検索に応答して反応する状態に戻す試みとして、初期値が未検出で、検索に応答して反応するときに検出済となるインベントリ済フラグを強制的に未検出にする、請求項1記載のタグ検出プログラム。
検索に応答して反応する状態に戻す試みとして、前記未検出RFIDタグを指定しての検索のとき、先のインベントリラウンドでの検索に使用したセッションの番号とは異なる番号のセッションを使用する、請求項1記載のタグ検出プログラム。
前記未検出RFIDタグの検索は、所定回数繰り返しても前記未検出RFIDタグからの反応がないとき、表示画面にエラー表示をするとともにエラーテーブルに記録する、請求項1記載のタグ検出プログラム。
前記検索テーブルは前記RFIDタグが付された備品を配備している全領域が複数の位置区分に分割されていて前記RFIDタグが前記位置区分のどこに属しているかを記録しており、反応のあった前記RFIDタグと前記タグ情報との比較は前記位置区分毎に行う、請求項1記載のタグ検出プログラム。
検索されるべき前記RFIDタグが複数の備品種別に付されている場合、ある前記位置区分でのある備品種別の前記RFIDタグの検索を終了すると、他の備品種別の前記RFIDタグの検索に切り替え、すべての備品種別の前記RFIDタグの検索を終了すると、同じ前記位置区分での前記RFIDタグの検索を終了する、請求項5記載のタグ検出プログラム。
検索によりフラグが未検出状態から検出状態に遷移して二度読み防止状態となるRFIDタグが添付されている備品が所定位置に備えられていることを点検する備品点検装置であって、
前記備品と前記備品に添付された前記RFIDタグのタグ情報との対応関係を記録した検索テーブルをサーバからダウンロードする検索テーブル取得部と、
前記検索テーブル取得部により取得した前記検索テーブルを記憶する検索テーブル記憶部と、
前記RFIDタグを検索するタグ検索部と、
検索により前記フラグが検出状態に遷移して応答のあった前記RFIDタグと前記検索テーブルの前記タグ情報とを比較して前記備品の存在を点検する比較処理部と、
前記比較処理部による比較により応答のあるはずの未検出RFIDタグがある場合に、前記タグ検索部に対して前記未検出RFIDタグを指定しての検索により前記フラグを未検出状態に戻す試みをして前記未検出RFIDタグの検索を行うように指示する再検索処理部と、
を備えていることを特徴とする備品点検装置。
タグ検索装置での検索によりフラグが未検出状態から検出状態に遷移して二度読み防止状態となるRFIDタグが添付されている備品が所定位置に備えられていることを点検する備品点検方法であって、
前記タグ検索装置が、
前記備品と前記備品に添付された前記RFIDタグのタグ情報との対応関係を記録した検索テーブルをサーバからダウンロードし、
前記備品に添付された前記RFIDタグを検索し、
検索により前記フラグが検出状態に遷移して応答のあった前記RFIDタグと前記検索テーブルの前記タグ情報とを比較し、
比較により応答のあるはずの未検出RFIDタグがある場合、前記未検出RFIDタグを指定しての検索により前記フラグを未検出状態に戻す試みをして前記未検出RFIDタグの検索を行う、
ことを特徴とする備品点検方法。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency IDentification)タグを備品に取り付けて常備されていなければならない備品の存在を確認する備品点検の手法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1では、旅客機の客室内に法規などで設置が義務づけられている備品、たとえば各座席に設置されているはずのライフベストが正しく設置されているか否かを点検することが記載されている。そのような備品は、それぞれRFIDタグがあらかじめ取り付けられた状態で所定位置に設置されており、離陸前の点検作業でRFIDタグの検索を行う。RFIDタグの検索は、HHT(ハンドヘルドターミナル)のような携帯端末装置が備えるリーダライタ装置を使用して行われる。
【0003】
図12はリーダライタ装置による一般的なタグ検出シーケンスを説明する説明図である。なお、この説明図では、タグ検出動作の説明を簡単にするために、コマンドのパラメータ、複数のRFIDタグが同時に反応するのを回避する調停ステートなどの説明は省略してある。
【0004】
リーダライタ装置が起動してキャリアがオンとなると、電波が届く範囲内にあるRFIDタグは、電波による電源の供給を受けてスタンバイステートになる。このとき、タグが備えるインベントリ済フラグは、その初期値である「未検出」状態となる。
【0005】
次に、リーダライタ装置は、検索対象の備品種別をパラメータで指定したSelectコマンドを発行する。これにより、スタンバイステートになったRFIDタグのうち、パラメータで指定された備品種別のRFIDタグが有効にされる。
【0006】
次に、リーダライタ装置は、Queryコマンドを発行し、このQueryコマンドを受信したRFIDタグは、スタンバイステートから応答ステートに遷移し、RFIDタグ自身を識別する乱数メッセージ(RN16)を作成して送信する。
【0007】
次に、乱数メッセージを受信すると、リーダライタ装置は、その乱数メッセージを含むACK(ACKnowledgement)コマンドを送信する。RFIDタグは、ACKコマンドを受信すると、応答ステートから承認ステートに遷移する。この承認ステートでは、RFIDタグは、一意の識別子であるEPC(Electronic Product Code)を送信し、インベントリ済フラグを「検出済」に設定する。
【0008】
そして、リーダライタ装置は、EPCを受信すると、そのEPCを有するRFIDタグの存在を確認し、検索されるべきRFIDタグのタグ情報が記録された検索テーブルの該当するRFIDタグのタグ情報を「検出済」に設定する。これにより、「検出済」に設定されたRFIDタグが付されている備品は、正しく設置されていると確認される。
【0009】
ここで、EPCを送信したRFIDタグは、インベントリ済フラグを「検出済」に設定しているので、リーダライタ装置がQueryコマンドを繰り返し発行しても、反応することはない。検出済のRFIDタグが反応しなくなることにより、リーダライタ装置は、検出済のRFIDタグの二度読みが防止されることになり、検索処理を簡素化することができる。この結果、旅客機の客室における備品の点検を効率よく高速に行うことができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施するように変更することができる。
【0021】
図1は第1の実施の形態に係る備品点検装置の機能ブロック図である。
備品点検装置1は、検索テーブル取得部2と、検索テーブル記憶部3と、タグ検索部4と、比較処理部5と、再検索処理部6とを備えている。一方、それぞれの備品に取り付けられるRFIDタグ7は、識別子8とフラグ9とを備え、フラグ9は、備品点検装置1の検索に対する応答時に未検出から検出済に反転可能な値を持つものである。
【0022】
備品点検装置1の検索テーブル取得部2は、備品に対応してそれぞれ取り付けられているRFIDタグ7のリスト(インベントリ)を記述したタグ情報の検索テーブルを取得するもので、その検索テーブルは、たとえばサーバからダウンロードされる。
【0023】
検索テーブル記憶部3は、検索テーブル取得部2が検索テーブルを取得したときに、その取得した検索テーブルを記憶する。タグ検索部4は、RFIDタグ7と無線により相互に通信を行うことにより、RFIDタグ7の検索を行う。
【0024】
比較処理部5は、タグ検索部4による検索に対して応答のあったRFIDタグを検索テーブルのタグ情報と比較し、備品がタグ情報の通りに設置されているか否かを判断して、備品の点検を行う。比較処理部5は、応答のあったRFIDタグについては、検索テーブルに検索済を設定する。
【0025】
再検索処理部6は、比較処理部5がタグ検索部4によるRFIDタグ7の検索により応答のあったRFIDタグを検索テーブルから除外していくことにより検索テーブルに未検出RFIDタグが残っているか否かに応じて動作する。すなわち、再検索処理部6は、検索テーブルに未検出RFIDタグが残っていない場合、何もしない。一方、検索テーブルに未検出RFIDタグが残っている場合、再検索処理部6は、タグ検索部4に対し、未検出RFIDタグを指定しての検索によりそのフラグ9を未検出の状態に戻す試みをしてから未検出RFIDタグの検索を行うように指示する。
【0026】
比較処理部5では、比較処理により応答のあるはずの未検出RFIDタグを知ることができ、さらに、その未検出RFIDタグの識別子を検索テーブルのタグ情報から知ることができる。未検出RFIDタグおよびその識別子が通知されたタグ検索部4は、その未検出RFIDタグを直接指定してアクセスすることにより、検出済のタグを強制的に未検出に変更することになる。このように、RFIDタグ7のフラグ9が未検出に変更されると、タグ検索部4は、未検出であったRFIDタグ7の検出が可能になる。
【0027】
次に、備品点検装置1を、旅客機の客室内に設置された備品を点検するRFIDタグ検索装置に適用した場合を例に説明する。RFIDタグ検索装置は、リーダライタ装置の機能を有する携帯端末装置とすることができ、この携帯端末装置を持参して客室内を巡回していくことにより、備品の点検を非接触で実現する。RFIDタグは、あらかじめ客室内に設置される備品にそれぞれ付されている。また、備品および備品にそれぞれ付されているRFIDタグに関する詳細な情報は、サーバに格納されているとする。
【0028】
図2は第2の実施の形態に係る備品点検システムの構成の一例を示す概念図、
図3はサーバに格納されているRFID検索テーブルの一例を示す概念図、
図4はサーバに格納されている旅客機の備品を示す機内地図情報の一例を示す概念図である。
【0029】
第2の実施の形態に係る備品点検システム10は、
図2に示したように、サーバ20と、RFIDタグ検索装置30とを備えている。
サーバ20は、コンピュータシステムで構成され、中央処理装置として機能するCPU(Central Processing Unit)21を備え、このCPU21は、メモリ22、外部記憶装置23および通信装置24にそれぞれ接続されている。
【0030】
メモリ22は、主記憶として使用され、CPU21が実行するOS(Operating System)およびアプリケーションプログラム、アプリケーションプログラムの実行時に使用されるデータなどが一時的に格納される。
【0031】
外部記憶装置23は、OSおよびアプリケーションプログラムのほか、RFID検索テーブル23aおよび機内地図情報23bが格納されている。これらのRFID検索テーブル23aおよび機内地図情報23bは、旅客機の機種毎または機体毎にあらかじめ用意されている。
【0032】
通信装置24は、RFIDタグ検索装置30と無線で情報通信を行うときに使用されるもので、無線による情報通信機能を有している。
一方、RFIDタグ検索装置30は、いわゆる検品端末(ハンドヘルドターミナル:HHT)であり、小形のコンピュータシステムで構成される携帯端末装置である。RFIDタグ検索装置30は、専用のHHTでもよいし、汎用の通信機能内蔵のタブレット端末をソフトウェアによってHHTとして機能させるようにしてもよい。
【0033】
RFIDタグ検索装置30は、CPU31を備え、このCPU31には、メモリ32、リーダライタ装置33、通信装置34、表示装置35、入力装置36がそれぞれ接続されている。
【0034】
CPU31は、RFIDタグ検索装置30の全体を制御するものであって、メモリ32の主記憶領域に展開されたOSの一部のプログラムおよびRFIDタグ検索用のアプリケーションプログラムを実行する。
【0035】
メモリ32は、主記憶として使用されるメモリと、フラッシュメモリのような不揮発性メモリとを備えている。主記憶としてのメモリは、CPU31が実行するOSおよびRFIDタグ検索用のアプリケーションプログラム、サーバ20からダウンロードしたRFID検索テーブル23aおよび機内地図情報23b、アプリケーションプログラムの実行時に使用されるデータなどが一時的に格納される。不揮発性メモリには、OS、RFIDタグ検索用のアプリケーションプログラムなどが格納される。
【0036】
リーダライタ装置33は、点検対象の備品に取り付けられたRFIDタグ40a−40nとの間でUHF(Ultra High Frequency)帯の近距離無線通信にて情報の授受を行うことにより、RFIDタグ40a−40nを認識する処理を行う。
【0037】
通信装置34は、サーバ20の通信装置24との間で情報の通信を行う。
表示装置35は、RFIDタグ検索装置30を所持する操作者に対して、機内地図情報23b、タグ検索エラーを含む各種の情報、または未検索・検索済区画を表示することができる。
【0038】
入力装置36は、操作者が、タグ検索開始などの指示をRFIDタグ検索装置30に入力するために用いられる。なお、入力装置36は、表示装置35に位置入力装置を組み合わせたタッチパネルの場合、タッチパネルに配置されるアイコンとして実装することもできる。
【0039】
RFIDタグ検索装置30は、上記の構成を有していることにより、メモリ32に格納されたRFIDタグ検索用のアプリケーションプログラムの処理機能をCPU31を中心としたコンピュータによって実現することができる。
【0040】
ここで、サーバ20に格納されるRFID検索テーブル23aは、
図3に示したように、No.、備品名、識別子(備品種別+シリアル番号)、備品種別(RFID検出用フィルタ)、RFID位置、検出済フラグ、目視確認要否および備考の欄を備えている。RFID位置の欄は、備品が
図4に示した機内地図情報23bのどこに設置されているかを表したものであって、機内地図情報23bのX,Y座標、位置区分および場所の欄を有している。
【0041】
機内地図情報23bは、検索対象の客室のイメージ情報であり、座席23b1、ユーティリティ領域23b2および通路23b3の位置をX座標およびY座標で示している。また、機内地図情報23bは、全体を複数の位置区分23b4(
図4において、[001]−[017]で示した領域)に分けられている。この位置区分23b4は、操作者が通路上で足を止めるか座席前のスペースまで徒歩で侵入したときにRFIDタグ検索装置30がRFIDタグ40a−40nと確実に通信できる範囲を基準にして設定されている。
【0042】
図5はRFIDタグのメモリ内容の一例を示す図である。
RFIDタグ40a−40nは、その識別子としてEPCを有している。EPCは、たとえば、EPC長、メーカーコード、フィルタ値、シリアルNo.および製品No.を有している。ここで、フィルタ値とは、特定の種別の備品を検索するときに使用される備品種別を意味し、RFID検索テーブル23aで定義されている備品種別(RFID検出用フィルタ)に相当する。
【0043】
RFIDタグ40a−40nは、RFIDタグ検索装置30のリーダライタ装置33との無線通信で使用される4つの機能の異なるセッション(番号S0,S1,S2,S3)を備え、各セッションには、それぞれ1つの独立したインベントリ済フラグを有している。1回のインベントリラウンドと呼ばれるコマンドシーケンスのやりとりでは、4つのセッションのうち1つのみが機能する。インベントリ済フラグは、AおよびBの2つの値をとることができ、Aの値は、リーダライタ装置33によるタグ検索に応答していない未検出を表し、Bの値は、タグ検索に応答して反応したときの検出済を表している。
【0044】
図6はタグ検出シーケンスの一例を示す図である。
このタグ検出シーケンスでは、説明を簡単にするために、2個のRFIDタグ40a,40bに対してタグ検出を行う場合を例に示す。ここで、RFIDタグ40aは、EPCが「A001」とし、RFIDタグ40bは、EPCが「A002」としている。なお、EPCの「A」は、備品種別であって、ライフベストを示している。その備品種別の後に続く「001」および「002」は、それぞれシリアルNo.を示している。
【0045】
まず、このタグ検出シーケンスでは、RFID検索テーブル23aがサーバ20からダウンロードされ、旅客機内の備品に付されているRFIDタグ40a−40nのすべてのタグ情報を取得する。
【0046】
次に、リーダライタ装置33は、キャリアをオンにする。これにより、リーダライタ装置33から電波が発せられ、電波が届く範囲内にあるRFIDタグ40a,40bがスタンバイステートになる。このとき、RFIDタグ40a,40bが備えるインベントリ済フラグは、それぞれその初期値である「未検出」状態の「A」となる。
【0047】
次に、リーダライタ装置33は、検索対象の備品種別をパラメータで指定したSelectコマンドを発行する。ここでは、パラメータとして、フィルタに備品種別の「ライフベスト」を指定している。これにより、ライフベストに付されたRFIDタグ40a,40bが有効になる。
【0048】
次に、リーダライタ装置33は、Queryコマンドを、無線通信で使用したいセッションを指定して発行する。
図6の例では、セッション番号がS3のセッションを指定している。
【0049】
このQueryコマンドを受信したRFIDタグ40a,40bは、衝突防止のための調停ステートに遷移する。すなわち、RFIDタグ40a,40bは、乱数を発生させ、その乱数をスロットカウンタに設定する。次に、リーダライタ装置33は、Queryコマンドを発行後、QueryRepコマンドを繰り返し発行する。RFIDタグ40a,40bは、QueryRepコマンドを受信すると、スロットカウンタを減分(−1)する。
【0050】
ここで、EPCが「A002」のRFIDタグ40bのスロットカウンタが先に0に到達したとすると、そのRFIDタグ40bは、応答ステートに遷移し、タグ自身を識別する16ビットの乱数メッセージ(RN16)を作成し、このRN16が応答される。
【0051】
次に、RN16を受信したリーダライタ装置33は、そのRN16を含むACKコマンドを送信する。RFIDタグ40bは、ACKコマンドを受信すると、S3のセッションの占有が承認され、応答ステートから承認ステートに遷移する。この承認ステートでは、RFIDタグ40bは、識別子であるEPCを送信し、S3のセッションのインベントリ済フラグを「検出済」に設定する。なお、承認ステートのRFIDタグ40bは、QueryRepコマンドを受信すると、スタンバイステートに遷移するが、インベントリ済フラグは「検出済」を維持し、リーダライタ装置33に応答することがない。
【0052】
次に、EPCの送信が未完了の、EPCが「A001」のRFIDタグ40aは、QueryRepコマンドを受信して、スロットカウンタが0に到達した後は、RFIDタグ40aについて上述した動作と同じ動作をする。
【0053】
リーダライタ装置33は、RFID検索テーブル23aから、検索対象のRFIDタグとして、EPCが「A001」および「A002」の2つのRFIDタグ40a,40bがあることを認識している。したがって、もし、
図6に示したように、RFIDタグ40bから送信されたEPCが通信エラーなどにより正常に受信できていなかった場合でも、リーダライタ装置33は、その未受信のRFIDタグ40bが存在することを知ることができる。すなわち、リーダライタ装置33は、EPCを受信したタグ情報をRFID検索テーブル23aのタグ情報と比較することにより、存在するはずのRFIDタグ40bを特定することができる。
【0054】
上述のように、RFIDタグ40bは、インベントリ済フラグを「検出済」に設定しているので、リーダライタ装置33からのQueryRepコマンドに応答することがない。このような場合、リーダライタ装置33は、「検出済」に設定されているインベントリ済フラグを強制的に「未検出」に設定する。
【0055】
すなわち、EPCを受信できていなかったRFIDタグ40bは、RFID検索テーブル23aから判明しているので、そのRFIDタグ40bを直接指定してアクセスすることになる。
図6に示した例では、Selectコマンドを使用し、パラメータとしては、フィルタにEPCを指定し、Targetにセッションの「S3」を指定し、Actionに「未検出」を意味する「A」を指定している。これにより、S3のセッションにて「検出済」に設定されていたインベントリ済フラグは、強制的に「未検出」に設定されることになる。
【0056】
その後、インベントリラウンド2にて、EPCを受信できていなかったRFIDタグを対象にインベントリラウンド1と同様のシーケンスを実行することにより、リーダライタ装置33は、検索に失敗したタグを見つけることができるようになる。
【0057】
なお、検索に失敗したRFIDタグ40bを直接指定して「検出済」に設定されていたインベントリ済フラグを強制的に「未検出」に切り替えるような試みを繰り返しても、検索に失敗したRFIDタグ40bを見つけることができない場合がある。たとえば、備品そのものが装備されていない場合、備品は装備されているが、その備品に付されたRFIDタグが故障していた場合などである。このような場合、操作者の目視により、備品の点検を行えばよい。
【0058】
また、上記の例では、二度読み防止機能を解除する方法として、インベントリ済フラグを強制的に「未検出」に設定しているが、これに限定されるものではない。たとえば、未検出RFIDタグを指定しての検索のとき、先のインベントリラウンド1での検索に使用したセッションの番号とは異なる番号のセッションを使い、そのセッションのインベントリ済フラグが「未検出」であることを利用してもよい。
【0059】
次に、RFIDタグ検索装置30の動作についてフローチャートを参照しながら説明する。
図7は起動時処理を示すフローチャート、
図8はタグ検索処理を示すフローチャート、
図9は位置区分算出処理を示すフローチャート、
図10は位置区分内の全備品検索処理を示すフローチャート、
図11はエラーテーブルの例を示す図である。
【0060】
RFIDタグ検索装置30において、タグ検出プログラムを起動したとき、
図7に示したように、CPU31は、通信装置34を使ってサーバ20からRFID検索テーブル23aおよび機内地図情報23bをダウンロードする(ステップS11)。サーバ20からダウンロードしたRFID検索テーブル23aおよび機内地図情報23bは、メモリ32に格納され、機内地図情報23bは、表示装置35に表示される。
【0061】
次に、CPU31は、リーダライタ装置33を起動してRFIDタグ40a−40nの検索を行う(ステップS12)。
RFIDタグ40a−40nの検索処理では、
図8に示したように、CPU31は、まず、RFIDタグ検索装置30を持参している操作者が機内のどこに位置しているかを示す位置区分を算出する(ステップS21)。
【0062】
次に、CPU31は、算出された位置区分内に設置されているすべての備品の検索をする(ステップS22)。
次に、CPU31は、機内のすべての位置区分の検索が終了したか否かを判断する(ステップS23)。まだ、機内のすべての位置区分の検索が終了していない場合、CPU31は、ステップS21に戻り、機内のすべての位置区分の検索が終了している場合には、このタグ検索処理を終了する。
【0063】
ここで、位置区分を算出するステップS21の詳細な処理について説明する。この位置区分算出処理は、
図9に示したように、まず、CPU31は、最初に検索する備品の種別を設定する(ステップS31)。この備品の種別の設定は、RFID検索テーブル23aに定義されている備品種別であればどれでもよいが、ここで、あらかじめ設定してある規定値を設定している。
【0064】
次に、CPU31は、設定された備品種別を指定してのタグ検索を行う(ステップS32)。ここで、たとえば、設定された備品種別が「ライフベスト」であった場合、パラメータのフィルタに「ライフベスト」を指定したSelectコマンドを使ってタグ検索を行うことになる。
【0065】
次に、CPU31は、設定された備品種別の備品に付されたRFIDタグが所定時間内に検出されたか否かを判断する(ステップS33)。このRFIDタグが検出されたか否かは、EPCの受信があったかどうかで判断される。このとき、CPU31は、RFID検索テーブル23aに対し検出されたRFIDタグの検出済フラグを「検出済」に設定する。
【0066】
RFIDタグが検出された場合、CPU31は、受信したEPCを基にRFID検索テーブル23aを参照して、検出したRFIDタグが設置されているRFID位置を求め、そのRFID位置から位置区分を算出する(ステップS34)。
【0067】
ステップS33にてRFIDタグが検出されなかった場合、CPU31は、他の備品種別の備品に付されたRFIDタグを検出する。すなわち、CPU31は、すべての備品種別について検索したか否かを判断し(ステップS35)、検索していない備品種別があるときは、他の備品種別を設定し(ステップS36)、ステップS32の処理に戻る。ステップS35にてすべての備品種別について検索したと判断したとき、CPU31は、操作者が設定した位置区分内にいないと判断し、表示装置35に他の位置への移動を促すメッセージを表示して所定時間待ち(ステップS37)、ステップS31の処理に戻る。
【0068】
以上の処理にて、操作者が機内のどこの位置区分にいるかが算出されると、次に、その位置区分内に設置されているすべての備品の点検を行う。
図10に示したように、まず、CPU31は、備品種別を設定する(ステップS41)。この設定は、あらかじめ設定しておいた規定値を設定してもよく、RFID検索テーブル23aに規定された備品種別のいずれかを取得して設定してもよい。
【0069】
次に、CPU31は、未検出タグカウンタを初期化する(ステップS42)。この未検出タグカウンタは、インベントリ済フラグを「検出済」から「未検出」に設定する動作の回数をカウントし、所定回数を超えると、その動作を打ち切るためのものであり、この初期化では、n=0に設定している。
【0070】
次に、CPU31は、すべての備品種別の検索が終了したか否かを判断する(ステップS43)。ここで、当該位置区分内においてすべての備品種別の検索が終了したときには、表示装置35に表示されている機内地図情報23bの該当する位置区分を点検済の色に変更し(ステップS44)、
図8の処理に戻ってステップS23に進む。位置区分の色の変更は、機内地図情報23bの該当する位置区分に重ねて特定の色の図形を配置することによって行われる。
【0071】
ステップS43において、すべての備品種別の検索が終了していないとき、CPU31は、設定した備品種別を指定しての検索を行い(ステップS45)、所定時間内に検出されたRFIDタグがあるか否かが判断される(ステップS46)。ステップS46において、所定時間内にRFIDタグが検出されない場合には、他の備品種別を設定し(ステップS47)、ステップS43の処理に戻る。
【0072】
ステップS46において、所定時間内に少なくとも1つのRFIDタグが検出された場合、CPU31は、RFID検索テーブル23aの新たに検出されたすべてのRFIDタグの検出済フラグを「検出済」に設定する(ステップS48)。次に、CPU31は、RFID検索テーブル23aを参照し、同じ位置区分内に存在するRFIDタグと比較する(ステップS49)。
【0073】
次に、CPU31は、同じ位置区分内に存在するはずの未検出タグがあるかどうかを判断し(ステップS50)、未検出タグがなければ、他の備品種別を設定し(ステップS51)、ステップS43の処理に戻る。
【0074】
ステップS50において、未検出タグがあると判断された場合、CPU31は、未検出タグカウンタの値をインクリメントし(ステップS52)、その値が「3」以上であるかを判断する(ステップS53)。タグカウンタの値が「3」未満であれば、CPU31は、RFID検索テーブル23aから未検出タグの識別子を取得し(ステップS54)、識別子による検索により未検出タグの二度読み防止機能の解除を試みる(ステップS55)。ここで、未検出タグになった原因がEPC送信中の通信エラーであれば、インベントリ済フラグは、「未設定」に変更されているはずである。そして、CPU31は、次のインベントリラウンドで、備品種別による検索を行うステップS45の処理に戻る。
【0075】
ステップS53において、タグカウンタの値が「3」であれば、タグカウンタの値を0に戻し(ステップS56)、RFID検索テーブル23aの該当する未検出タグのRFID位置のデータを基に表示装置35に未検出タグの位置を表示し、操作者に対し目視確認を促すとともに目視確認結果を入力装置36で入力させるようにする(ステップS57)。このとき、好ましくは、表示装置35に未検出タグの位置をX,Y座標で表示するよりも、X,Y座標から割り出した座席番号と備品が設置されている場所(たとえば、大人用ライフベストなら、座席下)を表示するとよい。
【0076】
次に、CPU31は、操作者による目視確認結果の入力を基に、目視確認ができたか否かを判断する(ステップS58)。ここで、目視確認ができた場合、CPU31は、エラーテーブルにタグ故障を記録し(ステップS59)、目視確認ができない場合、エラーテーブルに備品なしを記録する(ステップS60)。このエラーテーブルは、
図11に示したように、未検出タグに対応する備品の備品種別、エラー位置、エラー原因などの欄を有している。
【0077】
ステップS59,S60の処理が終わると、CPU31は、エラーテーブルに未検出タグの該当する位置を記録し(ステップS61)、他の備品種別を設定し(ステップS62)、ステップS43の処理に戻る。
【0078】
以上のフローチャートにおいて、未検出タグがあるときに、その未検出タグの二度読み防止機能を無効にする試みの回数を2回までとしたが、この回数に限定されるものではない。また、二度読み防止機能を無効にする試みの回数をカウントするために、未検出タグカウンタを使用しているが、未検出タグが発見されたときに、二度読み防止機能を無効にするかキャンセルするかのボタンを用意し、手動で切り替えられるようにしてもよい。
【0079】
上記については単に本発明の原理を示すものである。さらに、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、本発明は上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされる。