【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明者は、各種の情報を検出し、該検出した情報をデータパケットとして外部に無線で送信する末端ノードと、前記データパケットを受信し、該受信したデータパケットを外部に無線で送信する基地局ノードと、末端ノードと基地局ノードとを無線で中継し、末端ノードから送信されたデータパケットを基地局ノードに送信する中継ノードとを備えた無線ネットワークシステムを検討した。
末端ノードには、例えば、安否確認対象者が押下するためのボタンを設ける。安否確認対象者がこのボタンを押下することで、ボタンを押下したという情報(検出した情報に相当)が末端ノードからデータパケットとして無線送信され、中継ノードを介して、基地局ノードで受信されることになる。基地局ノードは、この受信したデータパケットを外部に無線送信するため、例えば見守り者が管理する管理サーバでこれを受信すればよい。このような無線ネットワークシステムを用いれば、管理サーバを管理する自治体等の見守り者は、安否確認対象者の安否を確認することができる。
【0008】
ここで、本発明者は、安否確認のために上記の無線ネットワークシステムを用いる場合、末端ノードが検出した情報をデータパケットとして送信するタイミングとしては、以下の(1)及び(2)の2つのケースを設けることが肝要であると考えた。
(1)情報を検出したタイミング(不定期)でデータパケットを送信する。具体的には、例えば、末端ノードに設けられたボタンを安否確認対象者が押下したときに、押下したという情報を示すデータパケットを送信する。
(2)所定の時間間隔毎(定期的)にデータパケットを送信する。例えば、所定の時間間隔毎に、この時間間隔の間に末端ノードに設けられたボタンを押下した回数の積算値を示すデータパケットを送信する。
上記(1)のケースを設けるのは、安否確認対象者の動作(例えば、ボタンの押下)を直ちに基地局ノード、ひいては管理サーバに通知するためである。
一方、上記(2)のケースを設けるのは、無線ネットワークシステムを構成する各ノードの動作を確認する(正常にデータパケットの送受信が行われるか否かを確認する)ためである。また、例えば、所定の時間間隔毎に送信された積算値(ボタンを押下した回数の積算値)を比較することで、送受信を失敗して親ノードに正常に通知されなかったボタン押下を検出する(積算値では差があるのに、ボタンを押下したことにはなっていない場合等)ためでもある。
【0009】
上記(1)及び(2)のケースの双方で、データパケットの送受信が失敗した場合、すなわち末端ノードから送信されたデータパケットが基地局ノードで受信されなかった場合には、この種の無線ネットワークシステムで一般的に行われているように、(a)末端ノードからデータパケットを再送信することと、(b)末端ノードから基地局ノードまでデータパケットを送信する経路を再探索する(最も通信品質の良い経路を探索する)ことが考えられる。
上記(a)及び(b)のいずれの動作を実行する場合も、データパケットの複数回の送受信を伴うため、ノードの消費電力が大きくなり電池の寿命を短くする要因となる(
図5(a)参照)。
また、上記(b)の動作を実行すると、動作を実行している最中はデータパケットを送信する経路が確定していないため、データパケットの送受信ができなくなる。データパケットの送受信が失敗する原因が一瞬の電波状況の悪化であり、すぐに状況が回復することも考えられる。しかしながら、すぐに電波状況が回復したとしても、上記(b)の動作を実行中であれば、上記(1)のケースでもデータパケットを送受信できないため、安否確認対象者に使い勝手の悪さを感じさせると共に、緊急性のある情報を送信できなくなるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明者は、更に検討し、無線ネットワークシステムを安否確認のために用いる場合には、少なくとも基地局ノードは安否確認対象者の宅内に1つ設ければ良いと考えられることや、末端ノードや中継ノードの数も少なくて良いと考えられるため、経路の再探索を実行する必要性が低いことに着眼した。
すなわち、データパケットの送受信が失敗した場合に、上記(1)及び(2)のケースの双方で上記(a)及び(b)の動作を実行するのではなく、上記(1)のケースでは上記(a)の動作のみ実行すれば十分であると考えた(
図5(b)参照)。
【0011】
本発明は、上記本発明者の知見に基づき完成したものである。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、各種の情報を検出し、該検出した情報をデータパケットとして外部に無線で送信する末端ノードと、前記データパケットを受信し、該受信したデータパケットを外部に無線で送信する基地局ノードと、前記末端ノードと前記基地局ノードとを無線で中継し、前記末端ノードから送信されたデータパケットを前記基地局ノードに送信する中継ノードとを備え、前記末端ノードは、前記情報を検出したタイミングで前記データパケットを送信する第1動作と、前記情報を検出したタイミングに関わらず所定の時間間隔毎に前記データパケットを送信する第2動作とを実行し、前記末端ノードの前記第2動作によって送信された前記データパケットが前記基地局ノードで受信されなかった場合、前記末端ノードは、前記データパケットを再送信すると共に、前記末端ノードから前記基地局ノードまで前記データパケットを送信する経路を再探索し、前記末端ノードの前記第1動作によって送信された前記データパケットが前記基地局ノードで受信されなかった場合、前記末端ノードは、前記末端ノードから前記基地局ノードまで前記データパケットを送信する経路を再探索せずに、前記データパケットを再送信するのみであることを特徴とする無線ネットワークシステムを提供する。
【0012】
本発明に係る無線ネットワークシステムによれば、末端ノードから送信したデータパケットが基地局ノードで受信されなかった場合(データパケットの送受信が失敗した場合)に、第1動作及び第2動作の双方で経路を再探索するのではなく、第2動作でのみ経路を再探索することになる。
従って、ノードの消費電力を低減することが可能であり、安否確認システムに用いるのに好適な無線ネットワークシステムが提供される。
また、一瞬の電波状況の悪化でデータパケットの送受信が失敗した場合には、電波状況が回復すればすぐに第1動作を実行できるため、使い勝手が良く、緊急性のある情報も送
信可能である。
【0013】
また、前記課題を解決するため、本発明は、安否確認対象者の宅内に配置された前記無線ネットワークシステムと、前記無線ネットワークシステムの前記基地局ノードから送信された前記データパケットを受信する管理サーバとを備え、前記無線ネットワークシステムの前記末端ノードは、安否確認対象者の安否情報を検出することを特徴とする安否確認システムとしても提供される。
【0014】
本発明に係る安否確認システムによれば、管理サーバを管理する自治体等の見守り者は、末端ノードから送信された安否確認対象者の安否情報を確認することができる。
また、本発明に係る安否確認システムによれば、前述した本発明に係る無線ネットワークシステムの利点が活かされる。
すなわち、ノードの消費電力を低減することが可能であるため、高齢者等の安否確認対象者が電池を交換する頻度が少なくなり手間を軽減することが可能である。
また、一瞬の電波状況の悪化でデータパケットの送受信が失敗した場合には、電波状況が回復すればすぐに第1動作を実行できるため、安否確認対象者にとって使い勝手が良く、緊急性のある情報が送信できなくなるといった事態が生じることもない。