(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6064025
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】充電式電動工具及び充電式切断工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20170106BHJP
B27B 19/09 20060101ALI20170106BHJP
B27B 19/04 20060101ALI20170106BHJP
B23D 49/16 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
B25F5/00 B
B25F5/00 H
B25F5/00 Z
B27B19/09
B27B19/04
B23D49/16
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-235862(P2015-235862)
(22)【出願日】2015年12月2日
(62)【分割の表示】特願2012-96723(P2012-96723)の分割
【原出願日】2012年4月20日
(65)【公開番号】特開2016-28846(P2016-28846A)
(43)【公開日】2016年3月3日
【審査請求日】2015年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】林 雅訓
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 将裕
(72)【発明者】
【氏名】林 克名
(72)【発明者】
【氏名】大村 翔洋
(72)【発明者】
【氏名】可児 利之
【審査官】
小川 真
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−170203(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0090504(US,A1)
【文献】
特開2008−183691(JP,A)
【文献】
特開2011−131367(JP,A)
【文献】
特開平09−290377(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第4027135(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B23D 49/16
B23B 45/00
B27B 5/00
B27B 19/04
B27B 19/09
B24B 23/02
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方へ突出する前部から後方へ延びるハンドルが一体に設けられ、モータを収容したハウジングに、前記モータに電源を供給するバッテリーパックが着脱可能に備えられていると共に、前記モータの駆動で動作する工具が備えられてなる充電式電動工具であって、
前記ハウジングには、前記前部から前記ハンドルにかけて把持領域が形成され、前記把持領域には、前記モータの前記駆動の開始を待つ待機状態に設定可能な待機スイッチと、前記待機状態から前記モータを駆動状態にして該駆動状態を維持可能なロックオンスイッチとが並べて配置されていることを特徴とする充電式電動工具。
【請求項2】
前記待機スイッチと前記ロックオンスイッチとは、前記ハウジングの側面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の充電式電動工具。
【請求項3】
前記待機スイッチと前記ロックオンスイッチとは、同じ大きさ及び形状で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の充電式電動工具。
【請求項4】
前記バッテリーパックは、前記ハウジングの後部下面に装着されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の充電式電動工具。
【請求項5】
モータを収容するハウジングと、前記ハウジングの前部と後端との間に延設されたハンドルと、前記ハンドルに設けられるトリガと、前記ハウジングに着脱可能なバッテリーパックと、前記モータの駆動で動作するブレードと、前記ハウジングに固定されるベースとを含んでなる充電式切断工具であって、
前記ハウジング内に、前記モータの制御装置が設けられる一方、
前記バッテリーパックから前記制御装置に電源を供給させて前記モータの前記駆動の開始を待つ待機状態に設定可能な待機スイッチと、前記待機状態から前記モータを駆動状態にして該駆動状態を維持可能なロックオンスイッチと、が設けられると共に、
前記待機スイッチが、前記ハウジングの前部の上面に配置され、
前記ロックオンスイッチが、前記待機スイッチの後方で前記ハンドルに配置されて、前記ロックオンスイッチの下方に前記トリガが配置されていることを特徴とする充電式切断工具。
【請求項6】
前記待機スイッチが、押圧操作によってオンする押圧スイッチで構成されることを特徴とする請求項5に記載の充電式切断工具。
【請求項7】
前記ハンドルの下方に前記モータが配置され、前記モータの後方に前記制御装置が配置され、前記制御装置の後方に前記バッテリーパックが配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の充電式切断工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モータを収容したハウジングに、前記モータに電源を供給するバッテリーパックを着脱可能に備えると共に、前記モータの駆動で動作する工具を備えた充電式電動工具
と、当該工具がブレードである充電式切断工具とに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に充電式電動工具では、ハウジング等にバッテリーパックを装着した状態でモータに電源を供給することが可能になる。そして充電式電動工具では、運搬時に誤ってスイッチがオン状態になることを防いだり、ハウジング等にバッテリーパックを装着した際に誤ってモータに電源が供給されることを防ぐことができて、モータを駆動させないロックオフ状態を保つロックオフ機構が装備されている。
例えば非特許文献1には、モータを収容したハウジングに、モータに電源を供給するバッテリーパックを着脱可能として、前記ハウジングの前方に、モータの駆動で往復動するロッドを下向きに突出させて、ロッドの下端に連結した切断刃で、被切断材を切断する充電式ジグソーが開示されている。非特許文献1に記載の充電式ジグソーでは、前記ハウジングの前部と後部との間に延設されたハンドルに、バッテリーパックからモータに電源を供給する状態と供給しない状態とに切替可能なトリガを有するスイッチが収容されている。この充電式ジグソーでは、操作者がハンドルを握りながらトリガをハンドル内に押し込むと、前記スイッチがオン状態になってモータが駆動される。これに伴って切断刃が往復動して被切断材を切断できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】総合カタログ/株式会社マキタ、2012年1月、p57、[2012年4月16日検索]、<URL:http://www.makita.co.jp/product/ecatalog/sougou/index.html#56>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の充電式ジグソーに代表される充電式電動工具では、被切断材を切断する作業時には、工具の一例である切断刃を往復動させるためにモータへ電源を供給し続ける必要がある。そのために被切断材を切断する作業を行う間は、操作者は、握ることが可能なハンドルに収容されたスイッチのトリガを、ハンドル内に押し込む操作を継続しなければならなかった。このような場合には、操作者にとって、トリガをハンドル内に押し込む操作が負担になることに伴い、工具によって被切断材のような被加工材を加工する作業がし辛くなるという不都合があった。
【0005】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、ロックオフ状態を保つことが可能であることに加え、操作者の負担を軽減し、被加工材を加工する作業をし易くした充電式電動工具
及び充電式切断工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、上方へ突出する前部から後方へ延びるハンドルが一体に設けられ、モータを収容したハウジングに、モータに電源を供給するバッテリーパックが着脱可能に備えられていると共に、モータの駆動で動作する工具が備えられてなる充電式電動工具であって、ハウジングには、前部からハンドルにかけて把持領域が形成され、把持領域には、モータの駆動の開始を待つ待機状態に設定可能な待機スイッチと、待機状態からモータを駆動状態にして該駆動状態を維持可能なロックオンスイッチとが並べて配置されていることを特徴とする。
ここで、把持領域とは、操作者が直接把持する領域に加えて操作者の指が届く範囲を含むものとする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、待機スイッチとロックオンスイッチとは、ハウジングの側面に配置されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、待機スイッチとロックオンスイッチとは、同じ大きさ及び形状で形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、バッテリーパックは、ハウジングの後部下面に装着されていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、モータを収容するハウジングと、ハウジングの前部と後端との間に延設されたハンドルと、ハンドルに設けられるトリガと、ハウジングに着脱可能なバッテリーパックと、モータの駆動で動作するブレードと、ハウジングに固定されるベースとを含んでなる充電式切断工具であって、
ハウジング内に、モータの制御装置が設けられる一方、バッテリーパックから制御装置に電源を供給させてモータの駆動の開始を待つ待機状態に設定可能な待機スイッチと、待機状態からモータを駆動状態にして該駆動状態を維持可能なロックオンスイッチと、が設けられると共に、待機スイッチが、ハウジングの前部の上面に配置され、ロックオンスイッチが、
待機スイッチの後方でハンドルに配置されて
、ロックオンスイッチの下方にトリガが配置されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5の構成において、
待機スイッチが、押圧操作によってオンする押圧スイッチで構成されることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6の構成において、
ハンドルの下方にモータが配置され、モータの後方に制御装置が配置され、制御装置の後方にバッテリーパックが配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、工具で被加工材を加工する前においては、待機スイッチを操作するまではロックオフ状態を保つことができる。したがって、待機スイッチを設けることでロックオフ機構と同等の働きをさせることできる。加えて、待機スイッチを操作して待機状態に設定した後に、ロックオンスイッチを操作することで、待機状態からモータの駆動状態を維持するように移行させることができる。よって、前記駆動状態を維持するためにスイッチを操作し続ける必要がなく、該駆動状態を維持するための操作者の負担を軽減できる。これに伴って、工具で被加工材を加工する作業がし易くなる。
また、操作者は、把持領域を把持したままの状態で、待機スイッチとロックオンスイッチとの操作が可能になる。したがって、待機スイッチとロックオンスイッチとの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1の充電式ジグソーの全体斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態2の充電式ジグソーの全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1ないし
図3を参照しつつ説明する。図示するように充電式ジグソー1は、ハウジング2と、ブレード3と、ベース4とを備えている。この充電式ジグソー1は本発明の充電式電動工具の一例である。
図2に示すようにハウジング2は、前部5を後方側(
図2の右側)よりも上方へ突出させた側面視L字状となるように形成されている。ハウジング2の中央部にはモータMが収容されて、ハウジング2の後部(
図2の右側)の下面には、バッテリーパック6が着脱可能に装着される。このバッテリーパック6は、後述するロックオンスイッチ16(
図2参照。)のオン状態でモータMに電源を供給する。加えてハウジング2には制御装置7が収容されている。バッテリーパック6には、後述の待機スイッチ15(
図2参照。)を介して制御装置7に電源を供給可能なリード線(図示せず。)が接続されている。
【0010】
一方前部5には往復動機構が収容されている。モータMの回転は、ギヤを介して往復動機構に伝達される。さらに前部5の内部には、ロッド(図示せず。)が上下動可能に支持されている。前記往復動機構は、モータMの回転をロッドの上下方向Y(
図2及び
図3参照。)の往復動に変換する。ロッドの下端部はハウジング2の外部に位置し、この下端部にはブレード取付部8(
図2及び
図3参照。)が設けられている。加えて前部5内の前側下方には、発光ダイオード(LED)9が保持されている。LED9が前部5内に保持された状態では、LED9の発光部は、前部5の下面の開口を通じて下方に向けられている。
【0011】
ブレード3は、
図1ないし
図3に示すように直線状の形状を有しブレード取付部8に固定されている。なおブレード3は本発明の工具の一例である。ベース4は、前部5の下面に固定されている。このベース4は、被切断材W(
図2及び
図3参照。)の上面に当接させるために用いられる。
【0012】
前部5は、
図2及び
図3に示すようにモータMの前方に当たる位置にあり、充電式ジグソー1を操作する際に操作者に把持される。以下に説明する前部5の左側面とは
図1中の奥側の前部5の側面を指し、前部5の右側面とは
図1中の手前側の前部5の側面を指すものとする。
【0013】
図1ないし
図3に示すように前部5の外面には、該前部5の左右の両側面におけるロッドの延長線上よりも後方側から背面にかけて滑り止め部10が形成されている。この滑り止め部10には、窪み11が複数設けられている。これにより、前部5の把持性能が向上し、操作者は前部5を安定して把持できる。
【0014】
さらに
図2及び
図3に示すように、前部5の左右の両側面におけるロッドの延長線上に、待機スイッチ15とロックオンスイッチ16とが同一線上で上下二段に配置されている。ここでは待機スイッチ15を上段に、ロックオンスイッチ16を下段にそれぞれ配置した。加えて前部5の左側面の待機スイッチ15と右側面の待機スイッチ15とは、ハウジング2の左右方向X(
図1参照。)で対称な位置に配置されている。さらに前記左側面のロックオンスイッチ16と前記右側面のロックオンスイッチ16とは、前記左右方向Xで対称な位置に配置されている。前部5の右側面に配置された待機スイッチ15及びロックオンスイッチ16については、操作者が右手で滑り止め部10を把持した状態で、右手の人差し指で押圧操作可能とされている。また、前部5の左側面に配置された待機スイッチ15及びロックオンスイッチ16については、操作者が左手で滑り止め部10を把持した状態で、左手の人差し指で押圧操作可能とされている。なお、前部5の左右の両側面から背面にかけての領域は本発明の把持領域の一例である。
【0015】
待機スイッチ15は、押圧スイッチで構成されて、押圧操作によって所定のストローク量だけ移動可能な押圧片を有している。待機スイッチ15の押圧片を一度押圧操作することで待機スイッチ15はオン状態になる。待機スイッチ15がオン状態になることで、充電式ジグソー1は、休止状態からモータMの駆動の開始を待つ待機状態へ移行する。待機状態では、バッテリーパック6から制御装置7に電源が供給される。このとき制御装置7は、LED9を発光させる制御を行う。
【0016】
一方ロックオンスイッチ16も、待機スイッチ15と同様に押圧スイッチで構成されている。ロックオンスイッチ16の押圧片を一度押圧操作することでロックオンスイッチ16はオン状態になる。待機スイッチ15がオン状態のときにロックオンスイッチ16をオン状態にすることで、バッテリーパック6からモータMに電源を供給する状態が維持される。その結果充電式ジグソー1は、前記待機状態からモータMを駆動させてこの駆動を維持する状態へ移行する。
【0017】
次に本実施形態の充電式ジグソー1の動作を説明する。ここでは、操作者が右手で滑り止め部10を把持して充電式ジグソー1を操作する例を説明する。操作者が、ベース4を被切断材Wの上面に当接させて、滑り止め部10を把持した状態で右手の人差し指により前部5の右側面の待機スイッチ15の押圧片を一度押圧操作する。すると、充電式ジグソー1は待機状態になって、制御装置7がLED9を発光させる。これによりLED9が放つ光が、前部5の下面の開口を通じて被切断材W上に照射される。したがって、操作者は被切断材W上に光が照射されていることを目視で確認することで、待機状態に設定されていることを認識できる。なおLED9は、本発明の報知手段の一例であり、ブレード3で被切断材Wを切断する位置に光を照射して該位置を見易くする照明体を兼用する。
【0018】
続いて操作者が、滑り止め部10を把持したままの状態で、右手の人差し指で前記右側面のロックオンスイッチ16の押圧片を一度押圧操作する。これにより、バッテリーパック6からモータMに電源が供給される状態が維持される結果、前記待機状態からモータMの駆動を維持する状態に移行する。これに伴って往復動機構が動作すると、前記ロッドと共にブレード3が上下方向Yに往復動して被切断材Wを切断する。本実施形態では、被切断材の切断作業時には、ロックオンスイッチ16の押圧片を一度押圧操作するだけでよく、モータMの駆動状態を維持するために、スイッチの押圧操作を継続する必要がない。
【0019】
そして切断作業が終了した後に操作者が、待機スイッチ15又はロックオンスイッチ16のどちらか一方の押圧片を一度押圧操作すると、制御装置7は、バッテリーパック6から該制御装置7への電源の供給やモータMへの電源の供給をそれぞれ停止する制御を行って、充電式ジグソー1を休止状態に復帰させる。
なお、制御装置7は、該制御装置7に接続されたタイマで、前記待機状態に設定されてからロックオンスイッチ16が押圧操作されることなく所定時間が経過してタイマの設定時間が零になったことを検知すると、待機スイッチ15をオフ状態にする制御を行う。これに伴って、待機状態が解除されて休止状態に復帰する。なお制御装置7は本発明の制御手段の一例である。
【0020】
また、操作者が左手で滑り止め部10を把持して充電式ジグソー1を操作する場合にも、操作者は、滑り止め部10を把持したままの状態で、左手の人差し指で前部5の左側面の待機スイッチ15やロックオンスイッチ16を押圧操作することが可能になる。加えて、操作者が左手で滑り止め部10を把持して充電式ジグソー1を操作する場合にも、被切断材の切断作業時には、左手の人差し指でロックオンスイッチ16の押圧片を一度押圧操作するだけでよく、モータMの駆動状態を維持するために、スイッチの押圧操作を継続する必要がない。さらに加えて制御装置7は、切断作業の終了後に左側面の待機スイッチ15又はロックオンスイッチ16のどちらか一方の押圧片を一度押圧操作すると、充電式ジグソー1を休止状態に復帰させる。
なお、制御装置7は、前記左側面の待機スイッチ15を操作して待機状態に設定されてから前記左側面のロックオンスイッチ16が押圧操作されることなく所定時間が経過した場合に待機状態を解除する。
【0021】
その上本実施形態では、前部5の左側面の待機スイッチ15と右側面の待機スイッチ15とを、ハウジング2の左右方向Xで対称な位置に配置し、前記左側面のロックオンスイッチ16と前記右側面のロックオンスイッチ16とを、前記左右方向Xで対称な位置に配置した。このため操作者は、左右どちらの手で滑り止め部10を把持する場合にも、左側面の各スイッチ15、16と右側面の各スイッチ15、16とを同じように操作することが可能になる。
【0022】
<本実施形態1の効果>
本実施形態の充電式ジグソー1では、ブレード3で被切断材Wを切断する前においては、待機スイッチ15を押圧操作するまではロックオフ状態が保たれる。したがって、待機スイッチ15を設けることでロックオフ機構と同等の働きをさせることできる。
加えて、待機スイッチ15の押圧片を一度押圧操作して待機状態に設定した後に、ロックオンスイッチ16の押圧片を一度押圧操作することで、待機状態からモータMの駆動を維持する状態に移行できる。よって、モータMの駆動を維持するためにスイッチの押圧操作を継続する必要がなく、モータMの駆動を維持するための操作者の負担を軽減できる。これに伴って、ブレード3で被切断材Wを切断する作業がし易くなる。
【0023】
また操作者は、ハウジング2の滑り止め部10を把持したままの状態で、待機スイッチ15とロックオンスイッチ16との押圧操作が可能になる。したがって、待機スイッチ15とロックオンスイッチ16との操作性を向上させることができる。
【0024】
さらに、待機状態では制御装置7によってLED9が発光するように制御されるため、LED9が放つ光によって、操作者は、待機状態に設定されていることを容易に認識できる。
【0025】
加えて制御装置7は、待機状態に設定されてから所定時間が経過した後に、待機状態を解除する制御を行うため、待機スイッチ15で一度待機状態に設定した場合でも、待機状態に設定されてから所定時間の経過後は、制御装置7で待機状態を解除できる。したがって、待機状態が維持され続けることを防止できる。
【0026】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を
図4を参照しつつ説明する。ここでは実施形態1と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略する。本実施形態の充電式ジグソー1Aは、ハウジング2Aの前部5と後端(
図4の右側)との間に延設されたハンドル20を備えている。
図4に示すようにハンドル20は、前記後端と一体とされて該後端から上方へ延びた後に前部5に向けて緩やかに上り傾斜して該前部5の背面と一体にされている。ハンドル20は、充電式ジグソー1Aを操作する際に操作者に把持される。バッテリーパック6は、ハウジング2Aの後端面及びハンドル20の後端面に対し上下方向へスライドさせることで着脱可能とされている。
【0027】
また
図4に示すように前部5の上面には、待機スイッチ15が配置されている。さらにハンドル20には、下側からハンドル20内に押し込み可能なトリガ17を有するスイッチ16Aが収容されている。加えてハンドル20には、ロックオンボタン21が、ハンドル20の左右からハンドル20内に押し込み可能に配置されている。ロックオンボタン21は円柱状とされている。本実施形態では、トリガ17をハンドル20内に押し込んでスイッチ16Aをオン状態にする押込位置に移動させた後に、ロックオンボタン21をハンドル20内に押し込むと、トリガ17をハンドル20内に押し込んだ状態(ロックオン状態)を維持できる。そしてハンドル20の外面には、ハンドル20の前後方向(
図4の左右方向)で所定長さに亘り滑り止め部10が形成されている。
【0028】
次に本実施形態の充電式ジグソー1Aの動作を説明する。この充電式ジグソー1Aでは待機スイッチ15を、操作者が右手でハンドル20の滑り止め部10を把持しながら右手の親指が届く範囲で前部5の上面に配置した。操作者が右手でハンドル20の滑り止め部10を把持しながら右手の親指で待機スイッチ15の押圧片を一度押圧操作すると、待機状態になってLED9が発光する。この状態で操作者が、滑り止め部10を把持しながら右手の人差し指でトリガ17をハンドル20内に押し込んだ後に、前記押込位置でロックオンボタン21を左手でハンドル20内に押し込む。その結果、ロックオン状態が維持される。このときトリガ17から人差し指を離してもスイッチ16Aはオン状態に保たれて、実施形態1と同様にモータMの駆動を維持できる。なお、ハンドル20及び前部5の上面で待機スイッチ15を配置した領域は、本発明の把持領域の一例である。また、トリガ17を有するスイッチ16A及びロックオンボタン21は本発明のロックオンスイッチの一例である。
【0029】
一方、操作者が左手で滑り止め部10を把持して充電式ジグソー1Aを操作する場合にも、操作者は、左手の親指で待機スイッチ15の押圧片の押圧操作が可能となる。これに加えて操作者は、左手で滑り止め部10を把持しながら左手の人差し指でトリガ17をハンドル20内に押し込んで、前記押込位置でロックオンボタン21を右手でハンドル20内に押し込むことが可能になる。
【0030】
加えて本実施形態では、バッテリーパック6がハウジング2Aの後端面及びハンドル20の後端面から取り外されると、待機スイッチ15はオフ状態になる。したがって、バッテリーパック6を、一旦前記両後端面から取り外した後に再度前記後端面に取り付けたときは、例えロックオン状態が維持されていても、誤ってモータMを駆動させることがない。
【0031】
<実施形態2の効果>
本実施形態のジグソー1Aでは、待機スイッチ15の押圧片を一度押圧操作して待機状態に設定した後に、スイッチ16Aをオン状態にする押込位置でトリガ17をハンドル20内に押し込んだ状態が維持できることで、待機状態からモータMの駆動を維持する状態に移行できる。よって、モータMの駆動を維持するためにトリガ17をハンドル20内に押し込む操作を継続する必要がなく、モータMの駆動を維持するための操作者の負担を軽減できる。これに伴って、ブレード3で被切断材Wを切断する作業がし易くなる。
【0032】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。例えば上述した実施形態1とは異なり、前部5の左右の両側面におけるロッドの延長線上よりも前方位置に、待機スイッチ15とロックオンスイッチ16とを上下二段に配置してもよい。また実施形態1とは異なり、前部5の前後方向で左右の両側面に、待機スイッチ15とロックオンスイッチ16とを並設させてもよい。
【0033】
さらに実施形態1とは異なり、前部5の左側面又は右側面のいずれか一方に、待機スイッチ15とロックオンスイッチ16とを、上下二段に配置あるいは前部5の前後方向で並設してもよい。この場合には、前部5の左側面から背面にかけての領域又は前部5の右側面から背面にかけての領域のいずれか一方に、滑り止め部10を形成してもよい。なお、前記いずれか一方の領域は本発明の把持領域の一例である。加えて上述した実施形態2とは異なり、前部5の上面に待機スイッチ15を配置することや、ハンドル20に、トリガ17を有するスイッチ16Aやロックオンボタン21を設けることに代えて、実施形態1と同様に、前部5の左側面又は右側面の少なくともいずれか一方に、待機スイッチ15とロックオンスイッチ16とを、上下二段に配置してもよい。また、前記少なくともいずれか一方に、待機スイッチ15とロックオンスイッチ16とを、前部5の前後方向で並設してもよい。
【0034】
さらに加えて上述した実施形態1及び2では、本発明を充電式ジグソーに適用する例を示したが、これに限らず本発明を、充電式レシプロソーや充電式ハンマドリル等の充電式電動工具に適用してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1、1A・・充電式ジグソー、2、2A・・ハウジング、3・・ブレード、5・・前部、6・・バッテリーパック、7・・制御装置、9・・LED、10・・滑り止め部、15・・待機スイッチ、16・・ロックオンスイッチ、16A・・スイッチ、17・・トリガ、20・・ハンドル、21・・ロックオンボタン、M・・モータ。