(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記付勢部材は、前記副弁の閉弁状態において前記係合部と前記被係合部との間に所定間隔が形成されるよう、前記主弁体を前記主弁の閉弁方向に付勢することを特徴とする請求項2に記載の複合弁。
吸入室に導入される冷媒を圧縮して吐出室から吐出する可変容量圧縮機の吐出容量を、前記吐出室からクランク室に導入する冷媒の流量を制御することにより変化させる可変容量圧縮機用制御弁として構成され、
前記導入出ポートとして前記クランク室に連通するクランク室連通ポートと、前記導入ポートとして前記吐出室に連通する吐出室連通ポートと、前記導出ポートとして前記吸入室に連通する吸入室連通ポートとが設けられた前記ボディと、
前記吸入室の吸入圧力または前記クランク室のクランク圧力を被感知圧力として感知し、その被感知圧力が設定圧力よりも低くなると前記作動ロッドを介して前記主弁体に開弁方向の力を作用させる感圧部と、
を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の複合弁。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を上下と表現することがある。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る制御弁の構成を示す断面図である。
制御弁1は、自動車用空調装置の冷凍サイクルに設置される図示しない可変容量圧縮機(単に「圧縮機」という)の吐出容量を制御する電磁弁として構成されている。この圧縮機は、冷凍サイクルを流れる冷媒を圧縮して高温・高圧のガス冷媒にして吐出する。そのガス冷媒は凝縮器(外部熱交換器)にて凝縮され、さらに膨張装置により断熱膨張されて低温・低圧の霧状の冷媒となる。この低温・低圧の冷媒が蒸発器にて蒸発し、その蒸発潜熱により車室内空気を冷却する。蒸発器で蒸発された冷媒は、再び圧縮機へと戻されて冷凍サイクルを循環する。圧縮機は、自動車のエンジンによって回転駆動される回転軸を有し、その回転軸に取り付けられた揺動板に圧縮用のピストンが連結されている。その揺動板の角度を変化させてピストンのストロークを変えることにより、冷媒の吐出量が調整される。制御弁1は、その圧縮機の吐出室からクランク室へ導入する冷媒流量を制御することで揺動板の角度、ひいてはその圧縮機の吐出容量を変化させる。
【0018】
制御弁1は、圧縮機の吸入圧力Psを設定圧力に保つように、吐出室からクランク室に導入する冷媒流量を制御するいわゆるPs感知弁として構成されている。制御弁1は、弁本体2とソレノイド3とを一体に組み付けて構成される。弁本体2は、圧縮機の運転時に吐出冷媒の一部をクランク室へ導入するための冷媒通路を開閉する主弁と、圧縮機の起動時にクランク室の冷媒を吸入室へ逃がすいわゆるブリード弁として機能する副弁とを含む。ソレノイド3は、主弁を開閉方向に駆動してその開度を調整し、クランク室へ導入する冷媒流量を制御する。弁本体2は、段付円筒状のボディ5、ボディ5の内部に設けられた主弁および副弁、主弁の開度を調整するためにソレノイド力に対抗する力を発生するパワーエレメント6等を備えている。パワーエレメント6は、「感圧部」として機能する。
【0019】
ボディ5の側部には、その上端側からポート12,14,16が設けられている。ポート12はクランク室に連通する「クランク室連通ポート」として機能し、ポート14は吐出室に連通する「吐出室連通ポート」として機能し、ポート16は吸入室に連通する「吸入室連通ポート」として機能する。ボディ5の上端開口部は端部部材13により封止され、ボディ5の下端部はソレノイド3の上端部に連結されている。ボディ5内には、ポート12とポート14とを連通させる主通路と、ポート12とポート16とを連通させる副通路とが形成されている。主通路には主弁が設けられ、副通路には副弁が設けられている。主通路には主弁孔18が設けられ、その下端開口端縁のテーパ面に主弁座20が形成されている。
【0020】
ポート14は、吐出室から吐出圧力Pdの冷媒を導入する。ポート12は、圧縮機の定常動作時に主弁を経由したクランク圧力Pcの冷媒をクランク室へ向けて導出する一方、圧縮機の起動時にはクランク室から排出されたクランク圧力Pcの冷媒を導入する。このとき導入された冷媒は、副弁に導かれる。ポート12と主弁孔18との間には、クランク圧力Pcが満たされる作動室22が形成される。パワーエレメント6は、作動室22に配置される。ポート16は、圧縮機の定常動作時に吸入圧力Psの冷媒を導入する一方、圧縮機の起動時には副弁を経由した吸入圧力Psの冷媒を吸入室へ向けて導出する。
【0021】
ポート14とポート16との間には、主弁孔18と同軸状にガイド孔24が形成されている。ガイド孔24とポート14との間には弁室26が形成され、ガイド孔24とポート16との間には圧力室28が形成されている。ガイド孔24には、円筒状の主弁体30が摺動可能に挿通されている。主弁体30は、弁室26側から主弁座20に着脱することにより主弁を開閉し、吐出室からクランク室へ流れる冷媒流量を調整する。一方、主弁体30の内部には副弁孔32が設けられ、その副弁孔32の上端開口部に副弁座34が形成されている。主弁体30の下部は圧力室28に延在し、その下端部近傍に内外を連通する連通孔35が設けられている。作動室22には、段付円板状の副弁体36が配設されている。副弁体36は、主弁体30と軸線方向に対向配置され、副弁座34に着脱することにより副弁を開閉する。
【0022】
また、ボディ5の軸線に沿って長尺状の作動ロッド38が設けられている。作動ロッド38の上端部はパワーエレメント6と作動連結可能に接続され、下端部はソレノイド3の後述するプランジャ50に作動連結可能に接続されている。作動ロッド38の上半部は主弁体30および副弁体36を貫通し、その上端部近傍に設けられた段部にて副弁体36を下方から支持する。作動ロッド38の中間部には、ばね受け部材40が設けられている。主弁体30とばね受け部材40との間には、主弁体30を主弁の閉弁方向に付勢するスプリング42(「第1付勢部材」,「弾性体」として機能する)が介装されている。一方、パワーエレメント6と副弁体36との間には、副弁体36を副弁の閉弁方向に付勢するとともに、主弁体30を主弁の開弁方向に付勢可能なスプリング44(「第2付勢部材」,「弾性体」として機能する)が介装されている。
【0023】
一方、パワーエレメント6は、クランク圧力Pcを感知して変位するベローズ45を含み、そのベローズ45の変位によりソレノイド力に対抗する力を発生させる。この対抗力は、作動ロッド38および副弁体36を介して主弁体30にも伝達される。副弁体36が副弁座34に着座して副弁を閉じることにより、クランク室から吸入室への冷媒のリリーフが遮断される。また、副弁体36が副弁座34から離間して副弁を開くことにより、クランク室から吸入室への冷媒のリリーフを許容する。
【0024】
一方、ソレノイド3は、段付円筒状のコア46と、コア46の下端開口部を封止するように組み付けられた有底円筒状のスリーブ48と、スリーブ48に収容されてコア46と軸線方向に対向配置された円筒状のプランジャ50と、コア46およびスリーブ48に外挿された円筒状のボビン52と、ボビン52に巻回され、通電により磁気回路を生成する電磁コイル54と、電磁コイル54を外方から覆うように設けられ、ヨークとしても機能する円筒状のケース56と、ケース56の下端開口部を封止するように設けられた端部部材58とを備える。なお、本実施形態においては、ボディ5、コア46、ケース56および端部部材58が制御弁1全体のボディを形成している。
【0025】
弁本体2とソレノイド3とは、ボディ5の下端部がコア46の上端開口部に圧入されることにより固定されている。コア46は、その上半部が拡径されており、ボディ5との間に吸入圧力Psを満たすための圧力室28を形成する。コア46の中央を軸線方向に貫通するように、作動ロッド38が挿通されている。作動ロッド38の下端部がプランジャ50の上半部に挿通されることにより、作動ロッド38とプランジャ50とが同軸状に接続されている。作動ロッド38は、プランジャ50により下方から支持され、主弁体30、副弁体36およびパワーエレメント6と作動連結可能に構成されている。作動ロッド38は、コア46とプランジャ50との吸引力であるソレノイド力を、一方で副弁体36に直接伝達し、他方でスプリング42を介して主弁体30に伝達する。作動ロッド38は、また、パワーエレメント6の伸縮動作による反力、つまりソレノイド力に対抗する力をプランジャ50に伝達する。なお、本実施形態では、スプリング44の付勢力が副弁体36を介して作動ロッド38に伝達され、それにより作動ロッド38がプランジャ50に押しつけられるため、作動ロッド38とプランジャ50との接続状態が安定に維持される。
【0026】
コア46の上端部にはリング状の軸支部材60が圧入されており、作動ロッド38は、その軸支部材60によって軸線方向に摺動可能に支持されている。軸支部材60の外周面の所定箇所には、軸線に平行な図示しない連通溝が形成されている。ポート16から導入出される吸入圧力Psは、その連通溝、作動ロッド38とコア46との間隙により形成される連通路62を通ってスリーブ48の内部にも導かれる。
【0027】
連通路62は、スリーブ48内をオイルダンパ室とするためのオリフィスとして機能する。すなわち、本実施形態では、制御弁1の製造工程において、圧縮機の潤滑用として冷媒に含まれるオイルと同種のオイルを予めスリーブ48内に入れておく。本実施形態では、軸支部材60に設けられた連通溝が、スリーブ48へのオイルの出入りに対して抵抗となる絞り通路として機能する。このような構成により、スリーブ48をオイルダンパ室として機能させることができ、そのスリーブ48に配置されたプランジャ50の微小振動などが抑制される。その結果、そのような微小振動による騒音の発生が防止または抑制される。なお、変形例においては、連通路62が、スリーブ48へのオイルの出入りに対して抵抗となる絞り通路として機能するようにしてもよい。すなわち、軸支部材60に設けられた連通溝および連通路62の少なくとも一方が、絞り通路として機能するようにすればよい。なお、スプリング44が、コア46とプランジャ50とを両者を互いに離間させる方向に付勢するオフばねとして機能する。スプリング44のばね荷重は、スプリング42のばね荷重よりも大きく設定されている。
【0028】
スリーブ48は非磁性材料からなる。プランジャ50の側面には軸線に平行な複数の連通溝66が設けられ、プランジャ50の下端面には半径方向に延びて内外を連通する複数の連通溝68が設けられている。このような構成により、図示のようにプランジャ50が下死点に位置しても、吸入圧力Psがプランジャ50とスリーブ48との間隙を通って背圧室70に導かれるようになっている。
【0029】
ボビン52からは電磁コイル54につながる一対の接続端子72が延出し、それぞれ端部部材58を貫通して外部に引き出されている。同図には説明の便宜上、その一対の片方のみが表示されている。端部部材58は、ケース56に内包されるソレノイド3内の構造物全体を下方から封止するように取り付けられている。端部部材58は、耐食性を有する樹脂材のモールド成形(射出成形)により形成され、その樹脂材がケース56と電磁コイル54との間隙にも満たされている。このように樹脂材がケース56と電磁コイル54との間隙に樹脂材を満たすことで、電磁コイル54で発生した熱をケース56に伝達しやすくし、その放熱性能を高めている。端部部材58からは接続端子72の先端部が引き出されており、図示しない外部電源に接続される。
【0030】
図2は、
図1の上半部に対応する部分拡大断面図である。
主弁体30のガイド孔24との摺動面には、冷媒の流通を抑制するための複数の環状溝からなるラビリンスシール74が設けられている。主弁体30の下端開口部は内径がやや縮径されており、その縮径部の下端面が作動ロッド38と適宜係合連結可能な作動面76(「被係合部」として機能する)を構成する。作動ロッド38は、上方に向かって段階的に縮径する段付円柱状をなし、作動面76の近傍に設けられた第1の段差により係合部78が構成される。また、副弁座34の近傍に設けられた第2の段差により支持部80が構成される。
【0031】
副弁体36の中央には、軸線方向の貫通孔が形成されており、作動ロッド38の上端部を挿通させている。副弁体36は、その下端面中央が平坦に形成され、支持部80に当接するようにして下方から支持されている。副弁体36は、その下端面中央よりも外側に上方に向かって断面が大きくなるテーパ形状を有し、そのテーパ面にて副弁座34に着脱する。作動ロッド38は、図示のように副弁体36が副弁座34に着座した状態においては、係合部78が作動面76から所定間隔Lをあけて離間するように各段差の位置が設定されている。この所定間隔Lは、いわゆる「遊び」として機能する。
【0032】
ソレノイド力を大きくすると、スプリング42の付勢力に抗して作動ロッド38を主弁体30に対して相対変位させ、それにより副弁体36を副弁座34からリフトさせて副弁を開くことができる。また、係合部78と作動面76とを係合(当接)させた状態でソレノイド力を主弁体30に直接伝達することができ、スプリング42の付勢力よりも大きな力で主弁体30を主弁の閉弁方向に押圧することができる。この構成は、主弁体30とガイド孔24との摺動部への異物の噛み込みにより主弁体30がロックした場合に、それを解除するロック解除機構(連動機構)として機能するが、その詳細については後述する。なお、本実施形態では、主弁体30に「被係合部」としての作動面76を設け、作動ロッド38の係合部78が作動面76に面接触してこれを押圧する構成としたが、係合部78と被係合部との当接状態は面接触に限らず、線接触でも点接触でもよく、両者の係合によりソレノイド力が主弁体30に直接伝達できればよい。
【0033】
作動ロッド38の中間部には止輪82が嵌合され、その止輪82によって下方への移動が規制されるようにばね受け部材40が設けられている。パワーエレメント6は、ベローズ45の上端開口部を第1ストッパ84(「ベース部材」に該当する)により閉止し、下端開口部を第2ストッパ86(「ベース部材」に該当する)により閉止して構成されている。ベローズ45の内部は密閉された基準圧力室Sとなっており、第1ストッパ84と第2ストッパ86との間に、ベローズ45を伸長方向に付勢するスプリング88が介装されている。基準圧力室Sは、本実施形態では真空状態とされている。第1ストッパ84は、端部部材13と一体成形されている。したがって、第1ストッパ84は、ボディ5に対して固定された状態となる。
【0034】
一方、第2ストッパ86の下面中央には、軸線方向に沿った所定深さの嵌合溝90が設けられ、作動ロッド38の上端部が着脱可能に連結されている。嵌合溝90は、その平坦な底面92にて作動ロッド38の上端面と当接する。嵌合溝90は、底面92から下方に向けて内径が拡大されるテーパ形状を有するため、作動ロッド38の上端部は嵌合溝90に対して摺動はしない。作動ロッド38は、その上端面が第2ストッパ86に係止された状態でパワーエレメント6と一体に変位可能であり、その上端面が第2ストッパ86から離間した状態でパワーエレメント6と相対変位可能となっている。
【0035】
スプリング88が第1ストッパ84と第2ストッパ86とを互いに離間させる方向に付勢するため、ベローズ45は、作動室22のクランク圧力Pcと基準圧力室Sの基準圧力との差圧に応じて軸線方向(主弁および副弁の開閉方向)に伸長または収縮する。ただし、その差圧が大きくなってもベローズ45が所定量収縮すると、第1ストッパ84と第2ストッパ86の互いの先端面が当接して係止されるため、その収縮は規制される。
【0036】
以上の構成において、主弁体30と主弁座20とにより主弁が構成され、その主弁の開度によって吐出室からクランク室へ導入される冷媒流量が調整される。また、副弁体36と副弁座34とにより副弁が構成され、その副弁の開閉によりクランク室から吸入室への冷媒の導出が許容または遮断される。すなわち、制御弁1は、主弁と副弁のいずれか一方を開弁させることにより冷媒の流れを切り替える三方弁としても機能する。
【0037】
本実施形態においては、ベローズ45の有効受圧径Aと、主弁体30の主弁における有効受圧径Bと、主弁体30の摺動部の有効受圧径Cとが等しく設定されている。このため、主弁体30とパワーエレメント6とが作動連結した状態においては、主弁体30に作用する吐出圧力Pdおよびクランク圧力Pcの影響が実質的にキャンセルされる。その結果、主弁の制御状態において、主弁体30は、圧力室28にて受ける吸入圧力Psに基づいて開閉動作することになる。つまり、制御弁1は、いわゆるPs感知弁として機能する。
【0038】
このような構成において、制御弁1の安定した制御状態においては、圧力室28の吸入圧力Psが所定の設定圧力Psetとなるよう主弁が自律的に動作する。この設定圧力Psetは、基本的にはスプリング42,44,88のばね荷重によって予め調整され、蒸発器内の温度と吸入圧力Psとの関係から、蒸発器の凍結を防止できる圧力値として設定される。設定圧力Psetは、ソレノイド3への供給電流(設定電流)を変えることにより変化させることができる。本実施形態では、制御弁1の組み付けが概ね完了した状態で端部部材13の圧入量を再調整することで、スプリングの設定荷重を微調整することができ、設定圧力Psetを正確に調整することができる。
【0039】
次に、制御弁の動作について説明する。
図3および
図4は、制御弁の動作を表す図であり、
図2に対応する。既に説明した
図2は、制御弁の最小容量運転状態を示している。
図3は、制御弁のブリード機能を動作させたときの状態を示している。
図4は、比較的安定した制御状態を示している。以下においては、
図1に基づき、適宜
図2〜
図4を参照しつつ説明する。
【0040】
制御弁1においてソレノイド3が非通電のとき、つまり自動車用空調装置が動作していないときには、コア46とプランジャ50との間に吸引力が作用しない。一方、吸入圧力Psは比較的高い状態にある。このため、
図2に示すように、ベローズ45が縮小した状態でスプリング44の付勢力が副弁体36を介して主弁体30に伝達される。その結果、主弁体30が主弁座20から離間して主弁が全開状態となる。このとき、副弁体36は副弁座34に着座しているため、副弁は閉弁状態となる。パワーエレメント6は実質的に機能しない。
【0041】
一方、自動車用空調装置の起動時など、ソレノイド3の電磁コイル54に最大の制御電流が供給されると、
図3に示すように、ソレノイド力により作動ロッド38が駆動される。このソレノイド力は、一方でスプリング42を介して主弁体30に伝達され、他方で作動ロッド38により副弁体36に直接伝達される。その結果、主弁体30が主弁座20に着座して主弁を閉じ、その主弁の閉弁とともに副弁体36が副弁座34から離間して副弁を開弁させる。ただし、係合部78が作動面76に係止されることにより作動ロッド38の変位が規制されるため、副弁体36のリフト量(つまり副弁の開度)は、
図2に示した所定間隔Lに一致する。一方、起動時は通常、吸入圧力Psが比較的高いため、ベローズ45が縮小状態を維持し、副弁の開弁状態が維持される。すなわち、ソレノイド3に起動電流が供給されると、主弁が閉じてクランク室への吐出冷媒の導入を規制すると同時に副弁が直ちに開いてクランク室内の冷媒を吸入室に速やかにリリーフさせる。その結果、圧縮機を速やかに起動させることができる。また、例えば車両が低温環境下におかれた場合のように、吸入圧力Psが低く、ベローズ45が伸長した状態においても、ソレノイド3に大きな電流を供給することで副弁を開弁させることができ、圧縮機を速やかに起動させることができる。
【0042】
そして、ソレノイド3に供給される電流値が所定値に設定された制御状態にあるときには、
図4に示すように、吸入圧力Psが比較的低いためにベローズ45が伸長し、副弁体36が副弁座34に着座して副弁を閉弁させる。一方、そのように副弁が閉じられた状態で主弁体30が動作して主弁の開度を調整する。このとき、主弁体30は、スプリング44による開弁方向の力と、スプリング42による閉弁方向の力と、ソレノイド3による閉弁方向のソレノイド力と、吸入圧力Psに応じて動作するパワーエレメント6によるソレノイド力に対抗する力とがバランスした弁リフト位置にて停止する。
【0043】
そして、たとえば冷凍負荷が大きくなり吸入圧力Psが設定圧力Psetよりも高くなると、ベローズ45が縮小するため、主弁体30が相対的に上方(閉弁方向)へ変位する。その結果、主弁の弁開度が小さくなり、圧縮機は吐出容量を増やすよう動作する。その結果、吸入圧力Psが低下する方向に変化する。逆に、冷凍負荷が小さくなって吸入圧力Psが設定圧力Psetよりも低くなると、ベローズ45が伸長する。その結果、パワーエレメント6による付勢力がソレノイド力に対抗する方向に作用する。この結果、主弁体30への閉弁方向の力が低減されて主弁の弁開度が大きくなり、圧縮機は吐出容量を減らすよう動作する。その結果、吸入圧力Psが設定圧力Psetに維持される。
【0044】
このような定常制御が行われている間にエンジンの負荷が大きくなり、空調装置への負荷を低減させたい場合、制御弁1においてソレノイド3がオンからオフに切り替えられる。そうすると、コア46とプランジャ50との間に吸引力が作用しなくなるため、ベローズ45が伸長し、スプリング44の付勢力により主弁体30が主弁座20から離間し、主弁が全開状態となる。このとき、副弁体36は副弁座34に着座しているため、副弁は閉弁状態となる。このとき、圧縮機の吐出室からポート14に導入された吐出圧力Pdの冷媒は、全開状態の主弁を通過し、ポート12からクランク室へと流れることになる。したがって、クランク圧力Pcが高くなり、圧縮機は最小容量運転を行うようになる。
【0045】
特に、このようにソレノイド3がオンからオフに切り替えられる際、ポート14から冷媒とともに侵入した異物が、主弁体30の開弁動作に合わせて主弁体30とガイド孔24との摺動部に引き込まれやすくなる。ソレノイド3のオフ直後はポート14とポート16との間の差圧(Pd−Ps)が比較的大きく、また、ガイド孔24の高圧側開口端に堆積した異物を主弁体30がその摺動部に引き込む方向に動作するからである。そして、再びソレノイド3をオフからオンに切り替えることにより主弁体30が閉弁方向に変位しようとした際に、その異物の噛み込みによるロックが発生する可能性がある。本実施形態では、このようなロックが発生した場合であっても、それを解除可能な連動機構(ロック解除機構)を提供する。なお、副弁体36は、スプリング44による閉弁方向の力と、スプリング42による開弁方向の力と、ソレノイド3による開弁方向のソレノイド力と、吸入圧力Psに応じて動作するパワーエレメント6によるソレノイド力に対抗する力とのバランスにより開閉状態が決まるところ、起動時以外等で所定の吸入圧力Ps値よりも低いとき
は副弁を閉弁するようにそれらのバランスが設定されている。このため、副弁が開弁するときの吸入圧力Psの設定値(開弁設定値)を、ソレノイド3へ供給する電流値によって設定変更することができる。すなわち、本実施形態の連動機構によれば、副弁の開弁設定値をソレノイド3への供給電流により変化させることが可能であるとともに、そのソレノイド力により主弁体30のロックを解除することができる。以下、その詳細について説明する。
【0046】
図5および
図6は、
図2のD部拡大図に相当し、ロック解除機構の動作例を示す図である。各図の(A)〜(C)はその動作過程を示している。なお、各図には便宜上、
図2のD部拡大図の左側半部が示されている。図中の黒点は金属粉などの異物を表している。
【0047】
図5(A)に示すように、ポート14から導入される吐出冷媒には金属粉等の異物(黒点参照)が含まれることがあり、その異物が主弁体30とガイド孔24との摺動部に侵入して主弁体30の円滑な動作を妨げ、最悪の場合には主弁体30の作動をロックしてしまうことが懸念される。ポート14とポート16との間に比較的大きな差圧(Pd−Ps)があるために、ポート14から侵入した異物がガイド孔24の開口部に引き寄せられやすく、圧縮機がオンからオフに切り替えられると、主弁体30が全開状態へ向けて大きく変位するときに、その異物が摺動部に引き込まれやすくなるためである。
【0048】
このようにして、主弁の全開時に異物が摺動部に堆積して固着すると、圧縮機を再びオンにしたときに主弁体30とガイド孔24との間にその異物が噛み込み、主弁体30の動作をロックしてしまう虞がある。この場合、仮にスプリング42のみにより閉弁方向に付勢する構成では、異物を押し出して主弁体30を閉弁方向へ動作させるだけの駆動力が得られない場合がある。そうなると、仮に副弁を開くことができても主弁の開度のほうが大きいため、圧縮機を起動することは困難となる。
【0049】
そこで、本実施形態では、ソレノイド力を作動ロッド38の係合部78を介して主弁体30に直接伝達することによりロックを解除させる。また、このような構成により、定常制御のときに供給される最大電流を上回る電流供給することで、更に大きな荷重を付与してロックを解除することも可能になる。すなわち、
図5(B)に示すように、主弁体30とガイド孔24との間にその異物が噛み込み、主弁体30の動作をロックした場合には、ソレノイド力により作動ロッド38を主弁の閉弁方向に駆動する。このとき、本来ならば副弁は閉弁状態を維持すべきところ、主弁体30がロックされているために、作動ロッド38が主弁体30に対して相対変位し、副弁体36を副弁座34からリフトさせてしまう。すなわち、副弁は主弁が閉じる前に開弁状態となってしまう。しかし、ここでは作動ロッド38をそのまま駆動し、係合部78を作動面76に突き当て、ソレノイド力を主弁体30に直接付与する。
【0050】
これにより、主弁体30にはスプリング42の付勢力のみならず、大きなソレノイド力が直接付与される。また、このときスプリング42も押し縮められるため、定常制御のために設定された設定荷重よりも大きな付勢力にて主弁体30を押圧するようになる。その結果、
図5(C)に示すように、摺動部に噛み込んだ異物による主弁体30のロックを解除し、主弁体30を閉弁方向に動作させる過程でその異物を押し出すことも可能となる。このとき押し出された異物は、例えば
図6(A)に示すように、弁室26に浮遊する。一方、主弁体30のロックを解除できたことで、主弁を閉じることができる。このように主弁体30を主弁の閉弁方向に動作させる過程でロックが解除されると、スプリング42の付勢力により係合部78が作動面76から離間し、副弁が一時的に閉じた状態となる。
【0051】
そして、
図6(B)に示すように、主弁の閉弁後にさらに作動ロッド38を駆動することで、本来のように副弁を開き、クランク室から吸入室へ冷媒を逃がすことができる(図中太線矢印参照)。それにより圧縮機が起動し、
図6(C)に示すように主弁が開かれると、吐出室からクランク室へ冷媒を供給することができる。このとき、図示のように浮遊した異物を冷媒とともに主弁を介して排出することも可能となる(図中太線矢印参照)。なお、主弁体30に対する異物の固着状況によっては、異物によるロックを破壊することはできても、固着した異物の全てを剥がすことができない場合も想定される。しかし、このようにしてロックを解除できることで、制御弁1の機能を確保することはできる。また、残留した異物についてもソレノイド3のオン・オフを繰り返す過程で徐々に除去されることが期待できる。
【0052】
以上に説明したように、本実施形態によれば、仮に主弁の開弁時におけるガイド孔24への異物の侵入により主弁体30がロックしたとしても、ソレノイド力によるロック解除機構が作動する。なお、定常制御の最大電流を供給してもロックを解除できない場合には、ソレノイド3への追加電流の供給により更に大きなソレノイド力を付与してロックを解除することが可能になる。それにより、作動ロッド38の駆動に伴う付勢力が、主弁体30に対して主弁を閉じる方向(つまりロックを解除する方向)に作用するとともに、副弁体36に対して副弁を開く方向(つまり副弁を機能させる方向)に作用する。すなわち、主弁体30のロックを解除するための機能と、副弁を開閉する機能(副弁の開弁設定値を電流供給値により変化させる機能)とを同時に作動させることができる。その結果、ロックを確実に解除するとともに、副弁を開いて圧縮機を正常に起動させることができる。
【0053】
[変形例]
図7は、変形例に係る制御弁の上半部に対応する部分拡大断面図である。同図は
図2に対応する。なお、同図において上記実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。本変形例の制御弁101は、スプリング42を作動ロッド138により直接支持するのではなく、主弁体30とソレノイド3との間に介装している。具体的には、コア46の上端部に圧入された軸支部材160と主弁体30との間にスプリング42を介装している。このような構成においても、主弁体30とガイド孔24との間に異物が噛み込んだ場合には、ソレノイド3への電流供給により副弁を開くことができ、また作動ロッド138の段差にて主弁体30を直接押すことができ、ロックを解除することができる。
【0054】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係る制御弁の構成を示す断面図である。
図9は、
図8の上半部に対応する部分拡大断面図である。本実施形態の制御弁は、弁本体の構成が第1実施形態と異なる。このため、以下では第1実施形態との相異点を中心に説明する。なお、同図において第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
【0055】
図8に示すように、制御弁201は、Ps感知弁として構成されるが、パワーエレメント206がクランク圧力Pcではなく、吸入圧力Psを直接感知している点で第1実施形態とは異なる。制御弁201は、弁本体202とソレノイド203とを一体に組み付けて構成される。なお、本実施形態においても、ボディ205、ハウジング207、コア46、ケース56および端部部材58が制御弁201全体のボディを形成している。
【0056】
パワーエレメント206は、円筒状のハウジング207を有し、ボディ205の上端開口部を封止するように固定されている。ハウジング207の上端開口部は端部部材213により封止され、下端開口部には副弁体236が摺動可能に支持されている。ボディ205とハウジング207との接続部にポート12が設けられている。副弁体236は、作動ロッド238の上端部に圧入固定されており、第1実施形態とは異なり、副弁体236を副弁の閉弁方向に直接付勢するスプリングは設けられていない。一方、プランジャ50とコア46との間には、プランジャ50をコア46から離間する方向に付勢するスプリング244(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
【0057】
副弁体236には、これを軸線方向に貫通する連通孔237が形成されている。その結果、主弁体230と副弁体236との間には、ハウジング207内の圧力室222と圧力室28とを連通させる連通路235が形成される。このような構成により、ポート16から導入された吸入圧力Psは、その連通路235を介してハウジング207内にも導入され、パワーエレメント206により直接感知される。
【0058】
図9に示すように、主弁体230の軸線方向中間部には隔壁250が設けられており、その隔壁250の下面が作動面76となっている。作動ロッド238は、隔壁250の中央に設けられた挿通孔を貫通し、作動面76の近傍に設けられた段差により係合部78が構成される。本実施形態においても、作動ロッド238は、図示のように副弁体236が副弁座34に着座した状態においては、係合部78が作動面76から所定間隔Lをあけて離間するように段差の位置が設定されている。作動ロッド38の中間部には止輪282が嵌合され、その止輪282と隔壁250との間にスプリング42が介装されている。副弁体236は、ハウジング207の下端部近傍に設けられたガイド孔290に摺動可能に支持されている。主弁体230における隔壁250の近傍の側部には、内外を連通する連通孔35が形成されている。
【0059】
ソレノイド力を大きくすると、スプリング42の付勢力に抗して作動ロッド238を主弁体230に対して相対変位させ、それにより副弁体236を副弁座34からリフトさせて副弁を開くことができる。また、係合部78と作動面76とを係合(当接)させた状態でソレノイド力を主弁体230に直接伝達することができ、スプリング42の付勢力よりも大きな力で主弁体230を主弁の閉弁方向に押圧することができる。この構成は、主弁体230とガイド孔24との摺動部への異物の噛み込みにより主弁体230がロックした場合に、それを解除するロック解除機構(連動機構)として機能する。
【0060】
パワーエレメント206は、有底円筒状のベローズ245の上端開口部をストッパ284(「ベース部材」に該当する)により閉止して構成されている。ストッパ284は、端部部材213と一体成形されている。ベローズ245は、その底面にて副弁体236の上端面に着脱可能に当接する。スプリング88は、ベローズ245を伸長させる方向に付勢する。ベローズ245は、圧力室222の吸入圧力Psと基準圧力室Sの基準圧力との差圧に応じて軸線方向(主弁および副弁の開閉方向)に伸長または収縮する。ただし、その差圧が大きくなってもベローズ245が所定量収縮すると、その底面がストッパ284の下面に当接して係止されるため、その収縮は規制される。
【0061】
本実施形態においては、副弁体236の摺動部の有効受圧径Aと、主弁体230の主弁における有効受圧径Bと、主弁体230の摺動部の有効受圧径Cとが等しく設定されている。このため、主弁体230と副弁体236との結合体に作用する吐出圧力Pd、クランク圧力Pcおよび吸入圧力Psの影響はキャンセルされる。その結果、主弁の制御状態において、主弁体230は、圧力室222にて受ける吸入圧力Psに基づいて開閉動作することになる。つまり、制御弁201は、いわゆるPs感知弁として機能する。
【0062】
このような構成において、制御弁201の安定した制御状態においては、圧力室222の吸入圧力Psが所定の設定圧力Psetとなるよう主弁が自律的に動作する。この設定圧力Psetは、基本的にはスプリング42,244,88のばね荷重によって予め調整される。設定圧力Psetは、ソレノイド203への供給電流(設定電流)を変えることにより変化させることができる。
【0063】
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態に係る制御弁の上半部に対応する部分拡大断面図である。本実施形態の制御弁は、弁本体の構成が第1,第2実施形態と異なる。このため、以下では第1,第2実施形態との相異点を中心に説明する。なお、同図において第1,第2実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
【0064】
制御弁301は、パワーエレメント306が吸入圧力Psを直接感知している点で第2実施形態と共通するが、副弁座34が主弁体330にではなく、ハウジング307に設けられている点で第1,第2実施形態とは異なる。制御弁301は、弁本体302とソレノイド303とを一体に組み付けて構成される。なお、本実施形態においても、ボディ305、ハウジング307、コア346、ケース56および端部部材58が制御弁301全体のボディを形成している。
【0065】
主弁体330の隔壁350には、冷媒を通過させるための複数の貫通孔335が形成されている。また、作動ロッド38の中間部には円筒状の係止部材340が圧入されている。このため、係合部78と係止部材340とにより隔壁350の相対的な移動範囲が規制されることになる。同図には、隔壁350が係止部材340に当接し、主弁体330が作動ロッド38に対して相対的に上死点に位置した状態が示されている。このような構成により、ソレノイド303が非通電のときには、スプリング244(
図8参照)の付勢力により作動ロッド38が押し下げられるが、その際、係止部材340が隔壁350に当接して主弁体330を開弁方向に付勢する。その結果、図示のように、主弁が全開状態となる。
【0066】
ハウジング307の下部が縮径され、その内方に副弁孔32が形成されている。副弁孔32の上端開口部に副弁座34が形成されている。副弁体336は段付円柱状をなし、その軸線に沿って貫通孔338が設けられている。作動ロッド38の上端部は、その貫通孔338を貫通してパワーエレメント306に接続される。副弁体336は、その本体が副弁孔32を貫通するように配置され、上端部が半径方向外向きに延出して着脱部339を構成する。着脱部339が圧力室222側から副弁座34に着脱して副弁を開閉する。
【0067】
作動ロッド38の上部に設けられた段差は、押圧部380として機能する。すなわち、押圧部380は、図示の状態では副弁体336から離間しているが、作動ロッド38がボディ305に対して相対変位することにより副弁体336の底面に係合し、副弁体336に副弁の開弁方向のソレノイド力を直接伝達可能となる。
【0068】
パワーエレメント306は、ベローズ45の底部が円板状のストッパ386により封止されている。ストッパ386の底面は平坦面となっているが、作動ロッド38の上端面はR形状とされている。このため、作動ロッド38がパワーエレメント306に対して作動連結する際には、作動ロッド38とストッパ386とがほぼ点接触となる。このため、仮に作動ロッド38とパワーエレメント306の一方に横荷重が生じても、その横荷重が他方に作用し難くなり、作動連結される各弁体の挙動が安定に保持される。副弁体336とストッパ386との間にはスプリング44が介装されている。
【0069】
端部部材13の外周面には複数の連通溝315が設けられており、ハウジング307と連通溝315との間にポート316が形成されている。ポート316は、ポート16とは別に吸入室に連通する「吸入室連通ポート」として機能する。副弁を経た吸入圧力Psの冷媒は、このポート312を介して吸入室へ導出される。なお、本実施例においもポート16が吸入室に連通するが、ポート16の吸入圧力Psが圧力室28に導入されることはない。圧力室28には、ポート12から導入又は導出されるクランク圧力Pcが満たされる。ポート16は、ポート14から導入された高圧の吐出圧力Pdがガイド孔24を介して漏洩した場合に、これを圧力室28に導かれることがないよう吸入室に逃がすためのものである。
【0070】
このような構成において、ソレノイド力を大きくすると、作動ロッド38をボディ305に対して相対変位させ、それにより副弁体336を副弁座34からリフトさせて副弁を開くことができる。また、係合部78と作動面76とを係合(当接)させた状態でソレノイド力を主弁体330に直接伝達することができ、スプリング42の付勢力よりも大きな力で主弁体330を主弁の閉弁方向に押圧することができる。この構成は、主弁体330とガイド孔24との摺動部への異物の噛み込みにより主弁体330がロックした場合に、それを解除するロック解除機構(連動機構、押圧機構)として機能する。
【0071】
本実施形態においては、主弁体330の主弁における有効受圧径Bと、主弁体330の摺動部の有効受圧径Cとが等しく設定されている。このため、主弁体330に作用する吐出圧力Pd、クランク圧力Pcおよび吸入圧力Psの影響はキャンセルされる。その結果、主弁の制御状態において、主弁体330は、圧力室222の吸入圧力Psに基づいて開閉動作することになる。つまり、制御弁301は、いわゆるPs感知弁として機能する。
【0072】
本実施形態によれば、主弁の制御状態においては、副弁体336が主弁体330と一体に動作することはない。主弁体330が主弁座20に着座して主弁を閉じ、さらに作動ロッド38が上方に駆動されることにより、押圧部380が副弁体336に係合してこれを押圧する。それにより、副弁体336が副弁座34から離間し、副弁を開弁させることができる。このように、副弁座34を主弁体330ではなく制御弁301のボディに設けることで、副弁孔32の大きさを主弁体330に関わりなく設定することができる。このため、副弁を大きくして冷媒流量を増大させることができ、ブリード機能を高めることができるようになる。本実施形態では、副弁体336の副弁における有効受圧径Aと、主弁体330の主弁における有効受圧径Bとを等しくしたが、有効受圧径Aを有効受圧径Bよりも大きくすることもできる。
【0073】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0074】
上記各実施形態では、作動ロッド38,238に設けた段差を利用して係合部78を構成し、その係合部78により主弁体30,230の作動面76を直接押せる構成とした。変形例においては、例えばスプリング42のばね荷重又はばね定数を十分に大きくすることで、スプリング42(弾性体)を介しつつもソレノイド力が主弁体30,230,330に対して大きく伝達される構成としてもよい。すなわち、主弁体30,230,330がロックした後に、ソレノイド力が大きくなるにつれてスプリング42の荷重がその設定荷重(定常制御のために設定された荷重)よりも増大し、そのロックを解除できるような構成としてもよい。
【0075】
すなわち、主弁体30,230,330に対してソレノイド力を直接付与するのが望ましいところ、このように弾性体を介して間接的に付与する構成としても、主弁体30,230,330の開弁荷重よりも大きな荷重を与えることにより、ロックを解除することが可能となる。また、弾性体を介して主弁体と作動ロッドとが相対変位できるため、ソレノイドへの電流供給により副弁を開くことができる。すなわち、ソレノイド力の付与によるロック解除と副弁の開閉とを両立させることができる。また、このように構成すれば、係合部78をなくし、作動ロッド38,238をより簡素な形状にて構成することができる。ただし、第1実施形態の場合のように作動ロッドと副弁体が固定されず、スプリング42の荷重を副弁体を介してスプリング44にて受ける形態の場合には、スプリング42のばね荷重が大きくなると、スプリング44,244のばね荷重とのバランスが難しくなり、ソレノイド3,203をオフにした状態で主弁の開弁状態を保つことが難しくなる可能性がある。このような点を考慮すると、上記実施形態のように段差で押す構成とするほうが好ましいと言える。
【0076】
上記第1実施形態では、制御弁1として、クランク圧力Pcが満たされる作動室22にパワーエレメント6を配置する一方、クランク圧力Pcをキャンセルする構造を採用することで、実質的に吸入圧力Psを感知して動作するいわゆるPs感知弁を示した。変形例においては、吸入圧力Psが満たされる圧力室にパワーエレメント6を配置し、吸入圧力Psを直接感知して動作するいわゆるPs感知弁として構成してもよい。例えば、
図2に示した作動室22を上下に仕切り、上部圧力室にパワーエレメント6を配置して吸入圧力Psを導入するようにし、下部圧力室を作動室22としてクランク圧力Pcを満たすようにしてもよい。作動ロッド38については、必要なシール性を確保しつつその仕切りを貫通するように設けるようにするとよい。
【0077】
上記各実施形態では、制御弁として、吸入圧力Psを感知して動作するいわゆるPs感知弁を示したが、クランク圧力Pcを感知して動作するいわゆるPc感知弁として構成してもよい。その場合、ポート16をクランク室に連通させるようにする。
【0078】
上記実施形態では、パワーエレメント6,206,306を構成する感圧部材としてベローズ45,245を採用する例を示したが、ダイヤフラムを採用してもよい。その場合、その感圧部材として必要な動作ストロークを確保するために、複数のダイヤフラムを軸線方向に連結する構成としてもよい。
【0079】
上記各実施形態では、クランク室に連通するクランク室連通ポート(導入出ポート)として、単一のポート12を設ける例を示した。変形例においては、クランク室連通ポートを、作動室22の冷媒をクランク室へ導出する第1ポート(導出ポート)と、クランク室の冷媒を作動室22へ導入する第2ポート(導入ポート)とに分けて構成してもよい。
【0080】
上記実施形態では、主弁体30がロックした状況を前提とした説明を行ったが、上記構成によれば、そのロックのない状況においても、主弁の閉弁後に副弁をソレノイド力により開く構成が実現可能であることはもちろんである。すなわち、上記実施形態によれば、通常制御状態(ロックしていない状態)にて、主弁の閉弁後に副弁をソレノイド電流に応じ
た吸入圧力Psの値にて開くことできる。上記実施形態は、主弁の閉弁後に副弁を開くことができるという構成そのものにも特徴があると言える。
【0081】
上記実施形態では、スプリング42,44,88,244等に関し、付勢部材としてスプリング(コイルスプリング)を例示したが、ゴムや樹脂等の弾性材料、あるいは板ばね等の弾性機構を採用してもよいことは言うまでもない。
【0082】
上記実施形態では、パワーエレメント6,206,306を構成要件としたが、そのような感圧部を有しない制御弁に対し、上述したロック解除機構(連動機構)を適用してもよい。ただし、制御弁の駆動部としてソレノイドを備えるものとする。
【0083】
上述したロック解除機構(連動機構)を可変容量圧縮機用制御弁に適用した例を示した。変形例においては、例えば他の形態の三方弁など、共用のボディに主弁と副弁とが設けられ、単一のソレノイドにより駆動される複合弁であれば、上述したロック解除機構を適用することができる。
【0084】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。