(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0013】
まず、
図1〜
図3を参照して、本実施形態に係る積層コンデンサCの構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
図2は、素体の構成を示す分解斜視図である。
図3は、
図1におけるIII−III線に沿った断面構成を説明するための図である。
【0014】
図1に示されるように、積層コンデンサCは、誘電特性を有する素体Lと、素体Lの外表面に配置された、一対の端子電極1,2及び一対の外部接続導体3,4を備えている。
【0015】
素体Lは、
図1に示されるように、略直方体形状であり、その外表面として、対向する略長方形状の第一及び第二主面La,Lbと、対向する第一及び第二側面Lc,Ldと、対向する第三及び第四側面Le,Lfと、を有する。第一及び第二側面Lc,Ldは、第一及び第二主面間を連結するように第一及び第二主面La,Lbの短辺方向に伸びている。第三及び第四側面Le,Lfは、第一及び第二主面間を連結するように第一及び第二主面La,Lbの長辺方向に伸びている。素体Lは、隣り合う二つの面La,Lb,Lc,Ld,Le,Lfの間に位置する稜線部分を含んでいる。各稜線部分は、湾曲するように丸められており、いわゆるR面取り加工が施されている。
【0016】
端子電極1は、素体Lの第一側面Lcに配置されている。端子電極1は、第一側面Lc全面を覆うように、第一及び第二主面La,Lb並びに第三及び第四側面Le,Lfの端部(第一側面Lc側の端部)に亘って形成されている。端子電極2は、素体Lの第二側面Ldに配置されている。端子電極2は、第二側面Ld全面を覆うように、第一及び第二主面La,Lb並びに第三及び第四側面Le,Lfの端部(第二側面Ld側の端部)に亘って形成されている。一対の端子電極1,2は、第一及び第二側面Lc,Ldの対向方向に対向している。
【0017】
外部接続導体3は、素体Lの第三側面Leに配置されている。外部接続導体3は、第三側面Leの第一及び第二側面Lc,Ldの対向方向の略中央を、第一及び第二主面La,Lbの対向方向に沿って横断するように覆っている。外部接続導体3は、さらに第一及び第二主面La,Lbの第三側面Le側の端部の一部も覆っている。
【0018】
外部接続導体4は、素体Lの第四側面Lfに配置されている。外部接続導体4は、第四側面Lfの第一及び第二側面Lc,Ldの対向方向の略中央を、第一及び第二主面La,Lbの対向方向に沿って横断するように覆っている。外部接続導体4は、さらに第一及び第二主面La,Lbの第四側面Lf側の端部の一部も覆っている。一対の外部接続導体3,4は、第三及び第四側面Le,Lfの対向方向に対向している。
【0019】
端子電極1,2及び外部接続導体3,4は、たとえば導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストを素体Lの外表面に付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた電極及び導体の上にめっき層が形成されることもある。端子電極1,2及び外部接続導体3,4は、離間して配置されており、素体Lの表面上において互いに電気的に絶縁されている。
【0020】
積層コンデンサCでは、第一主面La又は第二主面Lbを、電子機器(たとえば、回路基板や電子部品など)に対する実装面として電子機器に実装する。素体Lの第二主面Lbが回路基板Bと対向するように積層コンデンサCを実装する場合、端子電極1,2を、回路基板B上に配置された配線パッドWP1,WP2に接続する。外部接続導体3,4は、回路基板B上に配置された配線パッドには接続されない。配線パッドWP1,WP2は、回路基板B上に形成された配線に接続されている。すなわち、端子電極1,2のみが配線と電気的に接続されることとなり、外部接続導体3,4は配線と電気的に接続されていない。外部接続導体3,4は、配線と電気的に絶縁されている配線パッドであれば、当該配線パッドに接続されていてもよい。
【0021】
素体Lは、
図2及び
図3に示されるように、第一及び第二主面La,Lbの対向方向に複数の誘電体層7が積層されて構成されている。素体Lでは、第一及び第二主面La,Lbの対向方向が、複数の誘電体層の積層方向(以下、単に「積層方向」と称する)である。各誘電体層7は、例えば誘電体セラミック(BaTiO
3系、Ba(Ti,Zr)O
3系、又は(Ba,Ca)TiO
3系等の誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体Lでは、各誘電体層7の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0022】
積層コンデンサCは、静電容量部11と、一対の等価直列抵抗制御部(以下、「ESR制御部」と称する)13,15と、を有している。一対のESR制御部13,15は、第一及び第二主面La,Lbの対向方向、すなわち積層方向で静電容量部11を挟んでいる。ESR制御部13は、静電容量部11と第一主面Laとの間に位置し、ESR制御部15は、静電容量部11と第二主面Lbとの間に位置している。静電容量部11が、積層コンデンサCの静電容量成分の形成に主として寄与する。
【0023】
静電容量部11は、複数の内部電極21及び複数の内部電極23を有している。静電容量部11は、これらの内部電極21,23が誘電体層7を介して配置されることにより形成されている。素体L内において、内部電極21と内部電極23とは、第一主面Laと第二主面Lbとの対向方向(積層方向)に間隔を有して対向するように交互に配置されている。
【0024】
各内部電極21は、
図4に示されるように、略矩形形状を呈した主電極部21aと、主電極部21aの一辺から延び第三側面Leに引き出されて露出する引出部21bと、を含んでいる。内部電極21は、素体L内に位置する各角部が湾曲するように丸められている。外部接続導体3は、各引出部21bの第三側面Leに露出した部分をすべて覆うように形成されており、引出部21bは、外部接続導体3に直接的に接続される。これにより、各内部電極21は、外部接続導体3を通して互いに電気的に接続されることとなる。
【0025】
各内部電極23は、
図4に示されるように、略矩形形状を呈すると共に主電極部21aと対向する主電極部23aと、主電極部23aの一辺から延び第四側面Lfに引き出されて露出する引出部23bと、を含んでいる。内部電極23も、素体L内に位置する各角部が湾曲するように丸められている。誘電体層7のうち、内部電極21の主電極部21aと内部電極23の主電極部23aとに重なる部分は、静電容量成分を実質的に生じさせる領域となる。外部接続導体4は、各引出部23bの第四側面Lfに露出した部分をすべて覆うように形成されており、引出部23bは、外部接続導体4に直接的に接続される。これにより、各内部電極23は、外部接続導体4を通して互いに電気的に接続されることとなる。
【0026】
ESR制御部13,15は、複数の内部接続導体31,33及び複数の内部電極35,37をそれぞれ有している。ESR制御部13,15は、これらの内部接続導体31,33及び内部電極35,37が誘電体層7を介して配置されることにより形成されている。素体L内において、内部接続導体31,33及び内部電極35,37は、第一主面Laと第二主面Lbとの対向方向(積層方向)に間隔を有して互いに対向するように配置されている。本実施形態では、内部接続導体31,33及び内部電極35,37は、第一主面Laから第二主面Lbに向かう方向で、内部接続導体31、内部電極37、内部電極35、内部接続導体33の順で配置されている。
【0027】
内部接続導体31は、
図5に示されるように、略矩形形状を呈した主導体部31aと、主導体部31aから第一方向に延びて第三側面Leに引き出されて露出する引出部31bと、第一側面Lcに引き出されて露出する引出部31cと、第二方向に延びて主導体部31aと引出部31cとを連結する連結部31dと、を含んでいる。連結部31dは、主導体部31aにおける第四側面Lf側の端部と、引出部31cにおける第四側面Lf側の端部と、に接続されている。すなわち、連結部31dは、主導体部31aにおける引出部31bから遠い側の端部に接続されている。第一方向は、第四側面Lfから第三側面Leに向かう方向である。第二方向は、第一側面Lcと第二側面Ldとが対向している方向である。内部接続導体31は、素体L内に位置する各角部が湾曲するように丸められている。
【0028】
外部接続導体3は、引出部31bの第三側面Leに露出した部分もすべて覆うように形成されており、引出部31bも、外部接続導体3に直接的に接続される。端子電極1は、引出部31cの第一側面Lcに露出した部分をすべて覆うように形成されており、引出部31cは、端子電極1に直接的に接続される。これにより、端子電極1と外部接続導体3とは、内部接続導体31を通して互いに電気的に接続されることとなる。内部接続導体31は、外部接続導体3を通して内部電極21と電気的に接続されることとなる。
【0029】
内部接続導体33は、
図5に示されるように、略矩形形状を呈した主導体部33aと、主導体部33aから第三方向に延びて第四側面Lfに引き出されて露出する引出部33bと、第二側面Ldに引き出されて露出する引出部33cと、第四方向に延びて主導体部33aと引出部33cとを連結する連結部33dと、を含んでいる。連結部33dは、主導体部33aにおける第三側面Le側の端部と、引出部33cにおける第三側面Le側の端部と、に接続されている。すなわち、連結部33dは、主導体部33aにおける引出部33bから遠い側の端部に接続されている。第三方向は、第一方向とは反対の方向であり、第三側面Leから第四側面Lfに向かう方向である。第四方向は、第二方向と同じであり、第一側面Lcと第二側面Ldとが対向している方向である。内部接続導体33は、素体L内に位置する各角部が湾曲するように丸められている。
【0030】
外部接続導体4は、引出部33bの第四側面Lfに露出した部分もすべて覆うように形成されており、引出部33bも、外部接続導体4に直接的に接続される。端子電極2は、引出部33cの第二側面Ldに露出した部分をすべて覆うように形成されており、引出部33cは、端子電極2に直接的に接続される。これにより、端子電極2と外部接続導体4とは、内部接続導体33を通して互いに電気的に接続されることとなる。内部接続導体33は、外部接続導体4を通して内部電極23と電気的に接続されることとなる。
【0031】
内部電極35は、
図6に示されるように、略矩形形状を呈した主電極部35aと、主電極部35aの一辺から延び第三側面Leに引き出されて露出する引出部35bと、を含んでいる。内部電極35は、素体L内に位置する各角部が湾曲するように丸められている。外部接続導体3は、各引出部35bの第三側面Leに露出した部分もすべて覆うように形成されており、引出部35bは、外部接続導体3に直接的に接続される。これにより、内部電極35は、外部接続導体3を通して、内部電極21と内部接続導体31とに電気的に接続されることとなる。内部電極21,35は、外部接続導体3のみに接続されている。
【0032】
内部電極37は、
図6に示されるように、略矩形形状を呈すると共に主電極部35aと対向する主電極部37aと、主電極部37aの一辺から延び第四側面Lfに引き出されて露出する引出部37bと、を含んでいる。内部電極37も、素体L内に位置する各角部が湾曲するように丸められている。外部接続導体4は、各引出部37bの第四側面Lfに露出した部分もすべて覆うように形成されており、引出部37bは、外部接続導体4に直接的に接続される。これにより、内部電極37は、外部接続導体4を通して、内部電極23と内部接続導体33とに電気的に接続されることとなる。内部電極23,37は、外部接続導体4のみに接続されている。
【0033】
誘電体層7のうち、内部接続導体31の主導体部31aと内部電極37の主電極部37aとに重なる部分、内部電極37の主電極部37aと内部電極35の主電極部35aとに重なる部分、及び内部電極35の主電極部35aと内部接続導体33の主導体部33aとに重なる部分は、静電容量成分を実質的に生じさせる領域となる。すなわち、本実施形態では、静電容量部11だけでなく、各ESR制御部13,15においても、静電容量成分が形成される。
【0034】
図5に示されるように、連結部31d,33dの第二方向(第四方向)での長さl
31d,l
33dは、引出部31b,33bの第一方向(第三方向)での長さl
31b,l
33bよりも長い。連結部31d,33dの第二方向(第四方向)に直交する方向での幅w
31d,w
33dは、主導体部31a,33aの第二方向(第四方向)に直交する方向での幅w
31a,w
33aよりも狭い。
【0035】
引出部31c,33cの第二方向(第四方向)に直交する方向での幅w
31c,w
33cは、連結部31d,33dの幅w
31d,w
33dよりも広い。本実施形態では、引出部31c,33cの幅w
31c,w
33cは、主導体部31a,33aの幅w
31a,w
33aと同等である。
【0036】
内部接続導体31は、素体L内に位置する輪郭の一部として、積層方向から見て第三側面Leに臨む輪郭部分P1を有している。この輪郭部分P1は、主導体部31a、連結部31d、及び主導体部31aと連結部31dとで成す角部のそれぞれの輪郭からなる。すなわち、輪郭部分P1は、
図7に示されるように、主導体部31aの輪郭である直線部分P1aと、連結部31dの輪郭である直線部分P1bと、主導体部31aと連結部31dとで成す角部の輪郭である線部分P1cと、からなる。
【0037】
角部の輪郭である線部分P1cは、直線部分P1a,P1bがそれぞれ延びる方向から外れる方向に延びて、直線部分P1aと直線部分P1bとを連結している。本実施形態では、線部分P1cは、上述したように湾曲している。角部は、積層方向から見て、引出部31bが引き出された第三側面Leに臨んでいる。
【0038】
線部分P1cの曲率が変わることにより、直線部分P1aと線部分P1cの連結位置及び直線部分P1bと線部分P1cの連結位置が変わることとなる。これにより、
図7に示されるように、内部接続導体31における端子電極1と外部接続導体3との間の電流経路CP1の長さが変わることとなる。たとえば、
図7の(a)に示されるように、線部分P1cの曲率が
小さくなると、電流経路CP1の長さは短くなり、
図7の(c)に示されるように、線部分P1cの曲率が
大きくなると、電流経路CP1の長さは長くなる。
【0039】
内部接続導体33は、素体L内に位置する輪郭の一部として、積層方向から見て第四側面Lfに臨む輪郭部分P2を有している。この輪郭部分P2は、主導体部33a、連結部33d、及び主導体部33aと連結部33dとで成す角部のそれぞれの輪郭からなる。すなわち、輪郭部分P2は、
図8に示されるように、主導体部33aの輪郭である直線部分P2aと、連結部33dの輪郭である直線部分P2bと、角部の輪郭である線部分P2cと、からなる。
【0040】
角部の輪郭である線部分P2cは、直線部分P2a,P2bがそれぞれ延びる方向から外れる方向に延びて、直線部分P2aと直線部分P2bとを連結している。本実施形態では、線部分P2cは、上述したように湾曲している。主導体部33aと連結部33dとで成す角部は、積層方向から見て、引出部33bが引き出された第四側面Lfに臨んでいる。
【0041】
線部分P2cの曲率が変わることにより、直線部分P2aと線部分P2cの連結位置及び直線部分P2bと線部分P2cの連結位置が変わることとなる。これにより、
図8に示されるように、内部接続導体33における端子電極2と外部接続導体4との間の電流経路CP2の長さが変わることとなる。たとえば、
図8の(a)に示されるように、線部分P2cの曲率が
小さくなると、電流経路CP2の長さは短くなり、
図8の(c)に示されるように、線部分P2cの曲率が
大きくなると、電流経路CP2の長さは長くなる。
【0042】
図7の(a)に示された内部接続導体31が採用されると共に、
図8の(a)に示された内部接続導体33が採用された積層コンデンサCは、
図7の(b)に示された内部接続導体31が採用されると共に、
図8の(b)に示された内部接続導体33が採用された積層コンデンサCよりも、電流経路CP1の長さの差に起因して、ESRが低い値に調整される。
図7の(c)に示された内部接続導体31が採用されると共に、
図8の(c)に示された内部接続導体33が採用された積層コンデンサCは、
図7の(b)に示された内部接続導体31が採用されると共に、
図8の(b)に示された内部接続導体33が採用された積層コンデンサCよりも、電流経路CP1の長さの差に起因して、ESRが高い値に調整される。
【0043】
以上のように、本実施形態では、静電容量部11において内部電極21,23が対応する外部接続導体3,4にのみ接続され、ESR制御部13,15において内部接続導体31,33が対応する端子電極1,2及び外部接続導体3,4にそれぞれ接続されている。したがって、内部電極21,23が並列に接続された外部接続導体3,4が端子電極1,2に直列に接続されるので、積層コンデンサCでは、対応する端子電極にすべての内部電極が並列接続されている積層コンデンサと比較して高ESRが実現される。
【0044】
ところで、本実施形態では、内部接続導体31において、輪郭部分P1に含まれる直線部分P1a,P1bと線部分P1cとの連結位置が調整されることにより、端子電極1と外部接続導体3との間の電流経路CP1の長さが変わることとなる。同様に、内部接続導体33において、輪郭部分P2に含まれる直線部分P2a,P2bと線部分P2cとの連結位置が調整されることにより、端子電極2と外部接続導体4との間の電流経路CP2の長さが変わることとなる。これらにより、積層コンデンサCのESRが調整されて、所望の値に設定される。電流経路CP1,CP2が長くなることにより、ESRが高い値に調整され、電流経路CP1,CP2が短くなることにより、ESRが低い値に調整される。したがって、積層コンデンサCでは、内部接続導体31,33において、輪郭部分P1と輪郭部分P2とに含まれる直線部分P1a,P1b,P2a,P2bと線部分P1c,P2cとの連結位置が調整されるという極めて簡易な構成にて、ESRの微調整を精度良く行うことができる。
【0045】
内部接続導体31,33における線部分P1c,P2c近傍には、積層コンデンサC製造工程、特にグリーンシートの積層工程において、空気が残り易く、空隙が生じやすい。近傍に空隙が生じている線部分P1c,P2cは、内部構造欠陥の起点になる。これに対して、線部分P1c,P2cが湾曲していることにより、グリーンシートの積層工程において空気が残り難くなり、空隙が生じるのを抑制することができる。したがって、線部分P1c,P2cが内部構造欠陥の起点となるのを防ぐことができる。
【0046】
線部分P1c,P2cが湾曲している場合、線部分P1c,P2cの曲率が変わることにより、直線部分P1a,P1b,P2a,P2bと線部分P1c,P2cとの連結位置が調整されることとなる。線部分P1c,P2cの曲率が
大きくなることにより、電流経路CP1,CP2が長くなって、ESRが高い値に調整され、線部分P1c,P2cの曲率が
小さくなることにより、電流経路CP1,CP2が短くなって、ESRが低い値に調整される。
【0047】
連結部31d,33dの長さl
31d,l
33dは、引出部31b,33bの長さl
31b,l
33bよりも長い。連結部31d,33dの幅w
31d,w
33dは、主導体部31a,33aの幅w
31a,w
33aよりも狭い。したがって、内部接続導体31,33の連結部31d,33dにおいて、電流経路が絞られることとなり、より高いESRを得ることができる。
【0048】
引出部31c,33cの幅w
31c,w
33cは、連結部31d,33dの幅w
31d,w
33dよりも広い。これにより、内部接続導体31,33と端子電極1,2との接続面積が増加することとなり、内部接続導体31,33と端子電極1,2との電気的接続をより一層確実に確保することができる。
【0049】
ESR制御部13,15は、積層方向において静電容量部11を間に挟むように互いに離れて配置されている。これにより、積層コンデンサCを実装する際の積層方向での方向性がなくなり、実装の作業性を向上させることができる。
【0050】
続いて、
図9〜
図14を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの構成を説明する。
図9〜
図14は、本実施形態の変形例における内部接続導体を示す平面図である。
【0051】
本変形例においては、積層コンデンサCは、ESR制御部13,15が
図9〜
図14に示された内部接続導体31,33を有している。内部接続導体31と内部接続導体33とは、線部分P1c,P2cの曲率が異なっている。すなわち、内部接続導体31と内部接続導体33とは、直線部分P1a,P1bと線部分P1cの連結位置と直線部分P2a,P2bと線部分P2cの連結位置とが異なっている。
【0052】
図9に示された変形例に係る積層コンデンサCでは、内部接続導体31として、
図7の(b)に示された内部接続導体31が採用され、内部接続導体33として、
図8の(a)に示された内部接続導体33が採用されている。
図10に示された変形例に係る積層コンデンサCでは、内部接続導体31として、
図7の(a)に示された内部接続導体31が採用され、内部接続導体33として、
図8の(b)に示された内部接続導体33が採用されている。
図9に示された変形例に係る積層コンデンサCと
図10に示された変形例に係る積層コンデンサCとでは、ESRが同等である。
【0053】
図11に示された変形例に係る積層コンデンサCでは、内部接続導体31として、
図7の(c)に示された内部接続導体31が採用され、内部接続導体33として、
図8の(a)に示された内部接続導体33が採用されている。
図12に示された変形例に係る積層コンデンサCでは、内部接続導体31として、
図7の(a)に示された内部接続導体31が採用され、内部接続導体33として、
図8の(c)に示された内部接続導体33が採用されている。
図11に示された変形例に係る積層コンデンサCと
図12に示された変形例に係る積層コンデンサCとでは、ESRが同等である。
【0054】
図13に示された変形例に係る積層コンデンサCでは、内部接続導体31として、
図7の(c)に示された内部接続導体31が採用され、内部接続導体33として、
図8の(b)に示された内部接続導体33が採用されている。
図14に示された変形例に係る積層コンデンサCでは、内部接続導体31として、
図7の(b)に示された内部接続導体31が採用され、内部接続導体33として、
図8の(c)に示された内部接続導体33が採用されている。
図13に示された変形例に係る積層コンデンサCと
図14に示された変形例に係る積層コンデンサCとでは、ESRが同等である。
【0055】
図9〜
図14に示された内部接続導体31,33を有している積層コンデンサCでは、
図9に示された変形例に係る積層コンデンサC(
図10に示された変形例に係る積層コンデンサC)、
図11に示された変形例に係る積層コンデンサC(
図12に示された変形例に係る積層コンデンサC)、
図13に示された変形例に係る積層コンデンサC(
図14に示された変形例に係る積層コンデンサC)、の順にESRが高い値に調整される。
【0056】
図9に示された変形例に係る積層コンデンサC(
図10に示された変形例に係る積層コンデンサC)は、内部接続導体31として、
図7の(a)に示された内部接続導体31が採用されると共に、内部接続導体33として、
図8の(a)に示された内部接続導体33が採用された積層コンデンサCよりも、ESRが高い値に調整される。
図13に示された変形例に係る積層コンデンサC(
図14に示された変形例に係る積層コンデンサC)は、内部接続導体31として、
図7の(c)に示された内部接続導体31が採用されると共に、内部接続導体33として、
図8の(c)に示された内部接続導体33が採用された積層コンデンサCよりも、ESRが低い値に調整される。
【0057】
本変形例では、輪郭部分P1における直線部分P1a,P1bと線部分P1cの連結位置と、輪郭部分P2における直線部分P2a,P2bと線部分P2cの連結位置と、が異なっている。これにより、ESRの微調整をより一層精度良く行うことができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0059】
内部接続導体31,33の形状は、
図7〜
図14に示された形状に限られない。内部接続導体31,33の形状は、たとえば、
図15及び
図16に示されるような形状であってもよい。
図15に示された内部接続導体31,33は、連結部31d,33dの第一方向(第三方向)での位置、すなわち、連結部31d,33dの第三側面Leと第四側面Lfとの対向方向での位置に関して、
図7〜
図14に示された内部接続導体31,33と相違する。
図16に示された内部接続導体31,33は、連結部31d,33dの幅w
31d,w
33dが引出部31c,33cの幅w
31c,w
33c及び主導体部31a,33aの幅w
31a,w
33aと同等である点で、
図7〜
図14に示された内部接続導体31,33と相違する。
図15に示された内部接続導体31,33においても、
図7〜
図14に示されるように、線部分P1c,P2cの曲率(直線部分P1a,P1bと線部分P1cの連結位置と直線部分P2a,P2bと線部分P2cの連結位置)が異なることにより、ESRの値が所望の値に微調整される。
【0060】
線部分P1c,P2cの曲率は、
図7〜
図14に示された曲率に限られることなく、ESRの所望の値に応じて設定される。また、線部分P1c,P2cの形状は、湾曲した形状に限られることなく、直線状であってもよい。この場合でも、線部分P1cは、直線部分P1a,P1bがそれぞれ延びる方向から外れる方向に延びて、直線部分P1aと直線部分P1bとを連結し、線部分P2cは、直線部分P2a,P2bがそれぞれ延びる方向から外れる方向に延びて、直線部分P2aと直線部分P2bとを連結する。
【0061】
本実施形態及び変形例に係る積層コンデンサCは、一対のESR制御部13,15を有しているが、これに限られない。積層コンデンサCは、一対のESR制御部13,15のうちいずれか一方のみを備えていてもよい。