特許第6064410号(P6064410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6064410
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/02 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   E02F9/02 B
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-167279(P2012-167279)
(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公開番号】特開2014-25292(P2014-25292A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 誠一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆典
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−216084(JP,A)
【文献】 特開平10−119836(JP,A)
【文献】 特開平10−236346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/02
B62D 17/00−25/08,25/14−29/04,55/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械本体の下側に、走行可能な下部走行体を備えた作業機械であって、
前記下部走行体は、
前記機械本体を支持するカーボディと、
クローラを支持し、前記カーボディの両側の各々に支持機構を介して着脱可能に取り付けられる一対のクローラフレームと、
を備え、
前記支持機構は、
前記カーボディ側に設けられた内連結部と、
前記クローラフレーム側に設けられた外連結部と、
を有し、
前記内連結部は、
板面の一方を側方に向けた状態で前記カーボディに溶接される支持プレートと、
前記支持プレートと直交した状態で溶接され、板面間を貫通する連結孔を有する連結プレートと、
前記連結プレート及び前記支持プレートに直交した状態で、前記内連結部の下端部分に溶接された補強プレートと、
を有し、
前記外連結部は、孔部が設けられた板面を有するブラケットを有し、
前記連結プレートの板面と前記ブラケットの板面とが向い合わされ、前記連結孔と前記孔部に挿入される連結軸を介して前記連結プレートと前記ブラケットとは連結され、
前記補強プレートが、
前記支持プレートに沿って延びた基部と、
前記基部と直交し、前記連結プレートの下側に沿って延びた延出部と、
を有し
前記延出部の横幅が前記連結プレートの厚み以下であり、当該延出部が当該連結プレートの両側からはみ出ないように設けられている作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記延出部の付け根部分に、前記基部に向かって末広がりに広がるフランジ部が設けられている作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械に関し、その中でも特に、下部走行体におけるカーボディの溶接構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に、本発明の比較例となる油圧ショベル50(作業機械の一例)を示す。この油圧ショベル50では、クローラ型の下部走行体51の上に、機械本体52が旋回自在に設置されている。なお、前後や上下左右等は、特に言及しない限り図示の方向に従う。
【0003】
機械本体52の前部には、オペレータが搭乗して操作を行うキャブ53や、その操作に応じて作業動作を行うアタッチメント54が設置されている。機械本体52の後部に設置されているのは、アタッチメント54との間で前後のバランスを調整するカウンターウエイト55であり、カウンターウエイト55の前側に設置されているのは機械室56である。機械室56の内部には、下部走行体51やアタッチメント54を駆動制御するエンジンや油圧機器等が設置されている。
【0004】
図2に、下部走行体51の部分を示す。下部走行体51は、機械本体52を旋回機構61を介して支持するカーボディ62と、カーボディ62の両側の各々に着脱可能に取り付けられた一対のクローラ体63,63とで構成されている。
【0005】
カーボディ62は、必要な強度を確保しながら軽量化を図るために、複数の金属板を溶接して箱形状に形成された閉断面構造となっている。旋回ベアリング等からなる旋回機構61はカーボディ62の中央部に設置されている。カーボディ62の前後の端部の各々には、カーボディ62を持ち上げることができる一対のジャッキ装置64,64が収納可能に設けられている。
【0006】
カーボディ62は上面から見て略X字状の外観を有し、カーボディ62の両側部の各々に、その前後の両端部分の各々から側方に張り出す張出部62aが設けられている。
【0007】
各クローラ体63は、前後方向に長いクローラフレーム65と、クローラフレーム65の周囲を周回するように駆動されるクローラ66とを有している。各クローラ体63は、カーボディ62の両側の各々に支持機構70を介して取り付けられている。
【0008】
図3に、支持機構70の部分を拡大して示す。支持機構70は、連結部71と規制プレート72とを有し、クローラフレーム65の内側部分と、カーボディ62の前後各々の張出部62aの突端部分との間の4箇所に設けられている。これら支持機構70はいずれも同じ構造であり、左右対称状に配置されている。
【0009】
各連結部71は、カーボディ62側に設けられた内連結部73と、クローラフレーム65側に設けられた外連結部74とを有している。
【0010】
各外連結部74は、クローラフレーム65の内側壁65aから突出する一対の板状のブラケット74a,74aを含み、各内連結部73に対応して配置されている(図5参照)。一対のブラケット74a,74aは、内側壁65aと直交して互いに前後に対向するように配置されている。各ブラケット74aには、板面を前後方向に貫通し、互いに対向して位置するクローラ側連結孔75が形成されている。
【0011】
クローラフレーム65における前後の外連結部71の間の部分には、軸挿入装置76が設置されている。軸挿入装置76には、2つの油圧シリンダ77が前後逆向きに設置されており、各油圧シリンダ77のロッドの先端には、連結軸78が設けられている。
【0012】
規制プレート72は、クローラフレーム65に設けられている。各規制プレート72は、クローラフレーム65から張り出して、各外連結部71の上方に位置している。
【0013】
図4に示すように、内連結部73は、カーボディ62とは別に形成され、カーボディ62に後付けされている。カーボディ62と内連結部73とを別々に製造すれば、これら両者の製造が容易になり、生産性が向上するからである。
【0014】
内連結部73は、支持プレート81、連結プレート82、補強プレート83などで構成されており、カーボディ62の張出部62aの突端部分に取り付けられている。
【0015】
具体的には、張出部62aの突端部分には、四方が板材で囲まれた平坦な端面84が側方に面するように形成されている。支持プレート81は、矩形板状の金属板材である。張出部62aの端面84を塞ぐように、支持プレート81は張出部62aに溶接して固定されている。
【0016】
連結プレート82は、厚みの大きな金属板材であり、側方に面する支持プレート81の表面に溶接して固定されている。連結プレート82は、支持プレート81に直交した状態で、その表面における前後方向の略中央部分を上下方向に延びるように配置されている。
【0017】
連結プレート82の前後方向に面する板面には、これら板面間を貫通するボディ側連結孔85が形成されている。ボディ側連結孔85は、連結プレート82の大きく張り出した下側部分に位置している。
【0018】
クローラ体63をカーボディ62に取り付ける際には、まず、クレーン等で吊り上げられたクローラ体63が、ジャッキ装置64で持ち上げられたカーボディ62の側部に運ばれる。そうして、前後の各連結プレート82が、これらに対応して位置している一対のブラケット74a,74aの間に入れ込まれる。
【0019】
ボディ側連結孔85及びクローラ側連結孔75の双方が前後方向に重なるように位置決めされた後、軸挿入装置76が作動され、これら連結孔85,75の双方に連結軸78が挿入される。両連結孔85,75に連結軸78が挿入されることで内連結部73と外連結部74とが連結される。
【0020】
クローラ体63がカーボディ62に連結され、ジャッキ装置64でカーボディ62が持ち上げられた状態では、クローラ体63は、カーボディ62の下側に回り込むように傾き、規制プレート72は、カーボディ62から離れて位置している。カーボディ62を下ろすことにより、クローラ体63が地面に受け止められて連結軸78まわりに回動し、規制プレート72がカーボディ62に突き当たる。そうすることにより、各クローラ体63は、適切な状態でカーボディ62の両側部に支持される。
【0021】
従って、支持機構70には、図5の(a)に矢印で示すように、自重や作業時の負荷などにより、連結軸78を中心に大きな力のモーメントが作用する。また、図5の(b)に矢印で示すように、下部走行体51の走行時の負荷などにより、前後方向にも大きな力が作用する。そのため、連結プレート82の付け根部分、特に連結プレート82の下端部分には、極めて大きな応力が集中する傾向がある。
【0022】
この油圧ショベル50の場合、連結プレート82の一方の側端が支持プレート81に片持ち支持されており、支持プレート81と連結プレート82とが略T字状の構造になっている。そのため、構造的に連結プレート82の固定部位の強度に難があり、その強度を高めたいという要望がある。
【0023】
そこで、この油圧ショベル50では、内連結部73の下端部分に補強プレート83が取り付けられている。
【0024】
図5に示すように、連結時には、連結プレート82の両側に、密着するようにブラケット74a,74aが位置し、これらブラケット74a,74aが支持プレート81の近くまで入り込む。従って、補強プレート83は、ブラケット74aと接触しないように設置する必要がある。
【0025】
そのため、ブラケット74aの下方に残る小さなスペースに設置できるように、補強プレート83は細長い形状に形成され、支持プレート81との溶接量が大きくなるように、支持プレート81に沿って延びるように取り付けられている。
【0026】
下部走行体の基本的な構造に関しては、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2010−216084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
上述した比較例の油圧ショベル50のように、内連結部73の下端部分に補強プレート83を取り付けても、補強プレート83と連結プレート82との間の溶接部位Wは、連結プレートの厚み分しか溶接幅がないため、溶接量が少ないうえに、連結プレート82の付け根部分に位置している。そのため、その溶接部位Wに応力が集中してクラックが発生するおそれがある。
【0029】
そこで、本発明の目的は、支持プレートに連結プレートをより安定して取り付けることができ、支持安定性に優れた作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明に係る作業機械は、機械本体の下側に、走行可能な下部走行体を備える。前記下部走行体は、前記機械本体を支持するカーボディと、クローラを支持し、前記カーボディの両側の各々に支持機構を介して着脱可能に取り付けられる一対のクローラフレームと、を備える。前記支持機構は、前記カーボディ側に設けられた内連結部と、前記クローラフレーム側に設けられた外連結部と、を有している。前記内連結部は、板面の一方を側方に向けた状態で前記カーボディに溶接される支持プレートと、前記支持プレートと直交した状態で溶接され、板面間を貫通する連結孔を有する連結プレートと、前記連結プレート及び前記支持プレートに直交した状態で、前記内連結部の下端部分に溶接された補強プレートと、を有している。前記外連結部は、孔部が設けられた板面を有するブラケットを有している。前記連結プレートの板面と前記ブラケットの板面とが向い合わされ、前記連結孔と前記孔部に挿入される連結軸を介して前記連結プレートと前記ブラケットとは連結される。そして、前記補強プレートが、前記支持プレートに沿って延びた基部と、前記基部と直交し、前記連結プレートの下側に沿って延びた延出部と、を有している。
【0031】
このように構成された作業機械によれば、内連結部の下側部分に溶接される補強プレートが、支持プレートに沿って延びた基部と、連結プレートの下側に沿って延びた延出部とを有しているので、溶接量の少ない補強プレートと連結プレートとの溶接部位を、連結プレートの付け根部分から離れさせ、力のモーメントの中心である連結軸に近づいた位置に移動させることができる。
【0032】
その結果、強度の弱い溶接部位に作用する応力を緩和させることができ、支持プレートに連結プレートをより安定して取り付けることができる。
【0033】
しかも、延出部は連結プレートに沿って延びているため、延出部の全体が撓み変形して応力が分散する。その結果、強度の弱い溶接部位に作用する応力をよりいっそう緩和することができる。
【0034】
特に、前記延出部の横幅は、前記連結プレートの厚み以下にするのが好ましい。
【0035】
そうすれば、延出部が連結プレートの両側からはみ出すことがないため、外連結部と接触することなく、延出部を自在に延ばすことができる。
【0036】
また、前記延出部の付け根部分に、前記基部に向かって末広がりに広がるフランジ部を設けるとよい。
【0037】
そうすれば、補強プレートに上下方向や前後方向に力が作用して、補強プレートが撓み変形する場合には、延出部の中間部分から変形し易くなる。従って、補強プレートにおける支持プレートとの溶接部位及び連結プレートとの溶接部位のいずれの溶接部位に対しても、応力が集中するのを抑制できる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、支持プレートに連結プレートをより安定して取り付けることができるので、支持安定性に優れた作業機械が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】比較例の作業機械を示す概略側面図である。
図2図1の作業機械の下部走行体の部分を示す概略斜視図である。
図3図2において矢印Xが示す部分の概略平面図である。
図4】内連結部の概略組み付け図である。
図5】(a)は、図3において矢印Yが示す部分の概略断面図である。(b)は、(a)の矢印Z1の方向から見た概略図である。
図6】本実施形態の作業機械の要部を示す、図4に相当する概略図である。
図7】内連結部の概略組み付け図である。
図8】内連結部の概略斜視図である。
図9】本実施形態の支持機構を示す、図5に相当する概略図である。(b)は、(a)の矢印Z2の方向から見た概略図である。
図10】支持機構の変形例を示す概略図である。(b)は、(a)の矢印Z3の方向から見た概略図である。
図11】作業機械の変形例を示す、図3に相当する概略図である。
図12】作業機械の変形例を示す、図9に相当する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0041】
図6に、本発明を適用した作業機械1の要部を示す。なお、支持機構の部分を除けば、本発明の作業機械1の基本的構成、例えば、下部走行体や機械本体、キャブ、アタッチメント、カウンターウエイト、機械室、カーボディ、クローラ体等については、上述した比較例の作業機械50と同じである。従って、同じ構成については同じ符号を用いてその説明は省略する。
【0042】
この作業機械1の支持機構10においても、基本的構成は比較例の支持機構70と同様である。例えば、この支持機構10も、連結部71と規制プレート72とを有しており、クローラフレーム65の内側部分と、カーボディ62の前後各々の張出部62aの突端部分との間の4箇所に、左右対称状に配置されている。
【0043】
更に、各連結部71が、カーボディ62側に設けられた内連結部73と、クローラフレーム65側に設けられた外連結部74とを有している点や、各外連結部74が、クローラ側連結孔75が形成された一対の板状のブラケット74aからなる点、前後の外連結部74の間に軸挿入装置76が設置されている点なども同じである。
【0044】
更に、この支持機構10でも、図6に示したように、内連結部73は、カーボディ62とは別に形成され、カーボディ62に後付けされている。支持プレート81、連結プレート82、補強プレート11などで構成された内連結部73が、カーボディ62の張出部62aの突端部分の端面84に溶接して固定されている。
【0045】
支持プレート81及び連結プレート82についても、基本的な構成は比較例と同じであるが、連結プレート82の下部及び補強プレート11の構成が比較例と異なっている。
【0046】
詳しくは、図7に示すように、この連結プレート82の下端部には、支持プレート81側の部分を所定の深さで切り欠かいた切欠部12が形成されている。
【0047】
補強プレート11は、一体に形成された基部11aや延出部11b、フランジ部11cなどで構成されている。
【0048】
基部11aは、支持プレート81に溶接して固定される部分であり、比較例の補強プレート83と同じく、連結時にブラケット74aの下方に残る小さなスペースに設置できるように、細長い形状に形成されている。
【0049】
延出部11bは、基部11aの長手方向の中央部位から突出し、基部11aと直交する方向に延びている。この支持機構10の場合、延出部11bは、ボディ側連結孔85の下側まで、詳しくは、延出部11bの延出方向に鉛直方向からボディ側連結孔85を投影した場合に、投影されたボディ側連結孔85と重なる領域に先端が入り込む状態になるまで延出部11bが延びている。延出部11bの横幅は、連結プレート82の厚み(板厚)と同等あるいはそれ以下であり、切欠部12に嵌合するように形成されている。
【0050】
フランジ部11cは、この延出部11bにおける基部11aとの付け根部分の両側に各々設けられている。フランジ部11cは、基部11aに向かって末広がりに広がっており、延出部11bの基部11a側の端部は、基部11aに近づくにつれて横幅寸法が次第に大きくなっている。
【0051】
このような形状に形成された補強プレート11は、基部11aが支持プレート81に沿って前後方向に延び、延出部11bが切欠部12に嵌め込まれ、連結プレート82の下側に沿って延びるように、連結された状態の支持プレート81及び連結プレート82に取り付けられる。
【0052】
そうして、図8に示すように、補強プレート11の周囲が溶接され、補強プレート11は、支持プレート81及び連結プレート82に固定されている。
【0053】
この支持機構10の場合、図9に示すように、延出部11bが連結プレート82の両側からはみ出すことなく、連結プレート82の下側に沿って設けられているので、外連結部74を連結しても接触することはない。
【0054】
そして、溶接量の少ない補強プレート11と連結プレート82との溶接部位Wが、連結プレート82の付け根部分を離れて力のモーメントの中心である連結軸78に近づいて位置するため、溶接部位Wに作用する応力を緩和することができる。
【0055】
しかも、延出部11bが連結プレート82に沿って延びているため、延出部11bの全体が撓み変形し、溶接部位Wに作用する応力がよりいっそう緩和される。
【0056】
更に、延出部11bの付け根部分には、基部11aに向かって末広がりに広がるフランジ部11cが設けられているので、補強プレート11に上下方向や前後方向に力が作用して補強プレート11が撓み変形する場合には、延出部11bの中間部分から変形し易くなっている。従って、補強プレート11における支持プレート81との溶接部位及び連結プレート82との溶接部位Wのいずれの溶接部位に対しても、応力が集中するのを抑制できる。
【0057】
なお、本発明にかかる作業機械は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0058】
例えば、図10に示すように、延出部11bを連結プレート82の突端部分まで延ばしてもよい。また、切欠部12は必須ではなく、補強プレート11を連結プレート82の下側に接合してもよい。
【0059】
この場合、連結プレート82に切欠部12を設けなくてもよいため、連結プレート82を作製し易くなる。また、延出部11bを切欠部12に嵌め込む必要がなくなるため、延出部11bの突端部分は、連結プレート82からはみ出してもよくなり、補強プレート11の加工時の負担も軽減できる。
【0060】
また、図11及び図12に示すように、上述した作業機械1とは逆に、内連結部73に一対の連結プレート82,82が設けられ、外連結部74にこれら連結プレートの間に入れ込まれる1つのブラケット74aが設けられている機種にも適用できる。
【0061】
この場合、負荷が半減するので、各連結プレート82に取り付けられる各補強プレート11Aは、基部11aの長さを上述した補強プレート11よりも短く形成してもよい。例えば、図12の(b)に示すように、各補強プレート11Aは、延出部11bが基部11aの端部から突出した、略L字形状に形成することができる。
【0062】
このとき、延出部11bから側方にはみ出した基部11aの部分は、図示のように両連結プレート82,82の間に配置してもよいし、両連結プレート82,82の外側に配置させてもよい。
【0063】
また、この場合、両連結プレート82,82の間に延出部11bがはみ出ないようにすることを条件に、延出部11bの横幅は、連結プレート82の厚みより大きくしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 作業機械
10 支持機構
11 補強プレート
11a 基部
11b 延出部
11c フランジ部
51 下部走行体
52 機械本体
62 カーボディ
65 クローラフレーム
66 クローラ
71 連結部
73 内連結部
74 外連結部
74a ブラケット
75 クローラ側連結孔(孔部)
78 連結軸
81 支持プレート
82 連結プレート
83 補強プレート
85 ボディ側連結孔(連結孔)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12