特許第6064438号(P6064438)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6064438
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】合成樹脂製のスラスト滑り軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 17/04 20060101AFI20170116BHJP
   F16C 33/20 20060101ALI20170116BHJP
   F16J 15/447 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   F16C17/04 Z
   F16C33/20 A
   F16J15/447
【請求項の数】23
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-183687(P2012-183687)
(22)【出願日】2012年8月22日
(65)【公開番号】特開2014-40869(P2014-40869A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098095
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 武志
(72)【発明者】
【氏名】渡井 忠
【審査官】 尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−263771(JP,A)
【文献】 特開平10−122233(JP,A)
【文献】 特開平07−279948(JP,A)
【文献】 特開2004−263769(JP,A)
【文献】 特開2008−292004(JP,A)
【文献】 特開2007−303613(JP,A)
【文献】 米国特許第04239301(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/00−17/26
F16C 33/00−33/28
F16J 15/40−15/453
F16J 15/54−15/56
F16F 9/00− 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側円環状平面を有した合成樹脂製の上部ケースと、この上部ケースに当該上部ケースの軸心回りで回転自在となるように重ね合わされていると共に当該上部ケースの上側円環状平面に対面した下側円環状平面、この下側円環状平面に互いに同心に形成された第一及び第二の環状突部並びに第一及び第二の環状突部に囲まれた幅広の下側環状凹所を夫々有した合成樹脂製の下部ケースと、この下部ケースの下側環状凹所に配されていると共に上側円環状平面に摺接する上側円環状面、下側円環状平面に摺接する下側円環状面、上側円環状面の内側上環状縁に連接している上環状縁から下側円環状面の内側下環状縁に連接している下環状縁にかけて縮径している内側截頭円錐面及び上側円環状面の外側上環状縁に連接している上環状縁から下側円環状面の外側下環状縁に連接している下環状縁にかけて拡径している外側截頭円錐面を夫々有している合成樹脂製のスラスト滑り軸受片とを具備しており、該スラスト滑り軸受片の上側円環状面は、潤滑剤が充填されている環状凹部を規定した中央環状凹面と、この中央環状凹面を挟んで同心に配されていると共に上側円環状平面に摺動自在に接触している内側上環状突面及び外側上環状突面とを有しており、該スラスト滑り軸受片の下側円環状面は、下部ケースの下側環状凹所において下部ケースの下側円環状平面に摺動自在に接触している下側環状突面と、下側環状突面の内周縁に外側環状縁で連接している内側下環状凹面と、下側環状突面の外周縁に内側環状縁で連接している外側下環状凹面と、内側下環状凹面の内側環状縁及び内側截頭円錐面の下環状縁に連接している内側下環状突面と、外側下環状凹面の外側環状縁及び外側截頭円錐面の下環状縁に連接している外側下環状突面とを有しており、下側環状突面は、内側下環状突面及び外側下環状突面よりも下方に突出している合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項2】
中央環状凹面は、環状底面と、この環状底面の内周縁に連接している外側環状縁から内側上環状突面の外側環状縁に連接している内側環状縁にかけて拡径している内側環状側面と、環状底面の外周縁に連接している内側環状縁から外側上環状突面の内側環状縁に連接している外側環状縁にかけて拡径している外側環状側面とを有している請求項1に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項3】
下側環状突面は、軸方向において中央環状凹面の環状底面に対向して配されている請求項2に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項4】
中央環状凹面は、湾曲凹面からなる請求項1から3のいずれか一項に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項5】
内側上環状突面及び外側上環状突面の夫々は、湾曲凸面からなる請求項1から4のいずれか一項に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項6】
内側下環状凹面及び外側下環状凹面の夫々は、湾曲凹面からなる請求項1から5のいずれか一項に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項7】
内側下環状突面及び外側下環状突面の夫々は、湾曲凸面からなる請求項1から6のいずれか一項に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項8】
下側環状突面は、湾曲凸面からなる請求項1から7のいずれか一項に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項9】
上部ケースは、下面に上側円環状平面を有していると共に中央部に円孔を有した上側円環状部と、該上側円環状部の外周縁に一体的に形成された円筒係合垂下部と、該円筒係合垂下部の内周面に形成された環状の係合部とを具備しており、下部ケースは、上面に下側円環状平面を有していると共に中央部に前記円孔と同心の挿通孔を有した下側円環状部を具備しており、第一の環状突部は、下側円環状部に一体的に形成されており、第二の環状突部は、第一の環状突部に対して径方向外方に所定の間隔を隔てて該下側円環状部の外周縁に一体的に形成されており、下側環状凹所は、該第一の環状突部の外周面と第二の環状突部の内周面と下側円環状平面とで規定されており、下部ケースは、該第二の環状突部の外周面に形成された環状の係合部を更に具備しており、該上部ケースは、その環状の係合部を下部ケースの環状の係合部に弾性装着させて該下部ケースに組合わされてなる請求項1から8のいずれか一項に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項10】
上部ケースは、上側円環状部の中央部の円孔の周縁から径方向外方に離れていると共に円筒係合垂下部の内周面に対して径方向内方に所定の間隔を隔てて上側円環状部に一体的に形成されていると共に外周面で円筒係合垂下部の内周面と協働して上部外側環状溝を形成する第一の円筒垂下部を更に具備しており、下部ケースは、第一の環状突部の外周面に対して径方向外方に所定の間隔を隔てて下側円環状部に一体的に形成されていると共に外周面で第二の環状突部の内周面と協働して下部外側環状溝を形成する第三の環状突部を更に具備しており、上部ケースは、上部外側環状溝に第二の環状突部を配する一方、第一の円筒垂下部を下部外側環状溝に配して第二及び第三の環状突部に径方向に重畳させて、下部ケースに組合わされてなる請求項9に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項11】
第一の円筒垂下部の内周面に対して径方向内方に所定の間隔を隔てて上側円環状部に一体的に形成されていると共に当該内周面及び上側円環状部と協働して幅広の上部環状凹所を形成する第二の円筒垂下部を更に具備しており、第一の環状突部は、挿通孔に環状肩部を介して径方向外方に隣接しており、上部ケースは、第二の円筒垂下部の下端面を環状肩部の上面に隙間をもって対面させると共に第二の円筒垂下部を第一の環状突部に径方向に重畳させて、下部ケースに組合わされてなる請求項10に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項12】
第二の円筒垂下部は、上側円環状部の中央部の円孔と同径の内周面を有している請求項11に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項13】
第二の円筒垂下部は、上側円環状部の中央部の円孔に環状肩部を介して径方向外方に隣接している請求項11に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項14】
下部ケースは、外周面で第一の環状突部の内周面と協働して下部内側環状溝を形成するように、第一の環状突部に対して径方向内方に所定の間隔を隔てて下側円環状部の環状肩部の上面に一体的に形成された第四の環状突部を更に具備しており、上部ケースは、第二の円筒垂下部を下部内側環状溝に配して第一の環状突部及び第四の環状突部と径方向に重畳させて、下部ケースに組合わされてなる請求項11に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項15】
第四の環状突部は、下側円環状部の中央部に形成された挿通孔と同径の内周面を有している請求項14に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項16】
第四の環状突部は、下側円環状部の中央部の挿通孔から径方向外方に離れて下側円環状部の環状肩部の上面に一体的に形成されている請求項14に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項17】
上部ケースは、外周面で第二の円筒垂下部の内周面と協働して上部内側環状溝を形成するように、上側円環状部の中央部の円孔と同径の内周面をもって上側円環状部の環状肩部の下面に一体的に形成された第三の円筒垂下部を更に具備しており、第三の円筒垂下部の下端面を下側円環状部の環状肩部の上面に隙間をもって対面させると共に第三の円筒垂下部を第四の環状突部に径方向に重畳させ、上部内側環状溝に第四の環状突部を配して、下部ケースに組合わされてなる請求項16に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項18】
下部ケースは、下側円環状部に中央部の挿通孔と同径の内周面を有して一体的に形成された円筒部を具備している請求項9に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項19】
上部ケースは、上側円環状部の中央部の円孔の内径と同径の内周面をもって上側円環状部に一体的に形成された円筒部を更に具備しており、当該円筒部の外周面を下部ケースの円筒部の内周面に摺接させて下部ケースに組合わされてなる請求項18に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項20】
上側円環状部は、中央部の円孔の外周縁から径方向外方に所定の幅をもった円形帯状平面と、円形帯状平面の外周縁から円筒係合垂下部の円筒状の外周面にかけて下り勾配の截頭円錐面とを有した円環状上面を具備している請求項9に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項21】
上側円環状部は、中央部の円孔の外周縁から径方向外方に所定の幅をもった円形帯状平面から軸方向上方に一体的に突出した円形帯状突出部を更に具備している請求項20に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項22】
上部ケース、下部ケース及びスラスト滑り軸受片は、熱可塑性合成樹脂製である請求項1から21のいずれか一項に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【請求項23】
上部ケース及び下部ケースは、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂又はポリエステル樹脂からなり、スラスト滑り軸受片は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂からなる請求項22に記載の合成樹脂製のスラスト滑り軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製のスラスト滑り軸受、特に四輪自動車におけるストラット型サスペンション(マクファーソン式)のスラスト滑り軸受として組み込まれて好適な合成樹脂製のスラスト滑り軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ストラット型サスペンションは、主として四輪自動車の前輪に用いられ、主軸と一体となった外筒の中に油圧式ショックアブソーバを内蔵したストラットアッセンブリにサスペンションコイルばねを組合せたものである。斯かるサスペンションには、ストラットの軸線に対してコイルばねの軸線を積極的にオフセットさせ、該ストラットに内蔵されたショックアブソーバのピストンロッドの摺動を円滑に行わせる構造と、ストラットの軸線に対してコイルばねの軸線を一致させて配置する構造のものとがある。いずれの構造においても、ステアリング操作によりストラットアッセンブリがコイルばねとともに回転する際に当該回転を円滑に許容するべく、車体の取付部材とコイルばねの上部ばね座シートとの間には軸受が配されている。
【0003】
この軸受には、ボール若しくはニードルを使用したころがり軸受又は合成樹脂製の滑り軸受が使用されている。しかしながら、ころがり軸受は、微小揺動及び振動荷重等によりボール若しくはニードルに疲労破壊を生ずる虞があり、円滑なステアリング操作を維持し難いという問題がある。合成樹脂製の滑り軸受は、ころがり軸受に比べて摩擦トルクが高く、ステアリング操作を重くするという問題がある。さらに、いずれの軸受においても、摺動面への塵埃等異物の侵入を防止するべく装着されたゴム弾性体からなるダストシールの摺動摩擦力が高いことに起因するステアリング操作を重くするという問題、とくに合成樹脂製の滑り軸受においてはステアリング操作を一層重くするという問題がある。
【0004】
上記問題点に対しては、例えば、上、下部ケース内に配される合成樹脂製の軸受片の摺動面に一つの環状溝と該環状溝に連通する複数個の行き止まり放射溝を形成するか、あるいは内側環状溝と該内側環状溝と径方向外方に間隔をもって形成された外側環状溝と該内、外側環状溝と連通する複数個の放射溝を形成して該軸受片の実摺動面を減少、換言すれば単位面積当たりの荷重(面圧:kgf/cm)を高めて摺動摩擦抵抗を減少させる方法、さらには上記実摺動面が互いに連続した多数の微細な凹部と該凹部に区画されて定形又は無定形状に点在した多数の凸部とからなるシボ加工による梨地面に形成して当該梨地面でのグリース等の潤滑剤の保持性を高めることにより、上記摺動摩擦抵抗の減少に加えて、摺動摩擦抵抗を低減させる方法(特許文献1)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実願昭63−37230号(実開平1−141926号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記問題点に対しては、例えば、環状面を有した上側の環状体と、この上側の環状体に当該上側の環状体の軸心の回りで回転自在となるように重ね合わされると共に当該上側の環状体の環状面に対面した環状面を有する下側の環状体とを具備しており、両環状体のうちのいずれか一方の環状体の環状面には、他方の環状体の環状面に摺動自在に当接する平坦な先端面を有した合成樹脂製の突起で囲まれた閉塞凹所が形成されており、該閉塞凹所には流体(グリース)が充填されており、一方の環状体の環状面に対する他方の環状体の摺動面を、一方の環状体の環状面に接触する突起の先端と閉塞凹所に充填された流体の面とで構成され、スラスト荷重下で、一方の環状体の環状面に形成された突起の撓み変形により、閉塞凹所の流体充填容積を小さくして閉塞凹所の流体に圧力を生じさせることによって摺動摩擦抵抗を低減させる合成樹脂製のスラスト滑り軸受が考えられるが、このように摺動摩擦抵抗を低減させる合成樹脂製のスラスト滑り軸受においても、摺動摩擦抵抗の更なる低減を図るためには流体充填容積の減少量をより大きくして流体に大きな圧力を発生させることが望まれる。
【0007】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、流体充填容積の減少量を大きくして流体に大きな圧力を発生させることができて、摺動摩擦抵抗を低減させることができる合成樹脂製のスラスト滑り軸受を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受は、上側円環状平面を有した合成樹脂製の上部ケースと、この上部ケースに当該上部ケースの軸心回りで回転自在となるように重ね合わされていると共に当該上部ケースの上側円環状平面に対面した下側円環状平面、この下側円環状平面に互いに同心に形成された第一及び第二の環状突部並びに第一及び第二の環状突部に囲まれた幅広の下側環状凹所を夫々有した合成樹脂製の下部ケースと、上側円環状平面に摺接する上側円環状面、下側円環状平面に摺接する下側円環状面、上側円環状面の内側上環状縁に連接している上環状縁から下側円環状面の内側下環状縁に連接している下環状縁にかけて縮径している内側截頭円錐面及び上側円環状面の外側上環状縁に連接している上環状縁から下側円環状面の外側下環状縁に連接している下環状縁にかけて拡径している外側截頭円錐面を夫々有しており、下部ケースの下側環状凹所に配されている合成樹脂製のスラスト滑り軸受片とを具備しており、該スラスト滑り軸受片の上側円環状面は、潤滑剤が充填されている環状凹部を規定した中央環状凹面と、この中央環状凹面を挟んで同心に配されていると共に上側円環状平面に摺動自在に接触している内側上環状突面及び外側上環状突面とを有しており、該スラスト滑り軸受片の下側円環状面は、下部ケースの下側環状凹所において下部ケースの下側円環状平面に摺動自在に接触している下側環状突面を有している。
【0009】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受によれば、スラスト荷重下において、下部ケースの下側円環状平面に摺動自在に接触しているスラスト滑り軸受片の下側環状突面を支点として当該スラスト滑り軸受片の主に中央環状凹面に曲げ変形を生じさせて環状凹部の容積を小さくすると共に当該環状凹部に充填された潤滑剤に内圧を生じさせ、これにより、スラスト滑り軸受片が、上部ケースと下部ケースとの相対回転に対し、内側環状突面及び外側環状突面と潤滑剤の面とでスラスト荷重を支承するので、当該相対回転を極めて低い摺動摩擦抵抗で行わせることができる。スラスト滑り軸受片に曲げ変形が生じた場合であっても、スラスト滑り軸受片は、上側円環状面の内側上環状縁に連接する上環状縁から下側円環状面の内側下環状縁に連接する下環状縁にかけて縮径する内側截頭円錐面と上側円環状面の外側上環状縁に連接する上環状縁から下側円環状面の外側下環状縁に連接する下環状縁にかけて拡径する外側截頭円錐面とを有しているので、内側截頭円錐面が下部ケースの第一の環状突部の外周面に、外側截頭円錐面が第二の環状突部の内周面に夫々干渉することはなく、相対回転時に干渉による摺動摩擦抵抗の低減を阻害することはない。
【0010】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、中央環状凹面は、環状底面と、この環状底面の内周縁に連接している外側環状縁から内側上環状突面の外側環状縁に連接している内側環状縁にかけて拡径している内側環状側面と、環状底面の外周縁に連接している内側環状縁から外側上環状突面の内側環状縁に連接している外側環状縁にかけて拡径している外側環状側面とを有していてもよい。斯かる場合には、環状凹部の容積を大きくとることができて潤滑剤の充填量を多くすることができる。
【0011】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、下側環状突面は、軸方向において中央環状凹面の環状底面に対向して配されていてもよい。斯かる場合には、スラスト荷重下における曲げ変形を容易に生じさせ得て、環状凹部の容積の減少、ひいては環状凹部に充填された潤滑剤に大きな内圧を生じさせることができる。
【0012】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、中央環状凹面は、湾曲凹面からなっていてもよい。
【0013】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、内側上環状突面及び外側上環状突面の夫々は、湾曲凸面からなっていてもよい。斯かる場合には、湾曲凸面とすることにより、面圧(単位面積当たりの荷重)を高めることができ、これにより、上部ケースの上側円環状平面と内側上環状突面及び外側上環状突面の夫々の湾曲凸面との摺動摩擦抵抗を低減させることができる。
【0014】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、スラスト滑り軸受片の下側円環状面は、下側環状突面の内周縁に外側環状縁で連接している内側下環状凹面と、下側環状突面の外周縁に内側環状縁で連接している外側下環状凹面と、内側下環状凹面の内側環状縁及び内側截頭円錐面の下環状縁に連接している内側下環状突面と、外側下環状凹面の外側環状縁及び外側截頭円錐面の下環状縁に連接している外側下環状突面とを有していてもよい。斯かる場合には、スラスト荷重下における曲げ変形を容易に生じさせ得て、環状凹部の容積の減少、ひいては環状凹部に充填された潤滑剤に大きな内圧を生じさせることができる。
【0015】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、下側環状突面は、内側下環状突面及び外側下環状突面よりも下方に突出していてもよい。
【0016】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、内側下環状凹面及び外側下環状凹面の夫々は、湾曲凹面からなっていてもよい。
【0017】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、内側下環状突面及び外側下環状突面の夫々は、湾曲凸面からなっていてもよい。
【0018】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、下側環状突面は、湾曲凸面からなっていてもよい。
【0019】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、上部ケースは、下面に上側円環状平面を有していると共に中央部に円孔を有した上側円環状部と、該上側円環状部の外周縁に一体的に形成された円筒係合垂下部と、該円筒係合垂下部の内周面に形成された環状の係合部とを具備しており、下部ケースは、上面に下側円環状平面を有していると共に中央部に前記円孔と同心の挿通孔を有した下側円環状部を具備しており、第一の環状突部は、下側円環状部に一体的に形成されており、第二の環状突部は、第一の環状突部に対して径方向外方に所定の間隔を隔てて該下側円環状部の外周縁に一体的に形成されており、下側環状凹所は、該第一の環状突部の外周面と第二の環状突部の内周面と下側円環状平面とで規定されており、下部ケースは、該第二の環状突部の外周面に形成された環状の係合部を更に具備しており、該上部ケースは、その環状の係合部を下部ケースの環状の係合部に弾性装着させて該下部ケースに組合わされてなっていてもよい。斯かる場合には、上、下部ケースは、上部ケースの環状の係合部を下部ケースの環状の係合部に弾性装着させることによって互いに組み合わされるので、その作業性がよく、組立を極めて簡単に行うことができる。
【0020】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、上部ケースは、上側円環状部の中央部の円孔の周縁から径方向外方に離れていると共に円筒係合垂下部の内周面に対して径方向内方に所定の間隔を隔てて上側円環状部に一体的に形成されていると共に外周面で円筒係合垂下部の内周面と協働して上部外側環状溝を形成する第一の円筒垂下部を更に具備しており、下部ケースは、第一の環状突部の外周面に対して径方向外方に所定の間隔を隔てて下側円環状部に一体的に形成されていると共に外周面で第二の環状突部の内周面と協働して下部外側環状溝を形成する第三の環状突部を更に具備しており、上部ケースは、上部外側環状溝に第二の環状突部を配する一方、第一の円筒垂下部を下部外側環状溝に配して第二及び第三の環状突部に径方向に重畳させて、下部ケースに組合わされてなっていてもよい。斯かるスラスト滑り軸受によれば、上部ケースは、上部外側環状溝に第二の環状突部を配する一方、第一の円筒垂下部を下部外側環状溝に配して第二及び第三の環状突部に径方向に重畳させて、環状の係合部同士を弾性装着させて下部ケースに組合わされているので、第一の円筒垂下部と第二及び第三の環状突部との径方向の重畳部及び係合部同士の弾性装着部にラビリンス作用による密封部が形成される結果、上、下部ケース間のスラスト滑り軸受面への塵埃等異物の侵入は効果的に防止される。
【0021】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、第一の円筒垂下部の内周面に対して径方向内方に所定の間隔を隔てて上側円環状部に一体的に形成されていると共に当該内周面及び上側円環状部と協働して幅広の上部環状凹所を形成する第二の円筒垂下部を更に具備しており、第一の環状突部は、挿通孔に環状肩部を介して径方向外方に隣接しており、上部ケースは、第二の円筒垂下部の下端面を環状肩部の上面に隙間をもって対面させると共に第二の円筒垂下部を第一の環状突部に径方向に重畳させて、下部ケースに組合わされてなっていてもよい。このようなスラスト滑り軸受によれば、上部ケースは、第二の円筒垂下部を下部ケースの第一の環状突部と径方向に、第一の円筒垂下部を下部外側環状溝に配して第二及び第三の環状突部に径方向に夫々重畳させ、環状の係合部同士を弾性装着させて下部ケースに組合わされているので、第二の円筒垂下部と第一の環状突部との重畳部、第一の円筒垂下部と第二及び第三の環状突部との重畳部及び係合部同士の弾性装着部にラビリンス作用による密封部が形成されている結果、上、下部ケース間のスラスト滑り軸受面への塵埃等異物の侵入は一層防止される。第二の円筒垂下部は、上側円環状部の中央部の円孔と同径の内周面を有していてもよく、また、上側円環状部の中央部の円孔に環状肩部を介して径方向外方に隣接していてもよい。
【0022】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、下部ケースは、外周面で第一の環状突部の内周面と協働して下部内側環状溝を形成するように、第一の環状突部に対して径方向内方に所定の間隔を隔てて下側円環状部の環状肩部の上面に一体的に形成された第四の環状突部を更に具備しており、上部ケースは、第二の円筒垂下部を下部内側環状溝に配して第一の環状突部及び第四の環状突部と径方向に重畳させて、下部ケースに組合わされていてもよい。斯かるスラスト滑り軸受によれば、上部ケースは、第二の円筒垂下部を下部内側環状溝に配して第一の環状突部及び第四の環状突部と径方向に重畳させて下部ケースに組合わされているので、第二の円筒垂下部と第一及び第四の環状突部との径方向の重畳部にラビリンス作用による密封部が更に形成される結果、上、下部ケース間、とくに内周面側からスラスト滑り軸受面への塵埃等異物の侵入は一層防止される。第四の環状突部は、下側円環状部の中央部に形成された挿通孔と同径の内周面を有していてもよく、また、下側円環状部の中央部の挿通孔から径方向外方に離れて下側円環状部の環状肩部の上面に一体的に形成されていてもよい。
【0023】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、上部ケースは、外周面で第二の円筒垂下部の内周面と協働して上部内側環状溝を形成するように、上側円環状部の中央部の円孔と同径の内周面をもって上側円環状部の環状肩部の下面に一体的に形成された第三の円筒垂下部を更に具備しており、第三の円筒垂下部の下端面を下側円環状部の環状肩部の上面に隙間をもって対面させると共に第三の円筒垂下部を第四の環状突部に径方向に重畳させ、上部内側環状溝に第四の環状突部を配して、下部ケースに組合わされていてもよい。斯かるスラスト滑り軸受によれば、上部ケースは、第三の円筒垂下部を第四の環状突部と径方向に夫々重畳させ、上部内側環状溝に第四の環状突部を配させ、第二の円筒垂下部を下部内側環状溝に配して第一の環状突部及び第四の環状突部と径方向に夫々重畳させて、下部ケースに組合わされているので、第二及び第三の円筒垂下部と第一の環状突部及び第四の環状突部との径方向の重畳部にラビリンス作用による密封部が形成される結果、上、下部ケース間、とくに内周面側からスラスト滑り軸受面への塵埃等異物の侵入は更に一層防止される。
【0024】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、下部ケースは、下側円環状部に中央部の挿通孔と同径の内周面を有して一体的に形成された円筒部を具備していてもよい。斯かるスラスト滑り軸受によれば、当該スラスト滑り軸受の取付部材に形成された取付孔に円筒部を挿入することにより取付作業を極めて簡単に行うことができる。
【0025】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、上部ケースは、上側円環状部の中央部の円孔の内径と同径の内周面をもって上側円環状部に一体的に形成された円筒部を更に具備しており、当該円筒部の外周面を下部ケースの円筒部の内周面に摺接させて下部ケースに組合わされていてもよい。斯かるスラスト滑り軸受によれば、スラスト荷重下での摺動を円滑に許容する上に、上部ケースの円筒部の外周面と下部ケースの円筒部の内周面との間に形成されるラジアル軸受部における合成樹脂同士の摺動によって、ラジアル荷重下での摺動をも円滑に許容することができる。
【0026】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、上側円環状部は、中央部の円孔の外周縁から径方向外方に所定の幅をもった円形帯状平面と、円形帯状平面の外周縁から円筒係合垂下部の円筒状の外周面にかけて下り勾配の截頭円錐面とを有した円環状上面を具備していてもよい。
【0027】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、上側円環状部は、中央部の円孔の外周縁から径方向外方に所定の幅をもった円形帯状平面から軸方向上方に一体的に突出した円形帯状突出部を更に具備していてもよい。斯かるスラスト滑り軸受によれば、車体側取付部材に傾き等の変動荷重が作用した場合に、少なくとも円筒係合垂下部の係合部と円筒係合突出部の係合部との弾性装着部の干渉をより確実に回避することができる。
【0028】
本発明の合成樹脂製のスラスト滑り軸受では、上部ケース、下部ケース及びスラスト滑り軸受片は、熱可塑性合成樹脂製であってもよく、斯かる場合において、上部ケース及び下部ケースは、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂又はポリエステル樹脂からなり、スラスト滑り軸受片は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂からなっていてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、流体充填容積の減少量を大きくして潤滑剤等の流体に大きな圧力を発生させることができて、摺動摩擦抵抗を低減させることができる合成樹脂製のスラスト滑り軸受を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の好ましい実施の形態の例の断面図である。
図2図2は、図1に示す例におけるスラスト軸受片の平面図である。
図3図3は、図1に示す例におけるスラスト軸受片の図2に示すIII−III線矢視断面図である。
図4図4は、本発明の好ましい他の実施の形態の例の断面図である。
図5図5は、図4に示す例のスラスト滑り軸受をストラット型サスペンションに組込んだ例の断面図である。
図6図6は、本発明の好ましい更に他の実施の形態の例の断面図である。
図7図7は、図6に示す例の平面図である。
図8図8は、本発明の好ましい更に他の実施の形態の例の断面図である。
図9図9は、本発明の好ましい更に他の実施の形態の例の断面図である。
図10図10は、本発明の好ましい更に他の実施の形態の例の断面図である。
図11図11は、図6に示すスラスト滑り軸受をストラット型サスペンションに組込んだ例の断面図である。
図12図12は、本発明の好ましい更に他の実施の形態の例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に本発明を、図に示す好ましい実施の形態の例に基づいて詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例に何等限定されない。
【0032】
図1から図3において、本例の第一の実施の形態のスラスト滑り軸受1は、合成樹脂製の上部ケース2と、合成樹脂製の下部ケース41と、上、下部ケース2及び41間に配される合成樹脂製のスラスト滑り軸受片71とを具備している。
【0033】
上部ケース2は、スラスト滑り軸受片71に接触している上側円環状平面5を下面に有していると共に円孔3を中央部に有している上側円環状部4と、上側円環状部4の上側円環状平面5の外周縁に一体的に形成された円筒係合垂下部6と、円筒係合垂下部6の内周面7の端部に形成された環状の係合部8とを具備している。
【0034】
下部ケース41は、上部ケース2に当該上部ケース2の軸心O回りで円周方向Rに回転自在となるように重ね合わされており、当該上部ケース2の上側円環状平面5に対面した下側円環状平面44を上面に有していると共に中央部に上部ケース2の円孔3の内径と同径であって同心の挿通孔42を有している下側円環状部43と、挿通孔42と同径の内周面を有して下側円環状部43の下側円環状平面44に一体的に形成された環状突部45と、環状突部45に対して径方向外方に所定の間隔を隔てて下側円環状部43の下側円環状平面44の外周縁に環状突部45と同心に一体的に形成されていると共にその内周面46で環状突部45の外周面47及び下側円環状平面44と協働して幅広の下側環状凹所48を形成する環状突部49と、環状突部49の下端の外周面に形成された環状の係合部50とを備えており、環状突部45及び49に囲まれた下側環状凹所48は、環状突部45の外周面47と環状突部49の内周面46と下側円環状平面44とで規定されている。
【0035】
下部ケース41の下側環状凹所48に配されている円環状のスラスト滑り軸受片71は、上側円環状平面5に摺接する上側円環状面75と、下側円環状平面44に摺接する下側円環状面77と、上側円環状面75の内側上環状縁76に連接している上環状縁121から下側円環状面77の内側下環状縁78に連接している下環状縁122にかけて縮径している内側截頭円錐面79と、上側円環状面75の外側上環状縁80に連接している上環状縁123から下側円環状面77の外側下環状縁81に連接している下環状縁124にかけて拡径している外側截頭円錐面82とを有している。
【0036】
スラスト滑り軸受片71の上側円環状面75は、その径方向Xの中央部に開口部83を有していると共に流体、例えば、潤滑剤としてのグリース等の潤滑油剤(図示せず)が充填されている環状凹部84を規定した中央環状凹面87と、中央環状凹面87を挟んで同心に配されていると共に上側円環状平面5に摺動自在に接触している湾曲凸面状の内側上環状突面90及び外側上環状突面91とを有している。
【0037】
湾曲凹面状の中央環状凹面87は、環状底面87aと、環状底面87aの内周縁125に連接している外側環状縁126から内側上環状突面90の外側環状縁127に連接している内側環状縁128にかけて拡径している内周截頭円錐面状の内側環状側面88と、環状底面87aの外周縁129に連接している内側環状縁130から外側上環状突面91の内側環状縁131に連接している外側環状縁132にかけて拡径している外周截頭円錐面状の外側環状側面89とを有している。
【0038】
環状凹部84は、グリース等の潤滑油剤の溜まり部となるもので、環状凹部84を、環状底面87aと内側環状側面88及び外側環状側面89とで規定することにより、該環状凹部84の容積を大きくとることができ、該環状凹部84への潤滑剤の充填量を多くすることができる。
【0039】
内側上環状突面90の内側環状縁は、上側円環状面75の内側上環状縁76からなり、外側上環状突面91の外側環状縁は、上側円環状面75の外側上環状縁80からなる。内側上環状突面90は、上方に突出していると共に上側円環状平面5を支承している環状内側支承部85を規定しており、外側上環状突面91は、上方に突出していると共に上側環状平面5を支承している環状外側支承部86を規定している。
【0040】
内側上環状突面90及び外側上環状突面91を環状の湾曲凸面状とすることにより、これらと上側円環状平面5とは線接触ないし微小幅の帯状接触となることから、面圧(単位面積当たりの荷重)が高まることになり、これにより上部ケース2の上側円環状平面5とスラスト滑り軸受片71の内側上環状突面90及び外側上環状突面91との摺動摩擦抵抗を低減させることができる。
【0041】
スラスト滑り軸受片71は、下部ケース41の下側環状凹所48において下側円環状平面44に摺動自在に接触している湾曲凸面状の下側環状突面92を有していると共にスラスト滑り軸受片71の径方向Xにおける中央部において下方に突出している下側環状突出部93と、下側環状突面92の内周縁133に外側環状縁134で連接している湾曲凹面状の内側下環状凹面94を有している環状凹部95と、下側環状突面92の外周縁135に内側環状縁136で連接している湾曲凹面状の外側下環状凹面98を有している環状凹部99と、内側下環状凹面94の内側環状縁137及び内側截頭円錐面79の下環状縁122に連接している湾曲凸面状の内側下環状突面96を有している環状突部97と、外側下環状凹面98の外側環状縁138及び外側截頭円錐面82の下環状縁124に連接している湾曲凸面状の外側下環状突面100を有している環状突部101とを有している。
【0042】
下側円環状面77は、上述の下側環状突面92、内側下環状凹面94、外側下環状凹面98、内側下環状突面96及び外側下環状突面100を有している。下側環状突面92は、内側下環状突面96及び外側下環状突面100よりも下方に突出しており、軸方向において中央環状凹面87の環状底面87aに対向して配されている。
【0043】
該スラスト滑り軸受片71の下側円環状面77の径方向Xの中央部に形成された下側環状突出部93の内周側及び外周側に、該下側環状突出部93の下側環状突面92に連接していると共に内側下環状凹面94及び外側下環状凹面98を有した環状凹部95及び99が形成されることにより、スラスト荷重下における環状内側支承部85及び環状外側支承部86及び/又は中央環状凹面87のたわみ変形(曲げ変形)を容易に行わせることができ、当該たわみ変形による環状凹部84の容積の減少、ひいては環状凹部84に充填された潤滑剤に大きな内圧を生じさせることができ、前記上部ケース2の上側円環状平面5と環状内側支承部85及び環状外側支承部86の夫々の内側上環状突面90及び外側上環状突面91との線接触ないし微小幅の帯状接触による摺動摩擦抵抗の低減と相俟って、摺動摩擦抵抗の一層の低減を図ることができる。
【0044】
該スラスト滑り軸受片71は、下側円環状面77の下側環状突出部93を下部ケース41の下側環状凹所48の底面51を規定する下側円環状平面44に摺接させ、上側円環状面75を下側環状凹所48の開口部52より突出させて環状内側支承部85及び環状外側支承部86の内側上環状突面90及び外側上環状突面91を上部ケース2の上側円環状平面5に当接させ、かつ潤滑剤が充填された環状凹部84の開口部83を上部ケース2の上側円環状平面5で閉塞させており、上部ケース2は、円筒係合垂下部6の端部の内周面に形成された環状の係合部8を下部ケース41の環状突部49の下端の外周面に形成された環状の係合部50に弾性装着させて、下部ケース41に組合わさせている。
【0045】
このように形成されたスラスト滑り軸受1によれば、環状底面87aと内側環状側面88及び外側環状側面89とで規定された環状凹部84にグリース等の潤滑油剤が充填されるようになっていると共に、環状内側支承部85及び環状外側支承部86並びに/又は中央環状凹面87は、スラスト荷重下で、環状凹部84の容積を小さくして環状凹部84に充填された潤滑油剤に内圧を生じさせるように撓み変形(曲げ変形)を生じて、上部ケース2の上側円環状平面5に当接する結果、環状凹部84に充填された潤滑油剤でもスラスト荷重を分担して受容できる、換言すれば、上部ケース2の上側円環状平面5に対するスラスト滑り軸受片71の摺動面が、上部ケース2の上側円環状平面5に接触するスラスト滑り軸受片71の環状内側支承部85及び環状外側支承部86の内側上環状突面90及び外側上環状突面91と環状凹部84に充填されて上側円環状平面5に接触する潤滑油剤の面とで形成されることになる。
【0046】
さらに、スラスト荷重に対し、上部ケース2の上側円環状平面5と内側上環状突面90及び外側上環状突面91とが線接触ないし微小幅の帯状接触にて支承するので、面圧(単位面積当たりの荷重)が高められることにより摺動摩擦抵抗が低減されると共に、上側円環状平面5に接触する環状凹部84に充填された潤滑油剤の面による摺動摩擦抵抗は非常に小さいので、全体として極めて低い摺動摩擦抵抗が得られる。したがって、上部ケース2に対する当該上部ケース2の軸心O回りでの下部ケース41のR方向の相対的な回転を極めて低い摺動摩擦抵抗でもって行わせることができる。
【0047】
スラスト滑り軸受片71に曲げ変形が生じた場合であっても、スラスト滑り軸受片71は、上側円環状面75の内側上環状縁76に連接している上環状縁121から下側円環状面77の内側下環状縁78に連接している下環状縁122にかけて縮径している内側截頭円錐面79と、上側円環状面75の外側上環状縁80に連接している上環状縁123から下側円環状面77の外側下環状縁81に連接している下環状縁124にかけて拡径している外側截頭円錐面82とを有しているので、内側截頭円錐面79が下部ケース41の環状突部45の外周面47と、外側截頭円錐面82が環状突部49の内周面46と干渉することはなく、相対回転時に干渉による摺動摩擦抵抗の低減を阻害することはない。
【0048】
スラスト滑り軸受1は、図4に示すように、下部ケース41の下側円環状部43の円環状下面53に、挿通孔42の内径と同径の内周面を有して一体的に形成された円筒部54を更に具備していてもよい。
【0049】
下部ケース41の下側円環状部43の円環状下面53に円筒部54を具備したスラスト滑り軸受1によれば、図5に示すようなストラット型サスペンションにおけるコイルばね111の上部ばね座シート112と、油圧ダンパのピストンロッド113が固着される取付部材114との間への取り付け作業が容易となる。
【0050】
この場合、スラスト滑り軸受1の上部ケース2の円孔3及び下部ケース41の挿通孔42にピストンロッド113の上部が上部ケース2及び下部ケース41に対して軸心O回りで円周方向Rに回転自在となるようにして挿通される。
【0051】
図5に示すようなスラスト滑り軸受1を介して装着されたストラット型サスペンションでは、ステアリング操作に際してコイルばね111を介する上部ばね座シート112の軸心O回りでの相対的な円周方向Rの回転は、上部ケース2に対する下部ケース41の同方向の相対的な回転で円滑に行われる。
【0052】
また、スラスト滑り軸受1は、図6及び図7に示すように、円孔3の周縁から径方向外方に離れると共に円筒係合垂下部6の内周面7に対して径方向内方に所定の間隔を隔てて上側円環状平面5に一体的に形成されていると共に外周面9で円筒係合垂下部6の内周面7と協働して上部外側環状溝10を形成する円筒垂下部11を更に具備している上部ケース2と、環状突部45の外周面47に対して径方向外方に所定の間隔を隔てて下側円環状平面44に一体的に形成されていると共に外周面55で環状突部49の内周面46と協働して下部外側環状溝56を形成する環状突部57を更に具備している下部ケース41とを具備していてもよい。
【0053】
斯かる上部ケース2と下部ケース41とにおいて、上部ケース2は、上部外側環状溝10に環状突部49を配する一方、円筒垂下部11を下部外側環状溝56に配して環状突部57と環状突部49に径方向Xに重畳させて、円筒係合垂下部6の端部の内周面に形成された環状の係合部8を下部ケース41の環状突部49の下端の外周面に形成された環状の係合部50に弾性装着させて下部ケース41に組合わされている。
【0054】
図6に示すスラスト滑り軸受1においても、スラスト滑り軸受片71は、下部ケース41の環状突部45の外周面47の外径よりも大きい内径をもった内側截頭円錐面79と、下部ケース41の環状突部49の内周面46の内径よりも小さい外径をもった外側截頭円錐面82とを有しており、下側円環状面77を下側環状凹所48の底面51を規定する下側円環状平面44に摺接させ、上側円環状面75を下側環状凹所48の開口部52より突出させて内側上環状突面90及び外側上環状突面91を上側円環状平面5に当接させ、かつ潤滑油剤が充填された環状凹部84の開口部83を上側円環状平面5で閉塞させると共に、上部ケース2は、円筒係合垂下部6の端部の内周面に形成された環状の係合部8を下部ケース41の環状突部49の下端の外周面に形成された環状の係合部50に弾性装着させて下部ケース41に組合わされている。
【0055】
図6に示すスラスト滑り軸受1によれば、上部ケース2は、円筒垂下部11を下部外側環状溝56に配して環状突部57及び環状突部49に対して径方向Xに重畳させ、係合部8及び50同士を弾性装着させて下部ケース41に組合わされているので、円筒垂下部11と環状突部57及び環状突部49との径方向Xの重畳部及び係合部8及び50同士の弾性装着部にラビリンス作用による密封部が形成される結果、上、下部ケース2及び41間の摺動面への塵埃等異物の侵入は防止される。
【0056】
更に、スラスト滑り軸受1は、図8に示すように、上側円環状平面5の中央部の円孔3の内径と同径の内周面を有しており、円筒垂下部11の内周面12に対して径方向内方に所定の間隔を隔てて上側円環状部4の上側円環状平面5に一体的に形成されていると共に内周面12及び上側円環状平面5と協働して幅広の上側環状凹所13を形成する円筒垂下部14を更に具備している上部ケース2を具備しており、環状突部45が挿通孔42に環状肩部59を介して径方向外方に隣接するようになっていてもよい。
【0057】
図8に示すスラスト滑り軸受1において、上部ケース2は、円筒垂下部14の下端面を環状肩部59の上面に隙間をもって対面させると共に円筒垂下部14を環状突部45に径方向Xに重畳させ、環状の係合部8及び50同士を弾性装着させて下部ケース41に組合わされている。
【0058】
図8に示すスラスト滑り軸受1によれば、上部ケース2は、円筒垂下部14を環状突部45に径方向に重畳させ、円筒垂下部11を下部外側環状溝56に配して環状突部57及び環状突部49に径方向に重畳させ、環状の係合部8及び50同士を弾性装着させて下部ケース41に組合わされているので、円筒垂下部14と環状突部45との重畳部、円筒垂下部11と環状突部57及び環状突部49との径方向の重畳部及び係合部8及び50同士の弾性装着部にラビリンス作用による密封部が形成される結果、上、下部ケース2及び41間の摺動面への塵埃等異物の侵入は防止される。
【0059】
また、スラスト滑り軸受1は、図9に示すように、外周面16で円筒垂下部11の内周面12と上側円環状平面5と協働して幅広の上側環状凹所13を形成する円筒垂下部14が、上側円環状部4の中央部の円孔3に環状肩部15を介して径方向外方に隣接している一方、下部ケース41が、下側円環状平面44の中央部に形成された挿通孔42の内径と同径の内周面をもっていると共に外周面60で環状突部45の内周面61と協働して下部内側環状溝62を形成するように、環状突部45に対して径方向内方に所定の間隔を隔てて下側円環状部43の下側円環状平面44に一体的に形成された環状突部63を更に具備して、形成されていてもよい。
【0060】
図9に示すスラスト滑り軸受1において、上部ケース2は、環状肩部15の下面を環状突部63の上端面に隙間をもって対面させると共に円筒垂下部14を下部内側環状溝62に配して環状突部45及び環状突部63に径方向に重畳させ、円筒垂下部11を下部外側環状溝56に配して環状突部57及び環状突部49に径方向Xに夫々重畳させ、環状の係合部8及び50同士を弾性装着させて下部ケース41に組合わされている。
【0061】
図9に示すスラスト滑り軸受1によれば、上部ケース2は、円筒垂下部14を下部内側環状溝62に配して環状突部45及び環状突部63に径方向に重畳させ、円筒垂下部11を下部外側環状溝56に配して環状突部57及び環状突部49と径方向Xに夫々重畳させ、環状の係合部8及び50同士を弾性装着させて下部ケース41に組合わされているので、円筒垂下部14と環状突部45及び環状突部63との径方向Xに重畳部、円筒垂下部11と環状突部57及び環状突部49との径方向Xの重畳部及び係合部8及び50同士の弾性装着部にラビリンス作用による密封部が更に形成される結果、上、下部ケース2及び41間、とくに内周面側から摺動面としての上側円環状面75への塵埃等異物の侵入は一層防止される。
【0062】
また、スラスト滑り軸受1は、図10に示すように、上部ケース2が、外周面17で円筒垂下部14の内周面18と協働して上部内側環状溝19を形成するように、上側円環状部4の中央部の円孔3の内径と同径の内周面をもって上側円環状部4の環状肩部15の下面に一体的に形成された円筒垂下部20を更に具備しており、環状突部63が、下側円環状部43の中央部の挿通孔42から径方向外方に離れて下側円環状部43の環状肩部59の上面に一体的に形成されている。
【0063】
図10に示すスラスト滑り軸受1において、上部ケース2は、円筒垂下部20の下端面を下側円環状平面44の環状肩部59の上面に隙間をもって対面させると共に円筒垂下部20を環状突部63に径方向Xに夫々重畳させ、上部内側環状溝19に環状突部63を配して環状突部63を円筒垂下部20及び円筒垂下部14に径方向Xに夫々重畳させ、円筒垂下部14を下部内側環状溝62に配して環状突部45及び環状突部63に径方向Xに夫々重畳させ、円筒垂下部11を下部外側環状溝56に配して環状突部57及び環状突部49に径方向Xに夫々重畳させ、環状の係合部8及び50同士を弾性装着させて下部ケース41に組合わされている。
【0064】
図10に示すスラスト滑り軸受1によれば、上部ケース2は、円筒垂下部20を環状突部63と径方向Xに夫々重畳させ、上部内側環状溝19に環状突部63を配させ、円筒垂下部14を下部内側環状溝62に配して環状突部45及び環状突部63に径方向Xに夫々重畳させ、円筒垂下部11を下部外側環状溝56に配して環状突部57及び環状突部49に径方向Xに夫々重畳させ、環状の係合部8及び50同士を弾性装着させて下部ケース41に組合わされているので、円筒垂下部20と環状突部63との径方向Xの重畳部、円筒垂下部14と環状突部63及び45との径方向Xの重畳部、円筒垂下部11と環状突部57及び環状突部49との径方向Xの重畳部及び係合部8及び50同士の弾性装着部にラビリンス作用による密封部が更に形成される結果、上、下部ケース2及び41間の摺動面への塵埃等異物の侵入は一層防止される。
【0065】
スラスト滑り軸受1は更に、図12に示すように、中央部に円孔3を有する上側円環状部4、上側円環状部4に該円孔3の内径と同径の内周面をもって一体的に形成された円筒部21、円筒部21の外周面22に対して径方向外方に所定の間隔を隔てて上側円環状部4の外周縁に一体的に形成された円筒係合垂下部6、円筒係合垂下部6の内周面7の端部に一体的に形成された環状の係合部8、円筒部21の下端部から下方に一体的に突出する環状突部23、及び環状突部23と協働して環状凹部24を形成するように円筒部21の下端部から下方に一体的に突出すると共に外面にテーパ面25を有して下方に向かって先細りとなる環状突部26を具備した上部ケース2と、中央部に挿通孔42を有する下側円環状部43、挿通孔42の内径と同径の内周面64をもって下側円環状部43の円環状下面53に一体的に形成された円筒部65、下側円環状平面44に一体的に形成された環状突部45、環状突部45の外周面47に対して径方向外方に所定の間隔を隔てて下側円環状部43の外周縁に一体的に形成された環状突部49と、環状突部49の外周面の下端に形成された環状の係合部50、円筒部65の内周面64の下端に径方向内方に伸びる環状突部66、環状突部66に形成された環状凹部67を具備した下部ケース41とを具備しており、円筒部21の外周面22を円筒部65の内周面64に摺接させ、係合部8を係合部50に弾性装着させると共に環状突部26を環状凹部67に配して、上部ケース2が下部ケース41に組合わされるようになっていてもよい。
【0066】
図12に示すスラスト滑り軸受1においても、スラスト滑り軸受片71は、図1に示すスラスト滑り軸受片71と同様であり、下側円環状面77の下側環状突出部93を下部ケース41の下側環状凹所48の底面51を規定する下側円環状平面44に摺接させ、上側円環状面75を下側環状凹所48の開口部52より突出させて内側上環状突面90及び外側上環状突面91を上部ケース2の上側円環状平面5に当接させ、かつ潤滑油剤が充填された環状凹部84の開口部83を上部ケース2の上側円環状平面5で閉塞させて上、下部ケース2及び41間に配されている。
【0067】
図12に示すスラスト滑り軸受1によれば、上記した各例と同様に、スラスト荷重下での上部ケース2と下部ケース41との間の円周方向Rの相対回転を円滑に許容してステアリング操作を円滑に行わせることができる上に、上部ケース2の円筒部21の外周面22と下部ケース41の円筒部65の内周面64との間で形成されるラジアル軸受部における合成樹脂同士の摺動によって、ラジアル荷重下での上部ケース2と下部ケース41との間での円周方向Rの相対回転を円滑に許容することができる。
【0068】
上記の各スラスト滑り軸受1において、上部ケース2の上側円環状部4は、図6及び図7に示すように、円孔3の外周縁から径方向外方に所定の幅をもった環状の円形帯状平面28と、円形帯状平面28の外周縁から円筒係合垂下部6の円筒状の外周面29にかけて下り勾配の截頭円錐面30とを有した円環状上面27を具備していてもよく、また図9及び図10に示すように、円形帯状平面28に当該円形帯状平面28から軸方向上方に突出して一体的に形成された円形帯状突出部31と、円形帯状突出部31の外周縁から円筒係合垂下部6の円筒状の外周面29にかけて下り勾配の截頭円錐面30とを具備していてもよい。
【0069】
図11に示すように、環状の円形帯状平面28と截頭円錐面30とからなる円環状上面27を有する上部ケース2を具備していると共にストラット型サスペンションに組込んだスラスト滑り軸受1は、環状の円形帯状平面28においてのみ車体側取付部材114の下面115と接触する一方、その他の部位では車体側取付部材114の下面115とは空間Sを保持して、車体側取付部材114の下面115と当該下面115に相対面した上部ばね座シート112の上面116との間に配置されるので、車体側取付部材114に傾き等の変動荷重が作用した場合でも、円筒垂下部11と環状突部57及び環状突部49との径方向Xの重畳部並びに係合部8と係合部50との弾性装着部とが干渉することがないので、これら重畳部及び弾性装着部に変形、損傷、折損等の不具合を回避し得る。
【0070】
以上のように、本発明のスラスト滑り軸受1では、上部ケース2の上側円環状平面5と内側上環状突面90及び外側上環状突面91とが線接触ないし微小幅の帯状接触にて支承するので、面圧(単位面積当たりの荷重)が高められることにより摺動摩擦抵抗が低減されると共に、上側円環状平面5に接触する環状凹部84に充填された潤滑油剤の面による摺動摩擦抵抗は非常に小さいので、全体として極めて低い摺動摩擦抵抗が得られる。
【符号の説明】
【0071】
1 スラスト滑り軸受
2 上部ケース
41 下部ケース
71 スラスト滑り軸受片
79 内側截頭円錐面
82 外側截頭円錐面
84 環状凹部
85 環状内側支承部
86 環状外側支承部
88 内側環状側面
89 外側環状側面
1 下側環状突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12