特許第6064198号(P6064198)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6064198無線ネットワークシステム、及びこれを用いた安否確認システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6064198
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】無線ネットワークシステム、及びこれを用いた安否確認システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/28 20090101AFI20170116BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20170116BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20170116BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20170116BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   H04W40/28
   H04W52/02
   H04W84/18 110
   H04M11/04
   H04Q9/00 311K
   H04Q9/00 321D
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-66022(P2013-66022)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-192685(P2014-192685A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183369
【氏名又は名称】住友精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114410
【弁理士】
【氏名又は名称】大中 実
(74)【代理人】
【識別番号】100108992
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 信雄
(72)【発明者】
【氏名】川淵 綱貴
【審査官】 米倉 明日香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−97310(JP,A)
【文献】 特開2007−243794(JP,A)
【文献】 特開2006−180177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、2
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の情報を検出し、該検出した情報をデータパケットとして外部に無線で送信する末端ノードと、
前記データパケットを受信し、該受信したデータパケットを外部に無線で送信する基地局ノードと、
前記末端ノードと前記基地局ノードとを無線で中継し、前記末端ノードから送信されたデータパケットを前記基地局ノードに送信する中継ノードとを備え、
前記末端ノードは、前記情報を検出したタイミングで前記データパケットを送信する第1動作と、前記情報を検出したタイミングに関わらず所定の時間間隔毎に前記データパケットを送信する第2動作とを実行し、
前記末端ノードの前記第2動作によって送信された前記データパケットが前記基地局ノードで受信されなかった場合、前記末端ノードは、前記データパケットを再送信すると共に、前記末端ノードから前記基地局ノードまで前記データパケットを送信する経路を再探索し、
前記末端ノードの前記第1動作によって送信された前記データパケットが前記基地局ノードで受信されなかった場合、前記末端ノードは、前記末端ノードから前記基地局ノードまで前記データパケットを送信する経路を再探索せずに、前記データパケットを再送信するのみであることを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項2】
安否確認対象者の宅内に配置された請求項1に記載の無線ネットワークシステムと、
前記無線ネットワークシステムの前記基地局ノードから送信された前記データパケットを受信する管理サーバとを備え、
前記無線ネットワークシステムの前記末端ノードは、安否確認対象者の安否情報を検出することを特徴とする安否確認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワークシステム、及びこれを用いた安否確認システムに関する。特に、本発明は、ノードの消費電力を低減することで安否確認システムに好適に用いることができる無線ネットワークシステム、及びこれを用いた安否確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一人暮らしの高齢者等の安否を確認するための安否確認システムが種々提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
安否確認システムは、例えば、安否確認対象者の宅内に設置された端末が具備するボタンを安否確認対象者が押下することや、安否確認対象者の動きをセンサで検出することにより、これらの検出信号がネットワークを介して管理サーバに送信されるように構成されている。検出信号が管理サーバに受信されると、管理サーバを管理する自治体等の見守り者は、安否確認対象者の安全を確認できる。一方、検出信号が一定期間管理サーバに受信されなければ、安否確認対象者に異常が生じた可能性があるとして、安否確認対象者宅に駆け付ける等の適切な処置を施すことが可能である。
【0003】
上記の安否確認システムにおいて、検出信号の送受信を行うネットワークとしては、取り扱いの利便性の点から、無線ネットワークを用いることが好ましい。特に、端末が具備するボタンを安否確認対象者が押下することで生じる検出信号を送受信する場合には、安否確認対象者が端末を自由に携帯可能という点で、無線ネットワークを用いることが望ましい。
【0004】
無線ネットワークとしては、いわゆるマルチホップ無線ネットワークが知られている(例えば、特許文献3、4参照)。
マルチホップ無線ネットワークは、小型の無線端末(ノード)によって自発的に構築され、ノードの移動や増加などにも容易に対応できる、設置容易性や柔軟性に優れたネットワークである。この点では、上記の安否確認システムに用いる無線ネットワークとしても好適であると考えられる。
しかしながら、マルチホップ無線ネットワークを構成するノードは電池を電源として駆動するため、その交換頻度を少なくするには、ノードの消費電力を低減することが課題となる。特に、上記の安否確認システムに用いる上では、高齢者等の安否確認対象者が電池を交換する頻度を極力少なくして手間を軽減する必要があるため、消費電力を低減することは極めて重要な課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−179378号公報
【特許文献2】特開2012−89106号公報
【特許文献3】特開2010−231566号公報
【特許文献4】特開2010−233011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ノードの消費電力を低減することで安否確認システムに好適に用いることができる無線ネットワークシステム、及びこれを用いた安否確認システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明者は、各種の情報を検出し、該検出した情報をデータパケットとして外部に無線で送信する末端ノードと、前記データパケットを受信し、該受信したデータパケットを外部に無線で送信する基地局ノードと、末端ノードと基地局ノードとを無線で中継し、末端ノードから送信されたデータパケットを基地局ノードに送信する中継ノードとを備えた無線ネットワークシステムを検討した。
末端ノードには、例えば、安否確認対象者が押下するためのボタンを設ける。安否確認対象者がこのボタンを押下することで、ボタンを押下したという情報(検出した情報に相当)が末端ノードからデータパケットとして無線送信され、中継ノードを介して、基地局ノードで受信されることになる。基地局ノードは、この受信したデータパケットを外部に無線送信するため、例えば見守り者が管理する管理サーバでこれを受信すればよい。このような無線ネットワークシステムを用いれば、管理サーバを管理する自治体等の見守り者は、安否確認対象者の安否を確認することができる。
【0008】
ここで、本発明者は、安否確認のために上記の無線ネットワークシステムを用いる場合、末端ノードが検出した情報をデータパケットとして送信するタイミングとしては、以下の(1)及び(2)の2つのケースを設けることが肝要であると考えた。
(1)情報を検出したタイミング(不定期)でデータパケットを送信する。具体的には、例えば、末端ノードに設けられたボタンを安否確認対象者が押下したときに、押下したという情報を示すデータパケットを送信する。
(2)所定の時間間隔毎(定期的)にデータパケットを送信する。例えば、所定の時間間隔毎に、この時間間隔の間に末端ノードに設けられたボタンを押下した回数の積算値を示すデータパケットを送信する。
上記(1)のケースを設けるのは、安否確認対象者の動作(例えば、ボタンの押下)を直ちに基地局ノード、ひいては管理サーバに通知するためである。
一方、上記(2)のケースを設けるのは、無線ネットワークシステムを構成する各ノードの動作を確認する(正常にデータパケットの送受信が行われるか否かを確認する)ためである。また、例えば、所定の時間間隔毎に送信された積算値(ボタンを押下した回数の積算値)を比較することで、送受信を失敗して親ノードに正常に通知されなかったボタン押下を検出する(積算値では差があるのに、ボタンを押下したことにはなっていない場合等)ためでもある。
【0009】
上記(1)及び(2)のケースの双方で、データパケットの送受信が失敗した場合、すなわち末端ノードから送信されたデータパケットが基地局ノードで受信されなかった場合には、この種の無線ネットワークシステムで一般的に行われているように、(a)末端ノードからデータパケットを再送信することと、(b)末端ノードから基地局ノードまでデータパケットを送信する経路を再探索する(最も通信品質の良い経路を探索する)ことが考えられる。
上記(a)及び(b)のいずれの動作を実行する場合も、データパケットの複数回の送受信を伴うため、ノードの消費電力が大きくなり電池の寿命を短くする要因となる(図5(a)参照)。
また、上記(b)の動作を実行すると、動作を実行している最中はデータパケットを送信する経路が確定していないため、データパケットの送受信ができなくなる。データパケットの送受信が失敗する原因が一瞬の電波状況の悪化であり、すぐに状況が回復することも考えられる。しかしながら、すぐに電波状況が回復したとしても、上記(b)の動作を実行中であれば、上記(1)のケースでもデータパケットを送受信できないため、安否確認対象者に使い勝手の悪さを感じさせると共に、緊急性のある情報を送信できなくなるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明者は、更に検討し、無線ネットワークシステムを安否確認のために用いる場合には、少なくとも基地局ノードは安否確認対象者の宅内に1つ設ければ良いと考えられることや、末端ノードや中継ノードの数も少なくて良いと考えられるため、経路の再探索を実行する必要性が低いことに着眼した。
すなわち、データパケットの送受信が失敗した場合に、上記(1)及び(2)のケースの双方で上記(a)及び(b)の動作を実行するのではなく、上記(1)のケースでは上記(a)の動作のみ実行すれば十分であると考えた(図5(b)参照)。
【0011】
本発明は、上記本発明者の知見に基づき完成したものである。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、各種の情報を検出し、該検出した情報をデータパケットとして外部に無線で送信する末端ノードと、前記データパケットを受信し、該受信したデータパケットを外部に無線で送信する基地局ノードと、前記末端ノードと前記基地局ノードとを無線で中継し、前記末端ノードから送信されたデータパケットを前記基地局ノードに送信する中継ノードとを備え、前記末端ノードは、前記情報を検出したタイミングで前記データパケットを送信する第1動作と、前記情報を検出したタイミングに関わらず所定の時間間隔毎に前記データパケットを送信する第2動作とを実行し、前記末端ノードの前記第2動作によって送信された前記データパケットが前記基地局ノードで受信されなかった場合、前記末端ノードは、前記データパケットを再送信すると共に、前記末端ノードから前記基地局ノードまで前記データパケットを送信する経路を再探索し、前記末端ノードの前記第1動作によって送信された前記データパケットが前記基地局ノードで受信されなかった場合、前記末端ノードは、前記末端ノードから前記基地局ノードまで前記データパケットを送信する経路を再探索せずに、前記データパケットを再送信するのみであることを特徴とする無線ネットワークシステムを提供する。
【0012】
本発明に係る無線ネットワークシステムによれば、末端ノードから送信したデータパケットが基地局ノードで受信されなかった場合(データパケットの送受信が失敗した場合)に、第1動作及び第2動作の双方で経路を再探索するのではなく、第2動作でのみ経路を再探索することになる。
従って、ノードの消費電力を低減することが可能であり、安否確認システムに用いるのに好適な無線ネットワークシステムが提供される。
また、一瞬の電波状況の悪化でデータパケットの送受信が失敗した場合には、電波状況が回復すればすぐに第1動作を実行できるため、使い勝手が良く、緊急性のある情報も送
信可能である。
【0013】
また、前記課題を解決するため、本発明は、安否確認対象者の宅内に配置された前記無線ネットワークシステムと、前記無線ネットワークシステムの前記基地局ノードから送信された前記データパケットを受信する管理サーバとを備え、前記無線ネットワークシステムの前記末端ノードは、安否確認対象者の安否情報を検出することを特徴とする安否確認システムとしても提供される。
【0014】
本発明に係る安否確認システムによれば、管理サーバを管理する自治体等の見守り者は、末端ノードから送信された安否確認対象者の安否情報を確認することができる。
また、本発明に係る安否確認システムによれば、前述した本発明に係る無線ネットワークシステムの利点が活かされる。
すなわち、ノードの消費電力を低減することが可能であるため、高齢者等の安否確認対象者が電池を交換する頻度が少なくなり手間を軽減することが可能である。
また、一瞬の電波状況の悪化でデータパケットの送受信が失敗した場合には、電波状況が回復すればすぐに第1動作を実行できるため、安否確認対象者にとって使い勝手が良く、緊急性のある情報が送信できなくなるといった事態が生じることもない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ノードの消費電力を低減することで安否確認システムに好適に用いることができる無線ネットワークシステム、及びこれを用いた安否確認システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る安否確認システムの概略構成図である。
図2図2は、図1に示す無線ネットワークを構成する末端ノード、基地局ノード及び中継ノードの概略構成を示す図である。
図3図3は、図1に示す無線ネットワークにおける経路の再探索方法の一例を説明するタイムチャートである。
図4図4は、図1に示す無線ネットワークにおける経路の再探索方法の他の例を説明するタイムチャートである。
図5図5は、末端ノードの動作と消費電力との関係を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る安否確認システムの概略構成図である。
図2は、図1に示す無線ネットワークを構成する末端ノード、基地局ノード及び中継ノードの概略構成を示す図である。図2(a)は末端ノードの平面図を、図2(b)は末端ノードのブロック図を、図2(c)は中継ノードのブロック図を、図2(d)は基地局ノードのブロック図を示す。
図1に示すように、本実施形態に係る安否確認システム100は、無線ネットワークシステム10と、管理サーバ20とを備えている。本実施形態では、無線ネットワークシステム10が複数の安否確認対象者の宅内毎に配置されている。管理サーバ20は、自治体等の見守り者に管理されている。図1では、安否確認対象者である甲、乙、丙の3人の宅内にそれぞれ無線ネットワークシステム10a、10b、10cが配置されている例を示しており、各無線ネットワークシステム10a〜10cはいずれも同じ構成である。
【0018】
本実施形態に係る無線ネットワークシステム10は、末端ノード1と、基地局ノード2と、中継ノード3(3a、3b、3c)とを備えている。図1に示す例では、中継ノード3が3つ設けられているが、本発明はこれに限るものではなく、1つ以上の中継ノード3が設けられていれば良いし、各無線ネットワークシステム10a〜10cに異なる数の中継ノード3が設けられていてもよい。また、基地局ノード2が中継ノード3の機能を兼ねる場合(この場合、無線ネットワークシステム10は、実際には末端ノード1と基地局ノード2のみを備えることになる)であってもよい。
【0019】
図2(b)に示すように、末端ノード1は、安否確認対象者が押下するためのボタン11と、ボタン11の押下によって得られたデータに対して各種の演算処理を実行する制御部としてのMPU12と、MPU12での演算処理のために時間データを与えるタイマー13と、MPU12からの指示に従って無線による送受信を実行する無線チップ14と、MPU12における演算処理手順を格納するROM15と、MPU12における演算処理のためにデータの授受を実行するRAM16とを備えている。
以上の構成により、末端ノード1は、安否確認対象者がボタン11を押下したという情報を検出し、該検出した情報を無線チップ14によってデータパケットとして外部に無線で送信する機能を奏する。
【0020】
具体的には、図2(a)に示すように、末端ノード1には、安否確認対象者が押下するための3つのボタン11a〜11cが設けられている。例えば、ボタン11aは「緊急」用のボタン、ボタン11bは「挨拶」用のボタン、ボタン11cは「御用聞き」用のボタンであり、各ボタン11の周辺には、安否確認対象者が間違って押下しないように、各ボタン11の意味が文字で表示されている。安否確認者がこれらのボタン11a〜11cのいずれかを押下することで、いずれかを押下したという情報を示すデータパケットが末端ノード1から無線送信される。例えば、ボタン11bを押下したという情報を示すデータパケットが無線送信され、これが管理サーバ20で受信されることにより、自治体等の見守り者は安否確認対象者の安全を確認できる。また、ボタン11a又は11cを押下したという情報を示すデータパケットが無線送信され、これが管理サーバ20で受信されることにより、自治体等の見守り者は安否確認対象者に対し適切な処置を施すことが可能である。なお、ボタン11a及び11cの双方が設けられているのは、処置を施さなければならない緊急度を識別する(ボタン11Aが押下された場合の方が緊急度が高いと識別できる)ためである。
【0021】
末端ノード1は、情報を検出したタイミング(すなわち、ボタン11を押下したタイミング)でデータパケットを送信する第1動作と、情報を検出したタイミングに関わらず所定の時間間隔毎(例えば、5min毎)にデータパケットを送信する第2動作とを実行するように構成されている。
第1動作では、ボタン11a〜11cのいずれを押下したのかという情報を示すデータパケットが送信される。
第2動作では、所定の時間間隔の間に各ボタン11a〜11cを押下した回数の積算値を示すデータパケットが送信される。
【0022】
図2(b)に示すように、中継ノード3は、ボタン11を備えない点を除き、末端ノード1と同様の構成を有する。すなわち、中継ノード3は、MPU12と、タイマー13と、無線チップ14と、ROM15と、RAM16とを備えている。
以上の構成により、中継ノード3は、末端ノード1と基地局ノード2とを無線で中継し、末端ノード1から送信されたデータパケットを無線チップ14によって基地局ノード2に送信する機能を奏する。
【0023】
図2(c)に示すように、基地局ノード2は、中継ノード3と同様に、MPU12と、タイマー13と、無線チップ(第1の無線チップ)14と、ROM15と、RAM16とを備えている。更に、基地局ノード2は、MPU12からの指示に従って無線による送受信を実行する第2の無線チップ21を備える。第1の無線チップ14は、中継ノード3又は末端ノード1との間におけるデータパケットの送受信を担い、第2の無線チップ21は、管理サーバ20との間におけるデータパケットの送受信を担う。
以上の構成により、基地局ノード2は、中継ノード3から送信された(末端ノード1から送信された)データパケットを第1の無線チップ14によって受信し、該受信したデータパケットを第2の無線チップ21によって外部に無線で送信する機能を奏する。
【0024】
管理サーバ20は、無線ネットワークシステム10の基地局ノード2から送信されたデータパケットを受信する。図1に示すように複数の無線ネットワークシステム10が存在する場合には、各無線ネットワークシステム10の基地局ノード2からそれぞれ送信されたデータパケットを受信することになる。
【0025】
なお、無線チップ(第1の無線チップ)14が担う無線ネットワークシステム10内での無線送受信(すなわち、末端ノード1、中継ノード3、及び、基地局ノード2の3者間での無線送受信)には、例えば2.4GHz帯を用いたIEEE802.15.4に準拠する無線通信規格を用いることができる。また、第2の無線ネット21が担う基地局2と管理サーバ20との間の無線送受信には、例えばDCR(Digital Convenience Radio)と呼ばれる無線通信方式を用いることができる。
【0026】
以上に説明した構成を有する安否確認システム100は、無線ネットワークシステム10における前述した末端ノード1の第1動作及び第2動作によるデータパケットの送受信が失敗した場合(末端ノード1の第2動作によって送信されたデータパケットが基地局ノード2で受信されなかった場合)の動作に最も大きな特徴を有する。
すなわち、末端ノード1の第2動作によって送信されたデータパケットが基地局ノード2で受信されなかった場合、末端ノード1は、データパケットを再送信すると共に、末端ノード1から基地局ノード2までデータパケットを送信する経路を再探索する。一方、末端ノード1の第1動作によって送信されたデータパケットが基地局ノード2で受信されなかった場合、末端ノード1は、末端ノード1から基地局ノード2までデータパケットを送信する経路を再探索せずに、データパケットを再送信するのみである。
以下、この特徴点について詳述する。
【0027】
図1に示す無線ネットワークシステム100において、末端ノード1から基地局ノード2までデータパケットを送信する経路が、末端ノード1、中継ノード3a、中継ノード3b、基地局ノード2の順を辿るものであったと仮定する。無線ネットワークシステム10においてデータパケットの送受信が失敗する場合、上記の例では、以下の3つのケースが考えられる。
(i)末端ノード1と中継ノード3aとの間のデータパケットの送受信が失敗するケース。
(ii)中継ノード3aと中継ノード3bとの間のデータパケットの送受信が失敗するケース。
(iii)中継ノード3bと基地局ノード2との間のデータパケットの送受信が失敗するケース。
本明細書では、主として上記の(i)のケースを例に挙げて説明する。
【0028】
第1動作及び第2動作のいずれの場合も、末端ノード1から中継ノード3aに対してデータパケットを送信する。中継ノード3aで正常にデータパケットを受信した場合、中継ノード3aは末端ノード1に対してAcknowledge信号(以下、Ackと称する)を送信する。末端ノード1は、Ackを受信した時点で中継ノード3aに対するデータパケットの送信が成功したとみなす。
一方、一定のタイムアウト時間(例えば数msec)内にAckを受信できなかった場合には、中継ノード3aに対するデータパケットの送信が失敗したとみなし、末端ノード1は、データパケットを再送信する。データパケットの再送信は、第1動作でのデータパケットの送受信が失敗した場合も、第2動作でのデータパケットの送受信が失敗した場合も、同様に実行する。また、上記の(ii)のケースでは中継ノード3a、3bの間で、上記の(iii)のケースでは中継ノード3bと基地局ノード2との間で、それぞれ同様の動作を実行することになる。
一定回数(例えば10回以下程度)のデータパケットの再送信を繰り返してもAckを受信できなければ、第2動作の場合についてのみ、末端ノード1から基地局ノード2までデータパケットを送信する経路を再探索することになる。以下、この経路の再探索方法について、主として末端ノード1の親ノードを探索する方法を例に挙げて説明する。
【0029】
図3は、図1に示す無線ネットワークにおける経路の再探索方法の一例を説明するタイムチャートである。
図3に示すように、中継ノード3a〜3cは、それぞれ一定の時間間隔(例えば60sec)でルーティング(RTE)パケットを送信している。このRTEパケットには、当該RTEパケットを送信している中継ノード3自体の情報として、当該中継ノード3の親ノードとなっている中継ノード3の識別子、基地局ノード2との間の通信品質を表すパラメータ(基地局ノード2との間の通信コスト)、基地局ノード2までのホップ回数(何回の中継を必要とするか)などが含まれている。また、RTEパケットには、当該RTEパケットを送信している中継ノード3の周辺に位置する中継ノード3(以下、これらのノードを周辺ノードという)の情報として、周辺ノードの識別子、周辺ノードとの間の通信品質を表すパラメータ(周辺ノードとの間の通信コスト)などが含まれている。
【0030】
末端ノード1は、各中継ノード3から送信されたRTEパケットを受信することにより、末端ノード1の周辺に位置する親ノードの候補を取得することができる。複数の中継ノード3からRTEパケットを受信した場合(図3に示す例では、全ての中継ノード3a〜3cからRTEパケットを受信している)、末端ノード1は、RTEパケットを受信した中継ノード3のうち最も良好な通信が可能であると考えられる中継ノード3を選択し、自らの親ノードとして設定する。具体的には、末端ノード1は、末端ノード1と中継ノード3との間の通信コスト(これは末端ノード1自体が情報として保有している)と、中継ノード3と基地局ノード2との間の通信コストとを加算し、その値が最も小さくなる中継ノード3を自らの親ノードとして設定する。
【0031】
図3に示す例では、末端ノード1が周辺に位置する全ての中継ノード3から送信されたRTEパケットを受信できるように、RTEパケットが送信される時間間隔(例えば60sec)+α(例えば10sec)の間、受信状態で待機する。末端ノード1は、その後、上述のように親ノードを選択し、この親ノードに対して接続確認のパケットを送信する。以上の動作によって、末端ノード1の親ノードの探索が完了する。
なお、上記のようにして末端ノード1の親ノードとして設定された中継ノード3と、他の中継ノード3又は基地局ノード2との間の経路の再探索も同様の手順で実行される。ただし、各中継ノード3は、経路を再探索するときにのみRTEパケットを受信する状態となる末端ノード1と異なり、定期的にRTEパケットを送信及び受信している。このため、各中継ノード3は、経路を再探索するときに改めてRTEパケットを受信する動作は実行せず、再探索前に親ノードにしていた中継ノード3又は基地局ノード2の次に通信コストの小さい中継ノード3又は基地局ノード2を親ノードとして選択することになる。
【0032】
図4は、図1に示す無線ネットワークにおける経路の再探索方法の他の例を説明するタイムチャートである。
図3に示す例では、末端ノード1が各中継ノード3から一定の時間間隔で送信されるRTEパケットを受信することで、末端ノード1の周辺に位置する親ノードの候補を取得するのみである。しかしながら、図4に示すように、末端ノード1からRTEパケットの送信を要求するRTE要求を送信し、これを受信した中継ノード3から送信されるRTEパケットを受信することで、末端ノード1の周辺に位置する親ノードの候補を取得する方法を採用することも可能である。親ノードの候補を取得してからの動作は、図3に示す例と同様であり、親ノードを選択し、この親ノードに対して接続確認のパケットを送信することで、末端ノード1の親ノードの探索が完了する。
図4に示す方法によれば、短時間で周辺に位置する全ての中継ノード3から送信されたRTEパケットを末端ノード1が受信できるため、図3に示す方法に比べて末端ノード1の消費電力が低減する点で好ましい。
【0033】
以上に説明したように、本実施形態に係る無線ネットワークシステム10によれば、末端ノード1から送信したデータパケットが基地局ノード2で受信されなかった場合(データパケットの送受信が失敗した場合)に、第1動作及び第2動作の双方で経路を再探索するのではなく、第2動作でのみ経路を再探索することになる。従って、末端ノード1など各ノードの消費電力を低減することが可能である。
また、本実施形態に係る安否確認システム100によれば、管理サーバ20を管理する自治体等の見守り者は、末端ノード1から管理サーバ20に送信された安否確認対象者の安否情報を確認することができる。また、本実施形態に係る安否確認システム100によれば、前述した無線ネットワークシステム10の利点が活かされる。すなわち、各ノードの消費電力を低減することが可能であるため、高齢者等の安否確認対象者が電池を交換する頻度が少なくなり手間を軽減することが可能である。また、一瞬の電波状況の悪化でデータパケットの送受信が失敗した場合には、電波状況が回復すればすぐに第1動作を実行できるため、安否確認対象者にとって使い勝手が良く、緊急性のある情報が送信できなくなるといった事態が生じることもない。
【符号の説明】
【0034】
1・・・末端ノード
2・・・基地局ノード
3,3a,3b,3c・・・中継ノード
10,10a,10b,10c・・・無線ネットワークシステム
20・・・管理サーバ
100・・・安否確認システム
図1
図2
図3
図4
図5