(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1制御電圧が印加された状態で入力端に入力した論理信号を出力端から出力し、第2制御電圧が印加された状態で前記出力端からの出力を遮断するカット素子を有する半導体装置の製造方法において、
半導体基板の上方に導電膜を形成する工程と、
前記導電膜上にフォトレジストを塗布する工程と、
露光マスクを使用して前記フォトレジストをマスク露光する工程と、
電子線照射により前記フォトレジストを電子線露光する工程と、
前記マスク露光および前記電子線露光を行った後、前記フォトレジストを現像することによりレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクにして前記導電膜をエッチングし、前記導電膜の導電パターンを形成する工程と、
を含み、
前記電子線露光を使用して形成される前記導電パターンは、前記カット素子に前記第2制御電圧を印加する第1配線を含む、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
前記カット素子は、前記第2制御電圧の印加により前記出力端をハイインピーダンスにする回路を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
前記マスク露光は、オリジナル半導体回路を形成するために使用され、前記電子線露光は、修正回路を形成するために使用されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記露光マスクは間隔をおいて複数のダミーパターンを形成するための露光に使用され、前記電子線露光は、前記ダミーパターンの前記間隔に第3配線を形成するために使用されることを特徴とする請求項1乃請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法により形成されるオリジナル回路と修正回路を含む第1例の回路図である。
【0013】
図1(a)において、2入力の第1のアンド(AND)回路1の出力端は、第1配線2、カット素子3、第2配線4介してフリップフロップ回路5の入力端に接続されている。フリップフロップ回路5の出力端に第3配線6が接続されている。また、カット素子3の近くには接地(GND)配線7が形成されている。なお、接地配線7の代わりに導電性接地パッドが形成されていてもよい。AND回路1の近傍には、3入力の第2のAND回路8が形成され、その出力端は第4配線9に接続されている。第4配線9は、例えば第2配線4と同じ層に形成されている。
【0014】
上記のカット素子3は、例えば、
図2(a)に示すように、入力端3a、出力端3b、制御端子3cを有し、
図2(b)に示す真理値表の表示に従って動作する。
【0015】
真理値表に示すように、制御端子3cがオープン状態の場合には、入力端3aに低レベル電圧の“0”の信号を入力すると、出力端3bの出力信号は低(L)レベル電圧となる。一方、入力端3aに高レベル電圧の“1”の信号を入力すると、出力端3bの出力信号は高(H)レベルとなる。従って、カット素子3の制御端子3cがオープン状態の場合には、カット素子3はバッファ回路として機能する。第1のAND回路1は、例えば実績の少ない回路の一部又は全部であり、そのような出力端の後段にカット素子3を接続するように配置される。
【0016】
これに対し、
図1(b)に示すように、制御端子3cを接地配線7に接続して接地電位とする場合には、信号入力端3aに“0”の信号、“1”の信号のいずれを入力しても、出力端3bの出力信号はハイインピーダンス(Hi−Z)なる。従って、
図1(b)において、制御端子3cが接地電位の場合には、カット素子3は信号遮断回路として機能する。
【0017】
次に、カット素子3の回路構成例を2つ挙げて説明する。
第1のカット素子3Aは、
図3(a)に示すように、CMOSトランジスタ121、ナンド(NAND)回路122、ノア(NOR)回路123、インバータ回路124及び抵抗素子125を有している。
【0018】
CMOSトランジスタ121は、p型MOSトランジスタ121pとn型MOSトランジスタ121nを有し、それらのドレインは互いに接続され、第1のカット素子3Aの出力端3bとなっている。NAND回路122の出力端はp型MOSトランジスタ121pのゲートに接続され、NOR回路123の出力端子はn型MOSトランジスタ121nのゲートに接続されている。また、インバータ回路124の出力端子はNOR回路123の第1入力端に接続されている。p型MOSトランジスタ121pのソースは電源電圧配線126に接続され、n型MOSトランジスタ121nのソースは接地配線127に接続されている。NAND回路122の第1入力端とインバータ回路124の入力端は、抵抗素子125を介して電源電圧配線126に接続されるとともに制御端子3cにも接続されている。さらに、NAND回路122とNOR回路123のそれぞれの第2入力端は、第1のカット素子3Aの入力端3aとなっている。
【0019】
第1のカット素子3Aにおいては、接地電位を制御端子3cに印加すると、CMOSインバータ121のp型MOSトランジスタ121pとn型MOSトランジスタ121nが論理的に同時にカットオフされる。カットオフされたCMOSトランジスタ121の出力端3bは、電源電圧Vdd、接地電圧GNDのいずれからも切り離されてカットオフ状態、即ち高インピーダンス(Hi−Z)状態となる。また、制御端子3cをオープン状態にすると、NAND回路122の第1入力端とインバータ回路124の入力端にはHレベル電圧Vddが印加されるので、入力端3aと同じレベルの信号が出力端3bから出力される。
【0020】
第2のカット素子3Bは、
図3(b)に示すように、n型MOSトランジスタ131nとp型MOSトランジスタ131pの互いのソース/ドレインを並列に接続して形成されるCMOSトランスミッションゲート131とインバータ132を有している。CMOSトランスミッションゲート131では、n型MOSトランジスタ131nとp型MOSトランジスタ131pが互いのソース/ドレインを並列にして接続されている。並列に接続されたn型MOSトランジスタ131nとp型MOSトランジスタ131pの2つのノードの一方は入力端3aとなり、他方は出力端3bとなる。p型MOSトランジスタ131pのゲートにはインバータ132の出力端が接続されている。また、インバータ132の入力端とn型MOSトランジスタ131nのゲートは互いに接続され、さらに制御端子3cに接続されるとともに抵抗素子133を介して電源電圧線134に接続されている。
【0021】
第2のカット素子3Bにおいては、n型MOSトランジスタ131nをオフする大きさの接地電位を制御端子3cに印加すると、p型MOSトランジスタ131pとn型MOSトランジスタ131nが同時にカットオフされる。カットオフされたCMOSトランスミッションゲート131の出力端3bは、電源電圧線134と制御端子3cのいずれからも切り離されてカットオフ状態となり、ハイインピーダンス(Hi−Z)状態となる。また、制御端子3cを開放状態にすると、n型MOSトランジスタ131nとp型MOSトランジスタ131pは双方ともオンし、入力端3aと同じレベルの信号が出力端3bから出力される。
【0022】
第1、第2のカット素子3A、3Bにおいて、制御端子3cは、初期状態で電気的に他の配線やパッドから開放されるオープン状態に設定され、カット素子3に入力した論理信号を出力端から出力するようにカット素子3の出力を制御する。また、制御端子3cは、初期状態では、抵抗素子125、133でプルアップされる。なお、制御端子3cを抵抗素子でプルダウンし、論理回路を切断したい時に電源電圧Vddに結線する回路であってもよい。
【0023】
以上のようなカット素子3(3A、3B)を有する半導体回路のオリジナル回路設計、即ち初期設計状態では、
図1(a)に示すような回路構成となる。即ち、カット素子3の入力端3aは第1配線2を介して第1のAND回路1の出力端に接続される一方、出力端3bは第2配線4を介してフリップフロップ回路5の入力端に接続されていて、その他の回路、配線から切り離されている。
【0024】
従って、
図1(a)においては、第1のAND回路1の出力信号(論理信号)は、第1配線2、カット素子3及び第2配線4を介してそのままフリップフロップ回路5に入力する。また、第2のAND回路8の出力端は、第4配線9を介して他の回路(不図示)に接続されるか、他の回路に接続されずにオープン状態になっている。
【0025】
このような半導体回路において、フリップフロップ回路5の入力端に入力する論理信号の伝搬元を第1のAND回路1から第2のAND回路7に切り換えるためには、
図1(b)に示すように回路設計を変更する必要がある。そのような回路変更を行うために、第2配線4と第4配線9を接続する第5配線10aを新たに形成するとともに、カット素子3の制御端子3cと接地配線7を接続する第6配線10bを新たに形成する。第1〜第4配線2、4、6、9の形成に加えて第5配線10a、第6配線10bを形成する場合には、一般に配線形成用の露光マスク(レチクル)を作り替える。しかし、本実施形態では、次のように露光マスクを変更せずにそのまま使用する方法を採用する。
【0026】
図4(a)〜(e)は、
図1に示す第2配線4と第4配線9を接続する工程を断面で示している。まず、
図4(a)に示すように、半導体基板であるシリコン基板11の上方に絶縁膜12を形成した後に、絶縁膜12の上にアルミニウム、アルミニウム合金などの金属膜13を形成する。その後に、金属膜13の上に例えばネガ型のフォトレジスト14を塗布する。フォトレジスト14として、エキシマレーザと電子ビームの双方による露光が可能な材料、例えば化学増幅レジストを使用する。
【0027】
次に、フォトレジスト14が形成されたシリコン基板11を露光装置のステージに取り付ける。さらに、
図4(b)に示すように、修正無しの従前のレチクル、即ち露光マスク15を用いてフォトレジスト14を露光する。この場合の露光光として例えばKrFエキシマレーザ或いはArFエキシマレーザを使用する。これにより、導電パターンである接地配線7と制御端子3cを形成するための潜像14a、14bがフォトレジスト13に形成される。この工程では、特に図示しないが、
図1(b)に示す第1〜4配線2、4、6、9等の配線の潜像も同時に形成される。
【0028】
次に、
図4(c)に示すように、シリコン基板11を電子ビーム露光装置内のステージ上に移し、フォトレジスト14に電子ビーム(EB)を照射して二重露光を行う。これにより、接地配線7と制御端子3cを接続する第6配線10bを形成するための潜像14cが形成される。この場合、特に図示しないが、第2配線4と第4配線9を接続する第5配線10aを形成するための潜像も同時に形成される。
【0029】
この後に、現像、乾燥などを施すことにより、
図4(d)に示すように、潜像14a、14b、14cを顕像化してレジストパターン14dを形成する。次に、
図4(e)に示すように、レジストパターン14dをマスクにして金属膜12をエッチングすることにより、金属パターン13pが形成される。金属パターン13pには、制御端子3c、接地配線7及びこれらを電気的に接続する第6配線10bが含まれる。金属パターン13pには、第1〜第4配線2、4、6、9も含まれ、さらに第2配線4と第4配線9を電気的に接続する第5配線10aが含まれる。
【0030】
これにより、配線を形成するための露光マスクを改版せずにそのまま使用し、さらにEB露光を加えるだけで
図1(a)に示す半導体回路を
図1(b)に示す半導体回路に変更することができ、露光マスクの再作成のための時間と費用を軽減し、改訂された半導体装置を形成することができる。なお、露光マスクを使用するマスク露光は、電子線を使用するEB露光の後であってもよい。
【0031】
以上のような論理回路同士の配線接続の切り替えは、フリップフロップ回路5に対するAND回路1、8の接続変更に限るものではない。例えば、
図5に示すように、論理回路であるバッファ回路25の入力端に接続された第1のフリップフロップ回路21を第2のフリップフロップ回路28に接続変更する場合に上記と同様な方法を適用してもよい。
【0032】
図5において、第1のフリップフロップ回路21の出力端は、第1配線22、カット素子3及び第2配線24を介してバッファ回路25の入力端に接続されている。第2のフリップフロップ回路28の出力端には第4配線29が接続されている。また、第1、第2のフリップフロップ回路21、28のクロック端にはクロック信号CLKを送るための第5配線30が接続されている。第1のフリップフロップ回路21の入力端には第1論理回路23が接続され、第2のフリップフロップ回路28の入力端には第2論理回路27が接続されている。
【0033】
図5において、実線で示す第1〜第5配線22、24、26、29、30は、オリジナル回路に使用される配線であり、破線で示す第6、第7配線20a、20bは、修正回路に使用される配線である。本実施形態では、それらの配線は、同じレジストパターンを使用して導電膜をエッチングすることにより形成される。即ち、
図4に示すと同様に、第1〜第5配線22、24、26、29、30に対応する金属パターンは露光マスクを用いて形成され、第6、第7配線20a、20bに対応する金属パターンはEB露光法を使用して形成される。
【0034】
これにより、第2配線23と第5配線29は、EB露光領域に形成される第6配線20aを介して接続される。また、カット素子3の制御端子3cは、EB露光領域に形成される第7配線20bを介して接地配線7に接続されて接地電位に設定される。
【0035】
従って、第1論理回路23に接続された第1のフリップフロップ回路21の出力端は、第7配線20bを介して制御端子3cが接地電位に設定されたカット素子3によりバッファ回路25との接続が遮断される一方、第2論理回路27に接続された第2のフリップフロップ回路28の出力端は第6配線20aを介してバッファ回路25の入力端に接続される。
【0036】
次に、
図6を参照し、上記と同様なEB露光による配線の追加によって論理回路の接続の変更を行う例を説明する。
【0037】
図6の実線で示すように、第1のAND回路31aは、第1配線32a、第1のカット素子33a、第2配線34aを介して第1のフリップフロップ回路35aに接続され、第1のフリップフロップ回路35aの出力端には第3配線36aが接続されている。さらに、第2のAND回路31bは、第4配線32b、第2のカット素子33b、第5配線34bを介して第2のフリップフロップ回路35bに接続され、第2のフリップフロップ回路35bの出力端には第6配線36bが接続されている。それらはオリジナルの回路であり、これに
図6の破線で示す第7〜第10配線40a、40b、40c、40dが追加して形成される。
【0038】
図6において、第1〜第10配線32a、34a、36a、32b、34b、36b、40a、40b、40c、40dは、同じレジストパターンを使用して金属膜をパターニングすることにより形成される。それらのうち、第1〜第6配線32a、34a、36a、32b、34b、36bは、同じレジストパターンのうち露光マスク(レチクル)を使用して露光されるパターン(不図示)である。また、第7〜第10配線40a、40b、40c、40dは、
図4に示すと同様に、EB露光を追加することにより形成されるパターンである。追加されるEB露光は、露光マスクによる露光の後、或いはその前に行われる。
【0039】
第8、第10配線40b、40dの形成により、第1、第2のカット素子33a、33bの制御端子3cは接地配線37a、37bに接続されるので、それらの電圧は接地電位に設定される。この結果、第1、第2のカット素子33a、33bの出力端は
図2(b)に示すようにハイインピーダンスとなる。このため、第1のAND回路31aから第1のフリップフロップ35aへの出力が遮断され、さらに、第2のAND回路31bから第2のフリップフロップ35bへの出力が遮断される。また、EB露光により追加された第7、第9配線40a、40cにより、第1のAND回路31aは第2のフリップフロップ35aの入力端に接続され、さらに、第2のAND回路31bは第1のフリップフロップ35bの入力端に接続される。これにより、設計変更が行われていないオリジナルの露光マスクをそのまま使用し、EB露光を追加するだけで論理回路の接続変えを行うことができる。
【0040】
次に、
図7を参照し、EB露光の追加により形成される配線によって遅延時間調整を行うことができる半導体集積回路の例を説明する。
【0041】
図7において、AND回路41は、第1配線42、カット素子43、第2配線44を介してフリップフロップ回路45に接続され、フリップフロップ回路45の出力端には第3配線46が接続されている。第1配線42と第2配線44は、オリジナルの配線である。また、
図7において破線で示す第4配線48、第5配線49は、オリジナル回路に追加される配線である。即ち、第1〜第5配線42,44、46、48、49は同じレジストパターンを使用してパターニングされるが、第1〜第3配線42,44、46は露光マスクを使用して露光される部分であり、第4、第5配線48、49は追加のEB露光により露光される部分である。
【0042】
図7において、EB露光の追加により第4配線48を形成してカット素子43の制御端子3cを接地配線47に接続すると、制御端子3cは接地電位となるので、
図2に示すと同様にカット素子43の出力はハイインピーダンスとなる。このため、AND回路41から出力したデータはカット素子43により遮断されてフリップフロップ回路45に出力されない状態となる。また、第6配線49は、第1配線42、カット素子43、第2配線44を通過することにより生じる信号の遅延よりもさらに遅い遅延時間が確保できる長さに形成される。このため、AND回路41の出力端からフリップフロップ回路45の入力端に到達する信号をオリジナルよりも遅延することができ、到達時間が調整されることになる。
【0043】
これにより、配線を形成するための露光マスクを改版せずにそのまま使用し、さらにEB露光を加えるだけで遅延時間を修正することができ、露光マスクの再作成のための時間と費用を軽減して改訂された半導体装置を形成することができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
図8は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法により形成される半導体集積回路を示している。なお、
図8において、
図1と同じ符号は同じ要素を示している。
図8では、
図1(a)に示すと同様に、論理回路として第1のAND回路1、第2のAND回路8及びフリップフロップ回路5を有する半導体回路がシリコン基板(不図示)に形成される。第1のAND回路1は2つの入力端を有し、その出力端は、第1配線2、カット素子3、第2配線4を介してフリップフロップ回路5の入力端に接続されている。第1配線2、第2配線4は、オリジナルの配線である。第2のAND回路8は、予めシリコン基板に形成されるスペアセルであるが、オリジナルの状態では、その入力端と出力端となる配線が形成され、その入力端と出力端には論理回路が接続されていない。
【0045】
このような半導体回路において、フリップフロップ回路5に接続されるAND回路1の入力数を「3」に変更し、追加する1つの入力端にスペアセルである追加論理回路50を接続するように要求されることがある。この場合には、
図4に示すと同様に、第1〜第3配線2、4、6の形成に使用される露光マスクをそのまま使用してフォトレジストを露光し、その露光の前又は後に、EB露光を追加して第4〜第8配線9a、10b、10e、10f、10gの形成に必要な潜像を形成する。
【0046】
第5配線10bは、カット素子3の制御端子3cと接地配線7を接続する配線である。また、第6、第7配線10e、10fは、第2のAND回路8の3つの入力端8a、8b、8cのうちの2つを第1のAND回路1の2つの入力端に並列に接続する配線である。さらに、第4配線9aは、第2のAND回路8の出力端とフリップフロップ回路5の入力端を接続する配線である。第8配線10gは、第2のAND回路8の残りの入力端8cを追加論理回路50の出力端に接続する配線である。
【0047】
これにより、カット素子3の出力はハイインピーダンス状態となり、第1のAND回路1とフリップフロップ回路5の間の接続は遮断され、第2のAND回路8とフリップフロップ回路5は第4配線9aを介して接続される。また、第1のAND回路1の2入力は、第5、第6配線10e、10fを介して第2のAND回路8の入力端に接続される。
【0048】
3入力の第2のAND回路8は、
図9に示すように複数のMOSトランジスタから形成されている。即ち、第2のAND回路8は、並列に接続した3つのp型MOSトランジスタ51a、51b、51cに3個のn型MOSトランジスタ52a、52b、52cを直列に接続した回路を有する。この回路において3つのn型MOSトランジスタ52a、52b、52cのゲートを入力端8a、8b、8cとする。また、3つのp型MOSトランジスタ51a、51b、51cのドレインとこれに接続される1つのn型MOSトランジスタ52aのドレインの接続部分をCMOSトランジスタ53のゲートに接続し、CMOSトランジスタ53のp型MOSトランジスタ53pとn型MOSトランジスタ53nの互いに接続されるドレイン側のアノードを第2のAND回路8の出力端8dとしている。
【0049】
なお、
図9に示す論理回路において、p型MOSトランジスタ51a、51b、151cのドレインとCMOSトランジスタ53の入力端の間を接続する配線のうち破線で囲んだ部分に
図2に示すカット素子3を接続してもよい。即ち、カット素子3は、上記のように論理回路の入出力端に接続されるだけでなく、論理回路の内部配線に配置されてもよい。
【0050】
ところで、第2のAND回路8の出力端8dに第4配線9aを接続する方法として次のような工程を採用してもよい。
【0051】
図10(a)は、スペアセルとして形成された第2のAND回路8における出力段のCMOSトランジスタ53と一層目配線、二層目配線を示す断面図である。CMOSトランジスタ53のp型MOSトランジスタ53pは、シリコン基板61において素子分離絶縁層62に囲まれるn型ウエル61nに形成される。また、CMOSトランジスタ53のn型MOSトランジスタ53nは、素子分離絶縁層62に囲まれたp型ウエル61pに形成される。
【0052】
p型MOSトランジスタ53pは、シリコン基板61上にゲート絶縁膜63を介して形成される第1ゲート電極64と、第1ゲート電極64の両側のシリコン基板1内に形成されるp型ソース領域65s、p型ドレイン領域65dを有している。n型MOSトランジスタ53nは。シリコン基板61上にゲート絶縁膜63を介して形成される第2ゲート電極66と、第2ゲート電極66の両側のシリコン基板61内に形成されるn型ソース領域67s、n型ドレイン領域67dを有している。
【0053】
そのような状態で、シリコン基板61の上に、p型MOSトランジスタ53p、n型MOSトランジスタ53n及び素子分離絶縁層62を覆う第1層間絶縁膜68が形成されている。第1層間絶縁膜68のうちp型ソース領域65s、p型ドレイン領域65d、n型ソース領域67s及びn型ドレイン領域67dのそれぞれの上にはコンタクトホールが形成され、それらの中に導電性プラグ69a、69b、69c、69dが形成されている。第1層間絶縁膜68の上には、第1〜第4の二層目配線70a〜70dが形成されている。第1、第2の二層目配線70a、70bは、p型MOSトランジスタ53p、n型MOSトランジスタ53nの外側に形成されている。
【0054】
第3、第4の二層目配線70c、70dは、導電性プラグ69b、69dを介してp型MOSトランジスタ53pとn型MOSトランジスタ53nのソース領域65s、69sのそれぞれに接続されている。第3の二層目配線70cは、
図9に示したCMOSトランジスタ53のうち電源電圧Vddに接続される。第4の二層目配線70dは、
図9に示したCMOSトランジスタ53のうち接地線に接続される配線の一部となる。また、導電性プラグ69a、69cを介してp型MOSトランジスタ53pとn型MOSトランジスタ53nのドレイン領域65d、69dに電気的に接続される第5の二層目配線70eが形成される。第5の二層目配線70eは、
図8に示した第2のAND回路8の出力端8dとなる。なお、スペアセルの配線としては、図に示す二層目配線までの積層構造に限られるものではなく、三層以上の配線構造であってもよい。
【0055】
次に、
図10(b)に示すように、第1層間絶縁膜68と第1〜第5の二層目配線70a〜70eの上に第2層間絶縁膜72としてシリコン酸化膜をCVD法により形成する。その後、第2層間絶縁膜72上にネガ型のフォトレジスト73を塗布し、露光マスク74を用いて露光する。これにより、第1、第2の二層目配線70a、70bの上方に第1、第2ビアホール潜像73a、73bを形成する。その後に、
図10(c)に示すように、EB露光により第5の二層目配線70eの上方に第3ビアホール潜像73cを形成する。
【0056】
次に、
図10(d)に示すように、フォトレジスト73を現像し、ベーク等を施すことにより、第1〜第3ビアホール潜像73a〜73cを顕像化して第1〜第3の開口部71a〜71cを形成する。これにより、レジストパターン73pが形成される。その後に、
図10(e)に示すように、第1〜第3の開口部71a〜71cを通して第2層間絶縁膜72をエッチングすることにより、ビアホール72a〜72cを形成した後に、レジストパターン73pを除去する。
【0057】
次に、
図11(a)に示すように、ビアホール72a〜72c内に、チタン層、タングステン層を有する導電性のビア76a〜76cを形成する。その後に、
図11(b)に示すように、第2層間絶縁膜72及びビア76a〜76cの上に金属膜77、例えばアルミニウムを形成した後に、その上にポジ型のフォトレジスト78を塗布する。そして、露光マスク79を使用してフォトレジスト78を露光し、三層目配線形成用パターン潜像78a、78bを形成する。さらに、
図11(c)に示すように、EB露光によりフォトレジスト78のうち第5配線70eの上の第3ビア76cの上を通る配線、即ち
図8に示す第4配線9aを形成するためのパターン潜像78cを形成する。
【0058】
この後に、
図11(d)に示すように、フォトレジスト78を現像し、さらにベーク等の処理を施すことにより、パターン潜像78a〜78cを顕像化し、レジストパターン78pを形成する。
【0059】
次に、
図11(e)に示すように、レジストパターン78pをマスクにして金属膜77をエッチングし、これによりレジストパターン78pの下に残された金属膜77を第1〜第3の三層目配線77a〜77cとして使用し、その後にレジストパターン78pを除去する。ここで、p型MOSトランジスタ53pとn型MOSトランジスタ53nのドレイン領域65d、69dに電気的に接続される第3の第三層目配線77cは、例えば
図8に示す第4配線9aとして使用される。また、第2の第三層目配線77bは、例えば、
図8に示す第5配線10bとして使用される。
【0060】
上記のようにEB露光が追加されたレジストパターンを使用することにより、
図8に示す第4配線9aは、第5の二層目配線70e、第3のビア76cを介して第2のAND回路8の出力端8dに接続されることになる。
【0061】
以上のように、配線、ビアを形成するための露光マスク74、79を改版せずにそのまま使用し、さらにEB露光を追加するだけで
図8の破線に示す配線を追加して形成することができ、露光マスクの再作成のための時間と費用を軽減して改訂された半導体装置を形成することができる。
【0062】
EB露光によるパターン修正用の追加データは、露光マスクを使用して形成されるオリジナルの半導体回路のパターンデータとCAD上で識別するために、層毎のレイヤコード(Layer Code)などを分けて設計データを作製する。その設計データに基づいてEB露光装置に露光データを入力する。
【0063】
図10、
図11に示した半導体装置では、p型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタは、既にシリコン基板に形成されているECO(Engineering Change Order)用のスペアセルを使用している。しかし、そのようなセルパターンは、追加のEB露光を用いるフォトリソグラフィー法によりポリシリコン、絶縁膜、金属膜などをパターニングにすることによりシリコン基板61の空き領域に形成してもよい。
【0064】
図12は、
図5に示したと同様に、半導体基板に形成された第1フリップフロップ回路21、カット素子3、バッファ回路35、第2フリップフロップ回路28、接地配線7を有する半導体回路を示している。第1フリップフロップ回路21の出力端は、第1配線22、カット素子3、第2配線24を介してバッファ回路25の入力端に接続される。バッファ回路25の出力端には第3配線26が接続されている。第1フリップフロップ回路21の入力端に接続されている第1論理回路23を第2論理回路27に変更したい場合には、
図12の破線に示す配線を追加する。
【0065】
即ち、第2フリップフロップ回路28の出力端に繋がる第4配線20aを新たに追加する。さらに、カット素子3の制御端子3cを接地配線7に接続する第5配線20bを新たに追加する。さらに、第1フリップフロップ回路21のクロック端に接続する第1クロック配線29bを第2フリップフロップ回路28のクロック端に接続するために、第1クロック配線29bに接続する第2クロック配線20cを新たに形成する。さらに、第2フリップフロップ回路28の入力端と第2論理回路27の出力端を接続する第6配線20dを新たに形成する。
【0066】
第4〜第6配線20a、20b、20dと第2クロック配線20cの形成は、第1〜第3配線22、24、26と同じレジストパターンを使用して同じ工程で形成される。そのレジストパターンでは、第1〜第3配線22、24、26を形成するためのレジストパターンは露光マスクをオリジナルから変更せずにそのまま使用してフォトレジストを露光して形成される。さらに、第4〜第6配線20a、20b、20dと第2クロック配線20cを形成するためのレジストパターンは、電子ビーム(EB)を追加してフォトレジストを露光する。
【0067】
このような二重露光を採用すると、露光マスクを改版せずにそのまま使用し、さらにEB露光を加えるだけで、第2論理回路27から出力される論理信号が第2フリップフロップ回路28を介してバッファ回路25に伝搬することができる。しかも、露光マスクの再作成のための時間と費用を軽減して改訂された半導体装置を形成することができる。
【0068】
(第3の実施の形成)
図13(a)〜(b)は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法のうち配線形成工程を示す平面図である。
【0069】
まず、
図13(a)に示すように、シリコン基板(不図示)上方に形成された絶縁膜81の上に金属膜82を形成し、さらにその上にフォトレジスト83を塗布する。この後に、
図4に示したと同様に、オリジナルの露光マスクを使用して第1配線パターン用潜像83aと第2配線パターン潜像83bを形成するともに、それらの間の領域に縦横に形成される複数のダミーパターン潜像83cを形成する。
【0070】
次に、
図13(b)に示すように、設計変更によって必要が生じた追加配線を形成するために、EB露光により第3配線パターン潜像83dを形成する。第3配線パターン潜像83dは、ダミーパターン潜像83cの隙間を通って第1、第2配線パターン潜像83a、83bに接続される形状を有している。この後に、
図13(c)に示すように、フォトレジスト83を現像し、さらにベークなどを施すことにより第1〜第3配線パターン用潜像83a、83b、83dとダミーパターン潜像83cを顕像化してレジストパターン83Pを形成する。
【0071】
さらに、レジストパターン83Pをマスクに使用して金属膜82をエッチングした後に、レジストパターン83Pを除去する。これにより、
図13(d)に示すように、絶縁膜81の上には、第1配線82aと、第2配線82bと、それらの間の領域に間隔をおいて配置される複数のダミーパターン82cと、ダミーパターン82cの隙間を通って第1配線82aと第2配線82bを接続する追加配線82dが形成される。なお、第1、第2配線82a、82bとして例えば
図1(b)に示す第2、第4配線4、9が該当し、追加配線82dとして
図1(b)に示す第5配線10aが該当する。
【0072】
このような二重露光を採用すると、露光マスクを改版せずにそのまま使用し、さらにEB露光を加えるだけで第1配線82aと第2配線82bを接続する追加配線82dを形成することができるので、露光マスクの再作成のための時間と費用を軽減して改訂された半導体装置を形成することができる。
【0073】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈され、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができると理解される。
【0074】
次に、実施形態について付記する。
(付記1)第1制御電圧が印加された状態で入力端に入力した論理信号を出力端から出力し、第2制御電圧が印加された状態で前記出力端からの出力を遮断するカット素子を有する半導体装置の製造方法において、半導体基板の上方に導電膜を形成する工程と、前記導電膜上にフォトレジストを塗布する工程と、露光マスクを使用して前記フォトレジストをマスク露光する工程と、電子線照射により前記フォトレジストを電子線露光する工程と、前記マスク露光および前記電子線露光を行った後、前記フォトレジストを現像することによりレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンをマスクにして前記導電膜をエッチングし、前記導電膜の導電パターンを形成する工程と、を含み、前記電子線露光を使用して形成される前記導電パターンは、前記カット素子に前記第2制御電圧を印加する第1配線を含む、ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記2)前記カット素子の前記出力端に接続される第1論理回路と、前記カット素子の前記出力端に対して初期状態で非接続の第2論理回路とを有し、前記第1論理回路の入力端と前記第2論理回路の出力端を電気的に接続する第2配線が前記電子線露光の領域の前記導電パターンに含まれることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3)前記カット素子は、前記第2制御電圧の印加により前記出力端をハイインピーダンスにする回路を有していることを特徴とする付記1又は付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4)前記カット素子の前記第1制御電圧は、抵抗素子を介してプルアップされる電圧であり、前記第2制御電圧は接地電圧であることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記5)前記カット素子の前記第1制御電圧は、抵抗素子を介してプルダウンされる電圧であり、前記第2制御電圧は電源電圧であることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記6)前記カット素子は、論理回路内に内蔵されていることを特徴とする付記1乃至付記5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記7)前記マスク露光は、オリジナル半導体回路を形成するために使用され、前記電子線露光は、修正回路を形成するために使用されることを特徴とする付記1乃至付記6のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記8)前記電子線露光の設計データは、前記露光マスクを使用して形成される回路のデータから分けて作成されることを特徴とする付記1乃至付記7のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記9)前記露光マスクは間隔をおいて複数のダミーパターンを形成するための露光に使用され、前記電子線露光は、前記ダミーパターンの前記間隔に第3配線を形成するために使用されることを特徴とする付記1乃至付記8のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。