(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部に荷物を収容する荷物収容空間を有する台車本体と、該台車本体の側端に起立状態から倒伏状態まで回動可能に軸支され前記荷物の落下防止を行うストッパ部材とを備える部品供給台車であって、
前記台車本体の前端又は後端には、前記ストッパ部材を起立状態から倒伏状態まで回動操作する操作部材が軸支され、かつ、前記操作部材と係合して前記ストッパ部材を起立状態にロックするロック部材が装着されていること、
前記操作部材には、前記ストッパ部材を起立状態から倒伏状態へ回動操作する前に前記ロック部材をロック解除方向に移動させるロック解除部材が装着されていること、
前記操作部材には、前記ストッパ部材を倒伏状態から起立状態へ回動操作するときに前記ロック部材をロック解除方向に移動させる案内部を設けたことを特徴とする部品供給台車。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の組み立てラインにおける部品供給は、必要数量の部品を収納したパレットを台車に載置して、その組み立て工程のラインサイドに設置された部品棚に運搬する方法で行われている。その台車には、運搬中に台車からパレットが落下するのを防止するストッパ部材が設けられている。ストッパ部材は、運搬中には起立状態で保持(ロック)され、パレットを部品棚に投入するときにロックが解除されて倒伏状態となるよう操作される。そのストッパ部材のロック及びロック解除に関する技術は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されたストッパ部材のロック及びロック解除に関する技術は、以下のように構成されている。
すなわち、
図10、
図11に示すように、供給台車200が牽引車に牽引されて部品棚300に対し所定の供給位置に移動すると、供給台車200の係合バー204が部品棚300の被係合バー301に係合する。係合バー204は被係合バー301に押圧されて、ばね部材(図示しない)による付勢力に抗して、回動軸201とともに矢印αの方向に回動する。
この回動により、付勢バー203による回転アーム206への付勢が解除されて、回動軸205が係止解除回動方向βに回動可能状態になり、ロックが解除される。次に、起立状態にあるストッパ部材207は、レール部材208上に載置された部品Wa〜Wcの自重により、回動軸205とともに係止解除回動方向βに回動して倒伏状態になる。倒伏したストッパ部材207は、部品棚300の横フレームに掛架されることにより、部品棚300のレール部材302a〜302cと連続した状態となる。これにより、部品Wa〜Wcは、ストッパ部材207の上を滑動して自動的に部品棚300に移載される。
また、供給台車200が牽引車に牽引されて部品棚300から離間すると、係合バー204と被係合バー301との係合が解除される。その結果、ばね部材の付勢力によって回転アーム206が付勢バー203に押圧されて、ストッパ部材207は起立状態に回動する。そして、回転アーム206が付勢バー203とキックバー202とで狭持されるこ
とによって、ストッパ部材207は起立状態にロックされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されたストッパ部材のロック及びロック解除に関する技術には、以下のような問題があった。
すなわち、ストッパ部材207のロック及びロック解除を、供給台車200の係合バー204と部品棚300の被係合バー301との係合及び離間によって行っている。そのため、係合バー204と被係合バー301との位置関係が微妙に狂うと、ストッパ部材207のロック及びロック解除が正常に作動しないおそれがあった。したがって、特許文献1の技術には、ストッパ部材207のロック及びロック解除を簡単な操作で行えないという問題があった。
また、ストッパ部材207を起立状態に回動させる動作を、ばね部材の付勢力によって行っているので、ばね部材の付勢力が弱いと部品Wa〜Wcの自重によりストッパ部材207が自動的にロック解除され、運搬中に供給台車200から部品Wa〜Wcが落下するおそれがあった。また、ばね部材の付勢力を強くしすぎると、部品Wa〜Wcを部品棚300に移載しようとしても、ストッパ部材207が倒伏しないおそれがあった。したがって、特許文献1の技術には、ストッパ部材207のロック及びロック解除が安定せず、確実に行えないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、荷物を載置して部品棚に運搬する部品供給台車において、荷物の落下防止を行うストッパ部材のロック及びロック解除の操作を簡単かつ確実に行うことができる部品供給台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る部品供給台車は、次のような構成を有している。
(1)内部に荷物収容空間を有する台車本体と、該台車本体の側端に起立状態から倒伏状態まで回動可能に軸支されたストッパ部材とを備える部品供給台車であって、
前記台車本体の前端又は後端には、前記ストッパ部材を起立状態から倒伏状態まで回動操作する操作部材が軸支され、かつ、前記操作部材と係合して前記ストッパ部材を起立状態にロックするロック部材が装着されていること、
前記操作部材には、前記ストッパ部材を起立状態から倒伏状態へ回動操作する前に前記ロック部材をロック解除方向に移動させるロック解除部材が装着されていることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、ストッパ部材を起立状態から倒伏状態まで回動操作する操作部材が、台車本体の前端又は後端に軸支されているので、作業者は、台車の停止位置精度に影響されることなく、台車本体の前端側又は後端側に立って、操作部材を把持して回動操作することができる。そのため、作業者は、ストッパ部材を起立状態又は倒伏状態の必要な状態(姿勢)に簡単に回動させることができる。具体的には、台車停止後、ストッパ部材を起立状態から倒伏状態へ回動させて部品供給台車から荷物を部品棚に移載させ、その後、ストッパ部材を倒伏状態から起立状態へ復帰させる動作を、一つの操作部材を用いて簡単に行うことができる。
【0009】
また、台車本体の前端又は後端には、操作部材と係合してストッパ部材を起立状態にロックするロック部材が装着されているので、操作部材に対するロック部材の係合を解除しない限り、ストッパ部材の起立状態は確実に保持される。そのため、運搬途中にストッパ部材が起立状態から倒伏状態へ回動して、荷物が部品供給台車から突然に落下する心配はない。
【0010】
また、操作部材には、ストッパ部材を起立状態から倒伏状態へ回動操作する前にロック部材をロック解除方向に移動させるロック解除部材が装着されているので、操作部材の回動操作とロック解除部材の操作とを連続的に行うことができる。具体的には、ロック解除部材を動作させてロック部材をロック解除方向に移動させてから、ストッパ部材を起立状態から倒伏状態へ回動させるまでの操作部材における一連の操作を、例えば、操作部材を片手で持ちながら簡単に行うことができる。また、操作部材にロック解除部材が装着されているので、ロック解除の操作と操作部材の回動操作との間に、時間的ロスが生じにくい。
よって、(1)の発明によれば、荷物を載置して部品棚に運搬する部品供給台車において、荷物の落下防止を行うストッパ部材のロック及びロック解除の操作を簡単かつ確実に行うことができる。
【0011】
(2)(1)に記載された部品供給台車において、
前記操作部材には、前記ストッパ部材を倒伏状態から起立状態へ回動操作するときに前記ロック部材をロック解除方向に移動させる案内部を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明においては、操作部材には、ストッパ部材を倒伏状態から起立状態へ回動操作するときにロック部材をロック解除方向に移動させる案内部を設けたので、操作部材を回動してストッパ部材を倒伏状態から起立状態へ回動操作するときに、操作部材の案内部によって、自動的にロック部材をロック解除方向に移動させることができる。そのため、ロック部材に邪魔されることなく、操作部材を回動してストッパ部材を倒伏状態から起立状態へ回動操作することができる。
よって、(2)の発明によれば、ストッパ部材のロック及びロック解除の操作を、一層簡単かつ確実に行うことができる。
【0013】
(3)(1)又は(2)に記載された部品供給台車において、
前記ストッパ部材を回動可能に軸支する軸体と前記操作部材とを一体で形成し、前記操作部材は前記台車本体の前端又は後端に沿って回動可能に配設されていることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、ストッパ部材を回動可能に軸支する軸体と操作部材とを一体で形成し、操作部材は台車本体の前端又は後端に沿って回動可能に配設されているので、ストッパ部材と操作部材とを複雑な機構で連結する必要がなく、ストッパ部材を回動操作するとき、操作部材を台車本体の前端又は後端に沿って回動させる簡単な操作で済ますことができる。また、操作部材は台車本体の前端又は後端に沿って回動可能に配設されているので、操作部材を回動する際、操作部材が部品供給台車の側方へ大きく突出することがなく、他の物と干渉するおそれが少ない。
よって、(3)の発明によれば、ストッパ部材と操作部材とを一体化してストッパ部材の回動操作をより一層簡単にでき、また、操作部材をコンパクト化して部品供給台車の機動性を向上することができる。
【0015】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載された部品供給台車において、
前記ストッパ部材を前記台車本体の両側端に設け、前記各ストッパ部材を起立状態から倒伏状態まで回動操作する前記操作部材を前記台車本体の前端又は後端にそれぞれ設けたことを特徴とする。
【0016】
本発明においては、ストッパ部材を台車本体の両側端に設け、各ストッパ部材を起立状態から倒伏状態まで回動操作する操作部材を台車本体の前端又は後端にそれぞれ設けたので、荷物を部品供給台車に載置して組み立て工程のラインサイドに設置された部品棚に運搬する際、作業者が、台車本体の前端側又は後端側に立って両方の操作部材を操作することによって、部品供給台車の両側端から同時に又は交互に部品棚へ荷物を供給することができる。
よって、(4)の発明によれば、台車本体の両側端に設けたストッパ部材のロック及びロック解除の操作を、より簡単かつ確実に行い、運搬時間の短縮にも貢献することができる。
【0017】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された部品供給台車において、
前記ストッパ部材が起立状態にあるとき前記操作部材は倒伏状態にあり、前記ストッパ部材が倒伏状態にあるとき前記操作部材は起立状態にあることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、ストッパ部材が起立状態にあるとき操作部材は倒伏状態にあるので、台車運搬中における起立状態にあるストッパ部材の振動等を、倒伏状態にある操作部材が自重によって吸収することで、ストッパ部材の姿勢の安定化を図ることができる。また、ストッパ部材が倒伏状態にあるとき操作部材は起立状態にあるので、ストッパ部材を倒伏状態から起立状態に起こすとき、操作部材を回動操作する操作荷重を操作部材の自重を利用して軽くさせることができる。
よって、(5)の発明によれば、ストッパ部材の姿勢安定化と操作荷重の軽減を含めて、ストッパ部材のロック及びロック解除の操作を、より一層簡単かつ確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、荷物を載置して部品棚に運搬する部品供給台車において、荷物の落下防止を行うストッパ部材のロック及びロック解除の操作を簡単かつ確実に行うことができる部品供給台車を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明に係る実施形態である部品供給台車について、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、
図1〜
図3を参照して部品供給台車の全体構成を説明した上で、
図4〜
図6を参照してストッパ部材のロック及びロック解除の詳細構造を説明し、最後に、
図7〜
図9を参照してストッパ部材のロック及びロック解除に関する動作の説明を行う。
【0022】
<部品供給台車の全体構成>
まず、本実施形態に係る部品供給台車の全体構成を説明する。
図1に、本実施形態に係る部品供給台車の上面図を示し、
図2に、
図1の部品供給台車の側面図を示し、
図3に、
図1の部品供給台車の背面図を示す。
本実施形態に係る部品供給台車100は、必要数量の部品を収納したパレット等の荷物を載置して、その組み立て工程のラインサイドに設置された部品棚に運搬する台車である。本部品供給台車100は、牽引車両により牽引されて工場内の通路を走行する非自走型台車である。
【0023】
図1〜
図3に示すように、部品供給台車100は、内部に荷物収容空間を有する台車本体3と、該台車本体3の左右両側端に回動可能に軸支されたストッパ部材1a〜1dと、ストッパ部材1a〜1dを起立状態から倒伏状態まで回動操作する操作部材2a〜2dと、操作部材2a〜2dと係合してストッパ部材1a〜1dを起立状態にロックするロック部材4a〜4dと、ロック部材4a〜4dをロック解除方向に移動させるロック解除部材5a〜5dとを備えている。部品供給台車100には、ストッパ部材、操作部材、ロック部材、ロック解除部材を、各4個備えている。ストッパ部材、操作部材、ロック部材、ロック解除部材の各部材が1組となって、それぞれの組毎に独立して操作することができる。
【0024】
台車本体3は、角型パイプを所定の長さに切断した横フレーム31a〜31pと、同じく角型パイプを所定の長さに切断した縦フレーム32a〜32dとを接合して、略矩形状をした荷物収容空間を上下に有する二階建てのフレーム構造を形成している。一階の荷物収容空間には、空パレットW2が収容され、二階の荷物収容空間には、実入りパレットW1が収容される。台車本体3の一階床を構成する横フレーム31b、31d、31oの上面及び二階床を構成する横フレーム31h、31j、31pの上面には、それぞれ4個づつ支持コロコン34a〜34hが左右方向に所定の間隔で水平に設置されている。支持コロコン34a〜34h上に載置されたパレット等の荷物は、左右いずれの方向にも移動させることができる。
【0025】
台車本体3の四隅には、4本の縦フレーム32a〜32dが立設されている。前端に立設する左右2本の縦フレーム32a、32dの間及び後端に立設する左右2本の縦フレーム32b、32cの間には、サイドコロコン35a〜35fが設置されている。サイドコロコン35a〜35fは、一階床から所定の高さに1個設置され、二階床から所定の高さに2個設置されている。サイドコロコン35a〜35fによって、支持コロコン34a〜34h上に載置されたパレット等の荷物が姿勢を崩すことなく左右方向に移動しやすくしている。サイドコロコン35a〜35fは、荷物が前後方向に落下することを防止している。
【0026】
一階床の左右両側端には、逆U字状に形成された4個の差し込みストッパ39が、支持コロコン34e〜34hに対応する位置で、上方に突出して装着されている。差し込みストッパ39は、空パレットの落下防止のためである。二階床の左右両側端には、4個のストッパ部材1a〜1dが左右2個づつ軸支されている。前端側のストッパ部材1a、1dは、前2列の支持コロコン34a、34bに対応して配置され、後端側のストッパ部材1b、1cは、後2列の支持コロコン34c、34dに対応して配置されている。二階床の左右両側端に軸支されたストッパ部材1a〜1dを起立状態から倒伏状態まで回動操作する操作部材2a〜2dが、台車本体3の前端及び後端に沿う位置に配設されている。操作部材2a〜2dが配設された台車本体3の前端及び後端には、操作部材2a〜2dに係合するロック部材4a〜4dが装着されている。操作部材2a〜2dには、ロック部材4a〜4dと当接可能な位置に、ロック解除部材5a〜5dが装着され、かつ、ロック解除部材5a〜5dと反対側に案内部6a〜6dが設けられている。ストッパ部材1a〜1d、操作部材2a〜2d、ロック部材4a〜4d、ロック解除部材5a〜5d、案内部6a〜6dについては、後で詳述する。
【0027】
台車本体3の前端には、コ字状に形成された手押し用の取手31qが二階床付近から外方に突設されている。台車本体3の一階床下面には、可動車輪36aと固定車輪36bがそれぞれ2個づつ設置されている。可動車輪36aが台車前端付近に設置され、固定車輪36bが台車後端付近に設置されている。
【0028】
<ストッパ部材のロック及びロック解除の詳細構造>
次に、ストッパ部材のロック及びロック解除の詳細構造を説明するため、ストッパ部材、操作部材、ロック部材、ロック解除部材の各部材について詳述する。
図4に、
図1の部品供給台車におけるストッパ部材の起立状態を表す部分側面図を示す。
図5に、
図1の部品供給台車におけるストッパ部材の起立状態と、操作部材の倒伏状態を表す部分上面図を示す。
図6に、
図1の部品供給台車におけるストッパ部材の倒伏状態と、操作部材の起立状態を表す部分上面図を示す。なお、
図4、
図5、
図6は、
図1に示すAの箇所を拡大して表した図面である。Aの箇所における1組のストッパ部材、操作部材、ロック部材、ロック解除部材は、他の3箇所のストッパ部材等と左右対称又は前後対称の構成を有している。したがって、以下、Aの箇所のストッパ部材、操作部材、ロック部材、ロック解除部材について代表で説明し、他の3箇所については説明を割愛する。
【0029】
(ストッパ部材)
図4、
図5、
図6に示すように、ストッパ部材1aは、倒伏状態で荷物が滑動する1対のコロコン体11a、12aと、コロコン体11a、12aの底面下半分に連結された1対の略T字形断面のコロコン基台13a、14aと、各コロコン基台13a、14aに接合されたL字形断面の1対の連結アングル15a、16aと、両連結アングル15a、16a間を連結する連結ピン17aと、連結ピン17aの中央付近が貫通する長穴を有する中間プレート18aと、中間プレート18aの一端を軸支するストッパ支持部19aとを備えている。
【0030】
コロコン体11a、12aの長さは、起立状態で支持コロコン34a、34b上に載置された荷物が運搬中に落下しない程度の高さと、倒伏状態で荷物が滑動する距離を踏まえて設定されている。ここでは、必要数量の部品が収納された実入りパレットW1を2段積みした高さと同程度に設定している。
コロコン基台13a、14aは、軽量化を考慮してコロコン体11a、12aの底面下半分に当接している。ただし、重量の大きな荷物に対応する場合には、コロコン体底面全体に当接してもよい。また、二階床面の左側端を構成する横フレーム31hの外側面には、支持コロコン34a、34bの近傍に1対の軸体支持部24a、24aが固定されている。軸体支持部24a、24aは、コロコン基台13a、14aの下端を貫通する軸体22aを二階床面と平行方向に軸支している。コロコン基台13a、14aと軸体22aとは、一体で回動するように固定されている。
【0031】
連結アングル15a、16aには、連結ピン17aが嵌合する貫通孔が形成されている。連結ピン17aには、中間プレート18aを中央付近で挟み込む円盤状の規制部材が係合されている。中間プレート18aに形成した長穴の上端に連結ピン17が当接したとき、ストッパ部材1aは所定の倒伏状態で静止する。そのとき、ストッパ支持部19aには、ストッパ部材1aの自重による引張荷重が中間プレート18aを介して作用する。ストッパ部材1aの倒伏状態における水平方向に対する傾斜角度は、連結アングル15a、16aのコロコン基台13a、14aへの接合位置で調整することができる。連結アングル15a、16aの接合位置をコロコン基台13a、14aの下端を貫通する軸体22a側に近づけると上記傾斜角度は増加する。
【0032】
(操作部材)
図5、
図6に示すように、操作部材2aは、棒状体からなる操作アーム222aと、同じく棒状体からなる操作レバー21aと、矩形状の板状体からなる連結板23aとを備えている。
操作アーム222aは、コロコン基台13a、14aの下端を貫通する軸体22aを、台車本体3の四隅に立設された縦フレーム32aを貫通した位置で台車中心方向へ直角に曲げ加工して形成されたものである。操作アーム222aは、台車本体3の前端に沿って回動可能に配設されている。操作アーム222aは、縦フレーム32aを貫通した貫通孔にブッシュ221aを介して軸支されている。操作アーム222aには、後述する案内部6aが形成されている。
操作レバー21aは、操作アーム222aの先端部と一端が接合されて、L字形に曲げ加工して形成されたものである。操作アーム222aの他端は、操作部材2aを回動操作するときの把持部を備えている。
操作アーム222aと操作レバー21aは、連結板23aの交差する2辺と当接する状態で接合されている。
【0033】
(ロック部材)
図5、
図6に示すように、ロック部材4aは、操作アーム222aの上端と係合する第1の回動爪41aと、第1の回動爪41aを水平方向に回動可能に支持する第1の支持ピン42aと、一端が第1の回動爪41aに係止され他端が係止板38aに係止されたばね体43aとを備えている。
第1の回動爪41aは、一辺に傾斜した面取り部411a(
図7参照)が形成された略台形状の板体である。第1の回動爪41aは、操作アーム222aと隣接した位置で台車
本体3の前端から突設された矩形状の取付板37aの上端に、第1の支持ピン42aに
よって軸支されている。第1の回動爪41aは、取付板37aより前方に突出する部分で操作アーム222aの上端と係合している。ばね体43aは、第1の回動爪41aを操作アーム222aに係合させる位置に付勢する引張りばねである。係止板38aは、ばね体43aに所定の付勢力を与える位置で台車本体3の横フレーム31gに固定されている。
【0034】
(ロック解除部材)
図5、
図6に示すように、ロック解除部材5aは、第1の回動爪41aをロック解除方向に回動する第2の回動爪51aと、第2の回動爪51aを水平方向に回動可能に軸支する第2の支持ピン52aと、一端が第2の回動爪51aと接合され他端に把持部を有するロック解除レバー53aとを備えている。
第2の回動爪51aは、操作部材2aの連結板23aの上端に第2の支持ピン52aによって軸支されている。第2の回動爪51aには、第1の回動爪41aの面取り部411aと当接する切り欠き部511a(
図7参照)が形成されている。ロック解除レバー53aの把持部は、第1の回動爪41aをロック解除方向に回動するとき把持する部分である。ロック解除レバー53aの把持部は、操作レバー21aの把持部に近いので、先にロック解除レバー53aの把持部を把持してロック解除方向に回動してから、続いてロック解除レバー53aの把持部と操作レバー21aの把持部の両方を把持して操作部材2aを起立する方向に回動操作することができる。
【0035】
<ストッパ部材のロック及びロック解除に関する動作>
次に、ストッパ部材のロック及びロック解除に関する動作を説明する。
図7に、
図1の部品供給台車における操作部材にロック部材が係合している状態を表す部分上面図を示す。
図8に、
図1の部品供給台車におけるロック解除部材を作動してロック部材をロック解除方向に移動させた状態を表す部分上面図を示す。
図9に、
図1の部品供給台車における操作部材の起立状態を表す部分側面図を示す。
【0036】
図7に示すように、ストッパ部材1aが起立状態でロックされているとき(
図5参照)、操作部材2aは、台車本体3の前端の横フレーム31gに沿って、水平方向に倒伏した状態で配設されている。このとき、ロック部材4aの第1の回動爪41aの先端側が、操作アーム222aの直線部を上方から押さえて、係合している。第1の回動爪41aは、ばね体43aの付勢力によって操作アーム222aとの係合状態に保持されている。ストッパ部材1aがロックされているときは、ロック解除部材5aにおける第2の回動爪51aの切り欠き部511aが、ロック部材4aにおける第1の回動爪41aの面取り部411aに押されて時計回りに回動し、操作レバー21aとロック解除レバー53aとがV字状に開いた状態にある。
【0037】
次に、
図8に示すように、ロック解除レバー53aを操作レバー21aと略平行に近接位置まで、矢印Rの方向に回動する。ロック解除部材5aの第2の回動爪51aによって、ロック部材4aの第1の回動爪41aは、矢印Sの方向に回動する。このとき、ロック部材4aの第1の回動爪41aは、先端側が操作アーム222aの直線部から外れて、係合状態が解除される。ロック解除レバー53aを操作レバー21aと略平行に近接位置に保持した状態で、水平方向に倒伏した操作部材2aを、垂直方向に起立した状態へ回動操作する。この操作によって、ストッパ部材1aは、倒伏状態となって静止する(
図6参照)。操作部材2aは、垂直方向に起立した状態で静止するので、台車本体3から側方へ大きく突出することはない。
【0038】
図9に示すように、操作アーム222aには、第1の回動爪41aの側端に当接する案内部6aが接合されている。案内部6aは、棒状体を直角三角形の斜辺と底辺を形成するように折り曲げ加工されている。操作部材2aを垂直方向に起立した状態から矢印Tの方向へ回動操作すると、案内部6aの斜辺が第1の回動爪41aの側端を押圧して、第1の回動爪41aは自動的にロック解除方向に回動する。そのため、操作レバー21aを把持して矢印Tの方向へ回動操作するだけで、第1の回動爪41aを回動させつつ、操作部材2aは水平方向に倒伏した元の位置に戻ることができる。操作部材2aが垂直方向に起立した状態では、ロック解除レバー53aは自重で操作レバー21aとV字状に開いた状態にある。そのため、操作部材2aが回動する途中において、第1の回動爪41aと第2の回動爪51aとが干渉することはない。操作部材2aが水平方向に倒伏した元の位置に戻ると、第1の回動爪41aがばね体43aの付勢力によって回動し、第1の回動爪41aは操作アーム222aとの係合状態に復帰される。この操作によって、ストッパ部材1aは、起立状態となってロックされる(
図5参照)。
【0039】
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る部品供給台車100によれば、ストッパ部材1a〜1dを起立状態から倒伏状態まで回動操作する操作部材2a〜2dが、台車本体3の前端又は後端に軸支されているので、作業者は、台車の停止位置精度に影響されることなく、台車本体3の前端側又は後端側に立って、操作部材2a〜2dを把持して回動操作することができる。そのため、作業者は、ストッパ部材1a〜1dを起立状態又は倒伏状態の必要な状態(姿勢)に簡単に回動させることができる。具体的には、台車停止後、ストッパ部材1a〜1dを起立状態から倒伏状態へ回動させて部品供給台車100から荷物を部品棚に移載させ、その後、ストッパ部材1a〜1dを倒伏状態から起立状態へ復帰させる動作を、一つの操作部材2a〜2dを用いて簡単に行うことができる。
【0040】
また、台車本体3の前端又は後端には、操作部材2a〜2dの操作アーム222a〜222dと係合してストッパ部材1a〜1dを起立状態にロックするロック部材4a〜4dが装着されているので、操作部材2a〜2dの操作アーム222a〜222dに対するロック部材4a〜4dの係合を解除しない限り、ストッパ部材1a〜1dの起立状態は確実に保持される。そのため、運搬途中にストッパ部材1a〜1dが起立状態から倒伏状態へ回動して、荷物が部品供給台車100から突然に落下する心配はない。
【0041】
また、操作部材2a〜2dには、ストッパ部材1a〜1dを起立状態から倒伏状態へ回動操作する前にロック部材4a〜4dの第1の回動爪41a〜41dをロック解除方向に回動させるロック解除部材5a〜5dが装着されているので、操作部材2a〜2dの回動操作とロック解除部材5a〜5dの操作とを連続的に行うことができる。具体的には、ロック解除部材5a〜5dを動作させてロック部材4a〜4dの第1の回動爪41a〜41dをロック解除方向に回動させてから、ストッパ部材1a〜1dを起立状態から倒伏状態へ回動させるまでの操作部材2a〜2dにおける一連の操作を、例えば、操作部材2a〜2dを片手で持ちながら簡単に行うことができる。また、操作部材2a〜2dにロック解除部材5a〜5dが装着されているので、ロック解除の操作と操作部材2a〜2dの回動操作との間に、時間的ロスが生じにくい。
【0042】
また、操作部材2a〜2dには、ストッパ部材1a〜1dを倒伏状態から起立状態へ回動操作するときにロック部材4a〜4dをロック解除方向に移動させる案内部6a〜6dをロック解除部材5a〜5dと反対側に設けたので、操作部材2a〜2dを回動してストッパ部材1a〜1dを倒伏状態から起立状態へ回動操作するときに、操作部材2a〜2dの案内部6a〜6dによって、自動的にロック部材4a〜4dをロック解除方向に移動させることができる。そのため、ロック部材4a〜4dに邪魔されることなく、操作部材2a〜2dを回動してストッパ部材1a〜1dを倒伏状態から起立状態へ回動操作することができる。
【0043】
また、ストッパ部材1a〜1dを回動可能に軸支する軸体22a〜22dと操作部材2a〜2dの操作アーム222a〜222dとを一体で形成し、操作部材2a〜2dは台車本体3の前端又は後端に沿って回動可能に配設されているので、ストッパ部材1a〜1dと操作部材2a〜2dとを複雑な機構で連結する必要がなく、ストッパ部材1a〜1dを回動操作するとき、操作部材2a〜2dを台車本体3の前端又は後端に沿って回動させる簡単な操作で済ますことができる。また、操作部材2a〜2dは台車本体3の前端又は後端に沿って倒伏状態から起立状態まで90度回動可能に配設されているので、操作部材2a〜2dを回動する際、操作部材2a〜2dが部品供給台車100の側方へ大きく突出することがなく、他の物と干渉するおそれが少ない。
【0044】
また、ストッパ部材1a〜1dを台車本体3の両側端に設け、各ストッパ部材1a〜1dを起立状態から倒伏状態まで回動操作する操作部材2a〜2dを台車本体3の前端又は後端にそれぞれ設けたので、荷物を部品供給台車100に載置して組み立て工程のラインサイドに設置された部品棚に運搬する際、作業者が、台車本体3の前端側又は後端側に立って両方の操作部材2a〜2dを操作することによって、部品供給台車100の両側端から同時に又は交互に部品棚へ荷物を供給することができる。
【0045】
また、ストッパ部材1a〜1dが起立状態にあるとき操作部材2a〜2dは倒伏状態にあるので、台車運搬中における起立状態にあるストッパ部材1a〜1dの振動等を、倒伏状態にある操作部材2a〜2dが自重によって吸収することで、ストッパ部材1a〜1dの姿勢の安定化を図ることができる。また、ストッパ部材1a〜1dが倒伏状態にあるとき操作部材2a〜2dは起立状態にあるので、ストッパ部材1a〜1dを倒伏状態から起立状態に起こすとき、操作部材2a〜2dを回動操作する操作荷重を操作部材2a〜2dの自重を利用して軽くさせることができる。
【0046】
上述した実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で変更することができる。
(1)上記実施形態では、ストッパ部材1a〜1dにコロコン体11a、12a〜11d、12dを装着したが、これに限ることはない。例えば、コロコン体11a、12a〜11d、12dに代えて丸鋼や丸パイプを用いることも可能である。丸鋼や丸パイプにすることで、コスト低減のみならず軽量化の効果も奏することができる。
(2)上記実施形態では、ストッパ部材1a〜1dを起立状態から倒伏状態まで回動操作する操作部材2a〜2dをそれぞれ1対1で対応しているが、これに限ることはない。例えば、台車本体3の一方の側端(例えば、左側端)に配置する前後2つのストッパ部材1a、1bを1つの操作部材2aに連結して、一体で回動操作することもできる。2つのストッパ部材1a、1bを1つの操作部材2aで操作すれば、作業者の歩行距離が短くなって運搬効率を高める効果を奏することができる。