(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブラケット側ストッパーよりも前記スライド方向手前側に配置され、かつ、前記上部旋回体に固定され、かつ、前記ブラケット側ストッパーと接触可能に構成される手前側ストッパーを備える、
請求項6に記載の作業機械のバッテリー格納装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜
図5を参照して作業機械1(
図1参照)のバッテリー格納装置20について説明する。なお、
図2は、
図3のII矢視図である。
【0016】
作業機械1は、例えば油圧ショベルなどである。作業機械1は、下部走行体11と、上部旋回体13と、可動式キャブ15と、キャブ支持ブラケット17と、を備える。さらに、作業機械1は、キャブ支持ブラケット17の基部17bの内側17cにそれぞれ配置された、バッテリー19と、バッテリー格納装置20と、を備える。
【0017】
下部走行体11は、作業機械1を走行させる部分であり、例えばクローラ式である。
【0018】
上部旋回体13は、下部走行体11に旋回機構12を介して搭載され、下部走行体11に対して旋回可能である。上部旋回体13は、旋回フレーム13aと、上部旋回体13の前部に設けられる作業装置13bと、上部旋回体13の後部に設けられるカウンタウエイト13cと、を備える。旋回フレーム13aは、旋回機構12に取り付けられる構造物である。作業装置13b(アタッチメント)は、旋回フレーム13aの前部に取り付けられる。作業機械1が油圧ショベルの場合、作業装置13bは、ブーム、アーム、及びバケット等である。カウンタウエイト13cは、旋回フレーム13aの後部に取り付けられる、おもりである。ここで、上部旋回体13の左右方向を、上部旋回体左右方向Xとする。上部旋回体13の前後方向を、上部旋回体前後方向Yとする。
【0019】
可動式キャブ15は、作業機械1の運転室である。可動式キャブ15は、上部旋回体13に対して移動可能に、上部旋回体13に取り付けられる。
【0020】
キャブ支持ブラケット17は、上部旋回体13に対して可動式キャブ15を移動可能に支持する。キャブ支持ブラケット17の基部17b(後述)は、上部旋回体13に固定される。キャブ支持ブラケット17は、旋回フレーム13aから上に延びるように配置される(旋回フレーム13aに立てて設けられる)。キャブ支持ブラケット17は、旋回フレーム13aの左または右の端部に配置される。キャブ支持ブラケット17は、エレベータ式、リンク式、前後スライド式、又はチルト式などである(
図1ではエレベータ式を示している)。エレベータ式では、上部旋回体13に対し可動式キャブ15が上下方向にのみ移動可能である。リンク式では、上部旋回体13に対し可動式キャブ15が上下方向(及び前後方向)に移動可能である。前後スライド式では、可動式キャブ15が上部旋回体前後方向Yに移動可能である。チルト式では、上部旋回体13(の旋回フレーム13a)に対する可動式キャブ15(の底面)の角度が可変である。チルト式では、可動式キャブ15の前端部が上下に移動可能である。キャブ支持ブラケット17は、可動式キャブ15が取り付けられる本体部17aと、本体部17aが固定される基部17bと、を備える。
【0021】
基部17bは、キャブ支持ブラケット17の土台部分(ベース)である。基部17bは、キャブ支持ブラケット17の下端部(根もと)である。基部17bは、旋回フレーム13aに固定される。なお、基部17bの内側(内部)を内側17cとし、基部17bの外側(外部)を外側17dとする。
【0022】
バッテリー19は、作業機械1が備える各種電気機器の電源である。バッテリー19は、例えば2つ設けられる。バッテリー19は、長手方向を有する直方体である。
【0023】
バッテリー格納装置20は、バッテリー19をスライド及び固定させる装置である。
図2及び
図3に示すように、バッテリー格納装置20は、枠部21と、バッテリー支持ブラケット30と、バッテリー固定部材40と、ブラケット固定部材50と、スライドパッド60と、ストッパー70と、を備える。
【0024】
枠部21は、
図1に示す基部17bと旋回フレーム13aとで構成される枠状(筒状)の部分である。枠部21(
図2参照)の内側は、基部17bの内側17cである。
図2に示すように、枠部21は、枠底板21bと、枠側板21sと、枠天板21uと、を備える。枠底板21bは、旋回フレーム13aの一部である。枠側板21sは、基部17bの、上部旋回体前後方向Yの前部および後部の板である。枠天板21uは、基部17bの上部の板である。
【0025】
バッテリー支持ブラケット30は、バッテリー19が載せられる部材である。
図3及び
図5に示すように、バッテリー支持ブラケット30は、基部17b(枠部21)の内側17cと外側17dとの間でスライド可能である。さらに詳しくは、バッテリー支持ブラケット30は、バッテリー支持ブラケット30の少なくとも一部(「一部30a」とする)が基部17bの内側17cに配置された状態(
図3参照)と、一部30aが基部17bの外側17dに配置された状態(
図5参照)と、の間でスライド可能である。バッテリー支持ブラケット30のスライド方向Xは、上部旋回体左右方向Xである。ここで、スライド方向Xにおいて、基部17bの内側17cから外側17dに向かう側をスライド方向手前側X1とし、基部17bの外側17dから内側17cに向かう側をスライド方向奥側X2とする。
図2に示すように、スライド方向Xから見た左右方向を、ブラケット左右方向Yとする。ブラケット左右方向Yは、
図1に示す上部旋回体前後方向Yと一致する。
図3に示すように、バッテリー支持ブラケット30に載せられるバッテリー19の長手方向は、上部旋回体左右方向X(スライド方向X)である。
図2に示すように、バッテリー支持ブラケット30には、2つのバッテリー19がブラケット左右方向Yに並べて配置される(並列配置される)。バッテリー支持ブラケット30は、トレー部31と、取っ手33と、を備える。
【0026】
トレー部31は、バッテリー19が載せられる部分である。トレー部31は、トレー状(蓋のない箱状)である。
図4(a)に示すように、トレー部31は、トレー下板31bと、スライド方向奥側X2部分のトレー奥板31rと、ブラケット左右方向Y外側部分のトレー側板31s(2枚)と、スライド方向手前側X1部分のトレー手前板31f(
図3参照)と、を備える。
【0027】
取っ手33は、
図2及び
図3に示すように、バッテリー支持ブラケット30をスライド方向手前側X1にスライドさせやすく(手で引っ張りやすく)するための部材である。取っ手33は、トレー手前板31fよりもスライド方向手前側X1かつ上側に突出するように、トレー手前板31fに固定される。
【0028】
バッテリー固定部材40は、
図2に示すように、バッテリー支持ブラケット30にバッテリー19を固定するための部材である。バッテリー固定部材40は、バッテリー固定部材40とバッテリー支持ブラケット30とでバッテリー19を上下方向に挟み込めるように構成(配置及び形成)される。バッテリー固定部材40は、バッテリー固定プレート41と、バッテリー固定ナット43と、バッテリー固定ボルト45と、を備える。
【0029】
バッテリー固定プレート41は、バッテリー19の上面に接触するように配置される。バッテリー固定プレート41は、複数(例えば2つ)のバッテリー19の上面にまたがって配置される。バッテリー固定プレート41は、板部41aと、ボス部41bとを備える。板部41aは、バッテリー19の上面と接触する板である。ボス部41bは、板部41aから上に突出する。ボス部41bは、内側にめねじが形成される(形成されなくてもよい)。バッテリー固定ナット43は、トレー下板31bの下面に固定(例えば溶接)される。バッテリー固定ボルト45は、バッテリー固定ナット43とボス部41bとを締結する。
【0030】
ブラケット固定部材50は、
図3に示すように、バッテリー格納状態(詳細は後述)のときのバッテリー支持ブラケット30を、枠部21に固定する(旋回フレーム13aに対して固定する)ための部材である。ブラケット固定部材50は、バッテリー支持ブラケット30のスライド方向手前側X1端部と、枠部21と、を固定する。ブラケット固定部材50は、例えば、トレー側板31sと、枠底板21bと、を連結して固定する。ブラケット固定部材50は、ブラケット側固定部材51と、枠部側固定部材53と、ブラケット固定ボルト55と、を備える。
【0031】
ブラケット側固定部材51は、バッテリー支持ブラケット30のスライド方向手前側X1端部に固定される。
図2に示すように、ブラケット側固定部材51は、例えば、スライド方向Xから見てL字状であり、縦板51aと、横板51bと、を備える。縦板51aは、トレー側板31sのブラケット左右方向Y外側面に固定される。横板51bは、縦板51aの例えば下端部からブラケット左右方向Y外側に突出する。
【0032】
枠部側固定部材53は、旋回フレーム13a(枠底板21b)に固定(例えば溶接)される。枠部側固定部材53には、ブラケット側固定部材51が接触可能である。
図3に示すように、枠部側固定部材53は、例えば、枠側板21sよりもスライド方向手前側X1に配置される。枠部側固定部材53は、ネジ孔が形成されたタップドブロックである。
【0033】
ブラケット固定ボルト55は、ブラケット側固定部材51と枠部側固定部材53とを締結する。ブラケット固定ボルト55は、横板51bに形成された孔に通されるとともに、枠部側固定部材53のネジ孔に締結される。
【0034】
スライドパッド60は、
図2に示すバッテリー支持ブラケット30のスライド方向Xへのスライドを容易にする。スライドパッド60は、キャブ支持ブラケット17(
図1参照)の基部17bの内側17cに配置される。スライドパッド60は、例えば、長手方向がスライド方向Xの直方体の板などである。スライドパッド60は、スライド方向Xから見て、バッテリー支持ブラケット30の左右及び下に配置される。スライドパッド60には、バッテリー支持ブラケット30の下に配置される下スライドパッド61と、バッテリー支持ブラケット30の左右に配置される左右スライドパッド63と、がある。
【0035】
下スライドパッド61には、枠部側下スライドパッド61aと、ブラケット側下スライドパッド61bと、がある。枠部側下スライドパッド61aは、枠部21の枠底板21bの上面に固定される。ブラケット側下スライドパッド61bは、トレー部31のトレー下板31bの下面に固定される。枠部側下スライドパッド61aとブラケット側下スライドパッド61bとは、上下方向に対向して接触する。枠部側下スライドパッド61a及びブラケット側下スライドパッド61bは、例えばそれぞれ2枚ずつ(合計4枚)設けられる(枚数は変更してもよい)。ブラケット側下スライドパッド61bは、トレー下板31bの左右の端部(ブラケット左右方向Yの外側両端部)付近に1枚ずつ配置される。なお、下スライドパッド61は、枠部側下スライドパッド61a及びブラケット側下スライドパッド61bのうち一方のみを備えてもよい。
【0036】
左右スライドパッド63には、枠部側左右スライドパッド63aと、ブラケット側左右スライドパッド63bと、がある。枠部側左右スライドパッド63aは、枠部21の枠側板21s(2枚)の内面(ブラケット左右方向Y内側の面)それぞれに固定される。ブラケット側左右スライドパッド63bは、トレー部31のトレー側板31s(2枚)の外側面(ブラケット左右方向Y外側の面)それぞれに固定される。
【0037】
この左右スライドパッド63は、バッテリー支持ブラケット30のブラケット左右方向Yへの移動を規制するように構成される。具体的には、枠部側左右スライドパッド63aは、トレー部31に(例えばトレー側板31sに)接触可能に配置される。または(及び)、ブラケット側左右スライドパッド63bは、枠側板21sに接触可能に配置される。なお、左右スライドパッド63は、枠部側左右スライドパッド63aおよびブラケット側左右スライドパッド63bのうち一方のみを備えてもよい。
【0038】
この左右スライドパッド63は、バッテリー支持ブラケット30の上向きの移動を規制するように構成される。具体的には、枠部側左右スライドパッド63aは、ブラケット側左右スライドパッド63bの上(直上)に配置される。枠部側左右スライドパッド63aの下面と、ブラケット側左右スライドパッド63bの上面と、が接触可能となるように左右スライドパッド63が構成される。
【0039】
ストッパー70は、スライド方向X等の、バッテリー支持ブラケット30の移動を規制する。
図3に示すように、ストッパー70には、ブラケット側ストッパー71と、手前側ストッパー73と、奥側ストッパー75と、がある。
【0040】
ブラケット側ストッパー71は、バッテリー支持ブラケット30に固定される。ブラケット側ストッパー71は、バッテリー支持ブラケット30のスライド方向奥側X2端部に配置される。ブラケット側ストッパー71は、トレー下板31bの下面に固定される(トレー奥板31rのスライド方向奥側X2の面に固定されてもよい)。ブラケット側ストッパー71のスライド方向奥側X2端部は、トレー奥板31rよりもスライド方向奥側X2に配置される。
図2に示すように、ブラケット側ストッパー71は、例えば、2枚のブラケット側下スライドパッド61bの間に配置される。
図4(a)に示すように、ブラケット側ストッパー71のスライド方向奥側X2端部は、クサビ形(基端から先端に向かって薄くなる形状)である。ブラケット側ストッパー71は、ブラケット側傾斜部71aと、ブラケット側凹凸部71bと、を備える。
【0041】
ブラケット側傾斜部71aは、上下方向に対して傾斜し、下側ほど(下に至るにしたがって)スライド方向奥側X2に突出するように傾斜する。ブラケット側傾斜部71aは、ブラケット側ストッパー71のスライド方向奥側X2端部に設けられる。
【0042】
ブラケット側凹凸部71bは、ブラケット側ストッパー71のスライド方向奥側X2端部に設けられる。ブラケット側凹凸部71bは、ブラケット側傾斜部71aに形成される。ブラケット側凹凸部71bの形状は、凹形状または凸形状である(
図4(a)では1つの凸形状を示す)。ブラケット側凹凸部71bは、凹形状および凸形状の両方を備えてもよく、凹形状や凸形状を複数備えてもよい(後述する奥側凹凸部75bも同様)。ブラケット側凹凸部71bは、テーパー形状を備える(詳細は後述)。
【0043】
手前側ストッパー73は、
図3に示すバッテリー支持ブラケット30のスライド方向手前側X1への移動を規制する。手前側ストッパー73は、枠底板21bに(上部旋回体13に)固定される。手前側ストッパー73は、ブラケット側ストッパー71よりもスライド方向手前側X1に配置される。手前側ストッパー73は、枠部21のスライド方向手前側X1端部の近傍に配置される。手前側ストッパー73は、ブラケット側ストッパー71と接触可能に構成される。
図2に示すように、手前側ストッパー73は、例えば、2枚の枠部側下スライドパッド61aの間に配置される。
【0044】
奥側ストッパー75は、
図3に示すバッテリー支持ブラケット30のスライド方向奥側X2への移動を規制する。奥側ストッパー75は、枠底板21bに(上部旋回体13に)固定される。奥側ストッパー75は、ブラケット側ストッパー71よりもスライド方向奥側X2に配置される。奥側ストッパー75は、ブラケット側ストッパー71と接触可能に構成される。奥側ストッパー75は、ブラケット側ストッパー71と係合したときに、スライド方向Xに直交する方向へのブラケット側ストッパー71の移動を規制するように構成される。
図4(b)に示すように、奥側ストッパー75のスライド方向手前側X1端部は、クサビ形である。奥側ストッパー75は、奥側傾斜部75aと、奥側凹凸部75bと、を備える。
【0045】
奥側傾斜部75aは、ブラケット側傾斜部71a(
図4(a)参照)と接触することで、バッテリー支持ブラケット30の上向きの移動を規制する部分である。奥側傾斜部75aは、上下方向に対して傾斜し、上側ほど(上に至るにしたがって)スライド方向手前側X1に突出するように傾斜する。奥側傾斜部75aとブラケット側傾斜部71aとは平行(又は略平行)である(
図3参照)。奥側傾斜部75aは、奥側ストッパー75のスライド方向手前側X1端部に設けられる。
【0046】
奥側凹凸部75bは、ブラケット側凹凸部71bと係合することで、バッテリー支持ブラケット30のブラケット左右方向Yへの移動を規制する部分である。奥側凹凸部75bは、奥側ストッパー75のスライド方向手前側X1端部に配置(形成)される。奥側凹凸部75bは、奥側傾斜部75aに形成される。奥側凹凸部75bの形状は、ブラケット側凹凸部71b(
図4(a)参照)に係合可能な形状である。例えば、
図4(a)に示すようにブラケット側凹凸部71bの形状が1つの凸形状の場合、
図4(b)に示すように奥側凹凸部75bの形状は1つの凹形状である。奥側凹凸部75bは、奥側凹凸部75bにブラケット側凹凸部71b(
図4(a)参照)が嵌まりこみやすくなるようなテーパー形状を備える。具体的には例えば、ブラケット側凹凸部71b(
図4(a)参照)の形状が四角錐台の場合、奥側凹凸部75bの形状は平面から四角錐台を取り除いた凹形状である。
【0047】
(動作)
次に、バッテリー格納装置20の動作を説明する。バッテリー格納装置20には、バッテリーメンテナンス状態と、バッテリー格納状態と、これらの中間状態と、がある。
【0048】
(1)バッテリーメンテナンス状態
バッテリーメンテナンス状態は、
図5に示すように、バッテリー19をメンテナンス(バッテリー液量等の確認等)するとき等の、バッテリー格納装置20の状態である。バッテリーメンテナンス状態は、バッテリー支持ブラケット30の大部分(全部でもよい)およびバッテリー19が、基部17bの外側17d(枠部21の外側)に引き出された状態である。以下、バッテリーメンテナンス状態のときの、バッテリー支持ブラケット30の枠部21に対する移動の規制について説明する。
(1−a)スライド方向手前側X1への移動の規制
手前側ストッパー73のスライド方向奥側X2端部と、ブラケット側ストッパー71のスライド方向手前側X1端部と、が接触する。これにより、バッテリー支持ブラケット30のスライド方向手前側X1への移動が規制される。
(1−b)上向きの移動の規制
ブラケット側左右スライドパッド63bのスライド方向奥側X2端部付近の上端部と、枠部側左右スライドパッド63aのスライド方向手前側X1端部付近の下端部と、が接触する(ひっかかる)。これにより、バッテリー支持ブラケット30のスライド方向奥側X2端部付近の、上向きの移動が規制される。すなわち、バッテリー支持ブラケット30及びバッテリー19が、旋回フレーム13aから脱落することが防止される。
【0049】
(2)中間状態
中間状態は、バッテリー支持ブラケット30がスライド方向Xに移動するとき等のバッテリー格納装置20の状態である。以下、中間状態のときのバッテリー支持ブラケット30の枠部21に対する移動の規制について説明する。
(2−a)ブラケット左右方向Yの移動の規制
上述したように、左右スライドパッド63により、バッテリー支持ブラケット30のブラケット左右方向Yの移動が規制される。
(2−b)上向きの移動の規制
また、上記のバッテリーメンテナンス状態と同様に、枠部側左右スライドパッド63aと、ブラケット側左右スライドパッド63bとが接触することにより、バッテリー支持ブラケット30の上向きの移動が規制される。
【0050】
(3)バッテリー格納状態
バッテリー格納状態は、
図3に示すように、バッテリー支持ブラケット30の大部分(全部でもよい)及びバッテリー19が、基部17bの内側17c(枠部21の内側)に格納された状態である。バッテリー格納状態のときは、ブラケット側ストッパー71と奥側ストッパー75とが係合する。以下、バッテリー格納状態のときのバッテリー支持ブラケット30の枠部21に対する移動の規制について説明する。
【0051】
(3−a)スライド方向奥側X2の移動の規制
奥側ストッパー75のスライド方向手前側X1端部と、ブラケット側ストッパー71のスライド方向奥側X2端部と、が接触する。これにより、バッテリー支持ブラケット30の、スライド方向奥側X2への移動が規制される。
【0052】
(3ーb)ブラケット左右方向Yの移動の規制
バッテリー支持ブラケット30をスライド方向奥側X2にスライドさせると、
図4に示すブラケット側凹凸部71bと、奥側凹凸部75bと、が係合する。ブラケット側凹凸部71bおよび奥側凹凸部75bにテーパー形状が形成されているので、この係合がスムーズに行われる。この係合により、ブラケット左右方向Yへのバッテリー支持ブラケット30(
図3参照)の移動が規制される。
【0053】
(3ーc)上向きの移動の規制
また、
図3に示すバッテリー支持ブラケット30をスライド方向奥側X2にスライドさせると、
図4に示すブラケット側傾斜部71aの上に、奥側傾斜部75aが配置される(
図3参照)。ブラケット側傾斜部71a及び奥側傾斜部75aは傾斜した形状なので、この配置がスムーズに行われる。この配置により、
図3に示すバッテリー支持ブラケット30のスライド方向奥側X2端部付近の上向きの移動が規制される。また、上記の中間状態と同様に、枠部側左右スライドパッド63aと、ブラケット側左右スライドパッド63bとが接触することにより、バッテリー支持ブラケット30の上向きの移動が規制される。
【0054】
(3−d)ブラケット固定部材50による固定
ブラケット側固定部材51と枠部側固定部材53とが、ブラケット固定ボルト55で締結される。このとき、枠側板21sよりもスライド方向手前側X1にブラケット固定部材50が配置されるので、この締結作業が容易である。この締結により、バッテリー支持ブラケット30のスライド方向手前側X1端部と枠部21とが固定される。このとき、上述したように、ブラケット側ストッパー71と奥側ストッパー75とが係合することにより、バッテリー支持ブラケット30のスライド方向奥側X2端部付近の、上向きの移動およびブラケット左右方向Yの移動が規制されている。よって、ブラケット固定部材50で上記固定を行うのみで、バッテリー支持ブラケット30全体が枠部21に対して固定される。
【0055】
(効果1)
次に、
図1に示す作業機械1のバッテリー格納装置20による効果を説明する。作業機械1は、前部に作業装置13bが設けられるとともに後部にカウンタウエイト13cが設けられる上部旋回体13と、上部旋回体13に対して移動可能に取り付けられる可動式キャブ15と、キャブ支持ブラケット17と、を備える。キャブ支持ブラケット17は、上部旋回体13に対して可動式キャブ15を移動可能に支持すると共に、基部17bが上部旋回体13に固定される。
図2に示すように、バッテリー格納装置20は、バッテリー19が載せられるバッテリー支持ブラケット30を備える。
図3及び
図5に示すように、バッテリー支持ブラケット30は、バッテリー支持ブラケット30の少なくとも一部30aが基部17bの内側17cに配置された状態(
図3参照)と、一部30aが基部17bの外側17dに配置された状態(
図5参照)と、の間でスライド可能である。バッテリー支持ブラケット30のスライド方向Xは、上部旋回体13(
図1参照)の左右方向(上部旋回体左右方向X)である。
【0056】
バッテリー支持ブラケット30は、上記のようにキャブ支持ブラケット17(
図1参照)の基部17bの内側17cと外側17dとの間でスライド可能である。よって、バッテリー支持ブラケット30に載せられたバッテリー19を、基部17bの内側に格納できる。よって、基部17bの外側17dでのバッテリー19の配置スペースを狭くできる。その結果、基部17bの横の前方(上部旋回体前後方向Yにおける前方)に配置されるステップ(
図1に示す作業機械1の操作者が足をのせるためのスペース、図示なし)が狭くなることを抑制できる。その結果、可動式キャブ15への昇降性を向上させることができる。
【0057】
また、基部17bの内側にバッテリー19を格納できるので、従来技術(
図6(a)及び(b)参照)のようにバッテリー19の長手方向を上部旋回体前後方向Yにして、複数のバッテリー19を上部旋回体前後方向Yに直列的に配列する必要がない。よって、
図1に示す基部17bが上部旋回体前後方向Yに長くなることを抑制できる。その結果、下部走行体11に対する可動式キャブ15を上部旋回体前後方向Y後側(従来技術に比べて後側)に配置できる。その結果、例えば作業機械1の走行時に、可動式キャブ15から下方を覗き込んだとき、下部走行体11の先端(例えばクローラの先端)が操作者から見えない(又は見えにくい)という問題を抑制できる。
【0058】
図3及び
図5に示すように、バッテリー支持ブラケット30は、上記のようにキャブ支持ブラケット17の基部17bの内側17cと外側17dとの間でスライド可能である。よって、バッテリー支持ブラケット30をスライドさせることで、基部17bの内側17cから外側17dへバッテリー19を容易に引き出せる。その結果、バッテリー19のメンテナンスを容易に行える。
【0059】
(効果2)
図2に示すように、バッテリー格納装置20は、キャブ支持ブラケット17(
図1参照)の基部17bの内側に配置されるスライドパッド60を備える。スライドパッド60は、スライド方向Xから見て、バッテリー支持ブラケット30の左右及び下に配置される。
【0060】
このスライドパッド60により、バッテリー支持ブラケット30を簡易な構成でスライドさせやすくできる。
【0061】
(効果3)
図3に示すように、バッテリー格納装置20は、バッテリー支持ブラケット30に固定されるブラケット側ストッパー71と、奥側ストッパー75と、を備える。奥側ストッパー75は、ブラケット側ストッパー71よりもスライド方向奥側X2に配置され、上部旋回体13に(旋回フレーム13aに)固定される。奥側ストッパー75は、ブラケット側ストッパー71と係合したときに、スライド方向Xに直交する方向へのブラケット側ストッパー71の移動を規制するように構成される。
【0062】
この構成では、バッテリー支持ブラケット30をスライド方向奥側X2にスライドさせると、奥側ストッパー75とブラケット側ストッパー71とが係合する。すると、奥側ストッパー75は、スライド方向Xに直交する方向へのブラケット側ストッパー71の移動を規制する。この規制により、バッテリー支持ブラケット30の、スライド方向Xに直交する方向へのガタツキを防止できる。すなわち、バッテリー支持ブラケット30をスライド方向奥側X2にスライドさせるだけで、バッテリー支持ブラケット30の上記ガタツキを防止できる。
【0063】
(効果4)
図4(a)に示すように、ブラケット側ストッパー71は、ブラケット側傾斜部71aと、ブラケット側凹凸部71bと、を備える(以下、ブラケット側ストッパー71については
図4(a)参照)。ブラケット側傾斜部71aは、下側ほどスライド方向奥側X2に突出する。ブラケット側凹凸部71bは、ブラケット側ストッパー71のスライド方向奥側X2端部に配置され、凹形状または凸形状である。
図4(b)に示すように、奥側ストッパー75は、奥側傾斜部75aと、奥側凹凸部75bと、を備える(以下、奥側ストッパー75については
図4(b)参照)。奥側傾斜部75aは、上側ほどスライド方向手前側X1に突出するとともに、ブラケット側傾斜部71aと接触可能に構成される。奥側凹凸部75bは、奥側ストッパー75のスライド方向手前側X1端部に配置され、ブラケット側凹凸部71bに係合可能である。奥側凹凸部75bは、ブラケット側凹凸部71bと係合したときに、スライド方向Xから見た左右方向(ブラケット左右方向Y)へのブラケット側凹凸部71bの移動を規制するように構成される。
【0064】
ブラケット側傾斜部71aは、下側ほどスライド方向奥側X2に突出する。また、奥側傾斜部75aは、上側ほどスライド方向手前側X1に突出する。この構成では、ブラケット側傾斜部71aの上面に奥側傾斜部75aの下面が接触すると、奥側傾斜部75aに対するブラケット側傾斜部71aの上向きの移動が規制される。その結果、
図3に示す旋回フレーム13a(上部旋回体13(
図1参照))に対するバッテリー支持ブラケット30の上向きの移動を規制できる。
【0065】
図4(a)及び(b)に示すように、奥側凹凸部75bは、ブラケット側凹凸部71bと係合したときに、スライド方向Xから見た左右方向(ブラケット左右方向Y)へのブラケット側凹凸部71bの移動を規制するように構成される。この構成では、ブラケット側凹凸部71bと奥側凹凸部75bとを係合させることで、バッテリー支持ブラケット30のブラケット左右方向Yへの移動を規制できる。
【0066】
(効果5)
バッテリー格納装置20は、手前側ストッパー73を備える。手前側ストッパー73は、ブラケット側ストッパー71よりもスライド方向手前側X1に配置され、かつ、上部旋回体13に固定され、かつ、ブラケット側ストッパー71と接触可能に構成される。
【0067】
この構成では、ブラケット側ストッパー71は、手前側ストッパー73と接触可能である。さらに、上述したように(効果3参照)、ブラケット側ストッパー71は、奥側ストッパー75と係合可能である。すなわち、ブラケット側ストッパー71は、スライド方向奥側X2へのバッテリー支持ブラケット30の移動を規制するストッパーと、スライド方向手前側X1へのバッテリー支持ブラケット30の移動を規制するストッパーと、を兼ねている。その結果、バッテリー支持ブラケット30の構成を簡素にできる。
【0068】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形できる。例えば、上記実施形態では、バッテリー19は2つだったが、バッテリー19は1つや3つ以上でもよい。また例えば、上記実施形態では、2つのバッテリー19が上部旋回体前後方向Yに並べて配置された。しかし、2以上のバッテリー19が、上部旋回体左右方向X(スライド方向X)に並べて配置されてもよい。