18内に電流を誘導し、この電流は、DCレベルに整流され(132)、恐らくは図示のように充電及びバッテリ保護回路134を通じてバッテリ26を再充電するのに使用される。磁気充電場の周波数(例えば、80kHz)は、FSKテレメトリに使用されるもの(公称で125kHz)とは異なる場合がある。上述の場合のように、この方式の電力の誘導結合は経皮的に行われる。
【0010】
IPG100は、負荷シフトキーイング(LSK)変調回路126を用いてデータを外部充電器50に通信し戻す(176)ことができる。LSK変調回路126は、IPGのマイクロコントローラ150から外部充電器50に送信し戻されるデータを受け入れ、次に、このデータを用いて充電コイル18のインピーダンスを変調する。図示の図では、インピーダンスは負荷トランジスタ130の制御によって変調され、トランジスタのオン抵抗が必要な変調を与える。このインピーダンス変化は、外部充電器50内のコイル88に反射して戻され(LSKリンク176)、外部充電器50は、LSK復調回路123において反射を解釈し、送信データを回復する。IPG100から外部充電器50にデータを送信するこの手段は、バッテリレベル、充電が完全であり、外部充電器が終了することができるか否か、及び他の関連充電変数のようなIPG100内のバッテリ26の充電に関するデータを通信するのに有利である。しかし、LSKは反射原理に基づいて機能するので、そのようなデータは、外部充電器50が作動中であり、磁気充電場(174)を生成している期間中にしかIPG100から外部充電器50に通信することができない。
【0011】
図3に示すように、一般的に、外部充電器50は、少なくとも1つのプリント回路基板90と、外部充電器50の作動を制御する電子構成要素92と、充電器50に対して作動電力を供給するためにかつ磁気充電場の生成のためのバッテリ96とを含む。外部コントローラ12と同様に、外部充電器50は、患者又は臨床医が充電器50を操作することを可能にするためにユーザインタフェース94を有する。一般的に、ユーザインタフェース94は、磁気充電場の生成を始動する作動/停止スイッチ95と、作動/停止スイッチ95のステータスを示すためのLED97と、様々な時点で「ビープ音」を出すためのスピーカ98とを含む。例えば、スピーカ98は、充電器50のコイル88が、IPG100内の充電コイル18と良好なアラインメントにないことを充電器50が検出した場合にビープ音を発生させる。アラインメント情報は、当業技術で公知のアラインメント回路103によって識別し、外部充電器252に対して示すことができる。IPG100が患者の臀部に埋め込まれるSCS用途では、一般的に、外部充電器50は、患者の背後に位置決めされ、ベルト又は接着剤パッチによってIPG100との良好なアラインメントで患者の皮膚又は衣服に対して保持され、それによって充電中に患者に何らかの可動性が許される。
【0012】
以上の説明から理解されるように、一般的に、外部充電器50のユーザインタフェース94は、外部コントローラ12のユーザインタフェース94よりも単純である。そのようなユーザインタフェースの単純性は、少なくとも2つの理由から理解することができる。第1の理由は、外部充電器50が提供する充電機能の相対的な単純性である。第2の理由は、外部充電器50が使用される時に、外部充電器50は、患者に対して見ることができないので、複雑なユーザインタフェース、特に視覚態様を有するものは正当性がない場合があるということである。例えば、SCS用途では、少し前に解説したように、一般的に、外部充電器50は、臀部に埋め込まれたIPG100と正しく位置合わせするために患者の背後に存在することになる。外部充電器50は、この位置では見ることができなくなり、従って、ディスプレイ又は他の視覚インジケータを有する外部充電器50のユーザインタフェース94を設けることは利益が疑わしいものになる。更に、外部充電器50は、衣服によって覆われる場合があり、ここでも、ユーザインタフェースに対するいかなる視覚態様の効用は低下する。
【0013】
外部充電器50のユーザインタフェース94の単純性は理解することができるが、本発明者は、依然としてそのような単純性を残念に思う。外部充電器50の操作が比較的単純であるとはいえ、スピーカ98などを通じた可聴手段によって提供する充電過程に関するいくつかの情報は、非実用的又は不可能である充電情報が患者に対して関心の高いものであるという事実は動かしがたい。
【0014】
例えば、外部充電器50とIPG100の間のアラインメント、IPGのバッテリ26のステータス、すなわち、バッテリ26がどのレベルまで充電されているか、充電がどれ程長く掛かるか、外部充電器のバッテリ96のステータス、又は外部充電器50又はIPG100のうちのいずれかの温度に関するある程度の情報をユーザが有することが望ましい場合がある。温度情報は、安全上の理由から把握することが特に重要である場合があり、この情報は、外部充電器内の熱電対101及びIPG内の熱電対(図示せず)によって供給することができる。誘導充電は、外部充電器50とIPG100の両方を加熱することができ、温度が過度に高い場合には、損傷又は組織破損がもたらされる可能性がある。そのような充電情報の重要度にも関わらず、ユーザインタフェース94は、そのような情報をユーザに提示しない。
【0015】
これらの欠点を解消する1つの手法は、2009年6月2日に出願され、その全部が引用によって本明細書に組み込まれている米国特許公開第2010/0305663号明細書(「‘663公報」)に開示されている。
図5に示すように、‘663公報は、外部充電器50と外部コントローラ12の間に、これらが互いに通信することができるようにRF通信リンク210を設ける。RF通信リンク210は、外部コントローラ12内のRF送受信機202及びRFアンテナ202aと、外部充電器50内の対応するRF送受信機200及びアンテナ200aとによって可能になる。リンク210は、好ましくは、「Bluetooth(登録商標)」準拠のリンク又はZigbee(登録商標)、WiFiのような他の適切なRF通信プロトコルを含む。
【0016】
外部充電器50及びIPG100は、外部コントローラ12に送信することができる少し前に上述したパラメータのような様々な充電情報を発生させることができ、これらの充電情報は、上述したようにより高度で見やすい外部コントローラ12のユーザインタフェース74によって概観し、かつ制御することができる。例えば、ユーザは、RF通信リンク210を用いて外部充電器50からの関連充電情報を概観することができる。バッテリ26のステータス及び温度のようなIPG100からの関連充電情報は、LSKリンク176を通じて外部充電器50に送信し、次に、RF通信リンク210を通じて外部コントローラ12に送信することができ、又はFSKリンク172を通じて外部コントローラ12に直接送信することができる。
図6は、そのような充電情報232を自体のディスプレイ82上に表示する外部コントローラ12のユーザインタフェース74を示している。充電情報がこのようにして提示される前に、最初にこれらの充電情報の何らかの処理が外部コントローラ12において行われる場合がある。
【0017】
‘663公報のシステムは、望ましい多様性を提供するが、本発明者は、いくつかの欠点に気付いている。例えば、システムは、送受信機200及び202、アンテナ200a及び202aのような付加的なハードウエア構成要素を外部充電器50に追加する。この付加的なハードウエアは、電力及び経費に関してコストを加算し、システムに複雑さを追加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第6,516,227号明細書
【特許文献2】米国特許公開第2007/0097719号明細書
【特許文献3】米国特許公開第2010/0305663号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
これらの欠点を考慮すると、埋め込み可能医療デバイスの技術は、患者に関連充電情報を提供するための改善された手段から利益を得ることになり、本発明の開示は解決法を提示する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】従来技術の埋め込み可能パルス発生器(IPG)と電極アレイがIPGに結合される方式とを示す図である。
【
図1B】従来技術の埋め込み可能パルス発生器(IPG)と電極アレイがIPGに結合される方式とを示す図である。
【
図2】従来技術のIPGと通信する外部コントローラ及び外部充電器の平面図である。
【
図3】
図1及び
図2の外部コントローラ、外部充電器、及びIPGの断面図、並びにこれらのデバイスの間の通信関係を示す図である。
【
図4】従来技術の外部コントローラ、外部充電器、及びIPGに存在する通信回路を示す図である。
【
図5】従来技術の外部コントローラ、外部充電器、及びIPGに存在する通信回路を示す図である。
【
図6】従来技術の外部コントローラのユーザインタフェース、及びこのインタフェースが充電情報を如何にして表示することができるかを示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に従って外部コントローラと外部充電器とが外部充電器の充電コイルを使用することによって通信リンクを確立する改善されたシステムを示す図である。
【
図8】本発明の実施形態による
図7の外部充電器の更なる詳細を示す図である。
【
図9A】本発明の実施形態による
図7のシステムの外部充電器と外部コントローラとIPGとの間の時間領域多重通信を示す図である。
【
図9B】本発明の実施形態による
図7のシステムの外部充電器と外部コントローラとIPGの間の時間領域多重通信を示す図である。
【
図9C】本発明の実施形態による
図7のシステムの外部充電器と外部コントローラとIPGの間の時間領域多重通信を示す図である。
【
図9D】本発明の実施形態による
図7のシステムの外部充電器と外部コントローラとIPGの間の時間領域多重通信を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に続く説明は、脊髄刺激(SCS)システム内での本発明の使用に関するものである。しかし、本発明は、そのように限定されないことを理解しなければならない。限定されるのではなく、本発明は、いかなる種類の埋め込み可能医療デバイスシステムにおいても使用することができる。例えば、本発明は、埋め込み可能センサ、埋め込み可能ポンプ、ペースメーカー、細動除去器、蝸牛刺激器、網膜刺激器、協働する体肢運動を生成するように構成された刺激器、皮質及び脳深部刺激器を使用するシステム、又は様々な病状のうちのいずれかを治療するように構成されたあらゆる他の神経刺激システムに対して使用することができる。
【0022】
外部コントローラとインプラントの間の通信を実施するのに使用される通信プロトコル(例えば、FSK)を用いて外部コントローラ及びIPGと通信することができる改善された外部充電器を含む改善された医療埋め込み可能デバイスシステムを開示する。修正された外部充電器は、通常通りインプラントを充電し、更にシステム内の他のデバイスと通信するために、外部充電器の充電コイルを使用する。従って、外部充電器には、上述のプロトコルに従って作動する送受信機回路が設けられ、外部充電器は、必要に応じて通信又は充電に対してコイルを同調させるための同調回路を更に含む。外部充電器内の充電コイルへの通信アクセス又は充電アクセスは時間多重化される。本発明の開示のシステムは、必要に応じて補正アクションを講じることができるユーザが充電情報を概観することができるように、充電情報を外部コントローラのユーザインタフェースに供給することを可能にする。システム内のデバイス間で通信を同期及び調整するための手法を更に開示する。
【0023】
図7は、IPG100と、改善された外部充電器252と、改善された外部コントローラ254とを含む改善されたシステム201の実施形態を開示している。外部充電器と外部コントローラの間でデータを通信するために別々のアンテナ及び送受信機回路を使用するこれまでに公知の手法とは異なり、改善されたシステム201は、データを外部コントローラ254にリンク251を通じて通信するために、外部充電器252内の充電コイル88を使用する。好ましくは、リンク251は、外部コントローラ254とIPG100の間の通信リンク170及び172、例えば、FSKによって使用されるものと同じプロトコルに従って作動する。更に、外部充電器252内のコイル88はFSK準拠のものであるので、このコイル88は、IPG100とFSKリンク266を通じて更に通信することができる。このようにして外部充電器50をFSK準拠のものにすることにより、外部充電器50に対する僅かな変更しか必要とされず、外部コントローラ254又はIPG100のいずれに対してもハードウエア変更を必要としない。更に、下記で見ることができるが、システム201内のこれらのデバイスの間の通信柔軟性を改善することにより、充電情報を外部コントローラ254に容易に送信することが可能になり、そのようなデータを処理して、外部コントローラのユーザインタフェース74に提示することができる。
【0024】
システム201内の従来の通信は、影響を受けないままに留まる。従って、外部コントローラ254とIPG100は、FSKを用いてデータリンク170及び172を通じて依然として通信することができる。外部充電器252は、磁気充電場(174)をIPG100に依然として供給することができる。更に、IPG100は、外部充電器252にLSKを通じて依然としてデータを通信し戻すことができ、従って、外部充電器252は、
図7には示していないが、必要に応じてLSK復調回路123(
図4)を含むことができる。理解されるように、外部充電器252とIPG100の間で通信するためのFSKリンク266の好ましい使用を考えると、システム201内では、LSKテレメトリの必要性は低いか又は全くない。
【0025】
外部充電器252は、
図7ではFSK変調回路265とFSK復調回路256とを含むように修正されている。FSK変調器回路265及びFSK復調器回路256は、外部コントローラ254のFSK変調器回路120及びFSK復調器回路121と類似のものとすることができる。外部充電器252は、充電とFSKテレメトリの両方に対して適切にコイル88を同調させるための同調回路253を更に含む。
【0026】
図8は、外部充電器252をより詳細に例示している。同調回路253は、充電コンデンサーCch259と、データコンデンサーCdt257と、外部充電器のマイクロコントローラ144から発せられる制御信号K1によって制御されるスイッチ258とを含む。スイッチ258とCch259との直列結合部は、Cdt257と並列接続される。スイッチ258は、外部充電器252がテレメトリを行う又はデータを受信するのに使用される場合の開/オフ位置、及び外部充電器252がIPG100を充電するのに使用される場合の閉/オン位置という2つの位置のうちの1つを取ることができる。スイッチ258がテレメトリ中にオフ状態にある場合には、Cch259はコイル88から切断され、FSKテレメトリに適する周波数、例えば、125kHzで共振するコイル88とCdt257とによって形成された直列共振タンク回路をもたらす。スイッチ258が閉であると、Cch259がCdt257と並列で現れ、コイル88と直列にある有効キャパシタンスを増加し、周波数を充電に適するもの、例えば、80kHzに下げる。
【0027】
外部充電器252内のマイクロコントローラ144は、充電又はテレメトリのいずれが行われているかに基づいて、適切な時点で充電回路122と送受信機回路255を更に制御する。例えば、マイクロコントローラ144は、データテレメトリ中又は外部充電器252が着信データ送信を聴取している期間中には、充電回路122が送受信機回路255に負荷又は影響を及ぼさないように、充電回路122をオフにするか又は高インピーダンス状態に置くことができる。同様に、マイクロコントローラ144は、充電中に送受信機回路255が充電回路122に負荷又は影響を及ぼさないように、送受信機回路255をオフにするか又は高インピーダンス状態に置くことができる。図示してはいないが、制御信号K1はまた、充電回路122及び送受信機回路255に外部充電器がどのモード(テレメトリ又は充電)で作動しているかを通知し、かつこれらのモジュールが適切に応答するように、これらのモジュールによって受け入れることができる。
【0028】
外部充電器252は、外部コントローラ254とのデータ通信を実施することができるが、その主要目的は、IPG100を充電することである。外部充電器252によって外部コントローラ254との通信に費やされる時間は、IPG100を充電しない時間であり、それによってより長い充電時間がもたらされる可能性がある。従って、理解されるように、外部充電器252は、IPG100を充電するのに費やされる時間量を最大化し、必要時に断続的にしか外部コントローラ254又はIPG100と通信するために充電を中止しないように設計される。
【0029】
外部充電器252は、外部コントローラ254とテレメトリデータを通信する段階とIPG100を充電する段階との間で、高速データ送信モード及び低速データ送信モードという2つの作動モードを用いて交替することができる。高速データ送信モードは、外部充電器252が、外部コントローラ254にほぼ実時間の充電情報を提供することを必要とする場合に特に有利である。高速データ送信モードの一例は、外部充電器252が、IPG100に対する外部充電器252の位置に関してユーザに通知するためにアラインメントデータを供給することを必要とする場合である。ユーザが、必要に応じて外部充電器252を再配置する迅速な補正アクションを取ることができるように、そのような情報は、外部コントローラ254のディスプレイ82上に比較的迅速に表示することが望ましい。それとは対照的に、バッテリレベル、又は初期の良好なアラインメントが提供された後のアラインメント情報のような他の充電情報は、外部コントローラ254においてそれ程迅速に提示する必要はなく、その代わりにこれらのデータは、外部コントローラ254に、より少ない頻度である程度の待ち時間を伴い、あまり充電を妨害しない低速データ送信モードでアップロードすることができる。
【0030】
図9A〜
図9Dは、システム201の作動を更に説明するためのタイミング図を示しており、少し前に上述したデータ送信モード、並びに外部充電器252と外部コントローラ254とIPG100の間の通信をもたらす他の手段に関して詳細に解説する。これらの図に示すタイミングは、外部充電器252、外部コントローラ254、及びIPG100それぞれの内部にあるマイクロコントローラ144、142、及び150のプログラミングによって実施及び制御することができる。
図9A〜
図9Dに示す様々な通信は、FSKにより、外部充電器252と外部コントローラ254の間のFSKリンク251、又は外部充電器252とIPG100の間のリンク266のいずれかを通じて行われることに注意しなければならない。外部充電器252内のコイル88への時間多重アクセス又は時分割アクセスと、充電回路122、FSK送受信機回路255、及び同調回路253の適切な有効化とは、上述したように行われると考えられる。
図9A〜
図9Dに示す様々な期間におけるタイミングを各図の下部に示すが、これらのタイミングは、単に非限定的な例である。タイミングは、正確な縮尺に示していない場合がある。
【0031】
図示のシステム201の例では、外部コントローラ254は、外部充電器252よりも優位であり、充電器をオン又はオフにするか、又は必要に応じて充電器に情報を要求することなどによって外部充電器252を制御することができる。外部充電器252によって生成される充電場(
図7の174)はFSK通信と干渉する可能性があるので、上述の手法で通信を調整することは有利である。従って、外部コントローラ254が、外部充電器252又はIPG100のいずれかと通信することが望ましい場合には、充電器が、充電場の生成を一時的に休止することができるように、コントローラはその事実を充電器に通知する。
【0032】
その結果、外部充電器252は、
図9Aで開始するように示す外部充電器254からの通信を定期的に聴取しなければならない。
図9Aでは、外部充電器252は、充電場を供給する通常の従来システムにおいて行う場合と同じく作動している。従って、患者は、充電場を生成してIPG100内のバッテリ26を充電するために外部充電器252を始動する。そのような充電は、例えば、190msの継続時間にわたって続くことができる充電期間CF401中に行われる。これらの期間CFの合間には、外部充電器252が
図9Aでは現在作動していない外部コントローラ254からのテレメトリを聴取する聴取窓LW407が散在する。聴取窓LW407の継続時間は、一例では10ms長とすることができ、この長さは、充電場の継続時間と比較して小さい。従って、聴取窓LW407は、IPG100内のバッテリ26を充電するのに必要とされる全体時間を増大するが、そのような中断は小さく、一般的に患者が気付くことはない。
【0033】
図9Aの右側の充電期間CFの不在によって示すように、最終的に、患者は、外部充電器252をオフにすることができ、又は充電器は、バッテリ26が完全に充電された通知を受けた(例えば、LSKテレメトリにより)時にその通常作動に従って充電を休止することができる。この時点で、外部充電器252は、電源停止(低電力又は休止)状態にあるが、依然として外部コントローラ254からのテレメトリを定期的に聴取する。外部充電器252内の比較的大きいバッテリ96(
図3)を考えると、充電器を電源停止状態に保持するのは適切である。外部充電器252がもはや充電場を生成しなくなると、電力を節約するために聴取窓LW407の合間の間隔を大幅に拡大することができる。更に、IPG100は、従来システムにおいて行うのと同様に、聴取窓415中にテレメトリ要求に関して更に終始聴取し続けている。
【0034】
図9Bは、先に解説した種類の充電情報を受信するための外部コントローラ254の使用を示している。外部コントローラ254に充電情報を提供する段階は、患者が、例えば、
図6に示すようなそのような情報を概観するための適切なメニューにアクセスした時のような外部コントローラ254の作動中のいずれかの適切な時点で開始することができる。この開始が如何にして又はいつ起こるかに関わらず、外部コントローラ254は、リンク251(
図7)に沿って外部充電器252に最初の指令TC1を送信し、それによってコントローラと充電器の間の「ハンドシェーク」手順が実際に始まる。この開始以前に、外部充電器252は電源停止状態にあった場合があり、又は
図9Bの左に期間401の周囲の点線に示すように既に充電場を供給していた場合もある。電源停止状態であった場合には、すぐ以下で見ることができるように、外部コントローラ254は、外部充電器252が充電場を生成し、従って、関連の充電情報を提供することができるように、時間と共に外部充電器252を始動することになる。
【0035】
この最初の指令TC1は、充電器252からの確認応答AK306を要求し、外部充電器252に更に別の指令に関して聴取を開始するように警告する。一般的に、TC1の継続時間は、図示の例におけるLW407aのような外部充電器の聴取窓LWのうちの1つと重なる程十分に長く、窓LW407中にTC1を完全に受信することができることを確実にするために繰り返される。TC1指令は、一例では、外部充電器252によって認識可能な19バイトの警告コードと、充電器252のデバイスIDを含む3バイトと、1バイトの指令(この場合に、確認応答を要求する)と、2バイトのエラー検査コード(例えば、巡回冗長検査(CRC)データ)とを含むことができる。デバイスIDは、IPG100、又は何らかの他の外部充電器、又は他の外部デバイスではなく、外部充電器252であるシステム内の正しいデバイスが応答することになることを確実にする。
【0036】
外部充電器252は、指令TC1を受信して確認応答AK306を用いて受信を通知し、確認応答AK306は、継続時間RX303中に外部コントローラによって受信される。AK306は、充電情報を含むステータス情報をデフォルトで含むことができ、又はそのような情報は、後のハンドシェーク後に着信させることができる。次に、外部コントローラ254は、外部充電器252がIPG100を充電するための充電場を依然として供給していない場合には、充電場を生成するように外部充電器252に命令する別の指令TC2を送信する。TC2は、少し前に説明したTC1と類似のフォーマットのものとすることができる。外部充電器252は、聴取窓407b中に指令TC2を受信し、送信RP307で応答を行う。外部充電器252は、時に長めの指令TC2を受信することになることを認識しているので、LW407bは、他の聴取窓よりも長くすることができる。RP307は、指令の受信を
継続時間RX304中に受信されるように外部コントローラ254に通知し、ここでもまた、何らかのステータス情報を含むことができる。
【0037】
先に上述したように、外部充電器252は、高速データ送信モード又は低速データ送信モードで作動させることができ、この作動モードは、一例では、外部充電器252とIPG100の間のアラインメントレベルに基づいて決定することができる。
図9Bに提供している例では、外部充電器252は、少し前に説明した方式で外部コントローラ254とのハンドシェークを終えると、デフォルトとして高速データ転送モードで作動を開始する。この作動は、外部充電器252がIPG100と既に良好に位置合わせしている場合であっても、すなわち、外部充電器252がIPG100に既に充電場を供給している(
図9A)ならば非常に可能性が高いアラインメント回路103が既に十分なアラインメントを示す場合であっても好ましい。アラインメントが既に十分であるか又はアラインメントが迅速に達成される場合には、以下に説明するように、システムは、高速データ転送モードには長くは留まらないことになる。
【0038】
高速データ送信モードでは、外部充電器252は、各々が比較的等しい継続時間を有する期間CF’402とSX403の間で交替する。期間CF’402中には、外部充電器252は、コイル88において磁気充電場を生成することによってIPG100を充電し、状態SX403では、アラインメント回路103から供給されるアラインメント情報、及び恐らくは上述の他の充電パラメータのような充電情報を外部コントローラ254に送信する。外部コントローラ254は、外部充電器252からのSX転送に対応する期間RX’305中にこれらの情報を受信する。外部コントローラ254は、受信したアラインメント情報から外部充電器252が高速データ
送信モードで作動しているか否かを推測することができ、それに応じて状態SX中のデータ転送が同期化されるように受信期間RX’305を適切な時点にスケジューリングすることができる。代替的に、SX送信は、特別に外部充電器252のデータ転送モードの指示を含むことができる。
【0039】
外部コントローラ254において充電情報が受信された状態で、充電情報は、必要に応じて処理を施し、ユーザの概観に向けてディスプレイ82デバイスに転送することができる。CFとSXとの間で比較的迅速に交替することにより、外部充電器252は、ほぼ実時間のアラインメント情報をユーザに提供し、それによってユーザが、IPG100に対して外部充電器252をより良好に位置決めされるように試みる迅速な応答アクションを取ることが可能になる。高速データ
送信モード中には、IPGバッテリ26の充電は2倍遅くなるが、このモードは長く続くはずはなく、バッテリ26は依然としてある程度充電されている。
【0040】
最終的に、ユーザは、外部コントローラ254をIPG100に位置合わせすることができることになり、
図9Bでは、これを時点312に示している。この時点で、外部充電器252と外部コントローラ254の間の高速データ
送信モードを終えることができ、低速データ送信モードに入る。しかし、図示の例では、これらのデバイスは、数秒程度とすることができるアラインメントを微調整するユーザによるいずれかの付加的な移動を考慮して、期間405中に高速データ送信モードで作動し続ける。期間405中には、良好なアラインメントが定着し、最終的に高速データ転送モードを離れることができることを確実にするために、アラインメント回路103を外部充電器252によって検査し続けることができる。期間405の後に、外部充電器252は、低速データ
送信モードに入り、外部コントローラ254は、SXに関して聴取を行うのを停止し、従って、受信期間RX’305はもはや存在しない。上述の場合のように、外部コントローラ254は、受信したアラインメント情報に基づいて、外部充電器252がいつ高速データ転送モードを離れたか、及び期間405がいつ終わったかを把握することになる。
【0041】
期間405の後に、外部充電器252は、少し前に上述したように低速データ
送信モードに入り、これを
図9Cに例示している。低速データ送信モードでは、外部充電器252は、期間CF401中にIPG100を充電し続けるが、外部コントローラ254からのいずれかのテレメトリに関して定期的に聴取窓LW407中に聴取を行い続ける。更に、外部充電器252は、IPG100にそのバッテリレベル及び温度のような関連充電情報を要求する。最終的に、外部充電器252は、IPGの充電情報を外部充電器の充電情報と共に外部コントローラ254に向けてパッケージ化することになる。
【0042】
IPG充電情報を取得する段階は、外部充電器252が指令TI1をIPG100にリンク266(
図7)に沿って送信することによって行われる。一般的に、TI1の継続時間は、図示の例におけるLW415aのようなIPGの聴取窓LWのうちの1つと重なる程十分に長く、窓LW415中にTI1を完全に受信することができることを確実にするために繰り返される。TI1指令は、一例では、外部コントローラ254から外部充電器252に送信される指令(
図9B)と同様に、19バイトの警告コードと、IPG100のデバイスIDを含む3バイトと、ステータス情報を要求する1バイトの指令と、2バイトのエラー補正コード(例えば、CRC)とを含むことができる。
【0043】
TI1指令を受信すると、IPG100は、必要とされるIPG充電情報を含む応答RP439を送信する。この応答439と外部充電器252における受信426との同期は、IPG100がいかなるデータももはや受信しなくなるまで、すなわち、指令TI1の終了が感知される時までIPG100に聴取窓を延長させることによって確実にすることができる。外部充電器252は、IPG100から受信した充電情報をメモリに格納することができる。外部充電器252は、格納された充電情報を更新するために、繰返しIPG100に照会を行うことができる。簡易化のために、外部充電器252とIPG100の間のデータ転送は、外部コントローラ254と外部充電器の間に使用されるハンドシェーク/確認応答/応答型の手法を実施するのではなく、例示するこの方式で行うことが好ましいが、より複雑なこの手法を使用することもできる。IPG100から充電情報を受信した後に、外部充電器252は、充電場期間CF401と聴取窓407とを散在させ続けることによってIPG100を充電する段階に戻ることができる。
【0044】
最終的に、外部コントローラ254は、外部充電器252に充電情報を要求することになるが、システム201は、この時点では低速データ送信モードで作動しているので、この要求は、より間欠的に、例えば、10秒程度でしか行われない場合がある。充電情報を転送するために、外部コントローラ254は、聴取窓LW407c及び407dと重なる指令TC3及びTC4を外部充電器252に送信する。このハンドシェーク及びデータ交換は、指令TC1及びTC2に関して上述したものと同様であり、従って、ここではそのような詳細を繰り返すことはしない。いずれにせよ、外部充電器の応答432は、外部充電情報とIPG充電情報の両方である充電情報をRX421中に外部コントローラに供給する。ここでもまた、この送信は、より低速ではあるが、外部コントローラ内のディスプレイ82を関連充電情報で更新するのに十分なほど迅速に行われる。この後、外部充電器252は、ここでもまた、充電(401)及び聴取(407)を続けることができる。
【0045】
低速データ送信モード中のいずれかの時点で、外部充電器252がIPG100と位置合わせしなくなった場合には、それは、外部充電器252内のアラインメント回路103によって報告されることになり、最終的に、外部コントローラ254に報告されることになる。それに従って外部コントローラ254は、
図9Bに関して上述したように、指令TC1及びTC2を用いて高速送信モードを再度開始することができる。
【0046】
図9Dは、外部コントローラ254が、その従来機能の場合と同様にIPG100とデータを通信することを必要とする場合の外部充電器252の制御を示している。この制御は、例えば、患者がIPG100によって施される治療を変更しようと試みる場合に行うことができる。この関連において、外部コントローラ254は、現在、患者がIPGバッテリを充電するように外部充電器252を操作しているか否かを必ずしも把握していない可能性がある。上述したように、外部充電器252によって生成される充電場は、外部コントローラ254とIPG100の間のFSK通信と干渉する可能性がある。従って、外部コントローラ254とIPG100の間の通信中に充電場を作動させるのは得策ではない。この問題を回避する1つの手法は、外部コントローラ254とIPG100の間の通信を開始する前に外部充電器252を手動で遮断するようにユーザに警告することであろう。しかし、この警告は、ユーザに対して付加的な作動負荷を与えてしまう。
【0047】
図9Dは、IPG100との通信の前に、外部コントローラ254が、外部充電器252に遮断するように命令し、次に、必要に応じて、すなわち、充電器が既に作動していた場合に、作動状態に戻すように命令することになる手法を示している。外部コントローラ254は、外部充電器252の作動を自動的に遮断するので、外部コントローラ254とIPG100の間の通信を開始する前に、ユーザが充電を手動で中断させる必要はもはやない。それによってユーザによる作動がかなり簡単になり、同時に干渉が存在しないことが確実にされる。好ましい実施形態において、外部コントローラ254は、充電器252がその時点で従事していないことを理由に行うことが不要である場合であっても、IPG100と通信する前には、外部充電器252を休止させるための少なくとも1つの指令を必ず送信する。
【0048】
図9Dでは、外部コントローラ254は、期間500中に外部充電器252の作動を休止させ、期間501中にIPG100と通信し、期間502において充電を再開する(必要に応じて)。期間500において、外部充電器は、充電を休止させるための指令TC5及びTC6を外部充電器に送信し、この送信は、上述の指令TC1及びTC2(
図9B)と同じ方式で行われる。外部充電器252は、応答331において充電を休止したことを確認することができる。外部充電器252がその時点で充電に携わっていない場合には、外部充電器252は、そのことを応答331において外部コントローラ254に更に通知することができる。外部充電器252が全く存在しない場合に、例えば、外部充電器252が患者から分離し、通信到達範囲外にある場合には、外部コントローラ254において確認応答AK327は受信されず、外部コントローラ254は、期間501中にIPG100との通信を単純に開始することができる。
【0049】
図9Dの期間500は、外部コントローラ254が充電場401を遮断することしか示していないが、外部充電器252がIPG100に対して実施しているいずれかの作動を停止させるために類似の命令TC5及びTC6を使用することができることを理解しなければならない。例えば、外部充電器252が、IPG100に充電情報を要求する過程にあった場合に(
図9Cの指令TI1によって示すように)、外部コントローラ254は、外部充電器252とIPG100の間のあらゆるFSK通信を外部コントローラ254がIPG100と通信を行おうと望む時間にわたって自動的に停止させることになる。
【0050】
期間501において、外部コントローラ254は、指令TI2及びTI3、並びに既に解説した種類のハンドシェーク手順を用いてIPG100と通信する。代替的に、外部コントローラ254とIPG100の間の通信は、従来システムにおいて行われるいずれかの方式で行うことができる。一般的に、外部コントローラからIPG100に送信される指令は、外部コントローラ254がIPG100に送ろうと望むいずれかの情報を表している。そのような情報は、ステータス照会、起床メッセージ、電源停止メッセージ、刺激オン/オフ、刺激パルスのレベル又は振幅、刺激パルスの継続時間又は周波数、作動される電極の選択等に関連する可能性がある。外部コントローラ254は、これらの情報をIPG100が理解することができる適切な指令(TI2及びTI3のような)にコンパイルすることになる。当然ながら、指令の正確なフォーマットは、IPG100の種類に対応することになる。外部コントローラ254とIPG100の間の通信は、IPG100から外部コントローラ254に送信される情報を含むことができる。そのような通信の2つの例を期間501におけるメッセージAK及びRPを用いて示している。
【0051】
これらの通信が完了した状態で、外部コントローラ254は、期間502中に外部充電器252に充電を開始するように再度命令することができる。ここでもまた、この命令は、指令TC7及びTC8、並びに既に解説したハンドシェーク手順を用いて行うことができる。しかし、充電を再開するための指令TC7及びTC8を出すことは必ず必要であるわけではない。例えば、確認応答327の欠如又は応答331内での充電なしの指示に基づいて明らかになる外部充電器252が充電場を生成していなかった場合には、外部コントローラ254は、充電を再開する指令を期間502中に送信する段階を割愛することができる。実際に、この割愛は、外部充電器252の望ましくない従事を防止するのに好ましい場合がある。代替的に、いかなる場合にも充電を再開するための指令TC7及びTC8を送信することを無害とすることができ、外部充電器252が範囲外にある場合には、そのような指令が前と同じく単純に認識(352)されないことになり、外部充電器252が予め充電に携わっていなかった場合に、例えば、充電器がユーザによって始動されていなかった場合に、外部充電器252は、これらの指令を単純に無視することを選択することができる。外部充電器252が充電に携わっていた場合には、外部充電器252は、応答356において充電の再開を外部コントローラ254に確認通知することができ、上述の方式で外部コントローラ254に充電情報を提供し続けることができる。
【0052】
簡略化のために
図9Dには示していないが、指令TC7及びTC8は、外部充電器252にデフォルトの高速データ送信モードに入ることを命令することができることを理解しなければならない。これは、上述したように高速モード中により良く対処される問題である外部充電器252が期間501中に休止されている間にそれが位置合わせしなくなる可能性をここでもまた回避するのに有益であると考えられる。
【0053】
充電情報を外部コントローラ254に供給する関連で解説したが、外部充電器252、並びにそれがサポートするFSKリンク251及び266への修正によって与えられる通信柔軟性は、システム201における他の有益な使用に付加することができることを認識しなければならない。従って、本発明の開示を上述の関連への適用に限定すべきではない。
【0054】
本発明の特定の実施形態を図示して説明したが、以上の解説は、本発明をこれらの実施形態に限定するように意図したものではないことを理解しなければならない。当業者には、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変形及び修正を加えることができることが明らかであろう。すなわち、本発明は、特許請求によって定められる本発明の精神及び範囲に収まると考えられる代替物、修正物、及び均等物を網羅するように意図している。
【符号の説明】
【0055】
25 患者の組織
100 埋め込み可能パルス発生器
174 磁気充電場
252 外部充電器
254 外部コントローラ