(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高分子材料が、SIBS材料、シリコーンゴム、ポリオレフィンポリマー、ポリウレタンポリマー、アクリルポリマー、フルオロポリマー、ポリアミドポリマー、ヒドロゲルポリマー、生物学に基づく構造、軟質ポリマー発泡体材料、多孔質ポリマー材料、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項13に記載のキット。
前記スロットが前記導管の一部に沿って延びており、前記導管を位置決めするために、前記スロットの近位端に隣接してタブが配置されている、請求項15に記載のキット。
前記機器が、前記ニードル本体から近位側に配置された平刃部分を有しており、前記平刃部分は、前記平刃部分の両側に配置された2つのカッティング面を有している、請求項1に記載のキット。
前記器具は、SIBS材料、シリコーンゴム、ポリオレフィンポリマー、ポリウレタンポリマー、アクリルポリマー、フルオロポリマー、ポリアミドポリマー、ヒドロゲルポリマー、生物学に基づく構造、軟質ポリマー発泡体材料、多孔質ポリマー材料、及びこれらの組み合わせから成る群から選択された高分子材料から実現された単一の成形部分である、請求項20に記載の器具。
【背景技術】
【0002】
緑内障は、高い眼内圧(intraocular pressure: IOP)の形で現れる進行性眼病である。房水の流出が妨げられることにより、眼内に高い圧力が生じる。開放隅角緑内障の場合、流出の妨げの原因は前房の排出系の異常にある。閉鎖隅角緑内障の場合、流出の妨げの原因は、排出系への房水のアクセスが妨げられることにある。眼内の圧力が極めて長い期間にわたって著しく高いままである場合、完全に失明する。従って、緑内障は予防可能な失明の主要原因である。
【0003】
図1に示されているように、眼10は中空構造であり、前房20は房水と呼ばれる透明な流体を含有する。房水は、後眼房9に隣接する毛様体12によって形成される。ほぼ一定の速度で形成される流体は次いで水晶体14の周りを通過し、虹彩18内の瞳孔開口を通り、そして前房20内へ入る。前房20内に入ると、流体は2つの異なる経路を通って眼10から排出される。ブドウ膜強膜経路では、流体は毛様体12の筋繊維間に浸透する。この経路は人間における房水流出のほぼ10パーセントを占める。人間における房水流出のための主要な通路は、細管経路を通るものである。細管経路は小柱網(図示せず)及びシュレム管24を伴う。
【0004】
小柱網及びシュレム管24は虹彩18と強膜26との接合部に配置されている。典型的には隅角と呼ばれるこの接合部には符号28が付けられている。小柱網は、眼の周囲に沿って延びている楔形構造である。小柱網は三次元の篩様構造を成して配列されたコラーゲン梁から成っている。梁は小柱細胞と呼ばれる細胞のモノレイヤーでライニングされている。コラーゲン梁間の空間は、小柱細胞によって生成される細胞外物質で満たされている。これらの細胞はまた、細胞外物質を分解する酵素を生成する。シュレム管24は小柱網に隣接して配置されている。小柱網の外壁はシュレム管24の内壁と一致する。シュレム管24は、角膜の周囲に沿って延びる管様構造である。成人の場合、シュレム管は隔壁によって一連の自立した行き止まり管(dead-end chanal)に分割されると考えられる。房水は、小柱網の小柱梁間の空間を通り、シュレム管24の内壁24を横切って管内に入り、シュレム管24からの排出を行う一連の捕集チャネルを通って、上強膜静脈系(図示せず)内に入る。
【0005】
強膜26として知られる強靱な外膜が、角膜34によって覆われる部分を除く眼10の全てを覆っている。角膜34は、瞳孔開口及び虹彩18を覆う薄い透明膜である。角膜34は輪部32と呼ばれる接合部で強膜26と合体する。強膜26の一部は、テノン膜36と呼ばれる(テノン嚢とも呼ばれる)薄い組織によって覆われている。テノン膜は眼球を視神経(視神経)から毛様体部分まで包囲する。テノン膜36は前面では結膜30と合体し、ここで図示の眼の毛様体領域に結合される。
【0006】
健常患者の場合、房水生成量は房水流出量に等しく、眼内圧はほぼ一定のままである(典型的には8〜18mmHg)。緑内障の場合、房水流出に対する異常抵抗があり、これはIOPの上昇という形で現れる。トノメトリー法によりIOPが測定される。最も一般的な緑内障形態である原発性開放隅角緑内障の場合、異常抵抗は、小柱網の外面及びシュレム管24の内壁に沿って生じると考えられる。原発性開放隅角緑内障は全ての緑内障のほぼ85パーセントを占める。他の緑内障形態(例えば閉鎖隅角緑内障及び続発性緑内障)も、細管通路を通る房水流出量の減少に関与するが、抵抗の増大は他の原因、例えば機械的閉塞、炎症性破片、細胞閉塞によるものである。
【0007】
抵抗の増大に伴って、房水は十分に迅速に出ることができないため蓄積する。房水が蓄積されるのに伴って、眼内のIOPは上昇する。IOPが上昇すると、これは視神経内の軸索を圧縮し、また、視神経への血管供給を損なうおそれもある。視神経は視覚を眼から脳へ伝える。過剰なIOPからの損傷を他の眼よりも受けやすい眼があるように思える。高い圧力から神経を保護する方法が研究されつつはあるものの、緑内障において目下のところ利用可能な治療アプローチは眼内圧を低減させることである。
【0008】
緑内障の臨床治療は典型的には段階的に行われる。薬物療法が第1の治療選択肢となる場合が多い。薬物が局所的又は経口投与されると、これらの薬物の働きにより房水生成量を低減するか、又は流出量を増大させる。1つの種類の薬物が奏功しない場合には、患者は第2の薬物、次いで第3の薬物及び第4の薬物をしばしば投与される。4種の別個の薬物療法を緑内障患者に施すことは珍しいことではない。目下のところ利用可能な薬物は、鬱血性心不全、呼吸困難、高血圧、鬱病、腎結石、再生不良性貧血、性的不全、及び死亡を含む多くの深刻な副作用を有する。加えて、種々の薬物中の保存料は、角膜の根底にある内皮細胞に損傷をもたらすことが知られている。このような損傷は角膜混濁の形で現れることがある。さらに、保存料は結膜の特徴を変化させ、このことは付加的な濾過問題を招くおそれがある。薬物療法の遵守も大きな問題であり、推測によれば、緑内障患者の半分超が正しい投薬計画に従わず、これにより進行性失明に至るおそれがある。
【0009】
薬物療法がIOPを十分に低減することができないときには、レーザー小柱形成術がしばしば実施される。レーザー小柱形成術ではレーザーからの熱エネルギーを小柱網内の複数の不連続なスポットに印加する。レーザーエネルギーは、小柱細胞の代謝を何らかの形式で刺激し、小柱網内の細胞物質を変化させると考えられる。多くのパーセンテージの患者において、房水流出が増強され、IOPが低下する。しかしながら、その効果はしばしば長続きせず、かなりのパーセンテージの患者が、治療から数年以内にIOPを上昇させる。レーザー小柱形成術は典型的には繰り返すことができない。加えて、レーザー小柱形成術は、50歳未満の患者における原発性開放隅角緑内障には効果的な治療法ではなく、また閉鎖隅角緑内障及び多くの続発性緑内障にも効果的でない。
【0010】
レーザー小柱形成術がIOPを十分に低減しない場合、切開手術(典型的には濾過手術と呼ばれる)が実施される。最も一般的に行われる切開処置は小柱切除術である。小柱切除処置は、強膜内で「トラップドア(trapdoor)」を切開し、次いでトラップドアの壁内部から前房内へ孔を開けることを伴う。この孔は、流体が前房からトラップドア内へ排出され、次いでトラップドアの「扉」から結膜の下側のブレブ(bleb:水疱状の構造)内に入り、これによりIOPを低下させるのを可能にする。制御された張力下で縫合することによって、IOPを制御して低眼圧症(すなわち低IOP)を回避するのに十分な程度に、トラップドアの扉を閉じておく。この処置は正しく実施することが比較的難しく、高レベルの長期合併症を有する。縫合糸の緊張を調節してIOPをさらに制御するために、更なる介入を行うことがしばしば必要になる。
【0011】
小柱切除法が眼圧をうまく低下させないときには、次のステップ、通常は最後のステップは、緑内障排液インプラント(GDI:glaucoma drainage implant)を埋め込む外科処置である。GDIは、前房から房水を押し遣ることによってIOPを制御する。バルベルトの米国特許第6,050,970号明細書に示されているような1つのこのようなGDIは、プラスチック・プレートに一方の端部が取り付けられた排出チューブである。排出チューブは、外径1.0〜3.0フレンチ、好ましくは内径0.3mm及び外径0.6mm(1.8フレンチ)のシリコンゴム・シャントから成っている。先ず結膜30に切開部を作製し、強膜26を露出させることにより、バルベルトチューブを埋め込み、強膜と結膜/テノン膜との間の自然面を、赤道を僅かに超えるところまで切り開く。プラスチック・プレートを強膜の表面に後方で、通常は赤道上に縫い付ける。輪部32の下側で眼内に、通常はニードルを用いて全層孔を形成する。チューブをこのニードル路を通して眼内に挿入する。チューブの外側部分は、死体強膜、又は他の同等の組織で覆われることによって、結膜を介した侵食からチューブを保護する。結膜30を元に戻し、切開部をきつく閉じる。このシャント器具を用いると、房水はチューブを通って前房から排出され、プレートの表面に沿ってブレブ内に入る。ブレブは、プレート及びチューブをカプセル封入する結合組織の薄層として定義される。プレートは典型的には、流体をウィッキングさせ分散させるために、大きい表面積を有している。この表面積は直径20mmもの広さであり得る。流体は、ブレブ内に蓄積すると、ブレブの組織を通して吸収されて強膜の静脈系内へ流入するか、又は眼の表面に進んでそこで蒸発するか涙管内に集まることができる。これらのプレートは概ねシリコーンゴムから形成されている。シリコーンゴムは最終的にブレブの結合組織によってカプセル封入されるようになる。これらの大きなカプセル封入型プレートは或る患者には不愉快である。
【0012】
現在承認されているGDIのうちのいくつかは、IOPを制御して低眼圧を回避するために、眼の前房内に入るチューブの弁機構を含んでいる。加えて、前述のバルベルト弁を含む多くのGDIは、器具の周りにカプセルが形成される前の急性期における低眼圧を防止するために、これらのチューブを結紮させた状態にする。結紮縫合糸は1ヶ月以内にレーザーで切断するか又は溶解させる。
【0013】
現在のGDIの、第2、第3、又は第4のGDIが必要となる前の有効半減期は埋め込みから2〜5年である。現在のGDIのサイズは嵩高なので、眼内に3つの器具しか入る余地がない。第4の器具が埋め込まれることは稀にしかない。現世代のGDIの問題点は下記の通りである:
−眼球運動に障害が生じ、結果としてものが二重に見えること(複視)。
−低眼圧(網膜剥離を招くおそれのある低IOP)になること。
−結膜の侵食及び感染、並びに侵食を防止するために死体強膜を使用する高い関連コスト。さらに死体強膜は米国外で得ることが難しく、いくつかの宗教では死体組織を使用することを禁止している。
−プレートのカプセル封入が難しく、このことは適切な流体濾過を妨げ、IOP制御の不良を招く。
【0014】
小柱切除法及びGDIの実施の難しさ、並びにこれらの関連する病的状態が、本発明と同じ譲受人の米国特許第7,431,709号;同第7,594,899号、及び同第7,837,644号の各明細書に記載された新規の緑内障排出インプラントの開発をもたらした。上記明細書は参照することにより本明細書中に全体的に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書中、「遠位」という用語は一般に、患者の眼に向かう方向、又はシステム/装置/器具の使用者から離れる方向における位置として定義される。反対に、「近位」とは一般に、患者の眼から離れる方向、又はシステム/装置/器具の使用者に向かう方向における位置を意味する。
【0023】
ここで
図2及び3を参照すると、少なくとも1つの手持ち式機器101(
図2)と、少なくとも1つの房水排出器具201(
図3)とを含む、緑内障を治療するためのキットの実施態様が示されている。機器101はニードル本体103を有している。眼組織を通して眼の前房20(
図1)内にニードル本体103を挿入することにより、組織を通って前房20内に通じる通路を画定する。ニードル本体103は、最大断面寸法(例えば
図5の直径D1)をその長さに沿って有している。ニードル本体103の近位端はハブ105に固く結合されている。ハブ105にはハンドル107が固く結合されている。ハンドル107は、所望の通りにニードル本体103を操作するために手術医の指によって把持される。安全のためにニードル本体103にニードルカバー109を被せることができる。ニードル本体103は中空孔(又は場合によっては中実の孔)を有することができる。ハブ105及びハンドル107は、よく知られているように管内部に嵌め込まれたプランジャを含むシリンジ体によって実現することができる。管内に溶液を装填して、プランジャを手で操作することにより中空孔付きニードル本体103を通してこの溶液を送り込むことができる。加えて、特に患者の鼻がニードル・ハンドルの邪魔になるときに、ニードル本体を曲げてより望ましい形状にすることにより、ニードル路を正確に配置することができる。
【0024】
房水排出器具201は、前房20から房水を迂回させるためのダクト205を画定する可撓性チューブ203を含んでいる。チューブ203は、互いに反対側の近位端207と遠位端209とを有している。遠位端209は、ニードル本体103によって形成された、前房20に通じる通路内への挿入を容易にするテーパされたプロフィールを有することができる。チューブの外面211は、ニードル本体103の最大断面寸法(例えば
図5の直径D1)よりも小さな最大断面寸法(例えば
図7の外径D2)を有している。器具201はまた第1及び第2のタブ又はフィン231A,213Bを含んでいる。タブ又はフィンは、チューブ203の近位端207及び遠位端209から離間されている。タブ231A,213Bは、チューブ203の両側で互いに反対側にチューブ203の外面211を超えて半径方向外側に向かって延びている。第1及び第2のタブ231A,213Bは、ほぼ平面的な形状であり、
図3において最良に示されているように、チューブ203の中心軸に対して横方向に延びる共通平面内に位置している。タブ231A,213Bのほぼ同一平面上の形態は、眼の強膜に対して平らに置かれたときに、器具のプロフィールを最小限にすることによって、器具の侵食及び移動を低減する。第1及び第2のタブ231A,213Bは、図示のチューブ203の中心軸をの周りに反映された互いの鏡像であり得る。タブ213Aは外縁部215Aを画定し、タブ213Bは外縁部215Bを画定する。外縁部215Aと外縁部215Bとの間の最大距離は、ニードル本体103の最大断面寸法(例えば
図5の外径D1)よりも大きい。第1及び第2のタブ231A,213Bは、ニードル本体103によって画定された通路内部に動作可能に配置されており、これらの相対寸法は周囲の眼組織をタブ231A,213Bと直接に接触させることにより、周囲の組織とタブ231A,213Bとの間にシールを形成する。シールは、タブ231A,213Bによって画定された器具の周囲全体を取り囲み、チューブ203と周囲眼組織との間の空間を通って房水が漏れるのを防止する。ニードルで画定された通路は、鋭利なナイフ及び関連する刺創を用いることによって、強膜区域内で広げることもできる。この拡大部分は、ニードルによる通路画定の前又は後に形成することができる。タブ231A,213Bは、これらが周囲組織によって加えられた力に応じて、通路内に挿入されるのに伴って通路内で変形することができ、且つ/又は周期組織は、タブ231A,213Bが通路内に挿入されるのに伴って(圧縮/延伸/薄化によって)変形することができる。このような変形は、通路の断面寸法(ニードル本体103又は刺創によって形成される)に対するタブ231A,213Bの最大断面寸法、並びに、タブ231A,213Bの材料の硬さによって制御される。タブ231A,213Bはまた、器具201を通路内の所定の位置に固定し、近位方向及び遠位方向の両方向における器具201の移動を最小限にするように作用する。
【0025】
タブ231A,213Bの外縁部215A,215Bは、
図3に最良に示されているように、遠位端209に面した、テーパされたプロフィールを有することができる。このテーパされたプロフィールは、ニードル本体103によって形成された通路内へのタブ231A,213Bの導入を容易にする。
【0026】
タブ231A,213Bは、
図3に最良に示されているように、チューブ203の中心軸に対して横方向に、そして中心軸から離れる方向で、半径方向(すなわちタブの共通平面の方向)にテーパするそれぞれのプロフィールを有することができる。
【0027】
チューブ203の外面211は、ニードル本体103の最大断面寸法よりも小さな最大断面寸法(例えば外径D2)を有している。例えば、最大断面寸法0.4mmのニードル本体103に対して、外面211の外径D2は0.4mm未満(例えば0.35mmオーダー)であってよい。1実施態様の場合、チューブ203のダクト205は直径0.05mm〜0.15mmの単純な一定の直径のルーメンである。この小さなダクト直径は、チューブ203を通る房水流量を制限し、そして1方向弁、又はチューブを通る房水流量を制限する他の構造(例えばフィルタ)を必要とすることなしに、IOPを制御するのを可能にする。より具体的には、ダクト205の直径が、単独でダクト205を通る房水流量を制御し、ひいては患者のIOPを制御する。好適なダクト直径は、房水の生成速度、及び患者の自然の排出経路の目詰まりの程度に応じて患者間で変化してもよく、ひいては所望の通り医師によって選択されることができる。
【0028】
1つの実施態様の場合、本明細書中に記載されているような、少なくとも1つの手持ち式機器101(
図2)と、少なくとも1つの房水排出器具201(
図3)とを含むキットの機器が、1つ又は2つ以上の容器、例えば
図4に示された器具トレイ401内に収容されている。器具トレイは、手術医が必要に応じて機器に容易にアクセスするのを可能にする。機器トレイ401は、低廉であり、また単回使用を目的として容易に使い捨てにするのに適した材料(例えば熱可塑性材料)から実現されることができる。使い捨てではない用途に適した他の材料(例えばステンレス鋼など)を使用することもできる。キットは、種々異なる直径のニードル本体を備えた複数の手持ち式機器101(
図2)、及び/又は、種々異なるサイズのチューブ・ダクト及び/又はタブを有する複数の房水排出器具201(
図3)(例えば、キットの機器101の多様なニードル本体直径に対応する種々異なるタブ・サイズを有する複数の器具201)を含むことができる。加えて、穿刺切開を達成するために、種々異なる直径のナイフ(後で
図18A及び18Bに関して論じる)をキット内に含むことができ、また測定器具、薬物、薬物を付与するためのスポンジ、測定器具、マーカー、シリンジ、濯ぎ液、トロカール、及びインサータなどを含むこともできる。
【0029】
ニードル本体103によって形成された、前房20に通じる通路内に器具201を配備するためにインサータを使用することができる。器具201のタブ213A,213Bを収容する1つ又は2つのスロットを有する、米国特許第7,431,709号、同第7,594,899号、及び同第7,837,644号の各明細書に記載されたものと同様の装置によってインサータを実現することができる。或いは、インサータは、下記スタイレット及び/又はトロカール器具によって実現されることもできる。このような実施態様では、インサータは、トレイ401内に収容された機器キットの一部であってよい。
【0030】
図5は、ニードル本体103の模範的実施態様の寸法を示している。この模範的実施態様では、ニードル本体103の外径D1は0.4mm(すなわち27ゲージ)である。他の好適な外径D1は0.4mm(すなわち27ゲージ)〜0.635mm(すなわち23ゲージ)であってよい。ニードル本体103を望ましい形状に曲げた状態で提供することにより、もしも曲げていなければ患者の鼻が邪魔になる角度でニードルが眼内に挿入されることを可能にすることもできる。
【0031】
図6及び7は、
図5のニードル本体103と一緒に使用するための房水排出器具201の模範的実施態様の寸法を示している。チューブ203の長さは8.5mmである。ダクト205の直径は0.07mmである。外面211の最大断面直径(直径D2)は0.35mmである。これはニードル本体103の外径D1よりも小さい。タブ213A,213Bは、チューブ203の遠位端209から4.5mmの間隔を置いて設けられ、そしてチューブ203の近位端207から3mmの間隔を置いて設けられている。タブ213A,213Bはほぼ平面的な形状であり、チューブ203の中心軸に対して横方向に延びる共通平面内に位置している。タブ213A,213Bは、図示のチューブ203の中心軸の周りに反映された互いの鏡像である。第1及び第2のタブ213A,213Bは最大厚が0.35mm(すなわちチューブ203の外径D2)オーダーであり、チューブ203の中心軸に対して平行な長手方向の寸法が1mmであり、そして縁部215A,215B間の最大断面寸法が1.1mmである。他の設計の場合、縁部215A,215B間の最大断面寸法は0.9mm〜1.5mmであってよい。このような最大断面寸法は、
図5のニードル本体103の外径D1である0.4mmよりも著しく大きい。
【0032】
図8〜14Bは、埋め込み可能な房水排出器具のタブのための別の設計を示す。
図8の設計の場合、タブ213A1,213B1は、チューブ203の中心軸に対して横方向に、半径方向にテーパしたプロフィールを有している。テーパされた半径方向のタブ面は平らな形体217から延びている。
図9の設計の場合、タブ213A2,213B2は、チューブ203の長手方向の延びに沿って配置された三角形の楔形ボディ219の部分である。楔形ボディ219の近位側の壁221A,221Bは、チューブ203の中心軸に対して横方向に向いている。これは、機器101によって形成された通路から近位方向にチューブ203が移動するのを低減することを助けることを意図している。
図10の設計の場合、タブ213A3,213B3は、チューブ203の中心軸に対して横方向に向いた近位側の壁223A,223Bを有している。これは、機器101によって形成された通路から近位方向にチューブ203が移動するのを低減することを助けるために意図されている。
図11の設計の場合、タブ213A4,213B4はそれぞれ、湾曲した楔形形態を有している。
図12Aの設計の場合、タブ213A5,213B5及びチューブ203は所定の曲率半径の角部を有する菱形の断面プロフィールを画定する(具体的にはこの菱形プロフィールは、チューブ203の中心軸に対して横方向に、そして中心軸から離れる方向で、半径方向にテーパする)。タブ213A5,213B5のテーパ面は、図示のようにチューブ203の環状面から延びている。
図12Bの設計の場合、タブ213A6,213B6は、図示のように半円形端部を有する長円形の断面プロフィールを画定している。或いは、タブ213A6,213B8は、半楕円形端部を有する長円形の断面プロフィールを画定することもできる。
図12Cの設計の場合、タブ213A7,213B7は、楕円形の断面プロフィールを画定する。楕円の境界はチューブ203の環状面から半径方向にオフセットされていて、この環状面を取り囲んでいる。
図12Dの設計の場合、タブ213A8,213B8は、(
図12Cの楕円プロフィールと比較して)より大きい半径の楕円形の断面プロフィールを画定する。楕円の境界は、チューブ203の環状面から半径方向にオフセットされていて、この環状面を取り囲んでいる。
【0033】
図13A及び13Bの設計では、コルク様タブ213’が設けられている。このタブは、チューブ203の環状面を周方向に超えて延びている。コルク様タブ213’は、
図13Bから明らかなように円形の断面プロフィールを有している。
【0034】
図14A及び14Bの設計では、ほぼ平面状のタブ213’’が設けられている。このタブは、チューブ203の環状面を周方向に超えて延びている。ほぼ平面状のタブ213’’は、
図14Bから明らかなように長円形の断面プロフィールを有している。
【0035】
器具201のタブの外面は鈍く(鋭くなく)、図示のように丸みを帯びた形態を有することができ、ひいてはいかなるシャープな角部も縁部も回避する。タブの鈍い外面は、本明細書中に記載された周囲組織とのシールを形成するのに特に適している。
【0036】
図11の設計では、タブ213A,213B内にスリット225が形成されており、この場合スリット225は房水排出器具205のルーメン205を横断するようになっている。スリット225は、周囲組織とのシールを形成するタブ213A,213Bの部分(すなわちチューブ203の中心軸に対して最大半径方向距離に位置する、タブ213A,213Bの鈍い外縁部)よりも近位側に位置決めされている。スリット225の目的は二つある。第1には、スリット225は、房水排出器具205のルーメン205がブレブ内の組織の過剰成長によって下流側で目詰まりを起こすようになる場合に、圧力逃し弁として作用することができる。房水排出器具205のエラストマーの性質により、ルーメン205内部に圧力が形成されるのに伴って、スリット225が変形して開状態になり。房水はブレブ内に放出され、これにより前房内の圧力を低減することができる。スリット225の第2の利点は同じ目的、すなわち前房内の圧力を逃すという目的を意図的に達成することである。このような放出を生じさせるために、スリット225から下流側のルーメン205は閉じた状態でシールされ、これにより流体を強制的にスリット225を通して逃す。スリット225の長さ及び幅は、房水が逃げる圧力を制御し、低眼圧を防止するように調整することができる。房水はスリット225を通して逃げ、周囲組織とチューブ203の近位部分の外面との間の空間内に近位側で流入する。スリット225を通して逃げる流体は、チューブ203の遠位部分の狭いルーメン205並びにスリット225の両方によってその圧力を低下させられる。周囲組織とチューブ203の遠位部分の外面との間の空間内における房水の環状周囲漏れ(periannular leakage)は、タブ213A,213Bによって形成されたシールによってブロックされる。より具体的には、チューブ203の中心軸に対して最大半径方向距離に位置する、タブ213A,213Bの鈍い外縁部が、周囲組織とのシールを形成する。シールは房水のこのような環状周囲漏れを遮断する。
【0037】
房水排出器具201は均質な高分子材料から形成されることができる。1実施態様の場合、均質な高分子材料は、ポリオレフィンコポリマー材料であって、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレン(ここではSIBSと呼ぶ)を含むトリブロックポリマー骨格を有する材料である。SIBSはポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン)と呼ぶこともでき、ここでbは「ブロック」を意味する。高分子量ポリイソブチレン(PIB)はショア硬度が約10A〜30Aの軟質エラストマー材料である。ポリスチレンと共重合するときには、これはショア硬度100Dのポリスチレンの硬度までの硬度で形成されることができる。こうして、スチレン及びイソブチレンの相対量に応じて、SIBS材料はショア10Aという軟質材料からショア100Dという硬質材料までの硬度範囲を有することができる。このように、SIBS材料は、所望のエラストマー及び硬度の品質を有するように適合されることができる。好ましい実施態様では、房水排出器具チューブ201のSIBS材料は、ショア50A未満、ショア20A超の硬度を有する。SIBS材料の詳細は、米国特許第5,741,331号、同第6,102,939号、同第6,197,240号、同第6,545,097号の各明細書に示されている。上記明細書は参照することにより本明細書中に全体的に組み込まれる。房水排出器具201のSIBS材料は、カルボカチオン重合技術、例えば米国特許第4,276,394号、同第4,316,973号、同第4,342,849号、同第4,910,321号、同第4,929,683号、同第4,946,899号、同第5,066,730号、同第5,122,572号の各明細書、及びRe 34,640(上記明細書はそれぞれ参照することにより本明細書中に全体的に組み込まれる)に記載されている技術を用いて制御手段のもとに重合されてよい。コポリマー材料中のスチレンの量は好ましくは16モル%〜30モル%であり、最も好ましくは20モル%〜27モル%である。スチレン・イソブチレンコポリマー材料は、溶媒中で共重合されることが好ましい。
【0038】
上記スチレンの代わりにガラス状セグメントを使用して房水排出器具201を実現することもできる。ガラス状セグメントはエラストマーポリイソブチレンのためのより硬質な成分を提供する。ガラス状セグメントはいかなる切断可能な基も含有しないことが好ましい。切断可能な基は人間の眼内部の体液の存在において放出され、毒性副作用及び細胞カプセル化をもたらすことになる。ガラス状セグメントはビニル芳香族ポリマー(例えばスチレン、α−メチルスチレン、又はこれらの混合物)、又メタクリレートポリマー(例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ヒドロキシメタクリレート、又はこれらの混合物)であってよい。このような材料は、中央エラストマーポリオレフィンブロックと熱可塑性末端ブロックとを備えた一般的なブロック構造を有することが好ましい。このような材料は一般構造:
BAB又はABA(線状トリブロック)、
B(AB)n又はa(BA)n(線状交互ブロック)、又は
X−(AB)n又はX−(BA)n(ジブロック、トリブロック、及び他のラジアル・ブロック・コポリマーを含む)(Aはエラストマーポリオレフィンブロックであり、Bは熱可塑性ブロックであり、nは正の整数であり、そしてXは開始シード分子である)
を有している。
このような材料は、星形ブロック・コポリマー(n=3又は4以上)、又は多樹状突起状のブロック・コポリマーであってよい。ガラス状セグメントに加えて、架橋剤をポリマー中に組み込むことによりSIBSの熱硬化性バージョンを提供することができる。これらの架橋剤を組み込んだ模範的なポリマーは米国特許出願公開第20090124773号明細書に詳述されている。上記明細書はそれぞれ参照することにより本明細書中に全体的に組み込まれる。これらの材料は、SIBS材料と呼ばれる高分子材料に集合的に属する。
【0039】
本発明による房水排出器具201を提供するために、他の高分子材料を使用することもできる。模範的な材料は、眼の表面に適合することができる可撓性材料であり、その一例としては、シリコーンゴム、ポリオレフィン(ブチルゴム、ポリブタジエン、スチレン−エチレン−プロピレン−ブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン(ポリエーテルウレタン、ポリカーボネートウレタン、ポリイソブチレン又は他のポリオレフィン軟質セグメントを含有するポリウレタン、など)、アクリル(ポリアクリレート、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)など)、フルオロポリマー(PTFE、ePTFE、フルオロシリコーン、ポリ(−CH2−CF2)−、など)、ポリアミド、ヒドロゲル、生物学に基づく構造、例えばコラーゲン、エラスチンなどから成る構造及び上記全ての材料のブレンドが挙げられ、また、房水排出器具201を実現するためには軟質発泡体及び多孔質ポリマー材料を使用することができる。高分子材料は眼環境内部で生体適合性及び生体安定性を有するである。
【0040】
房水排出器具201全体は、高分子材料を成形することによって単一部分として形成されることができる。タブ213A,213Bの高分子ポリマーをチューブ203の高分子材料とは異なる材料から形成することも考えられる。これはインサート成形技術又は他の好適な熱可塑性形成技術によって達成されることができる。タブ213A,213Bの硬度はチューブ203と同じであってよく、或いは、これらはチューブ203とは異なっていてもよい。1つの実施態様の場合、タブ213A,213Bの硬度はショア30A〜ショア80Aである。
【0041】
図15をここで参照すると、遠位端209が眼の前房20内部に位置決めされ、近位端207がテノン膜36と強膜26(
図1)との間に形成された袋(pouch)300内に位置決めされるように、房水排出器具201が埋め込まれているのが示されている。袋300はテノン膜36と強膜26(
図1)との間に閉じた空間を画定する。房水排出器具201のダクト205は、前房20から袋300へ房水を押し遣る。袋300は浅いブレブを形成する。房水は隣接組織内に吸収され、最後には眼内の静脈系又は涙液膜に至るか、或いは結膜に達したら単に結膜の外側から蒸発する。
【0042】
袋300は輪部の位置又はその近くの位置から後方に向かって、眼球後部の、眼赤道の近くに又はこれを超えて延びることができる。袋300は、結膜又はテノン膜36を通して強膜表面へ切開部を形成し、次いで袋300区域にわたってテノン膜36を強膜26(
図1)から切り開き分離することによって画定される。袋のヒンジが眼の円蓋内にある場合には、このタイプの袋は円蓋基底袋と呼ばれる。ヒンジが輪部にあり、切開部が円蓋内にある場合には、このタイプの袋は輪部基底袋と呼ばれる。房水排出器具201の遠位端209は、ニードルで形成された通路を通して眼の前房20へ隅角28を介して挿入される。器具201をさらに通路内に前進させ、これによりタブ213A,213B(タブ213Aだけが
図15に示されている)が通路内に位置決めされるようにする。タブ213A,213Bの寸法は周囲の眼組織をタブ213A,213Bと直接に接触させることにより、周囲の組織とタブ213A,213Bとの間にシールを形成する。シールは、タブ213A,213Bによって画定された器具の周囲全体を取り囲み、シールはチューブ203と周囲眼組織との間の空間を通って房水が漏れるのを防止する。タブ231A,213Bは、これらが周囲組織によって加えられた力に応じて、通路内に挿入されるのに伴って通路内で変形することができ、且つ/又は周囲組織は、タブ231A,213Bが通路内に挿入されるのに伴って(延伸/薄化によって)変形することができる。このような変形は、(ニードル本体103によって形成される)通路の断面寸法に対するタブ231A,213Bの最大断面寸法、並びに、タブ231A,213Bの材料の硬さによって制御される。タブ231A,213Bはまた、チューブ203を通路内の所定の位置に固定し、近位方向及び遠位方向の両方向におけるチューブ203の移動を最小限にするように作用する。器具201の適切な位置決め後、袋300を閉じる。袋を閉じる前に抗増殖剤を装填したスポンジ、吸い取り紙、又はその他の好適なキャリアを袋300内部に入れることができる。抗増殖剤は例えばマイトマイシンC又は5−フルオロウラシル又はその代謝拮抗物質、又は、直ちに又は時間とともに放出され、結膜−強膜とテノン膜との間の線維形成を最小化するように機能し、これにより長時間にわたって袋300の構造を維持する好適な薬物又は化合物であってよい。或いは、コラーゲンスポンジ又は他の空間充填材構造又は流体を袋内に入れることにより、結膜/テノン膜と強膜との間の癒合を防止することができる。房水は前房20から器具203のダクト205を通ってシール済袋300内に流入する。シール済袋はバクテリアが器具201内に入り眼に感染するのを防止する。器具201を出てシール済袋300に入る房水は極めて浅いブレブを形成する。ブレブ流体は結膜30(
図1)に浸透して涙液中に入るか、又はそこから蒸発してよく、また流体はリンパ系、又は結膜30(
図1)に相互貫入する毛管を通って吸収されてもよい。ブレブ中に含まれる房水の一部は潜在的には、浸透性の強膜26に染みこんで、脈絡膜毛管によって吸収されてもよい。
【0043】
房水排出器具201は、下記方法を用いて、
図15に示された位置へ埋め込まれることができる。袋300は、小型鋏(Vannas鋏又は類似のもの)を使用して1つの四分円未満の切開区域内で結膜30を輪部32において切開し、そして数ミリメートルにわたって強膜26からテノン膜36を切り開いて分離することにより形成される(円蓋基底弁)。次いで歯付き鉗子で袋300の縁部をその中央で保持して、一対の鈍い鋏(Westcott又は類似のもの)の閉じた尖端を眼赤道に向かってゆっくりと押し下げ、そして開いてテノン膜36を強膜26から分離(層間剥離)する。鋏を再び閉じ、その尖端をさらに前方に向かって押し、そして再び開くことにより、テノン膜36のより大きい区域を分離する。鋏の尖端が輪部32から17〜20mm離れるまで、このプロセスを繰り返す。こうして形成された袋300は、赤道基底において輪部入口におけるよりも大きい。
【0044】
袋300は輪部32に隣接して形成されている。結膜開口部の中央にセンタリングされたマークを、鈍いキャリパを使用して、輪部縁部の2〜3mm後方に形成する。キャリパの尖端に組織用インクを使用して組織マークのコントラストを高める。ニードル本体103を備えた手持ち式機器101(
図1)を調製し、ニードル本体103の尖端を、強膜上に形成されたマークに位置決めする。ニードル本体103の尖端が隅角28を通って眼に入り、前房20内に達するような平面内でニードル本体103を押すことにより、強膜外壁と前房とを接続するように、外科的通路を構築する。このようにして、外科的通路は結膜−強膜を隅角28の近くで通過し、前房20内に達する。機器101は、薬理学的溶液、例えばエピネフリン又はリドカインを保持するシリンジであってよい。手術医は、シリンジ・ニードル本体103の遠位端を前房20内へ導入した後、シリンジから前房20内へ溶液を定量供給するように選択してよい。しばらく(例えば数秒間)待った後、ニードル本体103をゆっくりと引っ込める。房水排出器具201を
図15に示された外科的通路の位置内に挿入する。これにより遠位端209は眼の前房20内へ入り、タブ213A,213Bは外科的通路内部に位置決めされる。外科的通路内へ器具201を導入する前に、外科的通路の近位端を、鋭利なナイフ(例えば下記
図18A及び18Bのナイフ)で穿刺切開するか、又は引き抜くときにニードル本体103の鋭いエッジによって強膜への入口を切開することによって拡大することができる。このような穿刺切開は、外科的通路内への器具201のタブ213A,213Bの導入を助けることができる。或いは、外科的通路を作る前に、鋭利なナイフを使用して、浅いスリット又は刺創を強膜内に形成する。次いでニードルをスリット内に挿入し、外科的通路を輪部の下側に形成する。次いでタブ213A,213Bを上記刺創内に押し込む。タブ213A,213Bの寸法は周囲の眼組織をタブ213A,213Bと直接に接触させることにより、周囲の眼組織とタブ213A,213Bとの間にシールを形成する。シールは、タブ213A,213Bによって画定された器具の周囲全体を取り囲み、チューブ203と周囲眼組織との間の空間を通って房水が漏れるのを防止する。チューブ203の近位端207は
図15に示された袋300内に位置決めされる。器具201のタブ213A,213Bを収容する1つ又は2つのスロットを有する、米国特許第7,431,709号、同第7,594,899号、及び同第7,837,644号の各明細書に記載されたものと同様のインサータ装置から房水排出器具201を配備することができる。或いは房水排出器具201は、下記スタイレット及び/又はトロカール器具350(又は410)を使用して通路内に挿入されることができる。次いで、袋300を縫合糸304で閉じる。縫合糸の代わりに、双極性ジアテルミー凝固法、レーザー溶接、又は接着剤、例えばシアノアクリレート、フィブリン接着剤などを用いて袋300を閉じることができる。さらに、トロカールを使用して、ニードル通路を通して房水排出器具を配置するのを容易にすることもできる。
【0045】
炎症を最小限にし、手術時間を短くするために、輪部において結膜を切開することによって、袋300を形成することもできる。この切開は、切開部の1つの縁部から出発して、後方に約3mmにわたって結膜組織を切り、ひいてはフラップ・ドアを形成することにより行われる。露出された強膜内に外科的通路を形成し前房まで通した後、
図12に示されているように器具の近位端が袋300内に位置した状態で、器具201を外科的通路内に位置決めする。次いで、結膜30の無支持の縁部をその元の位置を約2mm超えた位置に並置させ、単一の縫合糸、又は単一レーザー溶接、又は一点双極ジアテルミー凝固法、又は単一接着剤ドットによって緊張した状態で保持する。輪部32に沿った結膜30の縁部は決して処理されることはなく、無傷のままにすることによって、線維形成を引き起こす組織壊死を防止する。角膜−輪部上皮細胞は創傷縁部を急速に(1時間以下)回復させ、結膜輪部をシーリングする。
【0046】
1種又は2種以上の治療薬を装填したスポンジ、吸い取り紙、又はその他の好適なキャリアを袋300内部に入れることができる。このような治療薬は、時間とともに放出され、テノン膜と強膜との間の線維形成を最小化し、これによりブレブ空間(チューブ203の近位端207を取り囲む閉じられた袋300の内部空間)の再積層及び閉鎖を防止する。治療薬は細胞増殖抑制剤(すなわち例えばDNA複製の阻害、及び/又は紡錘糸形成の阻害、及び/又は細胞移動の阻害によって細胞分裂を防止又は遅延させる抗増殖剤)、又は繊維形成又は血栓を最小化する他の物質を含むことができる。このような治療薬の例を下に記載する。
【0047】
図16は、スタイレット301を備えた房水排出器具201を示している。スタイレット301は、ニードルで形成された通路内に器具201を挿入するのを助けるために、器具201の近位部分209のルーメン205内に取り外し可能に挿入される。スタイレット301の近位端は、ピッグテール形態302で曲げられることにより、ひとたび房水排出器具が所定の位置に達したら、手術医がスタイレット301を把持してこれを房水排出器具201のルーメン205から取り外すのを可能にする。
図17が示すスタイレット301の別の実施態様の場合、スタイレットの近位端により大きなチューブ303が圧着されており、これにより把持及び取り外しを容易にする。
【0048】
図18A及び18Bは手持ち式ナイフ340であって、強膜内に刺創を形成して、強膜内に房水排出器具201のエレメントをさらに固定するために使用することができる手持ち式ナイフ340を示している。ナイフ・エッジ341の直径aは、刺創内へのタブ213A,213Bの滑り嵌めを可能にするために、器具201のタブ213A,213Bの最大断面直径よりも小さい。ナイフ・エッジ341の長さbは、寸法aとほぼ同じ寸法であってよい。
【0049】
図18Cは手持ち式機器342の実施態様である。手持ち式機器342はカッティング面344A,344Bを有する平刃部分から延びる遠位側ニードル本体343を含む。ニードル本体343は、強膜を通して通路を形成し、カッティング面344A,344Bは、手術医の手の1つの動作で、拡張された刺創を強膜内に形成する。
【0050】
ニードル本体が、ニードルで形成された通路から取り出されると、ニードル通路は楕円形になることがある(又はコラーゲン繊維が通路を横切るか、又は通路内に曲げが生じる)。その結果、通路を通して房水排出器具201を配置することが難しくなる。ニードルで形成された通路内へ強膜を通して房水排出器具201を配置することを容易にするために、裂かれたスロット351(
図19)を有する導管352を含むトロカール350を用意することができる。導管352は、ニードル本体103、並びに房水排出器具201のチューブ203を受容するようにサイズ設定されている。トロカール350をニードル本体103に被せることによって、
図20Aに示された組立体360を提供する。
図20B〜20Eはトロカール350の機能を示している。
図20Bに示されているように、ニードルで形成された通路内へ強膜を通して組立体360を挿入する。次いで、
図20Cに示されているように、ニードル本体103を組立体から取り除き、トロカール350はその位置に残しておく。次いで、
図20Dに示されているように、房水排出器具201をトロカール350を通して供給する。次いで、
図20Eに示されているように、トロカール350を取り外して、房水排出器具201をニードルで形成された通路内部に残す。器具201のチューブ203の弾性は、トロカール305を取り外すときに、チューブ203が、トロカール350のスロット351を通るように曲がって変形するのを可能にする。通路内の房水排出器具201の位置を手術医によって(例えば器具201を通路内へさらに挿入することにより)調節して、タブ213A,213Bが通路の組織壁と相互作用し、組織と器具201との間にシールを提供するようにすることができる。この位置において、タブ213A,213Bはまた、通路内に器具を固定するように作用する。
【0051】
図21は、スロット411を備えた導管を含むトロカール410の別の実施態様を示している。トロカール410は、導管412に沿って途中まで裂かれている。裂かれたスロットの蓋の一区分(例えばタブ413)は図示のようにチューブと一体のままである。導管412は、ニードル本体103、並びに房水排出器具201のチューブ203を受容するようにサイズ設定されている。ハブ415が導管412の近位端に当接した状態で、ニードル本体103にトロカール410を被せることにより、
図22Aに示された組立体を用意する。
図22B〜22Dはトロカール410の機能を示している。
図22Bに示されているように、ニードルで形成された通路内に組立体を強膜を通して挿入する。導管412とハブ415とが当接することにより、トロカール410が組織を通して挿入される時にニードル本体に沿って後方に向かってスリップするのを防止する。
図22Cに示されているように、ニードル本体103をトロカール410から取り外す。このことは、ニードル103をトロカール410から引き出すときに、鉗子でタブ413を把持することによって容易になる。ひとたびニードル本体102が取り出されたら、トロカール410を線420のところで(例えば鋏を用いて)切断し、タブ413を備えた導管412の近位部分を
図22Dに示すように廃棄する。次いで、
図20Dに関連して上述した方法と同様に、残ったトロカール部分421を通して房水排出器具201を、ニードルで形成された通路内に供給する。次いで、
図20Eに示されているように、トロカール部分421を取り外して、房水排出器具201をニードルで形成された通路内部に残す。器具201のチューブ203の弾性は、トロカール部分421を取り外すときに、チューブ203が、トロカール部分421のスロット411を通るように曲がって変形するのを可能にする。通路内の房水排出器具201の位置を手術医によって(例えば器具201を通路内へさらに挿入することにより)調節して、タブ213A,213Bが通路の組織壁と相互作用し、組織と器具201との間にシールを提供するようにすることができる。この位置において、タブ213A,213Bはまた、通路内に器具を固定するように作用する。
【0052】
本発明によって考えられる別の実施態様は、先ずニードル103を用いて輪部の下側にニードル路を形成し、次いでトロカール350又は410内に房水排出器具201のチューブ203を予め装填することである。次いで上述のように、ニードル路からトロカールを取り外す。
【0053】
図19及び21のトロカールは、剛性の低い材料、好ましくはポリイミドから形成することができる。このようなものとして機能し得る他の材料は、PEEK、PEEKEK、ポリウレタン、ポリプロピレン、高分子量ポリエチレン、ナイロン、フルオロポリマーなどである。或いは、トロカールを形成する材料は、金属(好ましくは、医療器具に使用されるよく知られた金属、例えばステンレス鋼、チタン、ニチノールなど)から形成されることもできる。主要な要件は、トロカールが組織を通して挿入されたときに、これが歪まないことである。トロカールの壁厚は0.0508mm〜0.0762mm(0.0002インチ〜0.003インチ)、好ましくは0.0254mm〜0.0762mm(0.001インチ〜0.003インチ)であるべきである。トロカールをニードルに被せる場合には、トロカールの内径はニードル本体103の直径に等しいか、又はこれよりも大きくなければならない。或いは、トロカールに房水排出器具を予め装填する場合には、トロカールの内径は、可撓性チューブ102に等しいか又はこれよりも大きくなければならない。
【0054】
高分子房水排出器具201(又はその部分)には、1種又は2種以上の治療薬を装填することができる。このような治療薬は、時間とともに放出され、テノン膜と強膜との間の線維形成を最小化し、これによりブレブ空間の再積層及び閉鎖を防止する。治療薬は細胞増殖抑制剤(すなわち例えばDNA複製の阻害、及び/又は紡錘糸形成の阻害、及び/又は細胞移動の阻害によって細胞分裂を防止又は遅延させる抗増殖剤)、又は繊維形成又は血栓を最小化する他の物質を含むことができる。このような治療薬の例を下に記載する。
【0055】
治療薬の代表例は下記のものを含む。ビスダイン(Visudyne)、ルセンチス(Lucentis)(rhuFab V2 AMD)、コンブレタスタチン(Combretastatin)A4プロドラッグ、SnET2、H8、VEGF Trap、Cand5、LS11(タラポルフィンナトリウム)、AdPEDF、RetinoStat、インテグリン、Panzem、Retaane、Anecortave酢酸塩、VEGFR-1 mRNA、ARGENT細胞シグナリング技術、アンジオテンシンII阻害薬、失明のためのアキュテイン(Accutane for Blindness)、マクジェン(Macugen)(ペジル化アプタマー)、PTAMD、オプトリン(Optrin)、AK-1003、NX 1838、Avb3及び5のアンタゴニスト、ネオバスタット(Neovastat)、Eos 200-F、及び任意のVEGF阻害薬。
【0056】
他の治療薬、例えば、マイトマイシンC、5−フルオロウラシル、コルチコステロイド(コルチコステロイドトリアムシノロンアセトニドが最も一般的である)、改質毒素、メトトレキサート、アドリアマイシン、放射性核種(例えば米国特許第4,897,255号明細書に開示されているもの。前記明細書は参照することにより本明細書中に全体的に組み込まれる)、タンパク質キナーゼ阻害薬(タンパク質キナーゼC阻害薬であるスタウロスポリン、並びにジインドロアルカロイド、及び、タモキシフェン及び機能等価物の誘導体を含む、TGF−ベータの生成又は活性の刺激物質、例えばプラスミン、ヘパリン、リポタンパク質Lp(a)又はその糖タンパク質アポリポタンパク質(a)のレベル低下又は不活性化を可能にする化合物)、酸化窒素放出化合物(例えばニトログリセリン)又はその類似物又は機能的等価物、パクリタキセル又はその類似物又は機能的等価物(例えばタキソテール又は活性成分としてパクリタキセルを含むTaxol(登録商標)を基剤とする物質)、特定の酵素(例えば核酵素DNAトポイソメラーゼII及びDANポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、アデニルグアニルシクラーゼ)の阻害薬、スーパーオキシドジスムターゼ阻害薬、末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼ、逆転写酵素、細胞増殖を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチド、血管形成阻害薬(例えばエンドスタチン、アンギオスタチン及びスクアラミン)、ラパマイシン、エベロリムス、ゾタロリムス、セリバスタチン、及びフラボピリドール及びスラミンなどを使用することもできる。
【0057】
治療薬の他の例は下記のものを含む:ペプチド又は模倣物阻害薬、例えば細胞又は周皮細胞の増殖を引き起こし得る細胞因子(例えばサイトカイン(例えばIL−1のようなインターロイキン))、成長因子(例えばPDGF、TGF−アルファ又はベータ因子、腫瘍壊死因子、平滑筋細胞及び内皮細胞に由来する成長因子、例えばエンドセリン又はFGF)、ホーミング受容体(例えば血小板又は白血球)、及び細胞外マトリックス受容体(例えばインテグリン)のアンタゴニスト、アゴニスト、又は競合的又は非競合的阻害剤を含む。
【0058】
細胞増殖に対処する薬剤カテゴリー中の有用な治療薬の代表例は、ヘパリンのサブフラグメント、トリアゾロピリミジン(例えばPDGFアンタゴニストであるトラピジル)、ロバスタチン、及びプロスタグランジンE1又はI2を含む。
【0059】
本発明の実施に適した上記の、そして数多くの付加的な治療薬のうちのいくつかが、米国特許第5,733,925号及び同第6,545,097号の各明細書に開示されている。両前記明細書は参照することにより本明細書中に全体的に組み込まれる。
【0060】
所望の場合には、例えば熱可塑性処理中にポリマー溶融物に治療薬を添加することにより、或いは溶媒に基づく処理中にポリマー溶液に治療薬を添加することにより、器具201を実現するポリマーと同時に治療薬を提供することができる。或いは、器具又は器具部分の形成後に治療薬を提供することもできる。これらの実施態様の一例としては、治療薬は、器具ポリマー及び治療薬の両方と適合性のある溶媒中に溶解することができる。器具ポリマーがせいぜい僅かだけこの溶媒中に溶解できることが好ましい。続いて、溶液を器具又は器具部分と接触させて、治療薬がコポリマー中に(例えば浸出/拡散によって)装填されるようにする。これを目的として、器具又は器具部分を溶液中に浸漬又はディッピングすることができる。溶液は器具又は構成部分に、例えば噴霧、印刷、ディップ被覆、流動床内の浸漬などによって被着することができる。続いて、器具又は構成部分を、そこに残った治療薬と一緒に乾燥させることができる。
【0061】
別の実施態様の場合、治療薬は、器具201のポリマーを含むマトリックス内部に提供してよい。治療薬は、器具201のポリマーに共有結合するか、水素結合するか、又は静電的に結合することができる。具体例としては、酸化窒素放出官能基、例えばS−ニトロソ−チオールをポリマーとの関連において提供することができる。或いはポリマーは荷電官能基を備えることにより、治療薬を対向荷電官能基に付着させることもできる。
【0062】
さらに別の実施態様の場合、治療薬は器具201(又は器具部分)の1つ又は2つ以上の表面上に沈殿することができる。続いてこれら1つ又は2つ以上の表面を上記ポリマー被膜(付加的な治療薬を含む又は含まない)で覆うことができる。
【0063】
従って、ここでの目的上、ポリマーに治療薬が「装填」されると言うときには、これは、治療薬が上述のような形式又は関連形式でポリマーと組み合わされることを意味する。
【0064】
いくつかの事例において、基体との付着にはバインダーが有用である。本発明との関連におけるバインダーに適した材料の例は、シラン、チタネート、イソシアネート、カルボキシル、アミド、アミン、アクリレート、ヒドロキシル、及びエポキシド、特定のポリマー、例えばEVA、ポリイソブチレン、天然ゴム、ポリウレタン、シロキサンカップリング剤、エチレン及びプロピレンオキシドを含む。
【0065】
器具201(治療薬を含有してもしなくてもよい)のポリマーを付加的なポリマー層(治療薬を含有してもしなくてもよい)で被覆することが有用な場合もある。この層は例えば、治療薬の拡散を遅らせ、インプラント部位に器具又は器具部分を曝露すると直ぐに薬剤のほとんどが放出されるバースト現象を防止するように、境界層として役立つ。被膜又は境界層を構成する材料は、装填されたポリマーと同じポリマーであってもなくてもよい。例えば、バリア層は、次のクラスから選択されたポリマー又は小分子であってもよい。ポリアクリル酸を含むポリカルボン酸;酢酸セルロース及び硝酸セルロースを含むセルロースポリマー;ゼラチン;ポリビニルピロリドン;架橋ポリビニルピロリドン;無水マレイン酸ポリマーを含むポリ無水物;ポリアミド;ポリビニルアルコール;ビニルモノマー、例えばEVAのコポリマー(エチレン−ビニルアセテートコポリマー);ポリビニルエーテル;ポリビニル芳香族;ポリエチレンオキシド、グリコサミノグリカン;多糖類;ポリエチレンテレフタレートを含むポリエステル;ポリアクリルアミド;ポリエーテル;ポリエーテルスルホン;ポリカーボネート;ポリプロピレン、ポリエチレン、及び高分子量ポリエチレンを含むポリアルキレン;ポリテトラフルオロエチレンを含むハロゲン化ポリアルキレン;ポリウレタン;ポリオルトエステル;タンパク質を含むポリペプチド;シリコーン;シロキサンポリマー;ポリ乳酸;ポリグリコール酸;ポリカプロラクトン;ポリヒドロキシブチレートバレレート及びこれらのブレンド及びコポリマー;ポリマー分散体、例えばポリウレタン分散体(BAYHDRIL.RTM.,など)から成る被膜;フィブリン;コラーゲン及びその誘導体;多糖、例えばセルロース、澱粉、デキストラン、アルギネート及び誘導体;及びヒアルロン酸。
【0066】
上記のもののコポリマー及び混合物も考えられる。
【0067】
上記又は他のポリマーのうちの1種又は2種以上をブロック・コポリマーに添加することによって、ブレンドで房水排出器具201(又は器具部分)を形成することもできる。一例としては下記のものが挙げられる:
− ブロック・コポリマー相のうちの1つと混和可能なホモポリマーとともにブレンドを形成することができる。例えばポリフェニレンオキシドは、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンコポリマーのスチレンブロックと混和可能である。これは、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンコポリマーとポリフェニレンオキシドとから形成された成形部分又は被膜の強度を高めることになる。
− ブロック・コポリマーのブロックと完全には混和することのできない付加ポリマー又は他のコポリマーとともにブレンドを形成することができる。付加ポリマー又はコポリマーは、例えば別の治療薬と適合性がある点、又はブロック・コポリマー(例えばポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンコポリマー)からの治療薬の放出を変化させる点において有利である。
− 器具201(又は器具部分)から浸出することができる糖(上記リスト参照)のような成分とともにブレンドを形成し、器具又は器具構成部分をより多孔質にし、多孔質構造を通る放出速度を制御することができる。
【0068】
治療薬が装填された本発明によるポリマーからの治療薬の放出速度は数多くの形式で変化させることができる。一例としては次のことが挙げられる:
− ブロック・コポリマーの分子量を変える。
− ブロック・コポリマーのエラストマー部分及び熱可塑性部分のために選択される特定成分、並びにこれらの成分の相対量を変える。
− ブロック・コポリマーを処理する際に使用される溶媒のタイプ及び相対量を変える。
− ブロック・コポリマーの多孔率を変える。
− ブロック・コポリマーに境界層を被せる。
− ブロック・コポリマーと他のポリマー又はコポリマーとをブレンドする。
【0069】
さらに、治療薬の放出を(例えば高速放出(数時間)又は低速放出(数週間)として)制御することが一見望ましいが、治療薬の放出制御は必要であるとは限らない。このような実施態様では、本明細書中に記載された治療薬物質のうちの1種又は2種以上(例えばマイトマイシンC又は5−フルオロウラシルに由来する抗増殖剤)を手術時に袋300内に注入してよい。
【0070】
眼の前房から房水を迂回させる緑内障インプラント器具、キット、及び方法、並びにこれに関連する外科的方法のいくつかの実施態様を説明し例示してきた。本発明の具体的な実施態様を説明してきたが、本発明はこれら実施態様に限定されるものではない。本発明は技術が可能にする範囲、さらに明細書が読まれる範囲と同じ広さの範囲に及ぶものとする。
【0071】
こうして、具体的な製造方法を開示してきたが、言うまでもなく他の製造方法を用いることもできる。例えば、本明細書中に記載されたコポリマー材料が熱可塑性特性を有するので、種々の標準的な熱可塑性処理技術を、本明細書中に記載した器具のために用いることができる。このような技術は圧縮成形、射出成形、ブロー成形、スピニング、真空形成、及びカレンダリング、及び押し出しによるチューブの形成などを含む。このような器具は、溶媒流延、スピン被覆、溶媒噴霧、ディッピング、繊維形成、及びインクジェット技術などに関与する、溶媒に基づく技術を用いて形成することもできる。また、房水排出器具を単純な管構造によって実現するのが好ましいが、言うまでもなく、このような構造の改作を形成してもよい。例えば、他のダクト形成構造及び形状を用いることができる。別の例では、器具は管状構造の側壁を貫通する孔を含んでいてよい。別の例では、管状構造は複数のルーメンを含んでいてよい。また、房水排出器具は単純な平面状タブ構造によって実現されることが好ましいが、言うまでもなく、このような構造の改作を形成してもよい。従って当業者には明らかなように、請求項に記載された範囲を逸脱することなしに、本発明のためにさらに他の変更形を形成することもできる。