(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記最大値P2は、前記深さT2における前記第1の成分の分布割合より高いとともに、前記深さT2における前記第3の成分の分布割合より低い、請求項1に記載の半導体装置。
前記P型半導体層における第1の界面から、前記N型半導体層における前記第1の界面との間に段差を有する第2の界面にわたって、前記第1および第2の電極が一体的に形成された請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2におけるGaN系の半導体装置では、N型半導体層およびP型半導体層にそれぞれ用いられる各電極の材料、構造および製造時の処理条件がそれぞれ異なるため、製造工程が煩雑化し、結果的にコストが増大するという問題があった。また、特許文献1,2におけるGaN系の半導体装置では、N型半導体層に電極を形成するためのフォトリソグラフィと、P型半導体層に電極を形成するためのフォトリソグラフィとの重ね合わせ精度を確保する関係から、半導体装置の微細化が困難になるという問題があった。
【0006】
そのため、GaN系の半導体装置において、N型半導体層およびP型半導体層における電極の共通化を図ることが可能な技術が望まれていた。そのほか、半導体装置においては、低コスト化、微細化、製造の容易化、省資源化、使い勝手の向上、耐久性の向上などが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の一形態は、半導体装置を提供する。この半導体装置は、窒化ガリウム(GaN)から主に成るP型半導体層と;窒化ガリウム(GaN)から主に成るN型半導体層と;前記P型半導体層に形成された第1の電極と;前記N型半導体層に形成された第2の電極とを備える。前記第1および第2の電極は;パラジウム(Pd)、白金(Pt)およびニッケル(Ni)の少なくとも1つである第1の成分と;チタン(Ti)である第2の成分と;アルミニウム(Al)である第3の成分とから主に成り;前記第1および第2の電極の表面から内部に向かう深さ方向において前記第1の成分の分布割合が最大値P1となる深さT1、および、前記深さ方向において前記第2の成分の分布割合が最大値P2となる深さT2は、前記深さ方向において前記第3の成分の分布割合が最大値P3となる深さT3より深い位置にあり;前記深さT1は、前記深さ方向において前記深さT2よりも深い位置にあり;前記最大値P1は、前記深さT1における前記第2の成分の分布割合より高いとともに、前記深さT1における前記第3の成分の分布割合より低い。
また、本発明は以下の形態として実現することも可能である。
【0008】
(1)本発明の一形態によれば、半導体装置が提供される。この半導体装置は、窒化ガリウム(GaN)から主に成るP型半導体層と;窒化ガリウム(GaN)から主に成るN型半導体層と;前記P型半導体層および前記N型半導体層の少なくとも一方に形成された電極とを備え、前記電極は、パラジウム(Pd)、白金(Pt)およびニッケル(Ni)の少なくとも1つである第1の成分と;チタン(Ti)である第2の成分と;アルミニウム(Al)である第3の成分とから主に成り、前記電極の表面から内部に向かう深さ方向において前記第1の成分の分布割合が最大値P1となる深さT1、および、前記深さ方向において前記第2の成分の分布割合が最大値P2となる深さT2は、前記深さ方向において前記第3の成分の分布割合が最大値P3となる深さT3より深い位置にあり、前記最大値P1は、前記深さT1における前記第2の成分の分布割合より高いとともに、前記深さT1における前記第3の成分の分布割合より低い。この形態の半導体装置によれば、P型半導体層およびN型半導体層の各層に対する電極の接触抵抗を抑制することができる。そのため、N型半導体層およびP型半導体層における電極の共通化を図ることができる。したがって、P型半導体層およびN型半導体層に電極を形成するための工数を削減することができ、結果的に半導体装置の低コスト化を図ることができる。
【0009】
(2)上記形態の半導体装置において、前記最大値P2は、前記深さT2における前記第1の成分の分布割合より高いとともに、前記深さT2における前記第3の成分の分布割合より低くてもよい。この形態の半導体装置によれば、P型半導体層およびN型半導体層の各層に対する電極の接触抵抗を十分に抑制することができる。
【0010】
(3)上記形態の半導体装置において、前記最大値P1と前記最大値P2と前記最大値P3との関係は、P1<P2<P3を満たしてもよい。この形態の半導体装置によれば、P型半導体層およびN型半導体層の各層に対する電極の接触抵抗を十分に抑制することができる。
【0011】
(4)上記形態の半導体装置において、前記P型半導体層から前記N型半導体層にわたって前記電極が一体的に形成されてもよい。この形態の半導体装置によれば、P型半導体層からN型半導体層にわたって一体的に形成された電極の各半導体層に対する接触抵抗を抑制することができる。また、P型半導体層およびN型半導体層の各層に電極を個別に形成する場合と比較して、フォトリソグラフィの重ね合わせ精度を緩和することができ、結果的に半導体装置の微細化を図ることができる。
【0012】
(5)上記形態の半導体装置において、前記P型半導体層における第1の界面から、前記N型半導体層における前記第1の界面との間に段差を有する第2の界面にわたって、前記電極が一体的に形成されてもよい。この形態の半導体装置によれば、P型半導体層から段差を超えてN型半導体層にわたって一体的に形成された電極の各半導体層に対する接触抵抗を抑制することができる。また、P型半導体層およびN型半導体層の各層に電極を個別に形成する場合と比較して、フォトリソグラフィの重ね合わせ精度を緩和することができ、結果的に半導体装置の微細化を図ることができる。
【0013】
(6)本発明の一形態によれば、P型半導体層およびN型半導体層を備える半導体装置を製造する、半導体装置の製造方法が提供される。この半導体装置の製造方法は、(a) 窒化ガリウム(GaN)から主に成る前記P型半導体層および前記N型半導体層を形成する工程と;(b) 前記P型半導体層および前記N型半導体層の少なくとも一方に電極を形成する工程とを備え、前記工程(b)は、(b1) パラジウム(Pd)、白金(Pt)およびニッケル(Ni)の少なくとも1つから成る第1の金属層を、前記P型半導体層および前記N型半導体層の少なくとも一方に形成する工程と;(b2) チタン(Ti)から成る第2の金属層を、前記第1の金属層に積層する工程と;(b3) アルミニウム(Al)から成る第3の金属層を、前記第2の金属層に積層する工程と;(b4) 窒素(N
2)から主に成る450〜550℃の雰囲気ガスを用いて、前記第1の金属層、前記第2の金属層および前記第3の金属層を焼成することによって、前記電極を形成する工程とを含む。この形態の半導体装置の製造方法によれば、P型半導体層およびN型半導体層の各層に対する電極の接触抵抗を抑制することができる。そのため、N型半導体層およびP型半導体層における電極の共通化を図ることができる。したがって、P型半導体層およびN型半導体層に電極を形成するための工数を削減することができ、結果的に半導体装置の低コスト化を図ることができる。
【0014】
(7)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記工程(b1)は、前記第1の金属層を、5〜100nmの厚さに形成する工程であり、前記工程(b2)は、前記第2の金属層を、5〜50nmの厚さに形成する工程であり、前記工程(b3)は、前記第3の金属層を、100nm以上の厚さに形成する工程であってもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、P型半導体層およびN型半導体層の各層に対する電極の接触抵抗を十分に抑制することができる。
【0015】
(8)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、前記P型半導体層から前記N型半導体層にわたって前記電極を一体的に形成する工程であってもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、P型半導体層からN型半導体層にわたって一体的に形成された電極の各半導体層に対する接触抵抗を抑制することができる。また、P型半導体層およびN型半導体層の各層に電極を個別に形成する場合と比較して、フォトリソグラフィの重ね合わせ精度を緩和することができ、結果的に半導体装置の微細化を図ることができる。
【0016】
(9)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、前記P型半導体層における第1の界面から、前記N型半導体層における前記第1の界面との間に段差を有する第2の界面にわたって、前記電極を一体的に形成する工程であってもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、P型半導体層から段差を超えてN型半導体層にわたって一体的に形成された電極の各半導体層に対する接触抵抗を抑制することができる。また、P型半導体層およびN型半導体層の各層に電極を個別に形成する場合と比較して、フォトリソグラフィの重ね合わせ精度を緩和することができ、結果的に半導体装置の微細化を図ることができる。
【0017】
(10)本発明の一形態によれば、上記形態の半導体装置の製造方法を用いて製造された半導体装置が提供される。この形態の半導体装置によれば、P型半導体層およびN型半導体層の各層に対する電極の接触抵抗を抑制することができる。
【0018】
本発明は、半導体装置およびその製造方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、上記形態の半導体装置を備える電気機器、上記形態の半導体装置を製造する装置などの形態で実現することができる。
【発明の効果】
【0019】
本願発明によれば、P型半導体層およびN型半導体層の各層に対する電極の接触抵抗を抑制することができる。そのため、N型半導体層およびP型半導体層における電極の共通化を図ることができる。したがって、P型半導体層およびN型半導体層に電極を形成するための工数を削減することができ、結果的に半導体装置の低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
A.第1実施形態:
A1.半導体装置の構成:
図1は、第1実施形態における半導体装置10の構成を模式的に示す断面図である。半導体装置10は、窒化ガリウム(GaN)を用いて形成されたGaN系の半導体装置である。本実施形態では、半導体装置10は、電力制御に用いられ、パワーデバイスとも呼ばれ、高周波デバイスとも呼ばれる。
【0022】
半導体装置10は、基板110と、第1のN型半導体層120と、P型半導体層130と、第2のN型半導体層140とを備える。半導体装置10は、NPN型の半導体装置であり、第1のN型半導体層120と、P型半導体層130と、第2のN型半導体層140とが順に接合した構造を有する。
【0023】
半導体装置10の基板110には、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、有機金属気相成長法)装置を用いた結晶成長によって、第1のN型半導体層120と、P型半導体層130と、第2のN型半導体層140とが順に積層した状態で形成されている。
【0024】
図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。
図1のXYZ軸のうち、X軸は、基板110に対して第1のN型半導体層120が積層する積層方向に沿った軸である。X軸に沿ったX軸方向のうち、+X軸方向は、基板110から第1のN型半導体層120に向かう方向であり、−X軸方向は、+X軸方向に対向する方向である。
図1のXYZ軸のうち、Y軸およびZ軸は、X軸に直交するとともに相互に直交する軸である。Y軸に沿ったY軸方向のうち、+Y軸方向は、
図1の紙面左から紙面右に向かう方向であり、−Y軸方向は、+Y軸方向に対向する方向である。Z軸に沿ったZ軸方向のうち、+Z軸方向は、
図1の紙面手前から紙面奥に向かう方向であり、−Z軸方向は、+Z軸方向に対向する方向である。
【0025】
半導体装置10の基板110は、Y軸およびZ軸に沿って広がる板状をなす。本実施形態では、基板110は、窒化ガリウム(GaN)から主に成るとともに、第1のN型半導体層120よりも高い濃度でケイ素(Si)をドナーとして含有する。
【0026】
基板110は、界面111と、界面112とを有する。基板110の界面111は、Y軸およびZ軸に平行かつ−X軸方向を向いた面である。基板110の界面112は、Y軸およびZ軸に平行かつ+X軸方向を向いた面であり、界面111に背向する。界面112は、第1のN型半導体層120に隣接する。
【0027】
本実施形態では、基板110の界面111には、ドレイン電極とも呼ばれる電極210が形成されている。本実施形態では、電極210は、チタン(Ti)から成る層にアルミニウム(Al)から成る層を積層した電極である。
【0028】
基板110の厚さは、界面111と界面112との間におけるX軸方向に沿った距離であり、本実施形態では、320μm(マイクロメートル)である。他の実施形態では、基板110の厚さは、10μm〜10mm(ミリメートル)の範囲から選択される他の値であってもよく、この範囲を外れた値であってもよい。
【0029】
半導体装置10における第1のN型半導体層120は、基板110に積層した状態で形成され、Y軸およびZ軸に沿って広がる層をなす。第1のN型半導体層120は、窒化ガリウム(GaN)から主に成るとともに、ケイ素(Si)をドナーとして含有する。第1のN型半導体層120は、「n
-−GaN」とも呼ばれる。
【0030】
第1のN型半導体層120は、界面121と、界面122とを有する。第1のN型半導体層120における界面121は、Y軸およびZ軸に平行かつ−X軸方向を向いた面である。界面121は、基板110に隣接する。第1のN型半導体層120における界面122は、Y軸およびZ軸に平行かつ+X軸方向を向いた面であり、界面121に背向する。界面122は、P型半導体層130に隣接する。
【0031】
第1のN型半導体層120の厚さは、界面121と界面122との間におけるX軸方向に沿った距離であり、本実施形態では、10μmである。他の実施形態では、第1のN型半導体層120の厚さは、5〜15μmの範囲から選択される他の値であってもよく、この範囲を外れた値であってもよい。
【0032】
半導体装置10のP型半導体層130は、第1のN型半導体層120に積層した状態で形成され、Y軸およびZ軸に沿って広がる層をなす。P型半導体層130は、窒化ガリウム(GaN)から主に成るとともに、マグネシウム(Mg)をアクセプタとして含有する。P型半導体層130は、「p−GaN」とも呼ばれる。
【0033】
P型半導体層130は、界面131と、界面132とを有する。P型半導体層130の界面131は、Y軸およびZ軸に平行かつ−X軸方向を向いた面である。界面131は、第1のN型半導体層120に隣接する。P型半導体層130の界面132は、Y軸およびZ軸に平行かつ+X軸方向を向いた面であり、界面131に背向する。界面132における第2のN型半導体層140に隣接する部位と、第2のN型半導体層140に隣接しない部位との間は、平坦であってもよいし、段状であってもよい。
【0034】
本実施形態では、P型半導体層130の界面132には、第2のN型半導体層140よりも+Y軸方向側に、Pボディ電極とも呼ばれる電極230が形成されている。電極230の詳細については後述する。
【0035】
P型半導体層130の厚さは、界面131と界面132との間におけるX軸方向に沿った距離であり、本実施形態では、1μmである。他の実施形態では、P型半導体層130の厚さは、0.3〜2μmの範囲から選択される他の値であってもよいし、この範囲を外れた値であってもよい。
【0036】
半導体装置10における第2のN型半導体層140は、P型半導体層130に積層した状態で形成され、Y軸およびZ軸に沿って広がる層をなす。第2のN型半導体層140は、窒化ガリウム(GaN)から主に成るとともに、第1のN型半導体層120よりも高い濃度でケイ素(Si)をドナーとして含有する。第2のN型半導体層140は、「n
+−GaN」とも呼ばれる。
【0037】
第2のN型半導体層140は、界面141と、界面142と、界面143とを有する。第2のN型半導体層140における界面141は、Y軸およびZ軸に平行かつ−X軸方向を向いた面である。界面141は、P型半導体層130に隣接する。第2のN型半導体層140における界面142は、Y軸およびZ軸に平行かつ+X軸方向を向いた面であり、界面141に背向する。第2のN型半導体層140における界面143は、X軸およびZ軸に平行かつ+Y軸方向を向いた面である。界面143は、P型半導体層130の界面132と、第2のN型半導体層140の界面142との間を繋ぐ面である。第2のN型半導体層140における界面142は、P型半導体層130における第1の界面である界面132との間に、界面143に応じた段差を有する第2の界面である。
【0038】
本実施形態では、第2のN型半導体層140の界面142には、ソース電極とも呼ばれる電極240が形成されている。電極240の詳細については後述する。
【0039】
第2のN型半導体層140の厚さは、界面141と界面142との間におけるX軸方向に沿った距離であり、本実施形態では、0.2μmである。他の実施形態では、第2のN型半導体層140の厚さは、0.1〜0.5μmの範囲から選択される他の値であってもよし、この範囲を外れた値であってもよい。
【0040】
本実施形態では、第1のN型半導体層120とP型半導体層130との各表面にわたって絶縁膜330が形成され、第1のN型半導体層120とP型半導体層130と第2のN型半導体層140との各表面にわたって絶縁膜340が形成されている。本実施形態では、絶縁膜330,340は、二酸化ケイ素(SiO
2)から成る層である。
【0041】
本実施形態では、ゲート電極とも呼ばれる電極250が、第1のN型半導体層120とP型半導体層130と第2のN型半導体層140との各表面にわたって、絶縁膜340を間に挟む状態で形成されている。本実施形態では、電極250は、アルミニウム(Al)から主に成る電極である。
【0042】
A2.電極の詳細構成:
半導体装置10の電極230は、P型半導体層130の界面132に対して、順に、パラジウム(Pd)から成る第1の金属層と、チタン(Ti)から成る第2の金属層と、アルミニウム(Al)から成る第3の金属層と、を積層した後、窒素(N
2)から主に成る雰囲気ガスを用いて焼成することによって形成される。本実施形態では、第1の金属層の厚さは20nm(ナノメートル)であり、第2の金属層の厚さは35nmであり、第3の金属層の厚さは300nmである。本実施形態では、電極230を焼成する雰囲気ガスの温度は500℃であり、電極230を焼成する時間は5分である。
【0043】
電極230は、第1の成分であるパラジウム(Pd)と、第2の成分であるチタン(Ti)と、第3の成分であるアルミニウム(Al)とから主に成る。電極230の表面から内部に向かう深さ方向は、
図1の−X軸方向である。半導体装置10の電極240は、第2のN型半導体層140の界面142に対して形成される点を除き、電極230と同様である。
【0044】
図9は、電極230を構成する成分の分布割合を示すグラフである。
図9のグラフにおける縦軸は、元素の存在率を示す。
図9のグラフにおける横軸は、電極230の表面からの深さを酸化ケイ素(SiO
2)のエッチングレートに換算したスパッタ深さを示す。
図9のグラフにおける横軸の値が0を示す位置は、電極230の表面に相当する。
図9におけるガリウム(Ga)および窒素(N)の各成分は、P型半導体層130に由来する成分である。電極240を構成する成分の分布割合は、電極230と同様である。
【0045】
深さT1は、第1の成分であるPdの分布割合が最大値P1となる深さである。深さT2は、第2の成分であるTiの分布割合が最大値P2となる深さである。深さT3は、第3の成分であるAlの分布割合が最大値P3となる深さである。深さT1および深さT2は、深さT3より深い位置にある。本実施形態では、深さT1は、深さT2より深い位置にある。
【0046】
最大値P1は、深さT1におけるTiの分布割合である値R2_T1より高い。最大値P1は、深さT1におけるAlの分布割合である値R3_T1より低い。
【0047】
最大値P2は、深さT2におけるPdの分布割合である値R1_T2より高い。最大値P2は、深さT2におけるAlの分布割合である値R3_T2より低い。
【0048】
最大値P1と最大値P2と最大値P3との関係は、P1<P2<P3を満たす。
【0049】
A3.半導体装置の製造方法:
図2は、半導体装置10の製造方法を示す工程図である。半導体装置10を製造する際には、まず、製造者は、基板110上に第1のN型半導体層120とP型半導体層130と第2のN型半導体層140とが形成された半導体装置10の中間製品を用意する(工程P120)。
【0050】
半導体装置10の中間製品を用意した後(工程P120)、製造者は、半導体装置10の中間製品における+X軸方向を向く面にフォトレジストを塗布する(工程P130)。
【0051】
フォトレジストを塗布した後(工程P130)、製造者は、電極230,240のパターンが形成されたフォトマスクを用いたフォトリソグラフィによって、電極230,240に対応する開口部をフォトレジストに形成する(工程P140)。
【0052】
フォトリソグラフィの後(工程P140)、製造者は、半導体装置10の中間製品におけるフォトレジストが形成された側の面に対して、第1の金属層を蒸着によって形成する(工程P152)。これによって、フォトレジストの開口部から露出した界面132と界面142とに第1の金属層が形成される。工程P152において形成される第1の金属層は、パラジウム(Pd)、白金(Pt)およびニッケル(Ni)の少なくとも1つから主になる金属層であることが好ましく、本実施形態では、Pdから成る金属層である。工程P152において形成される第1の金属層の厚さは、5〜100nmであることが好ましく、本実施形態では、20nmである。
【0053】
第1の金属層の形成に続いて(工程P152)、製造者は、半導体装置10の中間製品における第1の金属層が形成された側の面に対して、チタン(Ti)から成る第2の金属層を蒸着によって形成する(工程P154)。これによって、フォトレジストの開口部から露出した界面132と界面142とに形成された第1の金属層の上に、第2の金属層が積層される。工程P154において形成される第2の金属層の厚さは、5〜50nmであることが好ましく、本実施形態では、35nmである。
【0054】
第2の金属層の形成に続いて(工程P154)、製造者は、半導体装置10の中間製品における第2の金属層が形成された側の面に対して、アルミニウム(Al)から成る第3の金属層を蒸着によって形成する(工程P156)。これによって、フォトレジストの開口部から露出した界面132と界面142とに形成された第2の金属層の上に、第3の金属層が積層される。工程P156において形成される第3の金属層の厚さは、100nm以上であることが好ましく、本実施形態では、300nmである。
【0055】
第3の金属層を形成した後(工程P154)、製造者は、半導体装置10の中間製品からフォトレジストを除去する(工程P160)。
【0056】
フォトレジストを除去した後(工程P160)、製造者は、焼成装置を用いて半導体装置10の中間製品を加熱処理し、第1の金属層と第2の金属層と第3の金属層とを焼成することによって、電極230,240を形成する(工程P170)。本実施形態では、工程P170の加熱処理に用いられる雰囲気ガスは、窒素(N
2)から主になり、酸素(O
2)を含有してもよい。工程P170の加熱処理に用いられる雰囲気ガスは、450〜550℃の範囲から選択される温度であることが好ましく、本実施形態では、雰囲気ガスの温度(熱処理温度)は、500℃である。工程P170の加熱処理を実施する時間は、数秒〜10分程度であることが好ましく、本実施形態では、加熱処理を実施する時間は、5分間である。
【0057】
本実施形態では、電極230,240を形成した後(工程P170)、製造者は、電極210,250と、絶縁膜330,340とを形成する。これによって、半導体装置10が完成する。他の実施形態では、製造者は、電極210を形成する工程の少なくとも一部を、電極230,240の形成に先立って、または、電極230,240の形成と同時に行ってもよい。他の実施形態では、製造者は、電極250を形成する工程の少なくとも一部を、電極230,240の形成に先立って、または、電極230,240の形成と同時に行ってもよい。他の実施形態では、製造者は、絶縁膜330,340を形成する工程の少なくとも一部を、電極230,240の形成に先立って行ってもよい。
【0058】
A4.電極の評価試験:
図3は、熱処理温度が電極の接触抵抗に及ぼす影響を評価した結果を示すグラフである。
図3の評価試験では、発明者は、相互に異なる金属層から形成される電極である8系統の試料S1〜S8について、工程P170の熱処理温度を変えて焼成し、GaN系のP型半導体層に形成した場合の接触抵抗と、GaN系のN型半導体層に形成した場合の接触抵抗とを測定した。これによって、発明者は、GaN系のP型半導体層に形成した試料S1〜S8と、GaN系のN型半導体層に形成した試料S1〜S8とについて、熱処理温度に応じた接触抵抗の変化を確認した。
図3の評価試験では、工程P170の加熱処理を実施する時間は、5分間である。
【0059】
図3には、熱処理温度に応じた試料S1〜S8の接触抵抗を示す片対数グラフが図示されている。
図3のグラフでは、横軸は、工程P158における熱処理温度を示し、縦軸は、対数目盛を用いて接触抵抗を示す。
図3のグラフでは、GaN系のP型半導体層に形成した各試料の測定値は、実線を用いて表され、GaN系のN型半導体層に形成した各試料の測定値は、破線を用いて表される。
【0060】
試料S1〜S6の各々は、パラジウム(Pd)から成る第1の金属層と、チタン(Ti)から成る第2の金属層と、アルミニウム(Al)から成る第3の金属層とを、半導体層側から順に積層した電極である。
【0061】
試料S1では、第1の金属層の厚さは5nmであり、第2の金属層の厚さは17.5nmであり、第3の金属層の厚さは300nmである。試料S2では、第1の金属層の厚さは5nmであり、第2の金属層の厚さは35nmであり、第3の金属層の厚さは300nmである。
【0062】
試料S3では、第1の金属層の厚さは20nmであり、第2の金属層の厚さは17.5nmであり、第3の金属層の厚さは300nmである。試料S4では、第1の金属層の厚さは20nmであり、第2の金属層の厚さは35nmであり、第3の金属層の厚さは300nmである。
【0063】
試料S5では、第1の金属層の厚さは50nmであり、第2の金属層の厚さは17.5nmであり、第3の金属層の厚さは300nmである。試料S6では、第1の金属層の厚さは50nmであり、第2の金属層の厚さは35nmであり、第3の金属層の厚さは300nmである。
【0064】
試料S7は、パラジウム(Pd)から成る厚さ50nmの電極である。GaN系のN型半導体層に形成した試料S7の接触抵抗の測定値は、1×10
2Ωcm
2を超える値であり、
図3には図示されていない。
【0065】
試料S8は、チタン(Ti)から成る厚さ17.5nmの金属層と、アルミニウム(Al)から成る厚さ300nmの金属層とを、半導体層側から順に積層した電極である。GaN系のP型半導体層に形成した試料S8の接触抵抗の測定値は、1×10
2Ωcm
2を超える値であり、
図3には図示されていない。
【0066】
図3の結果から、GaN系のP型半導体層に形成された第1の電極と、GaN系のN型半導体層と形成された第2の電極とを同一構造としながら、各電極の接触抵抗を抑制するためには、Pdから成る第1の金属層と、Tiから成る第2の金属層と、Alから成る第3の金属層とを半導体層側から順に積層した構造の場合、工程P170の熱処理温度は、450〜550℃であることが好ましい。
【0067】
図4は、電極におけるパラジウム(Pd)およびチタン(Ti)の各層厚が接触抵抗に及ぼす影響を評価した結果を示すグラフである。
図4のグラフには、
図3の評価試験で確認された測定値のうち、500℃の熱処理温度で形成した試料S1〜S6についての測定値が表されている。
図4には、Pdの層厚に応じた試料S1〜S6の接触抵抗を示す片対数グラフが図示されている。
図4のグラフでは、横軸は、Pdの層厚を示し、縦軸は、対数目盛を用いて接触抵抗を示す。
図4のグラフでは、GaN系のP型半導体層に形成した各試料の測定値は、実線を用いて表され、GaN系のN型半導体層に形成した各試料の測定値は、破線を用いて表される。
【0068】
図4の結果から、電極は、Pdの層厚を20nmとし、Tiの層厚を35nmとし、Alの層厚を300nmとする構造を中心として、GaN系のP型半導体層とGaN系のN型半導体層との双方に対する接触抵抗をバランス良く抑制可能であることが確認された。
【0069】
A5.効果:
以上説明した第1実施形態によれば、電極230と電極240とを同一構造としながら、電極230および電極240の各接触抵抗を抑制することができる。そのため、電極230と電極240との共通化を図ることができる。したがって、電極230と電極240とを形成するための工数を削減することができ、結果的に半導体装置10の低コスト化を図ることができる。
【0070】
A6.第1変形例:
第1変形例における半導体装置10は、電極230,240の詳細構成が異なる点を除き、上述の実施形態と同様である。第1変形例における電極230,240は、チタン(Ti)から成る第2の金属層の厚さが17.5nmである点を除き、上述の実施形態と同様に形成される。
【0071】
図10は、第1変形例における電極230,240を構成する成分の分布割合を示すグラフである。
図10のグラフにおける縦軸および横軸は、
図9と同様である。
【0072】
第1変形例では、上述の実施形態と同様に、深さT1および深さT2は、深さT3より深い位置にある。第1変形例では、深さT1は、深さT2より深い位置にある。
【0073】
第1変形例では、上述の実施形態と同様に、最大値P1は、深さT1におけるTiの分布割合である値R2_T1より高い。最大値P1は、深さT1におけるAlの分布割合である値R3_T1より低い。
【0074】
第1変形例では、上述の実施形態と同様に、最大値P2は、深さT2におけるPdの分布割合である値R1_T2より高い。最大値P2は、深さT2におけるAlの分布割合である値R3_T2より低い。
【0075】
第1変形例では、上述の実施形態と同様に、最大値P1と最大値P2と最大値P3との関係は、P1<P2<P3を満たす。第1変形例では、最大値P1と最大値P2とは、ほぼ等しい。
【0076】
以上説明した第1変形例によれば、上述の実施形態と同様に、電極230と電極240との共通化を図ることができる。
【0077】
A7.第2変形例:
第2変形例における半導体装置10は、電極230,240の詳細構成が異なる点を除き、上述の実施形態と同様である。第2変形例における電極230,240は、パラジウム(Pd)から成る第1の金属層の厚さが5nmであり、チタン(Ti)から成る第2の金属層の厚さが17.5nmである点を除き、上述の実施形態と同様に形成される。
【0078】
図11は、第2変形例における電極230,240を構成する成分の分布割合を示すグラフである。
図11のグラフにおける縦軸および横軸は、
図9と同様である。
【0079】
第2変形例では、上述の実施形態と同様に、深さT1および深さT2は、深さT3より深い位置にある。第2変形例では、深さT2は、深さT1より深い位置にある。
【0080】
第2変形例では、上述の実施形態と同様に、最大値P1は、深さT1におけるTiの分布割合である値R2_T1より高い。最大値P1は、深さT1におけるAlの分布割合である値R3_T1より低い。
【0081】
第2変形例では、上述の実施形態と同様に、最大値P2は、深さT2におけるPdの分布割合である値R1_T2より高い。最大値P2は、深さT2におけるAlの分布割合である値R3_T2より低い。
【0082】
第2変形例では、上述の実施形態と同様に、最大値P1と最大値P2と最大値P3との関係は、P1<P2<P3を満たす。
【0083】
以上説明した第2変形例によれば、上述の実施形態と同様に、電極230と電極240との共通化を図ることができる。
【0084】
B.第2実施形態:
図5は、第2実施形態における半導体装置10Bの構成を模式的に示す断面図である。第2実施形態の半導体装置10Bは、電極230および電極240に代えて、電極260を備える点を除き、第1実施形態の半導体装置10と同様である。
【0085】
半導体装置10Bの電極260は、P型半導体層130の界面132から、第2のN型半導体層140における界面143を介して、第2のN型半導体層140における界面142にわたって一体的に形成された電極である。電極260は、P型半導体層130に形成された第1の電極として機能するとともに、第2のN型半導体層140に形成された第2の電極として機能する。言い換えると、電極260は、P型半導体層130に形成された第1の電極と、第2のN型半導体層140に形成された第2の電極とによって構成されている。第2実施形態の電極260の詳細構成および製造方法は、第1実施形態の電極230,240と同様である。
【0086】
以上説明した第2実施形態によれば、P型半導体層130から段差を超えて第2のN型半導体層140にわたって一体的に形成された電極260の各半導体層に対する接触抵抗を抑制することができる。その結果、第1実施形態と同様に、半導体装置10Bの低コスト化を図ることができる。また、P型半導体層130および第2のN型半導体層140の各層に電極を個別に形成する場合と比較して、フォトリソグラフィの重ね合わせ精度を緩和することができ、結果的に半導体装置10Bの微細化を図ることができる。
【0087】
C.第3実施形態:
図6は、第3実施形態における半導体装置50の構成を模式的に示す断面図である。半導体装置50は、窒化ガリウム(GaN)を用いて形成されたGaN系の半導体装置である。本実施形態では、半導体装置50は、発光素子であり、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)とも呼ばれる。
【0088】
半導体装置50は、N型半導体層510と、発光層520と、P型半導体層530とを備える。半導体装置50は、N型半導体層510と、発光層520と、P型半導体層530とが順に接合した構造を有する。
【0089】
半導体装置50のN型半導体層510は、窒化ガリウム(GaN)から主に成るとともに、ケイ素(Si)をドナーとして含有する。N型半導体層510は、「n−GaN」とも呼ばれる。
【0090】
N型半導体層510には、電極610が形成されている。電極610の詳細構成および製造方法は、第1実施形態の電極240と同様である。
【0091】
半導体装置50の発光層520は、発光可能に構成された半導体層であり、本実施形態では、窒化インジウムガリウム(InGaN)から主に成る。
【0092】
半導体装置50のP型半導体層530は、窒化ガリウム(GaN)から主に成るとともに、マグネシウム(Mg)をアクセプタとして含有する。P型半導体層530は、「p−GaN」とも呼ばれる。
【0093】
P型半導体層530には、電極630が形成されている。電極630の詳細構成および製造方法は、第1実施形態の電極230と同様である。
【0094】
以上説明した第3実施形態によれば、電極610と電極630とを同一構造としながら、電極610および電極630の各接触抵抗を抑制することができる。その結果、第1実施形態と同様に、半導体装置50の低コスト化を図ることができる。
【0095】
D.第4実施形態:
図7は、第4実施形態における半導体装置70の構成を模式的に示す断面図である。半導体装置70は、窒化ガリウム(GaN)を用いて形成されたGaN系の半導体装置である。半導体装置70は、P型半導体層710と、N型半導体層720と、電極730とを備える。半導体装置70は、P型半導体層710における表面側の一部をN型半導体層720に置き換えた構造を有する。
【0096】
半導体装置70のP型半導体層710は、窒化ガリウム(GaN)から主に成るとともに、マグネシウム(Mg)をアクセプタとして含有する。P型半導体層710は、「p−GaN」とも呼ばれる。
【0097】
半導体装置70のN型半導体層720は、窒化ガリウム(GaN)から主になる成るとともに、ケイ素(Si)をドナーとして含有する。N型半導体層720は、「n−GaN」とも呼ばれる。
【0098】
半導体装置70の電極730は、P型半導体層710からN型半導体層720にわたって一体的に形成された電極である。電極730は、P型半導体層710に形成された第1の電極として機能するとともに、N型半導体層720に形成された第2の電極として機能する。言い換えると、電極730は、P型半導体層710に形成された第1の電極と、N型半導体層720に形成された第2の電極とによって構成されている。第4実施形態の電極730の詳細構成および製造方法は、第1実施形態の電極230,240と同様である。
【0099】
以上説明した第4実施形態によれば、P型半導体層710からN型半導体層720にわたって一体的に形成された電極730の各半導体層に対する接触抵抗を抑制することができる。その結果、第1実施形態と同様に、半導体装置70の低コスト化を図ることができる。また、P型半導体層710およびN型半導体層720の各層に電極を個別に形成する場合と比較して、フォトリソグラフィの重ね合わせ精度を緩和することができ、結果的に半導体装置70の微細化を図ることができる。
【0100】
E.第5実施形態:
図8は、第5実施形態における半導体装置80の構成を模式的に示す断面図である。半導体装置80は、窒化ガリウム(GaN)を用いて形成されたGaN系の半導体装置である。半導体装置80は、N型半導体層810と、P型半導体層820と、電極830とを備える。半導体装置80は、N型半導体層810における表面側の一部をP型半導体層820に置き換えた構造を有する。
【0101】
半導体装置80のN型半導体層810は、窒化ガリウム(GaN)から主に成るとともに、ケイ素(Si)をドナーとして含有する。半導体装置80のP型半導体層820は、窒化ガリウム(GaN)から主に成るとともに、マグネシウム(Mg)をアクセプタとして含有する。
【0102】
半導体装置80の電極830は、N型半導体層810からP型半導体層820にわたって一体的に形成された電極である。電極830は、P型半導体層820に形成された第1の電極として機能するとともに、N型半導体層810に形成された第2の電極として機能する。言い換えると、電極830は、P型半導体層820に形成された第1の電極と、N型半導体層810に形成された第2の電極とによって構成されている。第5実施形態の電極830の詳細構成および製造方法は、第1実施形態の電極230,240と同様である。
【0103】
以上説明した第5実施形態によれば、N型半導体層810からP型半導体層820にわたって一体的に形成された電極830の各半導体層に対する接触抵抗を抑制することができる。その結果、第1実施形態と同様に、半導体装置80の低コスト化を図ることができる。また、N型半導体層810およびP型半導体層820の各層に電極を個別に形成する場合と比較して、フォトリソグラフィの重ね合わせ精度を緩和することができ、結果的に半導体装置80の微細化を図ることができる。
【0104】
F.他の実施形態:
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0105】
例えば、上述の第1実施形態および第2実施形態では、NPN型の半導体装置10,10Bについて説明したが、他の実施形態では、PNP型の半導体装置に、半導体装置10,10Bの構造および製造方法を適用してもよい。
【0106】
上述の実施形態において、電極を構成する第1の成分は、パラジウム(Pd)に近い電気的特性を有する白金(Pt)およびニッケル(Ni)の少なくとも1つであってもよい。
【0107】
上述の実施形態において、基板とN型半導体層と間に真性半導体層(アンドープ半導体層)が形成されてもよいし、N型半導体層とP型半導体層との間に真性半導体層が形成されてもよい。
【0108】
上述の実施形態において、基板の材質は、窒化ガリウム(GaN)に限らず、ケイ素(Si)、サファイア、炭化ケイ素(SiC)などであってもよい。
【0109】
上述の実施形態において、基板とN型半導体層とに含まれるドナーは、ケイ素(Si)に限らず、ゲルマニウム(Ge)、酸素(O)などであってもよい。
【0110】
上述の実施形態において、P型半導体層に含まれるアクセプタは、マグネシウム(Mg)に限らず、亜鉛(Zn)、炭素(C)などであってもよい。
【0111】
上述の実施形態において、絶縁膜は、窒化ケイ素(SiN)、窒化酸化ケイ素(SiON)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化酸化アルミニウム(AlON)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化チタン(TiO
2)、五酸化タンタル(Ta
2O
5)、五酸化ニオブ(Nb
2O
5)、二酸化ハフニウム(HfO
2)、窒化アルミニウム(AlN)などから成る層であってもよい。