特許第6064281号(P6064281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6064281気体浄化装置及び該気体浄化装置を利用する気体浄化システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6064281
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】気体浄化装置及び該気体浄化装置を利用する気体浄化システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 47/02 20060101AFI20170116BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   B01D47/02 Z
   F24F7/06 101A
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-12727(P2013-12727)
(22)【出願日】2013年1月26日
(65)【公開番号】特開2014-144385(P2014-144385A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】515269040
【氏名又は名称】合同会社クスノキ
(74)【代理人】
【識別番号】100158702
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】楠 信行
(72)【発明者】
【氏名】楠 直美
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−155138(JP,A)
【文献】 実開平3−047020(JP,U)
【文献】 特開平6−315605(JP,A)
【文献】 特開昭51−148867(JP,A)
【文献】 特開2005−095859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 47/02
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部を有する第一の筒状部材、及び前記底部の中央に立設され該底部の中央に形成される開口から気体を吸入する吸気筒を有し、前記第一の筒状部材と前記吸気筒との間に液体を貯留する浄化装置本体と、
頂部を有する第二の筒状部材であって、前記浄化装置本体内に同心状に配設されて、前記吸気筒との間に第一の空間、前記第一の筒状部材との間に第二の空間をそれぞれ形成し、前記吸気筒上端との間に形成される空間を介して前記吸気筒内と前記第一の空間を連通させるとともに、前記第一の筒状部材の底部側に形成される開口を介して前記第一の空間と前記第二の空間を連通させる案内部材と、
多数の小孔を有する板状部材であって、前記第二の空間内に配設されるバブリング部材と、を備える気体浄化装置であって、
前記第二の空間を周方向に複数の領域に仕切る仕切部材をさらに備え、
前記第二の空間は、前記第一の筒状部材の底部側に形成される開口を介して前記第一の空間と連通する浄化領域と、前記第一の空間と前記浄化領域とを連通させる開口よりも高さの低い開口を介して前記第一の空間及び/又は前記浄化領域と連通する非浄化領域に区画されるとともに、前記浄化領域に前記バブリング部材が配設されてなり、
前記浄化装置本体内に上方から作用する負圧により、前記吸気筒から気体を吸入し、該吸入した気体を前記第一の空間において前記液体中に導入し、該液体中に導入した気体を前記第一の空間と前記第二の空間を連通させる開口から前記第二の空間の浄化領域に移動させ、前記第二の空間の浄化領域に移動した気体を、前記液体中において前記バブリング部材の小孔を通過させ、バブリングさせて浄化する気体浄化装置。
【請求項2】
中央に開口が形成されるとともに外周側に給液部が形成される頂部、及び前記頂部中央の下方に設けられる筒状の気液分離部を有し、前記気液分離部の下端が前記案内部材の頂部上面に当接するとともに前記給液部が前記第二の空間の非浄化領域に位置する状態で前記浄化装置本体内に同心状に配設されて、前記頂部により前記第一の筒状部材の上部開口を閉鎖する蓋部材、をさらに備え、
前記浄化した気体を、前記蓋部材の気液分離部を通過させ、液体と分離して前記蓋部材の頂部中央に形成される開口から外部へ排出する一方、前記給液部から前記非浄化領域に液体を給液する請求項1記載の気体浄化装置。
【請求項3】
前記給液部は、前記気液分離部の外周に沿って形成され、給液用の液体を貯留する給液用凹部からなる請求項2記載の気体浄化装置。
【請求項4】
前記非浄化領域に液位検知手段を設け、該液位検知手段による液位の検知に基づいて、前記第二の空間内における液体の液位が前記バブリング部材よりも上方位置となるよう前記非浄化領域に前記液体を給液する請求項1乃至3の何れか一項記載の気体浄化装置。
【請求項5】
前記蓋部材の気液分離部は、前記頂部下面に対し下向きに筒状に配設される複数の板状部材を有し、隣接する前記板状部材間に間隙を形成してなり、同心状に複数列をなすとともに当該各列内の隣接する板状部材間の間隙が平面視において千鳥状の配置となるよう前記板状部材を配設したものであって、
前記板状部材は、平面視においてV字形断面であり、内側の列においてはV字が外側に開き、外側の列においてはV字が内側に開く向きで二列に配設される請求項2乃至4の何れか一項記載の気体浄化装置。
【請求項6】
前記案内部材の頂部上面に、当該案内部材の外方向に向けて下向きに傾斜する傾斜部を設け、前記気液分離部を通過した液体であって前記案内部材の頂部上面に付着する液体を前記外方向に向けて移動させ、前記第二の空間に還流させる請求項2乃至5の何れか一項記載の気体浄化装置。
【請求項7】
前記第一の空間と前記第二の空間を連通させる開口は、前記案内部材と前記第一の筒状部材の底部との間に形成される請求項1乃至6の何れか一項記載の気体浄化装置。
【請求項8】
排気ダクトと、装着枠と、を備える気体浄化システムであって、
前記装着枠は、開口を有する底板、前記請求項1乃至7の何れかに記載の気体浄化装置を着脱自在に装着可能とする開口を有する側板、前記排気ダクトに連通する開口を有する天板、を有してなり、
前記装着枠に前記何れかの気体浄化装置を装着し、前記排気ダクト側から前記気体浄化装置内に負圧を作用させることで、前記装着枠の底板の開口を通して前記気体浄化装置内へ気体を吸入し、前記気体浄化装置内で浄化した気体を、前記装着枠の天板の開口を通して前記排気ダクトから排出する気体浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油分等の不純物を含む気体を清浄化する気体浄化装置及び該気体浄化装置を利用する気体浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油分等の不純物を含む排煙、例えばフライ食品調理器(フライヤー)等の厨房設備から発生する油煙等を捕集して屋外に排出する装置が知られている。
ところが、当該装置は、排煙中に含まれる気化した油分や塵埃等の不純物が、フードや排気ダクト内等に大量に付着し、不衛生であるとともに火災時の延焼を引き起こす原因となる問題がある。
また、当該装置は、排煙を直接屋外に排出するため、臭気が拡散し、周囲の環境を汚染する問題がある。
【0003】
そこで、排煙中に含まれる油分等の不純物を除去する装置が提案されている(特許文献1,2参照。)。
【0004】
特許文献1には、排気用ファンを備えた排気ダクトに連通すると共に周囲に対して閉鎖空間を形成している筒状枠と、この筒状枠の底部を構成する穴あきプレートと、この穴あきプレートの下側に配置した液槽と、上記筒状枠から液槽内へ向かって上記穴あきプレートの配置位置よりも下方へ延伸し、液槽内へ進入しているバッフルプレートとを有し、このバッフルプレートの下縁が液槽に入れられた液体の内部に浸漬するか或いは液面に略接触する程度にバッフルプレートの位置調節を行うと共に穴あきプレートとバッフルプレートと液面との間で閉鎖空間を形成する排気装置が記載されている。
【0005】
また、上記特許文献1には、前記排気用ファンを作動して筒状枠内閉鎖空間に負圧を発生させると共にこの負圧を穴あきプレートを介して穴あきプレート下部閉鎖空間に及ぼし、この負圧によってバッフルプレート内側の液槽内液位を上昇させると共に、バッフルプレート下縁を通して筒状枠周囲の排煙をバッフルプレート内部へ引き込み、引き込まれ且つ筒状枠内閉鎖空間へ吸引される排煙流によりバッフルプレート内側の液体の泡立ちを発生させ、泡立って飛散する液滴を筒状枠内閉鎖空間内の負圧によって穴あきプレートの穴を通して穴あきプレートの上部へ引き上げて穴あきプレート上に液体の層をもたらし、同時に穴あきプレートの穴を通して吸引される排煙を穴あきプレート上の液体内を潜らせ、その際、排煙流によって液体の泡立ちを発生させながら液体との積極的な接触をもたらし、この接触により排煙から油脂分を取り除き、浄化排気を排気ダクトへ送ること、が記載されている。
【0006】
上記特許文献1に記載された装置によれば、排煙中に含まれる油脂分等をある程度除去することが期待できる。
しかしながら、上記特許文献1に記載された装置は、排煙がバッフルプレートの下縁を通過する際に液体を押しのけ液柱を吹き上げることになり、排煙と液体との接触面積が少なくなる。
【0007】
また、上記特許文献1に記載された装置は、前記排煙流の働きによって前記液槽内の液体が前記穴あきプレート上に揚液されることとなるが、前記穴あきプレート上における液層の分布は一様でなく、排煙の経路が偏りを生じ易いため、前記穴あきプレート上における液体の泡立ちの発生が不十分であり、排煙と液体との接触面積も十分といえるものではない。
【0008】
したがって、上記特許文献1に記載された装置は、排煙中に含まれる油脂分等を十分に除去することができず、該油脂分等がガラリや前記筒状枠内面に付着するため、これらを洗い落とすための洗浄ノズルを設ける必要があり、装置の構造が複雑化する問題がある。
【0009】
一方、特許文献2には、汚染空気が導入される吸気室と下端が連通口で連通されたバブル室を設け、連通口に沿ってバブル室側に突出して空気誘導板を設け、空気誘導板の上方に多数の小孔を有するバブリング板部材を設けてなる空気浄化装置が記載されている。
【0010】
特許文献2に記載された装置は、汚染空気が水を通過する際にバブル室で水柱を吹き上げることがない。また、特許文献2に記載された装置は、水中に位置するバブリング板部材の全面から多数の小径の気泡を発生させると同時に、水を微細化して霧状に飛散させることで、前記汚染空気と水の接触面積を増大させることができ、汚染空気中に含まれる油分等の不純物を除去するとともに、装置の汚損を抑制することができる。
【0011】
しかしながら、特許文献2に記載された装置は、箱状体の浄化槽を備え、該浄化槽に前記吸気室とバブル室等を二槽以上の構造で並べて配置するものであり、装置全体が大型化する問題がある。
【0012】
【特許文献1】特開2002−126433号公報
【特許文献2】特許第4336890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、気体中に含まれる油分等の不純物を除去することができ、コンパクトで取り扱いが容易な気体浄化装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、気体中に含まれる油分等の不純物を除去することができ、コンパクトで取り扱いが容易な気体浄化装置を利用する気体浄化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は、
底部を有する第一の筒状部材、及び前記底部の中央に立設され該底部の中央に形成される開口から気体を吸入する吸気筒を有し、前記第一の筒状部材と前記吸気筒との間に液体を貯留する浄化装置本体と、
頂部を有する第二の筒状部材であって、前記浄化装置本体内に同心状に配設されて、前記吸気筒との間に第一の空間、前記第一の筒状部材との間に第二の空間をそれぞれ形成し、前記吸気筒上端との間に形成される空間を介して前記吸気筒内と前記第一の空間を連通させるとともに、前記第一の筒状部材の底部側に形成される開口を介して前記第一の空間と前記第二の空間を連通させる案内部材と、
多数の小孔を有する板状部材であって、前記第二の空間内に配設されるバブリング部材と、を備える気体浄化装置であって、
前記第二の空間を周方向に複数の領域に仕切る仕切部材をさらに備え、
前記第二の空間は、前記第一の筒状部材の底部側に形成される開口を介して前記第一の空間と連通する浄化領域と、前記第一の空間と前記浄化領域とを連通させる開口よりも高さの低い開口を介して前記第一の空間及び/又は前記浄化領域と連通する非浄化領域に区画されるとともに、前記浄化領域に前記バブリング部材が配設されてなり、
前記浄化装置本体内に上方から作用する負圧により、前記吸気筒から気体を吸入し、該吸入した気体を前記第一の空間において前記液体中に導入し、該液体中に導入した気体を前記第一の空間と前記第二の空間を連通させる開口から前記第二の空間の浄化領域に移動させ、前記第二の空間の浄化領域に移動した気体を、前記液体中において前記バブリング部材の小孔を通過させ、バブリングさせて浄化するものである。
ここで、前記第一の空間と前記浄化領域とを連通させる開口よりも高さの低い開口とは、当該開口における最上部の高さ位置が、前記第一の空間と前記浄化領域とを連通させる開口における最上部の高さ位置よりも低い開口を意味する。
【0015】
本発明の気体浄化装置は、中央に開口が形成されるとともに液体供給源から液体が供給される給液部が外周側に形成される頂部、及び前記頂部中央の下方に設けられる筒状の気液分離部を有し、前記気液分離部の下端が前記案内部材の頂部上面に当接するとともに前記給液部が前記第二の空間の非浄化領域に位置する状態で前記浄化装置本体内に同心状に配設されて、前記頂部により前記第一の筒状部材の上部開口を閉鎖する蓋部材、をさらに備え、
前記浄化した気体を、前記蓋部材の気液分離部を通過させ、液体と分離して前記蓋部材の頂部中央に形成される開口から外部へ排出する一方、前記給液部から前記非浄化領域に液体を給液することが好ましい。
【0016】
本発明の気体浄化装置は、前記給液部が、前記気液分離部の外周に沿って形成され、給液用の液体を貯留する給液用凹部からなることが好ましい。
【0017】
本発明の気体浄化装置は、前記非浄化領域に液位検知手段を設け、該液位検知手段による液位の検知に基づいて、前記第二の空間内における液体の液位が前記バブリング部材よりも上方位置となるよう前記非浄化領域に前記液体を給液することが好ましい。
【0018】
本発明の気体浄化装置は、前記蓋部材の気液分離部が、前記頂部下面に対し下向きに筒状に配設される複数の板状部材を有し、隣接する前記板状部材間に間隙を形成してなり、同心状に複数列をなすとともに当該各列内の隣接する板状部材間の間隙が平面視において千鳥状の配置となるよう前記板状部材を配設したものであって、
前記板状部材は、平面視においてV字形断面であり、内側の列においてはV字が外側に開き、外側の列においてはV字が内側に開く向きで二列に配設されることが好ましい。
【0019】
本発明の気体浄化装置は、前記案内部材の頂部上面に、当該案内部材の外方向に向けて下向きに傾斜する傾斜部を設け、前記気液分離部を通過した液体であって前記案内部材の頂部上面に付着する液体を前記外方向に向けて移動させ、前記第二の空間に還流させることが好ましい。
【0020】
本発明の気体浄化装置は、前記第一の空間と前記第二の空間を連通させる開口が、前記案内部材と前記第一の筒状部材の底部との間に形成される開口であることが好ましい。
【0021】
また、上記目的を達成するため、本発明は、排気ダクトと、装着枠と、を備える気体浄化システムであって、
前記装着枠は、開口を有する底板、前記何れかに記載の気体浄化装置を着脱自在に装着可能とする開口を有する側板、前記排気ダクトに連通する開口を有する天板、を有してなり、
前記装着枠に前記何れかの気体浄化装置を装着し、前記排気ダクト側から前記気体浄化装置内に負圧を作用させることで、前記装着枠の底板の開口を通して前記気体浄化装置内へ気体を吸入し、前記気体浄化装置内で浄化した気体を、前記装着枠の天板の開口を通して前記排気ダクトから排出するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の気体浄化装置によれば、浄化装置本体内に上方から作用する負圧により、吸気筒から気体を吸入し、該吸入した気体を第一の空間において液体中に導入し、該液体中に導入した気体を第二の空間の浄化領域に移動させるので、前記気体が前記第二の空間の浄化領域を底部から気泡状となって上昇する。そして、該気泡状となって上昇する気体を、前記液体中においてバブリング部材の小孔を通過させてバブリングさせるので、前記バブリング部材の全面から小径の気泡が激しく大量に発生し、同時に微細化された液体が霧状に飛散する。
したがって、本発明の気体浄化装置によれば、前記気体と液体との接触面積を増大させることができ、前記気体中に含まれる油分等の不純物を十分に除去することができる。
【0023】
また、本発明の気体浄化装置は、浄化装置本体の上部開口から案内部材とバブリング部材を、同心状に配設するものであるため、組立や分解を簡単に行うことができ、コンパクトで取り扱いが容易である。
【0024】
さらに、本発明の気体浄化装置は、前記第二の空間を周方向に複数の領域に仕切る仕切部材をさらに備え、前記第二の空間が、前記第一の筒状部材の底部側に形成される開口を介して前記第一の空間と連通する浄化領域と、前記第一の空間と前記浄化領域とを連通させる開口よりも高さの低い開口を介して前記第一の空間及び/又は前記浄化領域と連通する非浄化領域に区画されるとともに、前記浄化領域に前記バブリング部材が配設されてなるので、気体の浄化中でも前記非浄化領域において前記第二の空間内における液体の液位を確認することができる。
【0025】
本発明の気体浄化装置は、前記浄化した気体を、蓋部材の気液分離部を通過させ、液体と分離して外部へ排出することとすれば、油分等の不純物を含む液体が前記浄化した気体とともに外部へ排出されることを防ぐことができる。
また、本発明の気体浄化装置は、浄化装置本体の上部開口から案内部材、バブリング部材、及び蓋部材を、同心状に配設するものであるため、組立や分解を簡単に行うことができ、コンパクトで取り扱いが容易である。
さらに、本発明の気体浄化装置は、液体供給源から液体が供給される前記蓋部材の給液部から前記第二の空間の非浄化領域に液体を給液することとすれば、気体の浄化中において前記第二の空間内に給液を行うことができる。
【0026】
本発明の気体浄化装置は、前記非浄化領域に液位検知手段を設け、該液位検知手段による液位の検知に基づいて、前記第二の空間内における液体の液位が前記バブリング部材よりも上方位置となるよう前記非浄化領域に前記液体を給液することとすれば、前記第二の空間の浄化領域に移動した気体を、確実に前記液体中で前記バブリング部材の小孔を通過させてバブリングさせることができる。
【0027】
本発明の気体浄化装置は、前記蓋部材の気液分離部が、前記頂部下面に対し下向きに筒状に配設される複数の板状部材を有し、隣接する前記板状部材間に間隙を形成してなり、同心状に複数列をなすとともに当該各列内の隣接する板状部材間の間隙が平面視において千鳥状の配置となるよう前記板状部材を配設したものであって、
前記板状部材は、平面視においてV字形断面であり、内側の列においてはV字が外側に開き、外側の列においてはV字が内側に開く向きで二列に配設されることとすれば、前記浄化した気体が前記板状部材に衝突し、該板状部材を迂回しながらジグザグ状の通路を通過することとなるため、前記気体中に含まれる油分等の不純物が外部へ排出されることを防ぐ効果を高めることができる。
【0028】
本発明の気体浄化装置は、前記案内部材の頂部上面に、当該案内部材の外方向に向けて下向きに傾斜する傾斜部を設けることとすれば、前記気液分離部を通過した液体であって前記案内部材の頂部上面に落下し付着する液体を、前記第二の空間に還流させることができる。
【0029】
本発明の気体浄化システムは、前記本発明の気体浄化装置を着脱自在に装着可能とする装着枠を備え、当該装着枠に前記気体浄化装置を装着することで、気体中に含まれる油分等の不純物を十分に除去することができる。
また、本発明の気体浄化システムは、前記気体浄化装置がコンパクトで取り扱いが容易であるため、該気体浄化装置が汚染された場合に簡単に交換することができる。
【0030】
本発明の気体浄化システムは、前記本発明の気体浄化装置を装着して使用するので、気体の浄化中でも前記非浄化領域において前記第二の空間内における液体の液位を確認することができる。
また、本発明の気体浄化システムは、前記気体浄化装置の前記第二の空間における非浄化領域に液位検知手段を設けることとすれば、前記第二の空間内に自動で給液できるため、給液のためのメンテナンスを行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施の形態における気体浄化装置の平面図。
図2図1のA−A断面図。
図3図2に示す案内部材を他の角度から見た断面図。
図4図2に示す蓋部材の拡大断面図。
図5図4のC−C断面図。
図6図2において汚染された気体を浄化する様子の説明図。
図7図2に示す気体浄化装置の分解図。
図8図1のB−B断面図。
図9図8のD−D断面図。
図10図8のE−E断面図。
図11図8において汚染された気体を浄化する様子の説明図。
図12】本発明の実施の形態における気体浄化装置の変形例の説明図。
図13】本発明の実施の形態における気体浄化装置を使用する空気浄化システムの概念図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態における気体浄化装置の平面図を示す。
図1に示すように、本発明の実施の形態における気体浄化装置は平面視において円形をなす。
図2は、図1のA−A断面図を示す。また、図3図2における案内部材を他の角度から見た断面図を示す。
図2に示すように、本発明の実施の形態における気体浄化装置1は、浄化装置本体2、案内部材3、バブリング部材4及び蓋部材5を備える。
【0033】
前記浄化装置本体2は、底部22を有する円筒状の外枠21と、前記底部22の中央に立設され、該底部22中央に形成される開口から気体を吸入する円筒状の吸気筒23を有する。
ここで、該浄化装置本体2は、透明な耐熱性樹脂材により形成される。
【0034】
前記案内部材3は、頂部32を有する円筒状の案内枠31を有し、前記頂部32の上面は円錐形状、前記頂部32の下面は逆すり鉢形状とされ、前記案内枠31の下端には切り欠き33が形成される。また、図3に示すように、前記切り欠き33の間に位置する案内枠31の外面には、前記バブリング部材4を支持する支持部34が形成される。
該案内部材3は、前記案内枠31が前記外枠21と吸気筒23との間に位置するよう前記浄化装置本体2の底部22上に同心状に配設され、前記吸気筒23との間に第一の空間35、前記外枠21との間に第二の空間36をそれぞれ形成する。また、前記吸気筒23内と前記第一の空間35は、前記頂部32下面と前記吸気筒23上端との間に形成される空間を介して連通し、前記第一の空間35と前記第二の空間36は、前記切り欠き33と前記底部22との間に形成される開口37を介して連通する。
【0035】
前記バブリング部材4は、多数の小孔43を有する二枚の板状部材41,42を有する。
前記二枚の板状部材41,42は、図示しないスペーサ等により上下に所定の間隔を空けて一体にねじ止めされる。
該バブリング部材4は、前記案内部材3に形成される支持部34上にねじ等により着脱可能に取り付けられ、前記第二の空間36内に略水平に配設される。
【0036】
ここで、本実施の形態において、前記バブリング部材4には、二枚の板状部材41,42からなる二層構造のものを用いたが、前記バブリング部材4は一層でもよく、また三層以上の構造でもよい。
【0037】
なお、前記バブリング部材4は、前記案内部材3に代えて前記浄化装置本体2の外枠21内面に対し着脱可能に取り付けられることとすることもできる。
また、前記バブリング部材4は、前記案内部材3に形成される支持部34上に載置され、ねじ等により固定されることなく、前記第二の空間36内に略水平に配設されてもよい。その場合、前記案内枠31の外周面に対し単数のストッパ又は前記案内枠31の外周面周方向に対し複数のストッパを設けることで、前記バブリング部材4の上下方向の移動量を規制することができる。そして、前記ストッパには、例えばねじ等の着脱可能な部材を用いることができる。
【0038】
図2に示す気体浄化装置において、前記蓋部材5は、中央に開口が形成される頂部51と、前記頂部51中央の下方に設けられる円筒状の気液分離部52を有する。
前記蓋部材5は、前記気液分離部52の下端が前記案内部材3の頂部32上面に載置される状態で前記浄化装置本体2内に同心円状に配設され、前記頂部51により前記外枠21の上部開口を閉鎖する。
【0039】
図4は、図2における蓋部材5の拡大断面図を示す。
前記気液分離部52は、前記案内部材3の頂部32上面に当接する環状部材56と、前記蓋部材5の頂部51下面と前記環状部材56の上面を連結する複数の板状部材55を有している。
前記複数の板状部材55は、前記頂部51下面に対し下向きに円筒状に配設されて、隣接する板状部材55,55間に間隙Gを形成してなる。また、前記環状部材56下面には段部が形成されている。
ここで、前記蓋部材5を構成する前記頂部51、前記板状部材55、前記環状部材56は、一部材により成形されるものでもよいし、別部材を一体に連結されるものでもよい。
【0040】
さらに、前記蓋部材5の頂部51下面であって、前記気液分離部52の内側には、前記板状部材55を伝って上昇する液体が前記蓋部材5の頂部51中央に形成される開口から外部へ漏出することを防止する液体漏出防止部54が形成されている。
【0041】
図5は、図4のC−C断面図を示す。
前記気液分離部52における各板状部材55は断面V字形であって、内側の列においてはV字が外側に開き、外側の列においてはV字が内側に開く向きで二列に配設されている。
また、前記各列の隣接する板状部材55,55間にはそれぞれ間隙Gが形成されており、前記各板状部材55は、前記各列の間隙Gが平面視において千鳥状の配置となるように配設され、外側から内側に向けてジグザグ状の通路を形成している。
なお、前記蓋部材5の外周側には、前記気液分離部52の外周に沿って、後述する給液用凹部57が形成されている。
【0042】
図6は、図2において汚染された気体を浄化する様子の説明図であって、矢印は気体の流れを示す。なお、図6図2と同じ方向から見た断面図であり、ここでは符号の記載を省略する。
まず、本発明の実施の形態における気体浄化装置1において、前記浄化装置本体2の外枠21と吸気筒23との間に所定量の液体Lを貯留する。
次に、図示しないファン等の駆動により、気体浄化装置1の上方から前記蓋部材5の頂部51に形成される開口を介して前記浄化装置本体2内に負圧を作用させ、該浄化装置本体2の底部22に形成される開口を通して前記吸気筒23から汚染された気体を吸入する。
【0043】
前記吸気筒23から吸入された気体は、前記案内部材3の頂部52における逆すり鉢形状の下面により前記第一の空間35に案内され、該第一の空間35内において前記液体中に導入される。
そして、前記液体中に導入された気体は、気泡状となって前記開口37から前記第二の空間36に移動する。
【0044】
該第二の空間36に移動した気泡状の気体は、底部から液体中を上昇し、該液体中に位置する前記バブリング部材4の二枚の板状部材41,42の小孔43,43を順次通過する。
このとき、図示するように、当該気体浄化装置1は、前記板状部材41,42の全面から小径の気泡を激しく大量に発生させ、同時に微細化された液体を霧状に飛散させるため、前記汚染された気体と水の接触面積を増大させる(接触を密にする)ことができ、前記気体中に含まれる油分等の不純物を十分に除去することができる。
【0045】
前記バブリング部材4を通過して油分等の不純物が除去され、浄化された気体は、前記第二の空間36を上昇した後、前記蓋部材5の気液分離部52を構成する板状部材55に衝突し、また前記各板状部材55を迂回しながらジグザグ状の通路を通過して、前記蓋部材5の頂部51中央に形成される開口から外部へ排出される。
このとき、前記バブリング部材4の通過に伴い飛散した、油分等の不純物を含む液体は、前記各板状部材55に付着することとなるため、浄化された気体とともに外部へ排出されることを防ぐことができる。
【0046】
また、図2及び図6に示すように、当該気体浄化装置1は、前記案内部材3の頂部32上面を円錐形状に形成するものである。
図2及び図6に示す気体浄化装置において、油分等の不純物を含む液体が、気液分離部52を通過した場合、前記液体の大部分は前記案内部材3の頂部32上面に落下し付着することとなるが、前記案内部材3の頂部32上面を円錐形状とすることで、前記液体は前記案内部材3の頂部32上面を外周方向へ移動する。
【0047】
そして、当該気体浄化装置1は、前記気液分離部52を構成する環状部材56の下面に段部が形成されており、当該環状部材56の下端面が前記案内部材3の頂部32上面に当接する状態で蓋部材5が配設されるため、ファン等の駆動により浄化装置本体2内に上方から作用する負圧によって、前記環状部材56の下端面が前記案内部材3の頂部32上面から僅かに浮き上がり、前記液体は前記僅かな隙間から前記バブリング部材4が配設される第二の空間へ還流する。
なお、前記環状部材56の下端面、又は前記環状部材56の下端面と当接する前記案内部材3の頂部32上面に、前記案内部材3の頂部32上方の空間と第二の空間とを連通する溝を形成しておけば、前記液体の還流を確実なものとすることができる。
【0048】
図2及び図6に示す気体浄化装置1では、案内部材3の頂部32上面を円錐形状に形成したが、前記頂部32上面の形状はこれに限るものでなく、前記気液分離部52を通過して前記案内部材3の頂部32上面に落下し付着する液体を、該案内部材3の頂部32上面を伝って外周方向へ移動させる傾斜部を有するものであれば、任意の形状とすることができる。
なお、前記案内部材3の頂部32上面を平坦に形成し、該平坦な頂部32上面に円錐形状等の別部材を配置することで前記傾斜部を有するものとしてもよいことはいうまでもない。
【0049】
また、本発明の実施の形態における気体浄化装置は、前記案内部材3の頂部32上面を平坦に形成した場合、前記円錐形状等の別部材を配置することに代えて、前記平坦な面に液体還流用の溝を形成することができる。その場合、前記溝は、前記頂部上面の中心から外周に向けて徐々に深くなるよう形成すればよく、必要に応じて放射状に複数形成してもよい。
このように、前記案内部材3の頂部32上面における平坦な面に液体還流用の溝を形成する場合でも、前記蓋部材5の気液分離部52を通過した液体を、前記バブリング部材4が配設される第二の空間へ還流させることができる。
【0050】
上記本実施の形態において、蓋部材5の気液分離部52における各板状部材55は、円筒形状に二列に配設することとしたが、一列又は三列以上に配設することもできる。
また、本実施の形態において、前記板状部材55とは、断面V字形の板状部材に加え、単なる平板部材、及び角材など厚みのある棒状部材をも含むものである。
さらに、前記気液分離部52において、環状部材56は必須の部材ではない。前記環境部材56を省略する場合、蓋部材5は、前記板状部材55の下端が前記案内部材3の頂部32上面に載置される状態で前記浄化装置本体2内に同心円状に配設されるため、前記案内部材3の頂部32上方の空間から第二の空間への液体の還流が確実に行われる。
【0051】
本実施の形態において、前記気液分離部52における各板状部材55の形状、配置及び間隙等は、浄化された気体の排出量と、油分等の不純物を含む液体の外部への排出防止効果を考慮して決定すればよい。
また、本実施の形態において、前記気液分離部52における板状部材55は、必ずしも前記蓋部材5の頂部51下面に対し垂直に設けられる必要はない。
【0052】
なお、本実施の形態において、前記蓋部材5の気液分離部52の構成は上記に限定されるものでなく、例えば、頂部51の中央から垂設されて、周面に多数の孔が形成される円筒状部材とすることもできる。
【0053】
図7は、図2に示す気体浄化装置の分解図を示す。
本発明の実施の形態における気体浄化装置は、前記浄化装置本体2内に、前記案内部材3、前記バブリング部材4及び前記蓋部材5を、同心円状に配設するものであり、組立や分解を簡単に行うことができ、コンパクトで取り扱いが容易なものである。ここで、前記バブリング部材4を、予め前記案内部材3の支持部34上に取り付けるなど、前記支持部34上に配置しておけば、効率よく組み立てることができる。
【0054】
また、本実施の形態における気体浄化装置は、前記浄化装置本体2が透明な耐熱性樹脂材により形成されているため、内部の汚染状況を確認することができ、清掃やメンテナンスを適時に行うことができる。
なお、前記浄化装置本体2は、外枠21をステンレス等の金属により形成することもできる。その場合、前記外枠21には、耐熱ガラス等の窓を設け、内部を観察できるようにすればよい。
【0055】
次に、図8は、図1のB−B断面図を示す。また、図9図8のD−D断面図、図10図8のE−E断面図を示す。
【0056】
本実施の形態における気体浄化装置1は、前記第二の空間36を周方向に複数の領域に仕切る板状の仕切部材6をさらに備える。
図8乃至図10に示すように、前記第二の空間36は、二枚の仕切部材6によって、前記案内枠31の下端に形成される切り欠き33と前記浄化装置本体2の底部22との間に形成される開口37を介して前記第一の空間35と連通する浄化領域361と、前記第一の空間35と前記浄化領域361とを連通させる開口37よりも高さの低い開口38を介して前記第一の空間35と連通する非浄化領域362に区画されている。ここで、前記第一の空間35と前記浄化領域361とを連通させる開口37よりも高さの低い開口38とは、図8に示すとおり、当該開口38における最上部の高さ位置が、前記第一の空間35と前記浄化領域361とを連通させる開口37における最上部の高さ位置よりも低い開口を意味する。また、前記バブリング部材4は、円弧形状であって前記浄化領域361にのみ配設されている。
【0057】
前記蓋部材5には、図1図8及び図10に示すように、頂部51の外周側であって気液分離部52の外周に沿った状態で給液用凹部57が形成されており、図示しない液体供給源から前記給液用凹部57に液体が供給され、当該給液用凹部57に貯留される液体を、該給液用凹部57の底面に形成される孔58からチューブ59を介して供給できる構成とされている。
【0058】
そして、前記蓋部材5は、前記気液分離部52の下端が前記案内部材3の頂部32上面に載置されるとともに前記給液用凹部57が前記第二の空間36の非浄化領域362に位置する状態で前記浄化装置本体2内に同心円状に配設されて、該蓋部材5の頂部51により前記外枠21の上部開口を閉鎖する。
【0059】
図11は、図8において汚染された気体を浄化する様子の説明図であって、矢印は気体の流れを示す。また、図11図8と同じ方向から見た断面図であり、ここでは符号の記載を省略する。
図示しないファン等の駆動により、気体浄化装置1の上方から前記蓋部材5の頂部51に形成される開口を介して前記浄化装置本体2内に負圧を作用させ、該浄化装置本体2の底部22に形成される開口を通して前記吸気筒23から汚染された気体を吸入する。
【0060】
前記吸気筒23から吸入された気体は、前記第一の空間35内において前記液体中に導入され、気泡状となって前記開口37から前記第二の空間36における浄化領域361に移動する。
そして、前記第二の空間36における浄化領域361に移動した気泡状の気体は、前記液体中において前記バブリング部材4を構成する板状部材41,42の小孔43,43を通過して浄化され、前記蓋部材5の気液分離部52を通過して当該蓋部材5の頂部51に形成される開口から外部に排出される。
【0061】
一方、前記第二の空間36における非浄化領域362は、前記第一の空間35と前記浄化領域361とを連通させる開口37よりも高さの低い開口38を介して前記第一の空間35と連通する。
したがって、前記非浄化領域362は、前記第一の空間35との間において液体の移動は自由に行われるものの、前記第一の空間35内において前記液体中に導入されて気泡状となった気体が侵入することがなく、当該非浄化領域362における液面の変動が抑止されるため、気体の浄化中でも当該非浄化領域362において前記第二の空間36内における液体の液位を確認することができる。
【0062】
また、前記非浄化領域362に図示しないフロートスイッチ等の液位検知手段を設けるとともに、当該液位検知手段による液位の検知に基づいて、図示しない液体給液源から前記給液用凹部57に液体を供給することとすれば、気体の浄化中においても、前記第二の空間36内における液体の液位が常に前記バブリング部材4よりも上方位置となるよう、前記非浄化領域362に前記液体を自動で給液することができる。
したがって、前記第二の空間の浄化領域361に移動した気体を、前記液体中において確実に前記バブリング部材4の小孔を通過させてバブリングさせ浄化することができる。
【0063】
前記蓋部材5は、前記給液用凹部57が頂部51の外周側であって気液分離部52の外周に沿った状態で形成されているため、前記非浄化領域362と前記頂部51の中央に形成される開口との連通をほぼ遮断することができる。
したがって、気体浄化装置1の上方から前記蓋部材5の頂部51に形成される開口を介して前記浄化装置本体2内に負圧を作用させた場合でも、前記非浄化領域362内には上方からほとんど負圧が作用しないため、前記第一の空間35と前記浄化領域361とを連通させる開口37よりも高さの低い開口38を介して当該非浄化領域362と前記第一の空間35とが連通することと相俟って、前記第一の空間35内において前記液体中に導入された気体が前記非浄化領域362へ侵入することをより確実に防ぐことができる。
【0064】
なお、前記給液用凹部57によるのでなく、前記蓋部材5に仕切りを形成することで、前記非浄化領域362と前記蓋部材5の頂部51中央に形成される開口との連通を遮断できることはいうまでもない。
また、前記給液用凹部57を設けることなく、図示しない液体供給源から直接、前記非浄化領域に液体を給液することもできる。
【0065】
上記本実施の形態では、前記第一の空間35と前記浄化領域361とを連通させる開口37よりも高さの低い開口38を介して前記非浄化領域362と前記第一の空間35を連通させることとしたが、前記仕切部材6の下端に切り欠きを形成することで、前記第一の空間35と前記浄化領域361とを連通させる開口37よりも高さの低い開口を介して前記非浄化領域362と前記浄化領域361を連通させることとしてもよい。
そして、その場合、前記非浄化領域362は、前記第一の空間35と前記浄化領域361の両方と連通することとしてもよいし、前記第一の空間35と前記浄化領域361のいずれかとのみ連通することとしてもよい。
【0066】
また、前記第一の空間35と前記浄化領域361とを連通させる開口37、前記第一の空間35と前記非浄化領域362とを連通させる開口38、及び前記浄化領域361と前記非浄化領域362とを連通させる開口は、浄化装置本体2の底部22付近であって前記バブリング部材4よりも下方にあればよく、例えば案内枠31や仕切部材6の下方に形成される横長の孔(開口)とするなど、必ずしも前記底部22が前記開口の一部を構成する必要はない。
【0067】
さらに、上記実施の形態は、前記第二の空間36を周方向に二つの領域に仕切るものであったが、例えば四つの領域に仕切り、浄化領域と非浄化領域を交互に配置することとしてもよい。
【0068】
図12は、本発明の実施の形態における気体浄化装置の変形例の説明図(断面図)を示す。
図12に示す気体浄化装置は、図2に示す気体浄化装置において、前記バブリング部材4と前記気液分離部52との間の空間、ここでは前記気液分離部52における環状部材56の外周に水滴飛散防止板53を配設するものである。
【0069】
図12に示す気体浄化装置は、前記バブリング部材4を通過して油分等の不純物が除去され、浄化された気体を、前記水滴飛散防止板53を迂回させて前記気液分離部52に誘導することで、前記飛散し油分等の不純物を含むものとなった液体が、前記浄化された気体とともに外部に排出されることを防ぐ効果を高めることができる。
【0070】
ここで、前記水滴飛散防止板53は、前記第二の空間36を上昇する浄化された気体を迂回させるものであればよく、配設される場所も前記環状部材56の外周に限定されない。
【0071】
図13は、本発明の実施の形態における気体浄化装置の使用例であって、空気浄化システムの説明図を示す。
本実施の形態における気体浄化装置は、例えばフードを用いないフライヤー(フードレス・フラーヤー)から立ち上る油煙等の除去装置として使用することができる。
【0072】
図13に示す空気浄化システム100は、出口部に図示しないファンを有する排気ダクト101と、前記排気ダクト101の入口部に設けられる装着枠102と、フライヤー等から立ち上る油煙等を集める集気ホッパ103から大略構成される。
【0073】
前記装着枠102は、前記集気ホッパ103に連通する開口を有する底板、前記気体浄化装置1を側方から着脱自在に装着可能とする開口を有する側板、前記排気ダクト101に連通する開口を有する天板、を有し、前記側板には、前記内部に装着される気体浄化装置1を目視可能とする切り欠き窓105が形成される。
また、前記気体浄化装置1は、把手を有するホルダ104により保持される。
【0074】
そして、図13に示すように、前記装着枠102に前記気体浄化装置1が装着された状態の空気浄化システム100は、フライヤー等から立ち上る油煙等を、前記集気ホッパ103により集気し、前記装着枠102の底板の開口を通して前記気体浄化装置1内へ吸入し、該気体浄化装置1内で浄化した気体を、前記装着枠102の天板の開口を通して前記排気ダクト101から外部へ排出する。
【0075】
このとき、前記気体浄化装置1によれば、気体の浄化中でも前記非浄化領域362において前記第二の空間36内における液体の液位を確認することができる。
また、前記気体浄化装置1が、前記浄化装置本体2内に自動で給液できる構成であれば、給液のためのメンテナンスを行う必要がない。
【0076】
本例において、前記気体浄化装置1は、把手を有するホルダ104に保持されるから、これを扱う作業者は、前記装着枠102への取り付けや取り外しを容易に行うことができる。
なお、前記気体浄化装置1は、把手を有するホルダ104に保持させることに代えて、浄化装置本体2に直接把手を設けるものとすることもできる。
また、前記装着枠102は透明な耐熱性樹脂材等により形成することができる。その場合、該装着枠102の側板には前記切り欠き窓105を形成する必要はない。
【0077】
本発明の実施の形態における気体浄化装置は、水平な断面が円形状からなる各部材を同心円状に組み合わせて構成することとしたが、各部材が同心軸上に配設されるものであれば前記断面形状は円形に限るものでなく、例えば四角形とすることもできる。
【0078】
本発明の実施の形態における気体浄化装置において、浄化装置本体2の外枠21と吸気筒23との間に貯留する液体は、代表的には水を用いるが、それ以外の液体を用いても良い。また、前記液体には、例えば界面活性剤等の成分を含有させてもよい。液体が界面活性剤を含有するものであれば、親油性の臭気を溶かし込むことができる。
【0079】
本発明の実施の形態における気体浄化装置において、浄化する気体は、代表的には厨房から発生する油煙等の汚染された空気であるが、それ以外の場所で、それ以外の気体を浄化することもできる。
【0080】
本発明の気体浄化装置は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、その構成を適宜変更できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の気体浄化装置は、コンパクトで取り扱いが容易なものであり、例えばフライヤー等の厨房設備から発生する油煙等から油分等の不純物を除去する装置として、実用性が極めて高い。
【符号の説明】
【0082】
1 気体浄化装置
2 浄化装置本体
21 円筒状の外枠
22 底部
23 吸気筒
3 案内部材
31 円筒状の案内枠
32 頂部
33 切り欠き
34 支持部
35 第一の空間
36 第二の空間
361 浄化領域
362 非浄化領域
37 開口
38 開口
4 バブリング部材
41,42 板状部材
43 小孔
5 蓋部材
51 頂部
52 気液分離部
53 水滴飛散防止板
54 液体漏出防止部
55 板状部材
56 環状部材
57 給液用凹部
58 孔
59 チューブ
6 仕切部材
100 空気浄化システム
101 排気ダクト
102 装着部
103 集気ホッパ
104 ホルダ
105 切り欠き窓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13