(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
着色組成物
以下、本発明の着色組成物の構成成分について詳細に説明する。
【0016】
−(A)着色剤−
本発明の着色組成物は、(A)着色剤として本着色剤、即ち上記式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する。
【0017】
先ず、上記式(1)中のアニオン部、即ちX
-について説明する。
X
-としては、例えば、ハロゲンイオン、ホウ素アニオン、リン酸アニオン、カルボン酸アニオン、硫酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、窒素アニオン、メチドアニオン等を挙げることができる。中でも、高い耐熱性を有する着色層を形成することができるという点で、窒素アニオンが好ましい。
【0018】
前記窒素アニオンとしては特に限定されるものではないが、下記式(3)で表されるアニオンが好ましく用いられる。
【0020】
〔式(3)において、
Y
1は、重合性基を有する基、窒素原子及びカルボニル基を骨格内に有する複素環基を含む基、又はY
3−SO
2−基を示し、
Y
3は、ハロ基、ハロゲン化炭化水素基、又はハロゲン化炭化水素基のC−C結合間に炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基を有する基を示す。
但し、Y
1がY
3−SO
2−基である場合、Y
3が互いに結合して環を形成してもよい。〕
【0021】
Y
3におけるハロ基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
Y
3におけるハロゲン化炭化水素基の骨格をなす炭化水素基としては、例えば、(1)脂肪族炭化水素基、(2)脂環式炭化水素基、(3)置換基として脂環式炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基(以下、「脂環式炭化水素置換脂肪族炭化水素基」と称する)、(4)芳香族炭化水素基、(5)置換基として脂肪族炭化水素基を有する芳香族炭化水素基(以下、「脂肪族炭化水素置換芳香族炭化水素基」と称する)、(6)置換基として芳香族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基(以下、「芳香族炭化水素置換脂肪族炭化水素基」と称する)等を挙げることができる。Y
3の骨格をなす炭化水素基としては、有機溶媒に対する溶解性の観点から、以下の特性基であることが好ましい。
【0022】
即ち、前記(1)脂肪族炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、その炭素数としては、1〜20であることが好ましく、特に1〜8であることが好ましい。具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル等を挙げることができる。
前記(2)脂環式炭化水素基は、2〜4環の橋かけ脂環式炭化水素基でもよい。脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜20、更に炭素数3〜12の脂環式飽和炭化水素基が好ましい。具体的には、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクチル基等を挙げることができる。
前記(3)脂環式炭化水素置換脂肪族炭化水素基としては、脂環式飽和炭化水素置換アルキル基が好ましく、その総炭素数としては、4〜20であることが好ましく、特に6〜14であることが好ましい。具体的には、例えばシクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルプロピル基、アダマンチルメチル基、1−(1−アダマンチル)エチル基、シクロペンチルエチル基等を挙げることができる。
前記(4)芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜14、更に炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アントラセニル基等が挙げられ、中でもフェニル基が好ましい。
前記(5)脂肪族炭化水素置換芳香族炭化水素基としては、アルキル置換フェニル基が好ましく、その総炭素数としては、7〜30であることが好ましく、特に7〜20であることが好ましい。
前記(6)芳香族炭化水素置換脂肪族炭化水素基としては、アラルキル基が好ましく、その総炭素数としては、7〜30であることが好ましく、特に7〜20であることが好ましい。具体的には、例えばベンジル基、フェネチル基等を挙げることができる。
なお、本明細書におけるアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
【0023】
これらのうち、ハロゲン化炭化水素基の骨格をなす炭化水素基としては、(1)脂肪族炭化水素基、(3)脂環式炭化水素置換脂肪族炭化水素基、(4)芳香族炭化水素基、(5)脂肪族炭化水素置換芳香族炭化水素基又は(6)芳香族炭化水素置換脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基、脂環式飽和炭化水素置換アルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基、アラルキル基がより好ましく、特にアルキル基が好ましい。
【0024】
また、Y
3において、ハロゲン化炭化水素基中のハロゲン原子としては、着色剤の耐熱性の観点から、フッ素原子が好ましく、該フッ素原子は炭化水素基の水素原子の一部又は全部を置換してもよい。置換基としてフッ素原子を選択することにより、本着色剤のアニオン部がより酸性度の強い有機酸の共役塩基となることから、イオン結合力のより強い塩が形成されて耐熱性が高められると考えられる。
【0025】
Y
3は、ハロゲン化炭化水素基のC−C結合間に炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基を有する基であってもよいが、炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−CONH−、−SO
2−等を挙げることができる。そして、段落〔0022〕でいうところの総炭素数は、該連結基を構成する炭素原子を除いた部分の総炭素数を意味する。
【0026】
本発明において、着色剤の耐熱性の観点から、Y
3としては、ハロゲン化炭化水素基、又はハロゲン化炭化水素基のC−C結合間に炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基を有する基が好ましく、下記式(4)又は(5)で表される基がより好ましく、より酸性度の強い有機酸の共役塩基を形成する下記式(4)で表される基が特に好ましい。
【0028】
〔式(4)において、
R
31は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ化アルキル基、脂環式炭化水素基、アルコキシ基、フッ化アルコキシ基、R
32COOR
33−又はR
34COOR
35CFH−を示し、
R
32及びR
34は、相互に独立に、アルキル基、脂環式炭化水素基、ヘテロアリール基又は置換若しくは非置換のアリール基を示し、
R
33及びR
35は、相互に独立に、アルカンジイル基を示し、
nは1以上の整数を示し、
「*」は結合手であることを示す。〕
【0030】
〔式(5)において、
R
41〜R
45は、相互に独立に、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、フッ化アルキル基又はアルコキシ基を示し、
「*」は結合手であることを示す。
但し、R
41〜R
45のうち少なくとも1つは、フッ素原子又はフッ化アルキル基である。〕
【0031】
式(4)において、R
31におけるアルキル基としては、炭素数1〜20、更に炭素数1〜8、更に炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。また、R
31におけるフッ化アルキル基としては、炭素数1〜20、更に炭素数1〜8、更に炭素数1〜4のフッ化アルキル基が好ましい。具体例としては、前述のアルキル基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子に置換したものが挙げられ、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
R
31における脂環式炭化水素基は、2〜4環の橋かけ脂環式炭化水素基でもよい。脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜20、更に炭素数3〜12の脂環式飽和炭化水素基が好ましい。具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。
R
31におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜10、更に炭素数1〜8、更に炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。具体例としては、前述と同様のものの他、3−(iso−プロピルオキシ)プロピルオキシ基等を挙げることができる。また、R
33におけるフッ化アルコキシ基としては、炭素数1〜10、更に炭素数1〜6、更に炭素数1〜4のフッ化アルコキシ基が好ましい。具体例としては、前述のアルコキシ基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子に置換したものを挙げることができる。
【0032】
R
31におけるR
32COOR
33−、R
34COOR
35CFH−において、R
32及びR
34は、相互に独立に、アルキル基、脂環式炭化水素基、ヘテロアリール基又は置換若しくは非置換のアリール基を示すが、アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、アルキル基の炭素数は1〜12が好ましく、1〜8がより好ましい。具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。また、脂環式炭化水素基は、2〜4環の橋かけ脂環式炭化水素基でもよく、炭素数3〜20、更に炭素数3〜12の脂環式飽和炭化水素基が好ましい。ヘテロアリール基としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族複素環から構成される基が好ましい。具体的には、例えばフリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、カルバゾリル基等を挙げることができる。アリール基としては、炭素数6〜14、更に炭素数6〜10のアリール基が好ましく、特にフェニル基が好ましい。なお、アリール基の置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基が挙げられ、置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
また、R
33及びR
35は、相互に独立に、アルカンジイル基を示すが、炭素数1〜6のアルカンジイル基が好ましい。具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。中でも、製造のし易さの点から、エチレン基が好ましい。
【0033】
なお、nの上限は、10が好ましく、8がより好ましい。
R
31としては、フッ素原子、フッ化アルキル基、脂環式炭化水素基、フッ化アルコキシ基、R
32COOR
33−又はR
34COOR
35CFH−が好ましく、特にフッ素原子、脂環式炭化水素基、パーフルオロアルコキシ基、R
32COOCH
2CH
2−又はR
34COOCH
2CH
2CFH−が好ましい。
また、式(5)において、R
41〜R
45におけるアルキル基、フッ化アルキル基及びアルコキシ基としては、前述の式(4)のR
31におけるアルキル基、フッ化アルキル基及びアルコキシ基と同様の構成を採用することができる。但し、R
41〜R
45のうち少なくとも1つは、フッ素原子又はフッ化アルキル基であるが、R
41〜R
45のうち少なくとも3つがフッ素原子又はフッ化アルキル基であることが好ましい。
【0034】
また、Y
1がY
3−SO
2−基である場合、Y
3が互いに結合して環を形成している態様も好ましい。例えば、Y
3がハロゲン化炭化水素基である場合、Y
3が互いに結合してハロゲン化アルキレン基が形成されるが、ハロゲン化アルキレン基としては、特にパーフルオロアルキレン基が好ましい。
【0035】
Y
1がY
3−SO
2−基であるX
-の具体例としては、例えば下記の化合物群aに示すアニオン(a1)、(a2)を例示することができ、Y
3が互いに結合して環を形成するものとしては、例えば化合物群aに示すアニオン(a3)を例示することができる。
【0037】
Y
1における重合性基を有する基としては特に限定されるものではないが、重合性基を有する有機基が好ましい。前記有機基としては、鎖状有機基、環式有機基を挙げることができるが、これら有機基に対する重合性基の結合位置及び結合数は任意である。また、前記有機基が重合性基以外にも置換基を有する場合、その種類、結合位置、結合数は特に制限を受けない。
【0038】
重合性基を有する基としては、特に限定されるものではないが、例えば下記式(I)で表される基を挙げることができる。
【0040】
〔式(I)において、L
1は単結合又は2価の有機基を示し、Q
1は重合性基を示し、「*」はN
-との結合手を示す。〕
【0041】
L
1で表される2価の有機基としては、2価の炭化水素基、2価の炭化水素基と炭素原子及び水素原子以外の原子を含む連結基とを組み合わせてなる基、又は、これらの基の水素原子の一部がハロゲン原子で置換された基を挙げることができる。このような有機基としては、例えば、炭素数1〜10のアルカンジイル基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアリーレンアルカンジイル基、又は、炭素数1〜10のアルカンジイル基及び炭素数6〜20のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、−O−、−S−、−COO−、−CONR
a−(R
aは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)及び−SO
2−から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせてなる基等が挙げられる。
【0042】
アルカンジイル基の具体例としては、前述の炭素数1〜6のアルカンジイル基の他、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基等を挙げることができる。中でも、炭素数2〜8のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2〜6のアルカンジイル基がより好ましい。
アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリル基などを挙げることができる。中でも、炭素数6〜10のアリーレン基が好ましく、特にフェニレン基が好ましい。
アリーレンアルカンジイル基とは、アリーレン基とアルカンジイル基とを組み合わせてなる2価の基である。アリーレンアルカンジイル基としては、原料の入手及び製造上の容易さの点から、炭素数7〜15のアリーレンアルカンジイル基が好ましく、炭素数7〜13のアリーレンアルカンジイル基がより好ましい。具体的には、フェニレンメチレン基、フェニレンジメチレン基、フェニレントリメチレン基、フェニレンテトラメチレン基、フェニレンペンタメチレン基、フェニレンヘキサメチレン基等のフェニレンC
1-6アルカンジイル基を挙げることができる。なお、アリーレンアルカンジイル基では、オルト体、メタ体及びパラ体があるが、立体障害が少ない点から、パラ体であることが好ましい。
【0043】
また、炭素数1〜10のアルカンジイル基及び炭素数6〜20のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、−O−、−S−、−COO−、−CONR
a−(R
aは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)及び−SO
2−から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせてなる基としては、炭素数1〜10のアルカンジイル基及び炭素数6〜20のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、−O−、−COO−及び−SO
2−から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせてなる基が好ましく、炭素数1〜10のアルカンジイル基及び炭素数6〜20のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、−O−及び−SO
2−から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせてなる基がより好ましい。
【0044】
このような重合性基を有する基の中でも、下記式(II)で表される基が更に好ましい。
【0046】
〔式(II)において、L
2は、炭素数1〜10のアリーレン基、炭素数7〜20のアリーレンアルカンジイル基、又は炭素数1〜10のアルカンジイル基及び炭素数6〜20のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、−O−とを組み合わせてなる基を示し、Q
1及び*は、前記と同義である。〕
【0047】
式(II)において、L
2におけるアリーレン基、アリーレンアルカンジイル基の具体例としては、前述と同様のものを挙げられ、好適な態様も上記において説明したとおりである。
炭素数1〜10のアルカンジイル基及び炭素数6〜20のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、−O−とを組み合わせてなる基としては、C
6-20アリーレンオキシC
1-6アルカンジイル基が好ましく、例えば、C
6-20アリーレンオキシメチレン基、C
6-20アリーレンオキシジメチレン基、C
6-20アリーレンオキシトリメチレン基、C
6-20アリーレンオキシテトラメチレン基、C
6-20アリーレンオキシヘプタメチレン基、C
6-20アリーレンオキシヘキサメチレン基等が挙げられ、より具体的には、フェノキシメチレン基、フェノキシジメチレン基、フェノキシトリメチレン基、フェノキシテトラメチレン基、フェノキシヘプタメチレン基、フェノキシヘキサメチレン基等のフェノキシC
1-6アルカンジイル基を挙げることができる。
【0048】
Q
1で表される重合性基としては特に制限されるものではないが、例えば、エチレン性不飽和基、トリアルコキシシリル基等を挙げることができ、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基等を挙げることができる。
【0049】
前記トリアルコキシシリル基を構成する3つのアルコキシ基は同一でも異なっていても良いが、製造の容易性の観点から、同一であることが好ましい。このようなトリアルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、トリ−n−ブトキシシリル基、トリ−tert−ブトキシシリル基、トリ−n−ヘキシルオキシシリル基、トリ−n−オクチルオキシシリル基等を挙げることができる。これらのうち、トリC
1-8アルコキシシリル基、トリC
1-4アルコキシシリル基が好ましく、特にトリメトキシシリル基が好ましい。
【0050】
Q
1で表される重合性基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、トリアルコキシシリル基が好ましい。
【0051】
Y
1が重合性基を有する基であるX
-の具体例としては、例えば下記の化合物群b、及び下記式(c1)に示すアニオンを例示することができる。
【0054】
なお、化合物群bにおいて、qは1〜20の整数を示す。
【0055】
Y
1における窒素原子及びカルボニル基を骨格内に有する複素環基を含む基としては特に限定されるものではないが、窒素原子及びカルボニル基を骨格内に有する複素環基を含む有機基が好ましい。前記有機基としては、鎖状有機基、環式有機基を挙げることができるが、これら有機基に対する窒素原子及びカルボニル基を骨格内に有する複素環基の結合位置及び結合数は任意である。また、前記有機基が窒素原子及びカルボニル基を骨格内に有する複素環基以外にも置換基を有する場合、その種類、結合位置、結合数は特に制限を受けない。
【0056】
窒素原子及びカルボニル基を骨格内に有する複素環基を含む基としては、例えば下記式(III)で表される基を挙げることができる。
【0058】
〔式(III)において、L
3は単結合又は2価の有機基を示し、Q
2は窒素原子及びカルボニル基を骨格内に有する複素環基を示し、「*」はN
-との結合手を示す。〕
【0059】
L
3で表される2価の有機基としては、2価の炭化水素基を挙げることができる。具体的には、L
1における2価の炭化水素基と同様のものを挙げることができ、好ましい態様も同様である。
【0060】
このような窒素原子及びカルボニル基を骨格内に有する複素環基を含む基の中でも、下記式(IV)で表される基が特に好ましい。
【0062】
〔式(IV)において、L
3、Q
2及び*は、前記と同義である。〕
【0063】
本発明における窒素原子及びカルボニル基を骨格内に有する複素環基としては、ラクタム環及び下記の化合物群dに示す複素環基を挙げることができる。但し、式中、「*」は結合手を示す。
【0065】
上記式において、Zは相互に独立に、水素原子;ハロゲン原子;炭素数1〜8のアルキル基;炭素数1〜8のアルコキシ基;ホルミル基;ヒドロキシル基;カルボキシル基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;炭素数2〜7のアシル基;炭素数2〜6のアルケニル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数1〜6のアルキルアミノ基;炭素数2〜8のジアルキルアミノ基;炭素数3〜7のアルコキシカルボニルアルキル基;炭素数1〜6のアルキルチオ基;炭素数1〜6のアルキルスルホニル基;炭素数2〜6のアルキルカルボニルアミノ基を挙げられる。
【0066】
ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基の具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。炭素数2〜7のアシル基の具体例としては、例えばアセチル基、プロピオル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基等を挙げられる。炭素数2〜6のアルケニル基の具体例としては、例えばビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等を挙げることができる。炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基の具体例としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。炭素数1〜6のアルキルアミノ基の具体例としては、例えばメチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基等を挙げることができる。炭素数2〜8のジアルキルアミノ基の具体例としては、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基等が挙げられる。炭素数3〜9のアルコキシカルボニルアルキル基の具体例としては、例えばメトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルエチル基、フェノキシカルボニルメチル基、フェノキシカルボニルエチル基等を挙げることができる。炭素数1〜6のアルキルチオ基の具体例としては、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、tert−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基等が挙げられる。炭素数1〜6のアルキルスルホニル基の具体例としては、例えばメチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ペンタフルオロエチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、n−ペンチルスルホニル基、n−ヘキシルスルホニル基等を挙げることができる。炭素数2〜6のアルキルカルボニルアミノ基の具体例としては、例えばメチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n−プロピルカルボニルアミノ基、イソプロピルカルボニルアミノ基、n−ブチルカルボニルアミノ基、tert−ブチルカルボニルアミノ基、sec−ブチルカルボニルアミノ基、n−ペンチルカルボニルアミノ基等を挙げることができる。また、これらのZはさらに置換基を有することもでき、このような置換基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基等を挙げることができる。
【0067】
これらのうち、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましい。
【0068】
このような窒素原子及びカルボニル基を骨格内に有する複素環基を含む基の中でも、窒素原子及び酸素原子を含む五員環構造を有する複素環基を含む基が好ましく、特に、上記式(IV)において、L
3が単結合であり、Q
2が下記式(V)で表される複素環基を含む基が好ましい。
【0070】
〔式(V)において、「*」はSO
2との結合手を示す。〕
【0071】
Y
1が窒素原子及びカルボニル基を骨格内に有する複素環基を含む基であるX
-の具体例としては、例えば下記式(d1)に示すアニオンを例示することができる。
【0073】
これらのY
1の中でも、重合性基を有する基、窒素原子及びカルボニル基を骨格内に有する複素環基を含む基が好ましく、前記式(II)で表わされる基、前記式(IV)で表わされる基が特に好ましい。
【0074】
次に、式(1)中のカチオン部について説明する。なお、式(1)で表される化合物のカチオン部及び式(2)で表される化合物のカチオン部には種々の共鳴構造が存在するが、本明細書においては、各式で表されるカチオン部に共鳴構造が存在する場合には当該式(1)及び(2)で表されるカチオン部と同等のものとする。
【0075】
上記式(1)に係るR
1〜R
9、並びに上記式(2)に係るR
11〜R
19における炭素数1〜8のアルキル基の具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。中でも、R
1〜R
6及びR
11〜R
16に係るアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
R
7〜R
9及びR
17〜R
19としては、炭素数1〜4のアルキル基又は塩素原子が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
Phはフェニレン基を示すが、該フェニレン基はo−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基を包含するものとする。Phとしては、立体障害が少ないことから、p−フェニレン基が好ましい。
Wで表される2価の有機基としては、2価の炭化水素基、2価の炭化水素基と炭素原子及び水素原子以外の原子を含む連結基とを組み合わせてなる基、又は、これらの基の水素原子の一部がハロゲン原子で置換された基を挙げることができる。このような有機基としては、前記L
1と同様のものを挙げることができるが、中でも、炭素数1〜10のアルカンジイル基、炭素数1〜10のアルカンジイル基と−O−、−S−及び−COO−から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせてなる基が好ましく、炭素数1〜10のアルカンジイル基、炭素数1〜10のアルカンジイル基と−O−とを組み合わせてなる基がより好ましく、更に炭素数1〜8のアルカンジイル基が好ましく、特に炭素数1〜4のアルカンジイル基が好ましい。
【0076】
式(1)において、1及びmとしては0〜2の整数が好ましく、nとしては0又は1が好ましい。但し、l、m及びnが同時に0であることはない。中でも、l、m、nの組合せとしては、l=1、m=0、n=0の組合せ、l=0、m=0、n=1の組合せ、l=2、m=0、n=0の組合せ、l=1、m=1、n=0の組合せ、l=1、m=0、n=1の組合せ、l=1、m=1、n=1の組合せが好ましく、l=1、m=0、n=0の組合せ、l=0、m=0、n=1の組合せ、l=1、m=1、n=0の組合せがより好ましい。
式(2)において、s、t及びuの1以上が1〜4の整数であることが好ましく、更にsとしては0〜2の整数が好ましく、またt及びuとしては0又は1が更に好ましい。中でも、s、t、uの組合せとしては、s=0、t=0、u=0の組合せ、s=1、t=0、u=0の組合せ、s=2、t=0、u=0の組合せ、s=1、t=1、u=0の組合せ、s=1、t=1、u=1の組合せが好ましく、特に、s=1、t=0、u=0の組合せ、s=1、t=1、u=0の組合せがより好ましい。
【0077】
式(1)で表される化合物のカチオン部又は式(2)で表される化合物のカチオン部としては、例えば、下記の化合物群e及び化合物群fに示すカチオンを挙げることができるが、中でも、カチオンe2、e3、e4、e5、e6、f2、f3、f4、f5が好ましく、e3、e4、e5、e6、f3、f4、f5がより好ましい。
【0080】
本着色剤は、公知の方法により製造することが可能であるが、例えば、特開2003−206415号公報、特表2007−503477号公報、特開2008−189925号公報の実施例と同様の方法により製造することができる。このようにして得られた本着色剤は、シクロヘキサノン等のケトンを始めとする種々の有機溶媒に可溶であり、また優れた耐熱性を有する。
【0081】
本着色剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0082】
本発明の着色組成物は、(A)着色剤として、更に他の着色剤を含有することができる。他の着色剤としては、特に限定されるものではなく、用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。
【0083】
他の着色剤としては、本着色剤以外の顔料、染料及び天然色素の何れをも使用することができるが、輝度及び色純度の高い画素を得るという観点から、有機顔料、有機染料が好ましく、有機顔料がより好ましい。
【0084】
上記有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物が挙げられるが、中でも、特開2001−081348号公報、特開2010−026334号公報、特開2010−191304号公報、特開2010−237384号公報、特開2010−237569号公報、特開2011−006602号公報、特開2011−145346号公報等に記載のレーキ顔料;
C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー80、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントイエロー215、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントバイオレット23等のレーキ顔料以外の有機顔料が好ましい。
また、レーキ顔料の中では、トリアリールメタン系レーキ顔料、キサンテン系レーキ顔料、アゾ系レーキ顔料が好ましく、トリアリールメタン系レーキ顔料およびキサンテン系レーキ顔料がより好ましい。
【0085】
本発明の着色組成物は、青色画素の形成に用いることが好ましい。この場合、(A)着色剤としては、本着色剤と共に、他の着色剤として、青色顔料、青色染料、紫色顔料及び紫色染料よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。この場合、本着色剤の含有割合は、全着色剤中、好ましくは0.1〜80質量%、より好ましくは1〜80質量%、更に好ましくは5〜70質量%であり、特に好ましくは20〜60質量%である。
【0086】
本発明において、他の着色剤として顔料を使用する場合、顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用してもよい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
【0087】
本発明において、他の着色剤として顔料を使用する場合、更に公知の分散剤及び分散助剤を含有せしめることもできる。公知の分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤等を、分散助剤としては顔料誘導体等を挙げることができる。
【0088】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182、Disperbyk−2164(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ(株)社製)等を挙げることができる。
【0089】
また、上記顔料誘導体としては、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
【0090】
本発明において他の着色剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0091】
(A)着色剤の含有割合は、耐熱性、及び輝度が高く色純度に優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックスを形成する点から、通常、着色組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%である。ここで固形分とは、後述する溶媒以外の成分である。
【0092】
−(B)バインダー樹脂−
本発明におけるバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」という。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b1)」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2)」という。)との共重合体を挙げることができる。
【0093】
不飽和単量体(b1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0094】
また、不飽和単量体(b2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
【0095】
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
【0096】
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0097】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(b1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0098】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728号公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0099】
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平09−325494号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
【0100】
本発明におけるバインダー樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。このような態様とすることで、耐熱性、被膜特性、電気特性、パターン形状、解像度を良好にすることができる。
【0101】
また、本発明におけるバインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、ここでいう、Mnは、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0102】
本発明におけるバインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0103】
本発明において、バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0104】
本発明において、バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部、より好ましくは50〜350質量部、更に好ましくは100〜250質量部である。このような態様とすることで、アルカリ現像性、着色組成物の保存安定性、色度特性を良好にすることができる。
【0105】
−(C)重合性化合物−
本発明において重合性化合物とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、重合性化合物としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0106】
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0107】
ここで、脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0108】
また、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開平11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0109】
また、2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0110】
これらの重合性化合物のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で特に好ましい。
本発明において、(C)重合性化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0111】
本発明における(C)重合性化合物の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、更に20〜700質量部、更に100〜500質量部、特に200〜400質量部が好ましい。このような態様とすることで、硬化性、アルカリ現像性を良好にすることができる。
【0112】
−光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、光重合開始剤を含有せしめることができる。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。本発明に用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、上記重合性化合物の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
【0113】
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。
【0114】
本発明において、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0115】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0116】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0117】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0118】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
【0119】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0120】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。O−アシルオキシム系化合物の市販品としては、NCI−831、NCI−930(以上、株式会社ADEKA社製)等を使用することもできる。
【0121】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0122】
本発明において、光重合開始剤の含有量は、(C)重合性化合物100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、特に1〜100質量部が好ましい。このような態様とすることで、硬化性、被膜特性を良好にすることができる。
【0123】
−溶媒−
本発明の着色組成物は、上記(A)〜(C)成分、及び任意的に加えられる他の成分を含有するものであるが、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。
上記溶媒としては、着色組成物を構成する(A)〜(C)成分や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0124】
このような溶媒のうち、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0125】
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール類;
ジアセトンアルコール等のケトアルコール類;
【0126】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0127】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシカルボン酸エステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類
等を挙げることができる。
【0128】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
本発明において、溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0129】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、10〜40質量%となる量がより好ましい。このような態様とすることにより、分散性、安定性の良好な着色剤分散液、並びに塗布性、安定性の良好な着色組成物を得ることができる。
【0130】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
【0131】
本発明の着色組成物は、適宜の方法により調製することができ、その調製方法としては、例えば、特開2008−58642号公報、特開2010−132874号公報等に開示されている方法を挙げることができる。着色剤として本着色剤と顔料の両方を使用する場合、特開2010−132874号公報に開示されているように、本着色剤を含む染料溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した染料溶液を、別途調製した顔料分散液等と混合し、得られた着色組成物を第2のフィルタに通すことにより調製する方法を採用することができる。また、本着色剤と、上記(B)〜(C)成分、並びに必要に応じて使用する他の成分を溶媒に溶解し、得られた溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した溶液を、別途調製した顔料分散液と混合し、得られた着色組成物を第2のフィルタに通すことにより調製する方法を採用してもよい。また、本着色剤を含む染料溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した染料溶液と、上記(B)〜(C)成分、並びに必要に応じて使用する他の成分を混合・溶解し、得られた溶液を第2のフィルタに通し、更に第2のフィルタを通過した溶液を、別途調製した顔料分散液と混合し、得られた着色組成物を第3のフィルタに通すことにより調製する方法も採用することができる。
【0132】
カラーフィルタ及びその製造方法
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物を用いて形成された着色層を備えるものである。
【0133】
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、青色の本発明の感放射線性着色組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、青色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0134】
次いで、緑色又は赤色の各感放射線性着色組成物を用い、上記と同様にして、各感放射線性着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び赤色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、青色、緑色及び赤色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。また、カラーフィルタを製造する第一の方法においては、上記青色、緑色、赤色の画素アレイのいずれか1以上が、本発明の着色組成物を用いて形成された着色層であればよい。
【0135】
また、ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の顔料が分散された感放射線性着色組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。
【0136】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0137】
感放射線性着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
【0138】
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
【0139】
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8μm、好ましくは1.2〜5μmである。
【0140】
画素及びブラックマトリックスから選ばれる少なくとも1種を形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができる。露光光源として、紫外線LEDを使用することもできる。波長は、190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0141】
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m
2が好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
【0142】
アルカリ現像液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0143】
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で10〜60分程度である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5μm、好ましくは1.0〜3μmである。
【0144】
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、青色の本発明の熱硬化性着色組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、青色の画素パターンを形成する。
【0145】
次いで、緑色又は赤色の各熱硬化性着色組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び赤色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、青色、緑色及び赤色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。また、カラーフィルタを製造する第二の方法においても、上記青色、緑色、赤色の画素アレイのいずれか1以上が、本発明の着色組成物を用いて形成された着色層であればよい。
【0146】
なお、隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の熱硬化性着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにして、インクジェット方式により形成された画素の膜厚は、隔壁の高さと同程度である。
【0147】
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。スペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された着色感放射線性組成物が用いられるが、本発明の着色組成物は、かかるブラックスペーサーの形成にも好適に使用することができる。
このようにして得られる本発明のカラーフィルタは、輝度及び色純度が極めて高いため、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。
【0148】
表示素子
本発明の表示素子は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子は、透過型でも反射型でもよく、適宜の構造を採ることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることができ、さらに薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極あるいはIZO(酸価インジュウムと酸化亜鉛との混合物)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
【0149】
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子は、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備することができる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
【0150】
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードが適用できる。
【0151】
また、本発明のカラーフィルタを具備する有機EL表示素子は、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開平11−307242号公報に開示されている構造を挙げることができる。
また、本発明のカラーフィルタを具備する電子ペーパーは、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開2007−41169号公報に開示されている構造を挙げることができる。
【実施例】
【0152】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0153】
<バインダー樹脂の合成>
合成例1
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、ベンジルメタクリレート5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート23質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、この温度を保持して2時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度33質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mwが12,200、Mnが6,500であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(B1)」とする。
【0154】
<染料の合成>
実施例1
テフロン製攪拌羽根と滴下ロートを取り付け、あらかじめ窒素置換した2Lのセパラブルフラスコに、1−ナフチルアミン101g(0.705mol)、塩化メチレン600mL、トリエチルアミン99.9g(0.987mol)を加え、窒素気流下氷浴にて0−5℃まで冷却した。同温度にて攪拌しながら、トリフルオロ酢酸無水物177.8g(0.846mol)を滴下ロートより1時間かけて添加した後、室温にて4時間攪拌した。室温で終夜放置後、反応混合物を5Lのビーカーに移液し、塩化メチレン600mL、氷、1mol/L塩酸約1Lを順次加えて攪拌した。水層が酸性であることを確認後、5L分液ロートへ移液して水層を分離除去し、有機層を飽和重曹水約1.5L、飽和食塩水約1.5Lで順次洗浄した。この有機層をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた固体を40℃で減圧乾燥して165.6gの白色固体を得た(収率98%)。この化合物を(A1)とする。
【0155】
【化18】
【0156】
攪拌子を入れた100mLナス型フラスコに上記で得られた化合物(A1)12.0g(0.0502mol)、4−クロロメチルスチレン10.19g(0.0668mol)、炭酸カリウム10.41g(0.0753mol)、DMF50mLを加え、110℃で15時間攪拌した。その後、反応混合物を室温まで冷却して約500mLの水に投入し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水、1mol/L塩酸、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。この有機層をロータリーエバポレーターで濃縮し、室温で減圧乾燥して17.41gの粗生成物を得た。
次いで、攪拌子を入れた300mLナス型フラスコに前記粗生成物17.41g、エタノール150mL、イオン交換水35mL、水酸化ナトリウム3.92g(0.104mol)を順次加え、85℃で1時間攪拌した。その後、反応混合物を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮してエタノールを留去した。得られた混合物をジイソプロピルエーテルで抽出した後、得られた有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。この有機層をロータリーエバポレーターで減圧濃縮して12.1gの粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、10.04g(0.0419mol、収率81%)の白色固体を得た。この化合物を(A2)とする。
【0157】
【化19】
【0158】
攪拌子を入れ、あらかじめ窒素置換した50mLのナス型フラスコに、特開2011-70171号公報に記載の方法にて合成した下記式(A3)で表されるケトン化合物2.17g(6.16mmol)、化合物(A2)1.55g(6.47mmol)、無水トルエン32mLを加えた。この混合物に対し、塩化ホスホリル2.36g(15.4mmol)を室温で加え、窒素気流下トルエン還流条件下で10時間攪拌した。室温に冷却後、ロータリーエバポレーターで濃縮して大部分のトルエンを留去した。残渣をクロロホルムに溶解し、有機層をイオン交換水で3回洗浄後、ロータリーエバポレーターにて減圧下濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し、3.20g(5.08mmol、収率82%)の青色着色固体を得た。この化合物を(A4)とする。
【0159】
【化20】
【0160】
撹拌子を入れた100mL三角フラスコに上記の化合物(A4)3.0g(4.76mmol)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム2.05g(7.14mmol)を仕込み、クロロホルム30mL、イオン交換水15mLを添加して室温にて約2時間撹拌した。その後水層を分離除去し、有機層をイオン交換水で2回洗浄した。有機層を減圧下にて濃縮後、残渣を50℃にて12時間減圧乾燥することにより、下記式(A5)で表される化合物3.87g(4.63mmol、収率93%)を得た。なお、この化合物について、
1H−NMRスペクトル及びMSスペクトルを測定することにより、下記式(A5)で表される化合物であることを確認した。得られた化合物を着色剤(A−1)とする。
【0161】
【化21】
【0162】
実施例2
攪拌子を入れ、あらかじめ窒素置換した1Lの三口フラスコにN−エチルアニリン26.7g(0.22mol)、炭酸ナトリウム42.4g(0.40mol)、ヨウ化ナトリウム3g(0.02mol)、重合禁止剤として2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン2.22g(0.01mol)、エタノール400mLを加えた。ここに、4−クロロメチルスチレン30.5g(0.2mol)を室温で添加し、窒素気流下、エタノール還流条件下にて4時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却後、ロータリーエバポレーターにて大部分のエタノールを減圧留去した。残渣に約1Lのイオン交換水を加え、ジイソプロピルエーテルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥後、ロータリーエバポレーターにて減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、46.0g(0.0194mol、収率97%)のオイル状物質を得た。この化合物を(A6)とする。
【0163】
【化22】
【0164】
あらかじめ窒素置換し、攪拌子を入れた50mLのナス型フラスコに、式(A3)で表されるケトン化合物7g(19.9mmol)、 上記の化合物(A6)5.18g(21.8mmol)、重合禁止剤として2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン0.3g、トルエン30mLを加えた。この混合物に対し、塩化ホスホリル4.58g(29.9mmol)を室温で加え、窒素気流下、トルエン還流条件下で9時間攪拌した。室温に冷却後、ロータリーエバポレーターで濃縮して大部分のトルエンを留去した。残渣をクロロホルムに溶解し、有機層をイオン交換水で3回洗浄後、ロータリーエバポレーターにて減圧下濃縮し、青色着色固体を7.52g得た(収率62%)。この化合物を(A7)とする。
【0165】
【化23】
【0166】
撹拌子を入れた200mL三角フラスコに上記の化合物(A7)5.0g(8.21mmol)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム3.53g(12.3mmol)を仕込み、クロロホルム50mL、イオン交換水25mLを添加して室温にて約2時間撹拌した。その後水層を分離除去し、有機層をイオン交換水で2回洗浄した。有機層を減圧下にて濃縮後、残渣を50℃にて12時間減圧乾燥することにより、下記式(A8)で表される化合物6.72g(7.88mmol、収率96%)を得た。なお、この化合物について、
1H−NMRスペクトル及びMSスペクトルを測定することにより、下記式(A8)で表される化合物であることを確認した。得られた化合物を着色剤(A−2)とする。
【0167】
【化24】
【0168】
比較合成例1
撹拌子を入れた100mL三角フラスコにC.I.ベーシックブルー7を5.0g(9.72mmol)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムを4.19g(14.6mmol)仕込み、クロロホルム50mL、イオン交換水25mLを添加して室温にて約2時間撹拌した。その後水層を分離除去し、有機層をイオン交換水で2回洗浄した。有機層を減圧下にて濃縮後、残渣を50℃にて12時間減圧乾燥することにより、下記式(A9)で表される化合物5.88g(7.78mmol、収率80%)を得た。得られた化合物を着色剤(A−3)とする。
【0169】
【化25】
【0170】
比較合成例2
撹拌子を入れた100mL三角フラスコに下記式(A10)で表される化合物5.21g(10.0mmol)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム4.31g(15.0mmol)を仕込み、クロロホルム50mL、イオン交換水25mLを添加して室温にて約2時間撹拌した。その後水層を分離除去し、有機層をイオン交換水で2回洗浄した。有機層を減圧下にて濃縮後、残渣を50℃にて12時間減圧乾燥することにより、下記式(A11)で表される化合物7.42g(9.70mmol、収率97%)を得た。得られた化合物を着色剤(A−4)とする。
【0171】
【化26】
【0172】
比較合成例3
攪拌子を入れ、あらかじめ窒素置換した50mLのナス型フラスコに4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン2.00g(6.16mmol)、化合物(A2)1.55g(6.47mmol)、無水トルエン32mLを加えた。この混合物に対し、塩化ホスホリル2.36g(15.4mmol)を室温で加え、窒素気流下85℃で20時間攪拌した。室温まで冷却後、反応混合物にエタノール約3gを加えて反応を停止させた後、上澄みをデカンテーションにより除去した。得られた粘稠な固体を少量のトルエンで洗浄した。得られた固体をエタノールに溶解して溶液として回収してロータリーエバポレーターにて濃縮した後、50℃で減圧乾燥してエタノールを除去することにより、4.66gの粗生成物を得た。得られた粗生成物を、中性シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにて精製し、3.50g(5.81mmol、収率94%)の青色着色固体を得た。この化合物を(A12)とする。
【0173】
【化27】
【0174】
撹拌子を入れた100mL三角フラスコに上記の化合物(A12)3.0g(4.98mmol)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム2.15g(7.47mmol)を仕込み、クロロホルム30mL、イオン交換水15mLを添加して室温にて約2時間撹拌した。その後水層を分離除去し、有機層をイオン交換水で2回洗浄した。有機層を減圧下にて濃縮後、残渣を50℃にて12時間減圧乾燥することにより、下記式(A13)で表される化合物3.77g(4.63mmol、収率93%)を得た。得られた化合物を着色剤(A−5)とする。
【0175】
【化28】
【0176】
<染料溶液の調製>
調製例1
着色剤(A−1)15質量部と、シクロヘキサノン85質量部とを混合し、染料溶液(A−1)を調製した。
【0177】
調製例2〜5
調製例1において、着色剤(A−1)に代えて着色剤(A−2)〜(A−5)を用いた以外は調製例1と同様にして、染料溶液(A−2)〜(A−5)を調製した。
【0178】
<顔料分散液の調製>
調製例6
着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:6を15質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)12.5質量部(固形分濃度40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート72.5質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(a−1)を調製した。
【0179】
<着色組成物の調製及び評価>
着色組成物の調製
実施例3
着色剤として顔料分散液(a−1)13.5質量部及び染料溶液(A−1)7.2質量部、(B)バインダー樹脂としてバインダー樹脂(B1)溶液9.9質量部、(C)重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬株式会社製、商品名KAYARAD DPHA)を15.4質量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)を1.8質量部及びNCI−930(株式会社ADEKA社製)0.1質量部、フッ素系界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)0.2質量部、及び溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合して、固形分濃度20質量%の着色組成物(S−1)を調製した。
【0180】
色度特性の評価
得られた着色組成物を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、80℃のホットプレートで10分間プレベークを行って塗膜を形成した。スピンコーターの回転数を変えて同様の操作により、膜厚の異なる3枚の塗膜を形成した。
次いで、これらの基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介さずに、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を2,000J/m
2の露光量で露光した。その後、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することにより、90秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に200℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行うことにより、評価用硬化膜を形成した。
得られた3枚の硬化膜について、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定した。測定結果より、色度座標値y=0.080のときの色度座標値x及び刺激値(Y)を求めた。評価結果を表1に示す。なお、刺激値(Y)が高いほど輝度が高いと言える。
【0181】
耐熱性の評価
着色組成物(S−1)を、ナトリウムイオンの溶出を防止するSiO
2膜が表面に形成されたソーダガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を400J/m
2の露光量で露光した。その後、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することにより、90秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に200℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行うことにより、基板上にドットパターンを形成した。
得られたドットパターンについて、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定した。
次いで、上記基板を230℃で90分間追加ベークをした後に、色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定し、追加ベーク前後での色変化、即ちΔE
*abを評価した。その結果、ΔE
*abの値が3.0未満の場合を「○」、3.0以上5.0未満の場合を「△」、5.0以上の場合を「×」として評価した。評価結果を表1に示す。なお、ΔE
*ab値が小さい程、耐熱性が良好であると言える。
【0182】
耐溶剤性の評価
着色組成物(S−1)を、ナトリウムイオンの溶出を防止するSiO
2膜が表面に形成されたソーダガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を400J/m
2の露光量で露光した。その後、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することにより、90秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に230℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行うことにより、基板上にドットパターンを形成した。その後、上記基板を、80℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに40分浸漬した。
浸漬前後の色度座標値(x、y)及び刺激値(Y)を測定し、浸漬前後での色変化、即ちΔE
*abを評価した。その結果、ΔE
*abの値が3.0未満の場合を「○」、3.0以上5.0未満の場合を「△」、5.0以上の場合を「×」として評価した。評価結果を表1に示す。なお、ΔE
*ab値が小さい程、耐溶剤性が良好であると言える。
【0183】
実施例4及び比較例1〜3
実施例3において、染料溶液(A−1)に代えて染料溶液(A−2)〜(A−5)を用いた以外は実施例3と同様にして着色組成物を調製した。そして、得られた着色組成物について実施例3と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0184】
【表1】