【実施例】
【0048】
以下、図面に基づいて本願発明の好適な実施例を説明する。
図1には、本願発明に係るヒートシンク1の斜視図を示している。ヒートシンク1は、金属基板2の表面2aに多数本の突起体3を圧入した構成になっている。
【0049】
尚、
図1には、金属基板2の表面2aに多数本の突起体3を圧入して構成したヒートシンク1の構成を示しているが、本願発明に係るヒートシンク1の大きさや形状に係る構成、金属基板2に圧入された突起体3の本数、突起体3の断面形状は、図示例で示した構成に限定されるものではない。ヒートシンク1を用いる対象物に応じて適宜の大きさや形状、突起体3の圧入本数や断面形状を設定することができる。
【0050】
また、
図1では、多数本の突起体3が格子状に配列された構成を示しているが、
図6に示すように多数本の突起体3を千鳥状に配列した構成にすることもできる。そして、多数本の突起体3の配置構成としては、ヒートシンク1としての放熱効果を高めることができる配置構成なら適宜の配置構成を採用することができる。
【0051】
即ち、金属基板2に圧入された多数本の突起体3の配置構成としては、格子状に配列した構成、千鳥状に配列した構成、放射状に配列した構成、螺旋状に配列した構成などの各種配置構成を採用することができる。また、複数本の突起体3を一塊として、一塊にした複数本の突起体を島のように金属基板2に散りばめて配設することもできる。
【0052】
そして、多数本の突起体3としては、等間隔に配設した構成にすることも不等間隔に配設した構成にすることもできる。このように、金属基板2に圧入された多数本の突起体3の配置構成としては、ヒートシンク1を使用する用途に応じてその用途に適した適宜の配置構成を採用することができる。
【0053】
また、突起体3の形状としては、
図1では円柱状の形状を示しているが、即ち、突起体3の横断面形状が円形状である突起体3を示しているが、本願発明は、この構成に限定されるものではなく、突起体の横断面形状が、楕円形状、矩形形状、星型等の断面を有する突起体であっても好適に適用することができる。
【0054】
また、金属基板2に圧入した突起体3の高さ方向の形状が、均一の横断面形状に形成されている構成例を示しているが、横断面形状が、高さ方向に沿って変化する形状に形成された突起体であっても、更に、突起体3の高さ方向の外周面において、外方向に向かって突出した複数の突出片を備えた形状に形成された突起体であっても、本願発明に係る突起体3として好適に適用することができる。
【0055】
多数本の突起体3を同時に一度で金属基板2に圧入させるためには、大型の圧入装置が必要になる。そこで本願発明では、大型の圧入装置を用いることなく、多数本の突起体3を金属基板2に圧入させる方法を採用した。
【0056】
即ち、
図1に示したヒートシンク1の構成を製造する場合について説明すると、最初に、単列に5本並んだ突起体3aを同時に圧入し、次に、5本の突起体3aと並んで配設される単列に5本並んだ突起体3b,3cを同時に圧入している。その後、単列に5本並んだ突起体3d,3eを突起体3b,3cに隣接させて同時に圧入していくことで、5列5行の格子状に25本の突起体3が圧入されたヒートシンク1を構成している。
【0057】
尚、最初に単列に5本並んだ突起体3aを同時に圧入し、次に単列に5本並んだ突起体3bを圧入し、その次に単列に5本並んだ突起体3cを圧入し、以下順次、単列に5本並んだ突起体3d、単列に5本並んだ突起体3eの順番で圧入しておくこともできる。
【0058】
図1のII−II断面図である
図2に示すように、金属基板2の表面2a側に圧入された各突起体3(3a〜3e)は、各突起体3の全長を圧入せずに、各突起体3の他端部4側を金属基板2の表面2a側から圧入して、一端部側を金属基板2の表面から立設させている。
【0059】
機械的圧入方式でヒートシンク1を製造する場合は、突起体3を構成する金属材の硬度が金属基板2を構成する金属材の硬度よりも高いことが望ましい構成になるが、同じ金属材で金属基板2と突起体3とを構成しておくこともできる。また、ヒートシンク1としての放熱効果を高めておくためには、金属基板2及び突起体3を構成する金属材として、熱伝導率が高い金属材を用いることが好適である。
【0060】
このような条件を考慮すると、金属基板2としては、アルミニウム材やアルミニウム合金を用いて構成し、突起体3をアルミニウムよりも熱伝導率が大きく硬さも大きな銅材や銅合金で構成しておくことができる。そして、突起体3の金属基板2への圧入を良好にし、ヒートシンク1としての放熱効果をより高めておくことができる。
【0061】
金属基板2を構成する金属材と突起体3を構成する金属材とを異ならせた構成について説明を行ったが、金属基板2と突起体3とを同じ金属材を用いて構成しておくこともできる。
【0062】
図7、
図8には、金属基板2の表面2aに5本の突起体3を同時に圧入する圧入方法の構成例を示している。
図7では、突起体3を金属基板2に圧入したときに、金属基板2の裏面2b側から金属基板2を構成している金属が突出しないようにした圧入方法を示している。また、
図8は、突起体3を金属基板2に圧入したときに、金属基板2の裏面2bから金属基板2を構成している金属が突出して突出部18を形成した圧入方法を示している。
【0063】
図7、
図8で示した圧入方法では、金属基板2としては、例えば、ビッカース硬度がHv40〜70程度のアルミニウム板を用い、突起体3としては、金属基板2の用いたアルミニウム板よりもビッカース硬度が高い銅材を用いた構成例を示している。そして、突起体3としては、直径1.2mmで高さが2mmの円柱形状の銅柱に構成している。
【0064】
そして、金属基板2内に圧入される突起体3の他端部4(
図2参照)側に被覆金属を被覆しておくことができる。被覆金属としては、スズ材やハンダ材等を用いて被覆しておくことができる。被覆金属を被覆する被覆方法としては、例えば、メッキ加工や塗布加工、浸漬加工等によって突起体に被覆金属を被覆することができる。
【0065】
あるいは、例えば、金属パイプや金属カラーを突起体に被せることで、突起体に被覆金属を被覆することもできる。金属パイプや金属カラーを突起体3に被せる場合には、突起体3を金属基板2に圧入する前に被せておくことも、突起体3を金属基板2に圧入した後において突起体3に被せることもできる。
【0066】
金属基板2、突起体3及び被覆金属として上記構成を備えた場合には、突起体3の1本当たりに対して約120kg以上の押圧力を用いることにより、突起体3を金属基板2に圧入することができる。
尚、
図7、
図8の説明で示した金属基板2、突起体3及び被覆金属の構成、突起体3に対する押圧力は、例示であって、本願発明は、上記構成に限定されるものではない。
【0067】
最初に
図7による機械的圧入法について説明する。
図7(a)に示すように、固定された下型15の上面15a上に金属基板2を載置する。下型15の上面は平坦に形成されており、金属基板2の裏面2bを面接触状態で支持しておくことができる。下型15の上部には、複数の貫通孔14を有する中型13が配設されており、中型13は、下型15に向かって上下方向に摺動可能に配されている。各貫通孔14内には、それぞれ突起体3が収納されている。
【0068】
中型13の上部には、上下方向に沿って摺動可能な上型11が配されており、上型11には、中型13に形成した複数の貫通孔14に対応した複数本のプランジャー12が、上型11と一体的に摺動するように配されている。各プランジャー12をそれぞれ貫通孔14内に挿入させて、上型11を下降させて押し下げることで、中型13を降下させることができる。
【0069】
尚、中型13が上型11に連動して上下方向に摺動する旨の説明を行ったが、中型13を上型11とは独立させて上下方向に摺動させることもできる。
【0070】
そして、中型13の下面13aが金属基板2の表面2aに当接して、中型13と下型15との間に金
属基板2を挟持した状態から、
図7(b)に示すように、上型11を更に降下させると、各プランジャー12はそれぞれの貫通孔14内を摺動して更に降下することができる。各突起体3に当接しているそれぞれのプランジャー12の押圧力によって、各突起体3は金属基板2の表面2a側から圧入されることになる。
【0071】
このとき、金属基板2は中型13と下型15とによって上下方向への移動が規制されるため、突起体3の圧入によって膨張した堆積分は、金属基板2の前後左右方向に振り向けられることになる。即ち、膨張した堆積分は、金属流動によって金属基板2の前後左右方向に流動することになり、流動した金属は、金属基板2の前後左右方向に向かって広がることになる。そして、金属基板2の外形形状としては、複数の突起体3を圧入する前に比べて大きな外形形状になる。
【0072】
図7(c)に示すように、金属基板2に複数の突起体3を圧入した後に、中型13及び上型11を引き上げると、複数の突起体3を圧入した金属基板2を得ることができる。引き続いて複数の突起体3を次に金属基板2に圧入するため、上型11に設けた各プランジャー12の位置が、次の突起体3を圧入する位置に移動するように構成しておくことができる。
【0073】
図4に示した突起体3aを圧入した後に、突起体3b,3cを同時に圧入する場合には、突起体3b用のプランジャー12を備えた上型11と突起体3c用のプランジャー12を備えた上型11とを一対設けておき、それぞれの上型11、11が
図7(c)における紙面の表裏方向に沿って互いに離間する方向に連動して移動する構成にしておくことができる。
【0074】
また、
図4に示した突起体3aを圧入した後に、突起体3b,3cを順番に圧入する場合には、突起体3a用のプランジャー12を備えた上型11を
図7(c)における紙面の表裏方向に沿って移動する構成にしておくことができる。
【0075】
そして、
図4に示す突起体3aを圧入した後に、突起体3b,3cを同時に圧入するか個別に圧入していくのかに応じて、一対の上型11,11におけるそれぞれのプランジャー12又は上型11のプランジャー12を次に圧入する突起体3b,3cの圧入に対応した位置に移動させることで、上述した圧入操作を行うことができる。この圧入操作を必要回数繰り返して行うことにより、所望本数の突起体3を備えたヒートシンク1を得ることができる。
【0076】
この圧入方法以外にも、例えば、下型15上に載置した金属基板2の位置を移動させて、複数の突起体3を順次圧入していく圧入方法を採用することもできる。また、従来から公知の圧入方法を用いて、複数の突起体3を金属基板2に圧入していくこともできる。
【0077】
次に、
図8に示した機械的圧入法について説明する。
図8では、
図7で用いた部材と同じ構成の部材に付いては、同じ部材符号を用いることでその部材の説明を省略する。
図8(a)に示すように、固定された下型20の上面20a上に金属基板2を載置する。下型20の上面は平坦に形成されており、金属基板2の裏面2bを面接触状態で支持しておくことができる。そして、下型20には、複数の貫通孔16が形成されており、各貫通孔16内には、受け治具17が摺動自在に配設されている。
【0078】
図8(a)に示すように、下型20の上面20a上に金属基板2を載置する。このとき、下型20の各貫通孔16内に配した受け治具17の上面は、金属基板2の裏面2bに当接した状態になっている。
【0079】
図8(b)に示すように、上型11に設けた複数本のプランジャー12によって各突起体3を押圧すると、各突起体3は金属基板2の表面2a側から圧入される。このとき、金属基板2の裏面2b側では、各突起体3の圧入に伴って金属基板2を構成している金属が下方に突出し
て突出部18が形成される。各突出部18の突出量がそれぞれ均等の突出量となるようにするため、各受け治具17が設けられており、各突出部18の突出量に応じて各受け治具17は一体的に上下方向に摺動することができる構成になっている。
【0080】
図8(c)に示すように、金属基板2の表面2a側に複数の突起体3を圧入して、裏面2b側に複数の突出部18を突出させた後に、中型13及び上型11を引き上げると共に、受け治具17を押し上げることによって、複数の突起体3が圧入した金属基板2を得ることができる。このとき各突起体3の一端部側は、金属基板2の表面2aから立設された状態に配されている。
【0081】
このようにして形成された複数の突起体3を圧入した金属基板2に対して、
図7での圧入方法と同様に、上型11を紙面の表裏方向に沿って移動させることを必要回数繰り返して行うことで、あるいは上型11に設けた複数本のプランジャー12に対する金属基板2の載置位置を移動させることにより、所望本数の突起体3を備えたヒートシンク1を得ることができる。
【0082】
所望本数の突起体3を金属基板2に圧入することができるようにするため、下型20には最終的に圧入する突起体3の総本数に対応した数の貫通孔16が形成されている。そして、受け治具17としては、全ての貫通孔16に受け治具17を配設しておくことも、上型11のプランジャー12に対応した位置に配されている貫通孔16のみに受け治具17を配設しておくこともできる。
そして、金属基板2に突出部18が形成されても、突出部18は貫通孔16内に収納させておくことができるので、金属基板2の裏面2bを下型20の上面20a上に面接触状態で載置させておくことができる。
【0083】
図8に示した圧入方法では、突起体3を金属基板2に圧入しても、圧入に伴って膨張した堆積分は、金属基板2の裏面2bからの突出部18となって消費されることになる。このため、
図8で示した圧入方法は、
図7に示した圧入方法よりも多少複雑な構成になるが、突起体3を金属基板2に圧入した前後においても、金属基板2の外形寸法に生じる変化は少ないというメリットがある。
【0084】
そして、
図8(d)に示すように、金属基板2の裏面2bから突出した突出部18を除去することにより、突出部18のないヒートシンク1を得ることができる。また、ヒートシンク1として、突出部18を有した形状で使用する場合には、突出部18を削除することが必要なくなる。
【0085】
次に、
図3〜
図5を用いて、金属基板2の表面2aに圧入した突起体3の周囲に形成される隙間、この隙間を突起体3の他端部4側を被覆した被覆金属を溶融固化させた金属6で埋める構成について説明する。
【0086】
尚、
図3〜
図5において、金属基板2に圧入して行く順番に従って突起体3a〜3cを用いて説明を行う。即ち、最初に突起体3aを圧入し、次に突起体3b、3cを同時に圧入している。突起体3b、3cを同時に圧入する代わりに、次に突起体3bを圧入し、その次に突起体3cを圧入させることもできる。そして、
図3〜
図5に示した各突起体3a〜3cは、
図1、
図2に示すように横単列に配した複数本の突起体3a〜3cをそれぞれ代表させている。また、隙間5の形状を分かり易く図示するため、隙間5の大きさを誇張した状態で図示している。
【0087】
図3に示すように、金属基板2の表面2aに突起体3aを圧入し、突起体3aの他端部4側を金属基板2内に潜り込ませると、突起体3aの周囲と金属基板2の表面2a側との間には、隙間5aが形成される。この隙間5aは、突起体3aが金属基板2の表面2aから圧入されると、突起体3aの圧入に伴って金属基板2を構成している金属が流動して、形成されるものと考えられる
。
そして、隙間5aとしては、噴火口の外周縁のように周囲が多少盛り上がった形状に形成される。
【0088】
図4に示すように、突起体3aに隣接して突起体3b、3cを金属基板2の表面2aに圧入すると、後から圧入した突起体3b、3cの周囲と金属基板2の表面2a側との間にも、隙間5b,5cとが形成される。隙間5bは、突起体3b、3cの周囲において先に圧入した突起体3a側に形成され、隙間5cは先に圧入した突起体3aから離れた部位における突起体3b、3cの周囲に形成される。
【0089】
そして、先に圧入した突起体3aに周囲に形成されていた隙間5aの内で、後から圧入した突起体3b、3c側に形成されていた隙間5aは、突起体3b、3cの圧入に伴って突起体3b側及び突起体3c側に金属流動が生じて引っ張られることになり、隙間5aの大きさが広く形成されていくことになる。また、突起体3a側から突起体3b側及び突起体3c側への金属流動に伴って、突起体3b、3cの周囲に形成される隙間5b,5cは、隙間5bの方が隙間5cよりも多少狭く形成される傾向にある。
【0090】
尚、突起体3aと突起体3b、3cとの間隔と、突起体3a及び突起体3b、3cの外形寸法、突起体3a,3b,3cの材質、金属基板2の材質等によっては、各隙間5a〜5cの大きさが、殆ど変らない大きさになっていることも、突起体3b、3cの周囲に形成される隙間5bと隙間5cとが同じ大きさの隙間になっている場合もある。
【0091】
このように、金属基板2の表面2a側に突起体3a,3b,3cを圧入していくと、圧入した各突起体3a,3b,3cの周囲には、隙間5(5a〜5c)が形成されていくことになる。
【0092】
本願発明に係る実施例では、最初に圧入した突起体3aに近いほうから順次突起体3aから離れるようにして、残りの突起体3b,3cを圧入しているので、残りの突起体3b,3cが圧入される金属基板2の部位は、突起体の圧入に伴って塑性変形がそれほど生じていない部位になっている。そのため、残りの突起体3b,3cを容易に金属基板2の表面2a側から圧入させることができる。
【0093】
仮に、
図4における突起体3bと突起体3cとが圧入された後に、この突起体3bと突起体3cとの間の部位に突起体3aを圧入すると、突起体3bと突起体3cとの間の部位は、突起体3bと突起体3cとの圧入によって塑性変形に伴う金属硬化した状態になっているので、金属硬化した部位に圧入される突起体3aを所望量金属基板2内に圧入させるには、大きな押圧力を必要とする。しかし、本願発明では、先に圧入した突起体によって塑性変形がそれ程生じていない部位に、次の突起体を圧入しているので、突起体を圧入させるための押圧力としては、それ程大きな押圧力を必要としない。
【0094】
図示を省略しているが、各突起体3a〜3cの他端部4側には、被覆金属が被覆されている。被覆金属を被覆しておく他端部4側としては、圧入した突起体3において金属基板2の表面2aから多少上方の部位までの領域を設定することができる。そして、溶融固化する被覆金属の肉厚や被覆する面積としては、隙間5を埋めることができる量となるように構成しておくことができる。
【0095】
各突起体3a〜3cを金属基板2の表面2a側から圧入した後に、被覆金属が溶融するように加熱を加えると、被覆金属が溶融して各隙間5a〜5c内に流入することができる。そして、各隙間5a〜5c内に流入した溶融した被覆金属が固化すると、
図5で示すように各隙間5a〜5cは溶融固化した金属6で埋められることになる。
尚、
図5では、各隙間5a〜5cの形状及び溶融固化した金属6の状態を分かり易く示すた
め、それぞれを誇張した状態で図示している。
【0096】
図5に示すように、各隙間5a〜5cが溶融固化して金属6によって埋められることによって、各隙間5a〜5c内に存在していた空気層よりも熱伝導率の高い被覆金属で隙間5a〜5cを埋めることができ、隙間5a〜5cがない状態のヒートシンク1を得ることができる。このようにして、放熱効率が高く製造コストが安価なヒートシンクを得ることができる。また、溶融固化した被覆金属は、突起体3と金属基板2との固定状態を更に強固にする接着機能も奏することができる。
【0097】
上記説明では、各突起体3を直接金属基板2に圧入する構成について説明を行ったが、本願発明に係る各突起体3の圧入としては、直接的な圧入方法以外にも、突起体3の他端部4に図示せぬ螺旋溝を形成しておき、この螺旋溝を金属基板2内に向かって回転させつつ捻じ込む圧入方法を採用することもできる。
【0098】
この捻じ込むことによる圧入方法では、突起体3を金属基板2に塑性変形を生じさせながら捻じ込むことにより、突起体3を金属基板2内に圧入させることができる。突起体3の他端部4に形成した螺旋溝(不図示)としては、突起体3の他端部4に対して切削加工を施すことによって形成することも、他端部4に対して転造を施して螺旋溝を形成することもできる。あるいは、鋳造によって螺旋溝を有した突起体3を成形することもできる。更には、他の螺旋溝を形成する形成方法を用いて、突起体3の他端部4に螺旋溝を形成しておくこともできる。
【0099】
このようにして、本願発明では、突起体3を機械的に直接金属基板2内に押し込む圧入方法を採用することも、金属基板2において塑性変形を生じさせながら突起体3を捻じ込んでいく圧入方法を採用することもできる。そして、突起体3を強固に金属基板2に対して固定することができる。
【0100】
突起体3を金属基板2に捻じ込む方法としては、突起体3を一本ずつ捻じ込んでいく捻じ込み方法を採用することも、同時に複数本の突起体3を捻じ込む捻じ込み方法を採用することもできる。
【0101】
同時に複数本の突起体3を同時に捻じ込むには、同時に捻じ込まれる各突起体3を把持して回転と押圧力とを与えるそれぞれの捻じ込み工具間において、互いに干渉が生じないように、同時に捻じ込む突起体3間の間隔を広げて配設しておくことが必要になる。そして、捻じ込まれた突起体3間のスペースに、次に同時に捻じ込む複数の突起体3を位置させることにより、隣接する突起体3間の間隔を狭めた状態で、順次複数の突起体3を捻じ込んでいくことができる。
【0102】
本願発明では、ヒートシンク1の全体を、熱伝導率が大きな同一の金属で形成する場合に比べて、突起体3だけを金属基板2よりもより熱伝導率の大きな金属を用いて構成することができるので、ヒートシンク1を安価に製造できることができ、しかも高い放熱効率を有するヒートシンク1を構成することができる。
【0103】
また、本願発明では、金属基板2に突起体3を圧入する上において、多数の突起体3を一度に押圧してヒートシンクを製造する方法に比べて、多数本の突起体3を効率よく圧入することができるので、圧入に要する押圧力を低く構成しておくことができる。これにより、ヒートシンク1の製造コストを低減させることができる。このため、放熱装置などの技術分野において、本願発明は大いに貢献することができるものである。
【0104】
尚、上述の説明では、複数本の突起体3を同時に金属基板2に圧入する構成において、圧
入した突起体3の周囲に形成された隙間5を、突起体3を被覆していた被覆金属を溶融させた溶融金属で埋める構成について説明を行った。しかし、突起体3を一本ずつ金属基板2に圧入した場合でも、圧入した突起体3の周囲には隙間5が形成される。そのため、本願発明は、複数本の突起体3を同時に金属基板2に圧入する場合に限定されるものではなく、突起体3を一本ずつ金属基板2に圧入した場合に対しても、好適に適用することができる。