(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る貯湯式給湯装置の構成を表すシステム図である。本実施形態の給湯装置は、貯湯ユニット10とヒートポンプユニット12を備える。貯湯ユニット10は、貯湯タンク14のほか、湯水を循環または供給するための配管、湯水の流れを制御する制御弁、湯水の温度や流量を検出するためのセンサ等を備える。なお、以下の給水管等の「配管」は、流体が流通可能な管路を意味し、装置や部品間をつなぐ部材のほか、装置内の流通路も含む。給湯装置は、貯湯ユニット10にて適温に調整された湯水を、浴槽13やカラン15等の給水設備に供給する。給湯装置は、貯湯タンク14から送出されて適温に調整された湯水を浴槽13へ落とし込む給湯回路のほか、浴槽13に溜められた湯水を追い焚きするための追い焚き循環回路を備える。
【0013】
上水道から供給される低温水は、給水管16によって貯湯ユニット10に供給される。給水管16は、貯湯ユニット10内にて第1給水管17,第2給水管18および第3給水管19に分岐している。このうち、第1給水管17が貯湯タンク14の下部に接続されている。貯湯タンク14とヒートポンプユニット12との間には沸上循環回路が形成されている。すなわち、貯湯タンク14の下部に接続された導出管20がヒートポンプユニット12に接続され、ヒートポンプユニット12に接続された戻り管22が貯湯タンク14の上部に接続されている。なお、カラン15には、給水管16を介して給湯装置とは別系統で低温水が供給される。
【0014】
このような構成により、貯湯タンク14には上部に高温水、中間部に中温水、下部に低温水が存在する温度成層が形成される。貯湯タンク14の下部に溜まった冷温水は、ヒートポンプユニット12にて熱交換されて高温水となり、貯湯タンク14に戻される。導出管20には、このような沸上循環回路における湯水の循環を促進するためのポンプ23が設けられている。
【0015】
ヒートポンプユニット12は、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍サイクルを備える。この冷凍サイクルは圧縮機、熱交換器、膨張弁、蒸発器を含む冷媒循環回路を備えるが、それらの構成および動作については公知であるため、その詳細な説明を省略する。上述の沸上循環回路を流れる低温水は、その熱交換器を経る際に沸き上げられて高温水となる。
【0016】
貯湯タンク14にはまた、追い焚きのための追い焚き熱源回路が接続されている。すなわち、貯湯タンク14の上部と下部とを接続する加熱循環路24が設けられ、その中途に熱交換器70およびポンプ72が配設されている。追い焚きの際にはポンプ72が駆動される。それにより、貯湯タンク14の上部に溜まった高温水が熱交換器70に導かれ、浴槽13側の循環通路82を流れる湯水との間で熱交換が行われる。熱交換により温度低下した湯水は、貯湯タンク14に戻される。
【0017】
一方、貯湯タンク14の上部には、高温水を導出する給湯管25が接続されている。給湯管25は、第1給湯管26と第2給湯管28に分岐している。第1給湯管26は第2給水管18と接続され、第2給湯管28は第3給水管19と接続されている。各給湯管を流れる高温水と各給水管を流れる低温水とは、それらの配管の接続部(合流部)において混合される。第1給湯管26の高温水と第2給水管18の冷温水との混合によって適温となった湯水は、配管30を介して台所等のカラン15に供給される。一方、第2給湯管28の高温水と第3給水管19の冷温水との混合によって適温となった湯水は、配管32を介して浴槽13に供給される。
【0018】
第1給湯管26と第2給水管18と配管30との接続点には、第1混合弁36が設けられている。第1混合弁36は、第1給湯管26を介して供給された高温水と、第2給水管18を介して供給された低温水との混合比を調整し、配管30に適温の湯水を導出する。第1給湯管26における第1混合弁36の上流側には、逆止弁40が設けられている。第2給水管18における第1混合弁36の上流側には、逆止弁42が設けられている。配管30には上流側から温度センサ48、フローセンサ50が設けられている。図示しない制御部は、温度センサ48の温度を取得し、使用者が図示しないリモートコントローラにて設定した給湯温度となるよう第1混合弁36の開度を制御する。逆止弁40は、給湯が停止されたときに合流部の湯水が第1給湯管26に逆流することを防止する。逆止弁42は、給湯が停止されたときに合流部の湯水が第2給水管18に逆流することを防止する。
【0019】
一方、第2給湯管28と第3給水管19と配管32との接続点には、第2混合弁38が設けられている。第2混合弁38は、第2給湯管28を介して供給された高温水と、第3給水管19を介して供給された低温水との混合比を調整し、配管32に適温の湯水を導出する。第2給湯管28における第2混合弁38の上流側には、逆止弁44が設けられている。第3給水管19における第2混合弁38の上流側には、逆止弁46が設けられている。配管32には上流側から温度センサ52、制御弁ユニット54が設けられている。図示しない制御部は、温度センサ52の温度を取得し、使用者が図示しないリモートコントローラにて設定した給湯温度となるよう第2混合弁38の開度を制御する。逆止弁44は、給湯が停止されたときに合流部の湯水が第2給湯管28に逆流することを防止する。逆止弁46は、給湯が停止されたときに合流部の湯水が第3給水管19に逆流することを防止する。
【0020】
給水管16における第1給水管17との分岐点の上流側には、逆止弁55、減圧弁56および遮断弁58が設けられている。減圧弁56は、給水管16を介して供給される冷温水の圧力を適宜減圧する。すなわち、水圧により貯湯タンク14等が破損しないように適宜圧力調整を行うものである。遮断弁58は、貯湯タンク14に所定の湯水が溜まったときに給水管16を遮断し、冷温水の供給を適宜停止する。逆止弁55は、貯湯ユニット10への給水の停止時に給水管16における湯水の逆流を防止する。
【0021】
また、制御弁ユニット54は、その上流側から制御弁60、逆止弁62、大気開放弁64、逆止弁66およびフローセンサ68が設けられている。制御弁60は、電磁弁であり、配管32を開閉することにより浴槽13への湯水の供給を許容又は遮断する。逆止弁66および逆止弁62は、浴槽13から貯湯タンク14側への湯水の逆流を段階的に防止する。大気開放弁64は、上流側(一次側)の圧力低下に応動して逆止弁62と逆止弁66との間の空間を大気に開放する。
【0022】
すなわち、例えば浴槽13が貯湯ユニット10よりも高い位置に設置されるような場合、浴槽13の側に配置された逆止弁66が異物の噛み込みなどにより水密不良となっていた場合には、浴槽13内の汚水がその水頭圧により逆止弁66を介して大気開放弁64まで逆流してくる。このような場合であっても、その汚水は大気開放弁64によって大気に放出されるため、浴槽13内の汚水が貯湯ユニット10ひいては上水道の方まで逆流することを防止できる。
【0023】
配管32は、制御弁ユニット54の下流側の分岐点Pにて、浴槽13へ直接つながる接続通路80と、追い焚き循環回路を形成する循環通路82とに分岐する。接続通路80にはポンプ84が設けられ、循環通路82の中途には熱交換器70が設けられる。ポンプ84は、追い焚き時にのみ駆動される。すなわち、浴槽13の湯張りを行うときには制御弁60が開弁され、第2混合弁38にて適温に調整された湯水が供給される。その湯水は分岐点Pにて分岐し、図中実線矢印にて示すように、一方で接続通路80を介して浴槽13へ供給され、他方で循環通路82を介して浴槽13へ供給される。ただし、湯張り時にはポンプ72は駆動されないため、追い焚きが行われることはない。湯張り中の湯水の供給量は、フローセンサ68の検出値に基づいて算出される。所定流量の湯水の供給が完了すると、制御弁60が閉弁され、湯張りは停止される。
【0024】
一方、追い焚き時には、ポンプ72,84が駆動される。その結果、図中点線矢印にて示すように、浴槽13内の湯水が熱交換器70へ向けて送り出され、追い焚き循環回路を循環する。浴槽13から排出された冷めた湯水は、熱交換器70にて熱交換されて昇温し、再び浴槽13へと戻される。この追い焚きにより、浴槽13内の湯水が適温に温められる。なお、追い焚き時には制御弁60が閉弁され、また逆止弁66が閉弁状態を維持するため、浴槽13内の汚水が配管32に逆流することはない。
【0025】
本実施形態では、湯張りを行う際に、フローセンサ68により検出される湯水の流量の積算値が演算され、その積算値が設定された湯量に達したときに制御弁60が閉弁される。それにより、湯張りが完了する。また、追い焚きを行う際にも、その追い焚き循環回路における湯水の循環有無がフローセンサ68により検出される。すなわち、制御弁ユニット54に設けられたフローセンサ68が、湯張りの際の出湯量を検出するためのフローセンサとして機能するとともに、追い焚きの際の湯水の循環有無を検出するためのフロースイッチとしても機能する。フローセンサ68が後者のフロースイッチとして機能するとき、その循環継続時間により追い焚き終了時間の目安を求めることもできる。このフローセンサ68の構成および動作の詳細については後述する。
【0026】
次に、制御弁ユニット54の具体的構成について説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に部材の位置関係を表現することがある。
図2は、制御弁ユニット54の全体構成を表す断面図である。制御弁ユニット54は、樹脂材を成形して得られた共用のボディ100に制御弁60、逆止弁62(第1逆止弁)、大気開放弁64、逆止弁66(第2逆止弁)およびフローセンサ68を一体に組み付けて構成される。ボディ100は、円筒状の本体102の側部に連設された導入管部104と、本体102の下方に連設された導出管部106とを有する。本体102の側部にはさらに、大気開放弁64のボディ108およびフローセンサ68のボディ110が一体に設けられている。
【0027】
導入管部104は、本体102に対して直角に接続されている。導出管部106は、本体102に同軸状に接続されている。導入管部104の開口端部は上流側から湯水を導入する導入ポートとして機能し、導出管部106の開口端部は下流側へ湯水を導出する導出ポートとして機能する。本体102の上端開口部は、制御弁60が組み付けられることにより封止されている。本体102と導出管部106との接続部には、本体102と同心状に上方に延出する円ボス部112が設けられている。このため、円ボス部112の側部が導入管部104の軸線上に位置する。導入管部104に導入された湯水は、円ボス部112の周囲を回り込むようにして本体102に流入する。導入管部104の開口端部近傍には、異物の流入を抑制するためのストレーナ114が配設されている。
【0028】
図3は、制御弁60およびその周辺の構成を表す部分拡大断面図である。
制御弁60は、弁機構を有する弁本体116と、駆動部であるソレノイド118とを一体に組み付けて構成されている。本体102の上部が、弁本体116のボディを構成している。本体102の上端開口部は、ソレノイド118が組み付けられることにより上方から封止されている。制御弁60は、上流側通路から下流側通路へ流れる湯水の流れを制御する主弁120と、主弁120の開閉状態を制御するパイロット弁122を備える。
【0029】
上述した円ボス部112の内周部により主弁孔124が形成され、その上流側開口端部に主弁座126が形成されている。円ボス部112を取り囲む空間は、導入管部104に連通する圧力室128となっており、その圧力室128には大径の主弁体130が配設されている。主弁体130は、主弁座126に着脱して主弁120を開閉する。
【0030】
主弁体130は、ボディ100とソレノイド118との間に挟持された可撓性を有するダイアフラム132に支持されている。ダイアフラム132は、その中央部が主弁体130の底部に装着されており、その底部に沿った厚肉部分が主弁座126に着脱する主弁体130の一部を構成している。主弁体130およびダイアフラム132は、円ボス部112とは反対側に背圧室134を区画する。また、主弁体130には、背圧室134の内外を連通させ、導入管部104からの湯水の一部を背圧室134に導入可能なオリフィス136(リーク通路)が設けられている。
【0031】
主弁体130の中央部には背圧室134側に突出するボス部が設けられ、そのボス部の上端面によりパイロット弁座138が形成されている。また、主弁体130の中央部を軸線方向に貫通するようにパイロット弁孔140が形成されている。また、背圧室134には、ソレノイド118により駆動されるパイロット弁体142が配設されている。パイロット弁体142は、パイロット弁座138に着脱してパイロット弁122を開閉する。パイロット弁体142は、弾性体(本実施例ではゴム)からなり、ソレノイド118のプランジャ144に固定されている。
【0032】
一方、ソレノイド118は、ボディ100の上端開口部を封止するように取り付けられた有底段付円筒状のスリーブ146と、スリーブ146内に配置されたプランジャ144と、スリーブ146の外側に設けられたボビン150と、ボビン150に巻回された電磁コイル152とを含んで構成されている。パイロット弁体142は、プランジャ144の下端部に嵌合され、プランジャ144と一体的に動作する。スリーブ146の底部とプランジャ144との間には、プランジャ144を介してパイロット弁体142を閉弁方向に付勢するスプリング154(「付勢部材」に該当する)が介装されている。
【0033】
このような構成おいて、導入管部104と導出管部106とを背圧室134を介することなくつなぐ通路が主通路を構成し、導入管部104と導出管部106とを背圧室134を介してつなぐ通路が副通路を構成する。背圧室134の圧力は、パイロット弁122の開閉状態によって変化する。
【0034】
このような構成により、ソレノイド118がオフにされた状態(非通電状態)では、パイロット弁122が閉弁して副通路を閉じ、主弁120が閉弁して主通路を遮断する。すなわち、ソレノイド力が作用しないため、スプリング154によってパイロット弁体142が閉弁方向に付勢され、パイロット弁122が閉弁状態となる。このとき、背圧室134の圧力と主弁120の上流側圧力とがほぼ等しくなり、主弁体130には主弁120の上流側圧力と下流側圧力との差圧が閉弁方向に作用する。上流側圧力(一次圧)が高い通常の状態では主弁体130が押し下げられ、主弁座126に着座して主弁120を閉じる。
【0035】
一方、ソレノイド118がオンにされた状態(通電状態)では、パイロット弁122が開弁して副通路を開き、主弁120が開弁して主通路を開放する。すなわち、ソレノイド力が作用するため、スプリング154の付勢力に抗してパイロット弁体142が開弁方向に駆動され、パイロット弁122が開弁状態となる。このとき、背圧室134の圧力と主弁120の下流側圧力とがほぼ等しくなり、主弁体130には主弁120の上流側圧力と下流側圧力との差圧が開弁方向に作用する。上流側圧力(一次圧)が高い通常の状態では主弁体130が押し上げられ、主弁座126から離間して主弁120を開く。
【0036】
浴槽13の湯張りを行う際には、ソレノイド118がオンにされ、主弁120を開弁させることにより通水を可能にする。浴槽13の湯張りを行わないときにはソレノイド118がオフにされ、主弁120が閉弁されることにより通水は遮断される。
【0037】
逆止弁62および逆止弁66は、導出管部106に組み込まれる逆止弁ユニットとして構成されている。すなわち、この逆止弁ユニットは、段付円筒状のボディ160に第1弁体162および第2弁体164を同軸状に組み付けて構成されている。ボディ160は、導出管部106にOリング166を介して圧入されている。円ボス部112の下端部には弁孔90が設けられ、その下流側開口端部に弁座92が形成されている。ボディ160の上流側開口端部と下流側開口端部には、円ボス状の軸受部168,170が設けられている。第1弁体162は、軸受部168に摺動可能に支持され、弁座92に下流側から着脱して逆止弁62を開閉する。第1弁体162と軸受部168との間には、第1弁体162を閉弁方向に付勢するスプリング172が介装されている。軸受部168には、その上流側と下流側とを連通させる連通孔174が設けられている。
【0038】
第2弁体164は、第1弁体162と同様の構成を有する。ボディ160の上半部は縮径されており、その内周部により弁孔176が形成されている。そして、弁孔176の下流側開口端部により弁座178が形成されている。第2弁体164は、軸受部170に摺動可能に支持され、弁座178に下流側から着脱して逆止弁66を開閉する。第2弁体164と軸受部170との間には、第2弁体164を閉弁方向に付勢するスプリング180が介装されている。軸受部170には、その上流側と下流側とを連通させる連通孔182が設けられている。なお、通常の流量制御時における不要な圧力損失を抑制するために、各スプリング172,180のばね荷重は比較的小さく設定されている。
【0039】
大気開放弁64は、ボディ100の導入管部104とは反対側に設けられている。大気開放弁64のボディ108は、ボディ100と一体成形された本体192と、本体192を側方から封止するハウジング194とをOリング196およびダイアフラム198を介して組み付けることにより構成される。ボディ108は、ダイアフラム198により感圧室200と開放室202に区画されている。感圧室200は、検圧通路204および小孔206を介して本体102の圧力室128に連通し、導入管部104から導入される湯水の一次圧を導入する。
【0040】
開放室202は、一方でやや小径の接続通路210を介して導出管部106に連通し、他方で排出通路212を介して大気に開放されている。接続通路210は、導出管部106における弁孔90よりも下流側であり、かつ弁孔176よりも上流側の位置に連通している。開放室202と接続通路210との間の段部には弁座214が形成されている。
【0041】
開放室202には、ダイアフラム198の片側面に支持されるように弁体216が配設されている。すなわち、ダイアフラム198の内側の中央部は、弁体216の対向端面に形成された凸部と嵌合するよう凹設され、弁体216を開放室202の中央に位置決めしている。弁体216の弁座214との対向面にはリング状の弾性体(例えばゴム)からなる弁部材218が嵌着されており、その弁部材218が弁座214に着脱して大気開放弁64を開閉する。弁体216とボディ108との間には、弁体216を開弁方向に付勢するスプリング220(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
【0042】
図4は、フローセンサ68およびその周辺の構成を表す部分拡大断面図である。
フローセンサ68は、導出管部106の側部に接続されたボディ110を有する。ボディ110は、第1ハウジング222と第2ハウジング224とを互いの開口部を突き合わせるように接合して構成され、感圧室を形成する。感圧部材としてのダイアフラム226が、第1ハウジング222と第2ハウジング224との間に周縁部を挟持されるように設けられている。ダイアフラム226により、ボディ110内の感圧室が第1室232と第2室234とに仕切られている。第1室232は、第1連通路236を介して導出管部106における逆止弁66の上流側に連通する。一方、第2室234は、第2連通路238を介して導出管部106における逆止弁66の下流側に連通する。
【0043】
ダイアフラム226の第1室232側の面には、段付円柱状の支持部材240が接合されている、支持部材240は、ダイアフラム226の片側面に支持されるように配設されている。すなわち、ダイアフラム226の中央部は、支持部材240の対向端面に形成された凸部と嵌合するよう凹設され、支持部材240を第1室232の中央に位置決めしている。支持部材240は、ダイアフラム226から離間する方向に同軸状に延設され、その先端部に磁石242(本実施形態では永久磁石)が固定されている。
【0044】
一方、第1ハウジング222における磁石242との対向部には、磁気センサ244が埋設されている。第1ハウジング222の磁石242との対向面には、円ボス状のガイド部246が突設されている。支持部材240は、ガイド部246に摺動可能に支持されている。それにより、磁石242がダイアフラム226とともに軸線方向に安定に変位し、磁気センサ244に対して近接または離間する。一方、ダイアフラム226の第2室234側の面にはディスク248が取り付けられている。第2ハウジング224の底部とディスク248との間には、スプリング250が介装されている。
【0045】
このような構成により、ダイアフラム226には、逆止弁66の前後差圧、つまり上流側圧力P1と下流側圧力P2との差圧(P1−P2)を感知して変位するようになる。磁気センサ244は、ダイアフラム226の変位に伴う磁石242の変位に応じた検出信号を出力する。ダイアフラム226は、それ自身の弾性力とスプリング250の付勢力とにより、差圧(P1−P2)が作用しないときにはボディ110のほぼ中央(作動基準位置)に位置する。そして、差圧(P1−P2)に応じて、その基準位置に対して第1室232と第2室234の双方に変位可能に配設されている。その結果、磁石242がその基準位置に対応する初期位置から変位する。なお、スプリング250は、ダイアフラム226を弾性支持するために設けられているが、ゴムなど任意の弾性部材に置き換えてもよい。
【0046】
湯張り時には制御弁60が開弁され、調温された湯水が導入管部104から導出管部106へ向けて流れる。このとき、逆止弁66は全開状態となるが、流動抵抗による圧力損失を発生させるため、その上流側と下流側との間には差圧(P1−P2)が発生する。そのとき、上流側圧力P1は下流側圧力P2よりも高圧となり(P1>P2)、ダイアフラム226が基準位置よりも第2室234側に変位する。つまり、磁石242が初期位置よりも磁気センサ244に対して離間する方向に変位する。ただし、湯水の流動状態に応じて差圧(P1−P2)の値は変化しうるため、その差圧(P1−P2)の値に応じてダイアフラム226および磁石242の位置は変化する。
【0047】
磁気センサ244は、その変位に応じた検出信号を出力する。図示しない制御部(判定部)は、湯張り時に磁気センサ244の検出値をサンプリングし、それを積算することにより配管32を流れる湯水の流量を算出する。そして、その算出値が設定された湯量に到達すると、ソレノイド118への通電を停止して制御弁60を閉弁させ、給湯を停止する。すなわち本実施形態では、全開状態で開度が一定となった逆止弁66を固定オリフィスとして利用し、フローセンサ68に差圧を感知させる。そして、その差圧に基づくフローセンサ68の検出値を積算することにより、湯張り時の供給湯量を演算可能としている。
【0048】
一方、追い焚き時には制御弁60が閉弁状態とされているため、逆止弁62および逆止弁66がともに閉弁状態を維持する。一方、ポンプ84が駆動されるため、浴槽13から湯水が導出され、追い焚き循環回路を流れるようになる。その結果、逆止弁66の下流側圧力P2が上流側圧力P1よりも高くなり(P2>P1)、ダイアフラム226に差圧(P2−P1)が作用するようになる。その結果、ダイアフラム226が基準位置よりも第1室232側に変位する。つまり、磁石242が初期位置よりも磁気センサ244に近接する方向に変位する。図示しない制御部(判定部)は、その磁気センサ244の検出値に基づいて浴槽13の湯水の循環有無を判定する。
【0049】
すなわち、磁気センサ244の検出値が、湯張り時とは逆の値、つまり磁石242が初期位置よりも磁気センサ244に近接していることを示す値となっている場合に、制御部は、浴槽13の湯水が追い焚き循環回路を循環している(追い焚き中である、あるいは追い焚き機能が正常に動作している)と判定する。磁気センサ244の検出値が、磁石242が初期位置にあること、または初期位置よりも磁気センサ244から離間していることを示す値となっている場合には、制御部は、浴槽13の湯水が追い焚き循環回路を循環していない(追い焚き中ではない、あるいは追い焚き機能が正常に動作していない)と判定する。
【0050】
すなわち、フローセンサ68は、湯張りの際の出湯量を検出するためのフローセンサとして機能するとともに、追い焚きの際の湯水の循環有無を検出するためのフロースイッチとしても機能する。制御部は、検出される湯水の流れが注湯であるか循環であるかを識別することも可能である。フローセンサ68がフロースイッチとして機能するとき、その循環継続時間により追い焚き終了時間の目安を求めることもできる。すなわち、本実施形態における逆止弁66およびその周辺の構成とフローセンサ68は、給湯システムにおける湯水の流動状態を検出するための検出ユニットを構成している。
【0051】
次に、制御弁ユニット54の動作について説明する。
湯張り時においてはソレノイド118への通電がなされ、制御弁60が全開状態に維持される。このとき、上流側から導入管部104に湯水が導入され、その水圧により逆止弁62および逆止弁66が開弁状態となる。一方、このような通水時においては、導入管部104から導入される一次圧のほうが導出管部106から導出される二次圧よりも高くなるため、大気開放弁64は閉弁状態を維持する。
【0052】
一方、湯張りを停止させる際には、ソレノイド118への通電をオフにする。それにより、ソレノイド118による吸引力がなくなるため、スプリング154の付勢力によりパイロット弁体142がパイロット弁座138に着座して、パイロット弁122を閉じる。その結果、主弁120が主弁座126に着座し、制御弁60が閉弁状態となる。
【0053】
このとき、制御弁60により湯水の導入が遮断されるため、逆止弁62および逆止弁66はスプリング172,180の付勢力により閉弁状態となる。一方、装置が正常である限り、導入管部104から導入される圧力のほうが、逆止弁62と逆止弁66との間の圧力よりも高くなるため、大気開放弁64は閉弁状態を維持する。
【0054】
このようにして浴槽13に湯が供給された状態において、大気開放弁64の感圧室200には、検圧通路204を介して制御弁60の上流側の一次圧が導入されている。この一次圧は通常、制御弁60の下流側の二次圧より大きいため、大気開放弁64は閉弁状態を保持する。しかし、例えば停電や断水により給水管16や給湯管25に負圧が発生すると、大気開放弁64がその一次圧の低下を感知して開弁し、逆止弁62と逆止弁66との間の空間にある水を大気に放出する。このとき、仮に逆止弁66が異物の噛み込み等、何らかの要因で水密不良となっていた場合、浴槽13の汚水がその水頭圧により逆止弁66を介して大気開放弁64まで逆流する。しかし、その汚水は大気開放弁64により大気に放出されるため、給水管16や給湯管25まで逆流することはない。
【0055】
以上に説明したように、本実施形態によれば、浴槽13への注湯量計測と循環運転検知の2つの機能を1つのフローセンサにより実現することができる。既存の給湯システムにおいては一般に注湯量計測用のフローセンサと循環運転検知用のフロースイッチがそれぞれ設けられているのに対して、本実施形態によれば、それらを1つの差圧式のフローセンサに兼用させることができる。これにより、部品点数の削減や配管接続の簡素化が実現でき、給湯システム全体の価格低減につなげることができる。また、給湯装置の小型化や軽量化も可能となる。さらに、フローセンサ68を差圧式としたことにより、従来のように羽根車などの回転部品を管路に露出させなくてもよい。異物に対する耐性にも優れるといったメリットも得られる。
【0056】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0057】
上記実施形態においては、
図4に示したように、被検出対象となる磁石242とこれを支持する支持部材240を第1室232に設ける例を示した。変形例においては、これらを第2室234に設けてもよい。ただし、フローセンサ68を上記実施形態に示したような給湯システムに適用する場合、追い焚き循環回路を流れる汚水が、逆止弁66の下流側に流入し、第2室234に異物が侵入する可能性があることを考慮すると、磁石242とこれを支持する支持部材240を、第1室232に設けるのが好ましい。
【0058】
すなわち、導出管部106が追い焚き循環回路の一部を構成するわけではなく、フローセンサ68が追い焚き循環回路から少し離れた奥まった位置にあるため、第2室234に異物が侵入する可能性はさほど高くないかもしれない。しかし、磁石242および支持部材240を第2室234に配置した場合に、第2室234に仮に異物が侵入すると、その異物により磁石242の感度の低下、あるいは支持部材240とガイド部246との摺動部への噛み込みによる作動不良の虞がある。この点、追い焚き時には、逆止弁66が閉弁状態となるため、給湯装置が正常に機能している限り、汚水が逆止弁66の上流側に逆流し、さらに異物が第1室232に侵入することはない。このため、磁石242とこれを支持する支持部材240は、上記実施形態のように第1室232に設けるのが好ましい。
【0059】
上記実施形態においては、配管に配置された1つの逆止弁66の前後差圧を感知するようにフローセンサ68を設ける例を示した。変形例においては、直列に配置される複数の逆止弁に対し、その複数の逆止弁の上流側圧力と下流側圧力との差圧を感知させるようにフローセンサ68を設けてもよい。例えば、
図4において、フローセンサ68の第1連通路236を、制御弁60の下流側かつ逆止弁62(第1逆止弁)の上流側に連通させ、第2連通路238を逆止弁66(第2逆止弁)の下流側に連通させてもよい。そして、フローセンサ68が、直列に配置された第1逆止弁の上流側と第2逆止弁の下流側との差圧を感知して流体(湯水)の流量を検出するように構成してもよい。
【0060】
上記実施形態においては、感圧部材としてダイアフラムを用いる例を示したが、ベローズ、ピストンなどその他の受圧変位体を備えてもよく、または差圧によって移動可能である任意の可動部材であってもよい。可動部材の位置を検出するためのセンサは磁気センサには限られず、静電容量式などその他の非接触変位センサ、または接触式センサであってもよい。また、上記実施形態では、ダイアフラムとともに変位する可動部材(磁石)の変位量を検出するセンサを示したが、感圧部材の歪みから差圧を感知する圧力センサを用いてもよい。具体的には、
図4に示したダイアフラム226の片側面(例えば第1室232側の面)に歪みゲージを取り付け、第1室232と第2室234との差圧に応じたダイアフラム226の歪み(変形量)に応じた検出信号を出力させてもよい。その場合、感圧部材はダイアフラムに限らず、差圧により変形して歪みを生じさせる部材であればよい。なお、第1室232と第2室234との差圧を検出可能であれば、種々のセンサ(差圧検出センサ)を採用可能であることは言うまでもない。
【0061】
本発明の制御弁ユニットを貯湯式給湯装置に適用する例を示した。変形例においては即時式給湯装置の必要箇所に適用してもよい。また、湯水以外を作動流体とし、その作動流体の流量の調整や遮断が必要となる流体循環装置に適用してもよい。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。