(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
現在、クラウドコンピューティング環境で、パンフレット・チラシ等の制作・管理・印刷等を可能とするオンラインパブリッシングサービスが存在する。
【0003】
このようなオンラインパブリッシングサービスでは、サービス提供者もしくはユーザの管理部門等が、パンフレット・チラシ等のひな型となる「テンプレート」や、そのテンプレートに配置する写真等のデータ(以下、「パーツデータ」と称する。)を登録しておくことで、一般ユーザは、オリジナルのパンフレット・チラシを作成することができ、何度でも再利用することができる。
【0004】
ここで、オンラインパブリッシングサービスの中には、出力データとして複数種類のファイルを登録することができるものがある。例えば、一つは、オンラインパブリッシングサービスで作成した直後の第一のファイルで、もう一つは、他の編集アプリケーション等による加工が加えられた後の第二のファイルといったものがある。これは、それぞれのファイルの(出力データ)の利用目的に応じて複数の種類のファイルを管理させる目的があるからである。
【0005】
より具体的に、印刷時に使用することを目的とする第一のファイルを登録し、パーツデータのサムネイル画像表示や全文検索を可能とさせることを目的とする第二のファイルとして、パーツデータのサムネイル画像情報や文字列に関する文字情報を含むプレビュー用PDFファイルを登録可能とするサービスがある。
【0006】
このようなサービスにおいて、ユーザが第一のファイルとして、PDFファイルを登録する場合、サムネイル画像表示や全文検索させるためは、内容は一致するものの、第二のファイルとして、別途プレビュー用PDFファイルを登録しなければならないこととなる。
【0007】
ユーザにとっては、内容が一致する2つのファイルを登録しなければならないことから登録の二度手間であるだけでなく、容量課金タイプのクラウドサービスにおいては、2つのファイル分のディスク容量を使用することから月々の使用料金に影響を及ぼすことにもなる。
【0008】
ファイルの利便性から第一のファイルとしてPDFファイルを利用するユーザが多いことが予想されるため、サービス提供者には、ユーザへの負担を軽減するため、第一のファイルとしてユーザがPDFファイルを1つ登録するだけで、第二のファイルであるプレビュー用PDFファイルを登録することなく、サムネイル画像表示や全文検索ができる仕組みが求められている。
特許文献1には、重複ファイルにかかるコストをシステム全体として低減するファイル管理装置に関する技術が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるシステム構成図である。
【0016】
本発明の実施の形態におけるオンラインパブリッシングシステム(情報処理システム)は、コンテンツ管理サーバ101、データベースサーバ102、DTPサーバ103、クライアント104がネットワーク105を介して相互に通信可能に接続されている。
【0017】
コンテンツ管理サーバ101は、ユーザに対して、パンフレット・チラシ等の制作・管理・印刷等を可能とするオンラインパブリッシングサービスをWEBサービスとして提供するサーバである。作成されたパンフレット等を用いて、印刷・出版などを行う。
【0018】
データベースサーバ102は、コンテンツ管理サーバで作成された各ユーザのユーザデータや、出力データを作成する元となる、テンプレートデータ、テンプレートデータに差し込まれてレイアウトされるパーツデータ等を管理するサーバである。
DTPサーバ103は、パンフレット等を出版する機能を提供するサーバである。
なお、本発明の実施形態においては、それぞれのサーバを分けて記載しているが、一つのサーバが複数のサーバの機能を兼ね備えていてもよい。
【0019】
クライアント端末104は、ユーザが操作する端末である。例えば、パーソナルコンピュータであり、WEBブラウザがインストールされている。ユーザは、WEBブラウザを介して、コンテンツ管理サーバ101にサクセスを行い、パンフレット・チラシ等の制作・管理・印刷等の操作を行う。
ネットワーク105は、例えば、インターネットやイントラネットである。その通信形態は、無線・有線のいずれであってもよい。
図2は、本発明の実施形態の各種端末のハードウエア構成を示す図である。
図2において、CPU201は、システムバス204に接続される各デバイスを統括的に制御する。
【0020】
また、ROM203あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるオペレーティングシステム(OS)や、各サーバあるいは各クライアントの後述する各種機能を実現するためのプログラムが記憶されている。
RAM202は、CPU201の主メモリ、ワークエリア、一時待避領域等として機能する。
【0021】
入力コントローラ205は、入力部209からの入力を制御する。この入力部209としては、特に、サーバやクライアント等の端末では、キーボード、マウス等のポインティングデバイスが挙げられる。また、印刷装置等では、タッチパネル、ボタン、スイッチ等が挙げられる。
出力コントローラ206は、出力部210の表示を制御する。この出力部210としては、例えば、CRTや液晶等が挙げられる。
【0022】
外部メモリコントローラ207は、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザーファイル、編集ファイル、プリンタドライバ等を記憶する外部メモリ211へのアクセスを制御する。加えて、各サーバあるいは各クライアントの各種機能を実現するための各種テーブル、パラメータが記憶されている。この外部メモリ211としては、ハードディスク(HD)やフロッピー(登録商標)ディスク(FD)、PCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア等が挙げられる。
通信I/Fコントローラ208は、ネットワーク214を介して外部機器との通信制御処理を実行する。
【0023】
本発明を実現するためのプログラム212は外部メモリ211に記録されており、必要に応じてRAM202にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。
図3は、本発明の実施の形態における機能構成を示す図である。
コンテンツ管理サーバ101とデータベースサーバ102の機能をそれぞれ示している。
【0024】
コンテンツ管理サーバ101には、レイアウトデータ作成・編集部301、パーツデータ作成・編集部302、出力データ作成・編集303、ユーザデータ管理部304、通信部305、表示部306が含まれる。テンプレートデータ作成・編集部301は、出力データの元となるテンプレートデータを作成・編集する機能を提供する。パーツデータ作成・編集部302は、テンプレートデータに配置して出力データを作成するためのパーツデータを作成・編集する機能を提供する。出力データ作成・編集部303は、任意のテンプレートデータと配置するパーツデータとから出力データを作成・編集する機能を提供する。なお、本発明の実施の形態においては、出力データを完成物とも称する。ユーザデータ管理部304は、ユーザにより作成された出力データを、ユーザ毎に管理する機能を提供する。通信部305は、他の装置と通信する機能を提供する。
【0025】
データベースサーバ102には、ユーザデータ310(各ユーザの出力データ)、テンプレートデータ314、パーツデータ315、通信部316が含まれる。さらに、ユーザデータ310には、完成物DB311、全文検索データDB312、完成物添付ファイルDB313が含まれる。完成物DB311は、完成物(出力データ)を識別する完成物IDや他のDBとの関連付けを可能とする完成物内部番号を有する。また、全文検索データDB312は、他のDBとの関連付けを可能とする完成物内部番号や全文検索用の文字列情報を有する。また、完成物添付ファイルDB313は、他のDBとの関連付けを可能とする完成物内部番号やサムネイル表示させるためのファイル情報(ファイル区分・ファイルデータ)を有する。ファイルの種別は、様々な形式の画像ファイル(Jpeg、PNG、Gifなど)を採用することができる。なお、テンプレートデータ314およびパーツデータ315は、ユーザにより作成・編集されたデータである。
図4は、本発明の実施の形態における出力データを登録する処理の流れを示すフローチャートである。
本処理は、ユーザが操作するクライアント端末の指示に従って、コンテンツ管理サーバにおいて実行される処理である。
【0026】
また、その前提として、ユーザは、既にテンプレートデータとパーツデータとから出力データを作成しているものとする。本発明の実施の形態では、印刷用に用いる出力データを第一の形式(種類)のファイルとしている。また、第二の形式(種類)の出力データとして、パーツデータのサムネイルを表示させたり、全文検索を可能とさせたりするために用いる出力データ(プレビュー用PDFファイルともいう。)を第二の形式(種類)のファイルとしている。なお、第一の形式、第二の形式のファイル形式は、当然のことながら、これらに限らずその他の様々なファイル形式を採用することができる。例えば、第一の形式のファイルとしては、PDFファイル、JPEGファイルなど印刷用途の出力データが考えられる。なお、本発明の実施の形態においては、PDFファイルには、パーツデータのサムネイル画像や文字列情報が含まれているものとする。
【0027】
S401において、コンテンツ管理サーバは、ユーザの操作に従って、完成物を編集する画面を表示させる指示を受け付ける。なお、完成物とは、出力データのことである。
【0028】
S402において、コンテンツ管理サーバは、ユーザの操作に従って、印刷情報ファイルの選択を受け付ける。なお、本発明の実施の形態において、印刷情報ファイルとは、印刷用に用いるファイルを意味しており、第一の形式のファイルのことである。
図5に印刷情報ファイルを選択する画面の一例を示す。
【0029】
図5において、印刷情報ファイル501を登録する場合、ユーザは、登録ボタン502を押下する。そして、
図6に示す画面の通り、印刷用途で用いる出力データ(PDFファイル)を選択して、アップロード操作を行うことにより、コンテンツ管理サーバは、印刷情報ファイルの選択を受け付けることになる。なお、ユーザは、第二の形式のファイル(プレビュー用PDF503)をアップロードする場合、登録ボタン504を押下して、同様の作業を行うこととなる。
S403において、コンテンツ管理サーバは、ユーザの操作に従って、アップロードされた印刷情報ファイルを保存もしくは公開する指示を受け付ける。
【0030】
S404において、コンテンツ管理サーバは、保存もしくは公開対象となるファイルのファイル種別を確認する。ファイル種別が、PDFファイルの場合は、S405へ進み、PDFファイル以外の場合は、S409へ進む。例えば、拡張子やファイルコンテクストタイプを確認することにより種別を確認することができる。
【0031】
S405において、コンテンツ管理サーバは、既にプレビュー用PDFファイルが登録されているかを判定する。Yesの場合、S406へ進み、Noの場合、S407へ進む。なお、本発明の実施の形態において、プレビュー用PDFファイルとは、第二の形式のファイルのことである。
図5の画面を介して、編集対象となっている完成物に対して、プレビュー用PDFファイルが登録されているかにより判定する。
【0032】
S406において、コンテンツ管理サーバは、既に登録されているプレビュー用PDFファイルから「サムネイル」表示させるためのパーツデータの画像データと全文検索を可能とする文字列である「全文検索データ」を作成する。本発明の実施の形態では、「サムネイル」「全文検索データ」をまとめて抽出データと称するものとする。このように既に登録されているプレビュー用PDFファイルから作成するのは、アップロードするファイルがPDFファイルの場合であっても、サムネイル画像は、ピュレビュー用PDFファイルを利用したい場合(例えば、10ページの出力物が複数あるが、1ページ目は表紙で見た目上の違いがほぼなく、サムネイルは特徴的なページを利用したい場合等)を考慮して、既に登録されているプレビュー用PDFファイルが上書きされないようにするためである。
【0033】
S407において、コンテンツ管理サーバは、アップロードされた印刷情報ファイル(第一の形式のファイル)から同様に「サムネイル」と「全文検索データ」を作成する(抽出データを生成する。)。
【0034】
S408において、コンテンツ管理サーバは、「サムネイル」と「全文検索データ」をそれぞれ、完成物添付ファイルDBと全文検索DBに保存(登録)する。S407において、印刷情報ファイルから抽出データが生成されていた場合は、プレビュー用PDFファイルが登録された場合に、登録されることとなるDBに登録されることとなる。ユーザとしては、印刷情報ファイルとしてPDFファイルを登録することで、プレビュー用PDFファイルを登録しなくとも内部的に抽出データを生成してDBに登録されることとなる。つまり、この場合、プレビュー用PDFファイルで生成した抽出データの代わりに印刷情報ファイルで生成した抽出データが登録される。
S409において、コンテンツ管理サーバは、印刷情報ファイルを完成物添付ファイルDBに保存(登録)する。
【0035】
S410において、コンテンツ管理サーバは、S405と同様に、既にプレビュー用PDFが登録されているかを判定する。Yesの場合、S411へ進み、Noの場合、S412へ進む。
【0036】
S411において、コンテンツ管理サーバは、既にあるプレビュー用PDFファイルをあらためてDBに保存(登録)する。一方、内容が一致する2つのファイルを登録したくないユーザは、既にあるプレビュー用PDFファイルを削除したい場合もあるため、他の実施の形態として、重複時に削除する設定を可能にしてもよい。すなわち、予めユーザは、重複した場合は削除する設定をしておくことで、コンテンツ管理サーバは、既にあるプレビュー用PDFファイルを削除する。従って、登録されるPDFファイルは1つとなるためディスク容量の節約につながることとなる。
【0037】
S412において、コンテンツ管理サーバは、完成物編集画面を表示させて、その他の操作を受け付ける。
図7に印刷情報ファイルが登録されたことを示す画面の一例を示す。この例では、印刷情報ファイル501に、「test1.pdf」701が登録されたことを示している。
また、
図8に印刷情報ファイル501が登録されたことによりサムネイル表示が可能となったことを示す画面の一例を示す。
【0038】
まず、従来は、プレビュー用PDF801が登録されて、はじめてサムネイル802が表示されていた。つまり、印刷情報ファイルが登録されただけでは、内部的に「サムネイル」や「全文検索データ」が生成されなかったためである。従来は、サムネイル表示や全文検索を可能とするためには、印刷情報ファイルとは別にプレビュー用PDFファイルを登録する必要があった。プレビュー用PDFファイルを登録してはじめて内部的に「サムネイル」や「全文検索データ」が生成されていた。
【0039】
一方、本発明の実施の形態においては、印刷情報ファイルとしてPDFファイルをアップロードした際に、プレビュー用PDFファイルが登録されていない場合は、内部的に「サムネイル」や「全文検索データ」が生成されることとなった。そのため、印刷情報ファイルとしてPDFファイルを登録するだけで、プレビュー用PDFファイル803を登録することなく、サムネイル804の表示が可能となった。つまり、ユーザ操作としては、1つのPDFファイルを登録することで、プレビュー用PDFファイルを登録することなく、サムネイル画像表示と全文検索が可能となった。
【0040】
上述した通り、本発明によれば、複数のファイルを登録可能な情報処理装置において、一つのファイルを登録することで、他のファイルの登録をしなくとも、他のファイルを登録した場合と同様の効果を奏する仕組みを提供することができる。
【0041】
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体(記録媒体)等としての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0042】
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0043】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0044】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0045】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0046】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0047】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0048】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0049】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。