(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  しかしながら、従来のような作業用ロボットでは、複雑に堆積したガレキ等を乗り越えなくてはならず、走行が困難であった。また、比較的走行が容易な場所であっても、堆積したガレキ上を走行するため、ロボットの重さでガレキ等が崩壊するおそれがあった。
【0005】
  本発明は上記課題を解決し、ガレキ等が堆積している崩れやすい場所で的確に内部の探査をすることができ、作業時のガレキ等の崩壊を低減させる作業装置及び作業システムを提供することを目的とする。
 
【課題を解決するための手段】
【0006】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置は、クレーンによって吊り下げられる上部ユニットと、前記上部ユニットに連結される下部昇降フレームと、前記下部昇降フレームに対して、移動可能に取り付けられる作業ユニットと、を備え、前記上部ユニットは、懸垂基体と、前記懸垂基体に対して前記下部昇降フレームを昇降可能に連結する昇降部材と、前記懸垂基体に取り付けられ前記昇降部材を駆動する昇降駆動部と、を有し、前記下部昇降フレームは、フレーム本体と、前記フレーム本体に対して前記作業ユニットを所定の平面内で移動可能に取り付ける移動部と、を有し、前記作業ユニットは、前記移動部に取り付けられる作業ユニット基体と、前記作業ユニット基体に対して伸縮可能に取り付けられる作業ツール取付部材と、を有することを特徴とする。
【0007】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記作業ユニットは、前記作業ツール取付部材を支持し、前記作業ユニット基体に対して角度を調節可能に取り付けられるガイドブラケットを有する。
【0008】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記ガイドブラケットは、前記作業ユニット基体に対して角度を調節可能に取り付けられるガイドブラケット本体と、前記ガイドブラケット本体に取り付けられ、前記作業ツール取付部材を支持する作業ツール取付部材支持部と、前記作業ツール取付部材支持部を作動させ、前記作業ツール取付部材の前記ガイドブラケット本体に対する角度を調節する作業ツール取付部材角度調節部と、を有する。
【0009】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記作業ツール取付部材は、筒状であって、前記作業ユニットは、前記作業ツール取付部材を挿通するケーブルと、前記ケーブルの先端に取り付けられるスコープカメラと、を有する。
【0010】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記作業ユニットは、前記ケーブルを巻き取り送り出しするドラム部を有する。
【0011】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記移動部は、前記フレーム本体に対して前記作業ユニットを所定の中心軸を中心に回転移動可能に取り付ける回転ターンテーブルと、前記フレーム本体に対して前記作業ユニットを所定の平面内で移動可能に取り付ける2軸平面移動テーブルと、を有する。
【0012】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記上部ユニットは、前記懸垂基体に取り付けられ前記懸垂基体の姿勢を変更する姿勢変更部材を有する。
【0013】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記上部ユニットは、前記懸垂基体に取り付けられ作業する地点を検出する作業位置検出部を有する。
【0014】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記上部ユニットは、前記作業位置検出部からの信号に応じて、前記姿勢変更部材、前記昇降駆動部、及び前記作業ユニットを制御する制御部を有する。
【0015】
  本発明にかかる一実施形態の作業システムは、前記作業装置と、前記作業装置を操作する信号を生成する操作部と、前記操作部に取り付けられ前記作業装置を操作する信号を送信する操作アンテナと、前記作業装置を吊り下げる前記クレーンの先端に取り付けられ前記作業装置を操作する信号を中継する中継アンテナと、前記作業装置に取り付けられ前記作業装置を操作する信号を受信し前記制御部に送信する作業アンテナと、を備えることを特徴とする。
 
【発明の効果】
【0016】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置は、クレーンによって吊り下げられる上部ユニットと、前記上部ユニットに連結される下部昇降フレームと、前記下部昇降フレームに対して、移動可能に取り付けられる作業ユニットと、を備え、前記上部ユニットは、懸垂基体と、前記懸垂基体に対して前記下部昇降フレームを昇降可能に連結する昇降部材と、前記懸垂基体に取り付けられ前記昇降部材を駆動する昇降駆動部と、を有し、前記下部昇降フレームは、フレーム本体と、前記フレーム本体に対して前記作業ユニットを所定の平面内で移動可能に取り付ける移動部と、を有し、前記作業ユニットは、前記移動部に取り付けられる作業ユニット基体と、前記作業ユニット基体に対して伸縮可能に取り付けられる作業ツール取付部材と、を有するので、ガレキ等が堆積している崩れやすい場所であっても、クレーンに吊り下げられることで、作業箇所に的確に配置され、作業をすることが可能となると共に、ガレキ等の崩れやすい箇所にかかる荷重を最小限にすることが可能となり、作業時のガレキ等の崩壊を低減させることが可能となる。
【0017】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記作業ユニットは、前記作業ツール取付部材を支持し、前記作業ユニット基体に対して角度を調節可能に取り付けられるガイドブラケットを有するので、ガイドブラケットの角度を調節することでガレキ等の堆積状態にあわせて前記作業ツール取付部材をさらに的確に作業箇所に配置することが可能となる。
【0018】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記ガイドブラケットは、前記作業ユニット基体に対して角度を調節可能に取り付けられるガイドブラケット本体と、前記ガイドブラケット本体に取り付けられ、前記作業ツール取付部材を支持する作業ツール取付部材支持部と、前記作業ツール取付部材支持部を作動させ、前記作業ツール取付部材の前記ガイドブラケット本体に対する角度を調節する作業ツール取付部材角度調節部と、を有するので、作業ツール取付部材角度調節部の角度を調節することでガレキ等の堆積状態にあわせ
て前記作業ツール取付部材をさらに精密に作業箇所に配置することが可能となる。
【0019】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記作業ツール取付部材は、筒状であって、前記作業ユニットは、前記作業ツール取付部材を挿通するケーブルと、前記ケーブルの先端に取り付けられるスコープカメラと、を有するので、ガレキ内部の映像を得ることが可能となる。
【0020】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記作業ユニットは、前記ケーブルを巻き取り送り出しするドラム部を有するので、前記ケーブルの巻き取り送り出しを円滑に行うことが可能となる。
【0021】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記移動部は、前記フレーム本体に対して前記作業ユニットを所定の中心軸を中心に回転移動可能に取り付ける回転ターンテーブルと、前記フレーム本体に対して前記作業ユニットを所定の平面内で移動可能に取り付ける2軸平面移動テーブルと、を有するので、前記作業ツール取付部材をさらに的確に作業箇所に配置することが可能となる。
【0022】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記上部ユニットは、前記懸垂基体に取り付けられ前記懸垂基体の姿勢を変更する姿勢変更部材を有するので、作業箇所にあわせて姿勢を変更することができ、より安定した位置に配置させることが可能となる。
【0023】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記上部ユニットは、前記懸垂基体に取り付けられ作業する地点を検出する作業位置検出部を有するので、作業地点を的確に検出することができ、的確な位置に配置させることが可能となる。
【0024】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置では、前記上部ユニットは、前記作業位置検出部からの信号に応じて、前記姿勢変更部材、前記昇降駆動部、及び前記作業ユニットを制御する制御部を有するので、よりよい位置に安定して配置させることが可能となる。
【0025】
  さらに、本発明にかかる一実施形態の作業システムは、前記作業装置と、前記作業装置を操作する信号を生成する操作部と、前記操作部に取り付けられ前記作業装置を操作する信号を送信する操作アンテナと、前記作業装置を吊り下げる前記クレーンの先端に取り付けられ前記作業装置を操作する信号を中継する中継アンテナと、前記作業装置に取り付けられ前記作業装置を操作する信号を受信し前記制御部に送信する作業アンテナと、を備えるので、危険な区域に近寄ることなく、前記作業装置を操作することが可能となる。また、前記作業装置を前記クレーンで懸垂しているため、前記作業装置がトラブル等で作動不可能となった場合であっても、前記クレーンによって容易に回収することが可能となる。さらに、前記クレーンの先端に前記中継アンテナを取り付けることで、前記操作アンテナ及び前記作業アンテナから前記中継アンテナの見通しがよくなり、障害物を回避することができ、信号を安定に送受信することが可能となる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0027】
  以下、図面を参照して本発明にかかる作業装置の実施形態を説明する。
 
【0028】
  図1は、本発明にかかる一実施形態の作業システムを示す図である。
図2は、本発明にかかる一実施形態の作業システムの作業状態を示す図である。
 
【0029】
  図1に示すように、第1実施形態の作業システム100では、作業装置1は、クレーン101に懸垂される。クレーン101は、操縦者に操縦されて、構造物102のガレキ103の上方に懸垂される。
 
【0030】
  その後、
図2に示すように、作業装置1は、ガレキ103に接近する。この時、作業装置1は、クレーン101によって懸垂されているので、ガレキ103には作業装置1の荷重がかからない。
 
【0031】
  作業装置1は、リモートコントローラ等の操作部2によって画面2bを見ながら操作される。操作部2の操作アンテナ2aから送信される信号は、クレーン101の上方に取り付けられた中継アンテナ3を経由して、作業装置1の作業アンテナ4が受信する。また、作業装置1から送信される信号は、クレーン101の上方に取り付けられた中継アンテナ3を経由して、操作部2の操作アンテナ2aが受信する。
 
【0032】
  このように無線によって操作可能なので、危険な区域に近寄ることなく、作業装置1を操作することが可能となる。また、作業装置1はクレーン101で懸垂されているため、作業装置1がトラブル等で作動不可能となった場合であっても、クレーン101によって容易に回収することが可能となる。
 
【0033】
  さらに、クレーン101のジブ先端に中継アンテナ3を取り付けることで、操作アンテナ2a及び作業アンテナ4から中継アンテナ3の見通しがよくなり、障害物を回避することができ、信号を安定に送受信することが可能となる。
 
【0034】
  次に、作業装置1の構造について説明する。
 
【0035】
  図3は、本発明にかかる一実施形態の作業装置1を示す図である。
図4は、本発明にかかる一実施形態の作業装置1の下部昇降フレーム20を示す図である。
 
【0036】
  本実施形態の作業装置1は、上部ユニット10と、下部昇降フレーム20と、作業ユニット30と、を備える。
 
【0037】
  上部ユニット10は、懸垂基体11と、懸垂部材としての懸垂ワイヤ12と、制御部13と、作業位置検出部14と、姿勢変更部材としてのファン15と、昇降駆動部としてのワイヤ駆動部16と、昇降部材としての昇降ワイヤ17と、を有する。
 
【0038】
  懸垂基体11は、懸垂ワイヤ12、制御部13、作業位置検出部14、ファン15、ワイヤ駆動部16、昇降ワイヤ17、及びワイヤ方向変更部材18がそれぞれ取り付けられる。懸垂基体11は、中心軸1aに対して対称な形状が好ましい。
 
【0039】
  懸垂ワイヤ12は、一端が懸垂基体11に取り付けられ、他端がクレーン101のフッ
クによって引っ掛けられ、吊り下げられる部分である。懸垂ワイヤ12は、クレーン101に吊り下げられた際に、懸垂基体11が水平になるように調節されることが好ましい。なお、懸垂部材としては、懸垂ワイヤ12に限らず、チェーン等の作業装置1を吊り下げ可能な部材であればよい。
 
【0040】
  制御部13は、発電機やバッテリーを搭載する電源ボックス、遠隔操作のための通信制御ボックス、作業ユニット30で使用するコンプレッサ等が設置され、作業装置1を制御する。作業装置1の制御に関しては、後述する。
 
【0041】
  作業位置検出部14は、懸垂基体11の下方に取り付けられ、作業ユニット30を配置する地点のガレキ103の状態等を検出する。なお、作業位置検出部14は、上部ユニット10に限らず、下部昇降フレーム20の下方に取り付けてもよい。また、作業位置検出部14は、カメラ、光学式センサ等でよい。
 
【0042】
  ファン15は、懸垂基体11に取り付けられる1組の第1ファン15aと、中心軸1aに対して第1ファン15aと対称な位置に、周方向で逆向きに取り付けられる1組の第2ファン15bと、を有する。ファン15は、羽根を回転駆動することで作業装置1の姿勢を変更する。したがって、第1ファン15aが回転駆動した場合と第2ファン15bが回転駆動した場合では回転方向が異なり、どちらか一方を駆動させればよく、懸垂基体11の回転角度を少なくすることが可能となる。
 
【0043】
  なお、第2ファン15bは、第1ファンとは周方向で同じ向きに取り付けられてもよい。この場合、一方向の回転となるが、推進力が大きくなり、回転速度が速くなる。また、姿勢変更部材としては、ファン15に限らず、懸垂基体11を回転又は推進できるものであればよい。
 
【0044】
  ワイヤ駆動部16は、懸垂基体11に取り付けられ、モータ等によってドラム等を作動させ、昇降ワイヤ17を巻き取り及び送り出しすることによって、下部昇降フレーム20を昇降させる。なお、昇降駆動部としては、モータ等によってドラム等を作動させ、昇降ワイヤ17を巻き取り及び送り出しする構造に限らず、下部昇降フレーム20を昇降させることが可能な構造であればよい。
 
【0045】
  昇降ワイヤ17は、一方でワイヤ駆動部16に取り付けられ、他方で下部昇降フレーム20に取り付けられる。昇降部材としては、昇降ワイヤ17に限らず、チェーン等の下部昇降フレーム20を昇降させることが可能な部材であればよい。
 
【0046】
  ワイヤ方向変更部材18は、懸垂基体11に設けられたブラケットによって軸支された滑車からなる。ワイヤ方向変更部材18は、鉛直下方で下部昇降フレーム20を懸垂する昇降ワイヤ17をワイヤ駆動部16の方向へ導くための部材である。
 
【0047】
  下部昇降フレーム20は、フレーム本体21と、昇降部材支持部としての昇降ワイヤ支持部22と、回転ターンテーブル23と、2軸平面移動テーブル24と、作業ユニット支持部25と、を有する。回転ターンテーブル23と2軸平面移動テーブル24は、移動部を構成する。
 
【0048】
  フレーム本体21は、昇降ワイヤ支持部22、回転ターンテーブル23が取り付けられている。フレーム本体21は、長方形の骨組み構造となっており、4つの角付近の上面に昇降ワイヤ支持部22が取り付けられるワイヤブラケット21aを有する。また、フレーム本体21の中央部付近には、回転ターンテーブル23が設置される。
 
【0049】
  昇降ワイヤ支持部22は、フレーム本体21の上面に設けられたワイヤブラケット21aに鉛直面内で回転可能に軸支され、昇降ワイヤ17の他方が支持されている。昇降ワイヤ支持部22は、鉛直面内で回転可能に取り付けられるので、昇降ワイヤ17との摩擦が軽減され、昇降ワイヤ17の寿命を延ばすことが可能となる。
 
【0050】
  回転ターンテーブル23は、フレーム本体21に取り付けられ、中心軸1aを中心に作業ユニット30を回転可能に支持する部材である。回転ターンテーブル23は、フレーム本体21に固定された図示しない固定部と、固定部に対して回転し2軸平面移動テーブル24を支持する図示しない回転部と、を有する。固定部と回転部は、図示しないベアリング等によって連結され、モータ等の回転を歯車で伝達することにより、回転部を固定部に対して回転させる。
 
【0051】
  2軸平面移動テーブル24は、回転ターンテーブル23の回転部に設置される第1テーブル24aと、第1テーブル24aに設置される第1モータ24bと、第1モータ24bにより駆動する第1ボールねじ24cと、第1テーブル24aに第1ボールねじ24cと平行に設置される第1レール24dと、作業ユニット支持部25を取り付けた第2テーブル24eと、第2テーブル24eに設置される第2モータ24fと、第2モータ24fにより駆動する第2ボールねじ24gと、第2テーブル24eに第2ボールねじ24gと平行に設置される第2レール24hと、第1レール24d及び第2レール24hに沿って移動可能な交差スライダ24iと、第1ボールねじ24c及び第2ボールねじ24gにそれぞれ螺合されるナットを有する図示しない移動体と、を備える。
 
【0052】
  第1モータ24bを駆動させると、第1ボールねじ24cはその場で回転し、第1ボールねじ24cに螺合しているナットを有する移動体が第1ボールねじ24c上を移動する。移動体が移動すると、第1レール24dに沿って交差スライダ24iが移動する。第1ボールねじ24cと第2ボールねじ24gは直交しているので、移動体は、第1ボールねじ24c上を移動しても第2ボールねじ24gに対しては、移動しない。また、第1レール24dと第2レール24hは直交しているので、交差スライダ24iは、第1レール24d上を移動しても第2レール24hに対しては、移動しない。
 
【0053】
  したがって、第1モータ24bが駆動すると、移動体、交差スライダ24i、第2ボールねじ24g、第2レール24h、第2テーブル24e、第2モータ24f、作業ユニット支持部25、及び作業ユニット30が第1方向Xに移動する。
 
【0054】
  第2モータ24fを駆動させると、第2ボールねじ24gはその場で回転し、第2ボールねじ24gに螺合しているナットを有する移動体が第2ボールねじ24g上を移動しようとする。しかしながら、移動体は、上方で第1ボールねじ24cを螺合しており、第1ボールねじ24cと第2ボールねじ24gは直交しているので、移動体は、第1ボールねじ24cに対しては、移動しない。そのため、第2モータ24fを駆動させると、移動体は移動せずに、移動体に対して第2ボールねじ24gが移動する。また、第2ボールねじ24gが移動すると、第2ボールねじ24gを支持している第2テーブル24eが移動する。第2テーブル24eが移動すると、第2テーブル24eに設置されている第2レール24hが交差スライダiに対して移動する。
 
【0055】
  したがって、第2モータ24fが駆動すると、第2ボールねじ24g、第2レール24h、第2テーブル24e、第2モータ24f、作業ユニット支持部25、及び作業ユニット30が第2方向Yに移動する。
 
【0056】
  そして、第1モータ24bと第2モータ24fの両方が駆動すると、第1方向及び第2方向を含む平面内を移動することが可能となる。
 
【0057】
  すなわち、回転ターンテーブル23及び2軸平面移動テーブル24によって、作業ユニット30を回転可能及び平面内で移動可能にすることが可能となる。
 
【0058】
  作業ユニット支持部25は、第2テーブル24eに取り付けられ、作業ユニット30を支持する。
 
【0059】
  作業ユニット30は、ドラム部31と、作業ユニット基体32と、ガイドブラケット33と、ガイドパイプ34と、スコープカメラ部35と、を有する。作業ユニット30は、作業ユニット支持部25に支持され、第2テーブル24eと一体に移動可能である。すなわち、作業ユニット30は、回転ターンテーブル23及び2軸平面移動テーブル24によって、回転可能及び平面内で移動可能である。
 
【0060】
  ドラム部31は、ケース31aと、ケース31aに対して回転軸を中心に回転し、スコープカメラ部35を巻き取り及び送り出しするドラム31bと、を有する。ドラム31bの回転は、遠隔操作でモータ等を作動することによって行われる。
 
【0061】
  作業ユニット基体32は、作業ユニット支持部25に設置され、ドラム31を支持する部材である。また、作業ユニット基体32は、ガイドブラケット33を回転可能に軸支している。
 
【0062】
  ガイドブラケット33は、作業ユニット基体32に回転可能に軸支されており、角度調節が可能なガイドブラケット本体33aと、ガイドブラケット本体33aの先端でガイドパイプ34を支持する作業ツール取付部材支持部33bと、作業ツール取付部材支持部33bを操作し、ガイドパイプ34のガイドブラケット33に対する角度を変更する作業ツール取付部材角度調節部33cと、を有する。
 
【0063】
  ガイドブラケット本体33aは、作業ユニット基体32に対して回転軸を中心に回転し、角度を調節される。ガイドブラケット本体33aの作業ユニット基体32に対する回転は、遠隔操作でモータ等を作動することによって行われる。
 
【0064】
  作業ツール取付部材支持部33bは、ガイドブラケット本体33aの先端に軸支され、ガイドパイプ34を支持する。作業ツール取付部材支持部33bは、一例として、2つのアームを回転可能に軸で連結した構造としてもよい。
 
【0065】
  作業ツール取付部材角度調節部33cは、作業ツール取付部材支持部33bを作動させ、ガイドパイプ34のガイドブラケット本体33aに対する角度を調節する。一例として、作業ツール取付部材支持部33bの2つのアームを連結した軸を引いたり押したりして移動させる構造としてもよい。
 
【0066】
  ガイドパイプ34は、第1ガイドパイプ34aと、第2ガイドパイプ34bと、を有する。第1ガイドパイプ34aは、ガイドブラケット本体33a及び作業ツール取付部材支持部33bに支持される筒状の部材であって、ドラム31bによって巻き取り及び送り出しするスコープカメラ部35を内側に挿通する。第2ガイドパイプ34bは、第1ガイドパイプ34aに対して伸縮可能に収納される。
 
【0067】
  スコープカメラ部35は、スコープカメラ35aと、ケーブル35bを有する。スコープカメラ部35は、ドラム31bに巻かれるケーブル35bの先端にスコープカメラ35aを取り付けている。
 
【0068】
  スコープカメラ35aを装備することによって、ガレキ内部の映像を得ることが可能となる。
 
【0069】
  なお、スコープカメラ部35は、温度センサや放射線量計等を装備してもよい。温度センサや放射線量計等を装備することによって、ガレキ内部の映像以外に温度や放射線量等の種々の情報を得ることが可能となる。
 
【0070】
  次に、作業装置1の作業ツールについて説明する。
 
【0071】
  図5は、ガイドパイプ34先端のカメラツール40を示す図である。
図6は、カメラツール40の作動状態を示す図である。
 
【0072】
  図5に示すように、スコープカメラ部35は、通常、ガイドパイプ34の内部に収納されている。カメラツール40は、ガイドパイプ34の先端を覆うように取り付けられる。カメラツール40は、筒部材41と、加力ライナー42と、を有する。
 
【0073】
  作動時のカメラツール40は、ガイドパイプ34の第2ガイドパイプ34bを伸ばし、加力ライナー42を押圧することによって、筒部41を拡開する。その後、ケーブル35bを延伸してスコープカメラ35aを探査位置まで引き出す。
 
【0074】
  次に、作業装置1を作業位置に配置する制御について説明する。
 
【0075】
  図7は、本発明にかかる一実施形態の作業装置1の制御ブロックを示す図である。
 
【0076】
  図7に示すように、制御部13は、操作部2、及び作業位置検出部14を入力部として用い、ワイヤ駆動部16、ファン15、回転ターンテーブル23、2軸平面移動テーブル24、作業ユニット30、及びカメラユニット40を出力部として制御する。
 
【0077】
  作業ユニット30は、制御部13によって、ドラム31bの回転、ガイドブラケット33の回転、作業ツール取付部材角度調節部33cの作動によるガイドパイプ34の角度調節、第2ガイドパイプ34bの伸縮、等が制御される。
 
【0078】
  図8は、本実施形態の作業装置1の姿勢制御のフローチャートを示す図である。
 
【0079】
  はじめに、作業装置1は、
図1に示すようにクレーン101で懸垂され、構造物102のガレキ103の上方に配置した状態とする。
 
【0080】
  まず、ステップ1で、ガレキ103の状態を作業位置検出部14で写し、作業位置を探索する(ST1)。作業位置は、
図1に示した操作部2の画面2bや図示しないコントロールルーム等の画面で探索することが好ましい。なお、作業位置は、あらかじめ決められた位置を制御部14に内蔵された記憶部に記憶させておき、作業位置検出部14によってその位置を検出する仕様であってもよい。
 
【0081】
  続いて、ステップ2で、制御部13は、作業位置が決定したか否かを判定する(ST2)。
 
【0082】
  ステップ2において、作業位置が決定していない場合、ステップ1に戻る。
 
【0083】
  ステップ2において、作業位置が決定した場合、ステップ3で、制御部13は、ファン15を作動させる(ST3)。ファン15が作動すると、作業装置1は、
図3に示した中
心軸1aを中心に回転し姿勢を変更する。
 
【0084】
  続いてステップ4で、旋回姿勢が完了したか否かを判定する(ST4)。旋回姿勢が完了したか否かの判定は、作業位置検出部14が検出した作業位置の画像等により、制御部13によって判定されることが好ましい。
 
【0085】
  ステップ4において、旋回姿勢が完了していない場合、ステップ3に戻る。
 
【0086】
  ステップ4において、旋回姿勢が完了した場合、ステップ5で、制御部13は、昇降ワイヤ17、回転ターンテーブル23、2軸平面移動テーブル24、及び作業ユニット36を制御する(ST5)。
 
【0087】
  次に、ステップ6で、作業姿勢が完了したか否かを判定する(ST6)。
 
【0088】
  ステップ6において、作業姿勢が完了していない場合、ステップ5に戻る。
 
【0089】
  ステップ6において、作業姿勢が完了した場合、制御を終了し、作業ユニット40を作動させる。
 
【0090】
  なお、本実施形態では、昇降ワイヤ17、回転ターンテーブル23、2軸平面移動テーブル24、及び作業ユニット36のどれを先に制御してもよい。また、同じ部材を複数回制御してもよい。一例として、まず回転ターンテーブル23を制御し、続いて2軸平面移動テーブル24を制御し、続いて作業ユニット36を制御した後、再び2軸平面移動テーブル24を制御してもよい。
 
【0091】
  図9は、本発明にかかる一実施形態の作業装置1の作業状態を示す図である。
 
【0092】
  図9に示すように、作業姿勢が完了した後、まず、ガイドパイプ34をガレキの隙間又は予め開けられた孔に差し込み位置決めする。続いて、
図6に示したように、ガイドパイプ34の第2ガイドパイプ34bを伸ばし、カメラユニット40の加力ライナー42を押圧することによって、筒部41を拡開する。その後、作業ユニット36のドラム部31に巻かれているケーブル35bを延伸してスコープカメラ35aをガレキ内の探査位置まで引き出す。この時、作業装置1の下部昇降フレーム20は、
図3に示した昇降ワイヤ17の巻き取りと送り出しを調節することで、傾斜して配置してもよい。
 
【0093】
  このように、作業装置1を用いることによって、ガレキ103の崩壊を最小限に抑え、ガレキ103の内部及びガレキ103の下方の空間の様子を探査することが可能となる。
 
【0094】
  図10は、ガレキ103に孔をあける作業ツールを示す図である。
 
【0095】
  作業ツールの他の例として、削孔ツール50を用いてもよい。削孔ツール50は、保持部51と、削孔部52と、を有する。
 
【0096】
  保持部51は、作業装置1のガイドパイプ34の先端に取り付けられる。削孔部52は、先端に刃を有するドリル等から形成される。削孔時には、保持部51に取り付けられるモータ等によって削孔部52を回転させる。削孔ツール50の削孔部52は、制御部13によって制御される。
 
【0097】
  このように、作業装置1は、クレーン101によって懸垂されるので、ガレキ103にかかる荷重を最小限にすることができる。そして、削孔ツール50を用いることによって
、ガレキ103の崩壊を最小限に抑え、ガレキ103に孔をあけることが可能となる。
 
【0098】
  なお、削孔ツール50の他の例として、ウォータージェット等を用いてもよい。
 
【0099】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置1は、クレーン101によって吊り下げられる上部ユニット10と、上部ユニット10に連結される下部昇降フレーム20と、下部昇降フレーム20に対して、移動可能に取り付けられる作業ユニット30と、を備え、上部ユニット10は、懸垂基体11と、懸垂基体11に対して下部昇降フレーム20を昇降可能に連結する昇降ワイヤ17と、懸垂基体11に取り付けられ昇降ワイヤ17を駆動するワイヤ駆動部16と、を有し、下部昇降フレーム20は、フレーム本体21と、フレーム本体21に対して作業ユニット30を所定の平面内で移動可能に取り付ける移動部23,24と、を有し、作業ユニット30は、移動部23,24に取り付けられる作業ユニット基体32と、作業ユニット基体32に対して伸縮可能に取り付けられる作業ツール取付部材34と、を有するので、ガレキ等が堆積している崩れやすい場所であっても、クレーン101に吊り下げられることで、作業箇所に的確に配置され、作業をすることが可能となると共に、ガレキ等の崩れやすい箇所にかかる荷重を最小限にすることが可能となり、作業時のガレキ等の崩壊を低減させることが可能となる。
 
【0100】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置1では、作業ユニット30は、作業ツール取付部材34を支持し、作業ユニット基体32に対して角度を調節可能に取り付けられるガイドブラケット33を有するので、ガイドブラケット33の角度を調節することでガレキ等の堆積状態にあわせて作業ツール取付部材34をさらに的確に作業箇所に配置することが可能となる。
 
【0101】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置1では、ガイドブラケット33は、作業ユニット基体32に対して角度を調節可能に取り付けられるガイドブラケット本体33aと、ガイドブラケット本体33aに取り付けられ、作業ツール取付部材34を支持する作業ツール取付部材支持部33bと、作業ツール取付部材支持部33bを作動させ、作業ツール取付部材33bのガイドブラケット本体33aに対する角度を調節する作業ツール取付部材角度調節部33cと、を有するので、作業ツール取付部材角度調節部33cの角度を調節することでガレキ等の堆積状態にあわせて作業ツール取付部材34をさらに精密に作業箇所に配置することが可能となる。
 
【0102】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置1では、作業ツール取付部材34は、筒状であって、作業ユニット30は、作業ツール取付部材34を挿通するケーブル35bと、ケーブル35bの先端に取り付けられるスコープカメラ35aと、を有するので、ガレキ内部の映像を得ることが可能となる。
 
【0103】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置1では、作業ユニット30は、ケーブル35bを巻き取り送り出しするドラム部31を有するので、ケーブル35bの巻き取り送り出しを円滑に行うことが可能となる。
 
【0104】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置1では、移動部23,24は、フレーム本体21に対して作業ユニット30を所定の中心軸1aを中心に回転移動可能に取り付ける回転ターンテーブル23と、フレーム本体21に対して作業ユニット30を所定の平面内で移動可能に取り付ける2軸平面移動テーブル24と、を有するので、作業ツール取付部材30をさらに的確に作業箇所に配置することが可能となる。
 
【0105】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置1では、上部ユニット10は、懸垂基体11に取り付けられ懸垂基体11の姿勢を変更するファン15を有するので、作業箇所にあわせて
姿勢を変更することができ、より安定した位置に配置させることが可能となる。
 
【0106】
  本発明にかかる一実施形態の作業装置1では、上部ユニット10は、懸垂基体11に取り付けられ作業する地点を検出する作業位置検出部14を有するので、作業地点を的確に検出することができ、的確な位置に配置させることが可能となる。
 
【0107】
  また、本発明にかかる一実施形態の作業装置1では、上部ユニット10は、作業位置検出部14からの信号に応じて、ファン15、ワイヤ駆動部16、及び作業ユニット30を制御する制御部13を有するので、よりよい位置に安定して配置させることが可能となる。
 
【0108】
  さらに、本発明にかかる一実施形態の作業システム100は、作業装置1と、作業装置1を操作する信号を生成する操作部2と、操作部2に取り付けられ作業装置1を操作する信号を送信する操作アンテナ2aと、作業装置1を吊り下げるクレーン101の先端に取り付けられ作業装置1を操作する信号を中継する中継アンテナ3と、作業装置1に取り付けられ作業装置1を操作する信号を受信し制御部13に送信する作業アンテナ4と、を備えるので、危険な区域に近寄ることなく、作業装置を操作することが可能となる。また、作業装置1をクレーン101で懸垂しているため、作業装置1がトラブル等で作動不可能となった場合であっても、クレーン101によって容易に回収することが可能となる。さらに、クレーン101の先端に中継アンテナ3を取り付けることで、操作アンテナ2a及び作業アンテナ4から中継アンテナ3の見通しがよくなり、障害物を回避することができ、信号を安定に送受信することが可能となる。
 
【0109】
  なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、当業者であれば、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えてもよい。