特許第6063968号(P6063968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063968
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】軒裏天井材及び軒裏天井構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20170106BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20170106BHJP
   E04B 9/30 20060101ALI20170106BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20170106BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   E04B1/94 U
   E04B1/94 D
   E04B9/00 D
   E04B9/30 C
   C09D7/12
   C09D201/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-14924(P2015-14924)
(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公開番号】特開2016-138419(P2016-138419A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 崇
(72)【発明者】
【氏名】西岡 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】川邊 伸夫
【審査官】 渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−174301(JP,A)
【文献】 特開2011−068853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/94
E04B 9/00
E04B 9/30
B32B 13/00−14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の軒裏に施工される軒裏天井材であって、
表面が建物の軒裏空間と反対側に位置する側に配置され、火山性ガラス質複層板からなる基材と、
上記基材の面に設けられ、気体遮蔽効果を有する不燃性塗膜とを備え、
上記不燃性塗膜が軒裏空間と反対側に位置して、該不燃性塗膜により建物外部からの高温ガスが該基材の表面側で遮蔽されるように構成されていることを特徴とする軒裏天井材。
【請求項2】
請求項1において、
上記基材の表面と上記不燃性塗膜との間には、下塗り塗料による下塗り塗膜が形成されていることを特徴とする軒裏天井材。
【請求項3】
請求項1又は2において、
不燃性塗膜は、塗料化に伴って水中で膨潤する膨潤性を有する層状粘土鉱物と樹脂とを備えてなることを特徴とする軒裏天井材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つの軒裏天井材が施工されたことを特徴とする軒裏天井構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の軒裏に施工される軒裏天井材及びそれを用いた軒裏天井構造に関する。
【背景技術】
【0002】
都市部の建物が密集する地域では、火災が発生すれば延焼によって大きな被害が生じる可能性が高く、このような地域は防火地域や準防火地域とされ、建物はその階数や延べ面積に応じて要求される耐火性能を備えた基準による建築が義務付けられている。
【0003】
建物の軒裏についても、珪酸カルシウム板、スラグ石膏板、火山性ガラス質材料ボード等の不燃材料を軒裏天井材として使用し、隣家の火災による延焼を防止するようにしている。
【0004】
このような軒の耐火性を向上させるために、従来、特許文献1に示されるように、軒裏に施工される軒裏天井材として、珪酸カルシウム板等からなる基材の裏面(軒裏空間に面する面)側に耐火補強層を積層し、この耐火補強層は耐火断熱層、熱遮断層、吸熱層のいずれか1つを積層したものとすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5135133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1のものでは、軒裏天井材の裏面に耐火補強層を積層しているものの、火災時の炎に軒天井の表面(下面)が曝されたときに、その炎に含まれる高温の燃焼ガスが軒裏天井材の基材を透過するのは避けられず、その高温ガスが耐火補強層の各層の隙間や弱い部分を通って軒裏空間に進入し、その軒裏が熱破壊されて延焼に至る虞れがある。
【0007】
尚、耐火補強層の層の数を増やすことで、耐火性を向上させることができるが、コストが高くなるとともに、施工も手間がかかることとなり、好ましい解決方法とはなり得ない。
【0008】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的は、軒裏天井材の構造に工夫を加えることで、低コスト化及び施工性の向上を図りつつ、火災等の炎に軒天井の表面が曝されても高温ガスが軒裏天井材を透過して軒裏空間に進入しないようにして耐火性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成すべく、この発明では、軒裏天井材の裏面ではなく、その軒裏空間と反対側の表面に、気体遮断性を有する不燃性塗膜を形成するようにした。
【0010】
具体的には、第1の発明は、建物の軒裏に施工される軒裏天井材であって、表面が建物の軒裏空間と反対側に位置する側に配置され、火山性ガラス質複層板からなる基材と、この基材の面に設けられ、気体遮蔽効果を有する不燃性塗膜とを備えている。そして、上記不燃性塗膜が軒裏空間と反対側に位置して、該不燃性塗膜により建物外部からの高温ガスが該基材の表面側で遮蔽されるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
この第1の発明では、火山性ガラス質複層板はセメント系や珪酸カルシウム系の板材とは異なり、後者の板材が自由水や結合水を含んでいて、それら自由水や結合水が火災時の加熱に伴って蒸発し急速に収縮することで、板材に割れが発生するのに対し、火山性ガラス質複層板はそのような割れの発生が生じ難く、熱による収縮も小さいので、割れや収縮等に起因して表面側の不燃性塗膜に亀裂が入ったり剥がれ落ちたりする可能性が極めて低くなる。よって上記不燃性塗膜による気体遮蔽効果を確実にかつ安定して発揮させることができる。また、軒裏天井材の基材の面に、気体遮蔽効果を有する不燃性塗膜が設けられているので、その軒裏天井材が施工された場合、火災等の炎に軒天井の表面が曝されて、高温のガスが軒裏天井材の表面から軒裏天井材を直接的に透過して軒裏空間に進入しようとしても、その高温ガスは基材(軒裏天井材)の表面側において不燃性塗膜によって遮蔽されることとなる。このことで高温のガスの軒裏空間への進入が抑制され、その軒裏空間の温度の上昇を抑えることができる。
【0012】
また、軒裏天井材は、基材の面に不燃性塗膜を形成しただけのものであり、そのコストは低く、施工も容易となる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、基材の表面と上記不燃性塗膜との間には、下塗り塗料による下塗り塗膜が形成されていることを特徴とする。
【0014】
この第2の発明では、基材の表面と不燃性塗膜との間に下塗り塗膜が形成されているため、不燃性塗膜の基材への密着性を高めることができる。
【0015】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、不燃性塗膜は、塗料化に伴って水中で膨潤する膨潤性を有する層状粘土鉱物と樹脂とを備えてなることを特徴とする。
【0016】
この第3の発明では、層状粘土鉱物が塗料化に伴い水中で膨潤して層間が広がり、その状態で層同士が噛み合って樹脂により固定され、気体遮蔽効果が得られる。このことにより気体遮蔽効果を有する強固な不燃性塗膜が容易に得られる。
【0017】
第4の発明は軒裏天井構造に係り、この軒裏天井構造は、第1〜第3の発明のいずれか1つの軒裏天井材が施工されたことを特徴とする。
【0018】
この第4の発明では、第1の発明と同様に、基材表面に、気体遮蔽効果を有する不燃性塗膜が設けられた軒裏天井材が軒裏天井構造に施工されているので、火災等の炎に軒天井の表面が曝されて、高温のガスが軒裏天井材の表面からそれを直接的に透過して軒裏空間に進入しようとしても、その高温ガスは基材(軒裏天井材)の表面側で不燃性塗膜によって遮蔽され、その軒裏空間の温度の上昇を抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によると、軒裏天井材として、無機材料からなる基材の面に、気体遮蔽効果を有する不燃性塗膜を設けたことにより、その軒裏天井材が施工された軒裏天井構造では、火災等の炎に軒天井の表面が曝された際に、高温のガスが軒裏天井材の表面からそれを直接的に透過して軒裏空間に進入しようするのを基材表面側で不燃性塗膜によって遮蔽して、軒裏空間の温度の上昇を抑えることができ、コストダウン及び施工性の向上を図りつつ、軒裏天井構造の耐火性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施形態に係る軒裏天井構造を示す断面図である。
図2図2は、軒裏空間の換気口装置の要部を拡大して示す斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る軒裏天井材の断面図である。
図4図4は、不燃性塗膜による気体遮蔽メカニズムを概略的に示す図である。
図5図5は、コーンカロリーメータによる発熱試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0022】
図1は本発明の実施形態に係る軒裏天井構造を示し、この軒裏天井構造は例えば木造戸建て住宅(建物)の軒に施工されている。この軒は、住宅の外壁Wよりも外側に突出しており、主要構造として屋根の勾配に応じて図外の棟木及び軒桁1に掛け渡された垂木2を有する。この垂木2の軒先部分と、垂木2を支持する軒桁1と、この軒桁1の外側に軒桁1と平行に配置され、垂木2にその先端を隠すように固定された鼻隠し3とで軒が構成されている。軒の下側には、垂木2と軒桁1と鼻隠し3とによって囲まれた部分に断面三角形状の軒裏空間5が区画形成され、この軒裏空間5の下側開口部5a(外壁Wと鼻隠し3との間)は、本発明の実施形態に係る複数枚の矩形板状の軒裏天井材21,21,…によって閉塞されている。
【0023】
鼻隠し3裏側(内側)の垂木2の先端面には軒先吊木7が取り付けられ、この軒先吊木7の下端部に軒先下木8が吊り下げ支持されている。軒桁1側の垂木2に軒桁1と平行な軒元上木9が取り付けられ、この軒元上木9に軒元吊木10を介して軒元下木11が吊り下げ支持されている。これら軒先下木8と軒元下木11との間には、軒桁1に沿って一定間隔を空けて配置される複数の軒天取付木12,12,…(野縁)が連結され、これら軒天取付木12,12,…によって軒裏天井材21,21,…を施工するための下地が形成されている。
【0024】
そして、軒裏空間5の開口部5aに複数枚の軒裏天井材21,21,…を互いに隙間なく幅方向に突き合わせた状態で配置し、その各々の周縁部をビス、釘、タッピングねじ等の止め具(図示せず)で上側の軒天取付木12及び軒先下木8に固定し、これにより軒裏天井材21が軒裏に施工される。
【0025】
上記各軒裏天井材21の内側端部は外壁Wとの間に隙間を空けた状態で施工され、その軒裏天井材21と外壁Wとの間に、軒裏空間5を換気するための換気口装置15が設けられている。この換気口装置15は、軒裏天井材が並べられた方向に沿って延びる長尺の例えば亜鉛メッキ鋼板製やステンレス鋼板製の装置本体16を有する。この装置本体16は、図2に拡大して示すように、水平に延びて内端部で外壁Wの上端に載置固定される下側水平部16aと、この下側水平部16aの外端部から上方に延びる内側縦壁部16bとを有し、この内側縦壁部16bの上端部には、水平に外方向に延びた後に折り返されて水平内方向に延びる上側水平部16cが連続し、この上側水平部16cにおいて装置本体16が軒天取付木12に対し軒天取付木12と軒裏天井材21との間に挟まれた状態で取付固定されている。上側水平部16cの下側部分の内端部には、下側に向かって内側に向かうように傾斜して延びる外側縦壁部16dが接続され、この外側縦壁部16dの下端部には、外側に向かって延びた後に上側に向かうように折り曲げられた見切り部16eが接続され、この見切り部16eは上記下側水平部16aと同じ高さ位置で外側に向かって延び、その外端部(先端部)は軒裏天井材21の下面に近接ないし当接している。そして、内側縦壁部16bと外側縦壁部16dとの間に位置する上側水平部16cには複数の換気孔17,17,…が装置本体16の長さ方向に並んで貫通形成されており、この換気孔17と内外縦壁部16b,16d間の空間とを換気通路18として軒裏空間5を外部空間(大気)との間で換気するようにしている。
【0026】
また、上記装置本体16の内側縦壁部16bの上下中間部には外側縦壁部16dに向かって開口する凹溝部16fが形成され、この凹溝部16f内には、所定の温度(例えば180℃)以上で膨張(発泡)して上記換気通路18に充填される膨張黒鉛等からなる発泡材19が充填されており、火災時に発泡材19の膨張により換気通路18を遮断することで、炎や高温のガスが換気通路18を経由して軒裏空間5に進入するのを防止するようにしている。
【0027】
尚、上記換気口装置15は例示であり、他の構造の換気口装置を使用することができるのは言うまでもない。
【0028】
上記各軒裏天井材21は、図3に拡大して示すように、無機材料からなる矩形板状の基材22と、この基材22の表面側、すなわち軒裏天井構造の施工時に軒裏空間5と反対側に位置する側に塗布により設けられた不燃性塗膜26とを有する。
【0029】
上記基材22は、火山性ガラス質複層板(例えば大建工業(株)製の商品名「ダイライト」)からなることが望ましいが、その他に珪酸カルシウム板、スラグ石膏板を用いてもよい。基材22は、密度が例えば0.5〜0.9g/cm、厚さが9〜18mmのものが用いられる。
【0030】
上記不燃性塗膜26は、気体遮蔽効果(ガスバリア効果)を有し、同効果を有する不燃性塗料を基材22の表面に塗布することによって形成される。尚、不燃性塗膜26の基材22への密着性を高めるために、基材22の表面に、下塗り塗料による下塗り塗膜を形成した後、その下塗り塗膜上に不燃性塗膜26を形成することが望ましい。
【0031】
上記不燃性塗膜26(不燃性塗料)は、例えば塗料化に伴って水中で膨潤する膨潤性を有する層状粘土鉱物と、その固定用の樹脂とを備えてなる。すなわち、層状粘土鉱物としては、例えばバーミキュライトやベントナイト等の高い膨潤性を有する層状粘土鉱物(珪酸塩鉱物)が用いられる。この層状粘土鉱物の膨潤性は、例えば第十五改正日本薬局方の膨潤力試験で20ml/2g以上のものであることが望ましい。
【0032】
不燃性塗料における層状粘土鉱物の組成比は、20〜80重量%であることが望ましい。20重量%を下回ると、不燃性能が低下して機能が発揮されない一方、80重量%を超えると、相対的に樹脂が入り難くなるためである。
【0033】
一方、樹脂は、例えばアクリル系、ウレタン系、酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系等の樹脂が用いられる。この樹脂の組成比は、20〜50重量%であることが望ましい。20重量%を下回ると、塗膜の強度が低くなり過ぎて塗膜が剥がれる一方、50重量%を超えると、相対的に可燃物としての樹脂が増え過ぎ、不燃性を担保できなくなるためである。
【0034】
その他、不燃性塗料には、増量剤や着色剤として、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム等の無機粉体を0〜60重量%程度加えてもよい。
【0035】
不燃性塗料の塗布量は、例えば固形分で30〜150g/m程度であればよく、設計に応じて適宜選択することができる。この塗布量が少な過ぎると、不燃性の効果が得られなくなり、多過ぎると塗布が困難になる。
【0036】
この不燃性塗膜26(不燃性塗料)が気体やガスを遮蔽するメカニズムについて概略的に図4により説明すると、図4(a)に示すように、粘土鉱物の粒子28は多数の薄片成分が層状に重なっており、塗料化する際に水が加えられると、図4(b)に示すように、塗料中で粘土鉱物粒子28が吸水して膨潤し、薄片成分29の層間が広がり、混合に伴って薄片成分29(層)が他の薄片成分29,29間(層間)に入り込むようになる。この塗料を基材22の表面(及び裏面)に塗布してドライヤーで乾燥すると、図4(c)に示すように、薄片成分29,29間(層間)が収縮して狭くなり、粒子28,28,…同士の薄片成分29が入り込んで噛み合うようになり、その状態が樹脂により固定され、図4(c)に矢印にて示すように可燃性の高温ガスが粒子28,28間を透過しようとしても、噛み合わさった薄片成分29,29,…により遮蔽され、気体遮蔽効果が得られるようになる。この不燃性塗膜26は水がかかっても破壊されることはない。
【0037】
したがって、上記実施形態においては、各軒裏天井材21の基材22の表面に設けられている不燃性塗膜26は、塗料化に伴って水中で膨潤する膨潤性を有する層状粘土鉱物と樹脂とを備え、層状粘土鉱物が塗料化に伴い水中で膨潤して層間が広がり、その状態で層同士が噛み合って樹脂により固定され、気体遮蔽効果が得られる。このことにより気体遮蔽効果を有する強固な不燃性塗膜26が容易に得られる。このような気体遮蔽効果を有する不燃性塗膜26が各軒裏天井材21の基材22の表面に設けられているので、その軒裏天井材21が施工されて軒裏天井構造が形成された場合、火災等の炎に軒天井の表面が曝されて、高温のガスが軒裏天井材21の表面からそれを直接的に透過して軒裏空間5に進入しようとしても、その高温ガスは基材22(軒裏天井材21)の表面側で不燃性塗膜26によって遮蔽されることになる。その結果、高温のガスの軒裏空間5への進入が抑制され、その軒裏空間5の温度の上昇を抑えることができる。
【0038】
そして、軒裏天井材21は、基材22の表面に不燃性塗膜26を形成しただけのものであるので、そのコストが高くなることはなく、軒裏天井構造への施工も容易となる。
【0039】
また、軒裏天井材21の基材22が火山性ガラス質複層板であると以下の作用効果が得られる。すなわち、この基材22がセメント系や珪酸カルシウム系の板材であると、これらの板材は、自由水や結合水を含んでいるので、それら自由水や結合水が火災時の加熱に伴って蒸発し急速に収縮することで、割れが発生する可能性がある。これに対し、火山性ガラス質複層板はセメント系や珪酸カルシウム系の板材とは異なり、熱収縮に強いロックウール繊維を主成分とし、自由水や結合水も少ないため、割れの発生、或いは収縮が生じ難くなる。このことで、割れや収縮等に起因して表面側の不燃性塗膜26に亀裂が入ったり剥がれ落ちたりする可能性が極めて低くなり、不燃性塗膜26による気体遮蔽効果を確実にかつ安定して発揮させることができる。
【0040】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、軒裏天井材21の基材22の表面側に不燃性塗膜26を形成しているが、この基材22の表面側に不燃性塗膜26を形成するだけでなく、加えて基材22の裏面、すなわち軒裏天井構造の施工時に軒裏空間5に位置する側にも、表面と同様の不燃性塗料を塗布して不燃性塗膜26を形成するようにしてもよい。こうすれば、軒裏天井材21の表裏両側で気体遮蔽効果が得られて、火災時の高温のガスの軒裏空間5への進入をさらに確実に抑制することができる。
【実施例】
【0041】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
【0042】
(実施例)
膨潤性を有する層状粘土鉱物(珪酸塩鉱物)として、ベントナイト及びバーミキュライト50重量%と、固定用の樹脂としてアクリル樹脂を35重量%とに、無機粉体として炭酸カルシウムを15重量%添加し、水を加えて塗料(不燃性塗料)を調合した。この調合した不燃性塗料を、基材としての厚さ12mmで密度0.6±0.06g/cmの火山性ガラス質複層板(大建工業(株)製の商品名「ダイライト」)の表面にフローコーターを用いて固形分で40g/m塗布して不燃性塗膜を形成し、実施例のサンプルを得た。
【0043】
(比較例)
また、同様の基材のみのもの(表面に不燃性塗膜が形成されていないもの)を比較例のサンプルとした。
【0044】
(コーンカロリーメータによる発熱試験)
上記実施例及び比較例の各サンプルに対し、コーンカロリーメータによる20分の発熱試験を行った。この試験は、ISO5660基準による試験であり、判定基準として、総発熱量8MJ/m以下となる時間が不燃材料、準不燃材料及び難燃材料のレベルに応じてそれぞれ20分、10分及び5分とされている。その結果を図5に示す。
【0045】
この試験結果を見ると、実施例及び比較例のいずれでも、コーンカロリーメータによる20分の発熱試験で総発熱量8MJ/m以下であり、不燃材料に合格している。但し、比較例は、総発熱量7.5MJ/mであるが、基材にバラツキがあると、総発熱量8MJ/m以下の基準に合格できない可能性がある。
【0046】
これに対し、実施例は、総発熱量2.9MJ/mであり、バラツキがあっても十分に余裕を持って合格でき、安定した不燃性能を得ることができることが判る。すなわち、層状粘土鉱物が基材表面にガスバリア性の高い不燃性塗膜を形成するため高温ガスが基材を透過して裏面に抜け難くなり、このことによって総発熱量が抑えられていることが裏付けられている。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、火災時に高温のガスが軒裏天井材の表面からそれを直接的に透過して軒裏空間に進入しようするのを基材表面側で不燃性塗膜により遮蔽して軒裏空間の温度の上昇を抑えることができ、コストダウン及び施工性の向上と軒裏天井構造の耐火性の向上とを図ることができるので、極めて有用である。
【符号の説明】
【0048】
5 軒裏空間
15 換気口装置
21 軒裏天井材
22 基材
26 不燃性塗膜
図1
図2
図3
図4
図5