特許第6064108号(P6064108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6064108
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】生体情報測定器
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   A61B5/14 322
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-565087(P2016-565087)
(86)(22)【出願日】2016年10月14日
(86)【国際出願番号】JP2016080534
【審査請求日】2016年10月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390012737
【氏名又は名称】株式会社フジタ医科器械
(74)【代理人】
【識別番号】100161322
【弁理士】
【氏名又は名称】白坂 一
(74)【代理人】
【識別番号】100185971
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 玲子
(74)【代理人】
【識別番号】100151677
【弁理士】
【氏名又は名称】播磨 里江子
(72)【発明者】
【氏名】前多 宏信
(72)【発明者】
【氏名】山村 晴雄
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0126831(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0317330(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/093342(WO,A1)
【文献】 米国特許第4865038(US,A)
【文献】 国際公開第2009/128914(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/065699(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/029965(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/1455
A61B 5/0245
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のフレキシブル基板と、
近赤外光を照射する発光部と、
光を検出する受光部と、
遮光フィルムとを備え、
前記発光部は、前記フレキシブル基板の表面側であって、前記フレキシブル基板に構成されている第1の凹部に設けられ、
前記受光部は、前記フレキシブル基板の表面側であって、前記第1の凹部から離間しており、前記フレキシブル基板に構成されている第2の凹部に設けられ、
前記遮光フィルムは、前記受光部と前記発光部が位置する箇所において透光性を有し、前記フレキシブル基板の表面側に設けられ、
前記遮光フィルムと、前記発光部の発光面と、前記受光部の受光面とで、一つの面を形成するように構成された生体情報測定器。
【請求項2】
前記生体情報測定器は、前記発光面と前記受光面とが人体に接するように人体に装着して使用するものであり、
前記受光部は、前記人体を介して前記発光部から発光した近赤外光を受光することを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定器。
【請求項3】
前記遮光フィルムは、前記発光部の発光面と前記受光部の受光面と接する箇所には、開口を有することを特徴とする請求項2に記載の生体情報測定器。
【請求項4】
前記遮光フィルムは、自測定器を前記人体に装着しているときに、前記発光部から発光された光以外の光を遮光できる程度に、少なくとも前記開口から所定距離以上延伸した形状を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の生体情報測定器。
【請求項5】
前記フレキシブル基板の裏面には、衝撃吸収材が設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の生体情報測定器。
【請求項6】
前記生体情報測定器は、更に、
前記受光部が受光した光に関する情報を出力する出力部を備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の生体情報測定器。
【請求項7】
前記凹部は、前記フレキシブル基板を屈折させて形成されて成ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の生体情報測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の生体情報を取得できる生体情報測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体を切開することなく癌などの病変部の診断として、生体情報測定器としてディスポーザブルセンサーを用いる診断技術がある。ディスポーザブルセンサーは、人体、例えば、脳内の血液の酸素飽和度やヘモグロビン濃度の変化量を推定するために用いる。このようなディスポーザブルセンサーは、近赤外光を発光する発光素子と、人体を通過した発光素子からの近赤外光を受光する受光素子とを備え、その受光素子からのセンシングデータを出力するものである。
【0003】
このセンシングデータから、減衰した光量を特定し、ヘモグロビンによる光吸収量を特定することで、血液の酸素飽和度やヘモグロビンの変化量を推定することができる。これは、吸収される光の量が、入射光と溶質の濃度の積に比例するというランバートベールの法則を利用したものである。ヘモグロビンには、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとがあり、それぞれ、光の吸収スペクトルが異なる。そこで、発光素子は、異なる波長の光を発光し、受光素子で、測定箇所を通過して吸収された光の光量を特定し、そのセンシングデータから吸光度を求め、それらの比をとることで、酸素飽和度を推定(算出)できる。また、ヘモグロビン合計の吸光に係る量の変化を、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンの双方において吸収計数が等しい波長の光を利用して、その吸光量を測定することで推定(算出)できる。そのようなディスポーザブルセンサーの一例として、特許文献1に開示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US2015/0126831A1
【特許文献2】US2013/0317330A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のディスポーザブルセンサーは、ヘモグロビンによる光の吸光度に基づいて、それ以外の光、即ち、外界の光が入り込むと正確に酸素飽和度や変化量を算出できないという問題がある。上記特許文献1においては、これに対処するために、透明基板上に発光部と受光部とを設け、透明基板越しに発光並びに受光を実施するとともに、発光部と受光部が位置する箇所以外にカーボンコーティングを行うことで、この問題に対応することとしている。しかしながら、透明基板を用いること、ならびに、透明基板にカーボンコーティングを行うことは、1個当たりのコストが嵩むという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、カーボンコーティングを施した透明基板を用いることなく、使用時に外界の光が受光部になるべく入り込まないようにした生体情報測定器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る生体情報測定器は、長尺状のフレキシブル基板と、近赤外光を照射する発光部と、光を検出する受光部と、遮光フィルムとを備え、発光部は、フレキシブル基板の表面側であって、フレキシブル基板に構成されている第1の凹部に設けられ、受光部は、フレキシブル基板の表面側であって、第1の凹部から離間しており、フレキシブル基板に構成されている第2の凹部に設けられ、遮光フィルムは、受光部と発光部が位置する箇所において透光性を有し、フレキシブル基板の表面側に設けられ、遮光フィルムと、発光部の発光面と、受光部の受光面とで、一つの面を形成するように構成される。
【0008】
上記生体情報測定器は、発光面と受光面とが人体に接するように人体に装着して使用するものであり、受光部は、人体を介して発光部から発光した近赤外光を受光することとしてもよい。
【0009】
上記生体情報測定器において、遮光フィルムは、発光部の発光面と受光部の受光面と接する箇所には、開口を有することとしてもよい。
【0010】
上記生体情報測定器において、遮光フィルムは、自測定器を人体に装着しているときに、発光部から発光された光以外の光を遮光できる程度に、少なくとも開口から所定距離以上延伸した形状を有することとしてもよい。
【0011】
上記生体情報測定器において、フレキシブル基板の裏面には、衝撃吸収材が設けられていることとしてもよい。
【0012】
上記生体情報測定器は、更に、受光部が受光した光に関する情報を出力する出力部を備えることとしてもよい。
【0013】
上記生体情報測定器において、第1の凹部及び第2の凹部は、フレキシブル基板を屈折させて形成されて成ることとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様に係る生体情報測定器は、フレキシブル基板に凹部を構成し、そこに発光部と受光部とを設け、その上に遮光フィルムを設けることで、カーボンコーティングを施した透明基板を用いることなく、使用時に外界の光がなるべく受光部に入らない生体情報測定器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)生体情報測定器100の平面図である。(b)生体情報測定器100の発光部と受光部とを設けていない状態の断面図である。(c)生体情報測定器100の断面図である。
図2】生体情報測定器100の斜視図である。
図3】生体情報測定器100の分解斜視図である。
図4】生体情報測定器100の動作を示すフローチャートである。
図5】(a)〜(c)は、生体情報測定器100の構成例を示す図である。
図6】生体情報測定器100の使用例を示す図である。
図7】(a)、(b)は、従来の生体情報測定器700、710の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<発明者らが得た知見>
このようなディスポーザブルセンサーの一つとして、特許文献1に開示されるものがある。図7(a)は、特許文献1に開示されるディスポーザブルセンサー700の側面図を示している。図7(a)に示すディスポーザブルセンサー700は、透明なフレキシブル基板110aの一面に、発光部120aと受光部130aと出力部150bとを設けている。発光部120aは、その発光面が透明なフレキシブル基板110aに対向するように設けられる。また、受光部130aも、その受光面が透明なフレキシブル基板110aに対向するように設けられる。また、発光部120aと受光部130aとを保護するための衝撃吸収材170aが、図7(a)に示すように発光部120aと受光部130aとを覆うようにして設けられている。図7(a)に示すディスポーザブルセンサー700は、図面下部側を人体に接触させて使用する。上記特許文献1に係るディスポーザブルセンサーによれば、発光部120aから発せられた光が透明なフレキシブル基板110aを通過して人体に照射され、人体を通過した光が透明なフレキシブル基板110aを通過して受光部130aにより受光することで、センシングを行うことができる。そして、このフレキシブル基板110aには、外部からの光を遮光するために発光部120aと受光部130aとが配置されている位置以外においてはカーボンコーティングを施して多層基板として構成している。
【0017】
しかしながら、このような構成の場合、即ち、透明なフレキシブル基板にカーボンコーティングを施した場合には、単純に不透明なフレキシブル基板を用いる場合よりも、1個当たりのコストが嵩むという問題がある。
【0018】
そこで、そのような透明なフレキシブル基板を用いない他の態様のディスポーザブルセンサーとして、図7(b)に示すものがある。図7(b)に示すように、他の態様に係るディスポーザブルセンサー710は、フレキシブル基板110bの一面に、発光部120bと受光部130bと出力部150bと衝撃吸収材170bとを設けている。衝撃吸収材170bには、発光部120bと受光部130bとを露出させるための開口が設けられており、柔軟性のある発泡ゴムなどにより実現される。
【0019】
ところで、このようなディスポーザブルセンサー710を人体に装着する場合には、発光部120の発光面と、受光部130の受光面とが人体にむらなく接触させて使用することが望ましいのは上述の通りであるが、人体の表面は、おしなべて曲面で構成される。そのため、ディスポーザブルセンサー710は、使用する際には屈曲させて使用することとなるが、その際に、受光部130bの位置において、しわになる可能性がある。そして、そのしわから外光が入り込むことで受光部の検出におけるノイズとなり、ヘモグロビンの酸素飽和度や濃度の算出のために用いる吸光度の算出に狂いが生じる可能性があることを発明者は知見した。
【0020】
そこで、発明者は、人体装着時になるべくそのようなしわが発生しない生体情報測定器を発明するに至った。以下、生体情報測定器について、図面を参照しながら、説明する。
【0021】
<実施の形態>
<構成>
図1図3を用いて、本発明に係る生体情報測定器100の構成を説明する。図1(a)は、生体情報測定器100を、衝撃吸収材170側から見た場合の平面図である。図1(b)は、生体情報測定器100の側面図であって、発光部120と、受光部130とを設けていない状態を示している。図1(c)は、生体情報測定器100の側面図であって、発光部120と受光部130とを設けている状態を示している。また、図2は、生体情報測定器100の斜視図であり、図3は、生体情報測定器100の分解斜視図である。
【0022】
図1図3に示すように、本発明に係る生体情報測定器100は、フレキシブル基板110と、発光部120と、受光部130とを備える。
【0023】
フレキシブル基板110は、長尺状に形成される。フレキシブル基板110は、図2に示すように、フレキシブル基板110を屈曲させて形成した第1凹部121と、第1凹部121から離間して形成した第2凹部131とを有する。フレキシブル基板110は、両面基板を使用する。
【0024】
図3に示すように第1凹部121には、発光部120が設けられる。発光部120は、近赤外光を発光する発光素子である。発光部120は、例えば、LED(発光ダイオード)により実現されるが、LED以外の素子を用いてもよい。発光部120は、その発光面が外部に露出するように、即ち、図1(c)において図面下側に向けて配される。発光部120は、発光波長を制御可能な発光素子であり、制御部140からの指示に従って、指定された発光波長で発光する。ここでは、発光部120は、770nm、805nm、870nmのいずれかの波長の近赤外光を発光する。発光部120は、これらの波長を切り替えて発光するLEDにより実現されてもよいし、各波長で発光するLEDを複数設けることにより実現することとしてもよい。また、この波長は、一例であり、他の波長を用いてもよい。
【0025】
また、第2凹部131には、受光部130が設けられる。受光部130は、光を検出する光センサである。受光部130は、例えば、フォトダイオードにより実現されるが、フォトダイオード以外の素子を用いてもよい。フォトダイオードは、光起電型の素子であるが、その他にも光伝導型、熱効果型と呼称される型の光検出器がある。受光部130は、その受光面が外部に露出するように、即ち、図1(c)において、図面下側に向けて配される。
【0026】
生体情報測定器100においては、図1(c)に示されるように、遮光フィルム160の表面と、発光部120の発光面と、受光部130の受光面とで、一つの面を形成するように構成されている。この一つの平面は、図1(c)に示すように平面である場合もあれば、使用時において屈曲させて使用する際に、曲面となる場合もある。これにより、一つの面全体で人体に接触させることができ、使用時に外界の光が入り込みにくい構成とすることができる。
【0027】
具体的には、生体情報測定器100は、人体に接触させて、接触部位における人体の生体情報、例えば、ヘモグロビンの酸素飽和度や変化量を検出するために用いられる。生体情報測定器100は、例えば、ディスポーザブルセンサーである。したがって、人体に装着する際に、その皮膚の曲面に沿うように人体に貼り付けて使用する。これらの生体情報を得るために、生体情報測定器100を人体の生体情報を得たい箇所(例えば、人体の額や患部など)に装着し、発光部120から近赤外光を人体に向けて発光する。受光部130は、人体を介して、発光部120から発光された近赤外光を検出する。この近赤外光を解析することで、血中酸素飽和度や、ヘモグロビンの吸光に関わる変化量を検出できることは周知の事実である。具体的には、吸収される光の量は、入射光と溶質の濃度の席に比例するという「ランバートベールの法則」を用いて、オキシヘモグロビンとデコキシヘモグロビンとの光の吸収スペクトルの差を利用することで測定する。即ち、異なる波長で接触部位を通過して受光部130で検出した光から吸光度を求める。この吸光度から、酸素飽和度を算出することができる。
【0028】
制御部140は、生体情報測定器100の各部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部140は、予め設定されたプログラムにより動作するものであり、具体的には、以下の機能を有する。制御部140は、受光部130から伝達されたセンシングデータに基づいて、血中の酸素飽和度を算出する。また、制御部140は、受光部130から伝達されたセンシングデータに基づいて、ヘモグロビンの吸光に係る変化量を算出する。制御部140は、算出したこれらの情報を、出力部150を介して、外部の装置に出力する。当該情報は、ヘモグロビンインデックスと呼称されることもある。
【0029】
ここで、酸素飽和度の算出手法について簡単に述べる。オキシヘモグロビンの吸光度をKHbO2、デオキシヘモグロビンの吸光度をKHb、酸素飽和度をrSO2=HbO2/(HbO2+Hb)、光路長をd、溶質の濃度をC、とすれば、ある波長
における吸光度Kは、以下の式(1)から算出できる。
K = (rSO2×KHbO2+(1−rSO2)×KHb)Cd …(1)
【0030】
そして、2つの波長R(例えば、770nm)と波長IR(例えば、870nm)での受光部130による検出信号から吸光度KR及びKIRを計算する。そして、その比KR/KIR=R/IRと、制御部140が予め保持しておいた当該比と酸素飽和度との関係を示す関係式に基づいて、制御部140は、酸素飽和度を算出する。
【0031】
また、制御部140は、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビン双方での吸光係数が等しい波長(805nm)での吸光度を算出することで、ヘモグロビンの変化量を算出する。これは、吸光量は、ヘモグロビンの変化量と相関関係を成すことが知られており、吸光度の変化量をヘモグロビンの変化量ととることができることに基づいている。
【0032】
出力部150は、外部の装置と接続するためのコネクタであり、制御部140から伝達された情報を、接続された外部の装置に出力する機能を有するインターフェースである。出力部150は、外部の装置と有線接続されることにより、情報の送信を行う。出力部150は、予め定められた通信プロコトルに従って、通信を行うものであり、例えば、USB(IEEE1394)規格に従って通信を行う。なお、通信プロトコルは、USB規格に限るものではないことは言うまでもない。出力部150には、市販のコネクタを使用すると、その製造が容易になるとともに、生体情報測定器100のユーザビリティを向上させることができる。
【0033】
図1(b)及び図1(c)、図3などに示されるように、フレキシブル基板110の表面には、遮光フィルム160が設けられる。遮光フィルム160は、フレキシブル基板110の表面に、例えば、両面テープ等の接着剤を用いて、帖着されている。図3に示すように、遮光フィルム160は、開口162と、開口163とを有する。開口162は、発光部120に対向する位置に設けられ、開口163は、受光部130に対向する位置に設けられている。これにより、発光部120の発光面及び受光部130の受光面は外部に露出し、人体の接触部位に対して接触させることができる構造となっている。遮光フィルム160は、開口162、開口163から、少なくとも所定距離以上延伸した長さを有する。ここで、所定距離は、生体情報測定器100を人体に装着した際に、外部の光が人体と生体情報測定器100との間の隙間から入り込まない程度の長さとする。即ち、生体情報測定器100を人体に密着させて装着しているときに、発光部120から発光された光以外の光を遮光できる大きさに形成されている。遮光フィルム160としては、柔軟性があり、なるべく薄いものであって、黒色のフィルムを、一例として用いるが、十分に遮光できるものであれば、この限りではない。ここでは、遮光フィルム160は、その厚みが0.2mm程度のものを使用する。この遮光フィルム160の厚みは一例であり、これ以外の厚みであってもよい。
【0034】
図1(a)に示すように遮光フィルム160は、発光部120の中心から、端部まで、それぞれ、LX1、LY1、LY2の距離を有するように構成する。したがって、受光部130の中心から、遮光フィルム160の端部までの距離も、LY1、LY2との距離を有する。当該距離は、上述の通り、外界の光が受光部130に届かない程度の長さを有する。また、発光部120の中心から受光部130の中心までの距離は、LX2とし、受光部130から遮光フィルム160の端部までの距離を、LX3とする。距離LX2及びLX3は実用に応じて、その長さを決定する。一具体例を説明すれば、例えば、生体情報測定器100を人体の額に帖着して使用する場合には、LX1=15mm、LX2=30mm、LX3=45mm、LY1=12.5mm、LY2=12.5mm程度の長さとする。この長さは多少前後してもよい。このような長さにすると、人体装着時に、ユーザになるべく不快感を与えることなく、かつ、外界光が入り込まず、さらには、出力部150に接続するケーブルが計測上邪魔にならない構成とすることができる。なお、人体の額に装着して使用する場合には、生体情報測定器100を左右対称の構成で二つ対にして使用するのが望ましい。
【0035】
また、生体情報測定器100は、フレキシブル基板110の裏面に、衝撃吸収材170が設けられている。衝撃吸収材170は、外部から制御部140や出力部150などに対する衝撃を吸収する部材であり、例えば、スポンジやゴムなどにより実現することができるが、これはその限りではない。衝撃吸収材170は、フレキシブル基板110の裏面に、例えば、両面テープ等の接着剤を用いて、帖着されている。衝撃吸収材170は、フレキシブル基板110や出力部150等の形状の凹凸に合わせた形状となるように加工されてもよいし、その柔軟性を利用して、加工しない状態で上から押し付けるようにして帖着することとしてもよい。
【0036】
<生体情報測定器100の製法例>
生体情報測定器100の製法について簡単に一例を説明する。
【0037】
まず、フレキシブル基板110上に各部品を成形する。フレキシブル基板110としては、前述のように0.1〜0.2mm厚の両面基板を用意する。なお、この厚みはあくまで目安であって、この範囲外の厚みを有するものを使用してもよい。フレキシブル基板110上には、発光部120としてのLEDと、受光部130としてのフォトダイオードと、制御部140としてのプロセッサと、出力部150としてのコネクタとを、図1(a)に示す位置に実装する。
【0038】
次に各部品が実装されたフレキシブル基板110を、図3に示す形状になるように、フレキシブル基板110を屈折させることで成形する。即ち、フレキシブル基板110内部の配線を断線しないように、図1(b)に示す第1凹部121、第2凹部131を形成するように折り曲げて、フォーミングする。そして、センサーベースとしての遮光フィルム160に帖着する。遮光フィルム160には、予め、発光部120と受光部130とが位置する箇所に開口162、163を設けておき、帖着のための両面テープを付着しておく。また、遮光フィルム160の部品実装後のフレキシブル基板110を帖着する側とは反対側、即ち、人体に接触する側に、人体に装着するための両面テープを帖着しておく。
【0039】
遮光フィルム160に部品実装後のフレキシブル基板110を帖着した後に、衝撃吸収材170としての発泡ゴム製のカバーを帖着して、生体情報測定器100を製造する。
【0040】
このようにして、機械によるマウントが容易な生体情報測定器100を提供することができる。また、コネクタとしては、市販のものを流用することができるとともに、人体装着時にケーブルが実用上邪魔にならない位置に配することができる。
【0041】
なお、これらの手順は、最終的に、図2に示す形状にできれば、上述の処理における各手順は、前後して実行してもよい。例えば、上述では、フレキシブル基板110上に各部品を実装してから、フレキシブル基板110のフォーミングを行うことしているが、この手順は逆であっても同様の結果を得ることができる。このように、同様の結果を得られるような場合には、各手順の処理の順番を前後させてもよい。
【0042】
<動作>
図4は、生体情報測定器100の動作を示すフローチャートである。
【0043】
図4に示すように、生体情報測定器100の制御部140は、発光部120を所定の波長で発光させる(ステップS401)。ここで所定の波長は、770nm、805nm、870nmとし、発光部120は、それぞれ対応するLEDを所定時間だけ発光させる。これらの波長は、上述した酸素飽和度を算出できるのであれば、これらの波長以外の波長を用いてもよい。
【0044】
制御部140は、各波長の近赤外光を受光した受光部130から、センシングデータを受領する。ここで、センシングデータは、受光部130が受光した光の光量を示す(ステップS402)。
【0045】
制御部140は、発光部120が発行した波長に応じて受光部130から伝達された光量各々に基づいて、血中の酸素飽和度を算出する。また、算出した酸素飽和度に基づいて、ヘモグロビンの変化量を算出する(ステップS403)。
【0046】
制御部140は、算出した酸素飽和度及びヘモグロビンの変化量に係る情報を出力部150を介して、外部の装置に出力する(ステップS404)。
【0047】
こうして、出力された各種の情報は、外部の装置に備えられたモニタ、あるいは、外部の装置に接続されたモニタに表示される。このとき、外部の装置は、生体情報測定器100から出力された各種の情報を加工して表示することとしてもよい。
【0048】
<まとめ>
上述の通り、生体情報測定器100において、フレキシブル基板110に第1凹部121、第2凹部131を設けることで、カーボンコーティングした透明基板を用いることなく、生体情報の測定を実現できる。また、遮光フィルム160と、発光部120の発光面と、受光部130の受光面とを一面にすることで、人体装着時にしわができにくい、すなわち、外界光が入り込みにくい生体情報測定器を提供することができる。したがって、安定して正確な測定が可能な生体情報測定器を提供することができる。
【0049】
<補足>
上記実施の形態に係る生体情報測定器は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、各種変形例について説明する。
【0050】
(1)上記実施の形態においては、生体情報測定器100の制御部140において、血中の酸素飽和度と、ヘモグロビンの変化量を算出して、出力部150から出力することとしたが、これはその限りではない。
【0051】
生体情報測定器100は、受光部130からのセンシングデータをそのまま外部の装置に出力し、外部の装置で、酸素飽和度やヘモグロビンの変化量を算出する構成としてもよい。
【0052】
(2)上記実施の形態においては、特に記載していないが、生体情報測定器100は、出力部150に外部装置と接続するケーブルが接続されることで、当該外部装置から電力の供給を受けて駆動する。
【0053】
(3)上記実施の形態においては、遮光フィルム160には、開口161と開口162とを設けることとしたが、この構成に代えて、遮光フィルム160において、開口161と開口162とが位置する位置のみを透明フィルムとする構成としてもよい。これは、例えば、透明フィルムに、開口161と開口162とが位置する箇所以外に黒色のインク等を吹き付けることにより実現することができる。
【0054】
(4)上記実施の形態においては、出力部150は、フレキシブル基板110に対して直角に配する構成としているが、これはその限りではない。図5(a)は、上記実施の形態に示した生体情報測定器100にケーブルを接続した状態を示している。これに対して、出力部150は、フレキシブル基板110に沿って配されてもよい。即ち、図5(b)に示すように、出力部150を配して、ケーブルを接続できるように構成してもよい。
【0055】
また、あるいは、生体情報測定器100を更に延伸して、図5(c)に示すように、L字型の形状を有するように構成してもよい。生体情報測定器100は、発光部120と受光部130とが、測定対象に接触し、測定の際に外部からの光が受光部130に入り込まないように構成されていさえすれば、どのような形状であってもよく、例えば、円形、U字型、クランク型などの形状に構成されてもよい。生体情報測定器100の形状を変更することで、測定対象に適した形状、あるいは、測定がしやすい形状の生体情報測定器100を提供することができる。
【0056】
(5)上記実施の形態においては、詳細には説明しなかったが、ここで、生体情報測定器100の使用例を説明する。図6は、生体情報測定器100の使用例を示す図である。図6に示すように、生体情報測定器100は、左右対称に構成された2つの生体情報測定器100L、100Rを人間の額に貼り付けて使用する。なお、生体情報測定器100Lと生体情報測定器100Rは、一体成型して、T字型の測定器として構成してもよい。
【0057】
図6においては、L字型に構成した左右一対の生体情報測定器100を人体頭部に装着して使用する例を示している。図6に示すように、人体の額に、発光部120と受光部130とが接触するように装着する。フレキシブル基板110は、人体の鼻梁に沿うように、延伸した形状を有し、その端部に出力部150が構成されている。また、フレキシブル基板110には、制御部140も構成されている。フレキシブル基板110の出力部150には、ケーブル510が接続される。図示してはいないが、ケーブル510は、外部装置と接続されて、生体情報測定器100から外部装置への通信路となる。このようにして、生体情報測定器100は、人体頭部に装着されて、脳内のヘモグロビンの酸素飽和度及び濃度を算出でき、算出したそれらの情報を外部装置へ出力して表示することができる。
【0058】
(6)上記実施の形態においては、生体情報測定器においてヘモグロビンの酸素飽和度及び濃度を算出して出力する手法として、生体情報測定器のプロセッサ(制御部140)が生体情報算出プログラム等を実行することにより、出力することとしているが、これは生体情報測定器に集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、上記実施の形態に示した複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。
【0059】
また、上記生体情報測定プログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記生体情報測定プログラムは、当該生体情報測定プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記プロセッサに供給されてもよい。本発明は、上記生体情報測定プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【符号の説明】
【0060】
100 生体情報測定器
110 フレキシブル基板
120 発光部
121 第1凹部
130 受光部
131 第2凹部
140 制御部
150 出力部
170 衝撃吸収材
【要約】
長尺状のフレキシブル基板と、近赤外光を照射する発光部と、光を検出する受光部と、遮光フィルムとを備え、発光部は、フレキシブル基板の表面側であって、フレキシブル基板に構成されている第1の凹部に設けられ、受光部は、フレキシブル基板の表面側であって、第1の凹部から離間しており、フレキシブル基板に構成されている第2の凹部に設けられ、遮光フィルムは、受光部と発光部が位置する箇所において透光性を有し、フレキシブル基板の表面側に設けられ、遮光フィルムと、発光部の発光面と、受光部の受光面とで、一つの面を形成するように構成される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7