特許第6065098号(P6065098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6065098
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】架橋用樹脂組成物および封止材
(51)【国際特許分類】
   C08F 299/06 20060101AFI20170116BHJP
   C08J 3/24 20060101ALI20170116BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20170116BHJP
   H01L 31/048 20140101ALI20170116BHJP
【FI】
   C08F299/06
   C08J3/24 ZCES
   C09K3/10 D
   C09K3/10 E
   H01L31/04 560
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-501513(P2015-501513)
(86)(22)【出願日】2014年2月21日
(86)【国際出願番号】JP2014054127
(87)【国際公開番号】WO2014129574
(87)【国際公開日】20140828
【審査請求日】2016年7月11日
(31)【優先権主張番号】特願2013-32283(P2013-32283)
(32)【優先日】2013年2月21日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000230652
【氏名又は名称】日本化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097928
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 数彦
(72)【発明者】
【氏名】山浦 真生子
(72)【発明者】
【氏名】折笠 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】先▲崎▼ 一也
【審査官】 内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−159207(JP,A)
【文献】 特開2001−348464(JP,A)
【文献】 特開2008−144067(JP,A)
【文献】 特開平08−259907(JP,A)
【文献】 特開2008−024862(JP,A)
【文献】 特開平04−126711(JP,A)
【文献】 特開平08−020620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 299/06
C09K 3/10
H01L 31/048
C08L 23/08
C08L 23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン共重合体に架橋剤と共に架橋助剤としてウレタンポリ(メタ)アクリレートを配合して成り、ウレタンポリ(メタ)アクリレートの配合量がエチレン共重合体100重量部に対し、0.1〜3.0重量部であることを特徴とする熱架橋用樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の架橋用樹脂組成物から成ることを特徴とする封止材。
【請求項3】
太陽電池用である請求項に記載の封止材。
【請求項4】
請求項記載の封止材を用いた太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋用樹脂組成物および封止材に関し、詳しくは、エチレン共重合体に特定の架橋助剤を配合して成る架橋用樹脂組成物および当該架橋用樹脂組成物から成る太陽電池用など封止材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種の電子材料モジュールの組立に使用される封止材として、エチレン系共重合体をベース材料とし、これに架橋剤として有機過酸化物を配合した樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、エチレン系共重合体100重量部及び有機過酸化物0.05〜0.5重量部からなる太陽電池用接着シートであって、アクリロイル基又はメタクリロイル基の何れか一方或いは双方を合計4個以上有する多官能モノマーが含有されている太陽電池用接着シートが提案されている(特許文献2)。
【0004】
更に、エチレン−不飽和エステル共重合体、架橋剤、及び架橋助剤を含む太陽電池用封止膜であって、前記架橋助剤として、多価アルコールの多官能(メタ)アクリレートとTAICとを含む太陽電池用封止膜が提案されている(特許文献3)。
【0005】
ところで、樹脂としてエチレン共重合体を使用した封止材においては特に絶縁性(体積固有抵抗値)が問題とされるが、この点において従来の提案は必ずしも充分とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60−226589号公報
【特許文献2】特開2007−123488号公報
【特許文献1】特開2009−135200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、エチレン共重合体に架橋助剤を配合して成り、その架橋物が優れた絶縁性(体積固有抵抗値)を有する架橋用樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、エチレン共重合体に特定の架橋助剤を配合することにより、上記の目的を達成し得るとの知見を得た。
【0009】
すなわち、本発明の第1の要旨はエチレン共重合体に架橋剤と共に架橋助剤としてウレタンポリ(メタ)アクリレートを配合して成り、ウレタンポリ(メタ)アクリレートの配合量がエチレン共重合体100重量部に対し、0.1〜3.0重量部であることを特徴とする熱架橋用樹脂組成物に存し、第2の要旨は上記の架橋用樹脂組成物から成ることを特徴とする封止材に存する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば前記の課題が達成される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<エチレン共重合体>
エチレン共重合体は、エチレンを主成分とし、これと共重合可能なモノマーとの共重合体であり、モノマーとしては、ビニルエステル、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸及びその金属塩、不飽和珪素化合物、α−オレフィンなどが例示される。共重合可能なモノマーとしては、極性モノマーが好ましい。エチレン共重合体の具体例としては、エチレン酢酸ビニル共重合体のようなエチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体・エチレン・アクリル酸イソブチル・メタクリル酸共重合体のようなエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体及びそのアイオノマーが例示される、これらの中ではエチレン酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
【0012】
<架橋助剤>
本発明の架橋用樹脂組成物は、エチレン共重合体に架橋助剤としてウレタンポリ(メタ)アクリレートを配合して成る。ウレタンポリ(メタ)アクリレートは、例えば有機イソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートから合成することができる。ウレタンポリ(メタ)アクリレートの中では分子量が高いものが好ましい。平均分子量としては、1000以上、好ましくは1200以上である。
【0013】
有機イソシアネートとしては、1分子内にイソシアネート基を2個以上有する化合物であり、有機基としては、直鎖、分岐、環状の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、イソシアヌレート等の複素環基が挙げられる。有機イソシアネートの具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、水添MDI、キシリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート3量体、イソホロンジイソシアネート3量体等が挙げられる。
【0014】
水酸基含有(メタ)アクリレートは、1分子中に水酸基を1個以上有する(メタ)アクリレートである。例えば多価アルコールの(メタ)アクリレートであって、その具体例しては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ポリアルキルジオール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。水酸基含有(メタ)アクリレートは、単一のアクリレートでもよいし、これらを混合したものであってもよい。
【0015】
ウレタンポリ(メタ)アクリレートの市販品の例としては、共栄社化学社製の「UA−306H」、「UA−306T」、「UA−306I」、「UA−510H」、ダイセルサイテック社製の「KRM7864」、「KRM8452」、「EB1290」、「EB1290K」、「EB5129」、新中村化学社製の「U−6HA」、「U−6LPA」、「UA−33H」、「U−15HA」、「UA−122P」、日本合成社製の「UV7600B」、「UV7605B」、「UV7610B」、「UV7620EA」等が挙げられる。
【0016】
<他の架橋助剤>
本発明においては、本発明の効果を損なわない限り、例えば多官能(メタ)アクリレート等の他の架橋助剤を併用してもよい。多官能(メタ)アクリレートは、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上、好ましくは3個以上有するものである。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0017】
<架橋剤>
熱架橋においては架橋助剤と共に架橋剤が使用される。斯かる架橋剤としては一般に有機過酸化物が使用される。有機過酸化物としては、加硫条件でパーオキシラジカルを発生する公知の有機過酸化物であれば特に限定されない。例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシル−モノカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン等が挙げられる。
【0018】
本発明の架橋用樹脂組成物における架橋助剤ウレタンポリ(メタ)アクリレートの配合量は、エチレン共重合体100重量部に対し、通常0.1〜3.0重量部、好ましくは0.5〜2.0重量部である。また、他の架橋助剤として多官能(メタ)アクリレートを併用する場合、その配合量は、エチレン共重合体100重量部に対し、通常0.1〜3.0重量部、好ましくは0.5〜2.0重量部である。
【0019】
架橋剤の配合量は、エチレン共重合体の種類によっても異なるが、エチレン共重合体100重量部に対し、通常0.6〜5重量部、好ましくは1〜2重量部である。尚、放射線を照射して架橋させる場合等には、有機過酸化物は必ずしも必要ではない。
【0020】
本発明の架橋用樹脂組成物においては、例えば、補強剤、充填剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、顔料、老化防止剤、カップリング剤、紫外線吸収剤、受酸剤などの任意の添加剤を使用することが出来る。
【0021】
老化防止剤の具体例としては、ジ−t−ブチル−P−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキシ[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2′メチレンビス(2−メチル−6−t−ブチルフェニル)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペラジル)セバケート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド〕、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペラジル)セバケート、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノン等が挙げられる。
【0022】
カップリング剤の具体例としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、等が挙げられる。
【0023】
紫外線吸収剤の具体例としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2,2−ヒドロキシ6−4,4−ジメトキシベンゾフェノン、2−(2´−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、p−t−ブチルフェニルサルシネート等が挙げられる。
【0024】
受酸剤の具体例としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などが挙げられる。
【0025】
上記の添加剤の割合量は、エチレン共重合体100重量部に対し、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下である。
【0026】
<エチレン共重合体組成物の架橋>
放射線架橋に使用される放射線としては、加速電子線、X線、α線、β線、γ線等が利用可能である。照射線量は使用する架橋性エラストマーなどによっても異なるが、通常0.1〜500kGyである。熱架橋は、例えば射出成型機や加圧成型機などを使用し、150℃〜200℃、約2〜30分加熱することで成形体を得る。必要に応じて、その後、150℃〜200℃で1〜10時間加熱し二次架橋を行ってもよい。前述のエチレン共重合体組成物の架橋は、特に有機過酸化物による架橋が好ましい。
【0027】
上記のエチレン共重合体組成物は、食品、医薬品、工業薬品、農業等各種の包装材料、各種の接着膜、太陽電池、液晶、発光ダイオード、有機EL等の各種電気材料の封止膜の他、血液透析、血漿成分分離、蛋白溶液の脱塩、分画、濃縮、果汁の濃縮、排水処理等の分野において有用である。特に、各種の電子材料モジュールの組立に使用される封止材として有用である。因に、太陽電池の封止材のように、相当の厚みがある態様で使用される封止剤の場合は、紫外線、電子線での硬化は出来ないため、熱硬化が適用される。
【実施例】
【0028】
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
【0029】
実施例1〜2及び比較例1:
オープンロールにより、以下の表1に示す各成分を混練した。EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)としては酢酸ビニル含有量:32重量%のものを使用した。架橋助剤として表2示す化合物を各諸例ごとに変更して使用した。得られた組成物を150℃で熱プレス架橋(一次架橋)して厚さ1mmのシートを得た。シートの体積固有抵抗値を表3に示す方法で測定した。結果を表4に示した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】