(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
硬化性組成物
【0016】
先ず、本発明の硬化性組成物の構成成分について説明する。
【0017】
−成分(A)−
本発明の硬化性組成物は、成分(A)として着色剤を含有する。
(A)着色剤としては、着色性を有すれば特に限定されるものではなく、硬化性組成物の用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。例えば、本発明の硬化性組成物をカラーフィルタの着色画素の形成に用いる場合、(A)着色剤として、顔料及び染料から選ばれる少なくとも1種を適宜選択して使用することが可能である。顔料及び染料は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。中でも、顔料を含む硬化性組成物から得られる着色画素が、平滑性、耐溶剤性の点で、より顕著な効果が見られることから、顔料が好ましい。
【0018】
顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれでもよい。有機顔料としては、例えば、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0019】
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー211等の黄色顔料;
【0020】
C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ68、C.I.ピグメントオレンジ70、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ72、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントオレンジ74等の橙色顔料;
【0021】
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272等の赤色顔料;
【0022】
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38等の紫色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー80等の青色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25等の茶色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等の黒色顔料。
【0023】
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック等を挙げることができる。
【0024】
本発明においては、顔料として、レーキ顔料を使用することができる。「レーキ顔料」とは、可溶性である染料を沈殿剤により不溶性にしたものをいい、沈殿剤としては、例えば、塩化バリウム、塩化カルシウム、硫酸アンモニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、酢酸鉛、タンニン酸、カタノール、タモール、イソポリ酸、ヘテロポリ酸等を挙げることができる。レーキ顔料としては、例えば、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0025】
C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー61:1、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー133、C.I.ピグメントイエロー169、C.I.ピグメントイエロー183、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー191:1、C.I.ピグメントイエロー206、C.I.ピグメントイエロー209、C.I.ピグメントイエロー209:1、C.I.ピグメントイエロー212;
【0026】
C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド48:5、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド49:3、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド54、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド58、C.I.ピグメントレッド58:1、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:3、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド63:3、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド200、C.I.ピグメントレッド237、C.I.ピグメントレッド239、C.I.ピグメントレッド247;
【0027】
C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット3:1、C.I.ピグメントバイオレット3:3、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット39;
C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー10、C.I.ピグメントブルー14、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー24、C.I.ピグメントブルー24:1、C.I.ピグメントブルー56、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー62;
C.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4。
【0028】
顔料を使用する場合、所望により、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより、顔料を精製して使用することもできる。顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の改質に使用する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂を挙げることができる。顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用してもよい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
【0029】
着色剤として顔料を使用する場合、所望により、分散剤、分散助剤と共に使用することができる。
【0030】
分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の適宜の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等を挙げることができる。このような分散剤は商業的に入手することが可能であり、アクリル系共重合体として、例えば、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324(以上、ビックケミー(BYK)社製)を、ポリウレタンとして、例えば、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182、Disperbyk−2164(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール社製)を、ポリエチレンイミンとして、例えば、ソルスパース24000(ルーブリゾール社製)を、ポリエステルとして、例えば、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880(味の素ファインテクノ社製)を、それぞれ挙げることができる。なお、分散剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜決定することが可能である。
【0031】
分散助剤としては、例えば、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。分散助剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜決定することが可能である。
【0032】
染料としては、油溶性染料、直接染料、酸性染料、金属錯体染料等の各種染料の中から適宜選択して使用することができる。染料としては、例えば、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0033】
C.I.ソルベントイエロー4、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー24、C.I.ソルベントイエロー82、C.I.ソルベントイエロー88、C.I.ソルベントイエロー94、C.I.ソルベントイエロー98、C.I.ソルベントイエロー162、C.I.ソルベントイエロー179;
C.I.ソルベントレッド45、C.I.ソルベントレッド49;
C.I.ソルベントオレンジ2、C.I.ソルベントオレンジ7、C.I.ソルベントオレンジ11、C.I.ソルベントオレンジ15、C.I.ソルベントオレンジ26、C.I.ソルベントオレンジ56;
C.I.ソルベントブルー35、C.I.ソルベントブルー37、C.I.ソルベントブルー59、C.I.ソルベントブルー67。
【0034】
(A)着色剤の含有量は、平滑性、耐溶剤性に優れる着色画素を得やすい点から、本発明の硬化性組成物の固形分中に、35質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、45質量%以上が更に好ましい。上限は、通常、80質量%以下である。「固形分」とは、本発明の硬化性組成物に含まれる成分であって、後述する溶剤以外の成分をいう。
【0035】
−成分(B)−
本発明の硬化性組成物は、成分(B)として酸又は酸発生剤を含有する。
「酸発生剤」とは、熱又は光により酸を発生する化合物をいう。本発明において、成分(B)は、後述する成分(C)の−CH
2−O−R
1基に作用することにより、架橋構造を形成して硬化させる機能を有する。そして、架橋構造の形成された塗膜は、現像液に易溶の状態から現像液に難溶の状態に変化することを利用して、ネガ型のパターンを形成することができる
【0036】
酸としては、有機酸、無機酸のいずれでも使用することができるが、有機酸が好ましい。
有機酸としては、例えば、脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸を挙げることができる。
【0037】
脂肪族カルボン酸としては、例えば、
ぎ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルこはく酸、テトラメチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸
を挙げることができる。
【0038】
芳香族カルボン酸としては、例えば、
安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類;
トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリット酸等の3価以上の芳香族ポリカルボン酸
を挙げることができる。
【0039】
本発明においては、フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロけい皮酸、マンデル酸、フェニルこはく酸、アトロパ酸、けい皮酸、シンナミリデン酸、クマル酸、ウンベル酸等のカルボキシ基が炭素鎖を介してフェニル基に結合したカルボン酸等も使用することもできる。
【0040】
本発明においては、有機酸として、1分子中に1個以上の酸性基を有する重合体も使用することができる。酸性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。このような酸性基を有する重合体として、例えば、当該技術分野において、通常アルカリ可溶性重合体として使用されている、1個以上の酸性基を有する(メタ)アクリル系単量体(以下、「不飽和単量体(b1)」という。)と、該単量体とラジカル共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2)」という。)との共重合体を挙げることができる。
【0041】
不飽和単量体(b1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−イソプロペニルフェノールを挙げることができる。これら不飽和単量体(b1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0042】
また、不飽和単量体(b2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
【0043】
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたパラクミルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
【0044】
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンにモノ(メタ)アクリロイル基を有するモノマー等を挙げることができる。
なお、不飽和単量体(b2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0045】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)との共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。
【0046】
また、不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)との共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す)で測定した重量平均分子量(Mw)が、通常1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000であり、重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、Mw及びMnは、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量である。
【0047】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)との共重合体は、公知の方法により製造することが可能であり、また特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号等に記載の方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0048】
酸発生剤としては、熱酸発生剤、光酸発生剤を挙げることができる。
「熱酸発生剤」は、熱により酸が発生する化合物であるため、酸又は熱酸発生剤を含有する硬化性組成物は、非感光性となるが、「光酸発生剤」は、露光光の照射により酸を発生する化合物であるため、光酸発生剤を含有する硬化性組成物は、感光性の硬化性組成物としても使用することができる。
【0049】
熱酸発生剤は、露光光の照射により実質的に酸を発生せず、熱によって酸を発生する化合物が好ましい。熱酸発生剤の熱分解点は、通常130℃〜250℃、好ましくは150℃〜220℃の範囲である。なお、露光光の照射により実質的に酸を発生するか否かは、例えば、光照射の前後での化合物のIRスペクトル、NMRスペクトルの変化の有無により判定することができる。
【0050】
熱酸発生剤は、加熱により、例えば、スルホン酸、カルボン酸、ジスルホニルイミド等の低求核性の酸が発生する。
熱酸発生剤の具体例としては、例えば、スルホニウム塩やヨードニウム塩等のオニウム塩、N−ヒドロキシイミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート、o−ニトロベンジルスルホネート等を挙げることができる。中でも、好適な熱酸発生剤として、下記式(6)で表されるスルホン酸エステルを挙げることができる。
【0052】
(式(6)において、R
6及びR
7は、相互に独立に、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜20のアリール基を示す。)
【0053】
R
6及びR
7におけるアルキル基は、直鎖、分岐鎖及び環状のいずれでもよい。直鎖又は分岐鎖のアルキル基の炭素数は、通常1〜10であるが、好ましくは1〜8である。直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基を挙げることができる。また、環状アルキル基の炭素数は、通常3〜10であるが、好ましくは3〜6である。例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基を挙げることができる。
R
6及びR
7におけるアルキル基及びアリール基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、ビニル基、アセチレン基等が挙げられ、更にアリール基は、炭素数1〜10の直鎖又は環状のアルキル基で置換されていてもよい。
【0054】
上記式(6)で表されるスルホン酸エステルの具体例としては、下記の化合物群αに記載の化合物が挙げられる。なお、化合物群αにおいて、Phはフェニル基を示す。
【0056】
また、スルホン酸エステルとして、下記式(7)で表される化合物も好ましい。なお、当該スルホン酸エステルの分子量は、通常230〜1000、好ましくは230〜800である。
【0058】
(式(7)において、
Xは、d価の連結基を示し、
R
8は、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、
R
9は、水素原子、アルキル基、又はアラルキル基を示し、
hは、2〜8の整数を示す。)
【0059】
Xとしてのd価の連結基は、例えば、アルカンジイル基、シクロアルキレン基、アリーレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、及びこれらの基の組み合わせから選ばれる2価の基の任意の水素原子をd−2個除いた基を挙げることができる。
アルカンジイル基の炭素数は1〜6が好ましく、例えば、メチレン基、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイル基を挙げることができる。
シクロアルキレン基の炭素数は、炭素数6〜10が好ましく、例えば、シクロへキシレン基、シクロペンチレン基が挙げられる。
アリーレン基としては、炭素数6〜14が好ましく、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ナフチレン基が挙げられる。
Xの炭素数は、通常1〜15であり、好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜6である。
【0060】
R
8及びR
9のアルキル基は、直鎖、分岐鎖及び環状のいずれでもよい。直鎖又は分岐鎖のアルキル基の炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、更に好ましくは1〜8である。直鎖又は分岐鎖のアルキル基の具体例としては、例えば、前述と同様のものの他、デシル基、ドデシル基を挙げることができる。また、環状アルキル基の炭素数は、通常3〜20、好ましくは4〜20、更に好ましくは5〜15である。環状アルキル基としては、例えば、前述と同様のものの他、ノルボルニル基、樟脳基を挙げることができる。
【0061】
R
8及びR
9のアラルキル基の炭素数は、通常7〜25、好ましくは7〜20、更に好ましくは7〜15である。具体的には、例えば、ベンジル基、トルイルメチル基、メシチルメチル基、フェネチル基を挙げることができる。
【0062】
Xとしての連結基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10のアルキル基)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜15のアラルキル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜10のアリール基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜10のアリールオキシ基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜10のアルキルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜10のアリールチオ基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10のアシルオキシ基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基)を挙げることができる。
【0063】
中でも、R
8としては、アルキル基、アリール基が好ましく、R
9としては、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
【0064】
上記式(7)で表されるスルホン酸エステルの具体例としては、下記の化合物群β及びγに記載の化合物が挙げられる。
【0067】
上記式(6)又は(7)で表されるスルホン酸エステルは、市販品を用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いてもよい。例えば、塩基性条件下、スルホニルクロリド又はスルホン酸無水物を対応する多価アルコールと反応させることによりスルホン酸エステルを合成することができる。
【0068】
一方、光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物が挙げられる。中でも、平滑性、耐溶剤性に優れる着色画素を得やすい点から、オニウム塩化合物が好ましい。
【0069】
オニウム塩化合物としては、例えば、オニウム塩としては、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩が挙げられる。中でも、平滑性、耐溶剤性に優れる着色画素を得やすい点から、スルホニウム塩、ヨードニウム塩が好ましく、ヨードニウム塩が更に好ましい。
【0070】
スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムn−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロベンゼンスルホネート、トリナフチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリナフチルスルホニウム[2.2.1]ヘプタン−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリナフチルスルホニウムアダマンチル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート;
(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムn−オクタンスルホネート;
トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム10−カンファースルホネート;
(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート;
トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム10―カンファースルホネート、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、トリス(4−トリフルオロメチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート;
2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネートが挙げられる。
【0071】
ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムn−オクタンスルホネート;
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート;
(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウム10−カンファースルホネート;
ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート;
ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムパーフルオロベンゼンスルホネート;
ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロベンゼンスルホネートが挙げられる。
【0072】
ハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物等を挙げることができる。例えば、1,10−ジブロモ−n−デカン、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、スチリル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナフチル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(ピペロニル)−s−トリアジン等のs−トリアジン誘導体を挙げることができる。
【0073】
スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物及びこれらの化合物のα−ジアゾ化合物を挙げることができる。例えば、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェナシルスルホニル)メタンを挙げることができる。
【0074】
スルホン酸化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル類、ハロアルキルスルホン酸エステル類、アリールスルホン酸エステル類、イミノスルホネート類を挙げることができる。例えば、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルp−トルエンスルホネートを挙げることができる。
【0075】
スルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミドを挙げることができる。
【0076】
ジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタンを挙げることができる。
【0077】
酸又は酸発生剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
酸の含有量は、平滑性、耐溶剤性の向上の観点から、本発明の硬化性組成物の固形分中に、0.03〜15質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が更に好ましい。
一方、酸発生剤の含有量は、平滑性、耐溶剤性の向上の観点から、本発明の硬化性組成物の固形分中に、0.03〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が更に好ましい。
【0079】
本発明の硬化性組成物は、成分(C)として芳香環に直結する基であって、下記式(1)で表される基を有する化合物(以下、「(C)化合物」とも称する)を含有する。(C)化合物は、本発明の硬化性組成物において、成分(B)の作用により、下記式(1)で表される基が架橋反応を生起する化合物であり、架橋剤として機能する。
【0081】
(式中、
R
1は、炭素数2以上のアルキル基又は−COR
12で表される基を示し、
R
2は、炭素数2以上のアルキル基を示す。)
【0082】
R
1及びR
2におけるアルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。アルキル基の炭素数は、2以上であるが、その上限値は、20が好ましく、10がより好ましく、6が更に好ましい。アルキル基の具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。
【0083】
−COR
12で表される基としては、例えば、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基を挙げることができる。
【0084】
上記式(1)で表される基は、芳香環に直接結合しており、芳香環への結合位置及び数は任意であるが、硬化性の観点から、上記式(1)で表される基を2以上有することが好ましい。上記式(1)で表される基を2以上有する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0085】
芳香環としては、炭素数6〜20、更に炭素数6〜16の芳香族炭化水素環が好ましく、例えば、ベンゼン環等の単環式芳香族炭化水素環、インデン環、ナフタレン環等の縮合二環式芳香族炭化水素環、アントラセン環、フェナントレン環等の三環式以上の縮合多環式芳香族炭化水素環を挙げることができる。中でも、ベンゼン環が好ましい。
【0086】
(C)化合物としては、硬化性の観点から、フェノール化合物、ナフトール化合物、ヒドロキシアントラセン化合物が好ましく、中でも、フェノール化合物が好ましい。
【0087】
フェノール化合物としては、下記式(2)及び(3)で表される構造単位を含むものが好ましい。
【0089】
(式(2)において、
R
1は、前記と同義であり、
*は、結合手であることを示す。)
【0091】
(式(3)において、
R
2は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、
R
3は、炭素数1〜10の2価又は3価の炭化水素基を示し、
*は、結合手であることを示す。)
【0092】
R
2及びR
3における2価の炭化水素基としては、アルカンジイル基が挙げられ、直鎖でも分岐鎖でもよい。アルカンジイル基の炭素数は、1〜10であるが、1〜6が好ましい。具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。
【0093】
R
3における3価の炭化水素基としては、アルカントリイル基が挙げられ、その炭素数は、1〜10であるが、1〜6が好ましい。具体例としては、例えば、下記式(4)で表される基を挙げることができる。
【0095】
〔式(4)において、
R
4は、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し
a、b及びcは、相互に独立に、0〜6の整数を示し、
*は、結合手であることを示す。〕
【0096】
R
4における炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、該アルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。該アルキル基の具体例としては、前述と同様のものが挙げられ、中でも、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0097】
a、b及びcは、相互に独立に、0〜3の整数が好ましい。
【0098】
中でも、好適なフェノール化合物として、具体的には、下記式(5)で表される化合物を挙げることができる。なお、下記式(5)で表される化合物において、2つの−CH
2−O−R
1基は、芳香環上の水酸基が結合する炭素原子の隣接する2つの炭素原子にそれぞれ結合していることが好ましい。また、R
5におけるアルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。
【0100】
(式(5)において、
R
5は、相互に独立に、炭素数1〜4のアルキル基を示し、
R
1は、前記と同義である。)
【0101】
(C)化合物は、公知の適宜の方法により得ることができるが、例えば、上記式(5)で表される化合物は、−CH
2−O−R
1基をメチロール基に代えたフェノール化合物と、ホルムアルデヒドとを塩基性触媒存在下で反応させた後、アルコール中、酸触媒存在下で反応させることにより得ることができる。アルコールとしては、所望するR
1に対応するアルキル基を有するアルコールを用いればよい。具体的な操作方法は、特開平07−17888号公報の記載を参照することができる。なお、R
1として−COR
12で表される基を有するフェノール化合物は、アルコールの代わりに、対応するアシルハライドを用いればよい。
【0102】
本発明において、(C)化合物の含有量は、平滑性、耐溶剤性の向上の観点から、本発明の硬化性組成物の固形分中に、0.5〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、2〜5質量%が更に好ましい。
【0104】
本発明の硬化性組成物は、通常、溶剤を配合して液状組成物として調製される。溶剤は、成分(A)〜(C)、及び任意的に加えられる他の成分を均一に分散もしくは溶解させるために用いられる。本発明で使用する溶剤は、溶剤以外の成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜選択して使用することができる。溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0105】
このような溶剤としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0106】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0107】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類
を挙げることができる。
【0108】
これらの溶剤のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類が好ましく、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートが更に好ましい。
【0109】
溶剤の含有量は、通常、本発明の硬化性組成物から溶剤を除いた成分の合計濃度が、通常5〜70質量%、好ましくは10〜50質量%となる範囲内で用いられる。
【0110】
−添加剤−
本発明の硬化性組成物は、必要に応じて、成分(A)〜(C)以外に、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、多官能(メタ)アクリレート等の成分(C)以外の架橋剤;光重合開始剤;水素供与体;増感剤;ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤等を挙げることができる。
【0111】
本発明の硬化性組成物の調製方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。先ず、(A)着色剤を、溶剤中、必要に応じて(B)酸又は酸発生剤と共に、例えば、ビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合、分散して着色剤分散液を調製する。動的光散乱法で測定した着色剤分散液における着色剤の平均分散粒子径(d
50)は、通常1nm〜200nm、好ましくは30〜100nmである。次いで、この着色剤分散液に、(B)酸又は酸発生剤と、(C)化合物と、必要に応じて添加剤、更に追加の溶剤等を添加し、混合する。
【0112】
着色画素の形成方法
本発明の着色画素は、本発明の硬化性組成物を用い、好適にはフォトファブリケーションにより形成されるものである。「フォトファブリケーション」とは、感光性樹脂組成物を被加工物表面に塗布して塗膜を形成し、フォトリソグラフィ技術によって塗膜をパターニングし,これをマスクとして化学エッチング、電解エッチング等のエレクトロフォーミングを行って着色画素を製造する技術の総称である。
【0113】
本発明の着色画素の形成方法は、下記の工程(1)〜(5)を含むものであり、下記の順序で実施することが好ましい。
(1)基板上に本発明の硬化性組成物を塗布し、乾燥させて着色層を形成する工程。
(2)前記着色層を硬化させる工程。
(3)前記着色層上に感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて感光性樹脂層を形成し画像記録材料を形成する工程。
(4)前記感光性樹脂層を画像様に露光し、現像して前記感光性樹脂層にパターンを形成する工程。
(5)前記感光性樹脂層にパターンが形成された画像記録材料をドライエッチングして前記着色層にパターンを形成する工程。
【0114】
以下、これらの工程について説明する。
−工程(1)−
工程(1)は、基板の表面上に、本発明の硬化性組成物を塗布したのち、乾燥させて着色層を形成する工程である。
本工程で使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、窒化シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドを挙げることができる。なお、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0115】
硬化性組成物を基板に塗布する際には、回転塗布法、流延塗布法、ロール塗布法、スリットダイコーターを用いる塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、回転塗布法、スリットダイコーターを用いる塗布法が好ましい。
【0116】
また、乾燥する際には、必要により加熱処理することができる。加熱工程は、オーブン、ホットプレートなど公知の加熱手段を用い、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行うこともできる。加熱条件は、通常70〜180℃で1〜10分程度である。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。
【0117】
乾燥後の塗膜の膜厚は、通常0.6〜8μm、好ましくは1.2〜5μmである。
【0118】
−工程(2)−
工程(2)は、工程(1)で形成された着色層を硬化させる工程である。
本工程においては、通常、塗膜を熱硬化させる。加熱温度は、好ましくは130℃〜300℃、より好ましくは150℃〜280℃、更に好ましくは170℃〜260℃である。加熱時間は、好ましくは10秒〜3時間、より好ましくは30秒〜2時間、更に好ましくは60秒〜60分である。
【0119】
また、本発明の硬化性組成物が(B)酸発生剤として光酸発生剤を含有する場合、本発明の硬化性組成物を感光性組成物として使用することも可能であり、露光により硬化させることもできる。露光の際には、紫外線(g線、i線)、電子線、イオンビーム、X線等の放射線を使用することができる。放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができる。波長は、190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。放射線の露光量は、通常、10〜10,000mJ/cm
2 であるが、500〜2000mJ/cm
2が好ましい。
【0120】
このようにして着色層を形成することができるが、得られた着色層の膜厚は、通常0.3〜5μm、好ましくは1〜3μmである。
【0122】
工程(3)は、工程(2)により得られた着色層上に、感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて感光性樹脂層を形成し画像記録材料を得る工程である。
本工程で使用する感光性樹脂組成物としては、前述の放射線に感応するポジ型フォトレジストが挙げられる。ポジ型フォトレジストとしては、当該技術分野において通常使用されているものであれば特に限定されない。中でも、アルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型レジスト組成物が好ましく使用される。
【0123】
感光性樹脂組成物の塗布方法、乾燥方法としては、工程(1)と同様の方法を採用することができる。
感光性樹脂層の厚さは、好ましくは0.01〜3μm、より好ましくは0.1〜2.5μm、更に好ましくは0.15〜2μmである。
【0125】
工程(4)は、工程(3)で得られた感光性樹脂層を画像様に露光し、現像して前記感光性樹脂層にパターンを形成する工程である。
感光性樹脂層の露光は、所定のマスクパターン(画像様)を介して放射腺を照射する。露光方法は、前述の工程(2)において説明した方法を採用することができる。
【0126】
現像液としては、未硬化部を溶解できるものであれば特に限定されないが、アルカリ現像液が好ましく使用される。アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5.4.0〕−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物の水溶液を挙げることができる。アルカリ現像液中のアルカリ性化合物の濃度は、通常0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%である。また、アルカリ現像液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤を適量添加することもできる。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で10〜300秒程度が好ましい。
なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
【0128】
工程(5)は、工程(4)により感光性樹脂層にパターンが形成された画像記録材料をドライエッチングして前記着色層にパターンを形成する工程である。すなわち、本工程は、工程(4)ので形成された感光性樹脂層のパターンをパターンマスクとして用い、着色層にドライエッチング法によりパターン形成を行なうものである。
ドライエッチングは、酸素、CF
4、CO
2等のガスを用いて行うことが可能である。具体的な操作方法は、特開昭59−126506号公報、特開昭59−46628号公報、特開昭58−9108号公報、特開昭58−2809号公報、特開昭57−148706号公報、特開昭61−41102号公報等に記載の方法を採用することができる。
【0129】
エッチング終了後、マスクのレジスト(露光後の感光性樹脂層)は、前述のアルカリ現像液と同様の剥離液や、有機溶剤によって除去することができる。有機溶剤としては、アセトン等のケトン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等を使用することができる。
【0130】
このようにして着色画素が形成されるが、膜さは、通常0.3〜5μm、好ましくは1〜3μmである。
【0131】
なお、レジストの除去は、例えば、二色目以降の着色画素の形成を前述と同様の操作を繰り返し行い、全色のパターン作製を終了してから行ってもよい。
【0132】
カラーフィルタ
本発明のカラーフィルタは、例えば、次の方法で製造することができる。先ず、本発明の着色画素の形成方法により得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタを得ることができる。スペーサーは、通常、感光性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された感光性組成物が用いられる。
【0133】
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色画素を備えており、当該着色画素は、平坦性、耐溶剤性に優れることから、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に好適に使用することができる。
【実施例】
【0134】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されない。なお、以下の実施例および比較例における「部」は特に断らない限り「質量部」の意味で用いる。
【0135】
1.顔料分散組成物の調製
[合成例1]
成分(B2)の合成
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、ベンジルメタクリレート14g、N−フェニルマレイミド12g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15g、スチレン10g 及びメタクリル酸20g をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200gに溶解し、更に2,2’−アゾイソブチロニトリル3g及びα−メチルスチレンダイマー5gを投入した。フラスコ内を窒素パージ後、攪拌及び窒素バブリングしながら80℃で5時間加熱し、重合体〔成分(B2)〕を含む溶液を得た。この重合体は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が9700、数平均分子量が5700であり、Mw/Mnが1.70であった。
【0136】
[調製例1]
顔料分散液(A1)の調製
【0137】
下記の表1に示す、成分及び量を、ホモジナイザーを用いて回転数3,000rpmで3時間撹拌し、顔料を含む混合溶液を調製した。次いで、前記混合溶液を、ビーズ分散機(商品名「ディスパーマット」、GETZMANN社製)およびビーズ分散機(商品名「ウルトラアペックスミル」、寿工業株式会社製、)を用いて、顔料分散液(A1)を得た。顔料分散液(A1)における顔料の平均分散粒径(d
50)を、動的光散乱法にて測定したところ、20〜60nmであった。
【0138】
【表1】
【0139】
[調製例2]
顔料分散液(A2)の調製
前記調製例1において、下記の表2に示す、成分及び量を用いた以外は、調製例1と同様の方法を行い、顔料分散液(A2)を得た。顔料分散液(A2)における顔料の平均分散粒径(d
50)を、動的光散乱法にて測定したところ、20〜60nmであった。
【0140】
【表2】
【0141】
[調製例3]
顔料分散液(A3)の調製
前記調製例1において、下記の表3に示す、成分および量を用いた以外は、調製例1と同様の方法を行い、顔料分散液(A3)を得た。顔料分散液(A3)における顔料の平均分散粒径(d
50)を、動的光散乱法にて測定したところ、20〜60nmであった。
【0142】
【表3】
【0143】
2.硬化性組成物の調製
[実施例1〜11、比較例1〜3]
下記表4に示す、成分及び量を混合して、実施例1〜11、比較例1〜3の硬化性組成物を調製した。
【0144】
3.硬化性組成物の評価
3−1.平坦性
実施例1〜11、比較例1〜3の硬化性組成物を、4インチガラスウェハ上にスピンコート法にて塗布し、200℃で360秒間、ホットプレートで加熱し、膜厚が0.7μmの硬化膜を形成した。
前記硬化膜を、JIS B0601(2001年)に準拠して、触診式段差計(商品名「Alpha−Step IQ surface Profiler ASIQ」、KLA−tencor社製)にて算術平均表面粗さ(Ra)を測定した。平坦性は以下の基準にて評価した。なお、本評価では、Ra値が小さい程、平坦性が良好であることを意味する。評価結果を表4に併せて示す。
【0145】
評価基準
A:Ra=100Å未満
B:Ra=100Å以上、200Å未満
C:Ra=200Å以上
【0146】
3−2.耐薬品性(耐溶剤性)
実施例1〜11、比較例1〜3の硬化性組成物を、4インチガラスウェハ上にスピンコート法にて塗布し、200℃で360秒間、ホットプレートで加熱し、膜厚が0.7μmの硬化膜を形成した。
前記硬化膜をアセトンに5分間浸漬し、浸漬前後の硬化膜の透過率の変化についてについて、カラーアナライザー(商品名「MCPD−2000」、大塚電子社製)にて測定した。透過率の変化(%)は、下記式(I)によりで算出した。
【0147】
透過率の変化(%)=(Tb−Ta)×100 (I)
【0148】
(式中、
Tbは、波長380nm〜800nmの範囲における浸漬前の硬化膜の最大透過率を示し、
Taは、波長380nm〜800nmの範囲における浸漬後の硬化膜の最大透過率を示す。)
【0149】
耐薬品性は以下の基準にて評価した。また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PEGMEA」ともいう)、乳酸エチルに対する耐薬品性についても、アセトンに対する耐薬品性と同様に評価した。なお、本評価では、透過率の変化が少ない程、耐薬品性が良好であることを意味する。評価結果を表4に併せて示す。
【0150】
評価基準
A:透過率の変化が0.5%未満
B:透過率の変化が0.5%以上1.0%未満
C:透過率の変化が1.0%以上
【0151】
【表4】
【0152】
なお、表4中に記載の各成分の詳細は以下の通りである。
成分(B1) :ビス−(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
成分(BR1):ジ−tert−アミルパーオキサイド
成分(C1) :4−[1−[4−[1,1−ビス[4−ヒドロキシ−3、5−ビス(エトキシメチル)フェニル]エチル]フェニル]−1−メチルエチル]−2,6−ビス(エトキシメチル)フェノール(下記化合物中、Etはエチル基である)
【0153】
【化9】
【0154】
成分(C2) :4−[1−[4−[1,1−ビス[4−ヒドロキシ−3、5−ビス(プロポキシメチル)フェニル]エチル]フェニル]−1−メチルエチル]−2,6−ビス(2−プロポキシメチル)フェノール(下記化合物中、Prはプロピル基である)
【0155】
【化10】
【0156】
成分(C3) :4−[1−[4−[1,1−ビス[4−ヒドロキシ−3、5−ビス(ブトキシメチル)フェニル]エチル]フェニル]−1−メチルエチル]−2,6−ビス(ブトキシメチル)フェノール(下記化合物中、Buはn−ブチル基である)
【0157】
【化11】
【0158】
成分(CR1):4−[1−[4−[1,1−ビス[4−ヒドロキシ−3、5−ビス(メトキシメチル)フェニル]エチル]フェニル]−1−メチルエチル]−2,6−ビス(メトキシメチル)フェノール(下記化合物中、Meはメチル基である)
【0159】
【化12】
【0160】
成分(CR2):ペンタエリスリトールヘキサアクリレート
成分(D1) :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
成分(E1) :ポリエーテル変性ポリシロキサン系界面活性剤(商品名「SH8400」、東レ・ダウコーニング社製、HLB=9.1)
【0161】
4.着色パターンの形成
[参考例1]
4インチシリコンウェハ上に、スピンコート法にて、反射防止膜形成用組成物(商品名「XHRiC−11」、日産化学社製)を塗布し、ホットプレートで200℃5分間加熱し、膜厚が0.7μmの反射防止膜を有する反射防止膜付基板を得た。
実施例10の硬化性組成物を、前記反射防止膜付基板上に、スピンコート法にて塗布し、ホットプレートで100℃180秒間加熱し、膜厚が0.8μmの塗膜を形成した。前記塗膜を、マスクを介して縮小投影露光((株)ニコン製、NSR−2005i10D、NA=0.63、σ=0.54、波長365nmにて1000mJ/cm
2の露光量)した。露光後の塗膜をホットプレートで120℃180秒間加熱した。その後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを含有する水溶液にて120秒間接触現像させた後、水洗し、1μm×1μmのパターンサイズを有する矩形の着色パターンを形成した。
【0162】
[参考例2]
参考例2において、実施例10の硬化性組成物の代わりに、実施例11の硬化性組成物を用いた以外は参考例1と同様の方法にて、1μm×1μmのドット状パターンサイズを有する矩形の着色パターンを形成した。