特許第6064192号(P6064192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6064192
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】粉体化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/29 20060101AFI20170116BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   A61K8/29
   A61Q1/12
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-191035(P2012-191035)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-28786(P2014-28786A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年7月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-151858(P2012-151858)
(32)【優先日】2012年7月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(73)【特許権者】
【識別番号】598031095
【氏名又は名称】株式会社ヤマグチマイカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩野 亮
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−255036(JP,A)
【文献】 特開昭56−155251(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/107010(WO,A1)
【文献】 特開2002−080771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
DB等 DWPI(Thomson Innovation)
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)及び成分(b);
(a)アミノ変性シリコーンで処理した粉体(酸化鉄・酸化チタン焼結顔料を除く
(b)二酸化チタンと鉄化合物との焼結顔料である酸化鉄・酸化チタン焼結顔料
を含有することを特徴とする粉体化粧料。
【請求項2】
前記成分(b)が、二酸化チタンと鉄化合物とを99:1〜80:20の質量比(鉄化合物を酸化第2鉄に換算)で混合し、焼成して得られる焼結顔料である請求項1記載の粉体化粧料。
【請求項3】
前記成分(b)に用いられる二酸化チタンが、平均粒径が0.1〜0.5μmのルチル型二酸化チタンである請求項1または2記載の粉体化粧料。
【請求項4】
前記成分(b)が、ハンターL−a−b系表色系における測色値において、L値が65以上、a値が15以下、b値が35以下で、かつa値/b値が0.1〜0.4の焼結顔料である請求項1〜3のいずれかに記載の粉体化粧料。
【請求項5】
前記成分(a)を全粉体中1〜90質量%含有する請求項1〜4のいずれかに記載の粉体化粧料。
【請求項6】
前記成分(b)を化粧料中0.01〜30質量%含有する請求項1〜5のいずれかに記載の粉体化粧料。
【請求項7】
前記成分(a)が、粉体100質量部に対し、0.1〜10質量部のアミノ変性シリコーンで処理されたものである請求項1〜6のいずれかに記載の粉体化粧料。
【請求項8】
更に次の成分(c)
(c)有機球状粉体
を含有する請求項1〜6の何れかに記載の粉体化粧料。
【請求項9】
粉体化粧料が固形状である請求項1〜8のいずれかに記載の粉体化粧料。
【請求項10】
粉体化粧料がファンデーションまたは白粉である請求項1〜9のいずれかに記載の粉体化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ変性シリコーンで処理した粉体と酸化鉄・酸化チタン焼結顔料とを含有することにより、塗布時の色変りが抑制され、化粧膜の均一性に優れ、さらに経時での色くすみが少ない粉体化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉体化粧料はファンデーションや白粉、チーク、アイシャドウ、アイブロウなどのメイクアップ化粧料やボディパウダー、制汗剤等に多く使用されている剤形である。粉体化粧料、特にメイクアップ化粧料においては、外観色と付け色が異なるという問題や、塗布するたびに付け色が変化するという問題があった。
【0003】
この原因の一つとしては、顔料の分散性に問題がある場合があり、化粧料中での分散状態と、肌に塗布して化粧膜になったときの分散状態の違いから色調が変化すること、すなわち化粧料中で固まりになっている粉体が、塗布動作により崩れて、色材が表面に出て、色の変化を感じることがあった。特にファンデーションや白粉の色である肌色は、白色顔料である二酸化チタンと無機着色顔料であるベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄などの酸化鉄系無機着色顔料や有機着色顔料から構成される。そして、これら肌色を構成する各色材はそれぞれ性質が異なるため、それぞれの分散状態を統一することが難しく、外観色と塗布色の差や、塗布回数(膜厚)による色調の差が生じる原因となっていた。
【0004】
また、色の変化については、汗や皮脂により顔料が濡れることにより明度が下がったり色相が変化したりする現象(いわゆるくすみ)が問題となっていた。
【0005】
そこで、特定の肌色焼結顔料を配合することで、外観色と付け色の差を軽減し、濡れても色変化を少なくする方法が検討されてきた(例えば、特許文献1)。
【0006】
しかしながら、単に肌色焼結顔料を配合する方法では、塗布色の白浮きを軽減することはできるものの、肌色焼結顔料自体が凝集することにより塗布する回数によって色調が変化したり、分散が悪いために、濡れに差ができて、色くすみの抑制効果が得られない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−145778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、上記した付け色の問題や、いわゆるくすみの問題の解消が求められており、外観色と塗布時の色の差が少なく、塗布毎の色変わりが抑制され、化粧膜の均一性に優れ、さらに経時での色くすみが少ない粉体化粧料を得ることが望まれていた
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる実情に鑑み、本発明者は、鋭意検討した結果、酸化鉄・酸化チタン焼結顔料に、アミノ変性シリコーンで処理した粉体を併用することにより、酸化鉄・酸化チタン焼結顔料の分散性が向上し、塗布時の色変わりが抑制され、化粧膜の均一性に優れ、さらに経時での色くすみが少ない粉体化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、次の内容を要旨とするものである。
(1)次の成分(a)及び成分(b);
(a)アミノ変性シリコーンで処理した粉体
(b)酸化鉄・酸化チタン焼結顔料
を含有することを特徴とする粉体化粧料、
(2)前記成分(b)が、二酸化チタンと鉄化合物とを99:1〜80:20の質量比(鉄化合物を酸化第2鉄に換算)で混合し、焼成して得られる焼結顔料である(1)記載の粉体化粧料、
(3)前記成分(b)が、平均粒径が0.1〜0.5μmのルチル型二酸化チタンと鉄化合物とを750〜900℃で焼成して得られる焼結顔料を含有する前記(1)又は(2)記載の粉体化粧料、
(4)前記成分(b)が、ハンターL−a−b系表色系における測色値において、L値が65以上、a値が15以下、b値が35以下で、かつa値/b値が0.1〜0.4の焼結顔料である(1)〜(3)の何れかに記載の粉体化粧料、
(5)前記成分(a)を、全粉体中1〜90質量%含有する前記(1)〜(4)の何れかに記載の粉体化粧料、
(6)前記成分(b)を、化粧料中0.1〜30質量%含有する前記(1)〜(5)の何れかに記載の粉体化粧料、
(7)前記成分(a)が、粉体100質量部に対し、0.1〜10質量部のアミノ変性シリコーンで処理されたものである前記(1)〜(6)の何れかに記載の粉体化粧料、
(8)更に次の成分(c)
(c)有機球状粉体
を含有する前記(1)〜(7)の何れかに記載の粉体化粧料、
(9)粉体化粧料が固形状である前記(1)〜(8)の何れかに記載の粉体化粧料、
(10)粉体化粧料がファンデーションまたは白粉である(1)〜(9)のいずれかに記載の粉体化粧料。
【発明の効果】
【0011】
本発明の粉体化粧料は、アミノ変性シリコーンで処理した粉体と酸化鉄・酸化チタン焼結顔料を含有することにより、酸化鉄・酸化チタン焼結顔料の分散性が向上し、塗布回数による色調変化が抑制され、均一な化粧膜が得られ、さらに経時での色くすみが少ないものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において粉体化粧料とは、粉体を主成分として含有し、必要に応じて、油性成分、水性成分、界面活性剤成分等を粉体中に分散させた状態のものを意味し、具体的には、粉体成分とその他の化粧料用成分とを混合粉砕した粉末状のものや、それを固形状に成形した化粧料が挙げられ、いずれの性状のものであっても良い。さらに、紙などの支持体に担持させた状態であっても良い。本発明の粉体化粧料中の粉体の含有量は、特に限定されないが、一般的に50〜100質量%であることが好ましい。
【0013】
本発明の粉体化粧料は、必須成分としてアミノ変性シリコーンで処理した粉体(成分(a))および酸化鉄・酸化チタン焼結顔料(成分(b))を含有するものである。
【0014】
本発明の粉体化粧料に成分(a)として用いられるアミノ変性シリコーンで処理した粉体(以下、「アミノ変性シリコーン処理粉体」ということがある)は、成分(b)である酸化鉄・酸化チタン焼結顔料の分散性を向上させ、塗布時の色変わりを抑制し、化粧膜の均一性を向上させ、経時での色くすみ抑制効果を得るために配合されるものである。
【0015】
この成分(a)を調製するために用いられるアミノ変性シリコーンとしては、アミノ基又はアンモニウム基を有しているシリコーンであればよく、末端水酸基の全て又は一部がメチル基等で封鎖されたアミノ変性シリコーンオイル、末端が封鎖されていないアモジメチコンのどちらでもよい。例えば、好ましいアミノ変性シリコーンとしては、以下の一般式(1)で表されるものが挙げられる。
【0016】
【化1】
〔式中、Rは水酸基、水素原子又はRを示し、Rは置換又は非置換の炭素数
1〜20の一価炭化水素基を示し、XはR、−Q−NH(CHNH
−OR又は水酸基を示し、Qは炭素数1〜8の二価炭化水素基を示し、nは
1〜5の数を示し、p及びqはその和が数平均で2以上2000未満、好まし
くは20以上2000未満、更に好ましくは30以上1000未満となる数を
示す〕
【0017】
上記アミノ変性シリコーンのアミノ当量は、好ましくは200g/mol〜3万g/mol、更に好ましくは500g/mol〜1万g/mol、更に好ましくは600g/mol〜5000g/molである。
【0018】
ここで、アミノ当量とは、アミノ基又はアンモニウム基1個当たりのシロキサン骨格の質量を意味している。表記単位のg/molはアミノ基又はアンモニウム基1mol当たりに換算した値である。従って、アミノ当量の値が小さいほど分子内でのアミノ基又はアンモニウム基の比率が高いことを示している。
【0019】
また、このものの粘度(25℃での値をいう。後記のものも同じ)は、粉体が均一に被覆され、化粧膜の均一性が得られるという点から、100〜3000mm/sの範囲のものであることが好ましい。
【0020】
また、上記アミノ変性シリコーンの好適な市販品の具体例としては、SF8451C(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製,粘度600mm/s,アミノ当量1700g/mol)、SF8452C(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製,粘度700mm/s,アミノ当量6400g/mol)、SF8457C(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製,粘度1200mm/s,アミノ当量1800g/mol)、KF8003(信越化学工業社製,粘度1850mm/s,アミノ当量2000g/mol)、KF8004(信越化学工業社製,粘度800mm/s,アミノ当量1500g/mol)、KF867S(信越化学工業社製,粘度1300mm/s,アミノ当量1700g/mol)、XF42−B8922(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製,粘度70000mm/s,アミノ当量13000g/mol)等のアミノ変性シリコーンオイルや、SM8704C(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製,アミノ当量1800g/mol)等のアモジメチコーンエマルションが挙げられる。
【0021】
上記アミノ変性シリコーンは25℃で液状のものが好ましく、エマルションの形で使用してもよい。このアミノ変性シリコーンのエマルションは、例えば、アミノ変性シリコーンと溶媒を高剪断で機械混合したものや、アミノ変性シリコーンを水及び乳化剤で乳化したもの、若しくはこれらの組み合わせによって、又は乳化重合によっても調製することができる。
【0022】
成分(a)のアミノ変性シリコーン処理粉体の調製における、アミノ変性シリコーンの処理量は特に限定されないが、処理される粉体100質量部に対し、アミノ変性シリコーンを0.1〜10質量部で処理するものが、塗布時の色変わり抑制効果と化粧膜の均一性、経時での色くすみ抑制効果の観点から好ましく、更に、粉体100質量部に対し、0.5〜7質量部で処理することがそれらの効果が特に顕著であるためさらに好ましい。
【0023】
一方、アミノ変性シリコーンで表面処理される粉体は、通常化粧料に使用される粉体であれば特に限定されず、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の平均粒径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。
【0024】
具体的には、二酸化チタン、黒色酸化チタン、酸化セリウム、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、二酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、N−アシルリジン等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子二酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、二酸化チタン含有シリカ、酸化亜鉛含有シリカ等の複合粉体類等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0025】
その中でも、成分(b)酸化鉄・酸化チタン焼結顔料の分散性向上効果(特に塗布時の色変わり抑制効果)の観点から二酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、無水ケイ酸、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、硫酸バリウムなどの無機粉体が好ましく、その中でも板状粉体がより好ましい。具体的にはマイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、板状硫酸バリウム、板状硫酸カルシウム等の無機板状粉体などがより好ましい。
【0026】
また、平均粒径は、粉体分散性や使用性において、0.5〜200μmが好ましく、更に好ましくは1〜150μmである。なお、本発明において平均粒径とは、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用い、水中分散状態で測定された粉体の幅と長さの装置上の平均値(積算体積50%の平均粒径値)をいう。
【0027】
本発明の、アミノ変性シリコーン処理粉体(成分(a))は、アミノ変性シリコーンを溶媒に分散させ粉体表面に被覆処理させるか、粉体とアミノ変性シリコーンを接触させ必要に応じ溶媒等を用い、機械力を用いて粉体表面に被覆処理させることにより得られる。これらの粉体表面をアミノ変性シリコーンで被覆処理する方法としては、特に限定されるものではなく、通常公知の処理方法が用いられる。具体的には、直接粉体とアミノ変性シリコーンを混合する方法や、アミノ変性シリコーンを、水、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ヘキサン、軽質イソパラフィン、ベンゼン、トルエン等の溶媒を用いて被覆する方法が挙げられる。更に、気相法、メカノケミカル法等も挙げることができる。メカノケミカル法のなかでも、雷潰機、加圧式ニーダー、ミックスマラー、ローラミル、バンバリーミキサー、石臼等のずりせん断式加圧状態でずり剪断力が加えられる機構を有した混練機を用いる方法が好ましい。
【0028】
特に好ましい一態様としては、ずりせん断式低速混練機を用いる方法であり、例えば、アミノ変性シリコーンと粉体と溶媒とを雷潰機等を用い混合し、70℃〜120℃に加熱して、その後解砕する方法が挙げられる。また、他の好ましい一態様として、アミノ変性シリコーンを揮発性溶剤中に溶解した後に粉体と混合し、溶剤を乾燥除去し、または乾燥除去する時に70℃〜120℃に加熱して、その後解砕する方法が挙げられる。このうち、ずりせん断式低速混練機を用いて、アミノ変性シリコーンと粉体を混合後、70℃〜120℃に加熱してから解砕したアミノ変性シリコーン処理粉体が特に好ましい。
【0029】
上記のようにアミノ変性シリコーンで被覆された粉体を70℃〜120℃程度に加熱することは、アミノ変性シリコーン中のアミノ基及びシロキサン結合の酸素原子が粉体表面とより強固に相互作用し、塗布時の色変わり抑制効果と化粧膜の均一性、経時での色くすみ抑制効果が向上するため好ましい。また、溶媒を用いて混練することにより、混練中に基材の表面を強摩擦で擦過傷を作り、新たに露出した活性点に静電吸着することができ粉体表面への被覆が向上するため、塗布時の色変わり抑制効果と化粧膜の均一性、経時での色くすみ抑制効果が向上し好ましい。
【0030】
以上説明したアミノ変性シリコーン処理粉体(成分(a))の市販品例としては、粉体である雲母を処理したものとして、「マイカ Y−2300WA3」(ヤマグチマイカ社製)(平均粒径19μm)、タルクを処理したものとして、「EX−15WA3」(ヤマグチマイカ社製)(平均粒径15μm)をあげることができる。
【0031】
本発明の成分(a)は、本発明の効果を妨げない範囲で、他の処理剤、例えば脂肪酸や、金属石鹸、フッ素化合物などと同時に処理することもできる。また、本発明の成分(a)は、その効果を妨げない範囲で、本発明のアミノ変性シリコーン以外の処理剤で処理された粉体や、未処理の粉体と併用することもできる。
【0032】
本発明の粉体化粧料における成分(a)の含有量は特に限定されないが、0.5〜75質量%(以下、単に「%」と示す)が塗布時の色変わり抑制効果と化粧膜の均一性、経時での色くすみ抑制効果の観点から好ましく、更に1〜50%であればそれらの効果が特に顕著であるためより好ましい。
【0033】
前記したように、本発明の粉体化粧料中の粉体の含有量は、50〜100%が好ましいが、この全粉体量中の成分(a)の含有量は1〜90%が好ましく、4〜50%が特に好ましい。
【0034】
一方、本発明の粉体化粧料に用いられる成分(b)の酸化鉄・酸化チタン焼結顔料は、二酸化チタンと鉄化合物を750〜900℃で焼成して得られる焼結顔料である。
【0035】
本発明の酸化鉄・酸化チタン焼結顔料(以下、「焼結顔料」という)の原料として用いられる二酸化チタンの平均粒径は特に限定されないが、高い隠ぺい力を得るために0.1〜0.5μmが好ましく、0.2〜0.3μmがより好ましい。この二酸化チタンの結晶型はルチル型、アナターゼ型どちらを用いてもよいが、高い隠ぺい力が得られることや、触媒活性がより低いことからルチル型がより好ましい。
【0036】
また、焼結顔料の原料として用いられる鉄化合物としては、酸化第2鉄、酸化第1鉄、四三酸化鉄、水酸化鉄、例えばシュウ酸鉄、クエン酸鉄等の有機酸鉄、及び例えば塩化鉄、硫酸第2鉄、硫酸鉄等の無機酸鉄を挙げることができる。これらを前記酸化チタンと混合し、750〜900℃で焼成することにより、前記鉄化合物は、酸化鉄として焼結顔料中に存在することになる。
【0037】
また、焼結顔料中での酸化鉄と二酸化チタンの質量比(鉄化合物を酸化第2鉄に換算)は特に限定されないが、塗布時の色変わり抑制効果の観点から99:1〜80:20が好ましく、更に98:2〜90:10がその効果がより顕著であるため好ましい。
【0038】
本発明において成分(b)として用いられる焼結顔料のL値、a値およびb値は、ハンターL−a−b系表色系における測色値において、L値が65以上、a値が15以下、b値が35以下で、かつa値/b値が0.1〜0.4であることが、一般に肌色とされる領域内であり、しかも発色や色くすみが抑制される点で好ましい。さらに好ましくは、a値/b値が0.2〜0.3である。なお、ハンターL−a−b系表色系での測定は、日本分光株式会社製粉末試料用ホルダーの石英セルを使用し、測定方法は、日本電色色差計SZ−Σ90等の測色計を用い、試料1gを石英セルの石英窓の後方から、ねじの蓋で圧力をかけて押し付け、試料表面が隙間なく均一になった状態で色値を測定することにより行なえばよい。
【0039】
本発明の粉体化粧料における成分(b)の含有量は特に限定されないが、塗布時の色変わり抑制効果と化粧膜の均一性、経時での色くすみ抑制効果の観点から0.01〜30%が好ましく、更には0.1〜20%が好ましい。
【0040】
また、本発明の粉体化粧料においては、上記焼結顔料は、必要に応じて一種又は二種以上を用いることができる。さらに、この焼結顔料は、フッ素化合物、シリコーン化合物、界面活性剤等の通常公知の処理剤により表面処理を施しても用いてもよい。
【0041】
本発明においては、さらに成分(c)として、有機球状粉体を含有せしめることができ、これにより、汗や皮脂による顔料の濡れの差を軽減でき、色くすみの抑制効果をより向上させることができる。この成分(c)は、化粧料で通常用いられる有機球状粉体であれば特に限定されず、具体的には、例えばナイロン、ポリメタクリル酸アルキル、シリコーン、ポリスチレン、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレン、セルロース等が挙げられ、また、これら粉体の二種以上を複合化して球状にしたものでも良く、これらを一種又は二種以上用いることができる。これらの中でも平均粒径1〜50μmの粉体が好ましく、さらに、3〜40μmがより好ましい。
【0042】
また、より好ましくは、網状型シリコーンや架橋型シリコーン、これらの複合粉体である架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体等のシリコーン粉体が色くすみの抑制効果に加え伸び広がりを向上することができ好ましく、特に架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体が化粧膜の均一性の点で好ましい。例えば、ポリメチルシルセスキオキサン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー等を挙げることができ、エラストマーであるものやエラストマーでないもの等がある。
【0043】
成分(c)の有機球状粉体の市販品例としては、ナイロンであるナイロン12SP−500(東レ社製)、ポリメタクリル酸アルキルであるマツモトマイクロスフェアーM−101、305(何れも、松本油脂製薬社製)、ポリスチレンであるガンツパールGS−0605(ガンツ化成社製)、シリコーンであるトレフィルE505、E506、E701(何れも、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、トスパール2000B*(東芝シリコーン社製)、KSP−100、101、102、105、300(何れも信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0044】
また、これら成分(c)の有機球状粉体は、前記感触を損ねない範囲で、例えば、フッ素化合物、シリコーン系油剤(成分(a)で使用するアミノ変性シリコーンを除く)、金属石ケン、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等による処理等、通常公知の方法で表面処理されているものを用いても良い。
【0045】
本発明の粉体化粧料における成分(c)の含有量は、色くすみの抑制効果、膜の均一性において0.1〜30%が好ましく、0.5〜20%がより好ましい。
【0046】
本発明の粉体化粧料には、上記各成分の他に、通常、化粧料に使用される成分、例えば、粉体(成分(a)、(b)および(c)を除く)、界面活性剤、油剤、紫外線吸収剤、油ゲル化剤、水溶性高分子やアルコール等の水性成分、トリメチルシロキシケイ酸等の油溶性被膜形成剤、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有せしめることができる。
【0047】
このうち界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等の非イオン性界面活性剤類;ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸及びそれらの無機または有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩等の陰イオン性界面活性剤類;アルキルアミン塩、ポリアミンおよびアルカノイルアミン脂肪酸誘導体、アルキルアンモニウム塩、脂環式アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤類;リン脂質、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0048】
また油剤としては、例えば、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素系類;カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリンワックス、キャンデリラ等の天然ロウ類;2−エチルヘキサン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、リンゴ酸ジイソステアアリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)等のエステル類、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類;セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類;ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類;N−ラウロイルーL−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のアミノ酸誘導体類;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0049】
更に紫外線吸収剤としては、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリアニリノ−パラ−(カルボ−2'−エチルヘキシル−1'−オキシ)−1,3,5−トリアジン等のベンゾフェノン系、サリチル酸−2−エチルヘキシル等のサリチル酸系、パラジヒドロキシプロピル安息香酸エチル等のPABA系、パラメトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシル等の桂皮酸系、4−tert−4'−メトキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0050】
更にまた油ゲル化剤としては、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0051】
本発明の粉体化粧料に含有せしめる水性成分としては、水や水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低級アルコール類;プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類;アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられる。また、水溶性高分子としては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体類;アルギン酸ソーダ、カラギーナン、クインスシードガム、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム等の天然高分子類;ポリビニルアルコール、カルボシキビニルポリマー、アルキル付加カルボシキビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル,ポリビニルピロリドン等の合成高分子類等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0052】
本発明の粉体化粧料は、粉末状、固形状いずれの形態でも実施することができる。その中でも、塗布時の色変わり抑制効果や均一な化粧膜が得やすいため固形状が好ましい。また、本発明の粉体化粧料は、日焼け止め、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、白粉、頬紅、アイシャドウ等の製品にて実施することができ、特にファンデーション、白粉等に使用するものが好ましい。
【0053】
本発明の粉体化粧料の好ましい一態様は、固形状の粉体化粧料であり、その製造方法の一例としては、(a)及び(b)を含む粉体と油性成分を混合した後、金皿に圧縮成型する方法が挙げられる。また他の一態様は、粉末状の粉体化粧料であり、その製造方法としては、(a)及び(b)を含む粉体と必要に応じ油性成分を混合した後、粉砕し、容器へ充填する方法が挙げられる。
【実施例】
【0054】
次に、アミノ変性シリコーン処理粉体及び酸化鉄・酸化チタン焼結顔料の製造例および実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0055】
製 造 例 1
アミノ変性シリコーン処理二酸化チタンの製造:
アミノ変性シリコーン(KF8003/信越化学工業社製)5質量部をイソプロピルアルコール70質量部に溶解し、そこに二酸化チタン(CR−50/平均粒径0.25μm/石原産業社製)を95質量部添加した。それをスーパーミキサー(SMP−2/カワタ社製)により混合した後、80℃でイソプロピルアルコールを蒸発乾燥した。この乾燥物をアトマイザー(LM−05/ダルトン社製)にて解砕処理し、粉末状のアミノ変性シリコーン処理二酸化チタン(5%処理)を得た。
【0056】
製 造 例 2
アミノ変性シリコーン処理マイカの製造:
アミノ変性シリコーン(KF867S/信越化学工業社製)3質量部とマイカ(Y‐2300/平均粒径19μm/ヤマグチマイカ社製)97質量部と水10質量部とを雷潰機(ZOD型/石川工場社製)にて、3時間混合し、100℃で4時間加熱した。その後、アトマイザー(LM−05/ダルトン社製)にて解砕処理し、粉末状のアミノ変性シリコーン処理マイカ(3%処理)を得た。
【0057】
製 造 例 3
アミノ変性シリコーン処理タルクの製造(1):
アミノ変性シリコーン(KF8004/信越化学工業社製)3質量部とタルク(EX−15:平均粒径15μm/ヤマグチマイカ社製)97質量部と水10質量部とを雷潰機(ZOD型/石川工場社製)にて3時間混合し、90℃で3時間加熱した。その後、アトマイザー(LM−05/ダルトン社製)にて解砕処理し、粉末状のアミノ変性シリコーン処理タルク(3%処理)を得た。
【0058】
製 造 例 4
アミノ変性シリコーン処理タルクの製造(2):
アミノ変性シリコーン(SF8451C/東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)2質量部とタルク(JA−13R:平均粒径6μm/浅田製粉社製)98質量部をスーパーミキサー(SMP−2/カワタ社製)にて、3000rpmで10分間混合し、70℃で5時間加熱した。その後、アトマイザー(LM−05/ダルトン社製)にて解砕処理し、粉末状のアミノ変性シリコーン処理タルク(2%処理)を得た。
【0059】
製 造 例 5
酸化鉄・酸化チタン焼結顔料の製造:
二酸化チタンと酸化第二鉄を97:3の質量比で均一に混合し、大気中850℃で2時間焼成した。焼成後、これをアトマイザー(ホソカワミクロン社製)にて解砕処理し、粉末状の肌色の酸化鉄・酸化チタン焼結顔料(平均粒径 0.25μm)を得た。
【0060】
こうして得られた酸化鉄・酸化チタン焼結顔料の測色値はL値:73.40、a値:4.19、b値:17:03、a値/b値:0.246であった。
【0061】
製 造 例 6
酸化鉄・酸化チタン焼結顔料の製造:
二酸化チタンと硫酸第二鉄を95:5の質量比で均一に混合し、大気中900℃で3時間焼成した。焼成後、これをアトマイザー(ホソカワミクロン社製)にて解砕処理し、粉末状の肌色の酸化鉄・酸化チタン焼結顔料(平均粒径 0.28μm)を得た。
【0062】
こうして得られた酸化鉄・酸化チタン焼結顔料の測色値はL値:70.26、a値:6.57、b値:18:83、a値/b値:0.349であった。
【0063】
試 験 例
下の表1に示す成分を混合し、パルベライザーで粉砕して、容器に充填し、試料1ないし3を得た。
【0064】
【表1】
【0065】
各試料0.05gを、ウレタン製人工皮膚(ビューラックス社製)上に塗布し、それぞれ軽く伸ばした。この時点の色調と、更に5回指で伸ばした時の色調をハンディ型分光測色計(CM−503d:ミノルタ社製)にて測色し、両者の色調の変化(ΔE)を求め、下記の判定基準に従って判定した。
【0066】
色差(ΔE) : 評 価
3以上 : ×
2以上3未満: △
1以上2未満: 〇
1未満 : ◎
【0067】
また、同時に目視による判定も行い、後記実施例1の官能評価方法中の評価基準、判定基準により、測定回数5回で、「塗布時の色変わりのなさ」についても評価した。この結果も併せて表1中に示す。
【0068】
表1の結果から明らかなように、アミノ変性シリコーンで表面処理したマイカと、酸化鉄・酸化チタン焼結顔料を用いた試料1は、塗布回数が増加することによっても色変わりが少ないの対し、アミノ変性シリコーンで表面処理していないマイカを使用した試料2や成分(b)の酸化鉄・酸化チタン焼結顔料のかわりに焼結顔料ではないものを使用した試料3は、塗布回数が増加すると色変わりが目立つことがわかった。また、色差計による色変わりのなさについての結果は、目視による結果とも一致するものであった。
【0069】
実 施 例 1
固形状ファンデーション:
表2に示す組成の固形状ファンデーションを下記製造方法により調製した。また、下記評価方法及び評価基準により、イ「塗布時の色変わりのなさ」、ロ「化粧膜の均一性」、ハ「くすみのなさ」について評価した。なお、「塗布時の色変わりのなさ」については、官能評価と色差計により測色した評価の両者を評価した。その結果も併せて表2に示した。
【0070】
[ 組 成 ]
【表2】
【0071】
[ 製造方法 ]
A:成分1〜17を混合する。
B:Aに成分18〜22を加え、混合する。
C:Bをパルベライザーで粉砕する。
D:Cを金皿に圧縮成型し、固形状ファンデーションを得た。
【0072】
[ 官能評価方法 ]
化粧料評価専門パネル20名に、表2に記載の固形状ファンデーションを使用してもらい、「塗布時の色変わりのなさ」、「化粧膜の均一性」、化粧料塗布5時間後の状態での「色くすみのなさ」のそれぞれの項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価し、試料毎に評点を付した。更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
【0073】
評価基準:
(評価結果) :(評点)
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
判定基準:
(評点の平均点) :(判定)
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0074】
[ 色差計による評価方法 ]
ウレタン製人工皮膚(ビューラックス社製)上に、化粧料用マットを用いて、表2に記載の固形状ファンデーションをそれぞれ1度及び3度塗りし、試料を作成した。この1度塗り試料および3度塗り試料での色調の変化(ΔE)を、ハンディ型分光測色計(CM−503d:ミノルタ社製)にて測色し、ニ「塗布時の色変わりのなさ」とし、以下の判定基準に従って判定した。
【0075】
判定基準:
( ΔE ) :(判定)
3.0以上 : ×
2.0以上〜3.0未満 : △
1.0以上〜2.0未満 : ○
1.0未満 : ◎
【0076】
表2の結果から明らかなように、発明品1〜6の固形状ファンデーションは、「塗布時の色変わりのなさ」、「化粧膜の均一性」、化粧料塗布5時間後の「色くすみのなさ」の全ての項目に優れたものであった。
【0077】
これに対して、成分(a)のアミノ変性シリコーン処理粉体を含有しない比較品1は、塗布する際に肌への付着が不均一で伸びが重く、仕上がりにも粉っぽい乾燥感を感じるなど「塗布時の色変わりのなさ」や「化粧膜の均一性」に劣っていた。また、成分(a)の代わりに他のシリコーンで表面処理した粉体を含有した比較品2では、塗布時の伸び広がりが悪く「塗布時の色変わりのなさ」や「化粧膜の均一性」に劣っていた。同様、成分(a)の代わりにフッ素化合物で処理した粉体を含有する比較品3では、肌への親和性が低く、伸び広がりに違和感があり、塗布後も肌から化粧膜が浮き上がるように感じるなど「化粧膜の均一性」に特に劣っていた。
【0078】
更に、成分(b)の酸化鉄・酸化チタン焼結顔料を含有しない比較品4では、化粧料の外観色と付け色に差がある上、塗布時の色変化も顕著で「塗布時の色変わりのなさ」や「化粧膜の均一性」に劣り、5時間後も色調が赤黒く変化し、「色くすみのなさ」に劣っていた。更にまた、アミノ変性シリコーンを化粧料中の油剤とともに単に含有する比較品5では、粉体の凝集がみられ、特に成分(b)の酸化鉄・酸化チタン焼結顔料の凝集があり、「化粧膜の均一性」に劣るものであった。また、「塗布時の色変わりのなさ」や「くすみのなさ」においても、良い結果は得られなかった。
【0079】
更にまた、成分(a)のアミノ変性シリコーンで表面処理した粉体を含有せず酸化鉄・酸化チタン焼結顔料のみを実施品1や比較品1の倍量で含有する比較品6では、外観付け色の差は改善するものの、色と塗布時の伸び広がりが悪く、厚ぼったく不自然で不均一な仕上がりになるなど「化粧膜の均一性」に劣るものであった。また、5時間には化粧膜がグレイッシュに変化し「くすみのなさ」においても、 劣っていた。また更に、酸化鉄・酸化チタン焼結顔料を含有せず成分(a)のアミノ変性シリコーンで表面処理マイカのみを実施品1や比較品4の倍量で含有する比較品7では、塗布時の肌への伸び広がりや化粧膜の均一性はわずかに改善するものの、化粧量の概観色と付け色の差が大きく、「塗布時の色変わりのなさ」に劣り、5時間後も色調が赤黒く変化し、「色くすみのなさ」に劣っていた。
【0080】
実 施 例 2
固形状ファンデーション:
表3に示す組成の固形状ファンデーションを下記製造方法により調製した。また、実施例2と同じ評価方法及び評価基準により、イ「塗布時の色変わりのなさ」、ロ「化粧膜の均一性」ハ「くすみのなさ」について評価した。なお、「塗布時の色変わりのなさ」については、官能評価と色差計により測色した評価の両者を評価した。その結果は表4に示した。
【0081】
[ 組 成 ]
【表3】
【0082】
[ 結 果 ]
【表4】
【0083】
[ 製造方法 ]
A:成分1〜18を混合する。
B:成分19〜25を90℃に溶解混合する。
C:AにBを加え混合する。
D:Cをパルベライザーで粉砕する。
E:Dを金皿に圧縮成型し、固形状ファンデーションを得た。
【0084】
表4の結果から明らかなように、発明品7〜12の固形状ファンデーションは、「塗布時の色変わりのなさ」、「化粧膜の均一性」、化粧料塗布5時間後の「色くすみのなさ」の全ての項目に優れたものであった。
【0085】
これに対して、成分(a)のアミノ変性シリコーン処理粉体を含有しない比較品8は、塗布する際に肌への付着が不均一で伸びが重く、仕上がりにも粉っぽい乾燥感を感じるなど「塗布時の色変わりのなさ」や「化粧膜の均一性」に劣っていた。また、成分(a)の代わりに他のシリコーンで表面処理した粉体を含有する比較品9では、塗布時の伸び広がりが悪く「塗布時の色変わりのなさ」や「化粧膜の均一性」に劣っていた。同様、成分(a)の代わりにフッ素化合物で処理した粉体を含有する比較品10では、肌への親和性が低く、伸び広がりに違和感があり、塗布後も肌から化粧膜が浮き上がるように感じるなど「化粧膜の均一性」に特に劣っていた。
【0086】
更に、成分(b)の酸化鉄・酸化チタン焼結顔料を含有しない比較品11では、化粧料の外観色と付け色に差がある上、塗布時の色変化も顕著で「塗布時の色変わりのなさ」や「化粧膜の均一性」に劣り、5時間後も色調が赤黒く変化し、「色くすみのなさ」に劣っていた。更にまた、アミノ変性シリコーンを化粧料中の油剤とともに単に含有する比較品12では、粉体の凝集がみられ、特に成分(b)の酸化鉄・酸化チタン焼結顔料の凝集があり、「化粧膜の均一性」に劣るものであった。また、「塗布時の色変わりのなさ」や「くすみのなさ」においても、良い結果は得られなかった。
【0087】
さらに、成分(a)のアミノ変性シリコーンで表面処理した粉体を含有せず酸化鉄・酸化チタン焼結顔料のみを実施品7や比較品8の倍量で含有する比較品13では、外観付け色の差は改善するものの、色と塗布時の伸び広がりが悪く、厚ぼったく不自然で不均一な仕上がりになるなど「化粧膜の均一性」に劣るものであった。また、5時間には化粧膜がグレイッシュに変化し「くすみのなさ」においても、 劣っていた。
【0088】
更にまた、酸化鉄・酸化チタン焼結顔料を含有せず成分(a)のアミノ変性シリコーンで表面処理マイカのみを比較品11の倍量で含有する比較品14では、塗布時の肌への伸び広がりや化粧膜の均一性はわずかに改善するものの、化粧料の概観色と付け色の差が大きく、「塗布時の色変わりのなさ」に劣り、5時間後も色調が赤黒く変化し、「色くすみのなさ」に劣っていた。
【0089】
実 施 例 3
粉末状白粉:
(成分) (%)
1.製造例2のアミノ変性シリコーン処理マイカ 15
2.製造例6の酸化鉄・酸化チタン焼結顔料 2
3.ステアリン酸(5%)処理黄酸化鉄 0.2
4.ステアリン酸(5%)処理ベンガラ 0.1
5.ステアリン酸(5%)処理黒酸化鉄 0.05
6.硫酸バリウム *5
7.シリコーン複合球状粉体 *6 10
8.ジメチルポリシロキサン(3%)処理タルク 残量
9.雲母チタン *7
10.メタクリル酸メチルクロスポリマー *8
11.メチルパラベン 0.1
12.ジリノール酸ジ(フィトステリル/ステアリル/ 1
ベヘニル/イソステアリル/セチル) *9
13.イソノナン酸イソトリデシル 0.5
14.アボカド油 0.1
15.香料 適量
*5:板状硫酸バリウムHL(堺化学工業社製)
*6:KSP−100(信越化学工業社製)
*7:TIMIRON STARLUSTER MP−115
(メルク社製)
*8:MR−7GC(綜研化学社製)
*9:PLANDOOL−S(日本精化社製)
【0090】
(製造方法)
A:成分1〜11を混合する。
B:Aに成分12〜15を混合する。
C:Bを粉砕する。
D:Cを容器に充填して粉末状白粉を得た。
【0091】
本実施例の粉末状白粉について、その効果を実施例1に準じて評価したところ、このものは、「塗布時の色変わりのなさ」、「化粧膜の均一性」、「色くすみのなさ」の全ての項目に優れたものであった。
【0092】
実 施 例 4
固形状頬紅:
(成分) (%)
1.製造例2のアミノ変性シリコーン処理酸マイカ 5
2.製造例3のアミノ変性シリコーン処理タルク 15
3.製造例5の酸化鉄・酸化チタン焼結顔料 3
4.赤色226号 0.5
5.オクチルトリエトキシシラン(5%)処理セリサイト 30
6.ナイロンパウダー(球状:平均粒径10μm) 5
7.窒化ホウ素 5
8.タルク 残量
9.シリコーンエラストマー粉末 *10
10.ミリスチン酸亜鉛 1
11.雲母チタン *7
12.メチルパラベン 0.2
13.ジメチルポリシロキサン *11
14.PEG−10水添ひまし油 0.5
15.スクワラン 3
16.ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/
フィトステリル) 3
17.ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
18.香料 適量
*10:トレフィルE−506C(東レダウコーニング社製)
*11:KF−96(10cs)(信越化学工業社製)
【0093】
(製造方法)
A:ヘンシェルミキサーで成分1〜12を混合する。
B:Aに成分13〜18を混合する。
C:Bをパルベライザーで粉砕する。
D:Cを樹脂皿に充填し、加圧成形して固形状頬紅を得た。
【0094】
本実施例の固形状頬紅について、その効果を実施例1に準じて評価したところ、このものは、「塗布時の色変わりのなさ」、「化粧膜の均一性」、「色くすみのなさ」の全ての項目に優れたものであった。
【0095】
実 施 例 5
固形状アイブロウ:
(成分) (%)
1.製造例4のアミノ変性シリコーン処理酸化タルク 5
2.製造例5の酸化鉄・酸化チタン焼結顔料 4
3.マイカ 10
4.ジメチルポリシロキサン(3%)処理タルク 30
5.ベンガラ 1
6.黄酸化鉄 6
7.黒酸化鉄 2
8.ラウロイルリシン 1
9.合成ワックス 1
10.リン脂質(1%)処理セリサイト 残量
11.シリカ(球状:平均粒径5μm) 5
12.デヒドロ酢酸ナトリウム 0.3
13.水添ポリデセン 2
14.ポリヒドロキシステアリン酸 0.2
15.ヒドロキシステアリン酸コレステリル 1.5
16.酢酸トコフェロール 0.05
17.香料 適量
【0096】
(製造方法)
A:成分1〜11をスーパーミキサーで均一に混合する。
B:成分12〜17を70℃に加熱溶解し、Aに添加する。
C:Bを粉砕処理する。
D:Cを樹脂皿にプレス充填して固形状アイブロウを得た。
【0097】
本実施例の固形状アイブロウについて、その効果を実施例1に準じて評価したところ、このものは、「塗布時の色変わりのなさ」、「化粧膜の均一性」、「色くすみのなさ」の全ての項目に優れたものであった。
【0098】
実 施 例 6
固形状アイシャドウ:
(成分) (%)
1.製造例2のアミノ変性シリコーン処理マイカ 5
2.製造例3のアミノ変性シリコーン処理タルク 20
3.製造例5の酸化鉄・酸化チタン焼結顔料 1
4.赤色202号 1
5.黄色4号 0.2
6.黄酸化鉄 0.1
7.ベンガラ 0.5
8.シリコーン処理ケイ酸・酸化チタン被覆雲母 *12 10
9.雲母チタン *13 10
10.酸化鉄被覆雲母チタン *14
11.二酸化チタン被覆合成金雲母 *15 10
12.二酸化チタン被覆ホウケイ酸 *16
13.ジメチルポリシロキサン(3%)セリサイト 残量
14.セスキステアリン酸ソルビタン 1
15.重質イソパラフィン 3
16.リンゴ酸ジイソステアリル 4
17.炭酸ジアルキル(C13〜C16) 4
18.ラベンダー油 0.1
19.テトラヘキシルデカン酸アスコルビル 0.1
*12:ジメチルポリシロキサン(3%)処理チミロンス
プレンディドバイオレット(メルク社製)
*13:FLAMENCO ULTRA SPARKLE 4500
(BASF社製)
*14:DUOCROME RY(BASF社製)
*15:HELIOS R100S(トピー工業社製)
*16:メタシャイン MT1080RR(日本板硝子社製)
【0099】
(製造方法)
A:成分1〜13を均一に混合する。
B:成分14〜17を70℃に加熱溶解する。
C:AにBと成分18、19を混合する。
D:Cをふるいで処理する。
E:Dを金皿にプレス充填し固形状アイシャドウを得た。
【0100】
本実施例の固形状アイシャドウについて、その効果を実施例1に準じて評価したところ、このものは、「塗布時の色変わりのなさ」、「化粧膜の均一性」、「色くすみのなさ」の全ての項目に優れたものであった。
【0101】
実 施 例 7
粉末状ボディパウダー:
(成分) (%)
1.製造例3のアミノ変性シリコーン処理タルク 50
2.製造例6の酸化鉄・酸化チタン焼結顔料 1
3.赤色226号 0.1
4.黄色4号 0.2
5.黒酸化鉄 0.05
6.ベンガラ 0.2
7.シリコーン樹脂粉末 *17
8.マイカ 残量
9.多孔質シリカ *18
10.香料 1
11.L−メントール 0.3
12.カンファ 0.02
13.乳酸メンチル 0.2
*17:トスパール150KA(東レ・ダウコーニング社製)
*18:サイロスフェアC−1504(富士シリシア社製)
【0102】
(製造方法)
A:成分1〜9をヘンシェルミキサーで均一に混合する。
B:Aに成分10〜13を加え均一に混合する。
C:Bを容器に充填し、粉末状ボディパウダーを得た。
【0103】
本実施例の粉末状ボディパウダーについて、その効果を実施例1に準じて評価したところ、このものは、「塗布時の色変わりのなさ」、「化粧膜の均一性」、「色くすみのなさ」の全ての項目に優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の、アミノ変性シリコーンで処理した粉体と、酸化鉄・酸化チタン焼結顔とを組み合わせた粉体化粧料は、外観色と付け色が異なるとか、塗布するたびに付け色が変化するというような塗布時の色変わり(色調変化)の問題が抑制されたものであり、更に化粧膜の均一性に優れ、経時での色くすみが少ない粉体化粧料である。
【0105】
従って本発明は、化粧効果が優れた、ファンデーションや白粉、チーク、アイシャドウ、アイブロウなどのメイクアップ化粧料や、ボディーパウダー、制汗剤等の粉体化粧料として、有利に利用できるものである。

以 上