(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子プロセッサはさらに、電子取引所で取引注文が受信されたことを知らせる受信確認メッセージを電子取引所から受信する機能を有する、請求項1に記載の取引デバイス。
電子プロセッサは、係属中の取引注文が修正可能な時点を、取引注文が市場に提供された時点である注文エントリ時点と、係属中の取引注文がトレーダによる修正が許されずそのままの状態で市場に係属することが必要とされる期間とに基づいて算出する、請求項1に記載の取引デバイス。
注文エントリ時点は、電子取引所から送られてくる受信確認メッセージに含まれる情報により知らされると共に、受信確認メッセージは、電子取引所で取引注文が受信されたことを知らせるメッセージである、請求項6に記載の取引デバイス。
推定伝送時間は、コンピューティングデバイスから電子取引所へ修正メッセージが伝送されるために必要な時間である、請求項8に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
最先修正時点を決定する機能は、係属中の取引注文の修正が電子取引所によって拒絶されずに受理される時点を算出する機能を含む、請求項8に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
注文エントリ時点は、電子取引所から送られてくる受信確認メッセージに含まれる情報により知らされると共に、受信確認メッセージは、電子取引所で取引注文が受信されたことを知らせるメッセージである、請求項13に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
コンピューティングデバイスにより、取引注文が市場に係属することが必要とされる期間の終了に基づいて修正メッセージを送信する時点を選択する機能、ここで、取引注文は、特定の価格における取引可能オブジェクトに関する注文であり、修正メッセージは、取引注文を修正する修正注文を含む、
コンピューティングデバイスにより、選択された時点で送信するために修正メッセージを準備する機能、ここで、修正メッセージは、取引注文が市場に係属することが必要とされる期間に基づいて決定される修正時点の前には電子取引所で受信されない、
を含む、方法。
修正メッセージを送信する時点を選択する機能は、取引注文を修正可能な時と、修正メッセージ伝送時間とに基づいて、修正メッセージを送信する時点を決定する機能を含む、ここで、修正メッセージ伝送時間は、コンピューティングデバイスから市場へ修正メッセージが伝送されるために必要な時間である、請求項15に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0005】
上述の図面を参照しながら実施形態の例が本明細書で説明される。
【0006】
以降の説明は、特定の例示的な実施形態を示す図面とともに読むことでより良く理解される。本発明は図面に示される装置(arrangements)や手段(instrumentality)に限定されない。
【0007】
I.概要
本実施形態は、取引注文が市場に存在することを要する期間に基づいて修正メッセージ(modification message)を知的にスロットリング(throttling)することに関する。
【0008】
電子取引システムは、取引注文が所定の期間、市場に存在することを要する電子取引所を有する場合がある(例えば取引所オーダーブックに存在することを要する)。電子取引所は、所定の期間が終了するまでは取引注文の修正を受け付けない。修正は修正メッセージを用いて行われる。修正メッセージは、既に提出された取引注文又はその一部を修正する修正注文(例えばキャンセルや変更)を含んでも良い。電子取引所は所定の期間が終了するまでに受信した修正注文を拒否するため、取引デバイスは取引注文を有効に修正するための修正メッセージを再送する。
【0009】
ある実施形態では、修正メッセージを知的にスロットリングする工程は、取引注文が市場に存在することを要する期間に基づいて、修正メッセージの送信時間を選択する工程を含む。(所定の期間が終了する前ではなく)所定の期間が終了する時又はその直後に修正注文が電子取引所に受信されることを確保するために、修正メッセージは選択された時間に送信される。結果として、修正注文は電子取引所に受け付けられ(例えば拒絶されない)、修正注文を電子取引所に再送する必要がない。
【0010】
本明細書における「1つの実施形態」、「ある実施形態」又は「例示的な実施形態」とは、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれても良いということを意味する。本明細書の各所でこれらのフレーズが使われたとしても、必ずしも同一の又は単一の実施形態を言及するものではない。さらに、別々の実施形態又は代替的な実施形態は相互に排他的な実施形態ではない。その代わりに、当業者にとって明示的又は暗示的に理解されるように、本明細書での実施形態を他の実施形態と組み合わせても良い。実施形態又はそれらの組み合わせは本特許書類の範囲内に全て含まれる。
【0011】
II.例示的な取引システム
図1は、取引デバイス104、ゲートウェイ106、ホスト電子取引システム(電子取引所)108を備える電子取引システム100のブロック図を示す。取引デバイス104およびゲートウェイ106は、ネットワーク102を介して電子取引所108に接続されている。「接続」との用語には、直接的に接続される場合や1つ以上の中間コンポーネントを通じて間接的に接続される場合も含まれる。中間コンポーネントには、ハードウェア、ソフトウェア又はその両方が含まれても良い。電子取引システム100はさらに、付加的な、異なる又はより少ない数のコンポーネントを含んでも良い。
【0012】
A.ネットワーク102
ネットワーク102は、データを送信するよう構成された通信ネットワークである。ネットワーク102は1つ以上の通信ネットワークを含んでも良い。ネットワーク102には、ハードウェア(例えばサーバ、ルータ、ゲートウェイおよびスイッチ)、ソフトウェア(例えば取引アプリケーション若しくは通信アプリケーション)、送信チャネル(例えばT1回線、T3回線若しくはISDN回線)、電気通信網(例えばデータネットワーク、コンピュータネットワーク、インターネット、広域ネットワーク若しくはローカルネットワーク)又はこれらの組み合わせが含まれても良い。
【0013】
B.取引デバイス104
i.取引デバイス104による電子取引の促進
取引デバイス104は、1つ以上の取引可能オブジェクトの電子取引(例えば買いや売り)を促進するよう構成されても良い。取引可能オブジェクトは、ある量、ある価格若しくはその両方で取引可能な、あらゆるアイテム、製品(product)又はオブジェクトである。例えば、株、オプション、債券、先物、通貨、金利、ワラント、ファンド、デリバティブ、証券、商品(commodities)、取引イベント、グッズ、インデックスベースの商品並びにこれらの収集物および/又は組み合わせのような金融商品が取引可能オブジェクトであっても良い。
【0014】
取引可能オブジェクトは、「実際(real)」又は「合成(synthetic)」であっても良い。実際の取引可能オブジェクトは、取引所によってリスト化された製品を含む。合成の取引可能オブジェクトは、取引所によってリスト化されずユーザによって定義された製品を含む。例えば、合成の取引可能オブジェクトは、クライアントデバイスを用いてトレーダによって生成される合成スプレッドのような、実際の(又は他の合成の)製品の組み合わせを含んでも良い。製品の組み合わせは、実際の(取引所にてリスト化された)組み合わせに対応しても良い(例えば、合成スプレッドや取引所にてリスト化されたスプレッド)。
【0015】
取引デバイス104は、取引注文メッセージを生成しても良い。取引注文メッセージは、取引注文を含むメッセージである。取引注文は、特定の価格にて取引可能オブジェクトを買う又は売るための注文である。取引注文には、買われる又は売られる特定の数量が含まれても良い。取引注文における正確な取引可能オブジェクト、価格および/又は数量は、取引戦略に依存しても良い。取引戦略は取引決定を行うための一連のルールである。
【0016】
例えば、ある例示では(以降「上述の例示」とする)、取引戦略は、呼値のレッグとヘッジレッグとを有するスプレッドである。この例示では、呼値のレッグは、シカゴマーカンタイル取引所(CME)にリスト化されたライト・スイート・クルード・オイル(記号はCL)の契約を価格88.65で買う注文であり、ヘッジレッグは、インターコンチネンタル取引所(ICE)にリスト化されたウェストテキサスインターミディエイト(WTI)のライト・スイート・クルード・オイル(記号はT)の契約を売る注文である。ヘッジレッグの価格は、CL契約が獲得された価格および所望のスプレッド価格に依存する。取引デバイス104は、呼値のレッグの取引注文メッセージおよびヘッジレッグの別の取引注文を生成しても良い。
【0017】
取引デバイス104は、電子取引所108に取引注文メッセージを送信することができる。例えば、上述の例示では、呼値のレッグの取引注文メッセージがCMEに送信される。呼値のレッグが約定されると、ヘッジレッグの取引注文メッセージがIMEに送信される。別の実施形態では、取引注文メッセージは複数(例えば2つ又はそれより多く)の取引注文を含んでも良い。例えば、ヘッジレッグがCMEにおける取引可能オブジェクトを含んでいた場合には、取引デバイス104は、呼値のレッグとヘッジレッグの両方を含む取引注文メッセージを生成しても良い。
【0018】
取引デバイス104は、1つ以上の取引中(working)の注文を管理する。取引中の注文とは、取引所のオーダーブックにある取引注文のことである(例えば市場にある取引注文)。管理には、取引中の注文の修正が含まれても良い。修正には、取引中の注文の全て又はその一部のキャンセル又は変更が含まれても良い。市場参加者は、取引中の注文を様々な理由により修正すべきことを決定することができる。例えば、取引中の注文をキャンセルすることで、市場にある注文の数を削減することもできる。別の例では、市場参加者がより好ましい価格が得られることを信じたときに、取引中の注文の価格を変更する。さらに別の例では、1つ以上の取引中の注文を修正することで、取引戦略の価格を獲得することもできる。例えば、上述の例では、取引デバイス104は呼値のレッグの注文の価格を変更する。
【0019】
取引中の注文の修正には、修正メッセージの生成および/又は送信が含まれても良い。修正メッセージは修正注文を含む。修正注文は、取引中の注文の全て又は一部をキャンセル又は変更する注文である。取引デバイス104は、取引戦略に沿って修正メッセージを生成しても良い。例えば、上述の例では、ヘッジレッグ契約(例えば「T」契約)の価格が変化したときに、修正メッセージを生成することで、呼値のレッグ(例えば「CL」契約)の価格を変更しても良い。これは、戦略価格を得るために行っても良い。取引デバイス104は、取引中の注文を有効に修正するために電子取引所108に修正メッセ―ジを送信しても良い。
【0020】
取引デバイス104は、ある実施形態に沿って修正メッセージを知的にスロットリングする。例えば、ある実施形態では、取引デバイス104は、取引注文が市場に存在することを要する期間に基づいて、修正メッセージの送信時間を知的に選択する。修正メッセージを選択された時間に送信することで、所定の期間が終了する前ではなく、所定の期間が終了する時又はその直後に修正注文が電子取引所に受信されることを確保する。
【0021】
ii.取引デバイス104になりうるクライアントデバイス、ゲートウェイ又はサーバ側デバイス
取引デバイス104は、市場参加者(例えばトレーダ)によって所有、操作、プログラム又は他の使用がされていても良い。取引デバイス104は、クライアントデバイス、ゲートウェイ又はサーバ側デバイスのようなコンピューティングデバイスであっても良い。これらのコンポーネントについては以降で詳細に説明する。
【0022】
ある実施形態では、取引デバイス104はクライアントデバイスである。クライアントデバイスは、パーソナルコンピュータ、自動コンピューティングデバイス、又は電子取引所108によって主催された他のコンピューティングデバイスである。ある例では、クライアントデバイスは、電子取引所108から受信される市場データ又は少なくともその一部を、表示デバイス上に表示するパーソナルコンピュータである。市場データは、インタフェースの一部として、すなわち取引画面の一部として表示されても良い。取引画面は対話形式(interactive)であり、市場参加者が電子取引に参加することを可能にする。取引画面によって、ユーザは市場データの閲覧、取引注文の提出、市場呼値の入手、市場における注文のモニタ、位置のモニタ又はこれらの組み合わせを行うことが可能であっても良い。インタフェースを提供する例示的な取引ツールとしては、アメリカ合衆国60606イリノイ州シカゴ、サウスリバーサイドプラザ222番にあるTrading Technologies International社が商業的に提供するX_TRADER(登録商標)やMD Trader(登録商標)が含まれる。別の例では、クライアントデバイスは、市場データを表示しない自動コンピューティングデバイスである。自動コンピューティングデバイスは市場データを受信して、情報を表示することなく又は市場参加者からの手動の入力を受信することなく、そのデータに基づいて動作する。
【0023】
別の実施形態では、取引デバイス104はゲートウェイである。以降で詳細に説明するが、ゲートウェイは一般的に、取引デバイス104や電子取引所108のような通信デバイス間の通信を促進するものである。しかしながら、いくつかの実施形態では、ゲートウェイはある実施形態に沿って知的なスロットリングを行う。
【0024】
さらに別の実施形態では、取引デバイス104はサーバ側デバイスである。サーバ側デバイスは、市場参加者の代わりに電子取引所108と自動的な通信を行うよう構成されるサーバであっても良い。いくつかの例では、サーバ側デバイスは、市場参加者によって定義された取引戦略に基づいて自動的な取引を行う。例えば、サーバ側デバイスは、Trading Technologies International社が提供するAutotrader(商標)やAutospreader(登録商標)などの自動取引ツールを実行するサーバであっても良い。サーバ側デバイスは、電子取引所108と併設される(物理的に隣接する又は実質的に隣接する位置に配置される)ことで、電子取引所108とサーバ側デバイス間の送信時間又は待機時間を低減又は緩和することができる。
【0025】
iii.取引デバイス104に含まれるコンポーネント
取引デバイス104は、全体的な制御を行うプロセッサを含んでも良い。プロセッサは、バスを介して、メモリ、ネットワークインタフェース、ディスプレイ、入力デバイス又はこれらのあらゆる組み合わせに接続されても良い。プロセッサは、データを処理するためのデバイス又はシステムである。
【0026】
メモリはコンピュータ読み取り可能保存媒体である。コンピュータ読み取り可能保存媒体には、各種の揮発性又は不揮発性の保存媒体が含まれる。コンピュータ読み取り可能保存媒体には、これらに限定されないが、ランダムアクセスメモリ、リードオンリメモリおよびハードディスクドライブが含まれる。メモリは、プロセッサによりアクセスされるデータを保存するように構成されても良い。例えば、メモリには、プロセッサによって実行可能な1つ以上の命令を有するソフトウェアアプリケーションが含まれても良い。ある実施形態では、ソフトウェアアプリケーションは、ある実施形態に沿って修正メッセージを知的にスロットリングするための命令を有する。ソフトウェアアプリケーションはコンピュータ読み取り可能保存媒体に保存される。
【0027】
リモートサーバのような他のソースから、ネットワークにわたるソフトウェアアプリケーションを受信することにより、コンピュータ読み取り可能媒体上にソフトウェアアプリケーションのコピーを配置しても良い。ここでのリモートサーバのような他のソースは、ソフトウェアアプリケーションのコピーを有する場合がある。さらに、取引デバイス104は、ウェブブラウザ若しくはシンクライアントを通じて、ベンダーシステム上のソフトウェアアプリケーションを受信しても良い。言い換えれば、取引デバイス104は、アプリケーションサービスプロバイダ(ASP)モデルに基づくソフトウェアを受信しても良い。
【0028】
C.ゲートウェイ106
ゲートウェイ106は、クライアントデバイス104や電子取引所108などの通信デバイス間の通信を促進する。例えば、ゲートウェイ106は、クライアントデバイス104からの取引注文を有するメッセージを受信して、そのメッセージを電子取引所108に送信する。別の例では、ゲートウェイ106は、電子取引所108からのデータ供給を受けて、そのデータ供給をクライアントデバイス104に送信する。
【0029】
ゲートウェイ106は、異なるプロトコルを使用したネットワークをインタフェース(interfacing)するために備えられたコンピューティングデバイスである。例えば、ゲートウェイ112は、クライアントデバイス104から受信した取引注文を有するメッセージの処理を行う。ゲートウェイ106はそのメッセージを電子取引所108により許容されたフォーマットに変換し、電子取引所108に送信しても良い。同様に、ゲートウェイ106は、取引所特有(exchange-specific)の形式のデータをクライアントデバイス104により認識される形式に変換しても良い。ゲートウェイ106は他のアクションを実行しても良い。例えば、ゲートウェイ106は1つ以上の電子取引所からの市場データを合体させて、クライアントデバイス104に提供しても良い。
【0030】
D.電子取引所108
電子取引所108は、電子取引のための1つ以上の取引可能オブジェクトをリスト化しても良い。電子取引所108は、取引可能オブジェクトに関する取引注文の受信およびマッチングを行うための少なくとも1つのコンピューティングデバイスを備える。例えば、
図1に示すように、電子取引所108はサーバのシステムを備えても良い。しかしながら、他の実施形態では、電子取引所108は単一のコンピューティングデバイスを備えても良い。
【0031】
電子取引所108は、契約しているクライアントデバイスに市場データを提供しても良い。市場データは、取引可能オブジェクトの市場に関連するデータを含む。例えば、市場データには、内部市場(inside market)、市場深度(market depth)、最新の取引価格および最新の取引数量が含まれても良い。内部市場は、ある時点での特定の取引可能オブジェクトの市場における、最も低い利用可能な売呼値(最良の売り)および最も高い利用可能な買呼値(最良の買い)である。市場深度は、内部市場で利用可能な数量を言及するものであり、内部市場から離れた他の価格で利用可能な数量を言及しても良い。最新の取引価格は、取引可能オブジェクトが最後に取引されたときの価格である。最新の取引数量(LTQ)は、最後に取引された数量である。市場データには他のデータが含まれても良い。
【0032】
電子取引所108は、取引デバイス104から受信した取引注文について、他の取引デバイスから受信したあるいは電子取引所オーダーブックに存在する反対側の取引注文に対するマッチングを試みても良い。受信した取引注文がマッチングできない場合には、取引注文は例えば市場参加者に代わって取引所オーダーブックに配置される。
【0033】
オーダーブックは、マッチングされていない取引注文の数量に関連するデータを有するデータベースシステムである。オーダーブックは、取引可能オブジェクトの市場に関連するデータを有する。オーダーブックを先入先出式(FIFO)マッチングアルゴリズムなどのマッチングアルゴリズムにより使用することで、反対側の買いおよび売りのマッチングを行っても良い。
【0034】
いくつかの実施形態では、待機時間(latency)および帯域幅(bandwidth)に関する懸念を最小限にするために、電子取引所108は取引注文を必要な期間オーダーブックに残す(例えば市場に存在させる)必要がある。例えば、電子取引所108での注文トラフィックは、注文を受信するとともにその注文をオーダーブックにアップデートするための処理パワーと時間を要する。待機時間や帯域幅の制限など、電子取引所にて短期間で処理されている大量の注文による影響を最小限にするために、電子取引所に送信される注文を、削除および/又は変更する前に電子取引所108に存在させる必要がある場合がある。取引注文をオーダーブックに残す必要があることには、所定期間が終了する前に取引注文を修正するための修正注文を有する修正メッセージを拒否することが含まれても良い。修正メッセージの拒否には、修正注文が拒否されたことを示す拒否メッセージの送信や、修正メッセージの無視(例えば修正注文を落とし、拒否メッセージを送信しない)、あるいは取引注文を有効に修正する修正注文を認めない他のことが含まれても良い。
【0035】
電子取引所は、オーダーブックに残すための異なる要件を有しても良い。例えば、第1の電子取引においては、取引注文がオーダーブックに250ミリ秒存在することを要し、第2の電子取引においては、取引注文がオーダーブックに350ミリ秒存在することを要しても良い。第1の電子取引は第2の電子取引と異なるものであっても良い。さらに、その要件は、電子取引所に対して利用可能な処理パワーの量、注文および取引を送信するための帯域幅の制限、オーダーブックの直近のヒストリー、予想されるオーダーブックのサイズ、取引注文のサイズ、時間、量、変動性、取引注文のパラメータ、電子取引所におけるトレーダのステータス(例えばマーケットメーカーのステータス)、関連するイベント、現在のメッセージング割合、その注文の取引戦略の複雑性およびこれらのあらゆる組み合わせなど、付加的な要因に基づくものであっても良い。
【0036】
図2は、所定の期間が終了する前に修正注文が受信されたために修正注文を拒否する電子取引所108の一例を示す。時間202において、取引デバイス104は、取引注文メッセージTOM1を電子取引所108に提出する。時間204において、電子取引所108は取引注文メッセージTOM1を受信する。時間204又はその直後において、取引注文メッセージTOM1内の取引注文が取引所オーダーブックに配置される。ここでは、例えば取引がマッチングされなかったときを仮定する。時間204は通常、取引デバイス104から電子取引所108へ取引注文TOM1を送信するのにかかる時間および取引注文TOM1を電子取引所108にて処理する時間分、時間202の後になる。
【0037】
なお、ここで示される時間は概念および/又は関係を説明するために用いられる。実際の時間は説明される概念ほど重要ではない。したがって、本明細書に記載の時間は正確な時間であってもあるいは概算であっても良い。例えば、
図2に示すように、取引注文TOM1が取引所オーダーブックに配置される時間は、時間204と同じあるいはわずかに異なっても良い(例えば実質的に同じでも良い)。この違いは、取引注文TOM1の処理の結果、および、取引所オーダーブックへの取引注文の配置に要する時間の結果として生じる場合がある。上述したように、図面は各種概念を説明することを意図している。ここでのタイミング図は、これらの違いおよび他の同様のタイミングの違いを含むことを意図している。
【0038】
電子取引所108は、取引注文メッセージTOM1にあった取引注文を所定の期間、市場に存在させるための要件を有しても良い。例えば、電子取引所108は、期間208の間、取引注文を市場に存在させることを要する。言い換えれば、取引注文は時間206まで市場に存在する必要がある。各種状況(例えば取引、注文の種類、トレーダなど)に応じて、期間208は固定された時間(例えば250ミリ秒、5秒若しくは5分)であっても良く、あるいは取引の前に電子取引所108によって決定又は設定されても良い。
【0039】
取引注文メッセージTOM1の受信および取引所オーダーブックへの取引注文の配置の際に又はその直後において、電子取引所108は確認(acknowledgement)Ack1を送信する。確認Ack1は、取引注文メッセージTOM1の受領を知らせるために取引デバイス104に送信されるメッセージである。確認Ack1は、取引デバイス104が取引注文TO1を後で明確に参照できるように、取引注文メッセージTO1にある取引注文を識別する識別子(例えば数字)を有しても良い。
【0040】
確認Ack1を受信すると(あるいは受信後のある時点で)、取引デバイス104は電子取引所108に修正メッセージMM1を送信しても良い。修正メッセージMM1は時間210で電子取引所108に送信され、時間212において電子取引所108に受信される。しかしながら、時間212は期間208の中にある(すなわち時間206にまだ到達していない)。よって、電子取引所108は修正メッセージMM1を拒否するとともに、拒否メッセージRej1を取引デバイス104に送信する。拒否メッセージRej1は、修正メッセージMM1が拒否されたことを示すメッセージである。拒否メッセージRej1を受信すると、取引デバイス104は修正メッセージMM1を電子取引所108へ再送信する。修正メッセージMM1は時間206の後である時間216で受信されるので、電子取引所108は修正メッセージMM1を受け付けるとともに、取引注文TO1を修正する(例えば取引注文TO1をキャンセルする)。
【0041】
図2に示されるプロセスによれば、追加の不必要なメッセージの送信を要する可能性がある。取引デバイス104は、取引注文の変更を有効にするために、修正メッセージMM1を2回送信する。これにより、取引デバイス104が電子取引所108に送信するメッセージの数が増加する。当業者であればこれによって、取引デバイス104および/又は電子取引所108の処理負荷が増加するおそれがあることを理解する。メッセージおよび送信の数が増加するため、システムを操作するのに必要な帯域幅の要件も効果的に増加する。
【0042】
さらに、
図2に示されるプロセスによれば、要件に基づいて取引注文は最初に修正可能となる時まで不必要で長い期間、市場に残されるため、市場参加者は付加的なリスクに曝される。例えば、期間218において、取引注文TO1は修正可能であった。しかしながら時間216まで修正メッセージは受信されない。
【0043】
III.修正メッセージのスロットリング
本明細書に記載の各種実施形態は、取引注文が市場に存在することを要する期間に基づいて、修正メッセージを知的にスロットリングすることに関する。例えば、ある実施形態では、修正メッセージのスロットリングには、取引注文が市場に存在することを要する期間に基づいて修正メッセージの送信時間を選択する工程と、期間が終了する時又はその(前ではなく)直後に電子取引所に修正注文が受信されることを確保するように、選択された時間に修正メッセージを送信する工程とを含む。
【0044】
図3は、様々な装置(例えば取引デバイス104)、システム、コンピュータプログラム、コンピュータ読み取り可能媒体およびこれらの組み合わせなどによって実行可能な方法300を示すフローチャートである。方法300は、ある実施形態に基づいて1つ以上の修正メッセージを知的にスロットリングするために用いることができる。
【0045】
さらに説明する前に、本明細書に記載の発明は、
図3に関連して示され説明されるプロセスに限定されない。特定の発明的態様の精神および範囲を離れない範囲で変更および修正を行っても良い。例えば、付加的、異なる又はより少ない数の行為を提供しても良い。例えば、後で説明するように行為320は不要であっても良い。さらに、
図3に示される行為は図示される順序にて、あるいはそれと異なる順序にて実行されても良い。
【0046】
行為310において、取引デバイスは、取引注文が修正される前に市場に存在することを要する期間を受信する。その期間は、250ミリ秒や他の時間のような時間の値(時間値)であっても良い。期間の受信には、電子取引所から、あるいは(例えばマウスやキーボードを用いた)市場参加者による入力として期間を受信することが含まれても良い。例えば、期間は、ハンドシェイクプロセス又は他の通信セッションにある電子取引所から受信されても良い。別の例では、市場参加者は、取引画面における設定画面を用いて期間を入力する。さらに別の例では、期間はハードコードである。あるいはISVの中にあるソフトウェアおよび/又はアップデートによって提供される。
【0047】
行為320において、取引デバイスは、取引注文が修正される前に市場に存在することを要する期間に基づいた要件値(requirement value)を生成する。要件値は、電子取引所が修正メッセージを受け付ける時を決定するために用いられる値である。いくつかの実施形態では、要件値は行為310で受信される期間と同じである。例えば、取引デバイスは、行為310で受信される期間と同じ要件値を生成しても良い。別の例では、取引デバイスは、行為310で受信される期間を要件値として扱うため、要件値を生成する必要がない(例えば行為320が取引デバイスにより実行されない)。
【0048】
他の実施形態では、要件値の生成には、行為310で受信された期間よりもわずかに長い又は短い要件値を生成することが含まれる。要件値は、例えば処理又は送信の間において、予期されない速さや遅れに対応する(account for)ようにカスタマイズされても良い。例えば、行為310で受信された期間が350ミリ秒である場合に、要件値を355ミリ秒に調整しても良い。5ミリ秒のバッファにより例えば、修正メッセージがネットワークや処理の遅れで拒否されないことを確保することができる。
【0049】
行為330において、取引デバイスは、要件値を適切な電子取引所に関連付ける。この関連付けにより、電子取引所に送信される修正メッセージが要件値に基づいて知的にスロットリングされる。関連付けには、自動で(例えば市場参加者によるわずかな入力なしで又はありで)又は手動で(例えば市場参加者による入力を用いて)要件値を電子取引所に関連付けることが含まれる。例えば、市場参加者は設定画面を用いて、手動で要件値を電子取引所に関連付けても良い。
【0050】
図4は、設定画面400の図を示す。設定画面400により、取引デバイスを用いる市場参加者が要件値を電子取引所に関連付けることで、当該要件値に基づいて、電子取引所に送信される修正メッセージをスロットリングすることができる。設定画面400は、値を知的スロットリングアプリケーション(intelligent throttling application)に入力および関連付けるために用いられる。
【0051】
ある実施形態では、取引所Aが取引注文を市場に存在させることを要する期間410が、手動で(例えば市場参加者による入力を用いて)又は自動で(例えば電子取引所から受信されて)知的スロットリングアプリケーション内に入力される。ある実施形態では、市場参加者は、受信された期間410に関連付けられる関連要件値420を入力する。しかしながら、別の実施形態では、市場参加者はバッファ430を入力する。バッファ430は要件値420を決定するために用いられる。例えば、要件値420は期間410およびバッファ430に基づいて自動的に計算される。したがって、期間410が、例えば取引所Aによって自動的に更新されるときであればいつでも要件値420も自動的に更新される。要件値420は取引所Aに関連付けられる。
【0052】
別の実施形態では、市場参加者は設定画面400を用いて、複数の要件値を1つの取引所に関連付ける。例えば、
図4に示すように、期間430、460および要件値440、470が取引所Bに関連付けられる。値は1日中にわたって動的に変化する場合がある。例えば、時間450(例えば朝8時―朝10時)においては、期間430および要件値440が用いられる。時間480においては、期間460および要件値470が用いられる。要件値440、470は取引所Bに関連付けられる。知的スロットリングをさらに制御するために他の要因を用いても良い。
【0053】
図3に戻ると、行為340において、取引デバイスは、修正メッセージを電子取引所に拒否されることなく送信可能な時を選択する。選択には、計算あるいは他の決定が含まれても良い。選択は、行為320で生成される要件値に基づく。要件値に基づく選択により、取引注文が市場に存在することを要する期間が終了する又は無効となる時又はその直後にて修正メッセ―ジが受信されることが確保される。
【0054】
選択は例えば、取引デバイスと電子取引所の間における伝送時間、確認メッセージが電子取引所によって送信される時間、確認メッセージが取引デバイスによって受信される時間、取引注文メッセージが電子取引所に送信された時間、電子取引所にて取引注文を処理するための時間、取引注文を通信するメッセージのサイズ、時刻、市場のボリューム、注文約定に対する注文メッセージの割合、その注文が複雑な取引戦略の一部であるか否か、若しくはこれらの組み合わせ、又は、市場値の時間(the time in the market value)が終了したとき若しくはその直後に修正メッセージが受信されることを決定するための他の要因に基づくものであっても良い。例えば、1日における異なる時間にて送信時間を測定又はモニタリングすることで、より良い選択を決定しても良い。
【0055】
ある実施形態では、要件値に加えて、取引デバイスは、取引注文がオーダーブックに置かれる時間(例えば確認注文が送信される時間又はそれと概ね同じ時間)と、電子取引所と取引デバイスの間におけるメッセージの伝送にかかる時間に基づいて、修正メッセージが送信可能な時を選択する。
【0056】
別の実施形態では、要件値に加えて、取引デバイスは、取引注文メッセージが電子取引所に提出される時間と、取引デバイスと電子取引所との間で取引注文メッセージが移動するのにかかる時間と、取引デバイスと電子取引所との間で修正メッセージが移動するのにかかる時間に基づいて、修正メッセージが送信可能な時を選択する。
【0057】
行為350において、取引デバイスは、修正メッセージを拒否されることなく電子取引所に送信可能な時に、最初に提出された取引注文メッセージにある取引注文を修正する修正メッセージを電子取引所に送信する。したがって、電子取引所は、市場値の時間が終了した時又はその直後に修正メッセージを受信する。
【0058】
修正メッセージの送信には、行為340において選択された時間に修正メッセージを電子取引所に送信することが含まれても良い。行為340には、修正メッセージを送信する前に所定の時間遅らせる又は待機することが含まれても良い。例えば、修正メッセージは、送信準備ができるまで待ち行列に入れられ(queued)ても良い。遅らせることは、行為340でされた決定に基づいても良い。例えば、行為340において、取引デバイスは、修正メッセージが拒否されることなく送信可能な特定の時間を選択しても良い。行為350において、取引デバイスはその特定の時間に修正メッセージを送信しても良い。
【0059】
図5は、電子取引所による1つ以上の要件のために取扱い中の注文が特定の期間修正不能である場合のメッセージングプロセスのタイミング図を示す。
図5は、
図1の取引デバイス104と電子取引所108との間におけるメッセージングにおける時間軸Tを示す。
図5の取引デバイス104は、ある実施形態に沿って修正メッセージを知的にスロットルするように構成される。以降で詳細に説明するように、取引デバイス104は、取引注文の提出時間、取引注文の伝送時間、修正メッセージの伝送時間および要件値に基づいて修正メッセージを知的にスロットルする。
【0060】
時間502において、取引デバイス104は取引注文メッセージTOM1を送信する。電子取引所108は、時間504において取引注文メッセージTOM1を受信する。時間504は、取引注文メッセージTOM1が取引デバイス104から電子取引所108に移動する際の伝送時間506の分、時間502の後(例えば時間502よりも遅い時間)に生じる。
【0061】
電子取引所108は、取引注文メッセージTOM1にあった取引注文を、例えば電子取引所108に受信されるとき又はその直後に電子取引所のオーダーブックに配置する。電子取引所108によって設定された基準やルールのため、および増加する待機時間や過剰な帯域幅による制限の懸念を最小限にするために、取引注文は期間508の間に修正することができない。言い換えれば、取引注文は、期間508の間の全てにおいてオーダーブックに存在する必要がある。この例では、期間508は要件値である。しかしながら、期間508の経過後、例えば時刻510において、取引注文を修正することができる。期間508において、電子取引所108は取引注文を修正しようとする修正メッセージを拒否する。
【0062】
修正が取引注文に対して行われる場合には、取引デバイス104は、修正注文が拒否されることなく修正メッセージを電子取引所108に送信可能な時を選択する。
図4の例では、電子取引所108は、期間508の終了時である時間510において、取引注文の修正を受け付ける。したがって、取引デバイス104は時間510の時間値を決定する。
【0063】
図4の例では、取引デバイス104は、取引注文の提出時間502 、取引注文の伝送時間506および要件値508に基づいて時間510の時間値を決定する。取引注文の提出時間502は、取引デバイス104が電子取引所108に取引注文メッセージTOM1を提出するときに記録されても良い。取引注文の伝送時間506は、ネットワークを介して伝送時間を決定する通信分析論(communication analytics)を用いて計算、推定、又は他の決定がされても良い。要件値508は例えば、市場参加者によって入力されても良く、あるいは電子取引所108から受信されても良い。時間510の時間値を決定するために、取引デバイス104は、取引注文の提出時間502 、取引注文の伝送時間506および要件値508を加算しても良い(例えば510=502+506+508)。
【0064】
取引デバイスは、修正メッセージを電子取引所によって拒否されることなく送信可能な時間を選択しても良い。例えば、
図4の図では、取引デバイス104は、修正メッセージMM1を電子取引所108で拒否されることなく送信可能な時間512を計算してもよい。この計算は、電子取引所108が修正メッセージの受け付けを開始する時間510および修正メッセージの伝送時間514に基づいている。修正メッセージの伝送時間514は、修正メッセージが取引デバイス104から電子取引所108に移動するのに必要な時間量である。修正メッセージの伝送時間514は、ネットワークを介して送信時間を決定する通信分析論を用いて計算、推定、又は他の決定がされても良い。時間512の時間値を決定するために、取引デバイス104は、時間510から修正メッセージの伝送時間514を減算する(例えば512=510―514 ) 。
【0065】
したがって、時間512で始まって、取引デバイス104は、修正メッセージMM1を拒否されることなく電子取引所108に送信することができる。当然、修正メッセージMM1は、時間512ちょうどに送信する必要はない。代わりに、修正メッセージMM1は、時間512の後であればいつでも送信しても良い。時間512にて又はその後で修正メッセージMM1を送信することで、市場での必要な期間が終了する前における取引注文の修正の試みによって修正メッセージMM1が拒否されないことを確保することができる。
【0066】
いくつかの他の例を示す前に注目すべきは、取引デバイスが時間値の全て又はその一部を決定する際に、付加的な時間を加えても良いことである。例えば、取引注文の伝送時間506、修正メッセージの伝送時間514および/又は要件値508に付加的な時間を加算することで、修正メッセージMM1が電子取引所で拒否されないことをさらに確保することもできる。加算された期間を用いることで、例えばネットワークを介した予期しない速度又は電子取引所における予期しない処理速度に対応することができる。
【0067】
図6、7は、修正メッセージが拒否されることなく電子取引所に送信可能な時間を決定する付加的な例を示す。
図6、7に示す例では、修正メッセージを送信可能な時間を決定するために確認メッセージを使用する。
図6では、取引デバイスは、取引注文が修正可能な時を決定するために、確認メッセージに含まれているオーダーブックエントリ時間値(例えば取引注文がオーダーブックに配置される時間)を使用する。
図7では、確認メッセージの送信時間は、取引注文が修正可能な時を決定するために使用される。
【0068】
ある実施形態では、
図6に示すように電子取引所108は、取引注文が修正可能な実際の時間602を送信しても良い。電子取引所108は例えば、注文エントリ時間値604と要件値606を用いて時間602の値を決定してもよい。注文エントリ時間値は、取引注文がオーダーブックに配置される時の時間である。時間602の値を決定するために、電子取引所108は、注文エントリ時間値604と要件値606を加算しても良い(例えば、602=604+606)。この例では、時間602は、取引注文メッセージTOM1の受信を確認又は知らせる確認メッセージAck1にて送信される。しかしながら、他の実施形態では、時間602は他の種類のメッセージにて送信される。
【0069】
別の実施形態では、取引注文が修正可能な時間602を送信する代わりに、電子取引所108は例えば注文エントリ時間値604と時間606を同一又は異なる時間に送信する。取引デバイス104は時間602を決定するためにこれらの値を使用しても良い。
【0070】
取引デバイス104が一旦、時間602を受信すると、取引デバイス104は、修正メッセージMM1が拒否されることなく送信可能な時間608を決定しても良い。
図4に関して上述した実施形態と同様に、この決定は時間602と修正メッセージの伝送時間610に基づいている。具体的には、時間602から修正メッセージの伝送時間610を減算することにより、時間608を決定しても良い(例えば、608=602−610 )。
【0071】
ある実施形態では、
図7に示すように、タイムスタンプを用いて、修正メッセージが受け付けられる時間を取得することができる。電子取引所108は、時間702において取引デバイス104に送信される確認メッセージAck1をタイムスタンプしても良い。タイムスタンプ702は、注文エントリ時間値を推定するために使用しても良い。例えば、取引注文がオーダーブックに配置される時間と、確認メッセージAck1が取引デバイス104に送信される時間の間に小さな(またはゼロの)遅延が生じる可能性があるため、タイムスタンプ702を注文エントリ時間値として使用しても良い。取引デバイス104は、タイムスタンプ702と要件値706を使用して、電子取引所108で修正メッセージMM1を受信可能な時間704を決定しても良い。例えば、要件値706をタイムスタンプ702に加算することで、時間704を取得しても良い。
【0072】
別の実施形態では、確認Ack1はタイムスタンプを含まない。取引デバイス104は、確認メッセージAck1の伝送時間708を計算するために、ネットワーク分析論を推定又は使用しても良い。確認メッセージAck1が電子取引所108から送信された時間702を取得するために、取引デバイス104は、確認受信時間710から確認送信時間708を減算しても良い。確認受信時間710は、確認メッセージAck1が取引デバイス104にて受信された時間である。上述のように時間702は注文エントリ時間値として用いてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、修正メッセージは期間の終了前に提出することができるが、修正メッセージを電子取引所へ送信する際の既に知られた、測定された若しくは推定された時間内で提出される。したがって、取扱い中の注文を修正するための修正メッセージは、所定の期間が終了する前に受信された結果として電子取引所によって拒否されるということはない。
【0074】
本明細書に記載の様々な実施形態は、あらゆる装置、方法、システム、コンピュータプログラム、およびコンピュータ読み取り可能媒体として具現される製造品目を含んでも良い。例として、コンピュータ読み取り可能媒体には、ランダムアクセスメモリ、リードオンリメモリ、フラッシュメモリ、磁気テープ、ディスク、光媒体、これらのあらゆる組み合わせ、又は現在知られた若しくは最近開発された具体的なデータ保存デバイスなどの、揮発性および不揮発性の保存媒体が含まれてもよい。実施形態は、取引デバイス104や、リモートサーバなどの他のコンピュータデバイスに存在しても良い。