【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明に係るヒアルロン酸ゲル及びゲルシートは、ヒアルロン酸、多価カルボン酸若しくはオキシカルボン酸、及び多価アルコールを構成成分とすることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るヒアルロン酸ゲル及びゲルシートは、適量の水又は化粧水の添加によって速やかに溶解することを特徴とする
速やかに溶解するのは、その様に素材が選択されているためである。
【0010】
ヒアルロン酸、多価カルボン酸若しくはオキシカルボン酸、及び多価アルコールを含む水溶液を調製し、その水分を乾燥させることにより、目的とする特長を有するヒアルロン酸ゲルを簡易に調製することができる。
多価カルボン酸若しくはオキシカルボン酸は、ヒアルロン酸に対して10重量%以上400重量%以下が好ましく、10重量%以上100重量%以下がさらに好ましい。多価アルコールは100重量%以上8000重量%以下が好ましい。その中には化粧用有価成分を含有してもよい。
【0011】
本ヒアルロン酸ゲルの特徴は、本ゲルが多量の水に接する時ゲル構造が壊れてヒルロン酸が溶解することにある。本発明においてのヒアルロン酸ゲルは可逆的にゲル状態と可溶体とになり得る。それゆえ、ゲル状態で皮膚に貼付した後適量の水を加えてマッサージすることによりヒアルロン酸ゲルを可溶化してヒアルロン酸及び配合有価成分を皮膚に効果的に吸収させることが可能となる。
【0012】
本水溶性ヒアルロン酸ゲルシートを皮膚に適用すると、ゲルに含まれる多量の多価アルコールが水分と水和反応し発熱し皮膚に対し穏やかな温感を与え皮膚を癒す特徴を有する。
【0013】
ヒアルロン酸ゲルシートは、全顔面用シート、目元用シート等化粧料として適当な形状のシートに成形する。シートの厚みは30μmから1,000μmが適当である。シートの厚みが30μm以下ではシートの強度が不足し取り扱いに不便であるほか、皮膚適用時の温感が不足する。厚さが1,000μ以上では重たくやはり取り扱いに不便である。
【0014】
ヒアルロン酸ゲルシートの化粧料としての特徴は、ゲルが多量の水に接する時ゲル構造が壊れてヒルロン酸が溶解することにある。本ヒアルロン酸ゲルは可逆的にゲル状態と可溶体とになり得る。それゆえ、ゲル状態で皮膚に貼付した後適量の水を加えてマッサージすることによりヒアルロン酸ゲルを可溶化してヒアルロン酸及び配合有価成分を皮膚に効果的に吸収させることが可能となる。
【0015】
その際に水または有価成分を含む化粧水を用いてマッサージすれば温感を与えつつゲル構造が壊れて水溶性ヒアルロン酸として溶解する。炭酸塩を適量加えた水または化粧水を用いると、ヒアルロン酸ゲルがヒアルロン酸及び多価アルコールに起因して酸性であることから、炭酸塩が酸化されて炭酸ガスとなり皮膚上で発泡する。炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、等を用いることができる。皮膚表面で発生した炭酸ガスは皮膚内に取り込まれて皮膚細胞の新陳代謝を促し皮膚の活性化を促すことにより美容効果をさらに高めるという特徴を有する。
【0016】
本発明において原料ヒアルロン酸は、動物組織から抽出してものでも、発酵法で生成したものでも、いずれでもよい。またヒアルロン酸は、ナトリウム塩またはカリウム塩等の金属塩であってもよい。
【0017】
本発明において原料ヒアルロン酸の分子量は、約5×10
4〜5×10
6ダルトンの範囲が好ましい。この範囲内であれば、異なる分子量の2種以上のヒアルロン酸を混合して用いてもよい。また、この範囲の分子量のものとこの範囲より分子量が小さいものを混合して用いることもできる。低分子量ヒアルロン酸(分子量1×10
4以下)、コラーゲン、アセチルグルコサミン等の低分子水溶性物質の添加はゲルの溶解性を早めることが可能である。
【0018】
本発明に用いられるヒアルロン酸の量は、ゲル中で0.1重量%から50重量%の範囲が好ましい。ゲル中のヒアルロン酸の量が0.1重量%よりも少ないと柔らかくなってしまい、優れた弾性体のゲルを形成できない。一方、50重量%を超えると固くなり、優れた弾性体のゲルを形成できず皮膚への密着性も悪い。
【0019】
本発明で用いられる多価カルボン酸は、分子内に2つ以上のカルボン酸基を有するものであれば特に制限されず、オキシカルボン酸は分子内にカルボン酸基と水酸基を有するものであれば特に制限されない。例えば、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸等を用いることができる。クエン酸と乳酸は特に好ましい。また、2種類以上の多価カルボン酸若しくはオキシカルボン酸を混合して用いることができる。
多価カルボン酸若しくはオキシカルボン酸の量は、ヒアルロン酸に対して10重量%以上が好ましく、20〜100重量%の範囲がより好ましい。10重量%より少ないと、優れた弾性体のゲルを形成できない。一方、ゲル形成には100重量%で十分であり、これ以上はゲルの酸性度が不必要に高くなり好ましくない。
【0020】
本発明で用いられる多価アルコールは特に制限されず、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール等を用いることができる。この中でもグリセリン及びプロピレングリコールが特に好ましい。
多価アルコールの量は、ヒアルロン酸に対して100重量%以上あれば好ましく、200〜8000重量%の範囲がより好ましい。多価アルコールの量が100重量%より少ないと、優れた弾性体のゲルを形成できない。一方、8000重量%を超えると柔らかくなり、優れた弾性体のゲルを形成できない。
【0021】
本発明において、ヒアルロン酸ゲル中には、必要に応じて適量の水を含ませて硬さを調節できる。
【0022】
本発明のヒアルロン酸ゲル及びゲルシートには、本発明の目的及び効果に影響が出ない範囲で化粧料や医薬品に用いられる成分を配合できる。特に化粧品、医薬部外品としての応用に有利である。配合可能な成分として例えば、美白成分、抗シワ成分、抗炎症成分、血行促進成分、抗菌成分、抗そう痒成分、各種ビタミン及びその誘導体、抗酸化成分色素、香料等が挙げられる。
【0023】
美白成分としては、特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、アスコルビン酸グルコシド及びその塩類及びアシル化誘導体、エチルアスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビルなどのビタミンC誘導体、α−アルブナン、β−アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、システイン、グルタチオン、エラグ酸、ルシノール、トラネキサム酸、バイカレイン、アデノシン及びそのリン酸ナトリム塩、アスタキサンチン、鹿角霊芝、油溶性甘草、ラベンダー、ルムプヤン、ワレモコウ、レスベラトロール、霊芝及びそれらのエキス、チンキ或いはそれらに含まれる成分等が挙げられる。
【0024】
保湿成分としては、乳酸、尿素、ソルビトール、アミノ酸、アセチルグルコサミン、等が挙げられる。
抗シワ成分としては、特に限定されないが、例えば、レチノール、レチノイン酸、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなどのレチノイド、クエン酸、フルーツ酸、グリコール酸、乳酸などのα−ヒドロキシ酸、α−ヒドロキシ酸コレステロール、ルチン糖誘導体、N−メチルセリン、エラスチン、コラーゲン、セリシン、ツボクサエキス、黄金エキス、等が挙げられる。
【0025】
抗炎症成分としては、特に限定されないが、例えば、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸2K,アラントイン、イプシロン−アミノカプロン酸、アズレン、シコニン、トラネキサム酸及びオウレン、甘草、テルミナリア、セイヨウノコギリソウ、シコン、ヒレハリ草、アロエ、ブッチャーブルーム、マロニエ、モモ葉、ビワ葉及びそれらのエキス、チンキ或いはそれらに含まれる成分などが挙げられる。
【0026】
血行促進成分としては、特に限定されないが、例えば、ビタミンE類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、ニコモール、カフェイン、カプサイシン、ノナン酸バニリルアミド、ショウガオール、ジンゲロール、等が挙げられる。
【0027】
抗菌成分としては、特に限定されないが、例えば、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、トリクロカルバン、トリクロロヒドロキシフェノール、ハロカルバン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオン界面活性剤、感光素、酸化亜鉛、酸化チタン、キチン、キトサン、ヒノキチオール及びアニス、等が挙げられる。
【0028】
抗そう痒成分としては、特に限定されないが、例えば、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、クロタミトン、グリチルリチン酸類、メントール、カンファー、ローズマリー油、カプサイシン、ノナン酸バニリルアミド、ジブカイン等が挙げられる。
【0029】
ビタミン類としては、特に限定されないが、例えば、油溶性ビタミン類としてビタミンA油、肝油、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチノール、デヒドロレチノール、ビタミンA
3、レチノイン酸、ビタミンD、ビタミンD
2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD
3(コレカルシフェロール)、ビタミン誘導体、ビタミンE(トコフェロール)、酢酸dl−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、酪酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジルエステル、天然ビタミンE、ビタミンK、ビタミンU等が挙げられる。又、水溶性ビタミン類として、ビタミンB
1(サイアミン)、ビタミンB
2(リボフラビン酪酸エステル)、ビタミンB
6(ジカプリル酸ピリドキシン、ジパルミチン酸ピリドキシンなど脂肪酸エステル)、ビタミンB
12(コバラミン)、ビタミンB
13、ビタミンB
14、ビタミンB
15(パンガミン酸)、葉酸、カルニチン、チオクト酸、パントテニールアルコール、パントテニールエチルエーテル、パントテン酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、コリン、イノシトール、ビタミンC(アスコルビン酸)、ステアリン酸アスコルビル、パントテン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンP(ヘスペリジン)、アプレシア、等が挙げられる。
【0030】
抗酸化成分としては、特に限定されないが、例えば、アントシアニン、カテキン、緑茶ポリフェノール、りんごポリフェノールなどのポリフェノール類、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、β−カロチン、アスタキサンチンなどのカロテノイド、トコフェロール類、酢酸トコフェロール、天然ビタミンE、トコモノエノール、トコトリエノール、クルクミンなどのβ−ジケトン、セサミン、セサモリンなどのリグナン、オイゲノールなどのフェノール、等が挙げられる。
抗アレルギー成分としては、特に限定されないが、例えば、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸2K,などのグリチルレチン酸誘導体、甘草、クロレラ、コンフリー、ボタンピ、フユボダイジュ、エンメイソウ、セージ、シソ、ヨモギ及びそれらのエキス、チンキ或いはそれらに含まれる成分等が挙げられる。
【0031】
本発明に用いる化粧水には、本発明の目的及び効果に影響が出ない範囲で化粧料や医薬品に用いられる成分を配合できる。特に化粧品、医薬部外品としての応用に有利である。配合可能な成分として例えば、美白成分、抗シワ成分、抗炎症成分、血行促進成分、抗菌成分、抗そう痒成分、各種ビタミン及びその誘導体、抗酸化成分色素、香料等が挙げられる。
【0032】
本発明のヒアルロン酸ゲル及びゲルシートに水若しくは化粧水を加えて炭酸ガスを発生させるためには、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩を添加し、水若しくは化粧水のpHを6.5〜7.5付近に調整しておくことが好ましい。この水若しくは化粧水をヒアルロン酸ゲルシートにふりかけマッサージすると、炭酸塩がヒアルロン酸ゲルシート中の酸と反応して炭酸ガスが発生する。用いる炭酸塩の水若しくは化粧水中の濃度は2〜20%が好ましく、さらに好ましくは3〜7%である。2%より低いと炭酸ガスの発生が不十分であり、20%以上であると炭酸塩が十分に反応しきれず皮膚に残り、皮膚への感触が悪化する。
【0033】
本発明において、ヒアルロン酸ゲルを製造する方法は、特に限定されるものではないが、ヒアルロン酸、多価カルボン酸若しくはオキシカルボン酸、及び多価アルコールを水に均一に溶解し、目的とする形態となるように水分を適度に乾燥させ、ヒアルロン酸ゲルを製造することができる。
例えば、ヒアルロン酸ゲルシートの形態の場合、ヒアルロン酸、多価カルボン酸若しくはオキシカルボン酸、及び多価アルコールを含む各水溶液をプロペラ式回転型撹拌装置で攪拌し均一化し調製する。この調製した水溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一の厚みになるように塗布し、温風で乾燥することにより、透明で、均一な厚みのヒアルロン酸ゲルシートを製造することができる。実使用に当たってはシートを裁断して、円形、楕円形、勾玉状、フェイス状、のシート状化粧料として用いるのが望ましい。