特許第6065246号(P6065246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6065246可動関節構造及び該可動関節構造を備えたフィギュア
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6065246
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】可動関節構造及び該可動関節構造を備えたフィギュア
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/46 20060101AFI20170116BHJP
   A63H 3/36 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   A63H3/46 A
   A63H3/36 D
【請求項の数】5
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-247835(P2015-247835)
(22)【出願日】2015年12月18日
【審査請求日】2016年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】399110362
【氏名又は名称】株式会社ボークス
(74)【代理人】
【識別番号】100067301
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 順一
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100173406
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 真貴子
(72)【発明者】
【氏名】圓句 昭浩
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 健太郎
【審査官】 彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−084195(JP,U)
【文献】 特開2002−227829(JP,A)
【文献】 特開2006−346285(JP,A)
【文献】 特開2012−105859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィギュアの関節に対して一方側に位置付けられる雄関節パーツと他方側に位置付けられる雌関節パーツとを有し、雄関節パーツに球体状の雄関節部が設けられており、雌関節パーツに雄関節部が摺動可能に嵌り込む形状の雌関節部が設けられており、雄関節部を雌関節部に嵌め込むことによって両パーツを連結する可動関節構造において、
雄関節部を貫通するガイド孔が形成されており、雌関節部の雄関節部を挟んで対向する位置に牽引部が設けられており、雌関節部の両牽引部の間に架け渡される牽引パーツが雄関節部のガイド孔に通された状態で両牽引部を内側へ牽引しており、牽引パーツの両牽引部間に位置する部分の長さを縮めて両牽引部の間隔を狭めることができることを特徴とする可動関節構造。
【請求項2】
牽引パーツの両牽引部間に位置する部分の長さを伸縮させて両牽引部の間隔を調整することができる請求項1記載の可動関節構造。
【請求項3】
両牽引部にガイド孔と連通する貫通孔が形成されており、両牽引部が一方の貫通孔からガイド孔を介して他方の貫通孔に通されるボルトと該ボルトの先端にネジ止めされるナットによって構成される牽引パーツによって内側へ牽引されている請求項2記載の可動関節構造。
【請求項4】
雄関節部がガイド孔と交差する切断面で二分割されている請求項1乃至3のいずれかに記載の可動関節構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の可動関節構造を備えたフィギュア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動関節構造及び該可動関節構造を備えたフィギュアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、ボールジョイントを使用した可動関節構造は、比較的自由な角度で関節を可動させることができることから多くのフィギュアに採用されている。
【0003】
例えば、ボールジョイントを使用した可動関節構造を備えたフィギュアとして、後出特許文献1には、腹骨格部が、両端に設けた夫々の第一玉部と第二玉部を、夫々回動可能に嵌め込んだ断面視略U字状の腰部骨格連結部と胸部骨格連結部からなり、該腰部骨格連結部と胸部骨格連結部の夫々の端部には、第一嵌入杆と第二嵌入杆が夫々一体的に立設されており、第一玉部と第二玉部を嵌め込む夫々の嵌め込み部は、各第一玉部と第二玉部を嵌め込んだ時に、腰部骨格連結部および胸部骨格連結部が所望位置でその状態を維持できるように、嵌め込み部の夫々の曲面の曲率が各第一玉部と第二玉部の曲率と同一若しくは近似させて、各第一玉部と第二玉部が夫々緊密に摺接するよう構成されている可動関節構造が開示されている。
【0004】
また、後出特許文献2には、第1の部材と第2の部材とからなり、第1の部材は、軸部材と、軸部材の両端に設けられた球状関節とからなり、第2の部材は、筒状に形成され、一端開口側と他端開口側に第1の部材の球状関節を回動自在に抱持する抱持部が形成され、外周面にフランジが設けられている可動関節構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−222935
【特許文献2】特開2002―227829
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記特許文献1又は2に開示されたボールジョイントを使用した可動関節構造においては、玉部(球体関節)と嵌め込み部(抱持部)との間の摩擦力によって両部を所定位置で動かないように維持させているため、長期に渡って可動を繰り返していると、両部が互いに磨り減って摩擦力が減少し、両部を所定位置で動かないように維持させることができなくなるという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明者は、長期に渡って可動を繰り返しても、関節を所定の姿勢で維持することができる可動関節構造及び該可動関節構造を備えたフィギュアを得ることを技術的課題として、その具現化をはかるべく、試行錯誤的に試作・実験を重ねた結果、フィギュアの関節に対して一方側に位置付けられる雄関節パーツと他方側に位置付けられる雌関節パーツとを有し、雄関節パーツに球体状の雄関節部が設けられており、雌関節パーツに雄関節部が摺動可能に嵌り込む形状の雌関節部が設けられており、雄関節部を雌関節部に嵌め込むことによって両パーツを連結する可動関節構造において、雄関節部を貫通するガイド孔を形成し、雌関節部の雄関節部を挟んで対向する位置に牽引部を設け、雌関節部の両牽引部の間に架け渡される牽引パーツによって雄関節部のガイド孔に通した状態で両牽引部を内側へ牽引し、牽引パーツの両牽引部間に位置する部分の長さを伸縮することによって両関節部間に生じる摩擦力を調整できるようにすれば、前記技術的課題を解決できるという刮目すべき知見を得、前記技術的課題を達成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【0009】
すなわち、本発明に係る可動関節構造は、フィギュアの関節に対して一方側に位置付けられる雄関節パーツと他方側に位置付けられる雌関節パーツとを有し、雄関節パーツに球体状の雄関節部が設けられており、雌関節パーツに雄関節部が摺動可能に嵌り込む形状の雌関節部が設けられており、雄関節部を雌関節部に嵌め込むことによって両パーツを連結する可動関節構造において、雄関節部を貫通するガイド孔が形成されており、雌関節部の雄関節部を挟んで対向する位置に牽引部が設けられており、雌関節部の両牽引部の間に架け渡される牽引パーツが雄関節部のガイド孔に通された状態で両牽引部を内側へ牽引しており、牽引パーツの両牽引部間に位置する部分の長さを縮めて両牽引部の間隔を狭めることができるものである。(第1発明)
【0010】
第1発明によれば、可動関節構造の可動を繰り返すことによって両関節部に生じる摩擦力が減少したとしても、牽引パーツの両牽引部の間に位置する長さを縮めて両牽引部の間隔を狭めることにより、両関節部の接触力を強くし、両関節部に生じる摩擦力を増すことができる。
【0011】
また、本発明は、前記第1発明に係る可動関節構造において、牽引パーツの両牽引部間に位置する部分の長さを伸縮させて両牽引部の間隔を調整することができるものである。(第2発明)
【0012】
また、本発明は、前記第2発明に係る可動関節構造において、両牽引部にガイド孔と連通する貫通孔が形成されており、両牽引部が一方の貫通孔からガイド孔を介して他方の貫通孔に通されるボルトと該ボルトの先端にネジ止めされるナットによって構成される牽引パーツによって内側へ牽引されているものである。(第3発明)
【0013】
第2発明及び第3発明委によれば、牽引パーツの両牽引部の間に位置する長さを伸縮させて両牽引部の間隔を調整することにより、両関節部の接触力を自在に調整でき、両関節部に生じる摩擦力を増減することができるため、関節の駆動に必要な力を調整することができる。
【0014】
また、本発明は、第1発明〜第3発明に係る可動関節構造において、雄関節部がガイド孔と交差する切断面で二分割されているものである。(第4発明)
【0015】
第4発明によれば、分割された雄関節部を雌関節部に対してそれぞれ別々に可動させることができるため、例えば、人間の腰のように二つ以上の部位(胴体と両脚)が連結される関節を再現することができる。
【0016】
さらに、本発明に係るフィギュアは、第1発明〜第4発明に係るいずれかの関節構造を備えたものである。
【0017】
なお、本発明におけるフィギュアは、関節を有するものであればよく、例えば、人間、ロボット、動物、昆虫又は架空生物などを模したものや、これらを模した外皮に内蔵される骨格も含まれる。
【0018】
ここで、本発明は、ガイド孔が雄関節部の中心を含む基準面に対して直交するように伸長しており、牽引パーツがガイド孔内で下記α群から選択される少なくとも一つの回転運動ができるようになっている構造にしてもよい。
α群:
(1)雄関節部の中心を通り、かつ、ガイド孔の伸長方向と同一方向に伸びる基準線Xを回転軸として回転する第1回転運動
(2)雄関節部の中心を通り、かつ、基準面上で直交する二つの基準線の内で一方の基準線Yを回転軸として回転する第2回転運動
(3)雄関節部の中心を通り、かつ、基準面上で直交する二つの基準直線の内で他方の基準線Zを回転軸とする第3回転運動
(4)第1回転運動と第2回転運動とを合成した第1−2合成回転運動
(5)第1回転運動と第3回転運動とを合成した第1−3合成回転運動
(6)第2回転運動と第3回転運動とを合成した第2−3合成回転運動
(7)第1回転運動と第2回転運動と第3回転運動とを合成した第1−2−3合成回転運動
【0019】
また、本発明は、ガイド孔が雄関節部の中心を通るように貫通しており、ガイド孔の雄関節部の中心に対して点対称に位置付けられる領域に、牽引パーツが雄関節部の中心を通る少なくとも一つの直線を回転軸として回転可能な空間が形成されている構造にしてもよく、ガイド孔が雄関節部の中心を通らないように貫通しており、ガイド孔の基準面に対して面対称に位置付けられる領域に、牽引パーツが雄関節部の中心を通る少なくとも一つの直線を回転軸として回転可能な空間が形成されている構造にしてもよい。これら二つの構造を採用した場合には、雄関節部の中心を通る少なくとも一つの直線を下記β群から選択されるものにすればよい。
β群
(1)牽引パーツの伸長方向と同一方向に伸びる直線
(2)牽引パーツと直交する直線
(3)牽引パーツの伸長方向と直交方向に伸びる直線
【0020】
前記三つの構造を採用すれば、可動関節構造の外形を変形されることなく、ガイド孔の内形を変更するだけで容易に両関節パーツの可動範囲(可動方向や可動角度)を自由に制限することができ、これにより、関節の可動範囲を制限したとしても、可動関節構造の外形を制限されることなくデザインできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、長期に渡って可動を繰り返しても、関節を所定の姿勢で維持することができる。
【0022】
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施の形態1に係る人形を示した一部透視正面図である。
図2図1に示す骨格部材に使用されている可動関節構造を分解した状態を示した斜視図である。
図3図2に示す雄関節パーツを示した斜視図である。
図4図2に示す可動関節構造を組み立てた状態を示した斜視図である。
図5図3に示す可動関節構造の可動状態を示した断面図である。
図6】実施の形態1に係る可動関節構造における基準線X,Y,Z及び基準面αとガイド孔との関係を示した説明図である。
図7】実施の形態2に係る変形例1〜6の雄関節パーツを示した斜視図である。
図8】実施の形態2に係る変形例7〜10の雄関節パーツを示した斜視図である。
図9】実施の形態3に係る可動関節構造を分解した状態を示した斜視図である。
図10図9に示す雄関節パーツを示した斜視図である。
図11図9に示す雄関節パーツのガイド孔の形状を示した説明図である。
図12図9に示す可動関節構造を組み立てた状態を示した斜視図である。
図13図9に示す可動関節構造の可動状態を示した断面図である。
図14】実施の形態4に係る変形例11〜14のガイド孔の形状を示した説明図である。
図15】実施の形態4に係る変形例15〜18のガイド孔の形状を示した説明図である。
図16】実施の形態5に係る可動関節構造を分解した状態を示した斜視図である。
図17図16に示す雄関節パーツを示した斜視図である。
図18図16に示す雄関節パーツのガイド孔の形状を示した説明図である。
図19図16に示す可動関節構造を組み立てた状態を示した斜視図である。
図20図16に示す可動関節構造の可動状態を示した断面図である。
図21】実施の形態6に係る雄関節パーツを示した斜視図である。
図22】実施の形態7に係る変形例19の可動関節構造を示した断面図である。
図23】実施の形態7に係る変形例20の可動関節構造を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
実施の形態1.
【0026】
本実施の形態に係るフィギュアは、図1に示すように、人形1であり、当該人形1は、頭部位2、上胴部位3と下胴部位4とからなる胴体部5、上腕部位6と前腕部位7と手部位8とからなる腕部9、及び、大腿部位10と脛部位11と足部位12とからなる脚部13によって構成されている。前記各部位は、それぞれ中空状の外装部材14に骨格部材15を内蔵した構造になっている。そして、胴体部5に内蔵された骨格部材15が有する複数の関節に本実施の形態に係る可動関節構造16が使用されている。
【0027】
可動関節構造16は、図2に示すように、関節に対して一方側に位置付けられる雄関節パーツ17と関節に対して他方側に位置付けられる雌関節パーツ18とを有している。そして、雄関節パーツ17は、雄本体部19の先端に球体状の雄関節部20が設けられた構造になっており、雌関節パーツ18は、雌本体部21の先端に雄関節部20が摺動可能に嵌り込む形状の雌関節部22が設けられた構造になっている。そして、両関節パーツ17,18は、雌関節部22に対して雄関節部20を嵌め込んだ状態でボルト23及びナット24から構成される牽引パーツ25によって軸止めして連結されている。なお、図2図4において、雄本体部19及び雌本体部21を円柱状に簡略化して示しているが、雄本体部19の形状は、関節に対して一方側に位置する部位の形態に合わせて適宜変更すればよく、雌本端部21の形状は、関節に対して他方側に位置する部位の形態に合わせて適宜変更すればよい。
【0028】
雄関節パーツ17の雄関節部20には、図3に示すように、雄関節部20の中心を含む基準面α(図中、網目模様にて示す。)に対して直交するように伸長するガイド孔26が形成されており、ガイド孔26は、雄関節部20の中心を通るように貫通している。なお、ガイド孔26を基準面α上に位置する中間部27と該基準面αから外方へ向かって伸びる両側部28,28とに分けた場合、ガイド孔26の中間部27の内形は、牽引パーツ25(ボルト23)の外径と同じ内径又は牽引パーツ25(ボルト23)の外径よりも僅かに大きい内径の円形状になっており、ガイド孔26の両側部28,28の内形は、中間部27と同じ円形状を保持したまま雄関節部20の中心から外方へ向かって伸びる形状になっている。そして、ガイド孔26の内形全体を見れば、雄関節部20の中心(基準面αの中心)に対して点対称となる形状になっている。
【0029】
雌関節パーツ18の雌関節部22は、図2に示すように、雌本体部21の先端から二股状に伸びる支持片29,29から構成されている。両支持片29,29は、雄関節部20の基準面αと対向するように外周に沿って伸びており、それぞれが当該外周の1/4周以上を囲う形状に形成されている。従って、雌関節部22全体で見れば、雄関節部20の外周の1/2周以上を囲う形状に形成されている。そして、雌関節部22は、雄関節部20の直径よりも狭い幅を有し、その内面が雄関節部20の外面に沿う球面状に形成されていることから、雌関節部22の球面状の内面と雄関節部20の球面状の外面との嵌め合いによって両関節部20,22をボールジョイントと同様に連結することができる。
【0030】
また、両支持片29,29には、互いに対向する位置に牽引部30,30が設けられており、牽引部30,30には、それぞれ貫通孔31が形成されている。そして、雌関節部22に対して雄関節部20を嵌め込んだ状態において、両貫通孔31,31は、ガイド孔26と連通させることができる。
【0031】
次に、本実施の形態に係る可動関節構造16の組立方法を説明する。
【0032】
先ず、雌関節部22に対して雄関節部20を嵌め込む。続いて、雌関節部22に対して雄関節部20を摺動させることにより、両貫通孔31,31をガイド孔26に連通させる。そして、雌関節部22の一方の貫通孔31からボルト23を挿し込み、ガイド孔26に通した後、他方の貫通孔31から突出したボルト23の先端にナット24をネジ止めすることにより、両関節部20,22を牽引パーツ25で軸止めして連結させる。なお、この時、ボルト23に対してナット24を締め付けることにより、雌関節部22の両牽引部30,30が内側へ牽引された状態となり、これにより、両関節部20,22間の接触面に所定の摩擦力を生じさせることができる。
【0033】
次に、本実施の形態に係る可動関節構造16の動作を説明する。
【0034】
両関節部20,22が牽引パーツ25によって軸止めされており、また、ガイド孔26の内形が前記形状に形成されていることから、図4に示すように、牽引パーツ25は、ガイド孔26内において雄関節部20の中心を通り、かつ、ガイド孔26の伸長方向と同一方向に伸びる直線を回転軸として回転する回転運動する。これにより、両関節パーツ17,18もガイド孔26内における牽引パーツ25の回転運動に合わせて可動する。なお、両関節パーツ17,18の可動角度は、両関節部20,22の干渉によって制限され、本実施の形態においては、雄本体部21が雌関節部22を構成する両支持片27,27の間に嵌り込んで接触することで可動角度が制限される。
【0035】
そして、両関節パーツ17,18の可動を繰り返すことで両関節部20,22間の接触面が磨り減って摩擦力が減少した場合には、ボルト23に対するナット24の締め付けを強めることにより、牽引パーツ25の両牽引部30,30の間に位置する部分の長さを縮めて両牽引部30,30を内側に牽引する力を強め、両関節部20,22間の接触面に働く摩擦力を強めることができる。また、ボルト23に対するナット24の締め付けを弱めることにより、牽引パーツ25の両牽引部30,30の間に位置する部分の長さを伸ばして両牽引部30,30を内側に牽引する力を弱め、両関節部20,22間の接触面に働く摩擦力を弱めることができる。よって、ボルト23に対するナット24の締め付け度合を調整することにより、関節を可動させるために必要な力を調整することができる。
【0036】
実施の形態2.
【0037】
本実施の形態は、実施の形態1に係る可動関節構造の変形例である。なお、図6図8において、図2図4と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0038】
前記実施の形態1に係る可動関節構造16のように、牽引パーツ25が雄関節部20の中心を通る可動関節構造においては、牽引パーツ25が、ガイド孔26内において下記〔α群〕から選択される少なくとも一つの回転運動を行うことができるようにすれば(第1条件)、両関節パーツ17,18もガイド孔26内における牽引パーツ25の回転運動に合わせて可動することができる。因みに、前記実施の形態1に係る可動関節構造16は、牽引パーツ25が、ガイド孔26内において下記〔α群〕の(1)に示す第1回転運動のみを行うことができるものである。
【0039】
〔α群〕(図6参照)
(1)雄関節部の中心を通り、かつ、ガイド孔の伸長方向と同一方向に伸びる基準線Xを回転軸として回転する第1回転運動
(2)雄関節部の中心を通り、かつ、基準面α上で直交する二つの基準線Y,Zの内で一方の基準線Yを回転軸として回転する第2回転運動
(3)雄関節部の中心を通り、かつ、基準面α上で直交する二つの基準線Y,Zの内で他方の基準線Zを回転軸とする第3回転運動
(4)第1回転運動と第2回転運動とを合成した第1−2合成回転運動
(5)第1回転運動と第3回転運動とを合成した第1−3合成回転運動
(6)第2回転運動と第3回転運動とを合成した第2−3合成回転運動
(7)第1回転運動と第2回転運動と第3回転運動とを合成した第1−2−3合成回転運動
【0040】
なお、第1−2回転運動は、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動と第2回転運動とを同時に行った状態を示しており、第1−3回転運動は、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動と第3回転運動とを同時に行った状態を示しており、第2−3回転運動は、牽引パーツ25がガイド孔26内において第2回転運動と第3回転運動とを同時に行った状態を示しており、第1−2−3回転運動は、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動と第2回転運動と第3回転運動とを同時に行った状態を示している。
【0041】
そして、牽引パーツ25が、ガイド孔26内において前記〔α群〕から選択される少なくとも一つの回転運動を行うことができるようにするためには、ガイド孔26の内形及び牽引パーツ25の外形を適宜調整する必要がある。
【0042】
具体的には、例えば、図7の(a)に示す変形例1及び図7の(b)に示す変形例2のように、ガイド孔26の両側部28,28の内形を基準線X,Y,Zの内で基準線X,Zのみを含む面(XZ面)上において雄関節部20の中心(基準面αの中心)から外方へ向かうに従って徐々に広がる扇状に形成すると共に、雄関節部20の中心(基準面αの中心)に対して点対称となる形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔26内において第2回転運動を行うことができるようになる。
【0043】
なお、この時、変形例1のように、ガイド孔26の中間部27の内形と牽引パーツ25の外形とを共に矩形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動を行うことができなくなり、一方、変形例2のように、ガイド孔26の中間部27の内形と牽引パーツ25の外形とを共に円形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動を行うことができるようになる。
【0044】
よって、変形例1においては、牽引パーツ25がガイド孔26内において第2回転運動のみを行うことができるため、これに伴って両関節パーツ17,18も第2回転運動のみ可能となる。また、変形例2においては、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動及び第2回転運動のみならず、第1回転運動と第2回転運動とを同時に行うことができ、これにより、第1−2回転運動も行うことができるため、これに伴って両関節パーツ17,18も第1回転運動、第2回転運動及び第1−2回転運動が可能となる。
【0045】
次に、例えば、図7の(c)に示す変形例3及び図7の(d)に示す変形例4のように、ガイド孔26の両側部28,28の内形を基準線X,Y,Zの内で基準線X,Yのみを含む面(XY面)上において雄関節部20の中心から外方へ向かうに従って徐々に広がる扇状に形成すると共に、雄関節部20の中心に対して点対称となる形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔26内において第3回転運動を行うことができるようになる。
【0046】
なお、この時、変形例3のように、ガイド孔26の中間部27の内形と牽引パーツ25の外形とを共に矩形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動を行うことができなくなり、一方、変形例4のように、ガイド孔26の中間部27の内形と牽引パーツ25の外形とを共に円形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動を行うことができるようになる。
【0047】
よって、変形例3においては、牽引パーツ25がガイド孔26内において第3回転運動のみを行うことができるため、これに伴って両関節パーツ17,18も第3回転運動のみ可能となる。また、変形例4においては、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動及び第3回転運動のみならず、第1回転運動と第3回転運動とを同時に行うことができ、これにより、第1−3回転運動も行うことができるため、これに伴って両関節パーツ17,18も第1回転運動、第3回転運動及び第1−3回転運動が可能となる。
【0048】
次に、例えば、図7の(e)に示す変形例5及び図7の(f)に示す変形例6のように、ガイド孔26の両側部28,28の内形を基準線X,Y,Zの内で基準線Xのみを含む面上において雄関節部20の中心から外方へ向かうに従って徐々に広がる扇状に形成すると共に、雄関節部20の中心に対して点対称となる形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔26内において第2−3回転運動を行うことができるようになる。
【0049】
なお、この時、変形例5のように、ガイド孔26の中間部27の内形と牽引パーツ25の外形とを共に矩形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動を行うことができなくなり、一方、変形例6のように、ガイド孔26の中間部27の内形と牽引パーツ25の外形とを共に円形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動を行うことができるようになる。
【0050】
よって、変形例5においては、牽引パーツ25がガイド孔26内において第2−3回転運動のみを行うことができるため、これに伴って両関節パーツ17,18も第2−3回転運動のみ可能となる。また、変形例6においては、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動及び第2−3回転運動のみならず、第1回転運動と第2−3回転運動とを同時に行うことができ、これにより、第1−2−3回転運動も行うことができるため、これに伴って両関節パーツ17,18も第1回転運動、第2−3回転運動及び第1−2−3回転運動が可能となる。
【0051】
前記変形例1〜6において、第1回転運動、第2回転運動、第3回転運動、第1−2回転運動、第1−3回転運動、第2−3回転運動及び第1−2−3回転運動がそれぞれ可能となるガイド孔26の内形と牽引パーツ25の外形との関係を例示したが、その他の例としては、例えば、図8の(a)に示す変形例7及び図8の(b)に示す変形例8のように、ガイド孔26の両側部28,28の内形をXY面及びXZ面上において雄関節部20の中心から外方へ向かうに従って徐々に広がる断面十字状に形成すると共に、雄関節部20の中心に対して点対称となる形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔26内において第2回転運動及び第3回転運動を行うことができるようになる。
【0052】
なお、この時、変形例7のように、ガイド孔26の中間部27の内形と牽引パーツ25の外形とを共に矩形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動を行うことができなくなり、一方、変形例8のように、ガイド孔26の中間部27の内形と牽引パーツ25の外形とを共に円形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動を行うことができるようになる。
【0053】
よって、変形例7においては、牽引パーツ25がガイド孔26内において第2回転運動及び第3回転運動を行うことができるため、これに伴って両関節パーツ17,18も第2回転運動及び第3回転運動が可能となる。また、変形例8においては、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動、第2回転運動及び第3回転運動のみならず、第1回転運動と第2回転運動とを同時に、第1回転運動と第3回転運動とを同時に行うことができ、これにより、第1−2回転運動及び第1−3回転運動も行うことができるため、これに伴って両関節パーツ17,18も第1回転運動、第2回転運動、第3回転運動、第1−2回転運動及び第1−3回転運動が可能となる。
【0054】
また、図8の(c)に示す変形例9及び図8の(d)に示す変形例10のように、ガイド孔26の両側部28,28の内形を基準線Xを中心軸として雄関節部20の中心から外方へ向かうに従って徐々に広がる円錐状に形成すると共に、雄関節部20の中心に対して点対称となる形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔26内において第2回転運動、第3回転運動及び第2−3回転運動を行うことができるようになる。
【0055】
なお、この時、変形例9のように、ガイド孔26の中間部27の内形と牽引パーツ25の外形とを共に矩形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動を行うことができなくなり、一方、変形例10のように、ガイド孔26の中間部27の内形と牽引パーツ25の外形とを共に円形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動を行うことができるようになる。
【0056】
よって、変形例9においては、牽引パーツ25がガイド孔26内において第2回転運動、第3回転運動及び第2−3回転運動を行うことができるため、これに伴って両関節パーツ17,18も第2回転運動、第3回転運動及び第2−3回転運動が可能となる。また、変形例10においては、牽引パーツ25がガイド孔26内において第1回転運動、第2回転運動、第3回転運動及び第2−3回転運動のみならず、第1回転運動と第2回転運動とを同時に、第1回転運動と第3回転運動とを同時に、第1回転運動と第2回転運動と第3回転運動とを同時に行うことができ、これにより、第1−2回転運動、第1−3回転運動及び第1−2−3回転運動も行うことができるため、これに伴って両関節パーツ17,18も第1回転運動、第2回転運動、第3回転運動、第1−2回転運動、第1−3回転運動、第2−3回転運動及び第1−2−3回転運動が可能となる。
【0057】
なお、前記変形例1〜10は、牽引パーツ25が雄関節部20の中心を通る可動関節構造において、牽引パーツ25が、ガイド孔26内において前記〔α群〕から選択される少なくとも一つの回転運動を行うことができる例を示したものであり、ガイド孔26の内形と牽引パーツの外形との関係はこれらの例に限定されるものではない。
【0058】
また、前記実施の形態1及び前記実施の形態2に係る変形例1〜10からも分かるように、牽引パーツ25が雄関節部20の中心を通る可動関節構造においては、ガイド孔26の雄関節部20の中心に対して点対称に位置付けられる領域に、牽引パーツ25が雄関節部20の中心を通る下記β群から選択される少なくとも一つの直線を回転軸として回転可能な空間を形成すれば(第2条件)、第1条件を満たすものと同様の作用効果を得られる。また、少なくともガイド孔26の中間部27の内形と軸パーツ25の外形とを互いに回転できない形状に形成すれば、軸パール25のガイド孔26内における第1回転運動を規制することができる。
【0059】
〔β群〕
(1)牽引パーツの伸長方向と同一方向に伸びる直線
(2)牽引パーツと直交する直線
(3)牽引パーツの伸長方向と直交方向に伸びる直線
【0060】
実施の形態3.
【0061】
本実施の形態は、前記実施の形態1に係る可動関節構造における両関節部の変形例であり、図9〜13において、図2〜4と同一符号は、同一又は相当部分を示している。なお、図11は、牽引パーツをXZ面上に位置付けた状態の雄関節部を示しており、上段の図は、牽引パーツを通過するXZ面に沿って雄関節部を切断した断面を示す図であり、中段の図は、牽引パーツを通過するXY面と平行な面に沿って雄関節部を切断した断面を示す図であり、下段の図は、A−A,E−Eから目視したガイド孔の形状及びB−B,C−C,D−Dの各断面におけるガイド孔の形状を示す図である。
【0062】
本実施の形態に係る雄関節パーツ17は、図10に示すように、雄関節部32のガイド孔33が基準面αに対して直交するように伸長しており、ガイド孔33は、雄関節部32の中心を通っていない。なお、ガイド孔33を基準面α上に位置する中間部34と該基準面αから外方へ向かって伸びる両側部35,35とに分けた場合、図11に示すように、ガイド孔33の中間部34の内形は、基準線Xを中心軸とする円弧状になっており、ガイド孔33の両側部35,35の内形は、中間部34と同じ円弧状を保持したまま基準面αから外方へ向かって伸びる形状になっている。そして、ガイド孔33の内形全体を見れば、基準面αに対して面対称となる形状になっている。なお、雄関節部32のガイド孔33は、雄本体部19に対して雄関節部32の中心よりも近い位置に形成されている。
【0063】
また、本実施の形態に係る雌関節パーツ18は、図9及び図12に示すように、雌本体部21の先端から二股状に伸びて雌関節部36を構成する支持片37が前記実施の形態1における支持片29よりも長くなっている他は、前記実施の形態に係る雌関節パーツ18と同様の形態を有している。
【0064】
なお、本実施の形態に係る両関節部32,36を採用した可動関節構造も前記実施の形態1に係る可動関節構造と同様に組み立てることができる。
【0065】
次に、本実施の形態に係る両関節部32,36を採用した可動関節構造の動作を説明する。
【0066】
両関節部32,36が牽引パーツ25によって軸止めされており、また、雄関節部32のガイド孔33の内形が前記形状に形成されていることから、図13に示すように、牽引パーツ25は、ガイド孔33内において基準線Xを回転軸として回転する回転運動を行うことができるようになっている。これにより、両関節パーツ17,18の可動は、基準線Xを回転軸とした回転運動に制限される。
【0067】
実施の形態4.
【0068】
本実施の形態は、実施の形態3に係る可動関節構造の変形例である。なお、図14図16において、図9図13と同一符号は、同一又は相当部分を示している。なお、図14図16は、牽引パーツをXZ面上に位置付けた状態の雄関節部を示しており、上段の図は、牽引パーツを通過するXZ面に沿って雄関節部を切断した断面を示す図であり、中段の図は、牽引パーツを通過するXY面と平行な面に沿って雄関節部を切断した断面を示す図であり、下段の図は、A−A,E−Eから目視したガイド孔の形状及びB−B,C−C,D−Dの各断面におけるガイド孔の形状を示す図である。
【0069】
前記実施の形態3に係る可動関節構造16のように、牽引パーツ25が雄関節部32の中心を通らない可動関節構造においても、牽引パーツ25が、ガイド孔33内において前記〔α群〕から選択される少なくとも一つの回転運動を行うことができるようにすれば(第3条件)、両関節パーツ17,18もガイド孔33内における牽引パーツ25の回転運動に合わせて可動することができる。因みに、前記実施の形態3に係る可動関節構造16は、牽引パーツ25が、ガイド孔33内において前記〔α群〕の(1)に示す第1回転運動のみを行うことができるものである。
【0070】
そして、牽引パーツ25が、ガイド孔33内において前記〔α群〕から選択される少なくとも一つの回転運動を行うことができるようにするためには、ガイド孔33の内形を適宜調整する必要がある。
【0071】
具体的には例えば、図14の(a)に示す変形例11のように、ガイド孔33の中間部34の内形を牽引パーツ25が通過できる形状に形成し、ガイド孔33の両側部36,36の内形を基準線X,Y,Zの内で基準線X,Zのみを含む面(XZ面)上において基準面αから外方へ向かうに従って徐々に広がる扇状に形成すると共に、基準面αに対して面対称となる形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔33内において第2回転運動を行うことができるようになる。これに伴って両関節パーツ17,18も第2回転運動のみ可能となる。
【0072】
また、例えば、図14の(b)に示す変形例12のように、ガイド孔33の中間部34の内形を牽引パーツ25が通過できる形状に形成し、ガイド孔33の両側部35,35の内形を基準線X,Y,Zの内で基準線X,Yのみを含む面(XY面)と平行な面上において基準面αから外方へ向かうに従って徐々に広がる扇状に形成すると共に、基準面αに対して面対称となる形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔33内において第3回転運動を行うことができるようになる。これに伴って両関節パーツ17,18も第3回転運動のみ可能となる。
【0073】
また、例えば、図14の(c)に示す変形例13のように、ガイド孔33の内形を、基準線Xを中心軸とする円弧面に沿わせて前記変形例11におけるガイド孔33の内形を連続的に繋ぎ合せた形状に形成すると共に、基準面αに対して面対称となる形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔33内において、第1回転運動、第2回転運動、第3回転運動、第1−2回転運動、第1−3回転運動、第2−3回転運動及び第1−2−3回転運動を行うことができる。これに伴って両関節パーツ17,18も第1回転運動、第2回転運動、第3回転運動、第1−2回転運動、第1−3回転運動、第2−3回転運動及び第1−2−3回転運動が可能となる。
【0074】
前記変形例11〜13において、第1回転運動、第2回転運動、第3回転運動、第1−2回転運動、第1−3回転運動、第2−3回転運動及び第1−2−3回転運動がそれぞれ可能となるガイド孔33の内形を例示したが、その他の例としては、例えば、図14の(d)に示す変形例14のように、ガイド孔33の内形を、基準線Xを中心軸とする円弧面に沿わせて前記変形例12におけるガイド孔33の内形を連続的に繋ぎ合せた形状に形成すると共に、基準面αに対して面対称となる形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔33内において第1回転運動、第3回転運動及び第1−3回転運動を行うことができるようになる。これに伴って両関節パーツ17,18も第1回転運動、第3回転運動及び第1−3回転運動が可能となる。
【0075】
また、図15の(a)に示す変形例15のように、ガイド孔33の内形を、XY面と平行な面に沿って前記変形例11におけるガイド孔33の内形を連続的に繋ぎ合せた形状に形成すると共に、基準面αに対して面対称となる形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔33内において第2回転運動、第3回転運動及び第2−3回転運動を行うことができるようになる。これに伴って両関節パーツ17,18も第2回転運動、第3回転運動及び第2−3回転運動が可能となる。
【0076】
また、図15の(b)に示す変形例16のように、ガイド孔33の内形を、前記実施の形態3におけるガイド孔33の内形と前記変形例11におけるガイド孔33の内形とを組み合わせた形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔33内において第1回転運動及び第2回転運動を行うことができるようになる。これに伴って両関節パーツ17,18も第1回転運動及び第2回転運動が可能となる。
【0077】
また、図15の(c)に示す変形例17のように、ガイド孔33の内形を、前記変形例11におけるガイド孔33の内形と前記変形例12におけるガイド孔33の内形とを組み合わせた形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔33内において第2回転運動及び第3回転運動を行うことができるようになる。これに伴って両関節パーツ17,18も第2回転運動及び第3回転運動が可能となる。
【0078】
また、図15の(e)に示す変形例18のように、ガイド孔33の内形を、前記実施の形態3におけるガイド孔33の内形と前記変形例12におけるガイド孔33の内形とを組み合わせた形状に形成すれば、牽引パーツ25がガイド孔33内において第1回転運動及び第3回転運動を行うことができるようになる。これに伴って両関節パーツ17,18も第1回転運動及び第3回転運動が可能となる。
【0079】
なお、前記変形例11〜18は、牽引パーツ25が雄関節部32の中心を通らない可動関節構造において、牽引パーツ25が、ガイド孔33内において前記〔α群〕から選択される少なくとも一つの回転運動を行うことができる例を示したものであり、ガイド孔33の内形はこれらの例に限定されるものではない。
【0080】
また、前記実施の形態3及び前記実施の形態4に係る変形例11〜18からも分かるように、牽引パーツ25が雄関節部32の中心を通らない可動関節構造においては、ガイド孔33の基準面αに対して面対称に位置付けられる領域に、牽引パーツ25が雄関節部32の中心を通る少なくとも一つの直線を回転軸として回転可能な空間を形成すれば(第4条件)、第3条件を満たすものと同様の作用効果を得られる。
【0081】
〔β群〕
(1)牽引パーツの伸長方向と同一方向に伸びる直線
(2)牽引パーツと直交する直線
(3)牽引パーツの伸長方向と直交方向に伸びる直線
【0082】
実施の形態5.
【0083】
本実施の形態は、前記実施の形態1に係る可動関節構造における両関節部の変形例であり、図17〜21において、図2〜4と同一符号は、同一又は相当部分を示している。なお、図19は、牽引パーツをXZ面上に位置付けた状態の雄関節部を示しており、上段の図は、牽引パーツを通過するXZ面に沿って雄関節部を切断した断面を示す図であり、中段の図は、牽引パーツを通過するXY面と平行な面に沿って雄関節部を切断した断面を示す図であり、下段の図は、A−A,E−Eから目視したガイド孔の形状及びB−B,C−C,D−Dの各断面におけるガイド孔の形状を示す図である。
【0084】
本実施の形態に係る雄関節パーツ17は、図17に示すように、雄関節部38のガイド孔39が基準面αに対して直交するように伸長しており、ガイド孔39は、雄関節部38の中心を通っていない。なお、ガイド孔39を基準面α上に位置する中間部40と該基準面αから外方へ向かって伸びる両側部41,41とに分けた場合、図19に示すように、ガイド孔39の中間部40の内形は、基準線Xを中心軸とする円弧状になっており、ガイド孔39の両側部41,41の内形は、中間部40と同じ円弧状を保持したまま基準面αから外方へ向かって伸びる形状になっている。そして、ガイド孔39の内形全体を見れば、基準面αに対して面対称となる形状になっている。なお、雄関節部38のガイド孔39は、雄本体部19に対して雄関節部32の中心よりも遠い位置に形成されている。
【0085】
また、本実施の形態に係る雌関節パーツ18は、図9及び図12に示すように、雌本体部21の先端から二股状に伸びて雌関節部42を構成する支持片43が前記実施の形態1における支持片29よりも短くなっており、それぞれが雄関節部38の外周の1/4周未満を囲う形状に形成されており、雌関節部42全体で見れば、雄関節部38の外周の1/2周未満を囲う形状に形成されている他は、前記実施の形態に係る雌関節パーツ18と同様の形態を有している。
【0086】
なお、本実施の形態に係る両関節部38,42を採用した可動関節構造も前記実施の形態1に係る可動関節構造と同様に組み立てることができる。
【0087】
次に、本実施の形態に係る両関節部38,42を採用した可動関節構造の動作を説明する。
【0088】
両関節部38,42が牽引パーツ25によって軸止めされており、また、雄関節部38のガイド孔39の内形が前記形状に形成されていることから、図21に示すように、牽引パーツ25は、ガイド孔39内において基準線Xを回転軸として回転する回転運動を行うことができるようになっている。これにより、両関節パーツ17,18の可動は、基準線Xを回転軸とした回転運動に制限される。
【0089】
なお、本実施の形態に係る可動関節構造は、前記実施の形態3と同様に牽引パーツ25が雄関節部20の中心を通らない可動関節構造であり、第3条件や第4条件を満たすガイド孔を形成すればよく、ガイド孔として前記変形例11〜18に示したガイド孔と同じ形状を採用することができ、これに限定されるものではない。但し、ガイド孔は、雄本体部19に対して雄関節部32の中心よりも遠い位置に形成する必要がある。
【0090】
実施の形態6.
【0091】
本実施の形態は、前記実施の形態1に係る可動関節構造における雄関節パーツの変形例であり、図21において、図2〜4と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0092】
本実施の形態に係る雄関節パーツ17は、図21に示すように、前記実施の形態1に係る雄関節部20を基準面αで二分割してなる二つの半球状の雄関節部44,44を有しており、各雄関節部44,44から雄本体部45,45が突出している。これにより、雌関節パーツ18に対して雄本体部45,45を基準線Xを回転軸としてそれぞれ別々に回転運動させることができる。
【0093】
なお、本実施の形態における雄関節部は、前記実施の形態1に係る雄関節部を二分割したものであるが、三つ以上に分割したものであってもよい。
【0094】
実施の形態7.
【0095】
本実施の形態は、前記実施の形態1に係る可動関節構造における牽引パーツの変形例であり、図22及び図23において、図2〜4と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0096】
本実施の形態に係る変形例19は、図22に示すように、牽引パーツ46が、変形した状態を維持する針金のような線材を二つ折にし、その折返し部47を一方の貫通孔31からガイド孔26を介して他方の貫通孔31へ差し込み、他方の貫通孔31から突出した線材の折返し部47に留め棒48を差し込み、一方の貫通孔31から突出した線材の両端を留め具49で留めた構成になっている。
【0097】
変形例19に係る牽引パーツ46によれば、線材を捩ることにより、線材の両牽引部30,30間に位置する部分の長さを調整することができ、これにより、両関節部20,22間に働く摩擦力を調整することができる。
【0098】
本実施の形態に係る変形例20は、図23に示すように、牽引パーツ50が、可撓性を有する線材の一端を他端に設けられたロック部51に差し込んで環状部52を形成し、その環状部52を一方の貫通孔31からガイド孔26を介して他方の貫通孔へ差し込み、他方の貫通孔31から突出した線材の環状部52に留め棒53を差し込み、一方の貫通孔31からロック部51を突出させた構成になっている。ロック部51は、線材の一端を差し込む方向にのみ移動させることができ、線材の一端を引き抜く方向には移動させることができないようになっている。即ち、本変形例20に係る牽引パーツ50は、所謂結束バンドである。
【0099】
変形例20に係る牽引パーツ50によれば、線材の一端をロック部51に差し込むことにより、線材の両牽引部30,30間に位置する部分の長さを縮めることができ、これにより、両関節部20,22間に働く摩擦力を強くすることができる。
【0100】
なお、本発明に係る牽引パーツは、雌関節部の両牽引部をその間に位置する長さを縮めることができるものであればよく、前記実施の形態に係る牽引パーツに限定されない。
【0101】
また、前記各実施の形態に係る可動関節構造は、外装部材で被覆された骨格部材の関節に適用されているが、外装部材と骨格部材とに分かれていないフィギュアの関節にも適用できる。この場合には、雄関節パーツの雄本体部及び雌関節パーツの雌本体部は、フィギュアの外形に合わせた形状に成形すればよい。
【0102】
なお、本発明における雄関節部の球体状とは、雄関節部を雌関節部に嵌め込んだ状態において、両関節部を雄関節部の一点又は略一点を支点にして摺動させられる程度の球体を示しており、球体の表面に多少の凹凸が設けられた球体も含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1 人形
2 頭部位
3 上胴部位
4 下胴部位
5 胴体部
6 上腕部位
7 前腕部位
8 手部位
9 腕部
10 大腿部位
11 脛部位
12 足部位
13 脚部
14 外装部材
15 骨格部材
16 可動関節構造
17 雄関節パーツ
18 雌関節パーツ
19 雄本体部
20 雄関節部
21 雌本体部
22 雌関節部
23 ボルト
24 ナット
25 牽引パーツ
26 ガイド孔
27 中間部
28 側部
29 支持片
30 牽引部
31 貫通孔
32 雄関節部
33 ガイド孔
34 中間部
35 側部
36 雌関節部
37 支持片
38 雄関節部
39 ガイド孔
40 中間部
41 側部
42 雌関節部
43 支持片
44 雄関節部
45 雄本体部
46 牽引パーツ
47 折返し部
48 留め棒
49 留め具
50 牽引パーツ
51 ロック部
52 環状部
53 留め棒
【要約】
【課題】長期に渡って可動を繰り返しても、関節を所定の姿勢で維持することができる可動関節構造を提供する。
【解決手段】フィギュアの関節に対して一方側に位置付けられる雄関節パーツと他方側に位置付けられる雌関節パーツとを有し、雄関節パーツに球体状の雄関節部が設けられており、雌関節パーツに雄関節部が摺動可能に嵌り込む形状の雌関節部が設けられており、雄関節部を雌関節部に嵌め込むことによって両パーツを連結する可動関節構造において、雄関節部を貫通するガイド孔を形成し、雌関節部の雄関節部を挟んで対向する位置に牽引部を設け、雌関節部の両牽引部の間に架け渡される牽引パーツによって雄関節部のガイド孔に通した状態で両牽引部を内側へ牽引し、牽引パーツの両牽引部間に位置する部分の長さを伸縮することによって両関節部間に生じる摩擦力を調整できるようにする。
【選択図】 図2
図14
図15
図22
図23
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図16
図17
図18
図19
図20
図21