特許第6064138号(P6064138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イマジニアリング株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6064138-内燃機関、及びプラズマ生成装置 図000002
  • 特許6064138-内燃機関、及びプラズマ生成装置 図000003
  • 特許6064138-内燃機関、及びプラズマ生成装置 図000004
  • 特許6064138-内燃機関、及びプラズマ生成装置 図000005
  • 特許6064138-内燃機関、及びプラズマ生成装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6064138
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】内燃機関、及びプラズマ生成装置
(51)【国際特許分類】
   F02P 23/04 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   F02P23/04 B
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-524711(P2013-524711)
(86)(22)【出願日】2012年7月13日
(86)【国際出願番号】JP2012068008
(87)【国際公開番号】WO2013011965
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年7月10日
(31)【優先権主張番号】特願2011-157285(P2011-157285)
(32)【優先日】2011年7月16日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-175442(P2011-175442)
(32)【優先日】2011年8月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504293528
【氏名又は名称】イマジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕二
【審査官】 安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−132518(JP,A)
【文献】 特開2010−101174(JP,A)
【文献】 特開2008−082286(JP,A)
【文献】 特開2001−073920(JP,A)
【文献】 特開2000−230426(JP,A)
【文献】 特開2009−287549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02P 3/01
F02P 23/04
H05H 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室が形成された内燃機関本体と、
前記燃焼室において混合気に点火する点火装置とを備え、
前記点火装置により混合気に点火して該混合気を燃焼させる燃焼サイクルが繰り返し行われる内燃機関であって、
前記燃焼室へ電磁波を放射する電磁波放射装置と、
前記燃焼室を区画する区画部材に設けられ、前記電磁波放射装置から前記燃焼室へ放射された電磁波に共振する、スイッチ素子を介して接地された複数の受信アンテナと、
複数の受信アンテナの間で、受信アンテナ毎に設けられたスイッチ素子を制御することにより前記電磁波放射装置から前記燃焼室へ放射された電磁波に共振する受信アンテナを切り替える切替手段とを備えている
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
請求項1において、
前記電磁波放射装置は、前記燃焼室へ放射する電磁波の周波数を調節可能に構成され、
前記複数の受信アンテナでは、電磁波に対する共振周波数が互いに異なり、
前記切替手段は、前記電磁波放射装置が前記燃焼室へ放射する電磁波の周波数を制御することにより、電磁波に共振する受信アンテナを切り替える
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の内燃機関の何れか1つにおいて
前記燃焼室では、混合気を燃焼させる際に、前記区画部材における複数の受信アンテナの設置箇所を火炎が順番に通過し、
前記切替手段は、火炎の通過タイミングに合わせて受信アンテナが順番に共振するように、電磁波に共振する受信アンテナを切り替える
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項4】
燃焼室が形成された内燃機関本体と、
前記燃焼室において混合気に点火する点火装置とを備え、
前記点火装置により混合気に点火して該混合気を燃焼させる燃焼サイクルが繰り返し行われる内燃機関であって、
前記燃焼室へ電磁波を放射する電磁波放射装置と、
前記燃焼室を区画する区画部材に設けられ、前記電磁波放射装置から前記燃焼室へ放射された電磁波に共振する複数の受信アンテナと、
前記複数の受信アンテナに対応してそれぞれ設けられ、対応する受信アンテナと接地点との間に接続された複数のスイッチ素子とを備えている
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項5】
対象空間へ電磁波を放射する電磁波放射装置を備え、
前記対象空間において前記電磁波照射装置が放射する電磁波によりプラズマを生成するプラズマ生成装置であって、
前記対象空間に放射された電磁波に共振する、スイッチ素子を介して接地された複数の受信アンテナと、
複数の受信アンテナの間で、受信アンテナ毎に設けられたスイッチ素子を制御することにより前記対象空間へ放射された電磁波に共振する受信アンテナを切り替える切替手段とを備えている
ことを特徴とするプラズマ生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を利用して混合気の燃焼を促進させる内燃機関、及び電磁波を利用してプラズマを生成するプラズマ生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電磁波を利用して混合気の燃焼を促進させる内燃機関が知られている。例えば特許文献1には、この種の内燃機関が開示されている。
【0003】
特開2007−113570号公報に記載の内燃機関は、混合気の着火前や着火後に燃焼室にマイクロ波を放射して、プラズマ放電を起こす点火装置を備えている。点火装置は、高圧場においてプラズマが生成されるように、点火プラグの放電を用いて局所的なプラズマを作り、このプラズマをマイクロ波により成長させる。局所的なプラズマは、陽極端子の先端部とグランド端子部との間の放電ギャップに生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−113570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の内燃機関では、燃焼室において相対的に電界強度が強い領域(以下、「強電界領域」という。)が、放射アンテナの近傍に形成される。つまり、電磁波による電界が放射アンテナの近傍に集中する。電磁波のエネルギーを放射アンテナの近傍でしか利用できない。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電磁波を利用して燃焼室における混合気の燃焼を促進させる内燃機関において、燃焼室においてより広い範囲で電磁波のエネルギーを利用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、燃焼室が形成された内燃機関本体と、前記燃焼室において混合気に点火する点火装置とを備え、前記点火装置により混合気に点火して該混合気を燃焼させる燃焼サイクルが繰り返し行われる内燃機関であって、前記燃焼室へ電磁波を放射する電磁波放射装置と、前記燃焼室を区画する区画部材に設けられ、前記電磁波放射装置から前記燃焼室へ放射された電磁波に共振する複数の受信アンテナと、複数の受信アンテナの間で、前記電磁波放射装置から前記燃焼室へ放射された電磁波に共振する受信アンテナを切り替える切替手段とを備えている。
【0008】
第1の発明では、区画部材に複数の受信アンテナが設けられている。切替手段は、複数の受信アンテナの間で、電磁波放射装置から燃焼室へ放射された電磁波に共振する受信アンテナを切り替える。電磁波に共振する受信アンテナが切り替わると、強電界領域の位置が変化する。第1の発明では、切替手段を設けることで、燃焼室において強電界領域の位置を変化させることができるようにしている。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記電磁波放射装置は、前記燃焼室へ放射する電磁波の周波数を調節可能に構成され、前記複数の受信アンテナでは、電磁波に対する共振周波数が互いに異なり、前記切替手段は、前記電磁波放射装置が前記燃焼室へ放射する電磁波の周波数を制御することにより、電磁波に共振する受信アンテナを切り替える。
【0010】
第3の発明は、第1の発明において、前記複数の受信アンテナの各々は、スイッチ素子を介して接地され、前記切替手段は、前記受信アンテナ毎に設けられたスイッチ素子を制御することにより、電磁波に共振する受信アンテナを切り替える。
【0011】
第4の発明は、第1、第2又は第3の発明において、前記燃焼室では、混合気を燃焼させる際に、前記区画部材における複数の受信アンテナの設置箇所を火炎が順番に通過し、前記切替手段は、火炎の通過タイミングに合わせて受信アンテナが順番に共振するように、電磁波に共振する受信アンテナを切り替える。
【0012】
第5の発明は、燃焼室が形成された内燃機関本体と、前記燃焼室において混合気に点火する点火装置とを備え、前記点火装置により混合気に点火して該混合気を燃焼させる燃焼サイクルが繰り返し行われる内燃機関であって、前記燃焼室へ電磁波を放射する電磁波放射装置と、前記燃焼室を区画する区画部材に設けられ、前記電磁波放射装置から前記燃焼室へ放射された電磁波に共振する複数の受信アンテナと、前記複数の受信アンテナに対応してそれぞれ設けられ、対応する受信アンテナと接地点との間に接続された複数のスイッチ素子とを備えている。
【0013】
第6の発明は、対象空間へ電磁波を放射する電磁波放射装置を備え、前記対象空間において前記電磁波照射装置が放射する電磁波によりプラズマを生成するプラズマ生成装置であって、前記対象空間に放射された電磁波に共振する複数の受信アンテナと、複数の受信アンテナの間で、前記対象空間へ放射された電磁波に共振する受信アンテナを切り替える切替手段とを備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、複数の受信アンテナの間で電磁波に共振する受信アンテナを切り替える切替手段を設けることで、燃焼室において強電界領域の位置を変化させることができるようにしている。従って、電磁波による電界が放射アンテナの近傍に集中する従来の内燃機関に比べて、燃焼室においてより広い範囲で電磁波のエネルギーを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る内燃機関の縦断面図である。
図2】実施形態に係る内燃機関の燃焼室の天井面の正面図である。
図3】実施形態に係る点火装置および電磁波放射装置のブロック図である。
図4】実施形態に係るピストン頂面の正面図である。
図5】実施形態の変形例1に係るピストン頂面の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0017】
本実施形態は、本発明に係る内燃機関10である。内燃機関10は、ピストン23が往復動するレシプロタイプの内燃機関である。内燃機関10は、内燃機関本体11と点火装置12と電磁波放射装置13と制御装置35とを備えている。内燃機関10では、点火装置12により混合気に点火して混合気を燃焼させる燃焼サイクルが繰り返し行われる。
−内燃機関本体−
【0018】
内燃機関本体11は、図1に示すように、シリンダブロック21とシリンダヘッド22とピストン23とを備えている。シリンダブロック21には、横断面が円形のシリンダ24が複数形成されている。各シリンダ24内には、ピストン23が往復自在に設けられている。ピストン23は、コネクティングロッドを介して、クランクシャフトに連結されている(図示省略)。クランクシャフトは、シリンダブロック21に回転自在に支持されている。各シリンダ24内においてシリンダ24の軸方向にピストン23が往復運動すると、コネクティングロッドがピストン23の往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換する。
【0019】
シリンダヘッド22は、ガスケット18を挟んで、シリンダブロック21上に載置されている。シリンダヘッド22は、シリンダ24、ピストン23及びガスケット18と共に、円形断面の燃焼室20を区画する区画部材を構成している。燃焼室20の直径は、例えば、電磁波放射装置13が燃焼室20へ放射するマイクロ波の波長の半分程度である。
【0020】
シリンダヘッド22には、各シリンダ24に対して、点火装置12の一部を構成する点火プラグ40が1つずつ設けられている。図2に示すように、点火プラグ40では、燃焼室20に露出する先端部が、燃焼室20の天井面51(シリンダヘッド22における燃焼室20に露出する面)の中心部に位置している。点火プラグ40の先端部の外周は、その軸方向から見て円形である。点火プラグ40の先端部には、中心電極40a及び接地電極40bが設けられている。中心電極40aの先端と接地電極40bの先端部との間には、放電ギャップが形成されている。
【0021】
シリンダヘッド22には、各シリンダ24に対して、吸気ポート25及び排気ポート26が形成されている。吸気ポート25には、吸気ポート25の吸気側開口25aを開閉する吸気バルブ27と、燃料を噴射するインジェクター29とが設けられている。一方、排気ポート26には、排気ポート26の排気側開口26aを開閉する排気バルブ28が設けられている。なお、内燃機関10は、燃焼室20において強いタンブル流が形成されるように吸気ポート25が設計されている。
−点火装置−
【0022】
点火装置12は、燃焼室20毎に設けられている。図3に示すように、各点火装置12は、高電圧パルスを出力する点火コイル14と、点火コイル14から出力された高電圧パルスが供給される点火プラグ40とを備えている。
【0023】
点火コイル14は、直流電源(図示省略)に接続されている。点火コイル14は、制御装置35から点火信号を受けると、直流電源から印加された電圧を昇圧し、昇圧後の高電圧パルスを点火プラグ40の中心電極40aに出力する。点火プラグ40では、高電圧パルスが中心電極40aに印加されると、放電ギャップにおいて絶縁破壊が生じてスパーク放電が生じる。スパーク放電の放電経路には、放電プラズマが生成される。中心電極40aには、高電圧パルスとしてマイナスの電圧が印加される。
【0024】
なお、点火装置12は、放電プラズマに電気エネルギーを供給して放電プラズマを拡大させるプラズマ拡大部を備えていてもよい。プラズマ拡大部は、例えば、放電プラズマに高周波(例えばマイクロ波)のエネルギーを供給することによりスパーク放電を拡大させる。プラズマ拡大部によれば、希薄な混合気に対して着火の安定性を向上させることができる。プラズマ拡大部として、電磁波放射装置13を利用してもよい。
−電磁波放射装置−
【0025】
電磁波放射装置13は、図3に示すように、電磁波発生装置31と電磁波切替器32と放射アンテナ16とを備えている。電磁波放射装置13では、電磁波発生装置31と電磁波切替器32が1つずつ設けられ、燃焼室20毎に放射アンテナ16が設けられている。
【0026】
電磁波発生装置31は、制御装置35から電磁波駆動信号を受けると、所定のデューティー比でマイクロ波パルスを繰り返し出力する。電磁波駆動信号はパルス信号である。電磁波発生装置31は、電磁波駆動信号のパルス幅の時間に亘って、マイクロ波パルスを繰り返し出力する。電磁波発生装置31では、半導体発振器がマイクロ波パルスを生成する。なお、半導体発振器の代わりに、マグネトロン等の他の発振器を使用してもよい。
【0027】
電磁波切替器32は、1つの入力端子と、放射アンテナ16毎に設けられた複数の出力端子とを備えている。入力端子は、電磁波発生装置31に接続されている。各出力端子は、対応する放射アンテナ16に接続されている。電磁波切替器32は、制御装置35により制御されて、複数の放射アンテナ16の間で、電磁波発生装置31から出力されたマイクロ波の供給先を順番に切り替える。
【0028】
放射アンテナ16は、燃焼室20の天井面51に設けられている。放射アンテナ16は、燃焼室20の天井面51の正面視において、円環状に形成され、点火プラグ40の先端部を囲っている。なお、放射アンテナ16は、燃焼室20の天井面51の正面視において、C字状に形成されていてもよい。
【0029】
放射アンテナ16は、燃焼室20の天井面51における点火プラグ40の取付孔の周囲に形成された環状の絶縁層19の上に積層されている。絶縁層19は、例えば溶射により絶縁体を吹き付けることにより形成されている。放射アンテナ16は、絶縁層19によりシリンダヘッド22から電気的に絶縁されている。放射アンテナ16の周方向の長さ(外周と内周の真ん中の中心線の長さ)は、放射アンテナ16から放射されるマイクロ波の波長の2分の1の長さに設定されている。放射アンテナ16は、シリンダヘッド22に埋設されたマイクロ波の伝送線路33を介して、電磁波切替器32の出力端子に電気的に接続されている。
【0030】
本実施形態では、電磁波放射装置13が、放射アンテナ16から燃焼室20へ放射するマイクロ波の周波数を調節可能に構成されている。具体的に、電磁波発生装置31は、マイクロ波の発振周波数を調節可能に構成されている。電磁波発生装置31は、例えば、2.45GHzを発振周波数の中心値fとして、低周波側の第1設定値f1(f1=f−X)から高周波側の第2設定値f2(f2=f+X)の間で、発振周波数を連続的に調節可能に構成されている。X(Hz)は、数〜数十(Hz)の値であり、例えば10(Hz)である。
【0031】
なお、電磁波放射装置13が、発振周波数が互いに異なる複数の電磁波発生装置31を備え、使用する電磁波発生装置31を切り替えることにより、燃焼室20へ放射するマイクロ波の周波数を調節してもよい。
【0032】
内燃機関本体11では、燃焼室20を区画する区画部材に、電磁波放射装置13から燃焼室20へ放射されたマイクロ波に共振する複数の受信アンテナ52a,52bが設けられている。本実施形態では、図1及び図4に示すように、2個の受信アンテナ52a,52bがピストン23の頂部に設けられている。各受信アンテナ52a,52bは、円環状に形成され、その中心がピストン23の中心軸に一致している。
【0033】
各受信アンテナ52a,52bは、ピストン23の頂部の外周寄りの領域に設けられている。2つの受信アンテナ52a,52bのうち、第1受信アンテナ52aは、ピストン23の外周近傍に位置し、その内側に第2受信アンテナ52bが位置している。なお、ピストン23の頂部の外周寄りの領域とは、ピストン23の頂部における中心と外周の真ん中よりも外側の領域である。この外周寄りの領域を火炎が通過する期間を、「火炎伝播の後半期間」という。
【0034】
各受信アンテナ52a,52bは、ピストン23の頂面に形成された絶縁層56上に設けられている。各受信アンテナ52a,52bは、絶縁層56によりピストン23から電気的に絶縁され、電気的にフローティングの状態で設けられている。
【0035】
本実施形態では、第1受信アンテナ52aと第2受信アンテナ52bとで、マイクロ波に対する共振周波数が異なる。第1受信アンテナ52aは、第1設定値f1の周波数のマイクロ波に共振するように構成されている。第1受信アンテナ52aの長さL1は、第1設定値f1の周波数のマイクロ波の波長をλ1とした場合に、式1の関係を満たす(n1は自然数)。
式1:L1=(n1×λ1)/2
【0036】
一方、第2受信アンテナ52bは、第2設定値f2の周波数のマイクロ波に共振するように構成されている。第2受信アンテナ52bの長さL2は、第2設定値f2の周波数のマイクロ波の波長をλ2とした場合に、式2の関係を満たす(n2は自然数)。
式2:L2=(n2×λ2)/2
−制御装置の動作−
【0037】
制御装置35の動作について説明する。制御装置35は、各燃焼室20に対して、1回の燃焼サイクルに、点火装置12に混合気への点火を指示する第1動作と、混合気の着火後に電磁波放射装置13にマイクロ波の放射を指示する第2動作とを行う。
【0038】
具体的に、制御装置35は、ピストン23が圧縮上死点の手前に位置する点火タイミングに第1動作を行う。制御装置35は、第1動作として点火信号を出力する。
【0039】
点火装置12は、点火信号を受けると、上述したように、点火プラグ40の放電ギャップにおいてスパーク放電が生じる。混合気は、スパーク放電により着火する。混合気が着火すると、燃焼室20の中心部の混合気の着火位置からシリンダ24の壁面へ向かって火炎が広がる。
【0040】
制御装置35は、混合気が着火した後に、例えば火炎伝播の後半期間の開始タイミングに第2動作を行う。制御装置35は、第2動作として電磁波駆動信号を出力する。
【0041】
電磁波放射装置13は、電磁波駆動信号を受けると、上述したように、放射アンテナ16からマイクロ波パルスを繰り返し放射する。マイクロ波パルスは、火炎伝播の後半期間に亘って繰り返し放射される。
【0042】
制御装置35は、火炎伝播の後半期間において最初から真ん中までの前半に亘って、第2受信アンテナ52bがマイクロ波に共振するように、電磁波発生装置31の発振周波数を第2設定値f2に設定する。第2受信アンテナ52bの近傍には、火炎伝播の後半期間の前半に亘って強電界領域が形成される。第2受信アンテナ52bの設置箇所を通過する火炎の伝播速度は、強電界領域から電界のエネルギーを受けて増大する。
【0043】
制御装置35は、火炎伝播の後半期間において真ん中から最後までの後半に亘って、第1受信アンテナ52aがマイクロ波に共振するように、電磁波発生装置31の発振周波数を第1設定値f1に設定する。第1受信アンテナ52aの近傍には、火炎伝播の後半期間の後半に亘って強電界領域が形成される。第1受信アンテナ52aの設置箇所を通過する火炎の伝播速度は、強電界領域から電界のエネルギーを受けて増大する。
【0044】
制御装置35は、複数の受信アンテナ52a,52bの間で、電磁波放射装置13から燃焼室20へ放射されたマイクロ波に共振する受信アンテナ52a,52bを切り替える切替手段を構成している。制御装置35は、火炎の通過タイミングに合わせて受信アンテナ52が順番に共振するように、マイクロ波に共振する受信アンテナ52を切り替える。
【0045】
なお、マイクロ波のエネルギーが大きい場合には、強電界領域においてマイクロ波プラズマが生成される。マイクロ波プラズマの生成領域では活性種(例えば、OHラジカル)が生成される。強電界領域を通過する火炎の伝播速度は、活性種により増大する。マイクロ波プラズマが生成される場合は、電磁波放射装置13、複数の受信アンテナ52及び制御装置35が、プラズマ生成装置を構成する。
−実施形態の効果−
【0046】
本実施形態では、複数の受信アンテナ52の間でマイクロ波に共振する受信アンテナ52を切り替える制御装置35を設けることで、燃焼室20において強電界領域の位置を変化させることができるようにしている。従って、マイクロ波による電界が放射アンテナの近傍に集中する従来の内燃機関に比べて、燃焼室20においてより広い範囲で電磁波のエネルギーを利用することができる。
−実施形態の変形例1−
【0047】
実施形態の変形例1では、図5に示すように、各受信アンテナ52が、スイッチ素子55が設けられた接地回路53を介して接地されている。制御装置35は、受信アンテナ52毎に設けられたスイッチ素子55を制御することにより、マイクロ波に共振する受信アンテナ52を切り替える切替手段を構成している。なお、変形例1の電磁波放射装置13は、放射アンテナ16から燃焼室20へ放射するマイクロ波の周波数が調節不能である。
【0048】
具体的に、各受信アンテナは、マイクロ波に対する共振周波数が同じである。各受信アンテナ52の長さLは、電磁波放射装置13が燃焼室20へ放射するマイクロ波の波長をλとした場合に、式3の関係を満たす。
式3:L=(n×λ)/2
【0049】
このような長さに設定された受信アンテナ52は、電気的にフローティングの状態のときにマイクロ波に共振する。制御装置35は、3つの受信アンテナ52のうち、マイクロ波に共振させる受信アンテナ52に対応するスイッチ素子55をOFFに設定し、残りのスイッチ素子55をONに設定する。なお、制御装置35は、同時に2つの受信アンテナ52をマイクロ波に共振させてもよい。2つの受信アンテナ52の相互効果により、マイクロ波に共振させる受信アンテナ52の近傍の電界強度が強くなる。
《その他の実施形態》
【0050】
前記実施形態は、以下のように構成してもよい。
【0051】
前記実施形態において、受信アンテナ52は、円環状以外の形状(例えば、多角形の環状)であってもよい。
【0052】
また、前記実施形態において、放射アンテナ16が絶縁体または誘電体により被覆されていてもよい。また、受信アンテナ52が絶縁体または誘電体により被覆されていてもよい。
【0053】
また、前記実施形態において、点火プラグ40の中心電極40aが、放射アンテナを兼ねていてもよい。点火プラグ40の中心電極40aは、混合回路の出力端子に電気的に接続される。混合回路は、別々の入力端子で点火コイル14からの高電圧パルスと電磁波切替器32からのマイクロ波とを受けて、同じ出力端子から高電圧パルスとマイクロ波を出力する。
【0054】
また、前記実施形態において、ガスケット18にリング状の放射アンテナ16を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上説明したように、本発明は、電磁波を利用して混合気の燃焼を促進させる内燃機関、及び電磁波を利用してプラズマを生成するプラズマ生成装置について有用である。
【符号の説明】
【0056】
10 内燃機関
11 内燃機関本体
12 点火装置
13 電磁波放射装置
16 放射アンテナ
20 燃焼室
35 制御装置(切替手段)
52 受信アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5