【実施例】
【0064】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0065】
なお、以下において、酸化チタン微粉末のBET比表面積、アナターゼ比、疎水性酸化チタン微粉末の疎水率と、分散液中の疎水性酸化チタン微粉末又は酸化チタン微粉末の粒子径分布及びD
50は、以下の方法によって測定したものである。
【0066】
<BET比表面積>
BET法により測定した。
【0067】
<アナターゼ比>
酸化チタン微粉末を試料ホルダーにガラス板にて平面状に押し付けたものをX線回折装置(フィリップス社製)で測定し、得られた回折強度のアナターゼ型結晶構造の最強干渉線である(101)の回折強度(I
A)とルチル型結晶構造の最強干渉線である(110)の回折強度(I
R)から下式を用いてアナターゼ型結晶構造の含有率(A)を求めた値をアナターゼ比とした。
A(%)=100/(1+1.265×I
A/I
R)
(Ref.R.A.Spurr,H.Myers,Anal.Chem.29,760(1957))
【0068】
<疎水率>
疎水性酸化チタン微粉末1gを200mLの分液ロートに計り採り、これに純水100mLを加えて栓をし、ターブラミキサーで10分間振盪した後、10分間静置する。静置後、下層の20〜30mLをロートから抜き取った後に、下層の混合液を10mm石英セルに分取し、純水をブランクとして比色計にかけ、その500nmの透過率を疎水率とした。
【0069】
<粒子径分布、D
50>
動的光散乱法により、日機装社製「マイクロトラックMT3300II」を用いて測定した。また、測定結果から細かい粒子と粗い粒子の境目を示す中央の値(D
50)を求めた。
【0070】
[実施例1]
ガス状の四塩化チタンを水素原子が混在する火炎中で、1,000℃の温度下、チタン濃度が二酸化チタン換算で80g/m
3の条件で、熱加水分解することによりBET比表面積が90m
2/g、アナターゼ比が0.85の酸化チタン微粉末を製造した。
この酸化チタン微粉末100重量部を、ミキサーに入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら、n−オクチルトリメトキシシラン20重量部を滴下し、150℃で2時間加熱撹拌し、その後冷却することにより表面処理した。
得られた疎水性酸化チタン微粉末の疎水率は97%であった。
【0071】
この疎水性酸化チタン微粉末を10重量部採り、撹拌翼を有する容器に採った90重量部のメチルエチルケトンに、撹拌しながら加え、30分間撹拌を継続して、乳白色の均一な分散液を得た。
この分散液の一部を採取して粒子径分布を測定したところ、
図1のように、粒子径分布は60nm〜2μmで、D
50は210nmとなり、撹拌によって十分に均質な分散液が得られたことが確認された。
残りの分散液の一部に超音波ホモジナイザーを10分間作用させ、その一部をサンプル採取して粒子径分布を測定したところ、
図2に示すように、粒子径分布は38nm〜0.45μmでD
50は75nmとなり、分散粒子は更に微細粒子となり、分散が促進されたことが確認された。
残りの分散液をビーズミル(日本コークス製・MSCミル)で、液を分散させながら60分間、30μmの安定化ジルコニアビーズで混合と分散を継続した。その分散液サンプルの粒子径分布を測定したところ、
図3に示すように、粒子径分布は35nm〜0.25μmで、D
50は65nmとなり、ビーズミルで更に粗粒が減少して微細粒子となり、分散が促進されたことが確認された。
【0072】
これら撹拌後、ホモジナイズ後、ミル混合後の分散液をそれぞれ透明なガラス容器に移して、静置して観察したが、数日後ではいずれのサンプルも粒子の沈降と溶媒の分離は見られなかった。
【0073】
また、上記の疎水性酸化チタン微粉末を20重量部採り、撹拌翼を有する容器に採った80重量部のメチルエチルケトンに、撹拌しながら加え、1時間撹拌を継続して、乳白色の均一な分散液を得た。
この分散液を、上記と同様、それぞれ超音波ホモジナイザー、ビーズミルで分散させたところ、それぞれの処理時間を長くする必要がある場合があるが、上記と同様に、粒子の沈降が見られず安定な分散液が得られた。
更に、上記の疎水性酸化チタン微粉末の割合を増加させ30重量部とし、70重量部のメチルエチルケトンに撹拌しながら加え、1時間撹拌を継続した後、超音波ホモジナイザーで分散させ、乳白色の均一な分散液が得られた。この分散液もまた、上記と同様に、粒子の沈降が見られず安定な分散液であった。
ただし、疎水性酸化チタン微粉末が30重量部を超え40重量部としても混合は可能であったが、粉体の重量部数を40重量部まで増加させると、撹拌翼による撹拌が次第に難しくなるため、分散液としての適切な濃度の限界は30重量%であると考えられた。
【0074】
[比較例1]
実施例1で製造したBET比表面積が90m
2/gの酸化チタン微粉末は親水性を示している。これを表面処理することなく、10重量部採り、撹拌翼を有する容器に採った90重量部のメチルエチルケトンに撹拌しながら加え、30分間撹拌を継続して白色系の混合物を得た。
更に撹拌しながら、この一部を採取して静置したところ、一部の粒子の沈降が見られ、1時間後には溶媒の一部が上澄みとして分離し、十分な分散と安定化がなされていないことが観察された。
また、撹拌中に採取した一部の混合物に、超音波ホモジナイザーを10分間作用させ、静置して観察したところ、撹拌翼による混合と同様に、1から2時間後には粒子の沈降と溶媒の分離が見られた。
更に撹拌しているサンプルの一部を、ビーズミルの試料フォルダに投入し、混合液を循環しながら粉砕と分散を試みたが、1時間ミル処理した後のサンプルでも、ミルから取り出して静置すると、時間の経過とともに、1から2時間後には粒子の沈降と溶媒の分離が明らかになった。
この結果から、親水性の酸化チタンは、非極性溶媒に安定して分散されにくいことが確認された。
【0075】
[実施例2]
実施例1において、非極性有機溶媒として酢酸エチルを用いたこと以外は同様にして分散液を製造した。
即ち、疎水性酸化チタン微粉末を10重量部採り、撹拌翼を有する容器に採った90重量部の酢酸エチルに撹拌しながら加え、30分間撹拌を継続して、乳白色の均一な分散液を得た。
実施例1と同様に、これの一部を採取して粒子径分布を測定したところ、
図1と同様に、粒子径分布は68nm〜1.8μmでD
50は220nmとなり、撹拌によって十分に均質な分散液が得られた。
残りの分散液の一部に超音波ホモジナイザーを10分間作用させ、その一部からサンプル採取して粒子径分布を測定したところ、
図2と同様に、粒子径分布は45nm〜0.42μmで、D
50は80nmとなり、更に微細粒子となり、分散が促進された。
残りの分散液をビーズミルで、液を分散させながら60分間、30μmの安定化ジルコニアビーズで混合と分散を継続し、その分散液の粒子径分布を測定したところ、
図3に示したのと同様に、粒子径分布は38nm〜0.25μmで、D
50は70nmとなり、ビーズミルで更に粗粒が減少して微細粒子となり、分散が促進された。
これら撹拌後、ホモジナイズ後、ミル混合後の分散液をそれぞれ透明なガラス容器に移して、静置して観察したが、数日後ではいずれのサンプルも粒子の沈降と溶媒の分離は見られなかった。
【0076】
[実施例3]
実施例1において、非極性有機溶媒としてトルエンを用いたこと以外は同様にして分散液を製造した。
即ち、疎水性酸化チタン微粉末を10重量部採り、撹拌翼を有する容器に採った90重量部のトルエンに撹拌しながら加え、30分間撹拌を継続して、乳白色の均一な分散液を得た。
実施例1と同様に、この分散液の一部を採取して超音波ホモジナイザーを10分間作用させ、その一部からサンプル採取して粒子径分布を測定したところ、粒子径分布は80nm〜1.2μmであった。
この撹拌後にホモジナイズした後の分散液を透明なガラス容器に移して、静置して観察したところ、2〜3時間後では粒子の沈降、溶媒の分離は認められなかった。
ホモジナイズ処理から24時間経過すると、分散液の上部と下部の間の白濁の状態に変化と差が見られた。
【0077】
[比較例2]
比較例1において、非極性有機溶媒として酢酸エチルを用いたこと以外は同様の操作を行った。
即ち、表面処理を施していない親水性の酸化チタン微粉末を10重量部を採り、撹拌翼を有する容器に採った90重量部の酢酸エチルに、撹拌しながら加え、30分間撹拌を継続して白色系の混合物を得た。
この一部を採取して静置したところ、一部の粒子の沈降が見られ、1時間後には溶媒の一部が上澄みとして観察され、十分な分散と安定化がなされていないことが認められた。
また、撹拌中に採取した一部の混合物に、超音波ホモジナイザーを10分間作用させ、静置して観察したところ、撹拌翼による混合と同様に、1から2時間後には粒子の沈降と溶媒の分離が見られた。
【0078】
[比較例3]
比較例1において、非極性有機溶媒としてトルエンを用いたこと以外は同様の操作を行い、30分撹拌後の液、また超音波ホモジナイズ処理後の分散液を静置したところ、一部の粒子の沈降が見られ、1時間後には溶媒の一部が上澄みとして観察された。
【0079】
比較例2,3からも親水性の酸化チタンは、非極性溶媒に安定して分散されにくいことが確認された。
【0080】
[実施例4]
ガス状の四塩化チタンを水素原子が混在する火炎中で、900℃の温度下、チタン濃度が二酸化チタン換算で40g/m
3の条件で、熱加水分解することによりBET比表面積が120m
2/g、アナターゼ比0.90の酸化チタン微粉末を製造した。
この酸化チタン微粉末100重量部を、ミキサーに入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら、n−ブチルトリメトキシシラン20重量部を滴下し、150℃で2時間加熱撹拌し、その後冷却することにより表面処理した。
得られた疎水性酸化チタン微粉末の疎水率は95%であった。
【0081】
この疎水性酸化チタン微粉末を10重量部採り、撹拌翼を有する容器に採った90重量部のメチルエチルケトンに、撹拌しながら加え、30分間撹拌を継続して、乳白色の均一な分散液を得た。
この分散液の一部を採取して粒子径分布を測定したところ、粒子径分布は65nm〜1.8μmで、D
50は200nmで、撹拌によって十分に均質な分散液が得られたことが確認された。
残りの分散液の一部に超音波ホモジナイザーを10分間作用させ、その一部をサンプル採取して粒子径分布を測定したところ、粒子径分布は40nm〜0.42μmで、D
50は72nmとなり、更に微細粒子となり、分散が促進されたことが確認された。
残りの分散液を前記のビーズミルで、液を分散させながら60分間、30μmの安定化ジルコニアビーズで混合と分散を継続した。その分散液サンプルの粒子径分布を測定したところ、粒子径分布は36nm〜0.23μmで、D
50は62nmとなり、ビーズミルで更に粗粒が減少して微細粒子となり、分散が促進されたことが確認された。
【0082】
これら撹拌後、ホモジナイズ後、ミル混合後の分散液をそれぞれ透明なガラス容器に移して、静置して観察したが、数日後ではいずれのサンプルも粒子の沈降と溶媒の分離は見られなかった。
【0083】
上記の疎水性酸化チタン微粉末を20重量部採り、撹拌翼を有する容器に採った80重量部のメチルエチルケトンに、撹拌しながら加え、30分間撹拌を継続して、乳白色の均一な分散液を得た。
この分散液を上記と同様に、それぞれ、超音波ホモジナイザー、ビーズミルで分散させたところ、それぞれの処理時間を長くする必要がある場合があるが、上記同様、粒子の沈降が見られず、安定な分散液が得られた。
また、実施例2と同様に、溶媒を酢酸エチルにした場合にも、撹拌、超音波ホモジナイザー、ビーズミルで分散して、良い分散性が得られた。
更に、疎水性酸化チタン微粉末を30重量部とし、70重量部のメチルエチルケトンに撹拌しながら加え、1時間撹拌を継続した後、超音波ホモジナイザーで分散させ、乳白色の均一な分散液が得られ、上記と同様に、粒子の沈降が見られず安定な分散液であることが確認された。
ただし、疎水性酸化チタン微粉末が30重量部を超え40重量部としても混合は可能であったが、粉体の重量部数を40重量部まで増加させると、撹拌翼による撹拌が次第に難しくなるため、分散液としての適切な濃度の限界は30重量%であると考えられた。
【0084】
なお、n−ブチルトリメトキシシランの代わりに、異性体であるiso−ブチルトリメトキシシランを用いて上記と同様に表面処理を行って得られた疎水性酸化チタン微粉末についても、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はトルエンに、撹拌翼、超音波ホモジナイザー、ビーズミルなどで均質に分散され、得られた分散液は、1週間放置後から1ヶ月放置後も粉体の沈降と溶媒の分離が見られず、上記と同等の結果を得た。
【0085】
[実施例5]
ガス状の四塩化チタンを水素原子が混在する火炎中で、1,550℃の温度下、チタン濃度が二酸化チタン換算で230g/m
3の条件で、熱加水分解することによりBET比表面積が40m
2/g、アナターゼ比が0.30の酸化チタン微粉末を製造した。
この酸化チタン微粉末100重量部を、ミキサーに入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら、n−オクタデシルトリメトキシシラン30重量部を滴下し、150℃で2時間加熱撹拌し、その後冷却することにより表面処理した。
得られた疎水性酸化チタン微粉末の疎水率は90%であった。
【0086】
この疎水性酸化チタン微粉末を10重量部採り、撹拌翼を有する容器に採った90重量部のメチルエチルケトンに、撹拌しながら加え、30分間撹拌を継続して均一な分散液を得た。
この分散液の一部に超音波ホモジナイザーを10分間作用させ、その一部を採取して粒子径分布を測定したところ、粒子径分布は60nm〜0.65μmであった。
また、撹拌後の分散液と更にホモジナイズ処理した分散液をそれぞれ透明なガラス容器に移し、静置して観察したが、1週間後も粒子の沈降と溶媒の分離は見られなかった。
また、上記の表面処理で得られた疎水性酸化チタン微粉末を20重量部採り、80重量部のメチルエチルケトンに同様にして撹拌後、超音波ホモジナイザーで分散させたところ、それぞれの処理時間を長くする必要がある場合があるが、上記と同様、粒子の沈降が見られず、安定な分散液が得られた。
【0087】
[実施例6]
ガス状の四塩化チタンを水素原子が混在する火炎中で、1,550℃の温度下、チタン濃度が二酸化チタン換算で15g/m
3の条件で、熱加水分解することによりBET比表面積が150m
2/g、アナターゼ比が0.95の酸化チタン微粉末を製造した。
この酸化チタン微粉末100重量部を、ミキサーに入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら、メチルハイドロジェンポリシロキサン25重量部を滴下し、250℃で1時間加熱撹拌し、その後冷却することにより表面処理した。
得られた疎水性酸化チタン微粉末の疎水率は95%であった。
【0088】
この疎水性酸化チタン微粉末を10重量部採り、撹拌翼を有する容器に採った90重量部のメチルエチルケトンに撹拌しながら加え、30分間撹拌を継続して均一な分散液を得た。
この分散液の一部に超音波ホモジナイザーを10分間作用させ、その一部を採取して粒子径分布を測定したところ、粒子径分布は50nm〜0.55μmであった。
また、撹拌後の分散液と更にホモジナイズ処理した分散液をそれぞれ透明なガラス容器に移し、静置して観察したが、1週間後も粒子の沈降と溶媒の分離は見られなかった。
また、上記の表面処理で得られた疎水性酸化チタン微粉末を20重量部採り、80重量部のメチルエチルケトンに同様にして撹拌後、超音波ホモジナイザーで分散させたところ、それぞれの処理時間を長くする必要がある場合があるが、上記と同様、1週間後も粒子の沈降と溶媒の分離は見られず、安定な分散液が得られた。
【0089】
[実施例7]
ガス状の四塩化チタンを水素原子が混在する火炎中で、1,100℃の温度下、チタン濃度が二酸化チタン換算で100g/m
3の条件で、熱加水分解することによりBET比表面積が100m
2/g、アナターゼ比が0.80の酸化チタン微粉末を製造した。
この酸化チタン微粉末100重量部を、ミキサーに入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら、ヘキサメチルジシラザン10重量部を滴下し、200℃で2時間加熱撹拌し、その後冷却した。更に得られた疎水性酸化チタン微粉末100重量部に対して、ジメチルポリシロキサン10重量部とn−ヘキサン30重量部の混合物を窒素雰囲気下で撹拌しながら滴下し、300℃で1時間加熱撹拌して、冷却することにより表面処理した。
得られた疎水性酸化チタン微粉末の疎水率は90%であった。
【0090】
この疎水性酸化チタン微粉末を10重量部採り、撹拌翼を有する容器に採った90重量部のメチルエチルケトンに撹拌しながら加え、30分間撹拌を継続して均一な分散液を得た。
この分散液の一部に超音波ホモジナイザーを10分間作用させ、その一部を採取して粒子径分布を測定したところ、粒子径分布は70nm〜0.45μmであった。
また、撹拌後の分散液と更にホモジナイズ処理した分散液をそれぞれ透明なガラス容器に移して、静置して観察したが、1週間後も粒子の沈降と溶媒の分離は見られなかった。
また、上記の表面処理で得られた疎水性酸化チタン微粉末を20重量部採り、80重量部のメチルエチルケトンに同様にして撹拌後、超音波ホモジナイザーで分散液を分散させたところ、それぞれの処理時間を長くする必要がある場合があるが、上記と同様、1週間後も粒子の沈降と溶媒の分離は見られず、安定な分散液が得られた。
【0091】
[比較例4]
実施例4で製造したBET比表面積が120m
2/gの酸化チタン微粉末は親水性を示している。これを表面処理することなく、10重量部採り、撹拌翼を有する容器に採った90重量部のメチルエチルケトンに撹拌しながら加え、30分間撹拌を継続して白色系の混合物を得た。
更に撹拌しながら、この一部を採取して静置したところ、一部の粒子の沈降が見られ、1時間後には溶媒の一部が上澄みとして分離し、十分な分散と安定化がなされていないことが観察された。
また、撹拌中に採取した一部の混合物に、超音波ホモジナイザーを10分間作用させ、静置して観察したところ、撹拌翼による混合と同様に、1から2時間後には粒子の沈降と溶媒の分離が見られた。
更に撹拌しているサンプルの一部を、ビーズミルの試料フォルダに投入し、混合液を循環しながら粉砕と分散を試みたが、1時間ミル処理した後のサンプルでも、ミルから取り出して静置すると、時間の経過とともに、1から2時間後には粒子の沈降と非極性溶媒の分離が明らかになった。
非極性有機溶媒として、酢酸エチル又はトルエンを用いた場合も同様の結果が得られた。
【0092】
[比較例5]
実施例5で製造したBET比表面積が40m
2/gの酸化チタン微粉末は親水性を示している。これを表面処理することなく、10重量部採り、撹拌翼を有する容器に採った90重量部の非極性溶媒であるメチルエチルケトンに撹拌しながら加え、30分間撹拌を継続して白色系の混合物を得た。
更に撹拌しながら、この一部を採取して静置したところ、一部の粒子の沈降が見られ、1時間後には溶媒の一部が上澄みとして分離し、十分な分散と安定化がなされていないことが観察された。
また、撹拌中に採取した一部の混合物に、超音波ホモジナイザーを10分間作用させ、静置して観察したところ、撹拌翼による混合と同様に、1から2時間後には粒子の沈降と溶媒の分離が見られた。
更に撹拌しているサンプルの一部を、ビーズミルの試料フォルダに投入し、混合液を循環しながら粉砕と分散を試みたが、1時間ミル処理した後のサンプルでも、ミルから取り出して静置すると、時間の経過とともに、1から2時間後には粒子の沈降と非極性溶媒の分離が明らかになった。
非極性有機溶媒として、酢酸エチル又はトルエンを用いた場合も同様の結果が得られた。
【0093】
[比較例6]
実施例6で製造したBET比表面積が150m
2/gの酸化チタン微粉末は親水性を示している。これを表面処理することなく、10重量部採り、撹拌翼を有する容器に採った90重量部のメチルエチルケトンに撹拌しながら加え、30分間撹拌を継続して白色系の混合物を得た。
更に撹拌しながら、この一部を採取して静置したところ、一部の粒子の沈降が見られ、1時間後には溶媒の一部が上澄みとして分離し、十分な分散と安定化がなされていないことが観察された。
また、撹拌中に採取した一部の混合物に、超音波ホモジナイザーを10分間作用させ、静置して観察したところ、撹拌翼による混合と同様に、1から2時間後には粒子の沈降と溶媒の分離が見られた。
更に撹拌しているサンプルの一部を、ビーズミルの試料フォルダに投入し、混合液を循環しながら粉砕と分散を試みたが、1時間ミル処理した後のサンプルでも、ミルから取り出して静置すると、時間の経過とともに、1から2時間後には粒子の沈降と非極性溶媒の分離が明らかになった。
非極性有機溶媒として、酢酸エチル又はトルエンを用いた場合も同様の結果が得られた。
【0094】
[比較例7]
実施例7で製造したBET比表面積が100m
2/gの酸化チタン微粉末は親水性を示している。これを表面処理することなく、10重量部採り、撹拌翼を有する容器に採った90重量部のメチルエチルケトンに撹拌しながら加え、30分間撹拌を継続して白色系の混合物を得た。
更に撹拌しながら、この一部を採取して静置したところ、一部の粒子の沈降が見られ、1時間後には溶媒の一部が上澄みとして分離し、十分な分散と安定化がなされていないことが観察された。
また、撹拌中に採取した一部の混合物に、超音波ホモジナイザーを10分間作用させ、静置して観察したところ、撹拌翼による混合と同様に、1から2時間後には粒子の沈降と溶媒の分離が見られた。
更に撹拌しているサンプルの一部を、ビーズミルの試料フォルダに投入し、混合液を循環しながら粉砕と分散を試みたが、1時間ミル処理した後のサンプルでも、ミルから取り出して静置すると、時間の経過とともに、1から2時間後には粒子の沈降と非極性溶媒の分離が明らかになった。
非極性有機溶媒として、酢酸エチル又はトルエンを用いた場合も同様の結果が得られた。
【0095】
上記の比較例4〜7の結果からも、親水性の酸化チタンは、非極性溶媒に安定して分散されにくいことが確認された。
【0096】
[参考例1]
実施例1,2,4で得られた分散液中に含まれるジルコニウム成分の分析を行った。
ジルコニウム成分の漏洩を防止するために、それぞれの分散液の溶媒を蒸発させ、サンプルを乾燥固化させたものを700℃で熱処理して固化させた試料を、SEM−EDXで観察すると共に、それぞれランダムに6点を選んで、その成分分析を行った。
その結果、ジルコニウム成分の量は検出限界以下の0.00%であり、実質的に検出されなかった。
即ち、酸化チタンを非極性有機溶媒に分散させる際に、粉砕媒体として一般的に用いられている安定化酸化ジルコニウムなどのボールあるいはビーズを用いるとジルコニウムによるコンタミが懸念されるが、本発明では、短時間の混合・分散時間で良好な分散結果が得られるため、分散液へのジルコニウムによるコンタミが、問題となる混入量ではないことが確認された。