特許第6064425号(P6064425)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6064425太陽電池パネルの設置架台、及び、太陽電池パネルの設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6064425
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】太陽電池パネルの設置架台、及び、太陽電池パネルの設置方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/10 20140101AFI20170116BHJP
【FI】
   H02S20/10 C
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-177424(P2012-177424)
(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公開番号】特開2014-34830(P2014-34830A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】土屋 幸三郎
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 仁
(72)【発明者】
【氏名】笹原 大介
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 洋一
【審査官】 多田 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−238665(JP,A)
【文献】 特開2009−302123(JP,A)
【文献】 特開2010−261257(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0017526(US,A1)
【文献】 特開2012−069929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/10、20/30
H01L 31/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルを支持する支持部材と、
前記支持部材を支持する支柱と、
前記支柱と前記支持部材を接続する接続部材と、
を備え、
前記接続部材は、第1締結部材により前記支柱に締結される第1接続部材と、前記第1締結部材の軸方向と交差する方向を軸方向とする第2締結部材により前記第1接続部材に締結されると共に前記支持部材を受ける第2接続部材とを備え、前記第2接続部材における前記支持部材の受け面の位置を前記支柱の軸方向に調整可能であり、
前記第1接続部材は前記第1締結部材を回転中心として前記支柱に対して傾斜可能であり、前記第2接続部材は前記第2締結部材を回転中心として前記支柱に対して傾斜可能であり、
前記第1接続部材と前記第2接続部材は、各部材に設けられた挿通孔に挿通される前記第2締結部材により締結され、
前記第2接続部材に設けられた前記挿通孔は前記支柱の軸方向に延びた長孔であり、
前記第2接続部材の側面であり前記挿通孔の周囲には、前記支柱の軸方向に沿う凹凸部が設けられ、
前記第2接続部材の前記側面と前記第2締結部材の間に介在するワッシャに設けられた凹凸部と前記第2接続部材の側面に設けられた前記凹凸部とが嵌合した状態で、前記第1接続部材と前記第2接続部材が前記第2締結部材により締結される、
ことを特徴とする太陽電池パネルの設置架台。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池パネルの設置架台であって、
前記支持部材は、前記太陽電池パネルを受けるパネル支持部材と、前記パネル支持部材を受けると共に前記第2接続部材に固定され、且つ、前記パネル支持部材の長手方向と交差する方向に沿って設置される基礎部材と、を備え、
前記パネル支持部材に対する前記太陽電池パネルの位置を固定する第1固定部材は、前記パネル支持部材の長手方向に移動可能であり、
前記基礎部材に対する前記パネル支持部材の位置を固定する第2固定部材は、前記基礎部材の長手方向に移動可能である、
ことを特徴とする太陽電池パネルの設置架台。
【請求項3】
請求項2に記載の太陽電池パネルの設置架台であって、
前記第1固定部材と前記第2固定部材はそれぞれボルトとナットを有し、
前記基礎部材と前記パネル支持部材には、前記ボルト又は前記ナットを回転不能に保持する収容部が各部材の長手方向に沿って設けられ、
前記収容部内の前記ボルト又は前記ナットに、前記支柱が接続された側とは反対側からナット又はボルトが螺合される、
ことを特徴とする太陽電池パネルの設置架台。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の太陽電池パネルの設置架台であって、
前記第2接続部材に対する前記基礎部材の位置が第3固定部材により固定され、
前記第2固定部材と前記第3固定部材はそれぞれ押圧部材とボルトとナットを有し、
前記パネル支持部材の底部にその長手方向に沿って設けられた溝部に前記押圧部材の一部が嵌合した状態で、前記押圧部材と前記基礎部材の各挿通孔に挿通された前記ボルトを前記ナットで締め付けることにより、前記基礎部材に対する前記パネル支持部材の位置を前記押圧部材が押圧固定し、
前記基礎部材の底部にその長手方向に沿って設けられた溝部に前記押圧部材の一部が嵌合した状態で、前記押圧部材と前記第2接続部材の各挿通孔に挿通された前記ボルトを前記ナットで締め付けることにより、前記第2接続部材に対する前記基礎部材の位置を前記押圧部材が押圧固定する、
ことを特徴とする太陽電池パネルの設置架台。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の太陽電池パネルの設置架台に太陽電池パネルを設置する方法であって、
地盤に前記支柱を設置する工程と、
前記第1締結部材により前記支柱に前記第1接続部材を締結した後に、前記第2締結部材により前記第1接続部材に前記第2接続部材を締結する工程と、
前記第2接続部材に前記支持部材を取付ける工程と、
前記支持部材に太陽電池パネルを取付ける工程と、
を備えることを特徴とする太陽電池パネルの設置方法。
【請求項6】
請求項5に記載の太陽電池パネルの設置方法であって、
前記太陽電池パネルが所定の姿勢で支持されるように、前記第1接続部材と前記第2接続部材の傾斜を調整する工程と、
前記地盤から前記第2接続部材の前記受け面までの高さが所定の高さとなるように、前記第2接続部材の前記受け面の位置を前記支柱の軸方向に調整する工程と、
を備えることを特徴とする太陽電池パネルの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネルの設置架台、及び、太陽電池パネルの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題や省エネルギーの観点から太陽光発電の需要が高まっている。特許文献1には、切妻屋根の一方の面に太陽電池パネルを敷設可能とし、他方の面にバランス鋼板を付設可能とすることで、均衡バランスの取れる太陽電池パネルの据付架台が記載されている。近年では、特許文献1のように住宅やビル等の建物に太陽電池パネルが取り付けられるだけでなく、都市部から離れた未使用の広大な土地に多数の太陽電池パネルが設置され、大規模な太陽光発電も実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−124665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、太陽電池パネルの設置架台は、ベースから立設する支柱に、太陽電池パネルを支持する支持部材が接続部材を介して取り付けられる構成となっている。但し、支柱の高さにばらつきが生じていたり、支柱が傾斜していたりすると、例えば、接続部材と支持部材の各面をしっかりと当接させることが出来ずに太陽電池パネルの支持が不安定になったり、太陽電池パネルが傾いて取り付けられたりしてしまう。特に、未使用の土地に太陽電池パネルを設置する場合、その土地の形状や支柱を打ち込む際の施工誤差によって、支柱高さのばらつきや支柱の傾斜が発生しやすい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、支柱高さのばらつきや支柱傾斜による不具合を解消することのできる太陽電池パネルの設置架台、及び、太陽電池パネルの設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための太陽電池パネルの設置架台は、
太陽電池パネルを支持する支持部材と、
前記支持部材を支持する支柱と、
前記支柱と前記支持部材を接続する接続部材と、
を備え、
前記接続部材は、第1締結部材により前記支柱に締結される第1接続部材と、前記第1締結部材の軸方向と交差する方向を軸方向とする第2締結部材により前記第1接続部材に締結されると共に前記支持部材を受ける第2接続部材とを備え、前記第2接続部材における前記支持部材の受け面の位置を前記支柱の軸方向に調整可能であり、
前記第1接続部材は前記第1締結部材を回転中心として前記支柱に対して傾斜可能であり、前記第2接続部材は前記第2締結部材を回転中心として前記支柱に対して傾斜可能であり、
前記第1接続部材と前記第2接続部材は、各部材に設けられた挿通孔に挿通される前記第2締結部材により締結され、
前記第2接続部材に設けられた前記挿通孔は前記支柱の軸方向に延びた長孔であり、
前記第2接続部材の側面であり前記挿通孔の周囲には、前記支柱の軸方向に沿う凹凸部が設けられ、
前記第2接続部材の前記側面と前記第2締結部材の間に介在するワッシャに設けられた凹凸部と前記第2接続部材の側面に設けられた前記凹凸部とが嵌合した状態で、前記第1接続部材と前記第2接続部材が前記第2締結部材により締結される、
ことを特徴とする。
このような太陽電池パネルの設置架台によれば、支柱高さのばらつきや支柱傾斜による不具合を解消することができ、太陽電池パネルを所定の姿勢及び高さで安定して支持することができる。
また、長孔に対する第2締結部材の位置を調整することで、第2接続部材における支持部材の受け面の位置を支柱の軸方向に調整することができる。
また、第2接続部材が第2締結部材に対して下方にずれ落ちてしまうことを抑制し、第2接続部材における支持部材の受け面の位置を所定の高さに保持することができる。
【0009】
かかる太陽電池パネルの設置架台であって、前記支持部材は、前記太陽電池パネルを受けるパネル支持部材と、前記パネル支持部材を受けると共に前記第2接続部材に固定され、且つ、前記パネル支持部材の長手方向と交差する方向に沿って設置される基礎部材と、を備え、前記パネル支持部材に対する前記太陽電池パネルの位置を固定する第1固定部材は、前記パネル支持部材の長手方向に移動可能であり、前記基礎部材に対する前記パネル支持部材の位置を固定する第2固定部材は、前記基礎部材の長手方向に移動可能である、ことを特徴とする。
このような太陽電池パネルの設置架台によれば、各部材の固定位置の調整代が大きいため、施工効率を高めることができる。例えば、支柱や支持部材が所定の位置からずれて配置されたとしても、そのずれを直すことなく各部材を固定することができ、太陽電池パネルを適正に配置することができる。
【0010】
かかる太陽電池パネルの設置架台であって、前記第1固定部材と前記第2固定部材はそれぞれボルトとナットを有し、前記基礎部材と前記パネル支持部材には、前記ボルト又は前記ナットを回転不能に保持する収容部が各部材の長手方向に沿って設けられ、前記収容部内の前記ボルト又は前記ナットに、前記支柱が接続された側とは反対側からナット又はボルトが螺合される、ことを特徴とする。
このような太陽電池パネルの設置架台によれば、基礎部材やパネル支持部材の上方からボルトとナットを締め付けることができ、施工効率を高めることができる。
【0011】
かかる太陽電池パネルの設置架台であって、前記第2接続部材に対する前記基礎部材の位置が第3固定部材により固定され、前記第2固定部材と前記第3固定部材はそれぞれ押圧部材とボルトとナットを有し、前記パネル支持部材の底部にその長手方向に沿って設けられた溝部に前記押圧部材の一部が嵌合した状態で、前記押圧部材と前記基礎部材の各挿通孔に挿通された前記ボルトを前記ナットで締め付けることにより、前記基礎部材に対する前記パネル支持部材の位置を前記押圧部材が押圧固定し、前記基礎部材の底部にその長手方向に沿って設けられた溝部に前記押圧部材の一部が嵌合した状態で、前記押圧部材と前記第2接続部材の各挿通孔に挿通された前記ボルトを前記ナットで締め付けることにより、前記第2接続部材に対する前記基礎部材の位置を前記押圧部材が押圧固定する、ことを特徴とする。
このような太陽電池パネルの設置架台によれば、各部材の固定位置の調整代が大きいため、施工効率を高めることができる。例えば、支柱や支持部材が所定の位置からずれて配置されたとしても、そのずれを直すことなく各部材を固定することができ、太陽電池パネルを適正に配置することができる。
【0012】
かかる太陽電池パネルの設置架台に太陽電池パネルを設置する方法であって、地盤に前記支柱を設置する工程と、前記第1締結部材により前記支柱に前記第1接続部材を締結した後に、前記第2締結部材により前記第1接続部材に前記第2接続部材を締結する工程と、前記第2接続部材に前記支持部材を取付ける工程と、前記支持部材に太陽電池パネルを取付ける工程と、を備えることを特徴とする太陽電池パネルの設置方法である。
このような太陽電池パネルの設置方法によれば、地盤に凹凸が生じていたり、支柱の打ち込み誤差が生じたりした場合にも、太陽電池パネルを所定の姿勢及び高さで安定して支持することができる。
【0013】
かかる太陽電池パネルの設置方法であって、前記太陽電池パネルが所定の姿勢で支持されるように、前記第1接続部材と前記第2接続部材の傾斜を調整する工程と、前記地盤から前記第2接続部材の前記受け面までの高さが所定の高さとなるように、前記第2接続部材の前記受け面の位置を前記支柱の軸方向に調整する工程と、を備えることを特徴とする太陽電池パネルの設置方法である。
このような太陽電池パネルの設置方法によれば、支柱高さのばらつきや支柱傾斜による不具合を解消することができ、太陽電池パネルを所定の姿勢及び高さで安定して支持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、支柱高さのばらつきや支柱傾斜による不具合を解消して、太陽電池パネルを設置架台に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1Aは太陽電池パネルの設置架台をX方向から見た側面図であり、図1Bは設置架台を上方から見た平面図である。
図2図2Aは設置架台1の斜視図であり、図2Bは第1接続部材の斜視図であり、図2Cは第2接続部材の斜視図である。
図3図3Aは設置架台1をX方向から見た側面図であり、図3Bは基礎部材を短手方向に切った断面図である。
図4図4Aは設置架台1をY方向から見た側面図であり、図4Bはパネル支持部材を短手方向に切った断面図である。
図5図5Aは押圧部材の断面図及び平面図であり、図5Bは中間固定具の断面図及び平面図であり、図5Cは端部固定具の断面図及び平面図である。
図6図6Aから図6Cは支柱高さのばらつきや支柱傾斜が生じているときの調整方法の説明図である。
図7A】基礎部材の設置位置にずれが生じているときの調整方法の説明図である。
図7B】パネル支持部材30の設置位置にずれが生じているときの調整方法の説明図である。
図7C】支柱の設置位置にずれが生じているときの調整方法の説明図である。
図7D】支柱の設置位置にずれが生じているときの調整方法の説明図である。
図8】太陽電池パネル2の設置方法を示すフローである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、太陽電池パネルの設置架台、及び、太陽電池パネルの設置方法の一例について図を用いて詳細に説明する。
【0017】
===太陽電池パネルの設置架台===
図1Aは、太陽電池パネル2の設置架台1をX方向から見た側面図であり、図1Bは、設置架台1を上方から見た平面図である。図2Aは、設置架台1(一部)の斜視図であり、図2Bは、第1接続部材41の斜視図であり、図2Cは、第2接続部材42の斜視図である。図3Aは、設置架台1(一部)をX方向から見た側面図であり、図3Bは、基礎部材20を短手方向に切った断面図である。図4Aは、設置架台1(一部)をY方向から見た側面図であり、図4Bは、パネル支持部材30を短手方向に切った断面図である。図5Aは、押圧部材71,81の断面図及び平面図であり、図5Bは、中間固定具91の断面図及び平面図であり、図5Cは、端部固定具92の断面図及び平面図である。図6Aから図6Cは、支柱高さのばらつきや支柱傾斜が生じているときの調整方法の説明図であり、図7Aから図7Dは、支柱10等の設置位置にずれが生じているときの調整方法の説明図である。
【0018】
太陽電池パネル2は、表面に多数の太陽電池素子が配列された長方形の板状部材であり、太陽光の照射を受けると電力を発生する。太陽電池パネル2の出力はバッテリ(不図示)に接続されており、太陽電池パネル2で発生した電力はバッテリに蓄えられる。
【0019】
太陽電池パネル2の設置架台1は、支柱10と、基礎部材20と、パネル支持部材30と、支柱10と基礎部材20を接続し且つ第1接続部材41と第2接続部材42からなる接続部材40と、各部材を接続する第1取付部材50から第5取付部材90と、を有する。本実施形態では、図1Bに示すように、4本の支柱10と、2本の基礎部材20と、4本のパネル支持部材30により、X方向に3枚、Y方向に4枚(計12枚)の太陽電池パネル2が設置される設置架台1を例に挙げる。但し、支柱10や太陽電池パネル2等の数や設置方法はこれに限らない。
【0020】
支柱10は、ベース(地盤や建物の屋根等)から上下方向(支柱10の軸方向)の上方に立設した部材である。本実施形態では、図1Bに示すように、X方向に並ぶ2本の支柱10の組をY方向に2組並べる場合を例に挙げる。一般に、太陽電池パネル2は、発電効率が高まるように、太陽光の照射角度や隣接する太陽電池パネルとの位置関係等に応じて、水平面に対して所定の角度に傾斜して設置される。図1Aでは、Y方向の奥側の支柱10bよりも手前側の支柱10aを短くし、Y方向の奥側が手前側よりも高くなるように太陽電池パネル2が傾斜して設置されている。但し、これに限らず、太陽電池パネル2を水平に設置してもよい。
【0021】
また、支柱10は、中空の四角柱形状をなし、図2A図4Aに示すように、第1接続部材41の一部が支柱10の内部に挿入可能な形状をなしている。また、支柱10が有する面のうちY方向に対向する一対の面の上方には、支柱10と第1接続部材41を締結するボルト51を挿通する為の挿通孔101が設けられている。なお、支柱10の形状は四角柱に限らず、例えば円柱でもよい。また、支柱10が中空でなくてもよい。その場合、例えば、第1接続部材41の下部が支柱10を挟み込む構造にするとよい。
【0022】
基礎部材20は、同一断面形状(図3B)の長尺部材であり、図1Bに示すように、長手方向がX方向に沿うように、X方向に並ぶ2本の支柱10に対して1本の基礎部材20が接続部材40を介して取付けられる。その結果、2本の基礎部材20は互いに平行に配設される。また、基礎部材20は、空洞を有する略四角柱の部材であり、図3Bに示すように、上部201と、底部202と、上部201と底部202を繋ぎ短手方向(Y方向)に対向する一対の側壁203と、その側壁203を繋ぎ上部201と底部202の間に位置する中底部204と、側壁203よりも内側で上部201と中底部204を繋ぎ短手方向に対向する一対の内側壁205と、中底部204と底部202を繋ぐ補強部206と、を有する。
【0023】
基礎部材20の底部202は側壁203よりも外側に延び、底部202の短手方向の両端部には上方に突出した突出部21が設けられている。そのため、突出部21と側壁203との間に溝部A1が形成される。溝部A1及び突出部21は基礎部材20の長手方向の一端部から他端部に亘って形成されている。
【0024】
基礎部材20の上部201には、基礎部材20とパネル支持部材30を締結するボルト82(フランジ付き六角ボルト)の軸を挿通する為の挿通孔22が設けられている。また、上部201と中底部204と内側壁205により、ボルト82の頭とフランジ(つば)を収容する収容部A2,A3が形成されている。内側壁205は上下方向の中央部にて短手方向の内側に向かって90度曲がっており、収容部A2,A3の断面がT字形状をなしている。即ち、下方の収容部A3よりも上方の収容部A2の方が短手方向の幅が広くなっており、上方の収容部A2にボルト82のフランジが収容され、下方の収容部A3にボルト82の頭が収容される。下方の収容部A3はボルト82のフランジよりも幅が狭くなっているため、上方の収容部A2でフランジが引っ掛かり、基礎部材20内でのボルト82の落下が防止される。そのため、締結時にボルト82を上方に引っ張る必要がなく、施工効率を高めることができる。また、ボルト82の軸が挿通される挿通孔22はフランジよりも幅が狭くなっているため、基礎部材20の向きを変えたときにも基礎部材20からのボルト82の落下が防止される。
【0025】
また、収容部A2,A3はボルト82(頭,フランジ)を回転不能に保持する。そのために、ボルト82の頭,ブランジの径に応じて収容部A2,A3の短手方向の幅が設計されている。また、収容部A2,A3内のボルト82に上側(支柱10が接続された側とは反対側)からナット83が螺合される。従って、締結時にボルト82の頭を下から固定しなくても、基礎部材20の上方からボルト82とナット83を締め付けることができ、施工効率を高めることができる。
【0026】
図2Aに示すように、基礎部材20の長手方向における端部は開放されており、この開放部からボルト82の頭を収容部A2,A3に収容しつつ、挿通孔22からボルト82の軸を上方に突出させる。また、基礎部材20の上部201に設けられた挿通孔22、及び、収容部A2,A3は、基礎部材20の長手方向における一端部から他端部に亘って形成されている。そのため、ボルト82を基礎部材20の長手方向に沿って移動させることができる。なお、収容部A2,A3にナット83を収容し、収容部A2,A3内のナット83に上側からボルト82を螺合させてもよいが、収容部A2,A3にボルト82の頭を収容する方が、ボルト82の軸を持ってボルト82を移動させることができ、施工効率を高めることができる。
【0027】
パネル支持部材30は、同一断面形状(図4B)の長尺部材であり、図1Bに示すように長手方向がY方向に沿うように基礎部材20上に基礎部材20と交差して(本実施形態では直交して)取付けられ、4本のパネル支持部材30が互いに平行に配設される。パネル支持部材30の断面形状(図4B)は基礎部材20の断面形状(図3B)と類似しており、パネル支持部材30も、上部301と、底部302と、短手方向(X方向)に対向する一対の側壁303と、中底部304と、内側壁305と、を有する。
【0028】
また、基礎部材20と同様に、パネル支持部材30の底部302の短手方向の両端部には上方に突出した突出部31が設けられ、突出部31と側壁303との間の溝部B1が長手方向の一端部から他端部に亘って形成されている。また、パネル支持部材30には、上部301に、パネル支持部材30と太陽電池パネル2を締結するボルト93(フランジ付き六角ボルト)の軸を挿通する為の挿通孔32が設けられ、また、ボルト93の頭とフランジを収容する収容部B2,B3が設けられている。この挿通孔32と収容部B2,B3も長手方向における一端部から他端部に亘って形成されている。そのため、パネル支持部材30の長手方向の端部からボルト93を収容しつつ、ボルト93をパネル支持部材30の長手方向に沿って移動させることができる。また、収容部B2,B3は、ボルト93(頭,フランジ)を回転不能に保持し、収容部B2,B3内のボルト93に上側(支柱10が接続された側とは反対側)からナット94が螺合される。そのため、パネル支持部材30の上方からボルト93にナット94を締め付けることができ、施工効率を高めることができる。なお、収容部B2,B3にナット94を収容してもよい。
【0029】
なお、基礎部材20、及び、パネル支持部材30は、軽量材料(アルミニウム、アルミニウム合金、樹脂等)を押し出し成形で製造したものとする。そうすることで、図3B図4Bに示すように空洞を有する複雑な断面形状である部材20,30であっても容易に製造することができる。また、基礎部材20及びパネル支持部材30に空洞を設け、且つ、基礎部材20及びパネル支持部材30を軽量材料で製造することで、部材の運搬性や、設置架台1の施工効率を向上させることができる。なお、他の部材(支柱10や接続部材41等)も軽量材料で製造してもよい。また、基礎部材20にはパネル支持部材30よりも大きな荷重がかかるので、補強部206が設けられている。そのため、軽量化の為に基礎部材20に空洞を設けても、曲がり変形やせん断変形を抑制することができる。なお、パネル支持部材30に補強部を設けてもよい。
【0030】
接続部材40は、図2Aに示すように、支柱10に取付けられる第1接続部材41と、基礎部材20を受けると共に第1接続部材41に取付けられる第2接続部材42と、を有する。
【0031】
第1接続部材41は、図2Bに示すように、下部が湾曲した略直方体形状の部材であり、中央の一部分が縦方向(Y方向)にくり貫かれている。そのくり貫き部分の下方には、支柱10と第1接続部材41を締結するボルト51を挿通する為の挿通孔411が縦方向に貫通して設けられている。その挿通孔411よりも上方には、横方向(X方向)における両側面から外側に突出した突出部412が設けられており、一方の突出部412から他方の突出部412に向かって横方向に貫通する挿通孔413が設けられている。この挿通孔413に、第1接続部材41と第2接続部材42を締結するボルト61が挿通される。
【0032】
第1接続部材41は、図4Aに示すように、支柱10と第1接続部材41を締結するボルト51及びナット52(第1締結部材)を回転中心として、支柱10に対して傾斜可能(回動可能)である。即ち、第1接続部材41は、X方向における一端部が他端部よりも上方に位置するように傾斜することができる。ただし、第1接続部材41の傾斜が大きくなると、図4Aに示すように、支柱10が第2接続部材42に接触してしまう。そのため、支柱10のX方向における外側の側面と第2接続部材42のX方向における内側の側面との間の範囲内で、第1接続部材41は傾斜することができる。なお、図4Aでは、第1接続部材41に対して支柱10を傾斜させた図となっている。
【0033】
第2接続部材42は、図2Cに示すように、上部421と、横方向(X方向)に対向する一対の側壁422の3面で構成されている。第2接続部材42の上部421には、第2接続部材42に基礎部材20を締結するボルト72を挿通する為の挿通孔425であり、上下方向に貫通する挿通孔425が2つ設けられている。この2つの挿通孔425は、Y方向に所定の間隔を隔てて並び、2つの挿通孔425の間に基礎部材20が配設される。また、図4Aに示すように、一対の側壁422で第1接続部材41を挟み込むようにして、第2接続部材42は第1接続部材41に取り付けられる。一対の側壁422には、それぞれ、第1接続部材41と第2接続部材42を締結するボルト61を挿通する為の挿通孔423であり、上下方向(支柱10の軸方向)に延びた長孔423が設けられている。また、第2接続部材42の各側壁422の外側の面(側面)であり長孔423の周囲には、上下方向に複数の凹凸が並ぶ凹凸部424が設けられている。
【0034】
第1接続部材41と第2接続部材42は、図4Aに示すように、第1接続部材41の挿通孔413と第2接続部材42の長孔423にX方向に沿って挿通されるボルト61と、そのボルト61に螺合するナット62(第2締結部材)により締結される。このとき、第2接続部材42の長孔423に対するボルト61の位置を調整することで、第1接続部材41及び支柱10に対する第2接続部材42の位置を上下方向に調整することができる。即ち、第2接続部材42における基礎部材20の受け面421の位置を上下方向に調整することができる。
【0035】
また、第2接続部材42は、図3Aに示すように、第1接続部材41と第2接続部材42を締結するボルト61を回転中心として、支柱10及び第1接続部材41に対して傾斜可能(回動可能)である。詳しくは、第2接続部材42は、Y方向における一端部が他端部よりも上方に位置するように傾斜することができる。また、第2接続部材42には縦方向(Y方向)に対向する一対の側壁が無く開放されているため、第2接続部材42が傾斜しても第1接続部材41と第2接続部材42は干渉しない。従って、第2接続部材42は第1接続部材41に比して大きく傾斜することができる。
【0036】
第1取付部材50は、支柱10に第1接続部材41を取付けるためのものであり、ボルト51とナット52を有する。支柱10の挿通孔101と第1接続部材41の挿通孔411にY方向に沿ってボルト51を挿通し、そのボルト51にナット52を螺合させて締め付けることで、支柱10に第1接続部材41が締結される。なお、ボルトとナットを締結するときにワッシャを介在させてもよいし、フランジ付きのボルトやナットを使用してもよい。
【0037】
第2取付部材60は、第1接続部材41に第2接続部材42を取付けるためのものであり、ボルト61と、ナット62と、ワッシャ63を有する。第2接続部材42の側壁422(側面)とボルト61の頭又はナット62との間にワッシャ63を介在させる。また、ワッシャ63には、第2接続部材42の凹凸部424に嵌合可能な凹凸部が設けられている。そして、第2接続部材42の凹凸部424とワッシャ63の凹凸部とを嵌合させた状態で、第1接続部材41の挿通孔413と第2接続部材42の長孔423にX方向に沿ってボルト61を挿通し、そのボルト61にナット62を螺合させて締め付けることで、第1接続部材41に第2接続部材42が締結される。
【0038】
このように、第2接続部材42の凹凸部424とワッシャ63の凹凸部を嵌合させた状態で、第1接続部材41と第2接続部材42を締結することで、第1接続部材41及びボルト61に対して第2接続部材42が下方にずれ落ちてしまうことを抑制できる。従って、太陽電池パネル2を所定の姿勢及び高さに保持することができる。なお、第2接続部材42における基礎部材20の受け面の高さを調整する為に、第2接続部材42の挿通孔423を長孔にするに限らず、例えば、第1接続部材41の挿通孔411,413を長孔にしてもよいし、支柱10の挿通孔101を長孔にしてもよいし、複数の挿通孔を長孔にしてもよい。
【0039】
第3取付部材70(第3固定部材)は、第2接続部材42に対する基礎部材20の位置を固定するためのものであり、押圧部材71(図5A)と、ボルト72と、ナット73を有する。押圧部材71は、略直方体形状の部材であり、下面に溝部C1が設けられている。溝部C1は、押圧部材71の横方向における一端部711よりも内側に位置し、縦方向の一端部から他端部に亘って設けられている。この溝部C1は、基礎部材20(図3B)の突出部21に嵌合可能であり、押圧部材71の一端部711は、基礎部材20の溝部A1に嵌合可能である。また、押圧部材71には、上下方向に貫通する挿通孔712が設けられている。
【0040】
そして、図3Aに示すように、基礎部材20の底部202にその長手方向に沿って設けられた溝部A1に押圧部材71の一部である一端部711を嵌合させ、また、基礎部材20の突出部21を押圧部材71の溝部C1に嵌合させた状態で、第2接続部材42の上部の挿通孔425と押圧部材71の挿通孔712に上下方向に沿ってボルト72を挿通し、そのボルト72にナット73を螺合させて締め付ける。そうすると、第2接続部材42の上部とナット73に挟み込まれた押圧部材71(一端部711)が上方から基礎部材20の底部(溝部A1)を押圧固定する。その結果、第2接続部材42に対する基礎部材20の位置が固定される。なお、基礎部材20の短手方向における両端部が押圧部材71により固定される。
【0041】
第4取付部材80(第2固定部材)は、基礎部材20に対するパネル支持部材30の位置を固定するためのものであり、押圧部材81(図5A)と、ボルト82と、ナット83を有する。第4取付部材80による取付方法は第3取付部材70による取付方法と同じであり、押圧部材81の構造も同じである。つまり、パネル支持部材30の底部302にその長手方向に沿って設けられた溝部B1に押圧部材81の一端部811を嵌合させ、また、パネル支持部材30の突出部31を押圧部材81の溝部C1に嵌合させた状態で、基礎部材20の上部(挿通孔22)から突出したボルト82の軸を押圧部材81の挿通孔812に挿通し、そのボルト82にナット83を螺合させて締め付ける。そうすると、基礎部材20の上部とナット83に挟み込まれた押圧部材81(一端部811)が上方からパネル支持部材30の底部(溝部B1)を押圧固定する。その結果、基礎部材20に対するパネル支持部材30の位置が固定される。なお、パネル支持部材30の短手方向における両端部が押圧部材81により固定される。
【0042】
第5取付部材90(第1固定部材)は、パネル支持部材30に対する太陽電池パネル2の位置を固定するためのものであり、中間固定具91(図5B)と、端部固定具92(図5C)と、ボルト93と、ナット94を有する。各固定具91,92は、上部91a,92aと、上部91a,92aの横方向における一端側から下方に延びる側壁91b,92bと、を有する。上部91a,92aの下面には横方向の他端側に、太陽電池パネル2の角部に沿う切欠き部(角部C2,C4)が設けられている。また、中間固定具91では上部91aが側壁91bよりも横方向の一端側に延び、上部91aと側壁91bにより太陽電池パネル2の角部に沿う角部C3が形成されている。また、中間固定具91及び端部固定具92には上下方向に貫通する挿通孔912,922がそれぞれ設けられている。
【0043】
そして、ある太陽電池パネル2よりもY方向の一方側に太陽電池パネル2が存在しない場合、その太陽電池パネル2のY方向の一方側の角部に端部固定具92の角部C4が合わされ、パネル支持部材30の上部(挿通孔32)から突出するボルト93の軸が端部固定具92の挿通孔922に挿通され、そのボルト93にナット94が螺合されて締め付けられる。一方、ある太陽電池パネル2よりもY方向の一方側に太陽電池パネル2が存在する場合、その太陽電池パネル2のY方向の一方側の角部に中間固定具91の角部C2が合わされ、パネル支持部材30の上部から突出するボルト93の軸が中間固定具91の挿通孔912に挿通され、そのボルト93にナット94が螺合されて締め付けられる。その結果、太陽電池パネル2は、パネル支持部材30の上部301と中間固定具91又は端部固定具92との間に挟み込まれ、パネル支持部材30に対する太陽電池パネル2の位置が固定される。
【0044】
以上のように、本実施形態の設置架台1は、太陽電池パネル2を支持する支持部材、即ち、太陽電池パネル2を受けるパネル支持部材30と、パネル支持部材30を受けると共に第2接続部材42に固定され、且つ、パネル支持部材30の長手方向と交差する方向(本実施形態では直交する方向)に沿って設置される基礎部材20と、支持部材20,30を支持する支柱10と、支柱10と支持部材20,30を接続する接続部材40と、を備える。
【0045】
そして、接続部材40は、ボルト51及びナット52(第1締結部材)により支柱10に締結される第1接続部材41と、そのボルト51及びナット52の軸方向(Y方向)と交差する方向(X方向)を軸方向とするボルト61及びナット62(第2締結部材)により第1接続部材41に締結されると共に基礎部材20を受ける第2接続部材42と、を備え、第2接続部材42における基礎部材20の受け面(上部421)の位置を上下方向(支柱の軸方向)に調整可能である。また、第1接続部材41は、Y方向を軸方向とするボルト51及びナット52を回転中心として、支柱10に対してX方向に傾斜可能であり、第2接続部材42は、X方向を軸方向とするボルト61及びナット62を回転中心として、支柱10に対してY方向に傾斜可能である。
【0046】
図6Aは、支柱10のX方向の右端が左端よりも下方に傾斜して設置された場合を示す図である。この状態で何れの調整も行わないと、図6Aの左図に示すように、第2接続部材42の上部421に基礎部材20の底部202を面接触させることができなかったり、第2接続部材42に基礎部材20をしっかりと固定することができなかったりして、第2接続部材42による基礎部材20の支持が不安定になってしまう。その他、基礎部材20がX方向(水平面)に対して傾斜し、パネル支持部材30や太陽電池パネル2を所定の姿勢で支持することができなくなってしまう。
【0047】
しかし、本実施形態の設置架台1では、Y方向を軸方向とするボルト51を回転中心として、第1接続部材41が傾斜可能である。そのため、支柱10の傾斜方向と反対方向に第1接続部材41を傾斜させることで、図6Aの右図に示すように、第2接続部材42の上部421を水平にすることができる。従って、第2接続部材42の上部421と基礎部材20の底部202を面接触させ、第2接続部材42に基礎部材20をしっかりと固定することができ、第2接続部材42による基礎部材20の支持を安定させることができる。また、基礎部材20をX方向に水平に設置することができ、パネル支持部材30や太陽電池パネル2を所定の姿勢で支持することができる。
【0048】
図6Bは、支柱10のY方向の奥側端部が手前側端部よりも下方に傾斜して設置された場合を示す図である。この状態で何れの調整も行わないと、図6Bの左図に示すように、第2接続部材42の上部421に基礎部材20の底部202を面接触させることができなかったり、第2接続部材42に基礎部材20をしっかりと固定することができなかったりして、第2接続部材42による基礎部材20の支持が不安定になってしまう。その他、基礎部材20が所定の角度とは異なる角度でY方向(水平面)に対して傾斜し、パネル支持部材30や太陽電池パネル2を所定の姿勢で支持することができなくなってしまう。
【0049】
しかし、本実施形態の設置架台1では、X方向を軸方向とするボルト61を回転中心として、第2接続部材42が傾斜可能である。そのため、支柱10の傾斜方向と反対方向に第2接続部材42を傾斜させることで、図6Bの右図に示すように、第2接続部材42の上部421を水平にすることができる。従って、第2接続部材42の上部421に基礎部材20の底部202を面接触させ、第2接続部材42に基礎部材20をしっかりと固定することができ、第2接続部材42による基礎部材20の支持を安定させることができる。
【0050】
また、本実施形態では、第2接続部材42に基礎部材20が締結された後、図1Aに示すように、基礎部材20の上に、パネル支持部材30をY方向(水平面)に対して傾斜させて設置する。この時も、太陽電池パネル2の傾斜角度に応じて、ボルト61を回転中心として第2接続部材42を傾斜させることで、基礎部材20の上部201にパネル支持部材30の底部302を面接触させ、基礎部材20にパネル支持部材30をしっかりと固定することができ、また、パネル支持部材30を所定の角度で傾斜させて設置することができる。
【0051】
図6Cは、支柱10の高さがばらついた場合を示す図である。この状態で何れの調整も行わないと、図6Cの左図に示すように、第2接続部材42の上部421に基礎部材20の底部202を面接触させることができなかったり、第2接続部材42に基礎部材20をしっかりと固定することができなかったりして、第2接続部材42による基礎部材20の支持が不安定になってしまう。その他、基礎部材20がX方向(水平面)に対して傾斜し、パネル支持部材30や太陽電池パネル2を所定の姿勢で支持することができなくなってしまう。
【0052】
しかし、本実施形態の設置架台1では、第2接続部材42の長孔423により、第2接続部材42の上下方向の位置(高さ)を調整することができる。そのため、高さの低い支柱10に取付けられた第2接続部材42の位置を上方にずらすことで、図6Cの右図に示すように、第2接続部材42の上部421に基礎部材20の底部202を面接触させ、第2接続部材42に基礎部材20をしっかりと固定することができ、第2接続部材42による基礎部材20の支持を安定させることができる。また、基礎部材20をX方向に水平に設置することができ、パネル支持部材30や太陽電池パネル2を所定の姿勢で支持することができる。
【0053】
このように、本実施形態の設置架台1によれば、支柱10の高さのばらつきや支柱10の傾斜による不具合を解消することができ、ばらつきや傾斜を直さなくても、例えば、支柱10を打ち込み直さなくても、太陽電池パネル2を所定の姿勢及び高さで安定して支持することができる。従って、施工効率を高めることができ、工期を短縮することができる。
【0054】
また、本実施形態の設置架台1では、パネル支持部材30に対する太陽電池パネル2の位置を固定する第5取付部材90(第1固定部材)、即ち、パネル支持部材30に収容されたボルト93が、パネル支持部材30の長手方向(Y方向)に移動可能であり、基礎部材20に対するパネル支持部材30の位置を固定する第4取付部材80(第2固定部材)、即ち、基礎部材20に収容されたボルト72が、基礎部材20の長手方向(X方向)に移動可能である。また、パネル支持部材30の底部302にその長手方向(Y方向)に沿って溝部B1が設けられ、基礎部材20の底部202にその長手方向(X方向)に沿って溝部A1が設けられている。
【0055】
図7Aは、基礎部材20が所定の位置(設計位置)からX方向の右側にずれて配置された場合を示す図である。この場合、図7Aの上図に示すように、基礎部材20のX方向右側端部に対する第2接続部材42の位置が所定の位置よりもX方向の左側にずれる。しかし、本実施形態の設置架台1では、押圧部材71の一端部711と嵌合する基礎部材20の溝部A1が基礎部材20の長手方向(X方向)に沿って設けられている。そのため、基礎部材20がX方向にずれて配置されても、第3取付部材70(押圧部材71)により第2接続部材42に基礎部材20を固定することができる。
【0056】
また、この場合、図7Aの下図に示すように、基礎部材20のX方向右側端部に対するパネル支持部材30の位置も所定の位置よりもX方向の左側にずれる。しかし、本実施形態の設置架台1では、第4取付部材80、即ち、基礎部材20に収容されたボルト82が、基礎部材20の長手方向(X方向)移動可能である。そのため、基礎部材20に対するパネル支持部材30の位置がX方向にずれても、第4取付部材80(ボルト82)により基礎部材20にパネル支持部材30を固定することができる。
【0057】
図7Bは、パネル支持部材30が所定の位置からY方向の奥側にずれて配置された場合を示す図である。この場合、図7Bの上図に示すように、パネル支持部材30のY方向奥側端部に対する基礎部材20の位置が所定の位置よりもY方向の手前側にずれることになる。しかし、本実施形態の設置架台1では、押圧部材81の一端部811と嵌合するパネル支持部材30の溝部B1がパネル支持部材30の長手方向(Y方向)に沿って設けられている。そのため、パネル支持部材30がY方向にずれて配置されても、第4取付部材80により基礎部材20にパネル支持部材30を固定することができる。
【0058】
また、この場合、図7Bの下図に示すように、パネル支持部材30のY方向奥側端部からの太陽電池パネル2の取付位置が所定の位置よりもY方向の手前側にずれることになる。しかし、本実施形態の設置架台1では、第5取付部材90、即ち、パネル支持部材30に収容されたボルト93がパネル支持部材30の長手方向(Y方向)に移動可能である。そのため、太陽電池パネル2の長辺をX方向に沿わせて配置することができ、太陽電池パネル2同士が接触したり、隙間が空き過ぎたりしてしまうことを防止できる。
【0059】
図7Cは、支柱10が所定の位置からX方向の右側にずれて配置された場合を示す図である。この場合、基礎部材20のX方向右側端部に対する第2接続部材42の位置が所定の位置よりもX方向の右側にずれることになる。しかし、本実施形態の設置架台1では、基礎部材20の溝部A1が基礎部材20の長手方向(X方向)に沿って設けられている。そのため、支柱10がX方向にずれて配置されても、第3取付部材70(押圧部材71)により第2接続部材42に基礎部材20を固定することができる。
【0060】
図7Dは、支柱10が所定の位置からY方向の奥側にずれた場合と、斜め方向(Y方向の奥側及びX方向の右側)にずれた場合と、を示す図である。この場合、図7Dの中央図に示すように、基礎部材20がX方向に対して傾斜して配置されてしまう。そのため、図7Dの下図に示すように、基礎部材20に対するパネル支持部材30の取付位置がX方向やY方向にずれてしまう。しかし、本実施形態の設置架台1では、パネル支持部材30の溝部B1がパネル支持部材30の長手方向に沿って設けられ、また、基礎部材20に収容されたボルト82が基礎部材20の長手方向に移動可能である。そのため、平行でない2つの基礎部材20の上に、複数のパネル支持部材30を平行に配置することができ、太陽電池パネル2の長辺をX方向に沿わせて配置することができる。
【0061】
このように、本実施形態の設置架台1によれば、支柱10や基礎部材20、パネル支持部材30の設置位置が所定の位置からずれていても、第3取付部材70〜第5取付部材90により各部材を固定することができ、複数のパネル支持部材30を平行に配置することができる。そのため、太陽電池パネル2の長辺をX方向に沿わせて配置することができるので、太陽電池パネル2同士が接触したり、隙間が空き過ぎたりしてしまうことを防止でき、太陽電池パネル2を適正に配置することができる。つまり、本実施形態の設置架台1では、汎用の鋼材を使用する場合に比べて、各部材の固定位置の調整代が大きいため、支柱10を打ち直したり、基礎部材20やパネル支持部材30を厳密に所定の位置に配置したりする必要が無く、施工効率を高めることができる。
【0062】
===太陽電池パネルの設置方法===
図8は、太陽電池パネル2の設置方法を示すフローである。支柱10や基礎部材20,パネル支持部材30等の設置架台1を構成する各部材は、組み立てられていない状態で、太陽電池パネル2の設置場所に運搬される。そして、太陽電池パネル2の設置場所において、まず、杭打ち機械や作業者によって地盤に支柱10(杭)が設置される(S001)。このとき、挿通孔101が設けられた支柱10の対向面がY方向に対向するように支柱10を設置する。なお、支柱10は、地盤に打ち込むに限らず、例えば、コンクリートブロックで支柱を立設支持するようにしてもよいし、地盤を削孔し、セメントミルク等で根固めしてもよい。
【0063】
特に、地盤に支柱20を設置する場合、その土地の形状や支柱10を打ち込む際の施工誤差等によって、図6Aから図6Cに示すように、支柱10の傾斜や支柱10の高さのばらつきが発生しやすい。しかし、本実施形態の設置架台1では、支柱10に対する第1接続部材41や第2接続部材42の傾斜を調整することができ、また、第2接続部材42の高さを調整することができる。そのため、地盤に支柱10を設置する場合であっても、設置架台1は、太陽電池パネル2を所定の姿勢及び高さで安定して支持することができる。
【0064】
次に、作業者は、支柱10の挿通孔101と第1接続部材41の挿通孔411にY方向に沿ってボルト51を挿通し、そのボルト51にナット52を螺合して締め付け、支柱10に第1接続部材41を締結し取付ける(S002)。そして、作業者は、第1接続部材41の挿通孔413と第2接続部材42の長孔423にX方向に沿ってボルト61を挿通し、そのボルト61にナット62を螺合しワッシャ63を介在させて締め付け、第1接続部材41に第2接続部材42を締結し取付ける(S003)。なお、この時、ワッシャ63の凹凸部と第2接続部材42の凹凸部424を嵌合させる。
【0065】
その後、作業者は、前述の図6Aから図6Cに示すように、支柱10が傾斜していたり、支柱10の高さにばらつきが生じていたりする場合には、太陽電池パネル2が所定の姿勢で支持されるように支柱10に対する第1接続部材41及び第2接続部材42の傾斜を調整し、また、地盤から第2接続部材42の上部421(基礎部材20の受け面)までの高さが所定の高さとなるように、第2接続部材42の位置を支柱10の軸方向に調整する(S004)。そうすることで、設置架台1は、太陽電池パネル2を所定の姿勢及び高さで安定して支持することができる。
【0066】
次に、作業者は、基礎部材20の溝部A1に押圧部材71の一端部711を嵌合し、押圧部材71の挿通孔711と第2接続部材42の挿通孔425にボルト72を上下方向に沿って挿通し、そのボルト72にナット73を螺合して締め付け、第2接続部材42に基礎部材20を締結し取付ける(S005)。なお、第2接続部材42に基礎部材20を取付けた後に、第1接続部材41や第2接続部材42の傾斜や高さを調整してもよい(図6A図6C)。
【0067】
次に、作業者は、基礎部材20の長手方向と交差する方向(直交する方向)にパネル支持部材30を載置し、基礎部材20の長手方向端部から収容部A2,A3にボルト82を挿入し、基礎部材20とパネル支持部材30との取付位置までボルト82を移動する。そして、作業者は、パネル支持部材30の溝部B1に押圧部材81の一端部811を嵌合し、基礎部材20の上部から突出するボルト82の軸を押圧部材81の挿通孔811に挿通し、そのボルト82にナット83を螺合して基礎部材20の上方から締め付け、基礎部材20にパネル支持部材30を締結し取付ける(S006)。
【0068】
また、この時、図1Aのように太陽電池パネル2を傾斜させる場合、短い支柱10aと長い支柱10bにそれぞれ取付けられた基礎部材20の上部201にパネル支持部材30の底部302が面接触するように、太陽電池パネル2の傾斜角度に合わせて第2接続部材42を傾斜させる。そうすることで、基礎部材20はパネル支持部材30を安定して支持することができる。
【0069】
最後に、作業者は、パネル支持部材30の上に太陽電池パネル2を載置し、パネル支持部材30の長手方向端部から収容部B2,B3にボルト93を挿入し、パネル支持部材30と太陽電池パネル2の取付位置までボルト93を移動する。そして、作業者は、各太陽電池パネル2のY方向の角部に中間固定具91又は端部固定具92の角部C2〜C4を合わせ、パネル支持部材30の上部から突出するボルト93の軸を固定具91,92の挿通孔912,922に挿通し、そのボルト93にナット94を螺合してパネル支持部材30の上方から締め付け、パネル支持部材30に太陽電池パネル2を締結し取付ける(S007)。その結果、図1Aに示すように、太陽電池パネル2もパネル支持部材30と同様にY方向(水平面)に対して傾斜させて設置することができる。こうして、設置架台1及び太陽電池パネル2の設置が完了する。
【0070】
以上、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0071】
例えば、前述の実施形態では、X方向に沿う基礎部材20とY方向に沿うパネル支持部材30で太陽電池パネル2を支持しているが、これに限らず、基礎部材20のみで太陽電池パネル2を支持してもよいし、パネル支持部材30のみで太陽電池パネル2を支持してもよい。
【0072】
また、前述の実施形態では、第2接続部材42の側壁422の凹凸部424にワッシャ63の凹凸部を嵌合させた状態で、ボルト61及びナット62により第1接続部材41と第2接続部材42を締結しているが、これに限らず、ワッシャ63を介在させなくてもよい。
【0073】
また、前述の実施形態では、基礎部材20とパネル支持部材30に収容されたボルトが各部材の長手方向に移動可能であるが、ボルトが長手方向に移動不能であってもよい、即ち、ボルトの挿通孔22,32や収容部A2,A3,B2,B3を長手方向に延ばさなくてもよい。また、基礎部材20とパネル支持部材30の溝部A1,B1を長手方向に延ばさなくてもよい。また、基礎部材20とパネル支持部材30に設けられた溝部A1,B1や、ボルトの挿通孔22,23及び収容部A2,A3,B2,B3を、長手方向の一端部から他端部に亘って連続して設けるに限らず、例えば、長手方向に沿う一部にだけ設けてもよいし、不連続に設けてもよい。また、基礎部材20とパネル支持部材30に収容されたボルトが回転するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 設置架台、2 太陽電池パネル、10 支柱、20 基礎部材(支持部材)、
30 パネル支持部材(支持部材)、
40 接続部材、41 第1接続部材、42 第2接続部材、
50 第1取付部材、51 ボルト(第1締結部材)、52 ナット(第1締結部材)、
60 第2取付部材、61 ボルト(第2締結部材)、62 ナット(第2締結部材)、63 ワッシャ、
70 第3取付部材(第3固定部材)、71 押圧部材、72 ボルト、73 ナット、
80 第4取付部材(第2固定部材)、81 押圧部材、82 ボルト、83 ナット、
90 第5取付部材(第1固定部材)、91 端部固定具、92 中間固定具、
93 ボルト、94 ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8