(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記学習手段は、前記実績比を前記換算係数の学習値に反映する学習速度を、前記流量が大きいときに速くする一方で前記流量が小さいときに遅くするための手段を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の給湯装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、給湯装置の湯温制御におけるフィードバック制御は、比例制御および積分制御の組合せによって実行される。一般的には、外乱や設定湯温の変化に応じて発生した過渡的な温度偏差を比例制御で補償するとともに、燃料供給量のオフセット等の定常的な偏差を、積分制御で補償することが行なわれている。
【0006】
しかしながら、積分制御では、位相遅れの存在により制御ゲインを大きくするとハンチングする虞がある。一方で、制御ゲインが小さいと設定湯温への制御応答性が低下する。このように、積分制御の調整は困難である。
【0007】
特許文献1には、給湯装置に対して指令した出力号数と、実際の温度実績から求めた能力号数との比を求めるとともに、この比に従った補正係数をフィードフォワード制御に適用することが記載されている。しかしながら、特許文献1は、上記のような積分制御の問題点に着目しておらず、フィードバック制御およびフィードフォワード制御の全体での制御性の向上については改善の余地がある。
【0008】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、フィードフォワード制御およびフィードバック制御の組合せを高機能化して、給湯装置の湯温制御の応答性および安定性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の給湯装置は、熱源機構によって発生された熱量によって通過する水を加熱するように構成された熱交換器と、熱交換器の上流側に配置された第1の温度検出器と、熱交換器の下流側に配置された第2の温度検出器と、熱交換器を通過する流量を検出するための流量検出器と、制御手段とを含む。制御手段は、第1の温度検出器によって検出された入水温度、第2の温度検出器によって検出された出湯温度、当該出湯温度の設定温度、および、流量検出器によって検出された流量に基づいて、所定の制御周期毎に熱源機構への要求発生熱量を設定する。制御手段は、学習手段と、フィードフォワード制御手段と、フィードバック制御手段と、加算手段とを含む。学習手段は、熱源機構への要求発生熱量に対する、入水温度および出湯温度の温度差と流量とに基づく出力熱量の実績比に基づいて、温度および熱量の間の換算係数を学習する。フィードフォワード制御手段は、設定温度と入水温度との温度差と、流量と、学習手段によって学習された換算係数とに基づいて、第1の要求発生熱量を算出する。フィードバック制御手段は、設定温度に対する出湯温度の温度偏差と、流量と、制御ゲインと、学習手段によって学習された換算係数とに基づいて、第2の要求発生熱量を算出する。加算手段は、フィードフォワード制御手段によって算出された要求発生熱量と、フィードバック制御手段によって算出された要求発生熱量との加算によって、熱源機構への要求発生熱量を設定する。
【0010】
上記の給湯装置においては、熱源機構での要求発生熱量に対する出力熱量の実績比に基づいて、フィードフォワード制御およびフィードバック制御による要求発生熱量の算出に用いられる換算係数を学習する。これにより、フィードフォワード制御およびフィードバック制御の制御精度を向上することができる。この結果、フィードフォワード制御およびフィードバック制御の組合せを高機能化して、給湯装置の湯温制御性を改善することができる。
【0011】
好ましくは、フィードバック制御手段は、温度偏差、比例制御ゲインおよび流量の積を、換算係数で除算することによって第2の要求発生熱量を算出するための比例フィードバック手段を有する。
【0012】
このようにすると、温度偏差を補償するための比例フィードバックの制御精度を高めることができるので、設定湯温Trへの追従性を確保するための過渡的な制御特性を改善することができる。
【0013】
さらに好ましくは、フィードバック制御手段は、温度偏差の積分値および積分制御ゲインに基づく積分フィードバック制御を非実行とする。
【0014】
このようにすると、制御ゲインを高めるとハンチングの発生が懸念される積分制御をオフしても、換算係数の学習を反映したフィードフォワード制御によって定常的な温度偏差を抑制できるので、湯温制御の応答性および安定性を改善することができる。
【0015】
好ましくは、学習手段は、実績比を換算係数の学習値に反映する学習速度を、流量が大きいときに速くする一方で流量が小さいときに遅くするための手段を有する。
【0016】
このようにすると、出力熱量が安定する大流量時には換算係数を実際の出力熱量に応じて速やかに学習できる一方で、出力熱量が安定しない小流量時には換算係数が頻繁に変化することを防止できる。
【0017】
また好ましくは、制御手段は、学習手段によって学習された換算係数の値に基づいて、給湯装置の異常を検出するための手段をさらに含む。
【0018】
このようにすると、換算係数の学習結果を用いて、給湯装置の異常診断を併せて実行することができる。
【0019】
あるいは好ましくは、制御手段は、初期設定手段をさらに含む。初期設定手段は、熱源機構による燃焼開始から、設定温度に対する出湯温度の不足温度が所定の閾値よりも小さくなるまでの初期燃焼期間において、少なくとも流量の関数として換算係数を設定する。そして、学習手段は、初期燃焼期間において、換算係数の学習を非実行とする。
【0020】
このようにすると、燃焼開始後の初期期間において速やかに湯温を上昇させるための初期昇温制御を、学習結果に応じて換算係数を変化させるフィードフォワード制御と共通の制御ロジックで実現することができる。この結果、初期燃焼期間および定常燃焼期間(換算係数学習時)の両方を通じて、制御ロジックを大幅に変更することなく、出湯温度を適切に制御することが可能となる。
【0021】
さらに好ましくは、制御手段は、初期燃焼期間の終了時における初期設定手段によって設定された換算係数に応じて、学習手段による換算係数の学習初期値を設定する手段をさらに含む。
【0022】
このようにすると、初期燃焼期間の終了後に開始される換算係数の学習における学習初期値を、初期燃焼期間での換算係数の挙動に応じて適切に設定することができるので、学習開始時における湯温を適切に制御することができる。
【0023】
さらに好ましくは、制御手段は、高温異常検出手段をさらに含む。高温異常検出手段は、
設定温度に対する出湯温度の超過温度が所定の閾値よりも大きくなったときに高温異常の発生を検出する。そして、初期設定手段は、高温異常検出手段によって検出された高温異常の発生回数にさらに基づいて、同一の流量に対して、発生回数が多いほど要求発生熱量が低下するように換算係数を設定する手段を有する。
【0024】
このようにすると、過去の高温異常の検出回数が多く、高温異常が発生する可能性が高い状態のときには、初期昇温制御における換算係数の設定を要求発生熱量が低下するように調整できるので、初期燃焼期間中における出湯温度の過上昇を防止することができる。
【0025】
さらに好ましくは、制御手段は、学習手段によって学習された換算係数の値に基づいて、検出手段によって過去に検出された高温異常の発生回数を減ずるための手段をさらに含む。
【0026】
このようにすると、換算係数の学習結果に基づいて熱源機構の安定度を評価して、高温異常の発生回数、すなわち、高温異常が発生する可能性を推定することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、フィードフォワード制御およびフィードバック制御の組合せを高機能化して、給湯装置の湯温制御の応答性および安定性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態に係る給湯装置の概略構成図である。
【0030】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る給湯装置100は、給湯配管110と、バイパス配管120と、ガスバーナ130と、熱交換器140と、ガス比例弁150と、流量調整弁160と、制御装置200とを含む。
【0031】
給湯配管110は、入水口から給湯口までを連結するように構成される。流量調整弁160は、給湯配管110に介挿接続される。制御装置200により流量調整弁160の開度を調整することによって、出湯量を制御することができる。
【0032】
ガスバーナ130は、図示しないガス配管から供給されたガスと、図示しない燃焼ファンから供給された空気との混合気を燃焼することによって、熱量を発生する。ガスバーナ130に供給されるガス圧(すなわち、単位時間当たりのガス供給量)は、ガス比例弁150の開度に応じて制御される。なお、燃焼ファンからの供給空気量は、ガスバーナ130での燃焼における空燃比を一定に維持するように制御される。
【0033】
ガスバーナ130での燃焼により発生された熱量は、熱交換器140を経由して、給湯配管110を流れる水の温度上昇に用いられる。
図1に例示した給湯装置100は、熱交換器140の出力と、熱交換器140を非通過とするためのバイパス配管120の出力とを混合して、出湯するように構成されている。なお、バイパス配管120の配置は省略されてもよい。
【0034】
給湯配管110には、流量センサ210と、温度センサ220,230が設けられる。流量センサ210によって、給湯配管110の流量Qが検出される。温度センサ220は、熱交換器140の上流側に設けられて、入水温度Tcを検出する。温度センサ230は、熱交換器140の下流側に設けられて、出湯温度Thを検出する。検出された流量Q、入水温度Tcおよび出湯温度Thは、制御装置200に入力される。すなわち、流量センサ210は「流量検出器」の一実施例に対応し、温度センサ220は「第1の温度検出器」の一実施例に対応し、温度センサ230は「第2の温度検出器」の一実施例に対応する。
【0035】
制御装置200は、たとえば、マイクロコンピュータ等によって構成されて、設定湯温Trに従って出湯温度Thを制御するための湯温制御を実行する。具体的には、制御装置200は、当該湯温制御のために必要とされるガスバーナ130での発生熱量である要求発生熱量を算出するとともに、当該要求発生熱量に従ってガス比例弁150の開度を制御するように構成される。このように、ガスバーナ130は、制御装置200によって発生熱量を制御可能な「熱源機構」の一実施例である。また、制御装置200は、「制御手段」の一実施例である。
【0036】
ガスバーナ130の発生熱量が変化すると、熱交換器140を経由して水温上昇に寄与する熱量が
変化するので、出湯温度Thが変化する。
【0037】
図2は、本発明の実施の形態に係る給湯装置における湯温制御を説明する機能ブロック図である。たとえば、
図2に示された各ブロックの機能は、制御装置200によるソフトウェア処理によって実現される。
【0038】
図2を参照して、湯温制御部300は、給湯装置100への操作入力に相当する、要求発生熱量Utlを設定する。一般的に、給湯装置では、要求発生熱量は、号数を単位として演算される。号数=1は、Q=1(L/min)の流量下で湯温を25℃上昇させるのに必要な熱量に相当する。したがって、以下では、要求発生熱量Utlを、入力号数Utlとも称する。
【0039】
給湯装置100の出力は、温度センサ230によって検出される出湯温度Thである。湯温制御部300は、給湯装置100の出力である出湯温度Thを設定湯温Trに従って制御するように、入力号数Utlを設定する。入力号数Utlに従って、ガスバーナ130への燃料供給、すなわち、ガスバーナ130から熱交換器140へ与えられる熱量が制御される。
【0040】
湯温制御部300は、フィードバック制御部320と、フィードフォワード制御部330と、加算部340と、換算係数学習部350とを含む。
【0041】
換算係数学習部350は、流量センサ210によって検出された流量Q、温度センサ220によって検出された入水温度Tcおよび温度センサ230によって検出された出湯温度Thと、給湯装置100への入力号数Utlとに基づいて、号数換算係数(以下、単に「換算係数」とも称する)Rを学習する。
【0042】
換算係数Rは、給湯装置100への要求発生熱量(ここでは、入力号数Utl)に対する、上昇温度(Th−Tc)および流量Qの積で示される出力熱量の実績比Krに相当する。Krは、下記(1)式によって定義される。
【0043】
Kr=(Th−Tc)×Q/Utl …(1)
上述した号数の定義から、Krは理想的には25である。このため、換算係数Rの基準値も25である。しかしながら、ガス比例弁150(
図1)における調圧のずれや、入水温度の状態等に応じて、熱量の実績比Kr、すなわち、換算係数Rが25から外れることがある。
【0044】
入力号数Utlの演算において、要求熱量(入力号数)および温度間の換算係数Rを25(理論値)に固定した場合には、実挙動における換算係数Rのずれは、フィードバック制御、特に積分制御によって補償される。しかしながら、上述のように、必然的に存在する位相遅れのために積分ゲインを高めることが困難であるため、設定湯温に対する出湯温度の制御応答性の改善が比較的困難である。
【0045】
したがって、本実施の形態では、換算係数学習部350によって、実挙動における換算係数Rを学習するとともに、学習した換算係数Rをフィードバック制御およびフィードフォワード制御に反映することによって、積分制御の機能を代替することを図る。
【0046】
換算係数学習部350は、一定の制御周期Δt毎に下記(2)式に従って、換算係数Rを学習する。たとえば、制御周期Δtは100(ms)程度である。(2)式において、R(n)は、今回の制御周期(第n番目)での学習結果に基づいて算出された学習値であり、R(n−1)は、前回の制御周期(第(n−1)番目)で算出された学習値である。
【0048】
(2)式中において、Lは、換算係数R(n)の学習速度を制御するパラメータである。パラメータLは、
図3に示されるように、流量Qに応じて可変に設定される。
【0049】
図3に示されるように、パラメータLは、小流量時には大きい値に設定される一方で、大流量時には小さい値に設定される。流量Qが大きい場合には、出力熱量の挙動が安定するために、現在の実績比を速やかに換算係数Rに反映する一方で、流量Qが小さい場合には、出力熱量が変化し易いため、換算係数Rが変化する速度を低下させて学習を安定化させるためである。実機実験またはシミュレーション結果に基づき、
図3の特性を予め設定することができる。さらに、
図3の特性に従って、流量QからパラメータLを求めるための関数式あるいはテーブルを予め作成することができる。
【0050】
フィードフォワード制御部330は、設定湯温Trおよび入水温度Tcの温度差と、流量Qとに基づいて、フィードフォワード制御による入力号数Uff(以下、FF号数Uffとも称する)を算出する。FF号数Uffは、給湯配管110への入水量(流量Q)を、入水温度Tcから設定湯温Trまで昇温するために必要な熱量(号数)を示す。
【0051】
フィードバック制御部320は、設定湯温Trに対する出湯温度Thの温度偏差ΔTを解消するためのフィードバック制御による入力号数Ufb(以下、FB号数Ufbとも称する)を算出する。
【0052】
フィードバック制御部320は、偏差演算部321と、比例制御部322と、積分制御部324と、加算部325とを有する。
【0053】
偏差演算部321は、設定湯温Trに対する出湯温度Thの温度偏差ΔTを演算する(ΔT=Tr-Th)。比例制御部322は、比例ゲインKpおよび温度偏差ΔTの積を演算する。これにより、設定湯温Trあるいは流量Qの変更、または、外乱の発生によって生じた温度偏差ΔTを解消するように入力号数が演算される。すなわち、比例制御は、主に、設定湯温Trへの追従性等、過渡的な制御性能を確保する。
【0054】
積分制御部324は、温度偏差ΔTの積分値と、積分ゲインKiとの積を演算する。これにより、主に、設定湯温Trおよび流量Qが安定した状態での定常的な温度偏差ΔTを解消するように入力号数が演算される。すなわち、積分制御は、主に、設定湯温Trへの収束性等、定常状態での制御性能を確保する。なお、比例制御部322および積分制御部324による演算にも、換算係数学習部350によって学習された換算係数Rが反映される。
【0055】
加算部325は、比例制御部322による演算結果と、積分制御部324による演算結果とを加算することによって、FB号数Ufbを算出する。
【0056】
さらに、加算部340がFF号数UffおよびFB号数Ufbを加算することによって、給湯装置100への要求発生熱量を示す入力号数Utlが設定される。すなわち、FF号数Uffは「第1の要求発生熱量」に対応し、FB号数Ufbは「第2の要求発生熱量」に対応する。
【0057】
図4は、本発明の実施の形態に係る給湯装置での湯温制御による制御処理手順を示すフローチャートである。
図4には、
図2に示した制御系による第n番目の制御周期における処理が示される。当該処理は、制御装置200によって、所定の制御周期Δt毎に実行される。
【0058】
図4を参照して、制御装置200は、ステップS100により、今回の制御周期におけるデータ、具体的には、流量センサ210および温度センサ220,230による検出値、ならびに、ユーザ指示値等に基づいて、現在の設定湯温Tr(n)、入水温度Tc(n)、出湯温度Th(n)および流量Q(n)等の必要なデータをサンプリングする。
【0059】
さらに、制御装置200は、ステップS110により、上記(2)式に従って、換算係数R(n)を算出する。R(n)は、換算係数Rの現在の学習値である。これにより、各制御周期において、入力号数に対する出力熱量の実績比が算出されるとともに、当該学習値をパラメータL(
図3)に従う速度で学習することによって、制御周期毎にR(n)が更新される。すなわち、ステップS110の処理により、
図2の換算係数学習部350の機能、すなわち、「学習手段」の機能が実現される。
【0060】
なお、換算係数R(n)の学習は、燃焼状態が安定した状態に実行することが好ましい。このため、ガス圧等の調整作業時や燃焼開始直後等には、学習を中止することが好ましい。また、換算係数Rの初期値は、号数の定義に沿った基準値として25とすることができる。
【0061】
制御装置200は、ステップS120により、ステップS110で学習された換算係数R(n)を反映したフィードフォワード制御を実行する。具体的には、下記(3)式に従って、FF号数Uff(n)が算出される。すなわち、ステップ
S120による処理によって、
図2のフィードフォワード制御部330の機能、すなわち、「フィードフォワード制御手段」の機能が実現される。
【0063】
さらに、制御装置200は、ステップS130により、ステップS110で学習された換算係数R(n)を反映したフィードバック制御を実行する。フィードバック制御では、今回の制御周期における温度偏差ΔT(n)(ΔT(n)=Tr(n)−Th(n))に基づく制御演算が実行される。具体的には、下記(4)式に従って、FB号数Ufb(n)が算出される。すなわち、ステップS130による処理によって、
図2のフィードバック制御部320の機能、すなわち、「フィードバック制御手段」の機能が実現される。
【0065】
制御装置200は、ステップS140により、下記(5)式に従って、FF号数およびFB号数の加算によって、給湯装置100の入力号数Utl(n)を設定する。
【0066】
Utl(n)=Uff(n)+Ufb(n) …(5)
このように、本実施の形態に係る給湯装置の湯温制御では、換算係数Rの学習値がフィードフォワード制御およびフィードバック制御の両方に反映されている。一方、換算係数R(n)の理論値(25)からのずれは、ガス圧の調整不良等によって入力号数に対するガスバーナ130による出力熱量に誤差が生じている場合、あるいは、熱交換器140における熱交換にロスが生じている場合等に生じる。このような換算係数Rの誤差は、定常的な温度偏差ΔTを生じさせる。このため、換算係数R=25に固定した従来の制御系では、換算係数Rの誤差は、主に積分制御によって補償される。
【0067】
これに対して、本実施の形態では、実際の換算係数R(n)を学習してフィードフォワード制御に反映するため、フィードフォワード制御の精度が向上する。この結果、フィードバック制御、特に、定常的な温度偏差を補償するための積分制御のウェイトを下げることができる。好ましくは、必然的に位相遅れを含むために調整が困難である積分制御をオフして、比例制御のみでフィードバック制御を実行することができる。この場合には、式(4)において第2項(以下、積分項Uiとも称する)を削除して、第1項(以下、比例項Upとも称する)のみの演算によってFB号数Ufb(n)を演算することができる。
【0068】
あるいは、積分ゲインKiを通常値から低下させることによって、実質的には積分制御が寄与しないようにすることも、実質的には積分制御をオフすることに含まれる。たとえば、通常のフィードバック制御系でのゲイン設定によれば、設定湯温Trおよび流量Qが一定期間維持された定常状態時には、上記積分項および比例項の関係は、常時|Ui|>|Up|となるところ、本実施の形態では、積分ゲインKiを絞ることにより、|Ui|≦|Up|となる期間が生じるようになる。
【0069】
さらに、換算係数R(n)は、フィードバック制御の比例制御にも反映されている。このため、温度偏差ΔTr(n)を補償するための比例制御の精度を向上することができる。この結果、設定湯温Trへの追従性を確保するための過渡的な制御特性についても、改善することができる。
【0070】
このように、本実施の形態に係る給湯装置では、給湯装置100への要求発生熱量(入力号数)に対する出力熱量の実績比に基づいて学習した換算係数Rを反映してフィードフォワード制御およびフィードバック制御を実行するので、制御精度を高めることができる。特に、制御ゲインを高めるとハンチングの発生が懸念される積分制御をオフないし抑制しても、換算係数学習を反映したフィードフォワード制御によって定常的な温度偏差を抑制できる。この結果、フィードフォワード制御およびフィードバック制御の組合せを高機能化して、給湯装置の湯温制御の応答性および安定性を改善することが可能である。
【0071】
なお、本実施の形態に係る給湯装置において、換算係数Rの学習値が理論値(すなわち、25)から大幅に外れた場合には、給湯装置100に何らかの異常が発生していることが懸念される。このため、換算係数の学習が安定した場面での学習値R(n)を用いて、
図5に示すような異常診断を行なうことも可能である。
【0072】
図5を参照して、換算係数学習部350(
図2)は、たとえば、換算係数学習が所定時間(たとえば、60秒)継続され、かつ、入力号数Utlおよび出力熱量の両方の一定時間内の変動量が一定値以下のとき(たとえば、10秒間の変動率が3%以内のとき)、「換算係数の学習が安定している」と判定する。
【0073】
そして、制御装置200は、換算係数の学習が安定していると判定されると、現在の学習値(すなわち、換算係数R(n))が、基準値25を含む正常範囲R0〜R1内であるか否かを判定する。そして、制御装置200は、R0≦R(n)≦R1のときには、給湯装置100は正常に運転していると判定する。
【0074】
一方で、制御装置200は、R(n)<R0、または、R(n)>R1のとき、給湯装置100に異常が発生している虞があると判定して、機器点検を促すための情報をユーザへ報知する。
【0075】
たとえば、R(n)>R1のとき、すなわち換算係数Rが高過ぎる場合には、入力号数に比較して、実際の出力熱量が過大である状態なので、ガス供給圧力の調整がずれており、ガスバーナ130へのガス供給圧力が入力号数に対して高すぎる可能性がある。また、R(n)<R0のときには、入力号数に対して実際の出力熱量が小さ過ぎる状態なので、熱交換器140での煤の付着等による閉塞が発生している可能性がある。したがって、R(n)<R0、または、R(n)>R1のときには、換算係数の学習値R(n)が過大および過小のいずれの状態であるかについての情報を付加して報知することが好ましい。
【0076】
このように、本実施の形態による給湯装置では、湯温制御の応答性および安定性を改善するための換算係数Rの学習結果を用いて、異常診断を併せて実行することが可能である。
【0077】
[実施の形態2]
実施の形態2では、燃焼開始初期における出湯温度を速やかに上昇させるための制御(以下、初期昇温制御とも称する)における換算係数Rの設定について説明する。
【0078】
図6は、本実施の形態に係る昇温装置における換算係数Rの設定方法を説明するためのフローチャートである。
【0079】
図6を参照して、制御装置200は、給湯装置100での燃焼が開始されると、ステップS200により、初期燃焼期間であるか否かを判定する。たとえば、給湯装置100では、初期燃焼期間であるか否かを示す初期燃焼フラグFLGが導入される。初期燃焼フラグFLGフラグは、燃焼開始時にオンされる。そして、出湯温度Thが設定湯温Trの近傍まで上昇すると、初期燃焼フラグFLGフラグがオフされる。たとえば、Th>Tr−αが成立すると(たとえば、α=3℃)、初期燃焼フラグFLGはオフされる。このように、初期燃焼フラグFLGは、燃焼開始時を起点として、設定湯温Trに対する出湯温度Thの不足量(Tr−Th)が所定の閾値
αよりも小さくなるまでの期間においてオンされる。
【0080】
制御装置200は、初期燃焼フラグがオンされている初期燃焼期間では(S200のYES判定時)、ステップS220に処理を進めて、初期昇温制御を実行する。一方、制御装置200は、初期燃焼フラグFLGのオフ時、すなわち、初期燃焼期間の終了後には(S200のNO判定時)、ステップS210に処理を進めて、実施の形態1で説明した湯温制御を実行する。このとき、換算係数Rは、
図2に示された換算係数学習部350によって、制御周期毎に、入力号数に対する出力熱量の実績比を逐次学習するように設定される。
【0081】
初期昇温制御においては、特許文献2にも示されるように、フィードフォワード制御による入力号数を一時的に高めることによって速やかな昇温を図る必要がある。
【0082】
実施の形態2では、実施の形態1で説明した、換算係数Rを反映したフィードフォワード制御と共通の演算式(式(3))を用いて、初期昇温制御を実現するための制御処理について説明する。
【0083】
図7は、初期昇温制御において換算係数Rを設定するための構成を説明する機能ブロック図である。
【0084】
図7を参照して、初期昇温制御では、
図2に示した換算係数学習部350は停止されて換算係数Rの学習が非実行とされる。一方で、換算係数設定部351は、初期燃焼フラグFLGのオン時、すなわち、初期昇温制御の適用時に動作して、換算係数Rを設定する。換算係数設定部351によって設定された換算係数Rは、少なくともフィードフォワード制御部330(
図2)に伝達されて、式(3)によるFF号数Uffの演算に反映される。
【0085】
なお、初期昇温制御におけるフィードバック制御では、式(4)に従うFB号数Ufbの演算において、換算係数R=25に固定してもよく、換算係数設定部351によって設定された換算係数Rを用いてもよい。また、初期昇温制御においては、フィードバック制御を省いて、フィードフォワード制御のみを実行することも可能である。
【0086】
換算係数設定部351は、流量センサ210(
図1)によって検出された流量Qに少なくとも基づいて、換算係数Rを設定する。
【0087】
図8は、換算係数設定部351によって設定される換算係数と流量との間の関係を概略的に示す特性図である。
【0088】
図8に示されるように、換算係数設定部351は、流量Qに応じて換算係数Rを設定する。R<25に設定すると、FF号数Uffが通常時(R=25)よりも大きくなるので、給湯装置100への発生熱量を増加させることにより出湯温度を速やかに上昇させることができる。
【0089】
流量Qが小さい領域では、熱交換器140での滞留時間が長くなるため、FF号数Uffを大きくし過ぎると、出湯温度Thが過度に上昇する虞がある。一方で、流量Qが大きい領域では、このような過高温の虞が小さいので、FF号数Uffを高くして速やかな昇温を指向することが好ましい。したがって、
図8に示されるように、初期昇温制御における換算係数Rは、流量Qが小さい領域では、流量Qが大きい領域よりも高く設定される。また、中間領域では、流量Qの増加に応じて換算係数Rを低く設定する。
【0090】
このように、初期昇温制御における換算係数Rを流量Qに応じて設定することにより、燃焼開始後の初期期間において、過度の温度上昇を回避するとともに、出湯温度を速やかに上昇することが可能となる。
【0091】
再び
図7を参照して、換算係数設定部351は、初期昇温制御中の過度の湯温上昇を回避するために、高温異常検出部352によって設定される高温検出回数mをさらに反映して、初期昇温制御における換算係数Rを設定することも可能である。
【0092】
高温異常検出部352は、出湯温度Thが過上昇すると、高温異常を検出して高温検出回数mを増加させる。たとえば、Th>Tr+β(たとえば、β=10℃)が成立すると、すなわち、設定湯温Trに対する出湯温度Thの超過温度が所定の閾値βよりも大きくなると、高温異常検出部352は、高温検出回数mを1増加させる。
【0093】
高温異常は、ガス供給圧力の調整ずれ等の原因で、入力号数に比較して実際の出力熱量が過大であるときに発生する。したがって、高温異常が多発している状態では、初期昇温制御によってFF号数Uffを通常よりも大きくすると、過度の湯温上昇を招くおそれがある。なお、高温異常検出部352は、温度上昇量(Th−Tr)が大きい場合には、給湯装置100の燃焼を強制的に停止してもよい。
【0094】
再び
図8を参照して、高温検出回数m=0の場合と比較して、換算係数Rは、同一の流量Qに対して、高温検出回数mの増加に応じて高い値に設定される。これにより、初期昇温制御におけるFF号数の増加が抑制されるので、初期昇温制御中に出湯温度Thが過度に上昇することを防止できる。
【0095】
たとえば、
図8の例に示されるように、m=0のときには全流量域でR<25に設定されるのに対して、mが増加していくと、R>25に設定される領域、すなわち、通常よりもFF号数を低下させる領域も生じてくる。このように、高温検出回数mおよび流量Qの両方に基づいて初期昇温制御における換算係数Rを設定することによって、初期昇温制御中における過度の湯温上昇をさらに効果的に回避することができる。
【0096】
このように、初期昇温制御の適用時には、基本的には換算係数Rを小さく設定することにより、出湯温度の速やかな上昇が図られる。この結果、出湯温度Thが、ステップS200(
図6)での判定値である(Tr−α)まで上昇すると、初期燃焼期間の終了に伴って初期昇温制御は終了される。そして、実施の形態1で説明した換算係数の学習が開始される。
【0097】
図9には、初期燃焼期間の終了時における換算係数の学習初期値の設定処理を説明するフローチャートが示される。
【0098】
図9を参照して、制御装置200は、初期昇温制御の実行中にはステップS400により、初期燃焼期間が終了したかどうかを判定する。ステップS400は、Th>Tr−αが成立するとYES判定とされる。ステップS400がYES判定されると、初期燃焼フラグFLGがオフされる。
【0099】
ステップS400のNO判定時は初期昇温制御が継続されるので、ステップS410〜S440の処理はスキップされる。
【0100】
制御装置200は、初期燃焼期間が終了した場合(S400のYES判定時)には、ステップS410に処理を進めて、換算係数Rの現在値、すなわち、初期燃焼期間終了時における換算係数の設定値R(L)を基準値である25と比較する。
【0101】
制御装置200は、R(L)≦25のとき(S410のYES判定時)には、ステップS420により、換算係数Rの学習初期値R(0)=25に設定する。R(L)≦25の状態では、通常よりもFF号数を強制的に高く設定して、速やかな温度上昇を優先しているが、初期燃焼期間の終了後には、設定湯温Trへの制御性を重視する必要がある。このため、基準値25からのずれを学習するように、学習初期値R(0)を設定することが好ましい。
【0102】
一方で、制御装置200は、R(L)>25のとき(S410のNO判定時)には、ステップS430に処理を進めて、初期燃焼期間終了時点で使用していた換算係数R(L)を、そのまま学習初期値R(0)として用いる。上述のように、R(L)>25の状態では、通常よりもFF号数を低く設定して、過度の温度上昇を予防している。このため、初期昇温制御の終了時に、学習初期値R(0)を25に設定すると、ステップ状にFF号数が増加することにより、出湯温度Thが急に上昇することが懸念される。このため、過高温の発生を防止することを優先して、換算係数Rが変化しないように考慮するものである。
【0103】
制御装置200は、ステップS420またはS430により学習初期値R(0)が設定されると、ステップS440に処理を進めて、
図2に示した換算係数学習部350による換算係数Rの学習を開始する。以降では、換算係数設定部351は動作を停止して、実施の形態1で説明したように、換算係数学習部350による学習によって算出された換算係数Rに従って、各制御周期でのFF号数UffおよびFB号数Ufbを算出する。
【0104】
このようにすると、過高温を防止するように初期昇温制御時の換算係数Rが設定されている場合に、初期昇温制御から、換算係数の学習に基づく通常の湯温制御に移行する際に、過高温の発生を予防することができる。
【0105】
次に、
図10を用いて、初期昇温制御に反映される高温検出回数mのカウント処理について説明する。
図10のフローチャートに従う制御処理を制御装置200が所定周期で繰り返し実行することによって、
図7に示した高温異常検出部352の機能が実現される。
【0106】
制御装置200は、ステップS500により、出湯温度Thと判定値(Tr+β)との比較によって、高温異常を検出する。具体的には、Tr>(Tr+β)のときにS500はYES判定とされ、そうでないときに、S500はNO判定とされる。
【0107】
制御装置200は、高温異常検出時(S500のYES判定時)には、ステップS510に処理を進めて、高温検出回数mを増加させる。このとき、超過温度(Th−Tr)が過大である場合には、必要に応じて給湯装置100における燃焼を停止させてもよい。
【0108】
制御装置200は、高温異常の非検出時(S500のNO判定時)には、換算係数Rの学習結果に応じて、燃焼状態が安定している場合には、高温検出回数mを減少させる処理を実行する。具体的には、制御装置200は、ステップS550により、換算係数学習の安定条件が成立しているか否かを判定する。たとえば、実施の形態1でも説明したように、換算係数学習が所定時間(たとえば、60秒)継続され、かつ、入力号数Utlおよび出力熱量の両方の一定時間内の変動量が一定値以下のとき(たとえば、10秒間の変動率が3%以内のとき)、S550はYES判定とされる。
【0109】
制御装置200は、換算係数学習の安定条件が成立しているときには(S550のYES判定時)、ステップS560に処理を進めて、換算係数の現在の学習値R(n)と基準値25との差(絶対値)を判定値γと比較する。学習安定時の学習値が25に近い場合には、給湯装置100への入力号数と実際の出力熱量との間に大きなずれは発生しておらず、高温出湯の主な原因となるガスバーナ130へのガス供給過剰も発生していない可能性が高い。このように安定した燃焼状態であることが確認できた場合には、高温異常が発生する可能性が低下していると推定できる。
【0110】
したがって、制御装置200は、|R(n)−25|<γのとき(S560のYES判定時)には、ステップS570に処理を進めて、高温検出回数mを減少させる。なお、ステップS570の実行は、1回の燃焼(燃焼開始〜燃焼終了までの間)において1回のみに制限することが好ましい。
【0111】
一方、制御装置200は、|R(n)−25|≧γのとき(S560のNO判定時)には、ステップS570をスキップする。このため、高温検出回数mは維持される。
【0112】
図10に示された高温検出回数mのカウント処理により、換算係数Rの学習結果に基づいて燃焼状態が安定しているかどうかを判定して、高温異常が発生する可能性に応じて高温検出回数mを適切に設定することが可能となる。
【0113】
図11および
図12には、本実施の形態に係る給湯装置における一定流量下での換算係数の推移の例が示される。
図11には、流量Qが大きい領域での推移例が示される一方で、
図12には、流量Qが小さい領域での推移例が示される。
【0114】
図11を参照して、m=0の例では、時刻t0〜taまでが初期燃焼期間であり、m=1の例では、時刻t0〜tbまでが初期燃焼期間であり、m=2の例では時刻t0〜tcが初期燃焼期間である。
【0115】
初期燃焼期間では、m=0,1,2のいずれにおいても、流量Q(一定値)および高温検出回数mに応じて、換算係数Rが設定されている。
図8に示したように、mが大きいほど、換算係数Rは大きい値、すなわち、FF号数を低下させるように設定される。
【0116】
図8にも示したように、流量Qが大きい領域では、換算係数Rが小さく設定されるため、初期燃焼期間の終了時(時刻ta,tb,tc)における換算係数R(L)は、25よりも小さい。したがって、
図9のステップS420により、m=0,1,2の各々において、換算係数学習の初期値R(0)=25に設定される。
【0117】
以降では、湯温制御における入力号数と出力熱量との実績比に従って換算係数Rの学習が実行される。時刻teにおいて、
図10のステップS550での換算係数学習の安定条件が成立すると、そのときに学習値が基準値25±γの範囲内であるか否かが判定される。
図11の例では、時刻teにおける学習値が25±γの範囲内であるので、
図10のステップS570の処理により、高温検出回数mが減少される。
【0118】
図12においても、
図11と同様に、m=0の例では、時刻t0〜taまでが初期燃焼期間であり、m=1の例では、時刻t0〜tbまでが初期燃焼期間であり、m=2の例では時刻t0〜tcが初期燃焼期間である。
【0119】
図8に示されるように、初期燃焼期間において、流量Qが小さい領域では、換算係数Rは相対的に高く設定される。このため、m=0の例では換算係数R<25である一方で、m=1,2の例では、高温異常の発生防止を優先するために、換算係数R>25に設定される。
【0120】
したがって、初期燃焼期間の終了時点(時刻ta,tb,tc)で設定される学習初期値R(0)は、m=0の例ではR(0)=25に設定される一方で、m=1,2の例では、初期燃焼期間終了時における換算係数Rの値が維持されるように設定される。
【0121】
以降では、湯温制御における入力号数と出力熱量との実績比に従って換算係数Rの学習が実行される。
図11と同様に、時刻teにおいて、
図10のステップS550での換算係数学習の安定条件が成立する。
図12の例では、時刻teにおける学習値が25±γの範囲外であるので、
図10のステップS570は実行されない。このため、高温検出回数mは減少しない。
【0122】
なお、高温検出回数mの減少についての判定値γについては、高温検出回数mに応じて可変に設定してもよい。たとえば、高温検出回数mが多いほど、
γを大きな値に設定することができる。
【0123】
このように、実施の形態2によれば、給湯装置100の燃焼開始からの初期期間において出湯温度を速やかに昇温するための初期昇温制御を、実施の形態1で説明した換算係数の学習に基づく制御ロジックに適用することができる。
【0124】
これにより、初期燃焼期間および定常燃焼期間(換算係数学習時)の両方を通じて、制御ロジックを大幅に変更することなく、出湯温度を適切に制御することが可能となる。
【0125】
なお、本実施の形態による給湯装置では、給湯配管110内の水を加熱するための熱量を発生する「熱源機構」としてガスバーナ130を例示したが、本発明の適用はこのような構成に限定されるものではない点を確認的に記載する。すなわち、制御装置200によって設定される要求発生熱量(入力号数)に応じて発生熱量を制御可能に構成されるものであれば、任意の「熱源機構」を採用することが可能である。たとえば、ガスバーナに代えて、石油を燃焼する石油バーナ、あるいはヒートポンプ機構等の任意の熱源を適用可能である。
【0126】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。