特許第6064496号(P6064496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6064496
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】作業機械のバッテリー格納装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20170116BHJP
   E02F 9/16 20060101ALI20170116BHJP
   B60K 1/04 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   E02F9/00 Z
   E02F9/16 K
   B60K1/04 A
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-217451(P2012-217451)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-70425(P2014-70425A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 主
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−321649(JP,A)
【文献】 特開平11−115504(JP,A)
【文献】 特開2007−211396(JP,A)
【文献】 特開平09−039583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00−9/16
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部に作業装置が設けられるとともに後部にカウンタウエイトが設けられる上部旋回体と、
前記上部旋回体に対して移動可能に取り付けられる可動式キャブと、
前記上部旋回体に対して前記可動式キャブを移動可能に支持するとともに、基部が前記上部旋回体に固定されるキャブ支持ブラケットと、
を備える作業機械に用いられるバッテリー格納装置であって、
バッテリーが載せられるバッテリー支持ブラケットと、
上移動規制部材と、
を備え、
前記バッテリー支持ブラケットは、前記バッテリー支持ブラケットの少なくとも一部が前記基部の内側に配置された状態と、前記一部が前記基部の外側に配置された状態と、の間でスライド可能であり、
前記バッテリー支持ブラケットのスライド方向は、前記上部旋回体の左右方向であ
前記上移動規制部材は、前記一部が前記基部の外側に配置された状態のとき、および、前記バッテリー支持ブラケットが前記スライド方向に移動するときに、前記バッテリー支持ブラケットの上向きの移動を規制するように構成される、
作業機械のバッテリー格納装置。
【請求項2】
前記上移動規制部材は、
前記スライド方向から見た左右方向をブラケット左右方向としたとき、前記バッテリー支持ブラケットのブラケット左右方向外側の面に固定されるブラケット側上移動規制部材と、
前記基部に固定され、前記ブラケット側上移動規制部材に接触可能に、前記ブラケット側上移動規制部材の直上に配置される基部側上移動規制部材と、
を備える、
請求項1に記載の作業機械のバッテリー格納装置。
【請求項3】
前記バッテリー支持ブラケットに固定されるブラケット側手前ストッパーと、
前記上部旋回体に固定され、かつ、前記ブラケット側手前ストッパーよりもスライド方向手前側に配置され、かつ、前記ブラケット側手前ストッパーと接触可能に構成される手前側ストッパーと、
を備える、
請求項1または2に記載のバッテリー格納装置。
【請求項4】
前記キャブ支持ブラケットの前記基部の内側に配置されるスライドパッドを備え、
前記スライドパッドは、前記スライド方向から見て、前記バッテリー支持ブラケットの左右及び下に配置される、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業機械のバッテリー格納装置。
【請求項5】
前記バッテリー支持ブラケットに固定されるブラケット側ストッパーと、
前記ブラケット側ストッパーよりも前記スライド方向奥側に配置され、前記上部旋回体に固定される奥側ストッパーと、
を備え、
前記奥側ストッパーは、前記ブラケット側ストッパーと係合したときに、前記スライド方向に直交する方向への前記ブラケット側ストッパーの移動を規制するように構成される、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業機械のバッテリー格納装置。
【請求項6】
前部に作業装置が設けられるとともに後部にカウンタウエイトが設けられる上部旋回体と、
前記上部旋回体に対して移動可能に取り付けられる可動式キャブと、
前記上部旋回体に対して前記可動式キャブを移動可能に支持するとともに、基部が前記上部旋回体に固定されるキャブ支持ブラケットと、
を備える作業機械に用いられるバッテリー格納装置であって、
バッテリーが載せられるバッテリー支持ブラケットと、
ストッパーと、
を備え、
前記バッテリー支持ブラケットは、前記バッテリー支持ブラケットの少なくとも一部が前記基部の内側に配置された状態と、前記一部が前記基部の外側に配置された状態と、の間でスライド可能であり、
前記バッテリー支持ブラケットのスライド方向は、前記上部旋回体の左右方向であり、
前記ストッパーは、
前記バッテリー支持ブラケットに固定されるブラケット側ストッパーと、
前記ブラケット側ストッパーよりも前記スライド方向奥側に配置され、前記上部旋回体に固定される奥側ストッパーと、
を備え、
前記ブラケット側ストッパーは、
下側ほど前記スライド方向奥側に突出するブラケット側傾斜部と、
前記ブラケット側ストッパーの前記スライド方向奥側端部に配置され、凹形状または凸形状のブラケット側凹凸部と、
を備え、
前記奥側ストッパーは、
上側ほど前記スライド方向手前側に突出するとともに前記ブラケット側傾斜部と接触可能に構成される奥側傾斜部と、
前記奥側ストッパーの前記スライド方向手前側端部に配置され、前記ブラケット側凹凸部に係合可能な奥側凹凸部と、
を備え、
前記奥側ストッパーは、前記ブラケット側ストッパーと係合したときに、前記スライド方向に直交する方向への前記ブラケット側ストッパーの移動を規制するように構成され、
前記奥側凹凸部は、前記ブラケット側凹凸部と係合したときに、前記スライド方向から見た左右方向への前記ブラケット側凹凸部の移動を規制するように構成される
業機械のバッテリー格納装置。
【請求項7】
前記ブラケット側ストッパーよりも前記スライド方向手前側に配置され、かつ、前記上部旋回体に固定され、かつ、前記ブラケット側ストッパーと接触可能に構成される手前側ストッパーを備える、
請求項に記載の作業機械のバッテリー格納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動式キャブを備える作業機械のバッテリー格納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、可動式キャブを備える作業機械がある(例えば特許文献1の図1,6,7,8参照)。この作業機械は、上部旋回体に対して可動式キャブを移動可能に支持するキャブ支持ブラケットを備える。
【0003】
図6(a)及び(b)に従来技術の一例を示す。図6(a)は、従来の作業機械のキャブ支持ブラケット117の周辺を横から見た図である。図6(b)は、図6(a)に示すキャブ支持ブラケット117の周辺を上から見た図であり、図6(a)のVIb矢視図である。なお、図6(a)は、図6(b)のVIa矢視図である。
【0004】
従来の作業機械には、キャブ支持ブラケット117の基部の横に複数のバッテリー119が配置されたものがある。これらのバッテリー119は、バッテリー長手方向が上部旋回体の前後方向となるように直列的に配置される。このバッテリー119の配置は、標準機(上部旋回体にキャブが固定された作業機械)のレイアウトを崩さないようにするための配置であり、また、可動式キャブを備える作業機械と標準機との部品の共通化を優先させた配置である。
【0005】
また、これらのバッテリー119は、キャブ支持ブラケット117の基部の内側にバッテリー119の一部が入り込むように配置される。このバッテリー119の配置は、上部旋回体の左右方向の幅を狭くするための配置であり、例えば上部旋回体が輸送制限幅を超えないようにするための配置である。
【0006】
なお、特許文献2には、キャブ支持ブラケットの基部の内側に、発電機を配置したものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−002178号公報
【特許文献2】特開2006−321649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図6(a)及び(b)に示す従来の作業機械では、キャブ支持ブラケット117の基部横に複数のバッテリー119が直列的に配置されている。その結果、可動式キャブ115(運転室)への昇降性が悪化するおそれがある。この問題の詳細は次の通りである。可動式キャブ115は、キャブ支持ブラケット117の基部の前方に配置される。そのため、作業機械の操作者は、キャブ支持ブラケット117の基部横の前方に配置されるステップ(足を乗せるためのスペース)を通って、可動式キャブ115への昇降を行う場合がある。しかし、ステップの広さがバッテリー119に制限され、その結果、可動式キャブ115への昇降性が悪化するおそれがある。
【0009】
また、上記従来技術では、キャブ支持ブラケット117の基部の前後方向(上部旋回体前後方向)の長さが長くなる結果、可動式キャブ115から下方が見えにくくなるおそれがある。この問題の詳細は次の通りである。上述したように、バッテリー119は、キャブ支持ブラケット117の基部の内側にバッテリー119の一部が入り込むように配置される場合がある。この場合、バッテリー119の配置スペースを確保するためには、キャブ支持ブラケット117の基部の前後方向(上部旋回体前後方向)の長さを十分長くする必要が生じる。すると、キャブ支持ブラケット117を長くした分、可動式キャブ115は前方に配置されることになる。その結果、例えば作業機械の走行時に、可動式キャブ115から下方を覗き込んだとき、下部走行体の先端(例えばクローラの先端)が操作者から見えない(又は見えにくい)おそれがあり、危険である。
【0010】
特許文献2に記載の技術は、キャブ支持ブラケットの基部の内側に発電機を配置したものである。発電機は日常メンテナンスの必要性が無いので、基部の内側に発電機が配置されても問題はない。しかし、この発電機をバッテリーに置換すれば、バッテリーの日常メンテナンスが困難になる。
【0011】
そこで、キャブ支持ブラケットの基部の外側でのバッテリーの配置スペースを狭くでき、かつ、基部が上部旋回体前後方向に長くなることを抑制でき、かつ、バッテリーのメンテナンスを容易に行える、作業機械のバッテリー格納装置を提供することを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、作業機械に用いられるバッテリー格納装置である。前記作業機械は、前部に作業装置が設けられるとともに後部にカウンタウエイトが設けられる上部旋回体と、前記上部旋回体に対して移動可能に取り付けられる可動式キャブと、前記上部旋回体に対して前記可動式キャブを移動可能に支持するとともに基部が前記上部旋回体に固定されるキャブ支持ブラケットと、を備える。前記バッテリー格納装置は、バッテリーが載せられるバッテリー支持ブラケットを備える。前記バッテリー支持ブラケットは、前記バッテリー支持ブラケットの少なくとも一部が前記基部の内側に配置された状態と、前記一部が前記基部の外側に配置された状態と、の間でスライド可能である。前記バッテリー支持ブラケットのスライド方向は、前記上部旋回体の左右方向である。前記バッテリー支持ブラケットに載せられる前記バッテリーの長手方向は、前記上部旋回体の左右方向である。
【発明の効果】
【0013】
上記構成により、キャブ支持ブラケットの基部の外側でのバッテリーの配置スペースを狭くでき、かつ、基部が上部旋回体前後方向に長くなることを抑制でき、かつ、バッテリーのメンテナンスを容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】作業機械を横から見た図である。
図2図1に示すバッテリー格納装置20の拡大図である。
図3図2のIII断面矢視図である。
図4】(a):図3に示すブラケット側ストッパー71の周辺を示す図である。(b):図3に示す奥側ストッパー75を示す図である。
図5】バッテリーメンテナンス状態のときの図3相当図である。
図6】(a):従来の作業機械のキャブ支持ブラケット周辺を示す図である。(b):図6(a)に示すキャブ支持ブラケット周辺を上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図5を参照して作業機械1(図1参照)のバッテリー格納装置20について説明する。なお、図2は、図3のII矢視図である。
【0016】
作業機械1は、例えば油圧ショベルなどである。作業機械1は、下部走行体11と、上部旋回体13と、可動式キャブ15と、キャブ支持ブラケット17と、を備える。さらに、作業機械1は、キャブ支持ブラケット17の基部17bの内側17cにそれぞれ配置された、バッテリー19と、バッテリー格納装置20と、を備える。
【0017】
下部走行体11は、作業機械1を走行させる部分であり、例えばクローラ式である。
【0018】
上部旋回体13は、下部走行体11に旋回機構12を介して搭載され、下部走行体11に対して旋回可能である。上部旋回体13は、旋回フレーム13aと、上部旋回体13の前部に設けられる作業装置13bと、上部旋回体13の後部に設けられるカウンタウエイト13cと、を備える。旋回フレーム13aは、旋回機構12に取り付けられる構造物である。作業装置13b(アタッチメント)は、旋回フレーム13aの前部に取り付けられる。作業機械1が油圧ショベルの場合、作業装置13bは、ブーム、アーム、及びバケット等である。カウンタウエイト13cは、旋回フレーム13aの後部に取り付けられる、おもりである。ここで、上部旋回体13の左右方向を、上部旋回体左右方向Xとする。上部旋回体13の前後方向を、上部旋回体前後方向Yとする。
【0019】
可動式キャブ15は、作業機械1の運転室である。可動式キャブ15は、上部旋回体13に対して移動可能に、上部旋回体13に取り付けられる。
【0020】
キャブ支持ブラケット17は、上部旋回体13に対して可動式キャブ15を移動可能に支持する。キャブ支持ブラケット17の基部17b(後述)は、上部旋回体13に固定される。キャブ支持ブラケット17は、旋回フレーム13aから上に延びるように配置される(旋回フレーム13aに立てて設けられる)。キャブ支持ブラケット17は、旋回フレーム13aの左または右の端部に配置される。キャブ支持ブラケット17は、エレベータ式、リンク式、前後スライド式、又はチルト式などである(図1ではエレベータ式を示している)。エレベータ式では、上部旋回体13に対し可動式キャブ15が上下方向にのみ移動可能である。リンク式では、上部旋回体13に対し可動式キャブ15が上下方向(及び前後方向)に移動可能である。前後スライド式では、可動式キャブ15が上部旋回体前後方向Yに移動可能である。チルト式では、上部旋回体13(の旋回フレーム13a)に対する可動式キャブ15(の底面)の角度が可変である。チルト式では、可動式キャブ15の前端部が上下に移動可能である。キャブ支持ブラケット17は、可動式キャブ15が取り付けられる本体部17aと、本体部17aが固定される基部17bと、を備える。
【0021】
基部17bは、キャブ支持ブラケット17の土台部分(ベース)である。基部17bは、キャブ支持ブラケット17の下端部(根もと)である。基部17bは、旋回フレーム13aに固定される。なお、基部17bの内側(内部)を内側17cとし、基部17bの外側(外部)を外側17dとする。
【0022】
バッテリー19は、作業機械1が備える各種電気機器の電源である。バッテリー19は、例えば2つ設けられる。バッテリー19は、長手方向を有する直方体である。
【0023】
バッテリー格納装置20は、バッテリー19をスライド及び固定させる装置である。図2及び図3に示すように、バッテリー格納装置20は、枠部21と、バッテリー支持ブラケット30と、バッテリー固定部材40と、ブラケット固定部材50と、スライドパッド60と、ストッパー70と、を備える。
【0024】
枠部21は、図1に示す基部17bと旋回フレーム13aとで構成される枠状(筒状)の部分である。枠部21(図2参照)の内側は、基部17bの内側17cである。図2に示すように、枠部21は、枠底板21bと、枠側板21sと、枠天板21uと、を備える。枠底板21bは、旋回フレーム13aの一部である。枠側板21sは、基部17bの、上部旋回体前後方向Yの前部および後部の板である。枠天板21uは、基部17bの上部の板である。
【0025】
バッテリー支持ブラケット30は、バッテリー19が載せられる部材である。図3及び図5に示すように、バッテリー支持ブラケット30は、基部17b(枠部21)の内側17cと外側17dとの間でスライド可能である。さらに詳しくは、バッテリー支持ブラケット30は、バッテリー支持ブラケット30の少なくとも一部(「一部30a」とする)が基部17bの内側17cに配置された状態(図3参照)と、一部30aが基部17bの外側17dに配置された状態(図5参照)と、の間でスライド可能である。バッテリー支持ブラケット30のスライド方向Xは、上部旋回体左右方向Xである。ここで、スライド方向Xにおいて、基部17bの内側17cから外側17dに向かう側をスライド方向手前側X1とし、基部17bの外側17dから内側17cに向かう側をスライド方向奥側X2とする。図2に示すように、スライド方向Xから見た左右方向を、ブラケット左右方向Yとする。ブラケット左右方向Yは、図1に示す上部旋回体前後方向Yと一致する。図3に示すように、バッテリー支持ブラケット30に載せられるバッテリー19の長手方向は、上部旋回体左右方向X(スライド方向X)である。図2に示すように、バッテリー支持ブラケット30には、2つのバッテリー19がブラケット左右方向Yに並べて配置される(並列配置される)。バッテリー支持ブラケット30は、トレー部31と、取っ手33と、を備える。
【0026】
トレー部31は、バッテリー19が載せられる部分である。トレー部31は、トレー状(蓋のない箱状)である。図4(a)に示すように、トレー部31は、トレー下板31bと、スライド方向奥側X2部分のトレー奥板31rと、ブラケット左右方向Y外側部分のトレー側板31s(2枚)と、スライド方向手前側X1部分のトレー手前板31f(図3参照)と、を備える。
【0027】
取っ手33は、図2及び図3に示すように、バッテリー支持ブラケット30をスライド方向手前側X1にスライドさせやすく(手で引っ張りやすく)するための部材である。取っ手33は、トレー手前板31fよりもスライド方向手前側X1かつ上側に突出するように、トレー手前板31fに固定される。
【0028】
バッテリー固定部材40は、図2に示すように、バッテリー支持ブラケット30にバッテリー19を固定するための部材である。バッテリー固定部材40は、バッテリー固定部材40とバッテリー支持ブラケット30とでバッテリー19を上下方向に挟み込めるように構成(配置及び形成)される。バッテリー固定部材40は、バッテリー固定プレート41と、バッテリー固定ナット43と、バッテリー固定ボルト45と、を備える。
【0029】
バッテリー固定プレート41は、バッテリー19の上面に接触するように配置される。バッテリー固定プレート41は、複数(例えば2つ)のバッテリー19の上面にまたがって配置される。バッテリー固定プレート41は、板部41aと、ボス部41bとを備える。板部41aは、バッテリー19の上面と接触する板である。ボス部41bは、板部41aから上に突出する。ボス部41bは、内側にめねじが形成される(形成されなくてもよい)。バッテリー固定ナット43は、トレー下板31bの下面に固定(例えば溶接)される。バッテリー固定ボルト45は、バッテリー固定ナット43とボス部41bとを締結する。
【0030】
ブラケット固定部材50は、図3に示すように、バッテリー格納状態(詳細は後述)のときのバッテリー支持ブラケット30を、枠部21に固定する(旋回フレーム13aに対して固定する)ための部材である。ブラケット固定部材50は、バッテリー支持ブラケット30のスライド方向手前側X1端部と、枠部21と、を固定する。ブラケット固定部材50は、例えば、トレー側板31sと、枠底板21bと、を連結して固定する。ブラケット固定部材50は、ブラケット側固定部材51と、枠部側固定部材53と、ブラケット固定ボルト55と、を備える。
【0031】
ブラケット側固定部材51は、バッテリー支持ブラケット30のスライド方向手前側X1端部に固定される。図2に示すように、ブラケット側固定部材51は、例えば、スライド方向Xから見てL字状であり、縦板51aと、横板51bと、を備える。縦板51aは、トレー側板31sのブラケット左右方向Y外側面に固定される。横板51bは、縦板51aの例えば下端部からブラケット左右方向Y外側に突出する。
【0032】
枠部側固定部材53は、旋回フレーム13a(枠底板21b)に固定(例えば溶接)される。枠部側固定部材53には、ブラケット側固定部材51が接触可能である。図3に示すように、枠部側固定部材53は、例えば、枠側板21sよりもスライド方向手前側X1に配置される。枠部側固定部材53は、ネジ孔が形成されたタップドブロックである。
【0033】
ブラケット固定ボルト55は、ブラケット側固定部材51と枠部側固定部材53とを締結する。ブラケット固定ボルト55は、横板51bに形成された孔に通されるとともに、枠部側固定部材53のネジ孔に締結される。
【0034】
スライドパッド60は、図2に示すバッテリー支持ブラケット30のスライド方向Xへのスライドを容易にする。スライドパッド60は、キャブ支持ブラケット17(図1参照)の基部17bの内側17cに配置される。スライドパッド60は、例えば、長手方向がスライド方向Xの直方体の板などである。スライドパッド60は、スライド方向Xから見て、バッテリー支持ブラケット30の左右及び下に配置される。スライドパッド60には、バッテリー支持ブラケット30の下に配置される下スライドパッド61と、バッテリー支持ブラケット30の左右に配置される左右スライドパッド63と、がある。
【0035】
下スライドパッド61には、枠部側下スライドパッド61aと、ブラケット側下スライドパッド61bと、がある。枠部側下スライドパッド61aは、枠部21の枠底板21bの上面に固定される。ブラケット側下スライドパッド61bは、トレー部31のトレー下板31bの下面に固定される。枠部側下スライドパッド61aとブラケット側下スライドパッド61bとは、上下方向に対向して接触する。枠部側下スライドパッド61a及びブラケット側下スライドパッド61bは、例えばそれぞれ2枚ずつ(合計4枚)設けられる(枚数は変更してもよい)。ブラケット側下スライドパッド61bは、トレー下板31bの左右の端部(ブラケット左右方向Yの外側両端部)付近に1枚ずつ配置される。なお、下スライドパッド61は、枠部側下スライドパッド61a及びブラケット側下スライドパッド61bのうち一方のみを備えてもよい。
【0036】
左右スライドパッド63には、枠部側左右スライドパッド63aと、ブラケット側左右スライドパッド63bと、がある。枠部側左右スライドパッド63aは、枠部21の枠側板21s(2枚)の内面(ブラケット左右方向Y内側の面)それぞれに固定される。ブラケット側左右スライドパッド63bは、トレー部31のトレー側板31s(2枚)の外側面(ブラケット左右方向Y外側の面)それぞれに固定される。
【0037】
この左右スライドパッド63は、バッテリー支持ブラケット30のブラケット左右方向Yへの移動を規制するように構成される。具体的には、枠部側左右スライドパッド63aは、トレー部31に(例えばトレー側板31sに)接触可能に配置される。または(及び)、ブラケット側左右スライドパッド63bは、枠側板21sに接触可能に配置される。なお、左右スライドパッド63は、枠部側左右スライドパッド63aおよびブラケット側左右スライドパッド63bのうち一方のみを備えてもよい。
【0038】
この左右スライドパッド63は、バッテリー支持ブラケット30の上向きの移動を規制するように構成される。具体的には、枠部側左右スライドパッド63aは、ブラケット側左右スライドパッド63bの上(直上)に配置される。枠部側左右スライドパッド63aの下面と、ブラケット側左右スライドパッド63bの上面と、が接触可能となるように左右スライドパッド63が構成される。
【0039】
ストッパー70は、スライド方向X等の、バッテリー支持ブラケット30の移動を規制する。図3に示すように、ストッパー70には、ブラケット側ストッパー71と、手前側ストッパー73と、奥側ストッパー75と、がある。
【0040】
ブラケット側ストッパー71は、バッテリー支持ブラケット30に固定される。ブラケット側ストッパー71は、バッテリー支持ブラケット30のスライド方向奥側X2端部に配置される。ブラケット側ストッパー71は、トレー下板31bの下面に固定される(トレー奥板31rのスライド方向奥側X2の面に固定されてもよい)。ブラケット側ストッパー71のスライド方向奥側X2端部は、トレー奥板31rよりもスライド方向奥側X2に配置される。図2に示すように、ブラケット側ストッパー71は、例えば、2枚のブラケット側下スライドパッド61bの間に配置される。図4(a)に示すように、ブラケット側ストッパー71のスライド方向奥側X2端部は、クサビ形(基端から先端に向かって薄くなる形状)である。ブラケット側ストッパー71は、ブラケット側傾斜部71aと、ブラケット側凹凸部71bと、を備える。
【0041】
ブラケット側傾斜部71aは、上下方向に対して傾斜し、下側ほど(下に至るにしたがって)スライド方向奥側X2に突出するように傾斜する。ブラケット側傾斜部71aは、ブラケット側ストッパー71のスライド方向奥側X2端部に設けられる。
【0042】
ブラケット側凹凸部71bは、ブラケット側ストッパー71のスライド方向奥側X2端部に設けられる。ブラケット側凹凸部71bは、ブラケット側傾斜部71aに形成される。ブラケット側凹凸部71bの形状は、凹形状または凸形状である(図4(a)では1つの凸形状を示す)。ブラケット側凹凸部71bは、凹形状および凸形状の両方を備えてもよく、凹形状や凸形状を複数備えてもよい(後述する奥側凹凸部75bも同様)。ブラケット側凹凸部71bは、テーパー形状を備える(詳細は後述)。
【0043】
手前側ストッパー73は、図3に示すバッテリー支持ブラケット30のスライド方向手前側X1への移動を規制する。手前側ストッパー73は、枠底板21bに(上部旋回体13に)固定される。手前側ストッパー73は、ブラケット側ストッパー71よりもスライド方向手前側X1に配置される。手前側ストッパー73は、枠部21のスライド方向手前側X1端部の近傍に配置される。手前側ストッパー73は、ブラケット側ストッパー71と接触可能に構成される。図2に示すように、手前側ストッパー73は、例えば、2枚の枠部側下スライドパッド61aの間に配置される。
【0044】
奥側ストッパー75は、図3に示すバッテリー支持ブラケット30のスライド方向奥側X2への移動を規制する。奥側ストッパー75は、枠底板21bに(上部旋回体13に)固定される。奥側ストッパー75は、ブラケット側ストッパー71よりもスライド方向奥側X2に配置される。奥側ストッパー75は、ブラケット側ストッパー71と接触可能に構成される。奥側ストッパー75は、ブラケット側ストッパー71と係合したときに、スライド方向Xに直交する方向へのブラケット側ストッパー71の移動を規制するように構成される。図4(b)に示すように、奥側ストッパー75のスライド方向手前側X1端部は、クサビ形である。奥側ストッパー75は、奥側傾斜部75aと、奥側凹凸部75bと、を備える。
【0045】
奥側傾斜部75aは、ブラケット側傾斜部71a(図4(a)参照)と接触することで、バッテリー支持ブラケット30の上向きの移動を規制する部分である。奥側傾斜部75aは、上下方向に対して傾斜し、上側ほど(上に至るにしたがって)スライド方向手前側X1に突出するように傾斜する。奥側傾斜部75aとブラケット側傾斜部71aとは平行(又は略平行)である(図3参照)。奥側傾斜部75aは、奥側ストッパー75のスライド方向手前側X1端部に設けられる。
【0046】
奥側凹凸部75bは、ブラケット側凹凸部71bと係合することで、バッテリー支持ブラケット30のブラケット左右方向Yへの移動を規制する部分である。奥側凹凸部75bは、奥側ストッパー75のスライド方向手前側X1端部に配置(形成)される。奥側凹凸部75bは、奥側傾斜部75aに形成される。奥側凹凸部75bの形状は、ブラケット側凹凸部71b(図4(a)参照)に係合可能な形状である。例えば、図4(a)に示すようにブラケット側凹凸部71bの形状が1つの凸形状の場合、図4(b)に示すように奥側凹凸部75bの形状は1つの凹形状である。奥側凹凸部75bは、奥側凹凸部75bにブラケット側凹凸部71b(図4(a)参照)が嵌まりこみやすくなるようなテーパー形状を備える。具体的には例えば、ブラケット側凹凸部71b(図4(a)参照)の形状が四角錐台の場合、奥側凹凸部75bの形状は平面から四角錐台を取り除いた凹形状である。
【0047】
(動作)
次に、バッテリー格納装置20の動作を説明する。バッテリー格納装置20には、バッテリーメンテナンス状態と、バッテリー格納状態と、これらの中間状態と、がある。
【0048】
(1)バッテリーメンテナンス状態
バッテリーメンテナンス状態は、図5に示すように、バッテリー19をメンテナンス(バッテリー液量等の確認等)するとき等の、バッテリー格納装置20の状態である。バッテリーメンテナンス状態は、バッテリー支持ブラケット30の大部分(全部でもよい)およびバッテリー19が、基部17bの外側17d(枠部21の外側)に引き出された状態である。以下、バッテリーメンテナンス状態のときの、バッテリー支持ブラケット30の枠部21に対する移動の規制について説明する。
(1−a)スライド方向手前側X1への移動の規制
手前側ストッパー73のスライド方向奥側X2端部と、ブラケット側ストッパー71のスライド方向手前側X1端部と、が接触する。これにより、バッテリー支持ブラケット30のスライド方向手前側X1への移動が規制される。
(1−b)上向きの移動の規制
ブラケット側左右スライドパッド63bのスライド方向奥側X2端部付近の上端部と、枠部側左右スライドパッド63aのスライド方向手前側X1端部付近の下端部と、が接触する(ひっかかる)。これにより、バッテリー支持ブラケット30のスライド方向奥側X2端部付近の、上向きの移動が規制される。すなわち、バッテリー支持ブラケット30及びバッテリー19が、旋回フレーム13aから脱落することが防止される。
【0049】
(2)中間状態
中間状態は、バッテリー支持ブラケット30がスライド方向Xに移動するとき等のバッテリー格納装置20の状態である。以下、中間状態のときのバッテリー支持ブラケット30の枠部21に対する移動の規制について説明する。
(2−a)ブラケット左右方向Yの移動の規制
上述したように、左右スライドパッド63により、バッテリー支持ブラケット30のブラケット左右方向Yの移動が規制される。
(2−b)上向きの移動の規制
また、上記のバッテリーメンテナンス状態と同様に、枠部側左右スライドパッド63aと、ブラケット側左右スライドパッド63bとが接触することにより、バッテリー支持ブラケット30の上向きの移動が規制される。
【0050】
(3)バッテリー格納状態
バッテリー格納状態は、図3に示すように、バッテリー支持ブラケット30の大部分(全部でもよい)及びバッテリー19が、基部17bの内側17c(枠部21の内側)に格納された状態である。バッテリー格納状態のときは、ブラケット側ストッパー71と奥側ストッパー75とが係合する。以下、バッテリー格納状態のときのバッテリー支持ブラケット30の枠部21に対する移動の規制について説明する。
【0051】
(3−a)スライド方向奥側X2の移動の規制
奥側ストッパー75のスライド方向手前側X1端部と、ブラケット側ストッパー71のスライド方向奥側X2端部と、が接触する。これにより、バッテリー支持ブラケット30の、スライド方向奥側X2への移動が規制される。
【0052】
(3ーb)ブラケット左右方向Yの移動の規制
バッテリー支持ブラケット30をスライド方向奥側X2にスライドさせると、図4に示すブラケット側凹凸部71bと、奥側凹凸部75bと、が係合する。ブラケット側凹凸部71bおよび奥側凹凸部75bにテーパー形状が形成されているので、この係合がスムーズに行われる。この係合により、ブラケット左右方向Yへのバッテリー支持ブラケット30(図3参照)の移動が規制される。
【0053】
(3ーc)上向きの移動の規制
また、図3に示すバッテリー支持ブラケット30をスライド方向奥側X2にスライドさせると、図4に示すブラケット側傾斜部71aの上に、奥側傾斜部75aが配置される(図3参照)。ブラケット側傾斜部71a及び奥側傾斜部75aは傾斜した形状なので、この配置がスムーズに行われる。この配置により、図3に示すバッテリー支持ブラケット30のスライド方向奥側X2端部付近の上向きの移動が規制される。また、上記の中間状態と同様に、枠部側左右スライドパッド63aと、ブラケット側左右スライドパッド63bとが接触することにより、バッテリー支持ブラケット30の上向きの移動が規制される。
【0054】
(3−d)ブラケット固定部材50による固定
ブラケット側固定部材51と枠部側固定部材53とが、ブラケット固定ボルト55で締結される。このとき、枠側板21sよりもスライド方向手前側X1にブラケット固定部材50が配置されるので、この締結作業が容易である。この締結により、バッテリー支持ブラケット30のスライド方向手前側X1端部と枠部21とが固定される。このとき、上述したように、ブラケット側ストッパー71と奥側ストッパー75とが係合することにより、バッテリー支持ブラケット30のスライド方向奥側X2端部付近の、上向きの移動およびブラケット左右方向Yの移動が規制されている。よって、ブラケット固定部材50で上記固定を行うのみで、バッテリー支持ブラケット30全体が枠部21に対して固定される。
【0055】
(効果1)
次に、図1に示す作業機械1のバッテリー格納装置20による効果を説明する。作業機械1は、前部に作業装置13bが設けられるとともに後部にカウンタウエイト13cが設けられる上部旋回体13と、上部旋回体13に対して移動可能に取り付けられる可動式キャブ15と、キャブ支持ブラケット17と、を備える。キャブ支持ブラケット17は、上部旋回体13に対して可動式キャブ15を移動可能に支持すると共に、基部17bが上部旋回体13に固定される。図2に示すように、バッテリー格納装置20は、バッテリー19が載せられるバッテリー支持ブラケット30を備える。図3及び図5に示すように、バッテリー支持ブラケット30は、バッテリー支持ブラケット30の少なくとも一部30aが基部17bの内側17cに配置された状態(図3参照)と、一部30aが基部17bの外側17dに配置された状態(図5参照)と、の間でスライド可能である。バッテリー支持ブラケット30のスライド方向Xは、上部旋回体13(図1参照)の左右方向(上部旋回体左右方向X)である。
【0056】
バッテリー支持ブラケット30は、上記のようにキャブ支持ブラケット17(図1参照)の基部17bの内側17cと外側17dとの間でスライド可能である。よって、バッテリー支持ブラケット30に載せられたバッテリー19を、基部17bの内側に格納できる。よって、基部17bの外側17dでのバッテリー19の配置スペースを狭くできる。その結果、基部17bの横の前方(上部旋回体前後方向Yにおける前方)に配置されるステップ(図1に示す作業機械1の操作者が足をのせるためのスペース、図示なし)が狭くなることを抑制できる。その結果、可動式キャブ15への昇降性を向上させることができる。
【0057】
また、基部17bの内側にバッテリー19を格納できるので、従来技術(図6(a)及び(b)参照)のようにバッテリー19の長手方向を上部旋回体前後方向Yにして、複数のバッテリー19を上部旋回体前後方向Yに直列的に配列する必要がない。よって、図1に示す基部17bが上部旋回体前後方向Yに長くなることを抑制できる。その結果、下部走行体11に対する可動式キャブ15を上部旋回体前後方向Y後側(従来技術に比べて後側)に配置できる。その結果、例えば作業機械1の走行時に、可動式キャブ15から下方を覗き込んだとき、下部走行体11の先端(例えばクローラの先端)が操作者から見えない(又は見えにくい)という問題を抑制できる。
【0058】
図3及び図5に示すように、バッテリー支持ブラケット30は、上記のようにキャブ支持ブラケット17の基部17bの内側17cと外側17dとの間でスライド可能である。よって、バッテリー支持ブラケット30をスライドさせることで、基部17bの内側17cから外側17dへバッテリー19を容易に引き出せる。その結果、バッテリー19のメンテナンスを容易に行える。
【0059】
(効果2)
図2に示すように、バッテリー格納装置20は、キャブ支持ブラケット17(図1参照)の基部17bの内側に配置されるスライドパッド60を備える。スライドパッド60は、スライド方向Xから見て、バッテリー支持ブラケット30の左右及び下に配置される。
【0060】
このスライドパッド60により、バッテリー支持ブラケット30を簡易な構成でスライドさせやすくできる。
【0061】
(効果3)
図3に示すように、バッテリー格納装置20は、バッテリー支持ブラケット30に固定されるブラケット側ストッパー71と、奥側ストッパー75と、を備える。奥側ストッパー75は、ブラケット側ストッパー71よりもスライド方向奥側X2に配置され、上部旋回体13に(旋回フレーム13aに)固定される。奥側ストッパー75は、ブラケット側ストッパー71と係合したときに、スライド方向Xに直交する方向へのブラケット側ストッパー71の移動を規制するように構成される。
【0062】
この構成では、バッテリー支持ブラケット30をスライド方向奥側X2にスライドさせると、奥側ストッパー75とブラケット側ストッパー71とが係合する。すると、奥側ストッパー75は、スライド方向Xに直交する方向へのブラケット側ストッパー71の移動を規制する。この規制により、バッテリー支持ブラケット30の、スライド方向Xに直交する方向へのガタツキを防止できる。すなわち、バッテリー支持ブラケット30をスライド方向奥側X2にスライドさせるだけで、バッテリー支持ブラケット30の上記ガタツキを防止できる。
【0063】
(効果4)
図4(a)に示すように、ブラケット側ストッパー71は、ブラケット側傾斜部71aと、ブラケット側凹凸部71bと、を備える(以下、ブラケット側ストッパー71については図4(a)参照)。ブラケット側傾斜部71aは、下側ほどスライド方向奥側X2に突出する。ブラケット側凹凸部71bは、ブラケット側ストッパー71のスライド方向奥側X2端部に配置され、凹形状または凸形状である。図4(b)に示すように、奥側ストッパー75は、奥側傾斜部75aと、奥側凹凸部75bと、を備える(以下、奥側ストッパー75については図4(b)参照)。奥側傾斜部75aは、上側ほどスライド方向手前側X1に突出するとともに、ブラケット側傾斜部71aと接触可能に構成される。奥側凹凸部75bは、奥側ストッパー75のスライド方向手前側X1端部に配置され、ブラケット側凹凸部71bに係合可能である。奥側凹凸部75bは、ブラケット側凹凸部71bと係合したときに、スライド方向Xから見た左右方向(ブラケット左右方向Y)へのブラケット側凹凸部71bの移動を規制するように構成される。
【0064】
ブラケット側傾斜部71aは、下側ほどスライド方向奥側X2に突出する。また、奥側傾斜部75aは、上側ほどスライド方向手前側X1に突出する。この構成では、ブラケット側傾斜部71aの上面に奥側傾斜部75aの下面が接触すると、奥側傾斜部75aに対するブラケット側傾斜部71aの上向きの移動が規制される。その結果、図3に示す旋回フレーム13a(上部旋回体13(図1参照))に対するバッテリー支持ブラケット30の上向きの移動を規制できる。
【0065】
図4(a)及び(b)に示すように、奥側凹凸部75bは、ブラケット側凹凸部71bと係合したときに、スライド方向Xから見た左右方向(ブラケット左右方向Y)へのブラケット側凹凸部71bの移動を規制するように構成される。この構成では、ブラケット側凹凸部71bと奥側凹凸部75bとを係合させることで、バッテリー支持ブラケット30のブラケット左右方向Yへの移動を規制できる。
【0066】
(効果5)
バッテリー格納装置20は、手前側ストッパー73を備える。手前側ストッパー73は、ブラケット側ストッパー71よりもスライド方向手前側X1に配置され、かつ、上部旋回体13に固定され、かつ、ブラケット側ストッパー71と接触可能に構成される。
【0067】
この構成では、ブラケット側ストッパー71は、手前側ストッパー73と接触可能である。さらに、上述したように(効果3参照)、ブラケット側ストッパー71は、奥側ストッパー75と係合可能である。すなわち、ブラケット側ストッパー71は、スライド方向奥側X2へのバッテリー支持ブラケット30の移動を規制するストッパーと、スライド方向手前側X1へのバッテリー支持ブラケット30の移動を規制するストッパーと、を兼ねている。その結果、バッテリー支持ブラケット30の構成を簡素にできる。
【0068】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形できる。例えば、上記実施形態では、バッテリー19は2つだったが、バッテリー19は1つや3つ以上でもよい。また例えば、上記実施形態では、2つのバッテリー19が上部旋回体前後方向Yに並べて配置された。しかし、2以上のバッテリー19が、上部旋回体左右方向X(スライド方向X)に並べて配置されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 作業機械
11 下部走行体
13 上部旋回体
13b 作業装置
13c カウンタウエイト
15 可動式キャブ
17 キャブ支持ブラケット
17b 基部
17c 内側
17d 外側
19 バッテリー
20 バッテリー格納装置
30 バッテリー支持ブラケット
30a 一部
60 スライドパッド
63 左右スライドパッド(上移動規制部材)
63a 枠部側左右スライドパッド(基部側上移動規制部材)
63b ブラケット側左右スライドパッド(ブラケット側上移動規制部材)
70 ストッパー
71 ブラケット側ストッパー(ブラケット側手前ストッパー)
71a ブラケット側傾斜部
71b ブラケット側凹凸部
73 手前側ストッパー
75 奥側ストッパー
75a 奥側傾斜部
75b 奥側凹凸部
X スライド方向、上部旋回体左右方向(上部旋回体の左右方向)
X1 スライド方向手前側
X2 スライド方向奥側
図1
図2
図3
図4
図5
図6