特許第6064128号(P6064128)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6064128
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】帯装着方法
(51)【国際特許分類】
   A41F 19/00 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   A41F19/00 111A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-84978(P2016-84978)
(22)【出願日】2016年4月21日
【審査請求日】2016年5月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516120397
【氏名又は名称】仲谷 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100146798
【弁理士】
【氏名又は名称】川畑 孝二
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 由美子
【審査官】 一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−212816(JP,A)
【文献】 実開昭58−157673(JP,U)
【文献】 国際公開第01/85470(WO,A1)
【文献】 特開2014−80699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41F 19/00
B42F 1/02
A44B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着物の帯を装着する方法であって、
第1挟持片、第2挟持片並びに前記第1および第2挟持片の一端どうしを連結する弾性変形可能な連結部を含み、自然状態で前記第1挟持片、前記第2挟持片および前記連結部が略同じ平面内に位置するクリップと、前記第1および第2挟持片に挟まれた第1および第2シート片を含む保護シートとを備える保護シート付きクリップを準備し、
帯の垂れが帯の手に対して垂直になるよう帯を折り畳んで、前記帯の垂れと前記帯の手の間に三角形状の折り畳み部を形成し、
前記折り畳み部の一部分であって前記帯の垂れで帯結びを形成した際に前記帯結びにより隠れる部分を、前記第1および第2シート片の間に挟んで前記保護シート付きクリップで留め、
前記帯の垂れで帯結びを形成し、
前記保護シート付きクリップを前記帯の折り畳み部の前記部分に残存させたままで、前記帯結びの形成された帯を着物の着用者に装着する、
方法。
【請求項2】
前記保護シートは、紙からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記保護シートは、さらに、前記第1シート片とで前記第1挟持片を挟む第3シート片、および、前記第2シート片とで前記第2挟持片を挟む第4シート片を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記保護シートは、皺を有し、前記皺による凹凸の高さは、前記保護シートの厚みよりも大きい、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、和服等の着物の帯を簡易的に装着する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
着物の帯を簡易的に装着する方法として、お太鼓をあらかじめ形成してから帯を身体に巻く方法がある。例えば、特許文献1は、手(テ)を横にして帯を置き、垂れ(タレ)を手に対して垂直に折り曲げ、その手を折り返して長さを調節し、垂れでお太鼓を形成してから、背中にお太鼓を背負い、手を身体に巻くという手順を開示している(明細書段落0027〜0033参照)。特許文献1は、さらに、帯でお太鼓を形成する際に帯を固定するため、または、身体に巻いた手をお太鼓の中で固定するために、クリップまたは洗濯バサミを利用することを開示している(同段落参照)。クリップを利用して手をお太鼓の中で固定する場合、このクリップは、着物の着用中、お太鼓の中に残存したままとなる。
【0003】
一般に、着物の着付けに利用されるクリップとして、着物クリップまたは和装クリップと称されるレバー式のクリップが市販されている。レバー式のクリップとは、2枚の対向する挟持片の先端どうしがバネ仕掛けにより閉じるようにされたものである。挟持片の後端どうしをバネ力に抗じて摘むと、挟持片の先端どうしが開き、物を挟める状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−80699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
着物の着用者が椅子に着座する場合、通常、お太鼓の形状をくずさないよう椅子に浅く腰かけて、椅子の背もたれに体重をあずけないように努める。この場合、お太鼓の中にクリップを残存させたままでも、クリップが着物の着用者に違和感を与えることはない。しかしながら、例えば、着席または起立の際、あるいは、列車または自動車など不意に揺れる乗り物の椅子に着座している際など、意図せず椅子の背もたれに体重をかけてしまうことがある。また、車椅子の利用者が着物を着用することもあるが、そもそも多くの車椅子の利用者にとっては、背もたれに体重をあずけない体勢をとるのが困難である。このように椅子の背もたれに体重がかかる場合、お太鼓の中のクリップが着物の着用者の背中を圧迫し、着物の着用者に不快感を与えてしまう。また、車椅子の利用者の中には、病態によっては、背中の感覚が麻痺した者もいる。背中の感覚が麻痺している場合、クリップが背中を圧迫していてもそのことに気付きにくく、褥瘡の原因となることも考えられる。レバー式のクリップは、その構造上、嵩高いため、背中の圧迫を引き起こしやすい。
【0006】
また、着物の帯は、世代間で引き継がれたもの、または、引き継ぐ予定のものも多いので、帯の生地の損傷は極力回避したい。しかしながら、帯をクリップで留めると、帯のクリップで挟まれる箇所が損傷しやすくなる。
【0007】
本発明は、帯をクリップで留めるという簡易的な帯の装着方法を採用しながらも、クリップによる背中への圧迫および帯のクリップで挟まれる箇所の損傷を軽減する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る着物の帯を装着する方法は、次の手順を含む。
【0009】
第1挟持片、第2挟持片並びに前記第1および第2挟持片の一端どうしを連結する弾性変形可能な連結部を含み、自然状態で前記第1挟持片、前記第2挟持片および前記連結部が略同じ平面内に位置するクリップと、前記第1および第2挟持片に挟まれた第1および第2シート片を含む保護シートとを備える保護シート付きクリップを準備する。
【0010】
帯の垂れが帯の手に対して垂直になるよう帯を折り畳んで、前記帯の垂れと前記帯の手の間に三角形状の折り畳み部を形成する。
【0011】
前記折り畳み部の一部分であって前記帯の垂れで帯結びを形成した際に前記帯結びにより隠れる部分を、前記第1および第2シート片の間に挟んで前記保護シート付きクリップで留める。
【0012】
前記帯の垂れで帯結びを形成する。
【0013】
前記保護シート付きクリップを前記帯の折り畳み部の前記部分に残存させたままで、前記帯結びの形成された帯を着物の着用者に装着する。
【発明の効果】
【0014】
帯はある程度の張りを有するので、帯の折り畳み部は自然に開こうとする。上記方法は、帯の折り畳み部をクリップで留めるので、折り畳み部の形状を固定でき、その後の工程を容易に実施できる。また、上記クリップの第1挟持片、第2挟持片および連結部は、自然状態で略同じ平面内に位置する。これによりレバー式のクリップに比べて嵩を低くすることができ、クリップによる背中への圧迫を軽減することができる。さらに、上記クリップで帯を留める際には、帯は保護シートの第1および第2シート片の間に挟まれるので帯のクリップで挟まれる箇所の損傷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】帯の装着に供される保護シート付きクリップの一例を示す斜視図である。
図2】保護シートを展開した状態の保護シート付きクリップの斜視図である。
図3】帯の装着の手順の一例を示す図である。
図4】帯の装着の手順の一例を示す図である。
図5】帯の装着に供される保護シート付きクリップの別の例を示す斜視図である。
図6】帯の装着に供される保護シート付きクリップのさらに別の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、帯の装着に供される保護シート付きクリップを説明し、次に、帯の装着の手順を説明する。
【0017】
(1)保護シート付きクリップ
【0018】
図1および図2に示される通り、保護シート付きクリップ10は、クリップ20および保護シート30を含む。
【0019】
クリップ20は、第1挟持片21、第2挟持片22および連結部23を含む。図1(b)に示される通り、第1挟持片21は、平行に並んだ2本の線状体21a、21bを含む。同様に、第2挟持片22は、平行に並んだ2本の線状体22a、22bを含む。連結部23は、第1挟持片21の一端21cと第2挟持片22の一端22cを連結する。
【0020】
第1挟持片21、第2挟持片22および連結部23は、自然状態では略同じ平面内に位置する。第1挟持片21および第2挟持片22に外力を印加すると連結部23が弾性変形し、第1挟持片21および第2挟持片22の他端21d、22dどうしが開いて物を挟める状態となる。ここで、自然状態とは、第1挟持片21および第2挟持片22に外力が印加されていない状態をいう。また、略同じ平面内に位置するとは、第1挟持片21の位置する平面と第2挟持片22の位置する平面が厳密に同じであることのみならず、加工精度の範囲内で多少ずれることを許容する意図である。
【0021】
クリップ20の素材としては、金属または樹脂を利用することができる。金属の場合、例えば、一本の細長い金属線を屈曲または湾曲させることで作製できる。樹脂の場合、例えば、金型に樹脂を流し込むことで作製できる。第1挟持片21および第2挟持片22の素材と連結部23の素材とが異なっていてもよい。また金属製の心材に樹脂製の被覆材を配したものでもよい。
【0022】
クリップ20のサイズは、例えば、全長が50mm乃至100mm、全幅が5mm乃至30mm、厚みが0.5mm乃至2.5mmである。クリップ20の厚みは、全長および全幅よりも小さい。
【0023】
図1(a)および図2に示される通り、保護シート30は、第1シート片31および第2シート片32を含む。第1シート片31および第2シート片32は、クリップ20の第1挟持片21および第2挟持片22の間に挟まれており、第1シート片31が第1挟持片21に接し、第2シート片32が第2挟持片22に接している。第1シート片31および第2シート片32は、保護シート付きクリップ10で帯を留めた際に第1挟持片21および第2挟持片22が直接帯に接触することを防止する。第1挟持片21および第2挟持片22が直接帯に接触する場合、第1挟持片21および第2挟持片22の各線状体21a、21b、22a、22bが帯に線接触することになる。そうすると帯を局所的に圧縮することとなり、帯の生地を傷めやすい。また、帯を留めていたクリップ20を取り外す際は、第1挟持片21および第2挟持片22の間に帯を挟んだ状態でクリップ20をスライドさせることになる。このとき、線状体21aおよび線状体22bの末端21e、22eが帯の生地を引掻くおそれがある。第1シート片31を第1挟持片21と帯の間に置き、第2シート片32を第2挟持片22と帯の間に置くことで、帯の局所的な圧縮を軽減することができ、また、線状体21aおよび線状体22bの末端21e、22eが帯の生地を引掻くことを防止できる。その結果、帯のクリップで挟まれる箇所の損傷を軽減することができる。
【0024】
保護シート30は、さらに、第3シート片33および第4シート片34を含む。第3シート片33は、第1シート片31とで第1挟持片21を挟んでいる。第4シート片34は、第2シート片32とで第2挟持片22を挟んでいる。つまり、クリップ20の内面は、第1および第2シート片31、32で被覆され、クリップ20の外面は、第3および第4シート片33、34で被覆されている。後述の通り、帯を装着した際に、保護シート付きクリップ10は折り重ねられた帯の中に位置することとなり、保護シート付きクリップ10の外面も帯に接触することになる。第3および第4シート片33、34の存在により、保護シート付きクリップ10の外面に接触する帯の箇所の損傷を軽減することができる。
【0025】
保護シート30は、例えば、図2に示される通り、一枚のシートを折り畳んで形成することができる。この例では、第4シート片34の一部34a、第3シート片33、第1シート片31、第2シート片32、第4シート片34の一部34bがこの順に並んだ一枚のシートとなっている。第4シート片34の一部34aと一部34bは、必要に応じて糊などの接着剤で接着される。このように、一枚のシートで形成することにより、保護シート付きクリップ10を容易に作製することができる。ただし、これに限らず、別個に切り離された各シート片を準備してそれらをクリップ20に固定することとしてもよい。
【0026】
保護シート30の素材としては、紙、布または樹脂を利用することができる。紙は、和紙および洋紙を含む。和紙は、日本古来の伝統的な原料および製法を採用した狭義の和紙のみならず、原料および製法の一方または両方を改変して和紙風の紙とした広義の和紙も含む。布は、織物、編物および不織布を含む。樹脂は、天然樹脂および合成樹脂を含む。合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンを利用できる。着物の着用者またはその補助者が保護シート付きクリップ10を作製する場合、加工容易性および入手容易性を確保することが好ましい。このような観点では、保護シート30の素材としては、紙または布が好ましい。また、保護シート30は、保護シート付きクリップ10を帯に取り付ける際および帯から取り外す際には適切な摺動性を発揮し、保護シート付きクリップ10で帯を留めている最中には適切な制動性を発揮することが好ましい。このような観点では、保護シート30の素材としては、紙が好ましい。
【0027】
(2)帯の装着の手順
【0028】
本発明の一実施形態に係る着物の帯を装着する方法は、次の手順を含む。なお、1乃至5の番号は、順序の先後を規定するものではなく、適宜順序を入れ替えても構わない。
【0029】
1.保護シート付きクリップを準備する。
2.帯の垂れと帯の手の間に三角形状の折り畳み部を形成する。
3.折り畳み部の部分を保護シート付きクリップで留める。
4.帯の垂れで帯結びを形成する。
5.帯結びの形成された帯を着物の着用者に装着する。
【0030】
以下、図3および図4を参照して帯の装着の手順の一例を説明する。
【0031】
まず、保護シート付きクリップ10を準備する。保護シート付きクリップ10の構造は、既に説明した通りである。ここで、準備とは、製作、および、製作されたものの有償または無償による譲り受けを含む。
【0032】
次に、図3(a)に示される通り、畳、床またはテーブルのような水平面上に帯40を置き、垂れ42が手41に対して垂直になるように帯40を折り畳んで、垂れ42と手41の間に三角形状の折り畳み部43を形成する。手41は、帯40の半幅に折り畳まれる。帯40は、名古屋帯および袋帯の何れでもよい。
【0033】
次に、図3(a)および図3(b)に示される通り、折り畳み部43において3重に折り重ねられて帯の端縁の3箇所が揃えられた部分43aを保護シート付きクリップ10で留める。このとき、帯の折り畳み部43は、保護シート付きクリップ10の第1シート片31および第2シート片32の間に挟まれるので、帯40の局所的な圧縮を軽減することができる。また、帯40はある程度の張りを有するため、折り畳み部43は自然に開こうとする。折り畳み部43を保護シート付きクリップ10で留めることで、折り畳み部43の形状を固定でき、その後の工程を容易に実施できる。
【0034】
上記の部分43aは、折り畳み部43の自然な開きを効率的に防止し、かつ、保護シート付きクリップ10を隠しやすくする観点で好ましい。ただし、保護シート付きクリップ10で留める部分は、折り畳み部43の一部分であって、帯結びにより隠れる部分であれば、どこでも構わない。例えば、上記部分43aは、二等辺三角形の底辺に位置するが、これに限らず、二等辺三角形の2つの等辺を留めることとしてもよく、2つの等辺の交点である頂点を留めることとしてもよい。
【0035】
次に、図4(a)に示される通り、手41を折り返して二つ折り部分44を形成する。このとき、二つ折りされた手41の長さは、着物の着用者の胴回りの長さに調整される。なお、帯によっては手41に絵柄が現れるものがある。この絵柄が着物の着用者の身体の適切な位置にくるように、手41を折り畳み部43の上で折り畳んで絵柄の位置を調整してもよい。このとき、折り畳み部43上で折り畳まれた手の部分を、保護シート付きクリップ10で折り畳み部43と一緒に留めるようにしてもよい。また、二つ折りされた手41の手先が垂れ42を通り越して垂れ42の右側にくることがある。この手先41をさらに折り返して、折り畳み部43上に重ねることとしてもよい。このとき、折り畳み部43上に重ねられた手先を、保護シート付きクリップ10で折り畳み部43と一緒に留めるようにしてもよい。
【0036】
次に、図4(a)および図4(b)に示される通り、垂れ42で帯結びを形成する。帯結びは、お太鼓結び、文庫結び、ふくら雀結び、立て矢結び、それらから派生した変わり結びなどを含む。その後、帯結びの中に帯揚げ51および帯締め52を通す。帯揚げ51は、帯枕を被覆している。帯枕は、通常利用されるものでもよく、また、着物の着用者が椅子の背もたれに体重をあずけた場合に着用者の背中を圧迫するのを回避するために、スポンジなどの弾性体を利用してもよい。
【0037】
次に、保護シート付きクリップ10を帯の折り畳み部43に残存させたままで、帯結びの形成された垂れ42を着物の着用者の背中に配し、二つ折りされた手41を着物の着用者の身体に巻いて、帯40を着物の着用者に装着する。手41を身体に巻いた際に、二つ折り部分44は着物の着用者の背中に達することになる。このとき、背中に達した二つ折り部分44を、保護シート付きクリップ10で折り畳み部43と一緒に留めるようにしてもよい。
【0038】
最後に、帯揚げ51および帯締め52を適切に装着する。
【0039】
上述の通り、クリップ20の第1挟持片21、第2挟持片22および連結部23は、自然状態で略同じ平面内に位置する。これにより、レバー式のクリップに比べて嵩を低くすることができ、着物の着用者が椅子の背もたれに体重をあずけた場合の保護シート付きクリップ10による背中への圧迫を軽減することができる。
【0040】
なお、上記の例では、保護シート付きクリップ10で折り畳み部43の3枚の帯をまとめて留めているが、このうちの2枚の帯だけを留めることとしてもよい。
【0041】
また、上記の手順はあくまで一例であり、これに限られず、各工程の順序を入れ替えたり、帯の手の処理方法を上記とは異ならせたりしてもよい。何れにしても、三角形状の折り畳み部43が形成されるので、この折り畳み部43をクリップで留めるようにすれば、折り畳み部43の形状を固定することができ、その後の工程を容易に実施することができる。
【0042】
(3)保護シート付きクリップの変形例
【0043】
上述の通り、図1および図2を参照して保護シート付きクリップの一例を説明したが、これに限られない。例えば、次のような例でも構わない。
【0044】
図5に示された保護シート付きクリップ11は、皺36を有する保護シート35を採用している。保護シート35の素材としては、例えば、和紙または洋紙などの紙を利用することができる。皺36による凹凸の高さは保護シート35の厚みよりも大きい。皺36の存在により、保護シート35と帯との間の摩擦力を高めることができる。なお、皺36の方向は、保護シート付きクリップ11で帯を留める際に帯をスライドさせる方向に平行でもよいし、直交または斜交していてもよい。
【0045】
図6に示された保護シート付きクリップ12は、板状のクリップ60を採用している。クリップ60は、第1挟持片61、第2挟持片62および連結部63を含む。図6(b)に示される通り、第1挟持片61は、一枚の板状体からなる。第2挟持片62は、第1挟持片61の周りを囲む環状の1枚の板状体からなる。連結部63は、第1挟持片61の一端61cと第2挟持片62の一端62cを連結する。
【0046】
クリップ60の素材としては、金属または樹脂を利用することができる。金属の場合、例えば、一枚の金属板を打ち抜き加工することで作製できる。樹脂の場合、例えば、金型に樹脂を流し込むことで作製できる。
【0047】
なお、図6の例では、クリップ60は、三角形であるが、これに限らず、四角形、五角形などの多角形でもよく、円形、楕円形、長円形でもよく、それらを組み合わせた形でもよい。また、図6の例では、クリップ60が三角形で保護シート30が四角形というように互いの形状が異なっているが、これに限らず、互いの形状が同一であることとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、和服等の着物の帯を簡易的に装着する方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10、11、12 保護シート付きクリップ
20、60 クリップ
21、61 第1挟持片
22、62 第2挟持片
23、63 連結部
21c、61c 第1挟持片の一端
22c、62c 第2挟持片の一端
30、35 保護シート
31 第1シート片
32 第2シート片
33 第3シート片
34 第4シート片
40 帯
41 帯の手
42 帯の垂れ
43 帯の折り畳み部
51 帯揚げ
52 帯締め

【要約】
【課題】 帯をクリップで留めた場合のクリップによる背中への圧迫および帯の生地の損傷を軽減する。
【解決手段】
第1挟持片21、第2挟持片22および連結部23を含み、自然状態で第1挟持片21、第2挟持片22および連結部23が略同じ平面内に位置するクリップ20と、第1および第2挟持片21、22に挟まれた第1および第2シート片31、32を含む保護シート30とを備える保護シート付きクリップ10を準備する。帯の垂れが帯の手に対して垂直になるよう帯を折り畳んで折り畳み部を形成し、折り畳み部の一部分を第1および第2シート片31、32の間に挟んで保護シート付きクリップ10で留める。帯の垂れで帯結びを形成し、保護シート付きクリップ10を帯の折り畳み部の前記部分に残存させたままで、帯結びの形成された帯を着物の着用者に装着する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6