(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トップダイ、ボトムダイ及び曲げ型を備えたベンダーによるワークの折曲げ加工方法であって、ワークに形成した曲げ溝を内側にして前記曲げ型によってワークの折曲げを行うに当たり、前記トップダイとボトムダイとの間隔を、前記ワークの移動を許容する間隔に保持した状態においてワークの折曲げを行うことを特徴とするワークの折曲げ加工方法。
請求項1に記載のワークの折曲げ加工方法において、前記トップダイの先端部又は前記ボトムダイの先端部から離隔した位置にワークの前記曲げ溝を位置決めし、前記曲げ型によってワークの折曲げを行うことにより、前記曲げ溝が、前記トップダイ又はボトムダイの先端部位置へ移動し位置決めされることを特徴とするワークの折曲げ加工方法。
請求項2に記載のワークの折曲げ加工方法において、ワークの曲げ溝は、前記トップダイ又はボトムダイの先端部から前記曲げ型側へ離隔して位置決めすることを特徴とするワークの折曲げ加工方法。
請求項3に記載のワークの折曲げ加工方法において、前記トップダイ又はボトムダイの先端部からワークの曲げ溝までの距離は2.5mm以下であることを特徴とするワークの折曲げ加工方法。
請求項1〜4のいずれかに記載のワークの折曲げ加工方法において、ワークを上下から挟持して前記トップダイとボトムダイとの間へワークの供給位置決めを行うマニピュレータを備え、このマニピュレータによってワークを保持し、かつ当該マニピュレータを移動するためのサーボモータをオフにすると共に、マニピュレータを移動自在な状態に保持してワークの曲げ加工を行うことを特徴とするワークの折曲げ加工方法。
トップダイ、ボトムダイ及び曲げ型を備えると共に、前記トップダイとボトムダイとの間へワークの供給位置決めを行うマニピュレータを備えたベンダーであって、前記トップダイとボトムダイとの間隔を、前記ワークの移動を許容する間隔に保持すると共に、前記マニピュレータを移動するためのサーボモータをオフにして前記マニピュレータを移動可能な状態に保持してワークの曲げ加工を行う際に、前記マニピュレータの移動を検出するマニピュレータ移動検出手段を備えていることを特徴とするベンダー。
請求項6に記載のベンダーにおいて、前記マニピュレータの動作を制御する制御装置を備えると共に、前記制御装置にワークの板厚を入力する入力手段を備え、この入力手段から入力されたワークの板厚に対応して前記トップダイと前記ボトムダイとの間隔寸法を、予め定められたパラメータをαとして、(板厚+α)の間隔に制御する間隔制御手段を備えていることを特徴とするベンダー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、ベンダーは、板状のワークを上下方向から挟圧保持するトップダイ、ボトムダイを備えると共に、上記トップダイ、ボトムダイから後方向に突出した部分を上下方向に折曲げる(しごき曲げる)曲げ型を備えている。そして、前記曲げ型によってワークの曲げ加工を行うとき、前記トップダイ、ボトムダイは、ワークが動かないように強固に挟圧保持している。したがって、ワークには、トップダイ、ボトムダイの挟圧保持に起因する圧痕を生じることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、トップダイ、ボトムダイ及び曲げ型を備えたベンダーによるワークの折曲げ加工方法であって、ワークに形成した曲げ溝を内側にして前記曲げ型によってワークの折曲げを行うに当たり、前記トップダイとボトムダイとの間隔を、前記ワークの移動を許容する間隔に保持した状態においてワークの折曲げを行うことを特徴とするものである。
【0006】
また、前記ワークの折曲げ加工方法において、前記トップダイの先端部又は前記ボトムダイの先端部から離隔した位置にワークの前記曲げ溝を位置決めし、前記曲げ型によってワークの折曲げを行うことにより、前記曲げ溝が、前記トップダイ又はボトムダイの先端部位置へ移動し位置決めされることが好ましいものである。
【0007】
また、前記ワークの折曲げ加工方法において、ワークの曲げ溝は、前記トップダイ又はボトムダイの先端部から前記曲げ型側へ離隔して位置決めすることが好ましいものである。
【0008】
また、前記ワークの折曲げ加工方法において、前記トップダイ又はボトムダイの先端部からワークの曲げ溝までの距離は2.5mm以下であることが好ましいものである。
【0009】
また、前記ワークの折曲げ加工方法において、ワークを上下から挟持して前記トップダイとボトムダイとの間へワークの供給位置決めを行うマニピュレータを備え、このマニピュレータによってワークを保持し、かつ当該マニピュレータを移動するためのサーボモータをオフにすると共に、マニピュレータを移動自在な状態に保持してワークの曲げ加工を行うことが好ましいものである。
【0010】
また、トップダイ、ボトムダイ及び曲げ型を備えると共に、前記トップダイとボトムダイとの間へワークの供給位置決めを行うマニピュレータを備えたベンダーであって、前記トップダイとボトムダイとの間隔を、前記ワークの移動を許容する間隔に保持すると共に、前記マニピュレータを移動するためのサーボモータをオフにして前記マニピュレータを移動可能な状態に保持してワークの曲げ加工を行う際に、前記マニピュレータの移動を検出するマニピュレータ移動検出手段を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記ベンダーにおいて、前記マニピュレータの動作を制御する制御装置を備えると共に、前記制御装置にワークの板厚を入力する入力手段を備え、この入力手段から入力されたワークの板厚に対応して前記トップダイと前記ボトムダイとの間隔寸法を、予め定められたパラメータをαとして、(板厚+α)の間隔に制御する間隔制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トップダイとボトムダイとの間隔を、ワークの移動を許容する間隔に保持した状態においてワークの曲げ加工を行うものであるから、前記トップダイとボトムダイとによってワークを強固に挟圧することがなく、挟圧に起因する圧痕を生じるようなことはないものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明に係る実施形態について説明するに、ベンダーの全体的構成は前記特許文献1等に記載されているように公知である。しかし、理解を容易にするために、ベンダーの全体的構成について概略的に説明する。
【0015】
図1を参照するに、ベンダー1は、下部フレーム3を備えており、この下部フレーム3の前側(
図1において右側)には、左右方向(
図1においては紙面に垂直な方向、X軸方向)に長い下部テーブル5が備えられている。そして、この下部テーブル5の上部には、左右方向に長いボトムダイ7が備えられている。
【0016】
前記下部フレーム3上には、枢軸9を介して上部フレーム11が上下方向に回動自在に備えられており、この上部フレーム11の前側には、前記下部テーブル5と上下に対向する上部テーブル13が備えられている。そして、この上部テーブル13の下部には、前記ボトムダイ7と対向して板状のワークWを上下方向から挟圧固定自在なトップダイ15が備えられている。
【0017】
前記上部フレーム11を上下に揺動(回動)し、かつ前記ボトムダイ7とトップダイ15との間にワークWを挟圧固定するために、揺動駆動手段17が備えられている。すなわち、前記下部テーブル5の下側部分にはブラケット19が備えられており、このブラケット19には、大略ブーメラン形状に湾曲した弾性リンク部材21の下端部が、枢軸23を介して回動自在に支持されている。そして、前記弾性リンク部材21の上端部は、前記上部テーブル13の上方位置において上部フレーム11に回動自在に備えた回転部材25の偏心位置に枢軸27を介して回動自在に連結してある。
【0018】
したがって、サーボモータ(図示省略)によって前記回転部材25を適宜に回動すると、前記枢軸27の位置は、回転部材25の回動にしたがって上下に変動することになる。すなわち、前記枢軸27の位置が下方に変動すると、上部フレーム11は枢軸9を中心として上方向に揺動し、トップダイ15とボトムダイ7によるワークWの挟圧固定を解放する。逆に、前記枢軸27が上方に変動すると、上部フレーム11は下方向に揺動することになる。そして、弾性リンク21が弾性変形することにより、トップダイ15とボトムダイ7とによってワークWを強固に挟圧固定することになる。
【0019】
既に理解されるように、前記回転部材25の回転位置を制御することにより、ボトムダイ7とトップダイ15によってワークWを強固に挟圧することができると共に、挟圧したワークWの解放を行うことができるものである。
【0020】
前述のように、ボトムダイ7とトップダイ15によって挟圧されたワークWの、ボトムダイ7、トップダイ15から後方向(
図1において左方向)に突出した部分WPを上下に折曲げ加工(しごき曲げ加工)するために、前記ボトムダイ7、トップダイ15の後方位置には曲げ型29が備えられている。この曲げ型29には、ワークWを下方向に折曲げ加工する上曲げ型部29Uと、ワークWを上方向に折曲げ加工する下曲げ型部29Lが備えられている。
【0021】
また、前記ベンダー1には、前記トップダイ15とボトムダイ7との間へワークWの供給位置決めを行うマニピュレータ31が備えられている。より詳細には、マニピュレータ31にはC形状のフレーム33が備えられており、このフレーム33には、ワークWを下側から支持するワーク支持部材35が備えられている。このワーク支持部材35は、フレーム33に備えたサーボモータ(図示省略)によって水平に回転されるものである。さらに、前記マニピュレータ31には、ワークWを前記ワーク支持部材35へ押圧するワーク押圧部材37が上下動可能かつ水平に回転自在に備えられている。
【0022】
また、前記マニピュレータ31を前後方向(Y軸方向)に移動位置決めする位置決め駆動機構39が備えられている。より詳細には、例えばサーボモータSMによって回転されるY軸方向のボールねじ41が備えられており、このボールねじ41には、前記フレーム33に備えたボールナット43が移動自在に螺合してある。したがって、制御装置(図示省略)の制御の下に前記サーボモータSMを駆動制御することにより、マニピュレータ21を前後方向に移動位置決めすることができるものである。そして、基準位置からのマニピュレータ31の移動位置は、位置検出手段の1例として、サーボモータSMに備えたロータリーエンコーダ45によって検出できるものである。
【0023】
前記構成において、マニピュレータ31におけるワーク支持部材35、ワーク押圧部材37によってワークWの中心位置を挟圧固定する。そして、ベンダー1におけるボトムダイ7とトップダイ15との間へワークWを供給し位置決めする。その後、ボトムダイ7とトップダイ15によってワークWを、動かないように強固に挟圧固定した状態に保持して、曲げ型29によってワークWの曲げ加工が行われるものである。上述のように、ワークWを強固に固定すると、ワークWには、例えばトップダイ15の押え跡(圧痕)が生じることがある。
【0024】
そこで、前記圧痕の発生を抑制するために、前記トップダイ15による押圧力を殆ど零に保持して、曲げ型29によってワークWの曲げ加工(しごき曲げ)を行ったところ、ワークWの曲げ加工を行うことができた。この場合、トップダイ15等による圧痕の発生を抑制することができた。上述のように、トップダイ15等の圧痕がワークWに生じないようにワークWを押圧するには、前記トップダイ15は、ワークWの上面に軽く接触してもよい。また、ワークWの上面とトップダイ15との間に僅かなクリアランスが生じた状態であってもよいものである。
【0025】
上述のように、トップダイ15等の圧痕が生じないように、ボトムダイ7とトップダイ15との間にワークWを保持すると、曲げ型29によってワークWの折曲げ加工を行うとき、ワークWが僅かに移動する。また、ワークWの曲げRは、トップダイ15とボトムダイ7とによってワークWを挟圧固定した場合に比較して僅かに大きくなった。すなわち、トップダイ15による押圧力を殆ど零に保持して(圧痕を生じないように保持して)曲げ加工を行うことは、ワークWの曲げ加工精度はともかくも、圧痕発生による外観の劣化を防止しての曲げ加工には有効であることを見出した。
【0026】
次に、ワークWの曲げRを小さくし、かつ折り曲げ部の立上り寸法の向上を図るために、また、ワークWの曲げ加工がより容易に行われ得るように、
図2に示すように、ワークWの一側面(上面又は下面)に、例えばV溝などのごとき曲げ溝47を形成した。そして、この曲げ溝47の位置をトップダイ15の先端部(先端縁)15Eの位置に位置決めし、トップダイ15による押圧力を殆ど零に保持するために、トップダイ15とボトムダイ7との間隔を、ワークWの移動を許容する間隔、すなわち(板厚+α)に保持した。ここで、αは、ワークWに被覆した保護膜を考慮して予め定められたパラメータで、0mm〜1.0mmの範囲である。
【0027】
上述のように、曲げ溝47の位置をトップダイ15の先端部15Eと一致した状態に位置決めし、曲げ溝47を曲げ角の内側にして曲げ加工を行ったところ、ワークWに圧痕を生じることなく、曲げ溝47の位置において折曲げ加工を行うことができた。したがって、前記トップダイ15による押圧力を零にして圧痕の発生を抑制して折曲げ加工を行う場合、ワークWに曲げ溝47を形成することは有効である。すなわち、ワークWに、ワークWの板厚の約1/2〜2/3程度の深さの曲げ溝47を形成することにより、曲げ溝47部分におけるワークWの強度が低下し、かつ折曲げ加工時に応力が集中することとなり、トップダイ15による押圧力が零であっても、曲げ溝47の位置で正確に曲げ加工できるものである。
【0028】
ところで、トップダイ15とボトムダイ7によって強固に挟圧固定しない場合には、曲げ型29によってワークWの折曲げ加工を行うとき、ワークWは僅かに移動されるものである。そこで、ワークWにおける曲げ溝47を、トップダイ15における先端部15Eの外方向(
図2において左方向)であって、曲げ型29との間に位置決めした。そして、前記マニピュレータ33を移動位置決めするサーボモータSMをOFFにして、ボールねじ41を、自由に回転自在な状態(サーボオフ)にする。そして、前記曲げ溝47を内側にして、曲げ型29によって曲げ加工を行ったところ、良好な曲げ加工が行われた。
【0029】
ところで、サーボモータSMをサーボオフしたとき、前記ワーク支持部材35を回転するサーボモータもサーボオフとすることが望ましい。しかし、サーボオフとすることなく、例えば0速度制御(モータに0rpmの速度指令を与えた速度制御)とすることも可能である。
【0030】
上述のように、トップダイ15の先端部15Eと曲げ型29との間にワークWの曲げ溝47を位置決めする。そして、トップダイ15とボトムダイ7との間隔を、ワークWの移動を許容すべく、ワークWの板厚又は板厚より僅かに大きな間隔に保持する。この状態において、曲げ型29によってワークWの、トップダイ15、ボトムダイ7から突出した部分WPを、曲げ溝47を内側にして曲げ加工を行うと、ワークWの突出した部分WPは、
図2において、曲げ溝47を中心として上方向へ次第に曲げられると共に、
図2において次第に右方向へ僅かに移動される。
【0031】
そして、曲げ溝47の部分がトップダイ15の先端部15Eに達すると、既に曲げられた状態の部分が前記先端部15Eに当接する。したがって、曲げ溝47の位置がトップダイ15の先端部15Eの位置に位置決めされた状態においてさらに曲げ加工されることとなり、精度のよい曲げ加工が行われ得ることが分かった。
【0032】
なお、前記トップダイ15の先端部15EとワークWにおける曲げ溝47との距離寸法(間隔寸法)が2.5mm以上になると、ワークWの移動量が大きくなる。したがって、ボトムダイ7とワークWとの擦れ量が大きくなり、ワークWに保護フィルムが被覆してあると、保護フィルムの破れが発生し易いものである。よって、ワークWの板厚及び曲げ溝47の深さに拘わりなく、トップダイ15の先端部15EとワークWの曲げ溝47との間隔寸法は2.5mm以下であることが望ましいものである。
【0033】
なお、ワークWの曲げ溝47を下側にして、ワークWの突出部分を下側に曲げ加工する場合にも同様であった。
【0034】
ところで、前述のように、ワークWに曲げ溝47を形成してワークWの曲げ加工を行うと、曲げ溝47の部分において容易に曲げ加工できるものである。そして、本実施形態においては、位置決め駆動機構39におけるサーボモータSMをOFFにして、ボールねじ41をフリーな状態に保持しているものである。
【0035】
したがって、マニピュレータ31によってボトムダイ7とトップダイ15との間へワークWを供給し位置決めしたとき、例えば、ワークの折曲げ線に対して曲げ溝47が平行でなく、
図3に誇張して示すように、前記ワークWの曲げ溝47が左右方向に平行でなく、トップダイ15の先端部15Eに対して前後方向に僅かに傾斜しているような場合であっても、平行な状態に修正されるものである。すなわち、曲げ型29によるワークWの突出部の曲げ加工時に、ワークWが強度の弱い曲げ溝47部分において曲げられる。
【0036】
この際、ワークWは曲げ溝47の部分において次第に折曲げ加工されるものの、ワークWの左右両側においては、ワークWの曲げ溝47の部分から曲げ型29までの間隔寸法が異なるので、曲げ型29の上下動位置が左右同一であっても、ワークWにおいてボトムダイ7、トップダイ15から後方向へ突出した部分WPの曲げ角度が左右両側において異なることになる。そして、曲げ型29によって前記突出部分WPを折曲げるときに、ワークWの突出部分WPに作用する押圧力の分力が左右両側において僅かに異なることになる。すなわち、ワークWは、曲げ溝47の左右両側がトップダイ15の先端部15Eに一致するように移動されることになる。
【0037】
そして、前記曲げ溝47がトップダイ15の先端部15Eに一致した状態において、前記曲げ溝47の部分において曲げ加工されることになる。したがって、例えばワークWの位置決め精度が高精度に行われない場合であっても、ワークWに形成した曲げ溝47の部分において正確に曲げ加工されるものである。
【0038】
上記説明から理解されるように、ワークWの位置決めを行った後、ボトムダイ7とトップダイ15との間隔を、ワークWの板厚又は板厚より僅かに大きな間隔であって、ワークWの移動を許容する間隔に保持する。そして、ワークWの供給位置決めを行うマニピュレータ31のサーボモータSMをOFFにして、マニピュレータ31を移動可能な状態に保持して曲げ型29によってワークWの突出部分WPの曲げ加工を行うと、ワークWが僅かに移動されるものである。
【0039】
したがって、曲げ型29によって前記突出部分WPの曲げ加工を行う際のワークWの移動量は、サーボモータSMに備えた、移動検出手段の1例としてのロータリーエンコーダ45のパルス出力を計数することによって検出することができるものである。前記ワークWの移動量を検出するために、また、前記ベンダー1及びマニピュレータ31の動作を制御するために制御装置49(
図4参照)が備えられている。
【0040】
上記制御装置49はコンピュータから構成してあって、CPU51を備えている。この制御装置49には、位置検出手段としての前記ロータリーエンコーダ45が接続してある。そして、上記ロータリーエンコーダ45から出力されるパルス数を計数する計数手段53が前記制御装置49に備えられている。また、この計数手段53の計数値に基づいて、ワークWにおける突出部分WPの曲げ加工時の移動量を演算する演算手段55が備えられている。
【0041】
また、前記制御装置49には、ワークWの材質、板厚、ワークWに形成された曲げ溝47の位置データなどを入力する入力手段57が接続してある。そして、前記制御装置49には、前記入力手段57から入力された各種のデータを格納するデータメモリ59が備えられている。また、前記制御装置49には、前記データメモリ59に格納された曲げ溝47の位置データに基づいて、ワークWの位置決めを行うべく前記サーボモータSMの動作を制御するモータ制御手段61が備えられている。
【0042】
さらに、前記制御装置49には、前記演算手段55の演算結果による移動量を格納する補正値メモリ63が備えられている。また、前記制御装置49においては、前記データメモリ59に格納された位置データと補正値メモリ63に格納された移動量に基づいて、ワークWの曲げ溝47の位置決め位置の補正値が前記演算手段55によって演算される。そして、この演算された補正値に基づいて前記モータ制御手段61が制御され、ワークWの曲げ溝47がトップダイ15、ボトムダイ7の先端部15E,7E付近の所定位置(先端部15E,17Eから2.5mm以下の位置)に正確に位置決めされるものである。
【0043】
さらに、前記制御装置49には、前記入力手段57から入力されたワークWを、ボトムダイ7、トップダイ15によって上下から挟持するとき、上記ボトムダイ7とトップダイ15との間隔を、ワークWの移動を許容する間隔に保持すべく、前記揺動駆動手段17の動作を制御する間隔制御手段65が備えられている。すなわち、上記間隔制御手段65は、前記データメモリ59に格納された板厚データを参照して、また、前記パラメータαを格納したパラメータメモリ67を参照して、前記ボトムダイ7とトップダイ15との間隔を、ワークWの板厚又は(板厚+α)の間隔に制御する作用をなすものである。
【0044】
上記構成により、入力手段57からワークWに関する各種のデータを入力すると、この各種データはデータメモリ59に格納される。そして、マニピュレータ31におけるワーク支持部35、ワーク押圧部材37によってワークWの中心位置(基準位置)を上下方向から挟圧保持する。その後、前記データメモリ59に格納されたワークWの曲げ溝47の位置を、ボトムダイ7、トップダイ15の先端部7E,15E付近の所定位置に位置決めする。
【0045】
その後、前記ボトムダイ7、トップダイ15によってワークWを挟圧保持するとき、ボトムダイ7とトップダイ15との間隔を、ワークWの板厚又は板厚よりも僅かに大きな間隔、すなわちワークWの突出部分WPの曲げ加工を行う際に、僅かに移動可能な間隔を保持する。また、マニピュレータ31の移動位置決めを行うサーボモータSMをOFF状態にして、マニピュレータ31を移動可能な状態に保持する。その後、曲げ型29を上下動して、ワークWの突出部分WPの曲げ加工を行う。
【0046】
この際、ボトムダイ7、トップダイ15の先端部7E,15EとワークWの曲げ溝47の位置が僅かに位置ずれしていると、前述したように、前記曲げ溝47の位置がボトムダイ7、トップダイ15の先端部7E,15Eと一致するように移動される。この際の移動量はロータリーエンコーダ45によって検出され、補正値メモリ63に格納される。したがって、前述したように、ワークWの曲げ溝47の次回の位置決め時には、前記移動量に基づいて曲げ溝47の位置決め位置を補正できることになる。
【0047】
ところで、前述したように、ワークWの曲げ加工を行う際に、ワークWの曲げ溝47とボトムダイ7、トップダイ15の先端部7E,15Eとの位置が僅かに位置ずれしていると、前記先端部7E,15Eに曲げ溝47が一致するように、ワークWが僅かに移動されて、曲げ溝47の位置において曲げ加工されるものである。そして、前記ワークWの僅かな移動は、位置検出手段45によって検出されるものである。
【0048】
したがって、例えば、マニピュレータ31によってワークWの折曲げ位置(折曲げ線の位置)をボトムダイ7,トップダイ15の先端部7E,15Eと一致する位置に位置決めしたにも拘わらず、ワークWの曲げ加工を行う際に、ワークWが予め設定した設定値以上移動した場合には、ワークWの折曲げ線の位置とワークWに形成した曲げ溝47の位置とが許容値以上位置ずれしているものとして検知することができる。換言すれば、ワークWの予め設定された折曲げ線の位置に対する曲げ溝47の形成位置の位置精度を検知できることになるものである。
【0049】
よって、ワークWの折曲げ線の位置に一致した状態に曲げ溝47を形成すべく、曲げ溝47の形成位置の精度向上を図ることができるものである。
【0050】
ところで、ベンダー1によってワークWの曲げ加工を行うとき、ベンダー1の能力によって、ワークWの板厚は、例えばAmmに制限されるものである。しかし、前述したように、ワークWに曲げ溝47を形成して、ワークWの曲げ部分の強度を弱くするものであるから、ワークWがAmmよりも厚い場合であっても、容易に曲げ加工を行い得るものである。
【0051】
なお、前述したように、サーボオフにしてマニピュレータ31を移動可能な状態に保持してワークWの曲げ加工を行うものである。したがって、ワークWの曲げ加工時にワークWが僅かに移動する場合、マニピュレータ31はワークWと一体的に僅かに移動するものである。よって、ワークWとワーク支持部35、ワーク押圧部材37との相対的な移動が抑制される。ために、ワークWに保護膜が被覆してある場合であっても、ワーク支持部35、ワーク押圧部材37の部分において保護膜が破損することを防止できるものである。
【課題】板状のワークに曲げ溝を形成して曲げ加工を行うとき、上記曲げ溝とトップダイの先端部とが位置ずれしている場合であっても、前記曲げ溝の部分において正確に曲げ加工を行うことができるワークの折曲げ加工方法及びベンダーを提供する。
【解決手段】トップダイ、ボトムダイ及び曲げ型を備えたベンダーによるワークの折曲げ加工方法であって、ワークWに形成した曲げ溝47を内側にして前記曲げ型29によってワークWの折曲げを行うに当たり、前記トップダイ15とボトムダイ7との間隔を、前記ワークWの移動を許容する間隔に保持した状態においてワークの折曲げを行う。前記トップダイ15の先端部15E又は前記ボトムダイ7の先端部7Eから離隔した位置にワークWの前記曲げ溝47を位置決めし、前記曲げ型29によってワークWの折曲げを行う際に、前記曲げ溝47を、前記トップダイ15又はボトムダイ7の先端部位置へ移動し位置決めする。