(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸入室に導入される冷媒を圧縮して吐出室から吐出する可変容量圧縮機の吐出容量を、前記吐出室からクランク室に導入する冷媒の流量を制御することにより変化させる可変容量圧縮機用制御弁において、
前記吐出室に連通する吐出圧力室と、前記クランク室に連通するクランク圧力室と、被感知圧力が導入される圧力感知室と、前記吐出圧力室と前記クランク圧力室との間に設けられる主弁孔と、前記吐出圧力室と前記圧力感知室との間に設けられる第1ガイド孔と、前記圧力感知室に設けられる第2ガイド孔と、が形成されたボディと、
一端側に向けて段階的に縮径されることにより一端側が小径とされ他端側が大径とされた段付円筒状の本体を有し、一端側の小径部が前記第1ガイド孔に摺動可能に支持され、前記主弁孔に接離して主弁を開閉する主弁体が設けられる一方、他端側の大径部が前記圧力感知室に配置され、前記第2ガイド孔に摺動可能に支持される摺動部が設けられた弁駆動体と、
感圧部材としてベローズを含み、前記弁駆動体の大径部の内方に収容されるように設けられ、前記吸入室の吸入圧力または前記クランク室のクランク圧力を前記被感知圧力として感知し、その被感知圧力が設定圧力よりも低くなると、前記ベローズが伸長して前記弁駆動体に開弁方向の力を作用させる感圧部と、
前記弁駆動体と作動連結可能に設けられた伝達ロッドと、
前記設定圧力に応じた閉弁方向のソレノイド力を前記伝達ロッドを介して前記弁駆動体に作用させるソレノイドと、
を備えることを特徴とする可変容量圧縮機用制御弁。
前記伝達ロッドは、前記弁駆動体の前記主弁体とは反対側の端部に遊嵌され、前記弁駆動体に対して近接方向に駆動されることにより前記弁駆動体と作動連結し、前記弁駆動体に対して離間方向に駆動されることにより前記弁駆動体との作動連結が解除されることを特徴とする請求項1に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
【背景技術】
【0002】
自動車用空調装置は、一般に、その冷凍サイクルを流れる冷媒を圧縮して高温・高圧のガス冷媒にして吐出する圧縮機、そのガス冷媒を凝縮する凝縮器、凝縮された液冷媒を断熱膨張させることで低温・低圧の冷媒にする膨張装置、その冷媒を蒸発させることにより車室内空気との熱交換を行う蒸発器等を備えている。蒸発器で蒸発された冷媒は、再び圧縮機へと戻され、冷凍サイクルを循環する。
【0003】
この圧縮機としては、エンジンの回転数によらず一定の冷房能力が維持されるように、冷媒の吐出容量を可変できる可変容量圧縮機(単に「圧縮機」ともいう)が用いられている。この圧縮機は、エンジンによって回転駆動される回転軸に取り付けられた揺動板に圧縮用のピストンが連結され、揺動板の角度を変化させてピストンのストロークを変えることにより冷媒の吐出量を調整する。揺動板の角度は、密閉されたクランク室内に吐出冷媒の一部を導入し、ピストンの両面にかかる圧力の釣り合いを変化させることで連続的に変えられる。このクランク室内の圧力(以下「クランク圧力」という)Pcは、圧縮機の吐出室とクランク室との間、またはクランク室と吸入室との間に設けられた可変容量圧縮機用制御弁(単に「制御弁」ともいう)により制御される。
【0004】
このような制御弁として、例えば吸入圧力Psに応じてクランク室への冷媒の導入量を調整することにより、クランク圧力Pcを制御するものがある(例えば特許文献1参照)。この制御弁は、吸入圧力Psを感知して変位する感圧部と、感圧部の駆動力を受けて吐出室からクランク室へ通じる通路を開閉制御する弁部と、感圧部による駆動力の設定値を外部電流によって可変できるソレノイドとを備える。このような制御弁は、吸入圧力Psが外部電流により設定された設定圧力に保持されるように弁部を開閉する。一般に、吸入圧力Psは蒸発器出口の冷媒温度に比例するため、その設定圧力を所定値以上に保持することにより、蒸発器の凍結等を防止できる。また、車両のエンジン負荷が大きいときにはソレノイドをオフにすることで弁部を全開状態とし、クランク圧力Pcを高くして揺動板を回転軸に対してほぼ直角にすることで、圧縮機を最小容量で運転させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を上下と表現することがある。
図1は、実施形態に係る制御弁の構成を示す断面図である。
【0013】
制御弁1は、自動車用空調装置の冷凍サイクルに設置される図示しない可変容量圧縮機(単に「圧縮機」という)の吐出容量を制御する電磁弁として構成されている。この圧縮機は、冷凍サイクルを流れる冷媒を圧縮して高温・高圧のガス冷媒にして吐出する。そのガス冷媒は凝縮器(外部熱交換器)にて凝縮され、さらに膨張装置により断熱膨張されて低温・低圧の霧状の冷媒となる。この低温・低圧の冷媒が蒸発器にて蒸発し、その蒸発潜熱により車室内空気を冷却する。蒸発器で蒸発された冷媒は、再び圧縮機へと戻されて冷凍サイクルを循環する。圧縮機は、自動車のエンジンによって回転駆動される回転軸を有し、その回転軸に取り付けられた揺動板に圧縮用のピストンが連結されている。その揺動板の角度を変化させてピストンのストロークを変えることにより、冷媒の吐出量が調整される。制御弁1は、その圧縮機の吐出室からクランク室へ導入する冷媒流量を制御することで揺動板の角度、ひいてはその圧縮機の吐出容量を変化させる。
【0014】
制御弁1は、圧縮機の吸入圧力Psを設定圧力に保つように、吐出室からクランク室に導入する冷媒流量を制御するいわゆるPs感知弁として構成されている。制御弁1は、弁本体2とソレノイド3とを一体に組み付けて構成される。弁本体2は、吐出冷媒の一部をクランク室へ導入するための冷媒通路を開閉する弁部を含む。ソレノイド3は、その弁部を開閉方向に駆動してその開度を調整し、クランク室へ導入する冷媒流量を制御する。弁本体2は、段付円筒状のボディ5、ボディ5の内部に設けられた弁部、弁部の開度を調整するためにソレノイド力に対抗する力を発生するパワーエレメント6等を備えている。パワーエレメント6は、「感圧部」として機能する。
【0015】
ボディ5の上端開口部にはポート12が設けられ、側部にはポート14が設けられている。ボディ5の下端開口部は、ソレノイド3の後述するコア42に設けられたポート16に連通する。ポート12はクランク室に連通する「クランク室連通ポート」として機能し、ポート14は吐出室に連通する「吐出室連通ポート」として機能し、ポート16は吸入室に連通する「吸入室連通ポート」として機能する。また、ボディ5内には、ポート12とポート14とを連通させる第1内部通路と、ポート12とポート16とを連通させる第2内部通路とが形成されている。第1内部通路には主弁が設けられ、第2内部通路には副弁が設けられている。第1内部通路には主弁孔18が設けられ、その下端開口端縁のテーパ面に主弁座20が形成されている。
【0016】
ポート14は、吐出室から吐出圧力Pdの冷媒を導入する。ポート12は、圧縮機の定常動作時に主弁を経由したクランク圧力Pcの冷媒をクランク室へ向けて導出する一方、圧縮機の起動時にはクランク室から排出されたクランク圧力Pcの冷媒を導入する。このとき導入された冷媒は、副弁に導かれる。ポート16は、圧縮機の定常動作時に吸入圧力Psの冷媒を導入する一方、圧縮機の起動時には副弁を経由した吸入圧力Psの冷媒を吸入室へ向けて導出する。
【0017】
ポート14には環状のストレーナ15が取り付けられている。ストレーナ15は、ボディ5の内部へのごみ等の侵入を抑制するためのフィルタを含む。一方、ポート12には有底円筒状のストレーナ13が取り付けられている。ストレーナ13は、ボディ5の内部へのごみ等の侵入を抑制するためのフィルタを含む。ボディ5の内方には段付円筒状の区画部材22が配設されている。区画部材22は、ボディ5の内方で軸線方向に延在し、その上端部がボディ5の上端開口部に圧入され、下端部には半径方向外向きに延出するフランジ部24が設けられている。フランジ部24の上面には第1副弁座26が形成され、下面には第2副弁座28が形成されている。
【0018】
ボディ5には、主弁および副弁を開閉する機構を備えた弁駆動体30が設けられている。弁駆動体30は、上方に向けて段階的に縮径される有底段付円筒状の本体31を有する。本体31には、主弁体32および第1副弁体34が一体に設けられている。また、本体31の内方には、第2副弁体36およびパワーエレメント6が同軸状に配設されている。主弁体32は、本体31の上部に設けられ、主弁座20に着脱して主弁を開閉し、吐出室からクランク室へ流れる冷媒流量を調整する。なお、本実施形態では、主弁体32が主弁座20に着座または離脱して主弁を開閉する構成を採用しているが、主弁体が主弁孔に挿抜されるスプール弁の態様を採用してもよい。すなわち、「主弁体が主弁孔に接離」は両者の構成を含みうる。
【0019】
一方、パワーエレメント6は、本体31の下半部に収容されるように設けられている。パワーエレメント6は、吸入圧力Psを感知して変位するベローズ38を含み、そのベローズ38の変位によりソレノイド力に対抗する力を弁駆動体30ひいては主弁体32に付与する。第2副弁体36は、ベローズ38と一体動作可能に設けられている。第1副弁体34が第1副弁座26に着座して第1の副弁を閉じるか、または第2副弁体36が第2副弁座28に着座して第2の副弁を閉じることにより、クランク室から吸入室への冷媒のリリーフを遮断する。また、第1副弁体34が第1副弁座26から離間して第1の副弁を開き、かつ第2副弁体36が第2副弁座28から離間して第2の副弁を開くことにより、クランク室から吸入室への冷媒のリリーフを許容する。区画部材22と第2副弁体36との間には、第2副弁体36を開弁方向に付勢するスプリング40(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
【0020】
一方、ソレノイド3は、段付円筒状のコア42と、コア42の下端開口部を封止するように組み付けられた有底円筒状のスリーブ44と、スリーブ44に収容されてコア42と軸線方向に対向配置された円筒状のプランジャ46と、コア42およびスリーブ44に外挿された円筒状のボビン48と、ボビン48に巻回され、通電により磁気回路を生成する電磁コイル50と、電磁コイル50を外方から覆うように設けられ、ヨークとしても機能する円筒状のケース52と、ケース52の下端開口部を封止するように設けられた端部部材54とを備える。なお、本実施形態においては、ボディ5、コア42およびケース52が制御弁1全体のボディを形成している。
【0021】
弁本体2とソレノイド3とは、ボディ5の下端部がコア42の上端開口部に圧入されることにより固定されている。コア42は、その上半部が拡径されており、ボディ5との間に吸入圧力Psを満たすための圧力室56(「圧力感知室」として機能する)を形成する。ポート16は、コア42とボディ5との接合部近傍に設けられている。
【0022】
コア42の中央を軸線方向に貫通するように、長尺状の伝達ロッド58が挿通されている。伝達ロッド58の下端部がプランジャ46の上半部に圧入されることにより、伝達ロッド58とプランジャ46とが同軸状に固定されている。伝達ロッド58は、その上端部が弁駆動体30およびパワーエレメント6と作動連結可能に構成されている。伝達ロッド58は、一方でコア42とプランジャ46との吸引力であるソレノイド力を弁駆動体30を介して主弁体32に伝達する。伝達ロッド58は、他方でパワーエレメント6の伸縮動作による反力、つまりソレノイド力に対抗する力をプランジャ46に伝達する。
【0023】
コア42の上端部にはリング状の軸支部材60が圧入されており、伝達ロッド58は、その軸支部材60によって軸線方向に摺動可能に支持されている。軸支部材60の外周面の所定箇所には、軸線に平行な図示しない連通溝が形成されている。ポート16から導入出される吸入圧力Psは、その連通溝、伝達ロッド58とコア42との間隙により形成される連通路62を通ってスリーブ44の内部にも導かれる。
【0024】
連通路62は、スリーブ44内をオイルダンパ室とするためのオリフィスとして機能する。すなわち、本実施形態では、制御弁1の製造工程において、圧縮機の潤滑用として冷媒に含まれるオイルと同種のオイルを予めスリーブ44内に入れておく。連通路62は、スリーブ44へのオイルの出入りに対して抵抗となる絞り通路として機能する。このような構成により、スリーブ44をオイルダンパ室として機能させることができ、そのスリーブ44に配置されたプランジャ46の微小振動などが抑制される。その結果、そのような微小振動による騒音の発生が防止または抑制される。コア42とプランジャ46との間には、両者を互いに離間させる方向に付勢するスプリング64(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
【0025】
スリーブ44は非磁性材料からなる。プランジャ46の側面には軸線に平行な複数の連通溝66が設けられ、プランジャ46の下端面には半径方向に延びて内外を連通する複数の連通溝68が設けられている。このような構成により、図示のようにプランジャ46が下死点に位置しても、吸入圧力Psがプランジャ46とスリーブ44との間隙を通って背圧室70に導かれるようになっている。
【0026】
ボビン48からは電磁コイル50につながる一対の接続端子72が延出し、それぞれ端部部材54を貫通して外部に引き出されている。同図には説明の便宜上、その一対の片方のみが表示されている。端部部材54は、ケース52に内包されるソレノイド3内の構造物全体を下方から封止するように取り付けられている。端部部材54は、耐食性を有する樹脂材のモールド成形(射出成形)により形成され、その樹脂材がケース52と電磁コイル50との間隙にも満たされている。このように樹脂材がケース52と電磁コイル50との間隙に樹脂材を満たすことで、電磁コイル50で発生した熱をケース52に伝達しやすくし、その放熱性能を高めている。端部部材54からは接続端子72の先端部が引き出されており、図示しない外部電源に接続される。
【0027】
図2は、
図1の上半部に対応する部分拡大断面図である。
ボディ5の軸線方向中間部には主弁孔18と第1ガイド孔73とが同軸状に設けられ、その主弁孔18と第1ガイド孔73との間にポート14が設けられている。ボディ5は、主弁孔18のポート14とは反対側にて拡径されるとともに、第1ガイド孔73のポート14とは反対側にて拡径されている。ボディ5の下部は第2ガイド孔74を形成する。
【0028】
区画部材22は、段付円筒状の第1部材76と有底段付円筒状の第2部材78とを軸線方向に接合して構成される。第1部材76は、その上端部が拡径され、ボディ5の上端開口部に圧入されている。第1部材76の上部には、内外を連通する複数の連通孔80が設けられている。一方、第2部材78は、その上半部が縮径されて第1部材76の下端部に圧入されている。第2部材78の上端部はその底部により閉止されているため、区画部材22の内部を介して冷媒が流通することはない。第2部材78の下半部はスプリング40を上方から支持する「ばね受け」としても機能する。第2部材78の下端開口部には上述したフランジ部24が設けられている。区画部材22は、このような構成により、ボディ5に片持ち状に支持される態様で軸線方向に延在する。
【0029】
弁駆動体30の本体31は、段付円筒状の第1部材81と、段付円筒状の第2部材82と、有底円筒状の第3部材83とを軸線方向に順次接合して構成される。すなわち、第1部材81の下部が第2部材82の上部に内挿されるように圧入され、第2部材82の下部が第3部材83の上部に内挿されるように圧入されることにより、上方に向けて段階的に縮径される態様の本体31が構成されている。第1部材81は、第1ガイド孔73に摺動可能に支持され、その上端部が主弁体32を構成し、下端部が第1副弁体34を構成する。第1部材81の摺動面には、冷媒の流通を抑制するための複数の環状溝からなるラビリンスシール84が設けられている。
【0030】
一方、第2部材82の軸線方向中間部には、摺動部86が環状に突設されている。第2部材82は、その摺動部86を介して第2ガイド孔74に摺動可能に支持されている。すなわち、弁駆動体30は、その一端側が第1ガイド孔73に摺動可能に支持され、他端側が第2ガイド孔74に摺動可能に支持される態様で、ボディ5により2点支持されている。なお、本実施形態においては、弁駆動体30、第2副弁体36およびパワーエレメント6を合わせたユニットとしての重心が、その2点の支持部の間に位置するように構成されている。
【0031】
主弁体32は主弁座20に着脱して主弁を開閉する。一方、第1副弁体34は第1副弁座26に着脱して第1の副弁を開閉する。これら主弁体32と第1副弁体34がそれぞれ第1部材81の一端および他端に一体に設けられているため、主弁の閉弁時には第1の副弁は全開状態となり、主弁の全開時には第1の副弁は閉弁状態となる。フランジ部24は、第1部材81を主弁の開弁方向(第1の副弁の閉弁方向)に係止し、主弁の全開時の開度を規制する係止部としても機能する。
【0032】
第2部材82は、摺動部86のやや上方で内外を連通する連通孔88を有する。第2部材82の軸線方向中間部には、内径がやや縮小された第3ガイド孔90が設けられている。第2副弁体36は、第3ガイド孔90に摺動可能に支持されている。第2副弁体36は、有底円筒状の本体を有し、その底部の周縁部近傍に冷媒を通過させるための複数の連通孔92が形成されている。第2副弁体36は、区画部材22とパワーエレメント6との間に介装され、その上端部にて第2副弁座28に着脱して第2の副弁を開閉する。
【0033】
第3部材83は、その内部においてパワーエレメント6の一端を固定する。第3部材83の側部には、内外を連通する連通孔94が設けられている。第3部材83の底部中央には、伝達ロッド58の上端部を挿通させるための挿通孔96が設けられている。パワーエレメント6は、ベース部材98とベローズ38を含んで構成される。ベース部材98は、金属材をプレス成形して有底円筒状に構成されており、その下端開口部に半径方向外向きに延出するフランジ部100を有する。フランジ部100の下面が第3部材83の底面に接合(溶接)されることにより、パワーエレメント6が弁駆動体30に固定されている。
【0034】
ベローズ38は、蛇腹状の本体の上端部が閉止され、下端開口部がフランジ部100の上面に気密に溶接されている。ベローズ38は、ベース部材98の本体を軸芯としつつ、フランジ部100に片持ち状に固定されている。ベース部材98の本体は、ベローズ38の内方をその底部近傍まで延在し、その上底部がベローズ38の底部に近接配置される。ベース部材98の本体には、伝達ロッド58の上端部が遊嵌されている。すなわち、伝達ロッド58の上端部は縮径されており、その縮径部が挿通孔96を介してベース部材98に部分的に挿通される。ただし、伝達ロッド58の挿入量は、その縮径部の基端である段部102が第3部材83に係止されることにより規制される。伝達ロッド58は、段部102が第3部材83に係止された状態で弁駆動体30と一体に変位可能であり、また、段部102が第3部材83から離間した状態で弁駆動体30と相対変位可能となっている。
【0035】
ベローズ38の内部は密閉された基準圧力室Sとなっている。ベローズ38の底部とフランジ部100との間には、ベローズ38を伸長方向に付勢するスプリング104が介装されている。基準圧力室Sは、本実施形態では真空状態とされている。ベローズ38は、圧力室56の吸入圧力Psと基準圧力室Sの基準圧力との差圧に応じて軸線方向(弁部の開閉方向)に伸長または収縮する。ただし、その差圧が大きくなってもベローズ38が所定量収縮すると、ベース部材98の先端面が当接して係止されるため、その収縮は規制される。
【0036】
ベローズ38と第2副弁体36との間には、円板状の支持部材106が介装されている。支持部材106の下面には凹部が設けられ、ベローズ38の上面中央の凸部と嵌合している。支持部材106の上面は曲面に形成されており、第2副弁体36の下面中央部に当接している。このような構成により、弁駆動体30の内方における第2副弁体36とパワーエレメント6との組付性を向上させている。
【0037】
このような構成において、制御弁1の安定した制御状態においては、圧力室56内の吸入圧力Psが所定の設定圧力Psetとなるよう主弁が自律的に動作する。この設定圧力Psetは、基本的にはスプリング40,64,104のばね荷重によって予め調整され、蒸発器内の温度と吸入圧力Psとの関係から、蒸発器の凍結を防止できる圧力値として設定されている。設定圧力Psetは、ソレノイド3への供給電流(設定電流)を変えることにより変化させることができる。本実施形態では、制御弁1の組み付けが概ね完了した状態で区画部材22の圧入量を再調整することで、スプリングの設定荷重を微調整することができ、設定圧力Psetを正確に調整することが可能となっている。
【0038】
本実施形態においては、主弁体32の主弁における有効受圧経A、主弁体32の摺動部の有効受圧経B、第1副弁体34の第1の副弁における有効受圧経C、第2副弁体36の第2の副弁における有効受圧経Dが等しく設定されている。このため、主弁体32、第1副弁体34および第2副弁体36に作用する冷媒圧力の影響がキャンセルされる。
【0039】
次に、制御弁の動作について説明する。
図3および
図4は、制御弁の動作を表す図であり、
図2に対応する。既に説明した
図2は、制御弁の最小容量運転状態を示している。
図3は、制御弁のブリード機能を動作させたときの状態を示している。
図4は、比較的安定した制御状態を示している。以下においては、
図1に基づき、適宜
図2〜
図4を参照しつつ説明する。
【0040】
制御弁1においてソレノイド3が非通電のとき、つまり自動車用空調装置が動作していないときには、コア42とプランジャ46との間に吸引力が作用しない。このため、
図2に示すように、スプリング40の付勢力によりパワーエレメント6が下方に変位し、主弁体32が主弁座20から離間して主弁が全開状態となる。また、第1副弁体34が第1副弁座26に着座するため、第1の副弁は閉弁状態となる。このとき、圧縮機の吐出室からポート14に導入された吐出圧力Pdの冷媒は、全開状態の主弁を通過し、ポート12からクランク室へと流れることになる。したがって、クランク圧力Pcが高くなり、圧縮機は最小容量運転を行うようになる。このとき、第2の副弁の開閉状態にかかわらず、パワーエレメント6は実質的に機能しない。
【0041】
一方、自動車用空調装置の起動時など、ソレノイド3の電磁コイル50に最大の制御電流が供給されると、
図3に示すように、ソレノイド力が伝達ロッド58を介して弁駆動体30にそのまま伝達される。その結果、主弁体32が主弁座20に着座して主弁を閉じるとともに第1副弁体34が第1副弁座26から離間して第1の副弁を開弁させる。一方、起動時は吸入圧力Psが比較的高いため、第2副弁体36も第2副弁座28から離間し、第2の副弁の開弁状態が維持される。すなわち、ソレノイド3に起動電流が供給されると、主弁が閉じてクランク室への吐出冷媒の導入を規制すると同時に副弁が直ちに開いてクランク室内の冷媒を吸入室に速やかにリリーフさせる。その結果、圧縮機を速やかに起動させることができる。
【0042】
そして、ソレノイド3に供給される電流値が所定値に設定された制御状態にあるときには、
図4に示すように、吸入圧力Psが比較的低いためにベローズ38が伸長し、第2副弁体36が第2副弁座28に着座して第2の副弁を閉弁させる。一方、そのように第2の副弁が閉じられた状態で主弁体32が動作して主弁の開度を調整する。このとき、主弁体32は、スプリング40による開弁方向の力と、スプリング64による開弁方向の力と、ソレノイド3による閉弁方向のソレノイド力と、吸入圧力Psにより動作するパワーエレメント6によるソレノイド力び対抗する力とがバランスした弁リフト位置にて停止する。
【0043】
そして、たとえば冷凍負荷が大きくなり吸入圧力Psが設定圧力Psetよりも高くなると、ベローズ38が縮小するため、弁駆動体30ひいては主弁体32が相対的に上方(閉弁方向)へ変位する。その結果、主弁の弁開度が小さくなり、圧縮機は吐出容量を増やすよう動作する。その結果、吸入圧力Psが低下する方向に変化する。逆に、冷凍負荷が小さくなって吸入圧力Psが設定圧力Psetよりも低くなると、ベローズ38が伸長する。その結果、パワーエレメント6による付勢力がソレノイド力を低減させる方向に作用する。この結果、主弁体32への閉弁方向の力が低減されて主弁の弁開度が大きくなり、圧縮機は吐出容量を減らすよう動作する。その結果、吸入圧力Psが設定圧力Psetに維持され、過剰冷房が防止される。
【0044】
以上に説明したように、本実施形態によれば、弁駆動体30の内部にパワーエレメント6が一体に設けることで、その弁駆動体30の重量が比較的大きくなるところ、その一端側が第1ガイド孔73に摺動可能に支持され、他端側が第2ガイド孔74に摺動可能に支持される。すなわち、弁駆動体30がその一端側と他端側で2点支持されるため、その軸ぶれが生じ難い。特に、弁駆動体30の内部にさらに副弁を設ける都合上、予め分割された第1部材81と第2部材82とを圧入して本体31を構成する構造となるところ、その第1部材81および第2部材82のそれぞれが支持される。このため、弁駆動体30の作動時のボディ5に対する同軸度を高く維持することができる。その結果、主弁体32の開弁特性を良好に維持することができる。また、弁駆動体30の支持荷重が分散されるため、各支持部の摩耗を抑制することができる。
【0045】
また、伝達ロッド58と弁駆動体30とを作動連結するために、伝達ロッド58の上端部を弁駆動体30の挿通孔96を介して弁駆動体30のベース部材98に遊嵌させる構成とした。すなわち、弁駆動体30、パワーエレメント6および伝達ロッド58は本来同軸状に連結しなければならないところ、伝達ロッド58の上端部を弁駆動体30やパワーエレメント6に固定するのではなく、遊びとなる間隙を確保した状態で連結する構成とした。このため、弁駆動体30に対する伝達ロッド58の同軸度を多少緩和することもでき、各部の寸法公差が主弁体32の円滑な作動に影響を及ぼすことを防止できる。また、仮に伝達ロッド58と弁駆動体30とを圧入する構成とする場合、弁駆動体30とボディ5との同軸度を確保することが難しくなる。すなわち、ボディ5とコア42についても圧入が行われるため、2箇所を同時に圧入しなければならず、その組み付け精度を確保するのは難しい。本実施形態によれば、伝達ロッド58を弁駆動体30に対して遊嵌する構成としたため、そうした問題がなくなり、組付性を向上させることができる。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0047】
例えば、上記実施形態では、制御弁1として、副弁によりクランク室の圧力を吸入室にリリーフ可能ないわゆるブリード機能を有するものを示したが、このようなブリード機能を有しない構成としてもよい。その場合、弁駆動体30の内方に内部通路を設ける必要がなくなる。また、上記実施形態では、吸入圧力Psを感知して動作するいわゆるPs感知弁として構成する例を示したが、クランク圧力Pcを感知して動作するいわゆるPc感知弁として構成してもよい。その場合、ポート16をクランク室に連通させるようにする。
【0048】
上記実施形態では、パワーエレメント6を構成する感圧部材としてベローズ38を採用する例を示したが、ダイヤフラムを採用してもよい。その場合、その感圧部材として必要な動作ストロークを確保するために、複数のダイヤフラムを軸線方向に連結する構成としてもよい。