【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態において、本発明は式(I)の化合物を提供する:
【0006】
【化1】
【0007】
式中、
AはC−R
1又はNであり;
R
1及びR
2は、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、−S(O)
nR
7、アミノ、モノ−又はジ−C
1〜C
6−アルキルアミノ、−NHCOR
8、−NH(C=O)NHR
9、−NHSO
2R
10、C
1〜C
6−アルキル、C
2〜C
6−アルケニル、C
2〜C
6−アルキニル、ヒドロキシル、C
1〜C
6−アルコキシ又はC
2〜C
6−アルケニルオキシから選択され、ここでC
1〜C
6−アルキル及びC
1〜C
6−アルコキシは、ハロゲン、ヒドロキシ及びC
1〜C
4−アルコキシからなる群より選択される1〜3個の同一又は異なる基でさらに置換されてもよく;
【0008】
nは0、1又は2であり;
R
4は水素であり;
R
3及びR
5は独立して、水素、ハロゲン及びハロゲンでさらに置換されてもよいC
1〜C
6−アルキルから選択され;
【0009】
R
7はC
1〜C
6−アルキル、ヒドロキシ−C
1〜C
6−アルキル、C
1〜C
4−アルコキシ、アミノ、モノ−又はジ−C
1〜C
4−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C
3〜C
6−シクロアルキル、フェニル又はC
2〜C
6−アルケニルであり;ここでC
3〜C
6−シクロアルキルはC
1〜C
4−アルキル、ヒドロキシル及びC
1〜C
4−アルコキシの1つ以上でさらに置換されてもよく、フェニルはハロゲン、シアノ、C
1〜C
4−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びC
1〜C
4−アルコキシの1つ以上で置換されてもよく;
【0010】
R
8及びR
9は独立して、水素及びC
1〜C
6−アルキルから選択され、R
10はC
1〜C
6−アルキルであり;
R
6は−CO
2R
11、−CONR
12R
13又は−COR
14であり;
−X
1−X
2−は−CR
15=N−又は−NR
19−CO−であり;
R
12は水素又はC
1〜C
6アルキルであり;
【0011】
R
11、R
13、R
14は各々独立して、式−[Alk
1]
p−[Q]
t−[Alk
2]
q−Zの基を表し、ここで
p、q及びtは、p、q及びtが同時に0でないという条件で、独立して0又は1であり;
Alk
1及びAlk
2は各々独立してC
1〜C
6アルキレン基を表し;
Qは3〜9員で二価の単環式又は二環式の炭素環式又は複素環式基を表し;
【0012】
Zは、
(i)5若しくは6員の単環式複素環又は7若しくは8員の架橋複素環系であって、該環のヘテロ原子が窒素であり、前記単環又は架橋環系が環炭素を介して分子の残りの部分と連結しており、その際環窒素はC
1〜C
3アルキル又はベンジルで置換されることで四級化されてもよく、後者は任意にそのフェニル環において置換されている;又は
【0013】
(ii)−N(R
A)(R
B)であって、式中R
A及びR
Bは独立して水素、又はC
1〜C
6−アルキル、C
3〜C
6−シクロアルキル基、又は任意にそのフェニル環において置換されたフェニル(C
1〜C
6)アルキル基であるか、又はそれらが結合する窒素と一緒になって、N、O及びSから選択されるさらなるヘテロ原子を含有してもよい環原子が5〜7個の単環式複素環を形成する;又は
【0014】
(iii)−N
+(R
A)(R
B)(R
C)であって、式中
R
A、R
B及びR
cは独立してC
1〜C
6−アルキル、C
3〜C
6−シクロアルキル基、又は任意にそのフェニル環において置換されたフェニル(C
1〜C
6)アルキル基である;又は
R
AはC
1〜C
6−アルキル、C
3〜C
6−シクロアルキル基、又は任意にそのフェニル環において置換されたフェニル(C
1〜C
6)アルキル基であり、R
B及びR
cはそれらが結合する窒素と一緒になって、N、O及びSから選択されるさらなるヘテロ原子を含有してもよい環原子が5〜7個の単環式複素環を形成する;又は
R
A、R
B及びR
cはそれらが結合する窒素と一緒になって、7若しくは8員の架橋複素環を形成する;
【0015】
(iv)−NR
AC(=NR
B)NR
CR
Dであって、式中
R
A、R
B、R
c及びR
Dは独立して水素又はC
1〜C
6−アルキルである;又はR
A、R
B、R
c及びR
Dのいずれか2つは独立して水素又はC
1〜C
6−アルキルであり、他の2つは一緒になってC
1〜C
6アルキレン基を表す;又は
【0016】
(v)−C(=NR
A)NR
BR
Cであって、式中
R
A、R
B及びR
cは独立して水素又はC
1〜C
6−アルキルである;又はR
A、R
B及びR
cのいずれか1つは水素又はC
1〜C
6−アルキルであり、他の2つは一緒になってC
1〜C
6アルキレン基を表す;
【0017】
(vi)−NR
AC(=NR
c)R
Bであって、式中
R
A、R
B及びR
cは独立して水素又はC
1〜C
6−アルキルである;又はR
A、R
B及びR
cのいずれか1つは水素又はC
1〜C
6−アルキルであり、他の2つは一緒になってC
1〜C
6アルキレン基を表す;
【0018】
R
19は水素、(C
1〜C
6)アルキル、フェニル、5又は6個の環原子を有する単環式ヘテロアリール、フェニル(C
1〜C
6)アルキル、ヒドロキシ(C
1〜C
6)アルキル、及びトリフルオロメチルから選択され;
【0019】
R
15はフェニル(C
1〜C
6)アルキル、ニトリル(−CN)、NH
2−(C
1〜C
6)アルキル、NHR
E−(C
1〜C
6)アルキル、NR
ER
F−(C
1〜C
6)アルキル、−COOH、−COR
E、−SO
2R
E、−CONH
2、−CONHR
E、−SO
2NHR
E、−CONR
ER
F、及び−SO
2NR
ER
Fから選択され、式中R
E及びR
Fは独立して(C
1〜C
6)アルキル、フェニル又は環原子が5若しくは6個の単環式ヘテロアリールであり、又はR
E及びR
Fは同じ窒素原子に結合した場合に環状アミノを形成する。
【0020】
上記の式(I)の化合物は、その塩、特に薬学的に許容可能な塩、N−オキシド、水和物及び溶媒和物の形態で調製されてもよい。本明細書の化合物に対するいかなる請求、又は「本発明の化合物」、「本発明が関係する化合物」、「式(I)の化合物」などの言及も、塩、N−オキシド、水和物又は溶媒和物の形態であるか否かにかかわらず、かかる化合物を包含する。
【0021】
本発明の化合物は、HNEが関与する疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺線維症、肺炎、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺気腫、喫煙誘発性肺気腫、及び嚢胞性線維症の治療又は予防に使用できる。
【0022】
したがって、本発明の別の態様は、(i)本発明の化合物と薬学的に許容可能な担体又は賦形剤とを含む医薬組成物;及び(ii)HNEが関与する疾患又は症状の治療又は予防のための薬物の製造への本発明の化合物の使用である。
【0023】
用語
本明細書で用いられるとき、用語「C
a〜C
b−アルキル」(ここでa及びbは整数である)はa〜b個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。したがって、例えばaが1でありbが6である場合、該用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル及びn−ヘキシルを包含する。
【0024】
本明細書で用いられるとき、用語「C
a〜C
b−アルケニル」(ここでa及びbは整数である)は、該当する場合にはE体又はZ体のいずれかの立体化学の二重結合を少なくとも1つ有し、a〜b個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルケニル部分を指す。したがって、例えばaが2でありbが6である場合、該用語は例えばビニル、アリル、1−及び2−ブテニル及び2−メチル−2−プロペニルを包含する。
【0025】
本明細書で用いられるとき、用語「C
a〜C
b−アルキニル」(ここでa及びbは整数である)は、a〜b個の炭素原子を有し、さらに1つの三重結合を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素基を指す。したがって、例えばaが1でありbが6である場合、該用語は例えばエチニル(−C≡CH)、1−プロピニル、1−及び2−ブチニル、2−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル及び5−ヘキシニルを包含する。
【0026】
本明細書で用いられるとき、用語「二価のC
a〜C
b−アルキレン基」(ここでa及びbは整数である)はa〜b個の炭素原子及び2つの不飽和原子価を有する飽和炭化水素鎖を指す。
【0027】
本明細書で用いられるとき、用語「二価のC
a〜C
b−アルケニレン基」(ここでa及びbは整数である)は、a〜bの炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する二価の炭化水素鎖を指す。
【0028】
本明細書で用いられるとき、比限定的用語「炭素環式」は、そのすべてが炭素である最大で16個の環原子を有する単環式、二環式若しくは三環式基又は架橋した単環式又は二環式基を指し、アリール及びシクロアルキルを包含する。架橋炭素環式基は2個の環原子がアルキレン架橋によって結合した単環又は二環を有し、例えばビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.1.1]へプタン及びアダマンタンの基である。
【0029】
本明細書で用いられるとき、比限定的用語「シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子を有する単環式飽和炭素環式基を指し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル及びアダマンタニルを包含する。
【0030】
本明細書で用いられるとき、比限定的用語「アリール」は、単環式、二環式又は三環式の炭素環式芳香族基を指し、共有結合によって直接連結する2つの単環式の炭素環式芳香族環を有する基を包含する。そのような基の例は、フェニル、ビフェニル及びナフチルである。
【0031】
本明細書で用いられるとき、比限定的用語「ヘテロアリール」は、S、N及びOから選択されるヘテロ原子を1つ以上含有する単環式、二環式又は三環式の芳香族基であり、共有結合により直接連結される2つのこのような単環式環を含有する基、又は1つのこのような単環式環と1つの単環式アリール環とを含有する基を包含する。そのような基の例は、チエニル、ベンズチエニル、フリル、ベンズフリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ベンズオキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンズトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル及びインダゾリルである。ヘテロアリール環がピリジン又はイミダゾールの場合のようにsp2窒素を含有する場合、当該窒素はピリジニウム又はイミダゾリウムの窒素のように第四級窒素であってもよい。
【0032】
本明細書で用いられるとき、比限定的用語「ヘテロシクリル」又は「複素環式」又は「ヘテロシクロアルキル」は、上記で定義した「ヘテロアリール」を包含し、非芳香族基の意味においてはS、N及びOから選択されるヘテロ原子を1つ以上含有する単環式、二環式若しくは三環式又は架橋単環式又は二環式非芳香族基、並びに別のかかる基又は単環式炭素環式基に共有結合するかかるヘテロ原子を1個以上含有する単環式非芳香族基からなる基に関係する。架橋複素環式基は、少なくとも1つのS、N又はO環原子を、アルキレン架橋によって結合する2個の原子(例えば2個の環炭素、又は1個の環窒素と1個環炭素)と共に含有する単環式又は二環式の環を有し、例えば1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンの基である。環窒素がこのように架橋している場合、当該窒素は第四級窒素中心としてさらに置換されてもよい。そのような基の例は、ピロリル、フラニル、チエニル、ピペリジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピリミジニル、モルホリニル、ピペラジニル、インドリル、モルホリニル、ベンズフラニル、ピラニル、イソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、マレイミド、スクシンイミド及び1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタニル又は1メチル−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタニル基である。
【0033】
用語が使われている文脈で特に明記されていない限り、本明細書中のあらゆる部分で用いられる用語「置換(された)」は、4つまでの共存可能な置換基で置換されていることを意味し、その各々は独立して、例えば、C
1〜C
6−アルキル、シクロアルキル、C
1〜C
6−アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシル−C
1〜C
6−アルキル、メルカプト、メルカプト−C
1〜C
6−アルキル、C
1〜C
6−アルキルチオ、フェニル、5若しくは6個の環原子を有する単環式ヘテロアリール、ハロ(フルオロ、ブロモ及びクロロを包含する)、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、ニトリル(−CN)、オキソ、−COOH、−COOR
G、−COR
G、−SO
2R
G、−CONH
2、−SO
2NH
2、−CONHR
G、−SO
2NHR
G、−CONR
GR
H、−SO
2NR
GR
H、−NH
2、−NHR
G、−NR
GR
H、−OCONH
2、−OCONHR
G、−OCONR
GR
H、−NHCOR
G、−NHCOOR
G−NR
HCOOR
G、−NHSO
2OR
G、−NR
HSO
2OH、−NR
HSO
2OR
G、−NHCONH
2、−NR
GCONH
2、−NHCONHR
H−、NR
GCONHR
H、−NHCONR
GR
H、又は−NR
GCONR
GR
Hであり、ここでR
G及びR
Hは独立してC
1〜C
6−アルキル、C
3〜C
6−シクロアルキル、フェニル又は5若しくは6個の環原子を有する単環式ヘテロアリールであるか、又はR
G及びR
Hが同じ窒素原子に結合している場合にはピペリジニル、モルホリニル又はピペラジニルのような環状アミノを形成する。「任意の置換基」は上記の置換基のうちの1つであってもよい。
【0034】
本明細書で用いられるとき、用語「塩」は、塩基付加及び酸付加塩を包含する。酸性である本発明の化合物は、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム及びカリウム);アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化カルシウム、バリウム及びマグネシウム)のような塩基;有機塩基(例えば、N−メチル−D−グルカミン、コリントリス(ヒドロキシメチル)アミノ−メタン、L−アルギニン、L−リジン、N−エチルピペリジン、ジベンジルアミンなど)と薬学的に許容可能な塩を包含する塩を形成することができる。塩基である本発明の化合物(I)は、無機酸(例えば、塩酸若しくは臭化水素酸のようなハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸又はリン酸など)、及び有機酸(例えば、酢酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、グルタミン酸、乳酸、及びマンデル酸など)と薬学的に許容可能な塩を包含する塩を形成することができる。第四級窒素を有する本発明の化合物(I)は、塩化物イオン、臭化物イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、コハク酸イオン、ヘミコハク酸イオン、ナフタレン−ビススルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、キシナホ酸イオンなどの薬学的に許容可能な対イオンと第四級塩を形成することもできる。
【0035】
1つ以上の実質的又は潜在的なキラル中心を含有する本発明の化合物は、不斉炭素原子が存在するために、各キラル中心においてR体又はS体の立体化学を有する多数のジアオステレオ異性体として存在することができる。本発明はそのようなジアオステレオ異性体及びその混合物をすべて包含する。
【0036】
本発明の化合物(I)では、いかなる共存可能な組合せにおいても:
Aを含有する環はフェニル又は3−ピリジル環である。
【0037】
R
1及びR
2は、式(I)に関連して定義された置換基種のいずれかから選択され、水素、フルオロ及びクロロのようなハロゲン、ニトロ、シアノ、メタンスルホニルのようなS(O)
2(C
1〜C
3アルキル)、アミノ、メチルアミノ及びジメチルアミノのようなモノ−又はジ−C
1〜C
6−アルキルアミノ、−NHCOCH
3、−NH(C=O)NHCH
3、−NHSO
2CH
3、メチル、エチル、又はn−若しくはイソ−プロピルのようなC
1〜C
6−アルキル、ビニル又はアリルのようなC
2〜C
6−アルケニル、CH≡C−のようなC
2〜C
6−アルキニル、ヒドロキシル、メトキシ若しくはエトキシのようなC
1〜C
6−アルコキシ、又はアリルオキシのようなC
2〜C
6−アルケニルオキシを包含し、ここでC
1〜C
6−アルキル及びC
1〜C
6−アルコキシはフルオロのようなハロゲン、ヒドロキシ及びC
1〜C
4−アルコキシからなる群より選択される1〜3個の同一又は異なる基でさらに置換されてもよい。
【0038】
本発明の組成物の1つの種類において、Aを含有する環はフェニルであり、R
1は水素であり、R
2は水素又は2−メタンスルホニルである。別の種類においては、Aを含有する環は3−ピリジルであり、R
2は水素又は2−メタンスルホニルである。
【0039】
R
3及びR
5も式(I)に関連して定義された置換基種のいずれかから選択されてもよく、例えば水素、フルオロ、クロロ又はブロモ、及びメチルのようなC
1〜C
6−アルキルであり、前記C
1〜C
6−アルキルはトリフルオロメチルの場合のようにハロゲンでさらに置換されてもよい。本発明の化合物の1つの種類において、R
5は水素でありR
3は3−トリフルオロメチル、3−クロロ又は3−ブロモである。
【0040】
R
6は−CO
2R
11、−CONR
12R
13又は−COR
14であり、ここでR
11、R
13、R
14は各々独立して式−[Alk
1]
p−[Q]
t−[Alk
2]
q−Zの基を表し、式中
p、q及びtは、p、q及びtが同時に0でないという条件で、独立して0又は1であり;
Alk
1及びAlk
2は各々独立して−CH
2−、−CH
2CH
2−又は−CH
2CH
2CH
2−のようなC
1〜C
6アルキレン基を表し;
Qは1,3−シクロペンチレン、1,4−シクロヘキシレン、1−4−フェニレン、2,5−ピリジニレン、1,4−ピペリジニレン、又は1,4−ピペラジニレン基のような3〜9員で二価の単環式又は二環式の炭素環式又は複素環式基を表し;
【0041】
Zは
(i)ピリジル又はイミダゾリル環のような5若しくは6員の単環式窒素複素環又は1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン環のような7若しくは8員の架橋窒素複素環系であり、前記単環式環又は架橋環系は環炭素を介して残りの分子と連結しており、その際環窒素はメチルのようなC
1〜C
3アルキル、フェニル又はベンジルによる置換によって四級化されてもよく、後者はそのフェニル環において任意に置換されている;又は
【0042】
(ii)−N(R
A)(R
B)であって、式中R
A及びR
Bは独立して水素、又はメチル、エチル又はn−若しくはイソプロピルのようなC
1〜C
6−アルキル基、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルのようなC
3〜C
6−シクロアルキル基、又は任意にそのフェニル環で置換されたベンジルのようなフェニル(C
1〜C
6)アルキル基であるか、又はそれらが結合する窒素と一緒になって、N、O及びSから選択されるヘテロ原子をさらに含有してもよい環原子が5〜7個の単環式複素環(ピペリジン、ピペラジン若しくはモルホリン環のような)を形成する;又は
【0043】
(iii)−N
+(R
A)(R
B)(R
C)であって、式中
R
A、R
B及びR
cは独立して、メチル、エチル又はn−若しくはイソプロピルのようなC
1〜C
6−アルキル基、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルのようなC
3〜C
6−シクロアルキル基、又は任意にそのフェニル環で置換されたベンジルのようなフェニル(C
1〜C
6)アルキル基である;又は
R
Aは、メチル、エチル又はn−若しくはイソプロピルのようなC
1〜C
6−アルキル基、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルのようなC
3〜C
6−シクロアルキル基、又は任意にそのフェニル環で置換されたベンジルのようなフェニル(C
1〜C
6)アルキル基であり、R
B及びR
cはそれらが結合する窒素と一緒になって、N、O及びSから選択されるヘテロ原子をさらに含有してもよい環原子が5〜7個の単環式複素環(ピペリジン、ピペラジン若しくはモルホリン環のような)を形成する;又は
R
A、R
B及びR
cはそれらが結合する窒素と一緒になって、7若しくは8員の架橋複素環を形成する;
【0044】
(iv)−NR
AC(=NR
B)NR
CR
Dであって、式中
R
A、R
B、R
c及びR
Dは独立して水素又はメチルのようなC
1〜C
6−アルキルである;又はR
A、R
B、R
c及びR
Dのいずれか2つは独立して水素又はC
1〜C
6−アルキルであり、他の2つは一緒になってCH
2−、−CH
2CH
2−又は−CH
2CH
2CH
2−のようなC
1〜C
6アルキレン基を表す;又は
(v)−C(=NR
A)NR
BR
Cであって、式中
R
A、R
B及びR
cは独立して水素又はメチルのようなC
1〜C
6−アルキルである;又はR
A、R
B及びR
cのいずれか1つは水素又はメチルのようなC
1〜C
6−アルキルであり、他の2つは一緒になってCH
2−、−CH
2CH
2−又は−CH
2CH
2CH
2−のようなC
1〜C
6アルキレン基を表す;
【0045】
(vi)−NR
AC(=NR
c)R
Bであって、式中
R
A、R
B及びR
cは独立して水素又はメチルのようなC
1〜C
6−アルキルである;又はR
A、R
B及びR
cのいずれか1つは水素又はメチルのようなC
1〜C
6−アルキルであり、他の2つは一緒になってCH
2−、−CH
2CH
2−又は−CH
2CH
2CH
2−のようなC
1〜C
6アルキレン基を表す。
【0046】
より複雑なR
6置換基は、−CO
2R
11、−CONR
12R
13又は−COR
14によって表わされる置換基を包含し、ここでR
11、R
13及びR
14は式−[Alk
1]
p−[Q]
t−[Alk
2]
q−Zを有し、式中−[Alk
1]
p−[Q]
t[Alk
2]
q−は構造(IV)及び(V)より選択され、ここでV
1及びV
2は各々独立して0、1、2、3又は4であり、Xは3〜9員で二価の単環式又は二環式の炭素環式又は複素環式基、例えば1,4−シクロヘキシレン、1,3シクロペンチレン、1,4フェニレン、又は2,4ピリジニレンであり、Zは構造(VI)〜(XVI)より選択され、ここでR
A、R
B、R
c、及びR
Dは式(I)に関連して定義された通りであり、V
1、V
2、及びV
3は各々独立して0、1、2、3又は4である。
【0047】
【化2】
(IV) (V)
【0048】
【化3】
(VI) (VII) (VIM)
【0049】
【化4】
(IX) (X) (XI)
【0050】
【化5】
(XII) (XIII) (XIV)
アミン及びピリジン窒素原子は、基(VI)〜(XIV)中に存在する場合、任意に置換されたC
1〜C
6−アルキル又はベンジル基で四級化されてもよい。
【0051】
本発明の化合物の1つの種類において、R
6は式−CO
2R
11を有し、式中R
11は式−Alk
2−Zの基を表し、式中Alk
2及びZは上記の定義による。例えばこの種類の化合物において、Alk
2は−CH
2−、−CH
2CH
2−又は−CH
2CH
2CH
2−であり、Zは−N(R
A)(R
B)又は−N
+(R
A)(R
B)(R
C)であり、ここでR
A、R
B及びR
cは独立してメチル、エチル又はn−若しくはイソプロピルのようなC
1〜C
6−アルキル基、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルのようなC
3〜C
6−シクロアルキル基、又は任意にそのフェニル環で置換されたベンジルのようなフェニル(C
1〜C
6)アルキル基である。したがって、R
6は−CO
2CH
2CH
2N(CH
3)
2又は−CO
2CH
2CH
2N
+(CH
3)
3であってもよい。
【0052】
−X
1−X
2−は−CR
15=N−又は−NR
19−CO−であって、式中R15及びR19は式(I)に関連する上記の定義による。したがって、
R
19は、例えば水素、メチル、エチル、n−又はイソ−プロピル、2−、3−又は4−ピリジル、2−又は3−チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンジル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、又はトリフルオロメチルであってもよく;
【0053】
R
15は、例えばベンジル;ニトリル(−CN);アミノメチル;2−アミノエチル;NHR
E−(C
1〜C
6)アルキル(式中R
Eはメチル又はエチルであり、(C
1〜C
6)アルキルは−CH
2−又は−CH
2CH
2−である);NR
ER
F−(C
1〜C
6)アルキル(式中R
E及びR
Fは独立してメチル又はエチルであり、(C
1〜C
6)アルキルは−CH
2−又は−CH
2CH
2−である);−COOH;又は−COR
E、−SO
2R
E、−CONH
2、−CONHR
E、−SO
2NHR
E、−CONR
ER
F、又は−SO
2NR
ER
F(式中R
E及びR
Fは独立してメチル又はエチルであるか、又はR
E及びR
Fは同じ窒素原子に結合する場合に環状アミノを形成する)であってもよい。
【0054】
具体的な基R
1〜R
6の例としては、本明細書の実施例の化合物中に存在する基が挙げられる。
【発明の効果】
【0055】
本発明化合物の治療上の有用性は、ヒト好中球エラスターゼの作用が少なくとも部分的に介在することが知られているいかなる疾患にも関連する。例えば、本発明の化合物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺気腫、肺炎、及び肺線維症の治療に有益である。
【0056】
本発明は、活性成分として本発明の化合物を含む医薬製剤にも関する。肺の炎症性疾患の予防及び治療のために、他の化合物を本発明の化合物と組み合わせてもよい。したがって、本発明は、治療上有効な量の本発明の化合物と1つ以上のその他の治療薬とを含む、肺の炎症性疾患を予防及び治療するための医薬組成物にも関する。
【0057】
本発明の化合物との併用療法に適した治療薬には、(1)コルチコステロイド、例えば、フルチカゾン又はブデソニド、(2)β2−アドレナリン受容体作用薬、例えば、サルメテロール又はフォルメテロール、(3)ロイコトリエン調節薬、例えば、モンテルカスト又はプランルカスト、(4)抗コリン作用剤、例えば臭化チオトロピウムのような選択的ムスカリン−3(M3)受容体拮抗薬、(5)ホスホジエステラーゼ−IV(PDE−IV)阻害薬、例えば、ロフルミラスト又はシロミラスト、(6)鎮咳薬、例えば、コデイン又はデキストラモルファン、及び(7)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、イブプロフェン又はケトプロフェンが包含される。
【0058】
第1及び第2の活性成分の重量比は、変動してもよく、各成分の有効用量に依存する。一般には、それぞれの有効用量を使用する。
【0059】
本発明化合物の予防又は治療上の投与量の大きさは、当然、治療すべき症状の重症度の性質、並びに個々の化合物及びその投与経路で異なり、一般的に薬学分野で必要とされる臨床試験によって決定されるであろう。また、個々の患者の年齢、体重及び応答によっても異なる。一般に、1日あたり投与量の範囲は、1回又は分割投与で、哺乳類の体重1kgにつき約0.001mg〜約100mg、好ましくは0.01mg〜約50mg/kg、最も好ましくは0.1〜10mg/kgの範囲内にある。一方、場合によっては、これらの限界を超えた投与量を用いることが必要な場合もある。
【0060】
本発明の別の態様は、本発明の化合物と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を提供する。用語「組成物」は、医薬組成物の場合、活性成分と担体を構成する不活性成分(薬学的に許容可能な賦形剤)とを含む製品、並びに、いずれかの2つ以上の成分の組合せ、複合若しくは凝集から、又は1つ以上の成分の解離から、又は1つ以上の成分のその他の種類の反応若しくは相互作用から、直接的又は間接的に生じるいかなる製品も包含することを意図する。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と、さらなる活性成分と、薬学的に許容可能な賦形剤とを混合することによって作製されるいかなる組成物も包含する。
【0061】
本発明の医薬組成物は、活性成分としての本発明の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を含み、さらには薬学的に許容可能な担体及び任意にその他の治療用成分を含有してもよい。用語「薬学的に許容可能な塩」は、無機の塩基又は酸及び有機の塩基又は酸を包含する薬学的に許容可能な無毒性の塩基又は酸から調製される塩を指す。
【0062】
哺乳類、特にヒトに対して有効な投与量の本発明の化合物を提供するために、いかなる適切な投与経路も用いてもよい。治療上の使用では、活性化合物をいずれかの都合のよい、適切な又は有効な経路で投与してもよい。適切な投与経路は、当業者に既知であり、経口、静脈内、直腸、非経口、局所、眼内、鼻内、口腔内及び肺(吸入による)を包含する。
【0063】
吸入での投与に適した組成物は、既知であり、このような組成物での使用が知られている担体及び/又は希釈剤を包含してもよい。当該組成物は、0.01〜99重量%の活性化合物を含有してもよい。好ましくは、単位用量は、1μg〜10mgの量の活性化合物を含む。
【0064】
最も適切な投与量レベルは、当業者に既知であるいずれの好適な方法によって決定されてもよい。しかし、特定の患者に対する具体的な量は、使用する具体的な化合物の活性、患者の年齢、体重、食事、全身健康状態及び性別、投与時間、投与経路、排泄速度、他の薬剤の使用、治療中の疾患の重症度を包含する種々の要因によって決まることは理解されるであろう。
【0065】
吸入で送達する場合、活性化合物は、好ましくはミクロ粒子の形態である。ミクロ粒子は、噴霧乾燥、凍結乾燥及び微粉化を包含する種々の技術で調製できる。
【0066】
例を挙げれば、本発明の組成物は、ネブライザーから送達するための懸濁液として、又は、例えば加圧定量投与吸入器(PMDI)で使用するための液体噴射剤中のエアロゾルとして調製されてもよい。PMDIでの使用に適した噴射剤は、当業者に既知であり、CFC−12、HFA−134a、HFA−227、HCFC−22(CCl2F2)及びHFA−152(CH4F2及びイソブタン)を包含する。
【0067】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、乾燥粉末吸入器(DPI)を使用する送達のための乾燥粉末形態である。多くの種類のDPIが知られている。
【0068】
投与による送達のためのミクロ粒子は、送達及び放出を助ける賦形剤と共に製剤化されてもよい。例えば、乾燥粉末製剤で、ミクロ粒子は、DPIから肺への流れを助ける大きな担体粒子と共に製剤化されてもよい。好適な担体粒子は既知であり、乳糖粒子が挙げられる。該粒子は90μmを超える空気力学的質量中位径を有してもよい。
【0069】
エアロゾルをベースにした製剤の場合、好ましい組成は次の通りである。
本発明の化合物 24mg/缶
レシチン、NF 液状濃縮物 1.2mg/缶
トリクロロフルオロメタン、NF 4.025g/缶
ジクロロジフルオロメタン、NF 12.15g/缶。
【0070】
本発明の化合物は、本発明化合物が有用である疾患又は症状の治療/予防/抑制又は改善で使用されるその他の薬剤と組み合わせて使用されてもよい。このようなその他の薬剤は、そのために通常的に使用される経路及び量で本発明の化合物と同時存在的に又は逐次的に投与されてもよい。本発明の化合物が1つ以上のその他の薬剤と同時存在的に使用される場合には、本発明の化合物に加えて、このようなその他の薬剤を含有する医薬組成物が好ましい。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて1つ以上のその他の活性成分も含有する組成物を包含する。
【0071】
本発明の薬剤は、吸入形態で投与されてもよい。エアロゾルの発生は、例えば加圧式噴霧器又は超音波噴霧器を用いて行うことができ、噴射剤式定量エアロゾルの使用、又は例えば吸入カプセル若しくはその他の「乾燥粉末」送達システムから微細化された活性化合物を噴射剤なしで投与するのが好ましい。
【0072】
活性化合物は、用いられる吸入システムに応じて記載通りに投与される。活性化合物に加えて、投与形態は、例えば噴射剤(定量エアロゾルの場合、例えばフリゲン(Frigen))、界面活性物質、乳化剤、安定化剤、保存剤、香料、充填剤(例えば粉末吸入の場合、ラクトース)のような賦形剤、又は適当な場合には他の活性化合物をさらに含有してもよい。
【0073】
吸入の目的で、患者に適した吸入技術を用いて、最適粒径のエアロゾルを発生及び投与できる多数のシステムを利用できる。定量エアロゾル用のアダプター(スペーサー、エクスパンダー)及び洋梨形の容器(例えば、Nebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))並びに噴射スプレーを噴出する自動器具(Autohaler(登録商標))の使用に加えて、特に粉末吸入の場合には、多数の技術的な解決方法が利用可能である(例えば、Diskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)又はEP−A−0505321に記載の吸入器)。