【実施例1】
【0011】
図1は、本発明にかかる塗布ガンの実施の形態の一例を示す全体正面図解図である。
図2は、本発明にかかる塗布ガンに適用される混合室の一例および洗浄機構の一例を示す要部断面図解図である。
図3は、
図2に示す混合室の混合室本体の開閉構造の一例を示す図解図であって、
図3の(A)は、混合室本体を開いた状態の展開正面図解図であり、
図3の(B)は、その展開平面図解図である。
図4は、
図3に示す混合室本体を閉じた状態の平面図解図である。
図5は、
図2〜
図4に示す混合室本体の要部分解斜視図解である。
先ず、本実施例1にかかる塗布ガン10の概略について簡単に説明する。
この塗布ガン10は、
図1に示すように、ガン本体12と、ガン本体12の前端部に配設され、主剤となる第1液および硬化剤となる第2液が混合された混合液を霧化して吐出するノズル孔14Aを備えた吐出ヘッド14と、ガン本体12の後端部の近傍から延設され、開口16Aを備えた自由端16を有するハンドル部18と、吐出ヘッド14およびハンドル部18の開口16Aとの間に連通され、開口16Aに供給された加圧された空気(以下、「圧縮空気」という。)を吐出ヘッド14に案内する空気案内通路(
図1では図示せず、
図7の20A,20Bを参照)と、吐出ヘッド14の近傍に着脱自在に装着され、吐出ヘッド14に混合液を導入する混合室22とを含む構成となっている。
【0012】
主剤となる第1液および硬化剤となる第2液は、
図1,
図2および
図7に示すように、混合室22の下方から、それぞれ、第1液および第2液の供給源(図示せず)に接続されたホース等の流路24および26を経由して、混合室22に供給される。混合室22内に供給された第1液および第2液は、混合室22内で混合され、吐出ヘッド14の内部に送られる。また、圧縮空気は、
図1に示すように、ハンドル部18の下方から、コンプレッサ等の圧縮空気供給源(図示せず)に接続されたホース等の流路28を経由して、ハンドル部18の開口16Aに供給される。流路28は、連結具30によりハンドル部18の開口16Aに適宜接続される。
さらに、圧縮空気をハンドル部18の開口16Aから吐出ヘッド14に案内する空気案内通路の途中には、空気案内通路を開く空気弁(図示せず)が配設されている。作動レバーRをガン本体12の後端部側に引く操作に連動して、支点rを枢軸に、作動レバーRが回動されたときに、空気弁が開弁される。この場合、作動レバーRを引くことによって、空気弁が開弁すると略同時に、ニードル弁Nも開弁される。したがって、オペレータが作動レバーRを作動させると、当該開放弁が開いて圧縮空気が空気案内通路を介して吐出ヘッド14内部に案内されると共に、吐出ヘッド14内部から、霧化された混合液がノズル孔14Aからガン本体12の外部に吐出可能となる。吐出ヘッド14の内部は、空気案内通路を介して送られてくる圧縮空気の圧力によって、陰圧状態となっている。また、ノズル孔14の出口近傍は、ノズル孔14から吐出される圧縮空気の圧力によって、陰圧状態となっている。
【0013】
本発明は、特に、第1液および第2液を混合して混合液として吐出ヘッド14に供給する混合室22に特徴を有するものであるため、以下には、混合室22の構造および当該混合室22のガン本体12への取付け構造について、
図1〜
図5等を参照しながら、以下説明する。
混合室22は、たとえば有底円筒状の混合室本体32を含み、混合室本体32は、
図3に示すように、たとえば断面半円で樋状の一対の開閉部材34A,34Bを含む。一対の開閉部材34A,34Bは、その円周方向の一端部34a,34b同士が連接されるように、弾性を有するプラスチック材料および金属材料で一体成形されている。一対の開閉部材34A,34Bの円周方向の一端部34a,34bは、たとえば薄肉に形成され、折り曲げ可能な構造のヒンジ部36を形成するものとなっている。また、一対の開閉部材34A,34Bの円周方向の他端部34c,34dは、たとえば凹凸係合構造、スナップ作用で他端部34c,34d同士が係止する各種スナップ構造によって、あるいは、弾性を有するチューブ状で形成されたハウジング等を被せることによって、一対の開閉部材34A,34Bを閉じた状態に閉塞することが可能となっている。なお、ヒンジ部36の構成としては、一体成形加工によるもの以外にも、屏風蝶番、扉用蝶番、ピン蝶番、ばね蝶番、ナックル継手、自在継手、種々の蝶番および継手構造によりヒンジ部36を形成するようにしてもよい。
【0014】
さらに、一対の開閉部材34A,34Bは、ヒンジ部36による開閉構造を有するもの以外にも、たとえば一対の開閉部材34A,34Bの一端部34a,34bを連接させることなく、分離した状態の構造とし、当該一端部34a,34b同士をたとえば凹凸係合構造、スナップ作用で一端部34a,34b同士が係止する各種スナップ構造により着脱自在に連結する構造としてもよい。この場合、一対の開閉部材34A,34Bは、分割・分離可能な構造を有するものとなる。
【0015】
一方の開閉部材34Aには、
図3の(A),(B)に示すように、開閉部材34Aの軸方向に沿って、多数のたとえば平面視略円形の邪魔板38Aが配設されている。邪魔板38A,・・・,38Aは、それぞれ、開閉部材34Aの半円弧形の内周面に沿うようにして当該開閉部材34Aの内壁面に固着されている。各邪魔板38Aは、開閉部材34Aの軸線方向に対して水平に配置されている。
各邪魔板38Aは、開閉部材34Aの軸線方向に沿って、当該邪魔板38Aの半径方向の一方の第1端が、開閉部材34Aの内壁面35aに固定される半円弧状の固定端40Aとなっている。また、各邪魔板38Aの固定端40Aと反対側の半円弧状部42Aには、その頂端部に、
図3の(A)および
図5に示すように、平面視「コ」字状の切欠き部44Aを有している。この切欠き部44Aの切欠き端縁44aは、第1端と反対側の第2端として形成され、
図2および
図5に示すように、他方の開閉部材34Bの内壁面35bとの間に流路隙間Ga1を形成する自由端44aとなっている。
なお、各邪魔板38Aの固定端40Aと反対側の半円弧状部42の端縁も、固定端40Aに対する自由端であり、上記自由端44aを包含するものである。自由端44aは、他方の開閉部材34Bの内壁面35bとの間に流路隙間Ga1を形成するため、当該自由端44aを特に邪魔板38Aの自由端と呼ぶことにする。
【0016】
また、各邪魔板38Aには、
図3および
図5に示すように、邪魔板38Aの一方主面(上面)に1つの上整流板46Aが配設され、他方主面(下面)に2つの下整流板48Aが配設されている。1つの上整流板46Aおよび2つの下整流板48Aは、それぞれ、矩形状に形成され、邪魔板38Aの上面および下面から、邪魔板38Aに直交する方向(垂直方向)に延設されている。2つの下整流板48Aは、
図3に示すように、邪魔板38Aの半径方向に間隔を隔てて配設され、且つ、1つの上整流板46Aは、
図3の(A)に示すように、たとえば混合室本体32の平面から見て、2つの下整流板48Aの略中央に位置するように配設されている。また、1つの上整流板46Aは、その垂直方向の長さが、2つの下整流板48Aのそれよりも長く形成されている。
【0017】
各上整流板46Aの長手方向の一方端は、
図2,
図3の(A)および
図5に示すように、それぞれ、開閉部材34Aの軸線方向に沿って、開閉部材34Aの内壁面35aに固定される固定端46aとなっている。各上整流板46Aの長手方向の他方端は、それぞれ、他方の開閉部材34Bの内壁面35bとの間に流路隙間Ga2を形成する自由端47aとなっている。さらに、各上整流板46Aの長手方向の他方端には、
図2および
図5に示すように、その垂直方向の下端に側面視L字状の切欠き部50Aを有している。この切欠き部50Aの切欠き端縁50aは、
図2および
図5に示すように、他方の開閉部材34Bの内壁面35bとの間に流路隙間Ga3を形成するものとなっている。
この場合、上記した各邪魔板38Aの切欠き端縁44aと、上記した各上整流板46Aの切欠き端縁50aとで囲繞された部位は、他方の開閉部材34Bの内壁面35bとの間に、流路隙間Ga1および流路隙間Ga3を併せた流路隙間となり、
図3の(B)に示すように、第1液および第2液が混合衝突される混合衝突部52Aを構成するものとなっている。
【0018】
一対の開閉部材34A,34Bを構成する他方の開閉部材34Bも、上記した一方の開閉部材34Aと同様の構造を有している。他方の開閉部材34Bを構成する部材は、上記した一方の開閉部材34Aを構成する部材と同じ構造で同じ名称の部材で形成されている。この場合、一方の開閉部材34Aを構成する各部材の名称の符号には、当該符号の末尾にAまたはaを付し、他方の開閉部材34Bを構成する各部材の名称の符号には、当該符号の末尾にBまたはbを付しており、同じ名称の部材は、同様の構造および作用を有するものである。なお、
図5では、図面が複雑にならないように、便宜上、下整流板48A,48Bを図示していないが、
図5においても、各邪魔板38A,38Bの下面には、それぞれ、2つの下整流板48A,48Bが配設されている。
【0019】
各邪魔板38A,38Bは、
図2,
図3および
図5に示すように、混合室本体32の軸方向に沿って異なる方向に交互に位置ずれして配置されている。
混合室本体32の軸方向で見て隣り合う邪魔板38Aおよび38Bは、所定の間隔を隔てて配置され、邪魔板38Aと邪魔板38Bとは、固定端40A,40Bおよび自由端44a,44bとが相互に反対側に位置するものとなっている。
各邪魔板38A,38B同士は、互いに平行に所定間隔で配置されている。各流路隙間Ga1,Ga2,Ga3およびGb1,Gb2,Gb3の幅は、それぞれ、隣接する邪魔板38A,38Bの垂直方向の配置間隔に対して所定の比率の範囲に設定されている。
【0020】
混合室22は、上記した一対の開閉部材34A,34Bを閉じた状態に閉塞するハウジング54をさらに含む。一対の開閉部材34A,34Bは、特に、
図2に示すように、たとえば弾性を有するチューブ状のハウジング54を被せることによって、閉じた状態に閉塞される。ハウジング54は、その軸方向の一端に、混合室本体32の軸方向の一端側と連通されて、第1液導入口となる第1液導入管56と、第2液導入口となる第2液導入管58とが配設されている。第1液導入管56と第2液導入管58とは、ハウジング54の半径方向に間隔を隔てて配設されている。第1液導入管56は、混合室本体32の最下層の邪魔板38Aの下方に、第2液導入管58は、当該邪魔板38Aの固定端40A付近の下方に配設される。第1液導入管56および第2液導入管58には、それぞれ、流路24および26が取り付けられる。
【0021】
第1液導入管56および第2液導入管58には、それぞれ、混合室本体32側の開口端を開放および閉鎖する逆止弁60および62が配設されている。逆止弁60および62は、それぞれ、通常、開口端を閉鎖して閉弁状態となり、そして、流路24および26を介して、第1液および第2液の供給源(図示せず)から、第1液および第2液が供給されたときに、逆止弁60および62は、それぞれ、開口端を開放して開弁状態となるように形成されている。
また、ハウジング54の軸方向の他端には、混合室本体32の軸方向の他端側と連通され、混合液導出口としての混合液導出管64が配設されている。混合液導出管64は、混合室本体32の軸方向の上部に配置されている。この混合液導出管64を介して、上記混合室本体32内部で混合された第1液および第2液の混合液が吐出ヘッド14に導出される。
上記したような構造を有する混合室22は、ガン本体12に着脱自在に取り付けられる。ガン本体12と混合室22の着脱自在の接続構造としては、ネジ面による螺合接続構造、凹凸部の係止による接続構造、スナップ作用で接続部位に係止する接続構造、その他の種々の接続構造が採用され得るが、シール面の観点から、ネジによる接続構造が好ましい。
【0022】
次に、本実施例1に適用される洗浄機構66の一例について、
図1および
図2を参照しながら、以下説明する。洗浄機構66は、ハウジング54の軸方向の一端側に配設される洗浄空気導入口としての洗浄空気導入管68を含む。洗浄空気導入管68は、混合室本体32の軸方向の一端側と連通されている。洗浄空気導入管68は、ハウジング54の半径方向の一端部で、且つ、第1液導入管56の近傍に配設されている。洗浄空気導入管68には、ホース等の洗浄空気流路70が接続される。洗浄空気流路70は、その一端が、吐出ヘッド14に圧縮空気を案内する空気案内通路20Bと連通され、その他端が洗浄空気導入管68に接続されている。
この場合、洗浄空気流路70の一端には、空気案内通路20Bとの接続部に、たとえば切換弁等の方向制御弁72が配設されている。そして、洗浄レバー74の切り換え操作により、空気案内通路20Bから圧縮空気が洗浄空気流路70を介して、混合室本体32内へ供給されるように形成されている。
洗浄空気導入管68には、混合室本体32側の開口端を開放および閉鎖する逆止弁76が配設されている。逆止弁76は、上記した第1液導入管56および第2液導入管58の逆止弁60および62が開弁状態のときは、開口端を閉鎖して閉弁状態となり、そして、逆止弁60および62が閉弁状態のときに、開口端を開放して開弁状態となるように形成されている。
本実施例1において、上記した構造の洗浄機構66により混合室22の混合室本体32内を洗浄する場合には、逆止弁60および62を閉弁状態とし、混合室本体32内への第1液および第2液の供給を停止させ、次に、洗浄レバー74を
図1に示すように引いて方向制御弁72を洗浄モードに切り換え、圧縮空気を空気案内通路20Bから洗浄空気流路70を介して混合室本体32内へ供給する。このとき、逆止弁76は、開弁状態となり、洗浄空気導入管68の混合室本体32側の開口端が開放される。混合室本体32内に供給された圧縮空気は、混合室本体32内を洗浄しながら通過し、混合液導出管64を介して吐出ヘッド14内に送られ、ノズル孔14Aから、混合液の残渣等と共にガン本体12の外部へ排出される。
【0023】
上述した本実施例1では、混合室本体32内に、複数の邪魔板38A,38Bを当該混合室本体32の軸方向に沿って、異なる方向に、交互に位置ずれするように配置することで、蛇行流路が形成される。この場合、混合室本体32内の流路隙間Ga1,Ga2,Ga3,Gb1,Gb2,Gb3は、それぞれ、第1液および第2液の流れの向きが変更される方向転換部位としての機能を有し、つまり、蛇行流路の蛇行部としての機能を有する。そのため、混合室本体32内部を流れる第1液および第2液の流路長さを長くすることができる。第1および第2液は、混合室本体32の軸方向に沿って、主として、各混合衝突部52A,52Bを中心に衝突混合され、また、流路隙間Ga2,Gb2でも衝突混合される。さらに、各邪魔板38A,38B間でも混合される。
本実施例1では、特に、
図2に示すように、混合室本体32の内部において、第1液および第2液が、混合衝突部52Aないし52Bで衝突混合され、上整流板46Aないし46Bの長手方向に沿って、邪魔板38Aないし38Bの半径方向(たとえば
図2で見て、左右方向)に流れ、さらに上の段の混合衝突部52Aないし52Bで衝突混合され、上整流板46Aないし46Bの長手方向に沿って、邪魔板38Aないし38Bの半径方向に流れていくことを繰り返しながら、混合室本体32内を当該混合室本体32の軸方向の一端部(下部)から軸方向の他端部(上部)へと送られていく。そのため、混合室本体32内部に導入された第1液および第2液は、より一層、均一に且つ十分に撹拌混合された後、混合液として混合液導出管64から吐出ヘッド14内に供給される。
【0024】
そのため、混合室本体32内部に導入された第1液および第2液は、蛇行流路を流れる間に、均一に且つ十分に撹拌混合された後、混合液として混合液導出管64から吐出ヘッド14内に供給される。吐出ヘッド14内では、混合室22から供給された混合液と、空気案内通路20A,20Bから移送されてきた圧縮空気と混合されて霧化された後、ノズル孔14Aから塗布対象物(図示せず)に吐出・噴霧される。この場合、均一に撹拌混合された第1液および第2液(混合液)は、塗布対象物に均一な性質の塗膜を形成することができる。したがって、製品の歩止まりも向上させることができる。
【0025】
さらに、混合室22は、着脱自在にガン本体12に装着される構造を有し、且つ、混合室本体32が、開閉可能な構造を有するため、混合室22をガン本体12から取外した後、混合室本体32の一対の開閉部材34A,34Bを開閉することによって、混合室本体32内を容易に洗浄することができる。したがって、本実施例1では、たとえば従来のようにガン本体12全体を分解した後、2液が通過する通路を洗浄する等の複雑な手間のかかる操作を要することなく、簡便な操作により混合室22だけを簡単に洗浄することができる。
【0026】
なお、上記した本実施例1において、たとえば
図6に示すように、各邪魔板38Aの上面の上整流板46Aの両側(当該邪魔板38Aの半径方向の両側)に、間隔を隔てて、他の上整流板78Aを1つずつ配設するようにしてもよい。同様に、各邪魔板38Bの上面の上整流板46Bの両側にも、このような上整流板78B(図示せず)が配設される。この場合、混合室本体32内部に導入された第1液および第2液は、さらにより一層、均一に且つ十分に撹拌混合されるものとなる。この上整流板は、1つに限定されることなく、1つ以上配設するようにしてもよい。
【0027】
図7は、本発明にかかる塗布ガンに適用される洗浄機構の他の例を示す要部断面図解図である。この洗浄機構では、たとえば
図2に示した洗浄機構と比べて、特に、洗浄空気導入管68が混合室本体32の軸方向の一端側で、且つ、その半径方向に対向する位置にも他の洗浄空気導入管68が配設されている点で相違する。すなわち、混合室本体32の反径方向に対向する2つの箇所から、洗浄用空気が当該混合室本体32の内部に供給される構成となっている。この場合、
図2に示す洗浄機構と比べて、より一層、混合室本体32内部の洗浄効果を向上させることができる。
【0028】
なお、
図2および
図7に示す洗浄機構では、洗浄空気導入管68が第1液導入管56の近傍に配設されているが、それに限定されるものではなく、たとえば
図8に示すように、洗浄空気導入管68は、第1液導入管56および第2液導入管58から離れた部位に配設するようにしてもよい。この場合、第1液導入管56および第2液導入管58も、
図2に示すものと比べて、混合室本体32の半径方向に見て接近した位置に配設されている。
【実施例2】
【0029】
図9は、本発明にかかる塗布ガンの実施の形態の他の例を示す全体斜視図解図であり、
図10は、
図9に示す塗布ガンに適用される混合室の要部分解斜視図解図である。
図11は、
図9および
図10に示す混合室の要部断面図解図であって、
図11の(A)は、その縦断面図解図であり、
図11の(B)は、その横断面図解図である。
本実施例2は、上述した実施例1と比べて、特に、混合室22の構造が相違するため、以下には、本実施例2に適用される混合室22について説明する。
混合室22は、
図10および
図11に示すように、たとえば有底円筒状の混合室本体80を含む。混合室本体80の軸方向の一端面82(以下、底面82という。)には、実施例1と同様に、第1液導入管56および第2液導入管58が配設されている。混合室本体80は、その軸方向の他端側の外周面に、たとえば雌ネジ部80Aを有する。混合室本体80の内壁面80Bには、混合室本体80の軸方向に間隔を隔てて、たとえば平面視円形で環状の邪魔板80Cが配設されている。邪魔板80Cは、混合室本体80の内壁面80Bに沿って形成されている。混合室本体80の底面82には、たとえば円筒状の内筒84が起立した状態で連接される。内筒84は、その軸方向の一端が混合室本体80の底面82の略中央に連接されている。この内筒84は、混合室本体80の内壁面80Bと間隔を隔てて、混合室本体80の内側に配設される。
【0030】
混合室本体80の軸方向の他端側には、
図10に示すように、たとえばキャップ状の蓋体86が着脱自在に嵌装される。蓋体86の内周面には、上記した雌ネジ部80Aと螺合可能な雄ネジ部86Aが形成されている。混合室本体80と蓋体86とは、雌ネジ部80Aと雄ネジ部86Aとが螺合されることで接続されているため、取り外し自在の接続構造となっている。蓋体86の外周面には、当該蓋体86を把持する際に滑り止めの機能を有し、操作し易くするための多数のリブ条面86Bが形成されている。また、蓋体86には、混合液導出管64と連接される導管88が配設される。導管88は、内筒84の内壁面84Aと間隔を隔てて当該内筒84の内側に配置されるように、蓋体86の略中央を貫設して形成されている。
【0031】
混合室本体80および内筒84間には、
図10および
図11に示すように、間隔を隔てて撹拌ロータ90が配置されている。撹拌ロータ90は、ロータ軸部92を含み、ロータ軸部92の外周面には、放射方向に延びる複数の撹拌羽根94が間隔を隔てて配設されている。撹拌ロータ90は、ロータ軸部92を回転させる回転手段96により回転駆動自在となる。回転手段96は、本実施例2の洗浄機構の機能をも併せ持つものであるため、ここでは、回転手段96を洗浄機構96と読み替えて、説明する。
【0032】
すなわち、洗浄機構96は、洗浄空気導入口としての洗浄空気導入管98を含む。洗浄空気導入管98は、混合室本体80の軸方向の他方部側(上部側)の周面部の一部に配設される。洗浄空気導入管98は、混合室本体80内部と連通されている。洗浄空気導入管98には、ホース等の洗浄空気流路100が接続される。洗浄空気流路100は、
図11に示すように、その一端が、吐出ヘッド14に圧縮空気を案内する空気案内通路20Bと連通され、その他端が洗浄空気導入管98に接続されている。
【0033】
この場合、洗浄空気流路100の一端には、空気案内通路20Bとの接続部に、たとえば切換弁等の方向制御弁102が配設されている。そして、洗浄レバー(図示せず)の切り換え操作により、空気案内通路20Bから圧縮空気が洗浄空気流路100を介して、混合室本体80内へ供給されるように形成されている。また、洗浄空気流路100の中間部には、洗浄空気導入管98の開口端98aを開放および閉鎖する逆止弁104が配設されている。逆止弁104は、圧縮空気の圧力により、上記した撹拌ロータ90のロータ軸部92を回転させる場合、または、混合室本体80内を洗浄する場合に、開口端を開放して開弁状態となり、第1液および第2液の圧送圧力により、上記した撹拌ロータ90のロータ軸部92を回転させる場合に、開口端を閉鎖して閉弁状態となるように形成されている。すなわち、本実施例2では、第1液導入管56から導入される第1液と第2液導入管58から導入される第2液、および、空気案内通路20Bから導入される圧縮空気によって、撹拌ロータ90を回転させることができる構成となっている。
【0034】
本実施例2では、第1液および第2液が、それぞれ、第1液導入管56および第2液導入管58から混合室本体80内部に導入される。第1液および第2液は、撹拌ロータ90の撹拌羽根94の回転により撹拌混合されながら、先ず、混合室本体80の内壁面80Bと内筒84の外壁面84Bとの間を、混合室本体80の軸方向に沿って、その一端側から他端側に流れていく。
次に、第1液および第2液は、混合室本体80の軸方向の他端側で流れの向きが方向変換された後、内筒84の内壁面84Aと導管88の外壁面88Aとの間を混合室本体80の軸方向に沿って、その他端側から一端側に流れていく。さらに、第1液および第2液は、混合室本体80の軸方向の一端側で流れの向きが方向変換された後、導管88内を混合室本体80の軸方向に沿って、その一端側から他端側に流れていく。そして、第1液および第2液は、混合液導出管64を経由して吐出ヘッド14内へと流れていく。
【0035】
この場合、第1液および第2液は、流れの向きが変更される上記した2箇所の方向変換部位、つまり、流れが蛇行する部位で衝突混合されることによって、より一層、撹拌混合される。そのため、混合室本体80内部に導入された第1液および第2液は、蛇行流路を流れる間に、均一に且つ十分に撹拌混合された後、混合液として混合液導出管64から吐出ヘッド14内に供給される。
本実施例2において、上記した構造の洗浄機構96により混合室22の混合室本体80内を洗浄する場合には、既に上記した実施例1と同様に、逆止弁60および62(
図11では図示せず)を閉弁状態とし、混合室本体80内への第1液および第2液の供給を停止させ、次に、洗浄レバー74(
図11では図示せず)を
図1に示すように引いて方向制御弁72(
図11では図示せず)を洗浄モードに切り換え、圧縮空気を空気案内通路20Bから洗浄空気流路100を介して混合室本体80内へ供給する。このとき、
図9および
図11に示す、逆止弁104は、開弁状態となり、洗浄空気導入管98の混合室本体32側の開口端98aが開放される。混合室本体80内に供給された圧縮空気は、混合室本体80内を洗浄しながら通過し、混合液導出管64を介して吐出ヘッド14内に送られ、ノズル孔14Aから、混合液の残渣等と共にガン本体12の外部へ排出されるものとなる。