特許第6065163号(P6065163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6065163
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】高温部品のひずみ測定方法及び高温部品
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/00 20060101AFI20170116BHJP
   F01D 5/18 20060101ALI20170116BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20170116BHJP
   C23C 4/02 20060101ALI20170116BHJP
   C23C 4/073 20160101ALI20170116BHJP
   C23C 4/08 20160101ALI20170116BHJP
   C23C 4/11 20160101ALI20170116BHJP
   G01B 11/16 20060101ALI20170116BHJP
   G01B 21/32 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   F01D25/00 V
   F01D25/00 W
   F01D5/18
   F02C7/00 A
   C23C4/02
   C23C4/073
   C23C4/08
   C23C4/11
   G01B11/16 H
   G01B21/32
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-538811(P2016-538811)
(86)(22)【出願日】2015年3月18日
(86)【国際出願番号】JP2015058140
【審査請求日】2016年6月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】西田 秀高
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05419971(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0266163(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0295086(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0000380(US,A1)
【文献】 特開平06−235618(JP,A)
【文献】 特開昭60−043104(JP,A)
【文献】 特開2009−115059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/18,21/00,25/00
F02C 7/00
G01B 5/30,11/16,15/06,
17/04,21/32
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の上に、接合層、遮熱層の順に重ねられた高温部品のひずみ測定方法であって、
前記基材に設けられた前記接合層の表面に複数の凹部を形成して、複数の前記凹部の第1の3次元座標を計測するステップと、
前記接合層の表面及び複数の前記凹部を前記遮熱層で覆って前記高温部品を形成し、前記高温部品を所定の期間使用した後に、前記遮熱層を除去して複数の前記凹部の第2の3次元座標を計測するステップと、
複数の前記凹部で囲まれる局所的な領域において、前記第1の3次元座標と、前記第2の3次元座標との差分により、複数の前記凹部のうち少なくとも2つの前記凹部のそれぞれの相対変位量を求め、前記相対変位量から局所的なひずみを算出するステップと、を有する高温部品のひずみ測定方法。
【請求項2】
前記凹部を形成した後、前記凹部内に第1の金属層を形成するステップを有する請求項1に記載の高温部品のひずみ測定方法。
【請求項3】
前記第1の金属層は、前記凹部の側面及び底面を覆うとともに、前記第1の金属層の表面に、前記第1の金属層の凹部が形成されており、
前記第1の金属層の凹部に、前記第1の金属層と異なる材料である第2の金属層を形成するステップを有する請求項2に記載の高温部品のひずみ測定方法。
【請求項4】
前記第1の金属層はNiであり、前記第2の金属層はPtである請求項3に記載の高温部品のひずみ測定方法。
【請求項5】
複数の前記凹部は、レーザ加工により形成される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の高温部品のひずみ測定方法。
【請求項6】
基材の上に、接合層、遮熱層の順に重ねられた高温部品であって、
前記接合層の表裏面のうち、前記遮熱層が形成される面に、3次元座標測定用の複数の凹部が形成されており、前記凹部内に第1の金属層を有する高温部品。
【請求項7】
前記第1の金属層は、前記凹部の側面及び底面を覆うとともに、前記第1の金属層の表面に、前記第1の金属層の凹部が形成されており、
前記第1の金属層の凹部に、前記第1の金属層と異なる材料である第2の金属層を有する請求項に記載の高温部品。
【請求項8】
前記第1の金属層はNiであり、前記第2の金属層はPtである請求項に記載の高温部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンの動翼等に用いられる高温部品のひずみ測定方法及び高温部品に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、高温部品の内部応力検査装置に関する発明が記載されている。特許文献1の高温部品は、金属下地層(接合層)に可視光レーザにより蛍光を発生させる蛍光物質を含み、可視光レーザを照射したときに蛍光物質が発生する光の波長の変化に基づいて、高温部品の内部応力を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−297947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている高温部品の内部応力検査装置は、可視光レーザがセラミック遮熱層を透過して金属下地層に達し、金属下地層に含まれる蛍光物質の光を発生させる。そのため、セラミック遮熱層の厚さや材質の違いにより、または、セラミック遮熱層の剥離や損傷の発生により測定誤差が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決して、高温部品の局所的なひずみを良好に計測することが可能な高温部品のひずみ測定方法及び高温部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による高温部品のひずみ測定方法は、基材の上に、接合層、遮熱層の順に重ねられた高温部品のひずみ測定方法であって、前記基材に設けられた前記接合層の表面に複数の凹部を形成して、複数の前記凹部の第1の3次元座標を計測するステップと、前記接合層の表面及び複数の前記凹部を前記遮熱層で覆って前記高温部品を形成し、前記高温部品を所定の期間使用した後に、前記遮熱層を除去して複数の前記凹部の第2の3次元座標を計測するステップと、複数の前記凹部で囲まれる局所的な領域において、前記第1の3次元座標と、前記第2の3次元座標との差分により、複数の前記凹部のうち少なくとも2つの前記凹部のそれぞれの相対変位量を求め、前記相対変位量から局所的なひずみを算出するステップとを有する。
【0007】
これによれば、接合層に形成された複数の凹部の相対変位量を求めることにより、高温部品の局所的なひずみを良好に測定することができる。また、複数の凹部が、遮熱層や基材に形成されず接合層に形成されているため、凹部を形成することによる基材の強度低下及び遮熱層の遮熱効果の低下を抑制することができる。さらに、複数の凹部の3次元座標は、遮熱層を形成する前と、遮熱層を除去した後に計測されるため、遮熱層の厚さや材質による測定誤差が生じず、複数の凹部の3次元座標を正確に求めることができる。したがって、本発明の一態様による高温部品のひずみ測定方法によれば、高温部品の局所的なひずみを良好に計測することが可能である。
【0008】
本発明の望ましい態様として、前記凹部を形成した後、前記凹部内に第1の金属層を形成するステップを有する。これによれば、凹部内に第1の金属層が形成されているため、遮熱層を除去する際に凹部に応力が加えられた場合であっても、凹部の変形を抑制することができ、凹部の3次元座標を正確に測定することができる。また、凹部に形成された第1の金属層と基材との材料の違いによるコントラスト差から、凹部の3次元座標を良好に計測することが可能である。
【0009】
本発明の望ましい態様として、前記第1の金属層は前記凹部の側面及び底面を覆うとともに、前記第1の金属層の表面に、前記第1の金属層の凹部が形成されており、前記第1の金属層の凹部に、前記第1の金属層と異なる材料である第2の金属層を形成するステップを有する。これによれば、第1の金属層と第2の金属層との拡散量から、高温部品の温度を推定することができる。
【0010】
本発明の望ましい態様として、前記第1の金属層はNiであり、前記第2の金属層はPtである。これによれば、純度の高い金属同士で拡散するため、遮熱層や接合層等に含まれる酸化物や他の金属による拡散量の変動を抑制することができ、理論値に近い拡散量を測定することができる。したがって、高温部品の推定温度の精度を向上させることができる。
【0011】
本発明の望ましい態様として、複数の前記凹部は、レーザ加工により形成される。これによれば、接合層に凹部の位置及び形状を精度良く形成することができ、基材の強度が低下することを防止することができる。
【0012】
本発明の一態様による高温部品は、基材の上に、接合層、遮熱層の順に重ねられた高温部品であって、前記接合層の表裏面のうち前記遮熱層が形成される面に、3次元座標測定用の複数の凹部が形成されていることを特徴とする。これによれば、高温部品の使用後に遮熱層を除去して、複数の凹部の3次元座標を計測して、高温部品の局所的なひずみを測定することができる。また、複数の凹部が接合層に形成されており、基材及び遮熱層には凹部が形成されていないため、基材の強度、及び遮熱層の遮熱性能が低下することを抑制することができる。したがって、本発明の一態様による高温部品によれば、高温部品の局所的なひずみを良好に計測することが可能である。
【0013】
本発明の望ましい態様として、前記凹部内に第1の金属層を有する。凹部内に第1の金属層が形成されているため、遮熱層を除去する際に凹部に応力が加えられた場合であっても、凹部の変形を抑制することができ、凹部の3次元座標を正確に測定することができる。また、凹部に形成された第1の金属層と基材との材料の違いによるコントラスト差から、凹部の3次元座標を良好に計測することが可能である。
【0014】
本発明の望ましい態様として、前記第1の金属層は、前記凹部の側面及び底面を覆うとともに、前記第1の金属層の表面に、前記第1の金属層の凹部が形成されており、前記第1の金属層の凹部に、前記第1の金属層と異なる材料である。この構造によれば、第1の金属層と第2の金属層との拡散量から、高温部品の温度を推定することができる。
【0015】
本発明の望ましい態様として、前記第1の金属層はNiであり、前記第2の金属層はPtである。この構造によれば、純度の高い金属同士で拡散するため、遮熱層や接合層等に含まれる酸化物や他の金属による拡散量の変動を抑制することができ、理論値に近い拡散量を測定することができる。したがって、高温部品の推定温度の精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の高温部品のひずみ測定方法及び高温部品によれば、高温部品の局所的なひずみを良好に計測することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1の実施形態の高温部品に係るガスタービン動翼の斜視図である。
図2図2は、ガスタービン動翼の翼部を模式的に示す部分拡大断面図である。
図3図3は、第1の実施形態の高温部品のひずみ測定方法を説明するための説明図である。
図4図4は、レーザ加工装置を説明する模式図である。
図5図5は、図3に示すステップST2のレーザ加工後における翼部の正面図である。
図6図6は、図3のステップST6における、第1の3次元座標を計測するステップを説明する模式図である。
図7図7は、図3のステップST10における、第2の3次元座標を計測するステップを説明する模式図である。
図8図8は、第1の金属層と第2の金属層との間に形成される拡散層を示す部分拡大断面図である。
図9図9は、本実施形態のマスターカーブの一例を示し、拡散層の厚さと時間との関係を模式的に示すグラフである。
図10図10は、凹部の深さ方向位置と、Ni、Pt量(at%)との関係を模式的に示すグラフである。
図11図11は、第2の実施形態のガスタービン動翼の翼部を模式的に示す部分拡大断面図である。
図12図12は、第3の実施形態のガスタービン動翼の翼部を模式的に示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る高温部品のひずみ測定方法及び高温部品の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施形態に記載された方法、装置及び変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態の高温部品に係るガスタービン動翼の斜視図である。図1に示すように、ガスタービン動翼10は、プラットフォーム11と、プラットフォーム11と一体に形成された翼部12とを有する。ガスタービン動翼10は、ガスタービンの回転軸に放射状に複数取り付けられて使用される。プラットフォーム11がガスタービンの回転軸に取り付けられて、翼部12が高温高圧の燃焼ガスを受けて回転エネルギーを発生させることができる。
【0020】
本実施形態において、高温部品の一例としてガスタービン動翼10について説明するが、これに限定されず、高温高圧の条件下で使用されるガスタービンの静翼や、燃焼器等の部材でもよい。ガスタービン動翼10は1000℃以上の高温環境で使用される高温部品であり、回転駆動する。そのため、実際の使用時における高温部品のひずみ又は温度を計測することが困難であり、特に、局所的なひずみを測定することが困難である。したがって、高温部品の余寿命の評価をすること又は遮熱層の遮熱効果を正確に評価することが困難である。
【0021】
図2は、ガスタービン動翼の翼部を模式的に示す部分拡大断面図である。図2に示すように、翼部12は、基材21と、基材21の上に形成された接合層22と、接合層22の上に形成された遮熱層23とを有する。接合層22は基材21の表面を覆って設けられており、接合層22の遮熱層23が形成される面に、所定の間隔を有して複数の凹部25が形成されている。複数の凹部25の内部には、第1の金属層27と第2の金属層28が形成されている。そして、遮熱層23は、接合層22の表面、及び凹部25内に形成された第1の金属層27と第2の金属層28の表面を覆って設けられている。
【0022】
第1の金属層27は、凹部25の底面と側面を覆っており、第1の金属層27の表面に第1の金属層の凹部26が形成される。また、第2の金属層28は、第1の金属層の凹部26内に形成される。このように、凹部25を第1凹部とし、第1の金属層の凹部26を第2凹部とした場合、凹部25(第1凹部)は、第1の金属層の凹部26(第2凹部)よりも大きい。
【0023】
本実施形態において、基材21は金属材料を用いて形成されており、例えばNi基合金が用いられる。Ni基合金は、優れた耐熱性、耐酸化性を備えており、ガスタービン等の高温部品の材料として好適に使用される。基材21は、Ni基合金以外に、例えばCo基合金を用いることができる。
【0024】
接合層22は、基材21と遮熱層23との密着性を高め、また、基材21と遮熱層23との間の熱応力を緩和するために設けられている。本実施形態において、接合層22は、CoNiCrAlYで形成される金属膜である。
【0025】
遮熱層23は、遮熱コーティング(TBC:Thermal Barrier Coating)膜であり、高温ガス等の熱から基材21を保護するために設けられた遮熱性を有する材料である。遮熱層23は低熱伝導性のセラミックス材料が用いられる。本実施形態において、例えば、ZrO−Y等を用いることができる。
【0026】
また、第1の金属層27はNiであり、第2の金属層28はPtである。なお、第1の金属層27、第2の金属層28の材料は、これに限定されず、W、Nb、Cr等、高温状態での拡散係数が既知であるものを好適に用いることができる。
【0027】
本実施形態において、複数の凹部25は、翼部12の3次元座標測定用のマーカーとして形成されたものである。ガスタービン動翼10の使用前後における複数の凹部25の3次元座標から、複数の凹部25の相対変位量を求め、ガスタービン動翼10の局所的なひずみを測定することができる。
【0028】
本実施形態のガスタービン動翼10は、図2に示すように、複数の凹部25が接合層22に形成されているため、凹部25を基材21に形成した場合と比較して、基材21の強度が低下することを抑制できる。また、凹部25を遮熱層23に形成した場合と比較して、遮熱層23の遮熱性能が低下することを抑制することができる。ガスタービン動翼10を使用する際には、遮熱層23が設けられているため、基材21、及び凹部25に形成された第1の金属層27、第2の金属層28の劣化が抑制される。そして、ガスタービン動翼10の使用後に遮熱層23を除去された、複数の凹部25の位置の変化の情報は、ガスタービン動翼10の局所的なひずみと相関がある。
【0029】
次にガスタービン動翼10のひずみ測定方法について説明する。図3は、第1の実施形態の高温部品のひずみ測定方法を説明するための説明図である。
【0030】
本実施形態の高温部品のひずみ測定方法は、まず、ニッケル基超合金を有する基材21を用意して、基材21を減圧されたチャンバー内に固定し、所定の圧力になるようにアルゴンガス等を導入する。そして、CoNiCrAlYを含む溶射粒子を加熱・溶融し、基材21の表面に減圧プラズマ溶射等の方法で溶射する。これにより、基材21の表面に接合層22が形成される(ステップST1)。接合層22は、例えば50μm〜100μm程度の厚さで形成される。
【0031】
次に、接合層22の表面にレーザ加工により複数の凹部25を形成する(ステップST2)。図4は、図3のステップST2に示すレーザ加工を行うためのレーザ加工装置を説明する模式図である。また、図5は、図3のステップST2のレーザ加工後における翼部の正面図である。図4に示すように、レーザ加工装置41は、アーム45と、アーム45に接続されたレーザ照射部46を有する。アーム45は、アーム駆動制御部44により制御され、レーザ照射部46を任意の位置に移動させることが可能である。また、レーザ照射部46にはレーザ制御部42が接続されている。レーザ制御部42にはレーザ発振器が含まれており、レーザ発振器で発振されたレーザ光47がレーザ照射部46から翼部12に照射される。本実施形態において、レーザ発振器としてYAGレーザ発振器、ファイバレーザ発振器を用いることができる。レーザ制御部42とアーム駆動制御部44とは制御部43により制御され、アーム45の駆動とレーザ照射部46からのレーザ光47の照射が、あらかじめ制御部43に格納されたプログラムに従って実行される。
【0032】
図4に示すように、ステージ40の上にガスタービン動翼10を固定した状態で、アーム45によりレーザ照射部46の位置を順次移動させて、所定の位置でレーザ光47を照射する。これにより、図3のステップST2に示すように、レーザ光47を照射した箇所の接合層22が除去されて凹部25が形成される。図5に示すように、複数の凹部25は、翼部12の接合層22の表面において所定の間隔を有して形成される。また、レーザ照射部46は、ガルバノミラー(図示しない)を有しており、ガルバノミラーの角度を変化させてレーザ光47を接合層22の面上に走査させることができる。これにより、各凹部25を任意の形状で形成することができ、本実施形態では、各凹部25は、平面視で四角形状に形成される。
【0033】
次に、接合層22の表面及び凹部25を覆って第1の金属層27を形成する(ステップST3)。本実施形態において、第1の金属層27はNiであり、ステップST1と同様に、溶融したNiを減圧プラズマ溶射等により接合層22及び凹部25に溶射して形成することができる。なお、第1の金属層27は、接合層22の厚さよりも薄く形成され、例えば接合層22の1/2程度の厚さで形成される。このため、第1の金属層27は、凹部25の底面及び側面を覆って形成され、第1の金属層27の表面には、第1の金属層の凹部26が形成される。なお、第1の金属層27は、Niに限定されず、W、Nb、Cr等の金属材料を用いることができる。
【0034】
さらに、第1の金属層27の表面を覆って第2の金属層28を形成する(ステップST4)。本実施形態において、第2の金属層28はPtであり、ステップST1、ST3と同様に、減圧プラズマ溶射等により形成される。第2の金属層28は、第1の金属層27とほぼ等しい厚さで形成され、第1の金属層27と第2の金属層28との合計厚さが接合層22の厚さと同程度、若しくは接合層22よりも厚くなるように形成される。なお、第1の金属層27及び第2の金属層28は、いずれも減圧雰囲気中で溶射される減圧プラズマ溶射等により形成されるため、第1の金属層27及び第2の金属層28に酸素が混入することを抑制できる。よって、投入原料の純度と同等の純度を維持して第1の金属層27及び第2の金属層28が形成される。なお、第2の金属層28は、Ptに限定されず、W、Nb、Cr等のうち、第1の金属層27と異なる金属材料を用いることができる。
【0035】
次に、凹部25内の第1の金属層27及び第2の金属層28を残して、接合層22の表面よりも上部の第1の金属層27及び第2の金属層28を除去する(ステップST5)。第1の金属層27及び第2の金属層28は、グラインダー装置やブラスト装置を用いて除去することができる。これにより、図3に示すように、凹部25内に形成された第1の金属層27及び第2の金属層28の表面と、接合層22の表面とが露出する。第1の金属層27は、凹部25の底面及び側面を覆って形成され、第2の金属層28は、第1の金属層の凹部26内に形成される。また、接合層22、第1の金属層27、及び第2の金属層28の表面は、同一面内に位置することとなり、接合層22と第1の金属層27との境界が外部に露出する。
【0036】
図3に示すように、3次元計測器31を用いて、複数の凹部25の第1の3次元座標(初期座標)を計測する(ステップST6)。図3に示す、3次元計測器31は、レーザ光を走査して3次元形状を測定可能な3Dスキャナと、CCDカメラ等からの画像信号を処理して画像認識を行う画像認識装置とを含む。3次元計測器31を用いることにより、接合層22、第1の金属層27及び第2の金属層28の表面の3次元形状を計測することができる。また、画像認識装置により、接合層22と第1の金属層27とのコントラスト差から、凹部25の形状を認識することができる。
【0037】
図6は、図3のステップST6に示す第1の3次元座標を計測するステップを説明する模式図である。図6に示すように、複数の凹部25は、それぞれ平面視で四角形状に形成されており、凹部25の側面に接して形成される第1の金属層27の外形形状も四角形状となる。初期状態において、複数の凹部25は、上下方向及び左右方向に互いに等間隔で配置される。これにより、凹部25に形成した第1の金属層27と接合層22との熱膨張係数の差に起因する応力が、翼部12全体で均一化され、ひずみの発生を抑制することができる。
【0038】
3次元計測器31に含まれる画像認識装置により、複数の凹部25を順次認識し、認識された各凹部25の四角形状のうち、それぞれ左上の角部を座標測定点(Pmn、m=1〜m、n=1〜n)として設定する。画像認識装置で認識された凹部25の座標測定点(Pmn)の位置と、3Dスキャナにより計測された翼部12の3次元形状とから、初期座標として複数の凹部25の第1の3次元座標が求められる。第1の3次元座標は、任意の平面を基準として求められる。例えば座標測定点Pmnのうち3点P11、Pm1、P1nを選択して、この3点で設定される平面を基準平面とすることができる。
【0039】
次に、接合層22の表面、及び凹部25内に形成された第1の金属層27、第2の金属層28を覆って遮熱層23が形成される(ステップST7)。遮熱層23は、ZrO−Y等のセラミックス材料を用いて、減圧プラズマ溶射等の方法で溶射して形成することができる。遮熱層23は、例えば100μm〜200μm程度の厚さで形成することができる。なお、遮熱層23の厚さは、材料の種類、構造(緻密性等)に応じて適宜変更することができる。
【0040】
以上のような工程でガスタービン動翼10が製造される。このガスタービン動翼10がガスタービン内に組み込まれ、例えば1カ月〜1年の期間、実際に使用される(ステップST8)。ガスタービン動翼10は、1000℃以上の燃焼ガスを受けて回転する回転体であるため、例えば、ひずみ測定用のマーカーをガスタービン動翼10の表面に形成した場合、マーカー自体が変形、劣化するため位置計測、ひずみ計測を良好に行うことができない。本実施形態の高温部品の測定方法によれば、使用時には遮熱層23が第1の金属層27及び第2の金属層28を覆って形成されているため、第1の金属層27、第2の金属層28が酸化や熱によって劣化することを抑制することができる。
【0041】
ガスタービン動翼10を所定の期間(1カ月〜1年)使用した後、遮熱層23を除去する(ステップST9)。遮熱層23は、グラインダー装置やブラスト装置を用いて機械的に除去することができる。遮熱層23を除去することで、接合層22の表面と、凹部25内の第1の金属層27及び第2の金属層28が露出する。
【0042】
そして、ステップST6と同様に、3次元計測器31を用いて、ガスタービン動翼10の使用後における凹部25の第2の3次元座標を計測する(ステップST10)。図7は、図3のステップST10における第2の3次元座標を計測するステップを説明する模式図である。ガスタービン動翼10は1000℃以上の高温環境下で使用され、燃焼ガスを受けて回転する回転体である。このガスタービン動翼10は、使用後において、図7に示すように、全体的なひずみが発生するとともに局所的なひずみが生じる。ガスタービン動翼10の使用後における凹部25の座標測定点(Pmn、m=1〜m、n=1〜n)が画像認識装置で認識され、凹部25の位置が計測される。また、3Dスキャナにより使用後の翼部12の3次元形状が計測される。これらのデータに基づいて、高温部品の使用後における複数の凹部25の第2の3次元座標が求められる。第2の3次元座標を計測する際には、図3のステップST6と同じ基準平面(例えば座標測定点Pmnのうち3点P11、Pm1、P1nで設定される平面)を基準として第2の3次元座標が求められる。
【0043】
複数の凹部25の初期座標である第1の3次元座標と、使用後の座標である第2の3次元座標の計測結果から、任意の座標を基準点としたときの複数の凹部25のそれぞれの相対変位量が求められる。この相対変位量を用いて、複数の凹部25で囲まれる領域における局所的なひずみが算出される。
【0044】
図6及び図7に示す、座標測定点P11、P21、P12で囲まれる領域のひずみを算出する場合、例えば、座標測定点P11を基準点として設定し、P11が使用前後で変動しないと仮定して、座標測定点P21、P12の相対変位量が算出される。座標測定点P11を基準点としたときの座標測定点P21の第1の3次元座標を(x21、y21、z21)、第2の3次元座標を(x21´、y21´、z21´)とした場合、座標測定点P21の相対変位量(Δx21、Δy21、Δz21)は、(Δx21、Δy21、Δz21)=(x21´−x21、y21´−y21、z21´−z21)と求められる。座標測定点P12の相対変位量についても同様に、(Δx12、Δy12、Δz12)=(x12´−x12、y12´−y12、z12´−z12)と求められる。
【0045】
このとき、xy面内におけるひずみγxyは、γxy=Δx12/y12+Δy21/x21と表される。同様にyz面内のひずみγyzは、γyz=Δy12/z12+Δz21/y21と求められ、xz面内のひずみγxzは、γxz=Δx12/z12+Δz21/x21と求められる。なお、γxy=γyx、γyz=γzy、γxz=γzxである。このようにして求められたγij(i=x〜z、j=x〜z)を、変位ベクトルuを用いて表現したひずみテンソル成分εij(i=x〜z、j=x〜z)が次の式(1)で表される。そして、ひずみテンソルεは、式(2)で表される。
【0046】
【数1】
【0047】
【数2】
【0048】
式(2)に基づいて、座標測定点P11、P21、P12で囲まれる領域の局所的ひずみが算出される。以上のように、複数の凹部25のうち少なくとも2つの凹部25の座標測定点P21、P12について、基準とする座標測定点P11に対する相対変位量を求めることにより、局所的なひずみが求められる。同様にして、他の複数の座標測定点Pmnのうち任意の点で囲まれた領域について局所的なひずみを算出することができる。このように、翼部12の局所的なひずみを求めることにより、ガスタービン動翼10のひずみの分布が得られる。
【0049】
また、計測した各凹部25の第1の3次元座標のデータ及び第2の3次元座標のデータを用いて、有限要素法(FEM)により、翼部12の局所的な応力を求めることが可能である。この場合、3次元座標データの他に基材21、接合層22、遮熱層23のヤング率等の材料物性値や厚さ等の既知の値が用いられる。これにより、翼部12において局所的な応力の集中が発生する箇所を知ることができ、余寿命の推定を正確に行うことができる。
【0050】
以上のように、本実施形態の高温部品のひずみ測定方法によれば、接合層22に形成された複数の凹部25の相対変位量を求めることにより、高温部品の局所的なひずみを良好に測定することができる。また、複数の凹部25が、遮熱層23や基材21に形成されず接合層22に形成されているため、凹部25を形成することによる基材21の強度低下及び遮熱層23の遮熱効果の低下を抑制することができる。さらに、複数の凹部25の3次元座標は、遮熱層23を形成する前と、遮熱層23を除去した後に計測されるため、遮熱層23の厚さや材質による測定誤差が生じず、複数の凹部25の3次元座標を正確に求めることができる。したがって、本実施形態の高温部品のひずみ測定方法によれば、高温部品の局所的なひずみを良好に計測することが可能である。
【0051】
なお、図3に示すステップST2において、凹部25は平面視で四角形状に形成され、ステップST6及びステップST10において、左上の角部を基準として3次元座標を計測しているが、これに限定されない。ステップST2において、凹部25はレーザ加工により形成されるため、レーザ照射部46のガルバノミラー(図示しない)を駆動させて、凹部25を、平面視で円形、多角形等の任意の形状で形成することができる。例えば、凹部25を円形に形成した場合には、画像認識装置で円形状を認識して、円の中心を座標測定点Pmnとすることができる。
【0052】
また、図3のステップST2に示すように、接合層22の表裏面を貫通してレーザ加工が施され、凹部25の底面に基材21が露出して、接合層22と基材21とで凹部25が形成されている。この態様に限らず、レーザ加工の際に接合層22を貫通させずに凹部25を形成することもできる。この場合、基材21の表面全体を覆って接合層22が設けられるため、基材21の強度の低下が確実に防止される。
【0053】
図8は、第1の金属層と第2の金属層との間に形成される拡散層の部分拡大断面図である。本実施形態において、凹部25内に、異なる材料からなる第1の金属層27と第2の金属層28とが形成されている。第1の金属層27は、凹部25の底面及び側面を覆って形成され、第1の金属層27の上面には第1の金属層の凹部26が形成される。第2の金属層28は、第1の金属層の凹部26内に形成されている。本実施形態において、第1の金属層27として、純Ni(Ni含有量99at%以上、より好ましくは99.9at%以上)を用いており、第2の金属層28として、純Pt(Pt含有量99at%以上、より好ましくは99.9at%以上)を用いている。
【0054】
ガスタービン動翼10が高温環境下で使用された場合、第1の金属層27と第2の金属層28との間に拡散層29が生成する。図3に示すステップST10において第2の3次元座標を計測した後に、凹部25の位置で翼部12を切断して断面を観察することにより、図8に示すように拡散層29の厚さが測定される。拡散層29の厚さの観察は、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて、200倍〜500倍程度の倍率で観察することができる。
【0055】
図9は、本実施形態のマスターカーブの一例を示し、拡散層の厚さと時間との関係を模式的に示すグラフである。拡散層の厚さL(t)は、時間tとともに増加する傾向を示す。ここで、拡散層の厚さL(t)は、下記の式(3)で表される。式(3)に示すDは拡散係数である。また、tは拡散時間、すなわちガスタービン動翼10が使用された時間である。拡散係数Dは、下記の式(4)で表される。式(4)のDは振動数因子と呼ばれる定数、Qは活性化エネルギー、Rはガス定数、Tは温度である。ここで、D、Q、Rは、既知の値である。
【0056】
【数3】
【0057】
【数4】
【0058】
断面観察により求められた拡散層29の厚さを、図9に示すマスターカーブに当てはめることにより、時間tが得られる。そして、式(3)に、断面観察により求められた拡散層29の厚さL(t)及びマスターカーブから得られた時間tをあてはめることにより、時間t経過後の拡散係数Dが求められる。式(3)から求められた拡散係数Dを用いて式(4)から温度Tが求められる。以上のように、あらかじめ拡散層29の厚さL(t)と、時間tとの関係を示すマスターカーブを作成しておき、測定した拡散層29の厚さをこのマスターカーブにあてはめて、式(3)及び式(4)を用いることにより、ガスタービン動翼10の使用時における温度Tを推定することができる。
【0059】
本実施形態において、第1の金属層27として純Niを用い、第2の金属層28として純Ptを用いており、拡散層29は、純度の高い金属同士の接合界面で生成する。そのため、遮熱層23に含まれる酸化物や接合層22に含まれるAl等の他の金属による拡散量の変動を抑制することができる。したがって、第1の金属層27と第2の金属層28との界面で生成する拡散層29は理論値に近い値となるため、実測した拡散層29の厚さをマスターカーブに当てはめることにより、推定温度の精度が向上する。
【0060】
本実施形態の高温部品のひずみ測定方法によれば、ガスタービン動翼10の局所的なひずみに加えて、使用時の温度を推定することが可能であるため、推定された余寿命の精度を向上させることができる。また、ガスタービン動翼10の使用時の推定温度から、遮熱層23による遮熱効果を確認して、長寿命化の対策を図ることができる。
【0061】
図10は、凹部の深さ方向位置と、Ni、Pt量(at%)との関係を模式的に示すグラフである。図10は、図8に示すX−X線に沿って凹部25内のNi量及びPt量(at%)の組成分布を測定した結果を模式的に示したグラフである。組成分析は、走査型電子顕微鏡(SEM)及び電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いて行うことができる。図10に示すように、第1の金属層27においてNi量が一定の値を示し、第2の金属層28においてPt量が一定の値を示す。拡散層29ではNiとPtの両方が検出され、凹部25の表面側に向かうにしたがってNi量が減少し、Pt量が増大する傾向を示す。本実施形態において、第1の金属層27に純Niを用い、第2の金属層28に純Ptを用いているため、Ni及びPtの組成分布を測定することにより、精度良く拡散層29の厚さを計測することができる。
【0062】
<第2の実施形態>
図11は、第2の実施形態のガスタービン動翼の翼部を模式的に示す部分拡大断面図である。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0063】
第2の実施形態の翼部13は、接合層22に形成された凹部25内に第2の金属層28が形成されておらず、第1の金属層27のみが形成されている。本実施形態のひずみ測定方法は、図3に示す第2の金属層28を形成するステップを省略することができる。そして、図3に示すステップST3において、第1の金属層27を、接合層22と同じ厚さ又は接合層22よりも厚く形成し、ステップST5で、接合層22の表面よりも上方に形成された第1の金属層27を除去する。その後、図3に示すステップST6〜ステップST10と同様の方法により、翼部13の凹部25の第1の3次元座標及び第2の3次元座標を測定して、局所的なひずみを算出することができる。本実施形態においても、凹部25に形成された第1の金属層27と接合層22との材料の違いによるコントラスト差から、凹部25を画像認識して3次元座標を良好に計測することが可能である。
【0064】
本実施形態の高温部品のひずみ測定方法によれば、凹部25内に第1の金属層27が形成されているため、遮熱層23を除去する際に凹部25に応力が加えられた場合であっても、凹部25の変形を抑制することができ、凹部25の3次元座標を正確に測定することができる。また、第2の金属層28を形成する必要がなく翼部13の製造コストが低減される。図3に示すステップST4を省略することができるため、ひずみ測定方法を簡略化することができる。
【0065】
<第3の実施形態>
図12は、第3の実施形態のガスタービン動翼の翼部を模式的に示す部分拡大断面図である。図12に示すように、本実施形態の翼部14は、凹部25に第1の金属層27及び第2の金属層28が形成されておらず、凹部25に遮熱層23が形成されている。
【0066】
本実施形態の高温部品のひずみ測定方法は、図3に示すステップST3からステップST5を省略することができる。図3に示すステップST6では、接合層22に形成された凹部25の外周を画像認識装置で認識して第1の3次元座標を計測する。また、ステップST7で、減圧プラズマ溶射等により接合層22の表面及び凹部25内に遮熱層23が形成され、ガスタービン動翼10の使用後に、凹部25内の遮熱層23を残して接合層22の表面よりも上方の遮熱層23が除去される。ステップST10では、接合層22と、凹部25内に形成された遮熱層23とのコントラスト差を画像認識装置が認識して、凹部25の第2の3次元座標を計測することができる。
【0067】
本実施形態の高温ひずみの測定方法によれば、基材21、接合層22、遮熱層23以外の異なる材料を設けることなく高温部材のひずみを測定することができるため、第1の金属層27等と接合層22との熱膨張係数差の影響が生じない。よって、高温部品のひずみ測定の精度を向上させることができる。第1の金属層27及び第2の金属層28を形成していないため、翼部14の製造コストを低減することができ、また、図3に示すステップST3〜ステップST5を省略して測定方法を簡略化することができる。
【符号の説明】
【0068】
10 ガスタービン動翼
11 プラットフォーム
12、13、14 翼部
21 基材
22 接合層
23 遮熱層
25 凹部
26 第1の金属層の凹部
27 第1の金属層
28 第2の金属層
29 拡散層
31 3次元計測器
40 ステージ
41 レーザ加工装置
42 レーザ制御部
43 制御部
44 アーム駆動制御部
45 アーム
46 レーザ照射部
47 レーザ光
【要約】
基材(21)の上に、接合層(22)、遮熱層(23)の順に重ねられた高温部品のひずみ測定方法であって、基材(21)に設けられた接合層(22)の表面に複数の凹部(25)を形成して、複数の凹部(25)の第1の3次元座標を計測するステップと、接合層(22)の表面及び複数の凹部(25)を遮熱層(23)で覆って高温部品を形成し、高温部品を所定の期間使用した後に、遮熱層(23)を除去して複数の凹部(25)の第2の3次元座標を計測するステップと、複数の凹部(25)で囲まれる局所的な領域において、第1の3次元座標と、第2の3次元座標との差分により複数の凹部(25)のそれぞれの相対変位量を求め、相対変位量から局所的なひずみを算出するステップとを有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12