(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記車体側で回動可能に支持されると共に前記操作ハンドル基部に一体回転可能にかつ前記監視カメラに回転可能に結合され前記操作ハンドルおよび前記監視カメラの支軸を構成する支軸部と、前記支軸部に一体に設けられ前記操作ハンドルと一体に揺動し前記ロックの解除を行なうための操作ハンドルスイッチを押圧可能なアーム部とからなるレバー部材を備え、
前記監視カメラの配線は、前記支軸部の内部を通り前記操作ハンドルの外部に引き出されている、
ことを特徴とする請求項3記載の車両用カメラの取り付け構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、以下の不具合がある。
同一車種で、監視カメラを取り付けるものと、監視カメラを取り付けないものとが存在する場合、テールゲートのアウターパネルとして、前記の取り付け孔や取り付け用の開口が設けられたものと、それらが設けられないものとの2種類のアウターパネルを製造する必要がある。
そのため、2種類のアウターパネルの在庫を管理しなくてはならず、管理コストが嵩む不利がある。
また、従来技術では、テールゲートのアウターパネルから監視カメラ単体のみが独立して外方に露出しているため、監視カメラは目立ちやすく見栄えがいいものとはいえない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、管理コストの低減を図る上で有利で、また、監視カメラの存在が目立ちにくくしテールゲートの外観性を向上する上で有利な車両用カメラの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の車両用カメラの取付構造は、車両の後部開口を開閉する開閉体と、前記開閉体で前記後部開口を閉塞した状態にロックするロック機構と、前記開閉体に設けられ前記ロックの解除を行なう操作ハンドルと、前記車両の後方を撮像する監視カメラとを備え、
前記操作ハンドルの車幅方向の中間部に切り欠きが設けられ、前記監視カメラは、前記切り欠きの内側に配置されて前記操作ハンドルに組み付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、監視カメラを操作ハンドルに組み付けるため、テールゲートのアウターパネルに監視カメラを取り付けるための取り付け孔や取り付け用の開口を設ける必要がなく、監視カメラの有無に拘わらずテールゲートのアウターパネルの形状を同一とすることができる。そのため、2種類のアウターパネルの在庫を管理する必要がなく、管理コストを抑制する上で有利となる。
また、監視カメラ単体がテールゲートのアウターパネルに組み付けられる場合に比較して目立ちにくく車両の外観性を高める上で有利となる。
また、監視カメラを使用する車の場合と、監視カメラを使用しない車の場合とで、切り欠きに対応する凸部を金型に着脱することにより単一の金型を双方の車に共通して使用でき、操作ハンドルの金型の低減化を図る上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、撮像レンズの向きを上下方向に揺動調節した状態で監視カメラを操作ハンドルに組み付けることができる。
請求項
3記載の発明によれば、撮像レンズの向きの調節が筐体と操作ハンドルとの間で行なわれ、撮像レンズの向きの揺動調節を簡易に確実に行なう上で有利となる。また、監視カメラは、車両前方側の部位が操作ハンドル基部に上下方向に揺動可能に軸支され、車両後方側の部位が操作ハンドル先部に対して上下に揺動調整可能に係合されているため、撮像レンズの向きの揺動調節を行なう監視カメラの車両後方側の部位と操作ハンドル先部とが、監視カメラの揺動中心から離れた箇所に位置しているので、撮像レンズの向きの揺動調整を容易に行なう上で有利となる。
請求項
4記載の発明によれば、部品点数を増やすことなく、監視カメラを揺動調節可能に配設する上で有利となる。また、操作ハンドル回りの配線の簡素化が図れ、配線スペースのコンパクト化を図る上でも有利となる。
請求項
5記載の発明によれば、操作ハンドルが監視カメラを備えるにも拘わらず、操作ハンドルの操作を円滑に行なう上で有利となる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の車両用カメラの取付構造(以下取付構造という)が適用される車両を後方から見た斜視図、
図2は
図1のAA線断面図である。
図1、
図2に示すように、取付構造10は、テールゲート12と、ロック機構14と、ベース16と、操作ハンドル18と、監視カメラ20とを含んで構成されている。
テールゲート12は、車両2の後部開口4を開閉する開閉体を構成する。
テールゲート12は、ゲートガラス1202と、不図示のインナーパネルと、アウターパネル1204とを含んで構成され、ルーフパネル6の後部に設けられた不図示のヒンジを介して車幅方向に延在する軸線を支点として揺動可能に設けられている。
図2、
図3に示すように、ゲートガラス1202の下方に位置するアウターパネル1204の車幅方向の中央には、ライセンスプレート8を取着するための凹部22が形成されており、凹部22の上方のアウターパネル1204の箇所に、車幅方向に延在し凹部22の上部を覆うガーニッシュ24(ライセンスガーニッシュ)が設けられている。
凹部22の上部に位置するアウターパネル1204の箇所には、操作ハンドル取り付け用の開口部1210が設けられ、開口部1210の両側にはボルト挿通孔1212が設けられている。
【0009】
図1に示すように、ロック機構14は、テールゲート12で後部開口4部を閉塞した状態にロックするものである。
ロック機構14は、テールゲート12に設けられた不図示のストライカと、後部開口4部の下縁部に設けられストライカと係合する不図示のラッチ機構と、ラッチ機構によるストライカの係合を解除するアクチュエータ1402とを含んで構成されている。
ラッチ機構がストライカに係合することで、テールゲート12で後部開口部4を閉塞した状態がロックされ、アクチュエータ1402の作動によりこのロックの解除がなされ、アクチュエータ1402としてソレノイドやモータなどが使用可能であり、このようなロック機構14には従来公知の様々な機構が採用可能である。
【0010】
ベース16は、
図2〜
図4に示すように、開口部1210を介してアウターパネル1204の凹部22の上部に設けられている。
ベース16は、
図4に示すように、矩形板状の凹部26が形成された本体部28と、本体部28の周囲に設けられた長方形枠状のフランジ部30とを備えている。
図2に示すように、本体部28の一方の側壁28Aには、軸受孔2802が設けられ、本体部28の他方の側壁28Bには軸受用凹部2804が設けられている。
ベース16のアウターパネル1204への取り付けは、本体部28がアウターパネル1204の内側から開口部1210に挿通された状態で、フランジ部30がアウターパネル1204の背面(内側の面)にボルト32とナット34によって締結されることによりなされる。
具体的には、ガーニッシュ24に装着されたボルト32をアウターパネル1204のボルト挿通孔1212とフランジ部30のボルト挿通孔3002に挿通してナット34で締結することでガーニッシュ24とフランジ部30とでアウターパネル1204を挟持するように取着されている。
なお、ベース16がアウターパネル1204へ取り付けられた状態で、本体部28の周囲でアウターパネル1204の背面とフランジ部30との間に、シール部材38が圧縮された状態で介在されている。
【0011】
操作ハンドル18は、ロック機構14のロックの解除を行なうものである。
ロック機構14のロックの解除は、操作ハンドル18の操作の検出結果に基づいてアクチュエータ1402が駆動されることによりなされる。
操作ハンドル18は、ベース16の凹部26に、下限位置と上限位置との間で揺動可能に配置され、常時下限位置に付勢されている。
図3に示すように、本体部28の下壁28Cのストッパ40に操作ハンドル18が当接することで下限位置が規制され、本体部28の上壁28Dのストッパ42に操作ハンドル18が当接することにより上限位置が規制される。
【0012】
図2〜
図4に示すように、操作ハンドル18は、車体側に上下方向に揺動可能に軸支される操作ハンドル基部1802と、操作ハンドル基部1802から車両後方側に延びる操作ハンドル先部1804とを有している。
操作ハンドル18は、操作ハンドル基部1802から操作ハンドル先部1804までの長さと、この長さと直交する幅とを有している。
操作ハンドル18の車幅方向の中間部に操作ハンドル基部1802側に開放状の切り欠き1806が設けられている。
切り欠き1806により操作ハンドル18は、切り欠き1806を挟んで互いに対向する一対の脚部18A、18Bと、操作ハンドル先部1804側で一対の脚部18A、18Bの端部間を連結する連結部18Cとを有している。
連結部18Cに、監視カメラ20の揺動調節を行なうための操作ハンドル側凹凸構造1810が設けられている。
【0013】
図2に示すように、一対の脚部18A、18Bのうち一方の脚部18Aに、レバー部材44の支軸部46が貫通される挿通孔1812が貫通形成されている。レバー部材44の支軸部46は、挿通孔1812に圧入により嵌合されており、レバー部材44は操作ハンドル18と一体とされている。支軸部46は、本体部28の側壁28Aの軸受孔2802に挿通され、側壁28Aに回転可能に支持されており、操作ハンドル18の揺動軸となる。
【0014】
一対の脚部18A、18Bのうち他方の脚部18Bに、レバー部材44の支軸部46と同一軸上に位置する支軸部1814が突出形成されている。
この支軸部1814は、本体部28の側壁28Bの軸受け用凹部2804に回転可能に支持され、支軸部46とともに操作ハンドル18の揺動軸となっている。支軸部1814の周囲に巻装されたコイルスプリング50により操作ハンドル18は下限位置に常時付勢されている。
したがって、操作ハンドル18は支軸部46、1814を支点として揺動し、レバー部材44は、操作ハンドル18と一体に揺動するよう構成されている。
なお、他方の脚部18Bにおける支軸部1814と反対側の箇所には、後述する監視カメラ20の筐体54が係合される軸受凹部1816が設けられている。
【0015】
監視カメラ20は、車両2の後方を撮像して映像信号を生成するものであり、映像信号は、車室内に設けられたディスプレイ装置に供給されることでディスプレイ装置に車両2の後方の状況が表示される。
監視カメラ20は、操作ハンドル18に組み付けられている。
図3、
図4に示すように、監視カメラ20は、撮像素子52と、撮像素子52が収容された筐体54と、被写体像を写す撮像レンズ56を備えている。
筐体54は、操作ハンドル18に揺動可能に組み付けられる筐体基部5402と、その反対に位置する筐体先部5404とを有している。
撮像レンズ56は筐体54(監視カメラ20)の後端部に設けられ、撮像素子52の光軸は筐体先部5404の撮像レンズ56から車両2の後方に延在している。
図2、
図4に示すように、筐体基部5402の前記光軸を挟む一対の側壁54A、54Bのうち一方の側壁54Aには、筐体側軸受孔5410が形成され、他方の側壁54Bには、筐体側軸受孔5410と同軸上に外側に突出する筐体側凸部5412が形成されている。
また、
図3、
図4に示すように、筐体先部5404に、操作ハンドル側凹凸構造1810に係合可能な筐体側凹凸構造5414が設けられている。
【0016】
図2、
図4に示すように、筐体54は、操作ハンドル18の切り欠き1806の内側に配置され、筐体側凹凸構造5414の適宜箇所と操作ハンドル側凹凸構造1810の適宜箇所とが係合され、筐体側軸受孔5410に支軸部46の小径軸部4602が挿通され、筐体側凸部5412が軸受凹部1816に係合されることで一対の脚部18A、18Bに組み付けられている。
したがって、監視カメラ20は、車両前方側の部位(筐体基部5402)が操作ハンドル基部1802に上下方向に揺動可能に軸支され、車両後方側の部位(筐体先部5404)が操作ハンドル先部1804に対して上下に揺動調整可能に係合される。
筐体54が操作ハンドル18に組み付けられた状態で、筐体54の下方を向いた箇所は、操作ハンドル18の下方を向いた箇所と共に操作ハンドル18の操作時に指が掛けられる箇所を構成している。
なお、筐体側凹凸構造5414の適宜箇所と操作ハンドル側凹凸構造1810の適宜箇所とが係合されることで、撮像素子52の光軸が揺動調節される。
すなわち、監視カメラ20の撮像レンズ56の向きは、監視カメラ20と操作ハンドル先部1804との係合位置を変えることで上下方向で揺動調節可能とされる。
また、小径軸部4602の先端は、筐体54の内部に位置している。
【0017】
図4に示すように、レバー部材44は、支軸部46に加え、支軸部46と一体に設けられたアーム部48を含んでいる。
アーム部48は、支軸部46を介して操作ハンドル18と一体に揺動し、ロックの解除を行なうための操作ハンドルスイッチ58の検知片5802を押圧するものである。操作ハンドルスイッチ58はベース16に取着されている。
【0018】
撮像素子52に対する電源の供給および撮像素子52からの撮像信号の取り出しを行なう第1の配線60は、小径軸部4602の先端から小径軸部4602の内部および大径軸部4604の内部、アーム部48の内部を通り車両2側に引き出されている。
なお、図中、符号62は操作ハンドルスイッチ58からの検出信号を取り出す第2の配線を示し、符号64は、第1、第2の配線60、62に設けられた接続コネクタを示している。
接続コネクタ64は、不図示の中継ケーブルを介して何れも不図示の監視カメラ用電源供給回路、ディスプレイ装置、ECUに接続されている。
【0019】
次に監視カメラ20の使用方法について説明する。
操作ハンドル18が操作されていない状態では、操作ハンドル18はコイルスプリング50の付勢力により下限位置に位置しており、監視カメラ20は、操作ハンドル18の下方から車両2の後方の領域を撮影してその撮像信号を車室内のディスプレイ装置に供給する。
これにより、車室内で車両2後方の映像を視認することができる。
テールゲート12を開ける場合には、筐体54を含む操作ハンドル18に手を掛けてコイルスプリング50の付勢力に抗して操作ハンドル18を下限位置から上限位置に揺動させる。
すると、アーム部48が操作ハンドル18と一体に揺動し操作ハンドルスイッチ58の検知片5802を押圧する。これにより、操作ハンドルスイッチ58の検出結果に応じてECUがアクチュエータ1402を駆動することでロック機構14によるテールゲート12のロックが解除され、テールゲート12が開放可能な状態となる。
【0020】
本実施の形態によれば、車両2の後方を撮像する監視カメラ20を、テールゲート12のロックの解除を行なう操作ハンドル18に組み付けたので、以下の効果が奏される。
監視カメラ20を操作ハンドル18に組み付けるため、テールゲート12のアウターパネル1204に監視カメラ20を取り付けるための取り付け孔や取り付け用の開口を設ける必要がない。したがって、監視カメラ20の有無に拘わらずテールゲート12のアウターパネル1204の形状を同一とすることができる。
そのため、2種類のアウターパネル1204の在庫を管理する必要がなく、管理コストを抑制する上で有利となる。
また、監視カメラ20は、操作ハンドル18に組み付けられているため、監視カメラ20単体がテールゲート12のアウターパネル1204に組み付けられる場合に比較して目立ちにくく車両2の外観性を高める上で有利となる。
【0021】
また、筐体側凹凸構造5414の適宜箇所と操作ハンドル側凹凸構造1810の適宜箇所とが係合されることで、撮像レンズ56の向きが揺動調節される。すなわち、撮像レンズ56の向きの調節が監視カメラ54と操作ハンドル18との間で行なわれ、撮像レンズ56の向きの揺動調節を簡易に確実に行なう上で有利となる。
また、撮像レンズ56の向きの揺動調節を行なう監視カメラ54の部分(筐体側凹凸構造5414)と操作ハンドル18の部分(操作ハンドル側凹凸構造1810)とが、監視カメラ54の揺動中心から離れた箇所に位置しているので、筐体の揺動調整を容易に行なう上で有利となる。
【0022】
また、操作ハンドル18の車幅方向の中央部に切り欠き1806を設け、この切り欠き1806に監視カメラ20を配置した。そのため、監視カメラ20を使用する車の場合と、監視カメラ20を使用しない車の場合とで、切り欠き1806に対応する凸部を金型に着脱することにより単一の金型を双方の車に共通して使用でき、操作ハンドル18の金型の低減化を図る上で有利となる。
すなわち、監視カメラ20を組み付ける切り欠き1806を有する操作ハンドル18と、
図5〜
図7に示す切り欠き1806を有さない操作ハンドル18′とを予め用意し、監視カメラ20を用いる車種では、切り欠き1806を有する操作ハンドル18を用い、監視カメラ20を用いない車種では、切り欠き1806を有さない操作ハンドル18′を用いれば良い。
【0023】
また、操作ハンドル18は、車幅方向の中央に設けられている場合が多く、監視カメラ20を操作ハンドル18に組み付けることで、監視カメラ20は、車幅方向の中央に取着されることになり、監視カメラ20で撮像される車両2後方の映像が車幅方向にバランスがとれたものとなり、車両2後方の良好な視野を得る上で有利となる。
【0024】
また、操作ハンドル18の支軸をなすレバー部材44の支軸部1814に、監視カメラ20の支軸をなす小径軸部4602が一体に設けられている。
そのため、部品点数を増やすことなく、監視カメラ20を揺動調節可能に配設する上で有利となる。
また、監視カメラ20の撮像素子52の配線60が、監視カメラ20の支軸をなすアーム部材44の支軸部46を利用して操作ハンドル18の外部に引き出されている。
したがって、操作ハンドル18回りの配線の簡素化が図れ、配線スペースのコンパクト化を図る上でも有利となる。
【0025】
また、監視カメラ20の筐体54は、操作ハンドル18の操作時に操作ハンドル18と共に指が掛けられる箇所を構成しているので、操作ハンドル18が監視カメラ20を備えるにも拘わらず、操作ハンドル18の操作を円滑に行なう上で有利となる。