(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6065249
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】セグメントに区切られた配光を生成するための照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 8/12 20060101AFI20170116BHJP
F21S 8/10 20060101ALI20170116BHJP
F21W 101/10 20060101ALN20170116BHJP
F21Y 103/00 20160101ALN20170116BHJP
【FI】
F21S8/12 110
F21S8/12 125
F21S8/12 150
F21S8/10 150
F21S8/10 180
F21S8/12 251
F21S8/10 183
F21S8/10 151
F21S8/12 263
F21S8/12 130
F21W101:10
F21Y103:00
【請求項の数】23
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-510571(P2015-510571)
(86)(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公表番号】特表2015-520482(P2015-520482A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】AT2013050102
(87)【国際公開番号】WO2013166537
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2015年1月15日
(31)【優先権主張番号】A50166/2012
(32)【優先日】2012年5月9日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】モサー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】エイチンガー,バーンド
(72)【発明者】
【氏名】フランク,ヘイモ
【審査官】
石井 孝明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−070679(JP,A)
【文献】
特開2010−137693(JP,A)
【文献】
特開2007−323885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/12
F21S 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の照明装置(1)であって、
2つ以上の照明ユニット(2)を備え、
各照明ユニット(2)は、
少なくとも1つの反射板(3)と、
前記少なくとも1つの反射板(3)と対になる少なくとも1つの光源(4)とを備え、
前記少なくとも1つの光源(4)からの光は、前記照明装置(1)に搭載された状態にある、対応する前記少なくとも1つの反射板(3)を介して前記自動車前方の領域に照射され、
前記2つ以上の照明ユニット(2)の副配光は、前記照明装置(1)の配光を形成し、
個別の前記照明ユニット(2)の前記副配光は、水平方向に互いに隣接して配置され、前記照明ユニット(2)の前記反射板(3)は、各照明ユニット(2)の前記副配光が少なくとも1つの明瞭かつ垂直な明暗境界を有するように設計され、
前記反射板(3)はグループに分割され、前記各グループは少なくとも1つの反射板を有し、あるグループの反射板を備えるすべての照明ユニット(2)は実質的に同一の形状の副光照射を生成し、異なるグループからの反射板を備える照明ユニット(2)の前記副光照射は互いに異なるように、前記反射板は設計され、
照明ユニットの各光源(4)は、前記反射板(3)の前に配置される少なくとも1つの光線遮蔽板(5)と対になり、
少なくとも1つの前記反射板(3)と前記少なくとも1つの光線遮蔽板(5)の端部の輪郭によって、前記少なくとも1つの明瞭かつ垂直な明暗境界が形成され、
前記少なくとも1つの光線遮蔽板(5)の端部の位置によって、前記少なくとも1つの明瞭かつ垂直な明暗境界の位置が調節されることを特徴とする、照明装置。
【請求項2】
隣接する照明ユニット(2)の前記副配光は、互いから離れて、互いに直接隣接し、または互いに重なるように写し出されることを特徴とする、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
少なくとも1つの前記反射板(3)は、前記副配光が正確に1つの垂直な明暗境界を有するように設計されることを特徴とする、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
すべての反射板(3)は、前記副配光が正確に1つの垂直な明暗境界を有するように設計されることを特徴とする、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記反射板(3)は、前記副配光が2つの垂直な明暗境界を有するように設計されることを特徴とする、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項6】
すべての反射板(3)は、前記副配光が2つの垂直な明暗境界を有するように設計されることを特徴とする、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項7】
前記反射板(3)は、すべての照明ユニット(2)が実質的に同一の形状の副光照射を生成するように設計されることを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項8】
1つ、2つ以上またはすべての反射板の前記反射面は滑らかであることを特徴とする、請求項1〜7のうちいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項9】
前記照明ユニット(2)の前記光源(4)はそれぞれ、少なくとも1つの発光ダイオードを備えることを特徴とする、請求項1〜8のうちいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項10】
前記照明ユニット(2)の前記光源(4)はそれぞれ、2つ以上の発光ダイオードを備えることを特徴とする、請求項1〜8のうちいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項11】
前記照明ユニット(2)の前記光源(4)は互いに独立して起動することができることを特徴とする、請求項1〜10のうちいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項12】
2つ以上の発光ダイオードは光源を形成し、前記発光ダイオードは互いに独立して起動されてもよく、または前記発光ダイオードはグループに組み合わされてもよく、前記個別のグループは互いに独立して起動することができることを特徴とする、請求項1または11に記載の照明装置。
【請求項13】
1または複数の前記光源(4)、前記発光ダイオードは、前記発光ダイオードの起動スイッチがオフにされることで、照明を暗くすることができることを特徴とする、請求項1〜12のうち1つに記載の照明装置。
【請求項14】
少なくとも前記外側の光源は、前記外側の光源の起動スイッチがオフにされることで、照明を暗くすることができることを特徴とする、請求項13に記載の照明装置。
【請求項15】
すべての光源(4)は共通の取り付け本体上に配置されることを特徴とする、請求項1〜14のうちいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項16】
前記反射板(3)または照明ユニット(2)は水平面に配置されることを特徴とする、請求項1〜15のうちいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項17】
前記照明ユニット(2)は同一の方向に配向されることを特徴とする、請求項1〜16のうちいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項18】
前記照明ユニット(2)は前記水平方向において互いに対して回転することを特徴とする、請求項1〜17のうちいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項19】
前記照明ユニット(2)の回転角度は、外側の領域の前記照明ユニット(2)から開始して中央領域の前記照明ユニット(2)まで続いて減少することを特徴とする、請求項18に記載の照明装置。
【請求項20】
請求項1〜19のうちいずれか1つによる少なくとも1つの照明装置(1)を備える、自動車用ヘッドライト。
【請求項21】
全体的な配光を生成するための、請求項20による左右のヘッドライトを備えるヘッドライトシステム。
【請求項22】
前記左のヘッドライトは前記全体的な配光の前記左の部分を生成し、前記右のヘッドライトは、前記全体的な配光の前記右の部分を生成することを特徴とする、請求項21によるヘッドライトシステム。
【請求項23】
前記全体的な配光の前記左の部分と前記右の部分は、水平方向から見て、中央で重なることを特徴とする、請求項22によるヘッドライトシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つ以上の照明ユニットを備える自動車用の照明装置を関する。
【0002】
本発明はまた、少なくとも1つの上記の照明装置を備える自動車用のヘッドライトに関する。
【0003】
最後に、本発明はまた、全体的な配光を生成するために左右のヘッドライトを有するヘッドライトシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
セグメントに区切られた配光を生成するための照明装置は既知である。照明装置の各照明ユニットは、配光の1または複数の光のセグメント(副配光)を生成する。個別の照明ユニットのスイッチを選択的にオンおよびオフにすることによって、配光のセグメントはマスクすることができ、すなわち照明しなくなる。言い換えれば、1または複数のセグメントを選択的に照明することができる。一例としては、セグメントに区切られた配光は走行用配光であり、水平に互いに隣接して配置される光のセグメントで構成されている。(ここでは、走行用配光全体は、左右の自動車ヘッドライトに搭載された2つの照明装置によって形成される。)
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、このために簡単な設計の照明装置を特定することである。
【0006】
本目的は導入部で言及した照明装置を用いて実現される。つまり、本発明によれば、各照明ユニットは、少なくとも1つの反射板と、少なくとも1つの反射板と対になる少なくとも1つの光源とを備える。少なくとも1つの光源からの光は、照明装置に搭載された状態にある、対応する少なくとも1つの反射板を介して自動車前方の領域に照射される。2つ以上の照明ユニットの副配光は、照明装置の配光を形成する。個別の照明ユニットの副配光は、水平方向に互いに隣接して配置され、照明ユニットの反射板は、各照明ユニットの副配光が少なくとも1つの明瞭で垂直な明暗境界を有するように設計される。
【0007】
ここで、「垂直」とは、明暗境界が、照明装置の前に配置される垂直な遮蔽板の上に投射されて、たとえば25メートルまたは10メートルの距離で垂直に伸びることを意味する。もちろん、この明暗境界は、道路上の光照射の概ね水平面に存在する。これは当業者には当然明らかであり、ここでは明確を期するためにのみ示す。
【0008】
ここで、原則として、隣接する照明ユニットの副配光は、互いから離れて、互いに直接隣接し、または互いに重なって写し出される。
【0009】
互いから離れる構成は、形成される隙間が第2の照明装置(全体的な配光を形成する左右の照明装置または左右のヘッドライト)によって照射される場合に、考慮可能となる。
【0010】
ただし、副配光が互いに直接隣接する場合は、特にまっすぐで明瞭な明暗境界のみしか生じないため、光照射のセグメントを最適にマスクすることができる。
【0011】
ただし、副配光が互いに重なる変形例が一般には好ましい。この場合は、照明装置を用いて均質の配光を生成することができ、それに応じて重なる領域を選択する場合は、個別のセグメントをマスクするための十分な空間、または一定のセグメントを選択的に照明するための十分な空間が残る。
【0012】
本発明の特定の実施形態によれば、少なくとも1つの反射板、好ましくはすべての反射板は、副配光が正確に1つの垂直な明暗境界を有するように設計される。
【0013】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの反射板、好ましくはすべての反射板は、副配光が2つの垂直な明暗境界を有するように設計される。
【0014】
1または複数の垂直な明暗境界の明瞭さは、反射板表面を適切に整えることによって最適化することができる。この点では、「最適化する」とはそれぞれの明暗境界が副光照射においてできるだけまっすぐに伸びることを意味する。
【0015】
反射板の設計(できるだけまっすぐの明暗線)によっては、明暗境界は歪むこともあり、つまり、垂直軌道から逸脱した形状となることもある。明暗境界を生成する端部領域で反射板を適切に整えることによって、このような逸脱した軌道を選択的に取り除くことができ、それによって、まっすぐで垂直な明暗境界が生成される。
【0016】
各々両方の端部か、または2つの端部のうち1つのみを明瞭にするように設計することができる。2つの端部のうち1つのみを明瞭にする場合には、理想的には、外側の端部が不明瞭なままとなるように、内側の端部を明瞭に設計することができる。いずれの場合でも、副光照射に1つの明瞭な端部しかない場合は、すべての副光照射が同じ側に1つの明瞭な端部を有することが好都合である。
【0017】
左(右)のヘッドライトの場合は、ヘッドライトが生成する配光セグメントの右(左)の垂直な明暗境界は、それぞれ「内側」の端部または明暗境界であり、左(右)のヘッドライトの場合は、左(右)の端部はそれぞれ「外側」の端部または明暗境界である。
【0018】
ここで、端部の「明瞭な」設計とは、端部が生成する明暗境界が照射に明瞭に映し出されることを意味すると理解されたい。
【0019】
「端部を明瞭にする」という表現は、本明細書では光照射における描写を意味し、つまり反射板の端部が明瞭に写し出されることを意味する。
【0020】
ここで、内側の明暗境界は好ましくは明瞭に写し出される一方、外側の明暗境界はそれほど明瞭には写し出されない。それによって、全体的な配光において、外側に向かう配光の均一で均質な軌道が実現される。
【0021】
両方の端部、つまり両方の垂直な明暗境界が明瞭である場合は、全体的な配光の均質性はある程度低減されるが、マスクを多くする事例を実現することができる。
【0022】
内側の端部のみが明瞭で、外側の端部は不明瞭なままの場合は、全体的な配光の均質性にとって有利である。ただし、個別のセグメント(副光照射)の軌道がそれほど明瞭ではなく、個別のセグメント(副光照射)が幅広であると、複数のセグメントのスイッチをオフにしなければならない場合もあるため、マスクの計画に悪影響を与えることがある。
【0023】
このため、この設計を用いると、一般に、光照射の均質性と端部の明瞭性との間で妥協しなければならない。
【0024】
費用効率が高く簡潔な変形例によると、すべての照明ユニットは実質的に同一の形状の副光照射を生成する。この場合は、すべての反射板を概ね同一に形成することができ、製造(1種類のみの反射板)、軸受体などに関して有利である。
【0025】
別の変形例によると、反射板はグループに区切られる。各グループは少なくとも1つの反射板を有する。あるグループの反射板を備えるすべての照明ユニットは、実質的に同一の形状の副光照射を生成し、異なるグループの反射板を備える照明ユニットの副光照射は互いに異なるように、反射板が設計される。
【0026】
このように、照明装置によって生成される光照射を改良することができると同時に、異なる形状の反射板の数を少なく抑えることができる。
【0027】
ただし、照明装置の光照射を最適化する観点からは、すべての照明ユニットが、互いに形状が異なる副光照射を生成するように、反射板が設計されることも有利でありうる。
【0028】
さらに、1つ、2つ以上またはすべての反射板の反射面は滑らかであってもよい。
【0029】
ここで、「滑らか」とは、反射面に凹凸がないことを意味する。ただし、このように散乱光の割合が低く抑えられると、それぞれの副配光の実施形態において制限が生じえる。
【0030】
ただし、1つ、2つ以上またはすべての反射板の反射面もまた、セグメントに区切られてもよい。ここで、セグメントは垂直および/または水平、および/または横向きに伸びるように構成されてもよい。
【0031】
滑らかであり、セグメントに区切られた反射板も、もちろん原則的に想定可能である。
【0032】
セグメントに区切ることによって、配光を自由に形成することが可能となり、配光を生成する際の自由度が増加する。
【0033】
セグメントに区切られた反射板を用いることで、それぞれの副配光を最適化することができるが、セグメント間の端部で散乱光が増加することもある。
【0034】
さらに、特定の実施形態によれば、照明ユニットの光源はそれぞれ、少なくとも1つの発光ダイオード、好ましくは2つ以上の発光ダイオードを備える。
【0035】
照明ユニットの光源を互いに独立して起動することができると特に有利である。このように、個別の照明ユニットは、互いに独立してスイッチオン、オフすることができ、場合によっては照明を暗くすることもできる。それによって、個別の副配光を個別にスイッチオン、オフすることができる。
【0036】
2つ以上の発光ダイオードを1つの光源に用いる場合も、有利でありえる。発光ダイオードを互いに独立して起動することができ、または発光ダイオードを組み合わせてグループにし、個別のグループを互いに独立して起動することができる。
【0037】
このように、各照明ユニットは、1または複数のセグメントを光照射に生成し、また、照明ユニットのこれらの個別のセグメントをそれに伴って、他のセグメントとは独立して制御することができる。
【0038】
それぞれが1または複数の発光ダイオードを備える複数のLEDチップを用いることによって、複数の光のセグメントを反射板に生成することができる。ここで、すべての反射板のセグメントはすべてのLEDチップと対になっており、つまり各発光ダイオードは一般に、実質的に反射板全体に光を照射する。
【0039】
一例として、反射板(セグメントのあるなしに関わらず)を備えるLEDチップの構成は、配光にセグメントを生成する。
【0040】
反射板(セグメントのあるなしに関わらず)を備える複数のLEDチップはまた、LEDチップを個別に起動することはできず、正確に1つのセグメントを配光に生成する。
【0041】
反射板(セグメントのあるなしに関わらず)を備える複数のLEDチップ、たとえばx個のLEDチップは、LEDチップを個別に起動することができ、x個のセグメントを配光に生成することができる。
【0042】
前述したように、1または複数の光源、特に光源の発光ダイオードは、照明を暗くすることができると有利でありえる。
【0043】
特に、少なくとも外側の光源の照明を暗くすることができると重要な意味を持つだろう。ここで、「外側」の光源(または照明ユニット)は外側の副配光、つまり配光の中心から離れた副配光を生成するものである。このように、照明装置の配光が横方向に拡大することを最適に制御することができる。
【0044】
照明装置の構成を簡潔かつ標準化するという観点から、すべての光源が共通の取り付け本体上に配置されると有利である。ここで、各光源は好ましくは専用のヒートシンク上に装備される。このようにヒートシンクと、ヒートシンク上に取り付けられる光源は交換可能ユニットを形成する。これらの交換可能ユニットは対応する反射板によって補完され、取り付け本体に固定される。
【0045】
さらに、少なくとも1つの光線遮蔽板が照明ユニットの各光源と対になると有利でありえる。
【0046】
光学的に効果的な光線遮蔽板の遮蔽板端部は、光照射に写し出され、それによってさらに明瞭な明暗線を生成することができる。さらに、(発光ダイオードの照射特性のために)各反射板に届かない光は光線遮蔽板によって遮断され、それによって光は照明ユニットから外に漏れることはない。
【0047】
反射板は、光線遮蔽板がない場合であっても、明瞭な明暗境界が光照射に生成されるように設計される。光線遮蔽板は、光源が直接見えないように用いられる。さらに、この光線遮蔽板は、光路に適切に配置し、適切に形成することによって、垂直な明暗境界の形状を変更(最適化)するために用いることができる。さらに、1または複数の別の光線遮蔽板を光路に導入して、1つまたは両方の垂直な明暗境界を形成(最適化)する。
【0048】
走行用配光などのセグメントに区切られた配光を生成するために、反射板および/または照明ユニットが水平面に配置されると有利である。
【0049】
本発明の変形例によれば、照明ユニットは同一の方向に配向される。
【0050】
照明装置の光照射は、照明ユニットが水平方向で互いに対して回転するとき、特に有利に生成されてもよい。
【0051】
照明ユニットは、このように、それぞれ垂直軸の回りを回転する。垂直軸は好ましくは、それぞれの照明ユニットの領域に位置する。
【0052】
照明ユニットの回転角度が様々であることによって、たとえば光照射の中央領域では増加は小さくなる。つまり、副光照射は互いにより近くに配置され、3以上、たとえば3つの副光照射が互いに合わさって重なり合ってもよい。このように、中央領域には高解像度が生成される。つまり、外側の領域よりもマスクされる光照射のセグメントは少なくなる。さらに、中央領域の最大光度をこれにしたがって増加することができる。
【0053】
複数の異なる反射板を用いる場合、配光の最適化も可能である。
【0054】
具体的には、光源と、反射板と、場合により少なくとも1つの遮蔽板とを備える照明ユニット全体は、好ましくは各事例において旋回する。これは迅速な製造という観点から製造上の有利点を有し、それに伴って費用を節約する。
【0055】
ただし、すべての光源は同一の方向に配向されるか、または前もって固定して取り付けられる。反射板のみが互いに対して回転し、または反射板が固定構成に対して回転するように取り付けられる。これは製造面からは、かなり複雑である。ただし、製造公差はこの場合の方が補償しやすい。
【0056】
LEDのカバーによる陰を最小限にするために、個別の照明ユニットの光路が交差するように形成すると有利である。交差光発光体としての設計によって、光源の閉じ込めが改善される結果となるため、効率性に対してさらに好ましい効果を与える。閉じ込めを改善するとは、反射板が、光源の発光、特にLEDの発光の立体角さらに大きく用いることができることを意味する。
【0057】
ここで、一例として、回転度は外側の照明ユニットから開始して内側の照明ユニットまで続いて増加する。
【0058】
本発明による目的は、少なくとも1つの前述の照明装置を含有するヘッドライトを用いてさらに実現される。
【0059】
導入部で前述した種類の本発明によるヘッドライトシステムを用いることによって、左のヘッドライトは全体的な配光の左の部分をさらに生成し、右のヘッドライトは全体的な配光の右の部分を生成してもよい。
【0060】
ここで、全体的な配光の左右の部分(水平方向から見て)は、好ましくは中央で重なる。
【0061】
一例として、左右の配光の重なる領域は水平方向に約3°である。重なる領域が大きくなるほど、この重なる領域において、全体的な光照射のセグメントを(完全に)マスクすることが難しくなる。
【0062】
図を参照して、本発明を以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】正面から斜めに見た、本発明による照明装置の斜視図を示す。
【
図2】正面から斜めに見た、別の斜視図における
図1の照明装置を示す。
【
図6】上部から見た照明装置の照明ユニットの概略図を示す。
【
図8】2つの光線遮蔽板を備える
図6の照明ユニットを示す。
【
図9】幅広の光路および2つの光線遮蔽板を備える照明ユニットを示す。
【
図10】2つの照明装置と、マスクされたセグメントとによって生成される全体的な配光を示す。
【
図11】マスクされた異なるセグメントを備える
図8の全体的な配光を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1〜
図4は、本発明による自動車用の照明装置1の様々な図を示す。例示する例において、この照明装置は7つの照明ユニット2を備える。
【0065】
ここで、図は左の照明装置を示し、右の照明装置と共に、本ヘッドライト構成は自動車の全体的な配光を生成する。
【0066】
各照明ユニット2は、反射板3と、反射板3と対になる光源4も備える。それによって、光源4からの光は、(照明装置1に搭載された状態の)対応する反射板3を介して自動車前方の領域に放射される。
【0067】
反射板の反射面は、滑らかであってもよい。例示する実施形態では、反射板3、つまりその反射面はセグメントに区切られている。
図1〜
図4による例示では、反射面はそれぞれ3つの水平のセグメント3a、3b、3cに区切られる。
【0068】
図からはっきり分かるように、反射板は、光源の横に、直接光源に対向して配置される。光源は、主な放出方向に対して約90°で実質的に横向きに光を放出する。(または、光源がLED方式の場合には、その0度の放出方向は照明ユニットの主な放出方向に対して約90°に配置される。)
【0069】
照明ユニット2の光源4はそれぞれ、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の発光ダイオードを備える。図示する変形例では、光源は垂直に配置される。つまり出光面は垂直面に配置され、反射板3に側面から光が当てられる。
【0070】
各照明ユニット2は副配光を形成し、7つの照明ユニット2の副配光は、照明装置1の(全体的な)配光を形成する。
【0071】
個別の照明ユニット2の副配光はここでは互いに隣接して水平方向に配置され、照明ユニット2の反射板3は、各照明ユニット2の副配光が少なくとも1つの明瞭かつ垂直な明暗境界線を有するように設計される。
【0072】
ここで、「垂直」とは、明暗境界が、照明装置の前に配置される垂直な遮蔽板の上に投射されて、たとえば25メートルまたは10メートルの距離で垂直に伸びることを意味する。もちろん、この明暗境界は、道路上の光照射の概ね水平面に存在する。これは当業者には当然明らかであり、ここでは明確を期すためにのみ示す。
【0073】
個別の照明ユニット2の光源4を互いに独立して起動することができる。このように、個別の照明ユニットは互いに独立してスイッチをオンおよびオフにすることができ、場合によっては、照明を暗くすることもできる。それによって、照明ユニットの個別の副配光のスイッチを、個別にオンおよびオフにすることができる。
【0074】
さらに、また、2つ以上の発光ダイオードが光源に提供されていると有利でありえる。光源の発光ダイオードも互いに独立して起動することができ、または光源の発光ダイオードを組み合わせてグループにし、個別のグループを互いに独立して起動することもできる。
【0075】
一例として、光源は1または複数のLEDチップを有していてもよく、各LEDチップは1または複数の発光ダイオードを備える。チップを個別に起動し、または接続することもできる。
【0076】
このように、各照明ユニットは、光照射内に(独立して起動可能なチップの数によって)1または複数のセグメントを生成する。それにしたがって、照明ユニットのこれらの個別のセグメントも他のセグメントとは独立して制御することもできる。
【0077】
複数のLEDチップ(それぞれが1または複数の発光ダイオードを備える)を反射板に用いることによって、複数の光のセグメントを生成することができる。ここで、すべての反射板のセグメントはすべてのLEDチップと対になっており、つまり各発光ダイオードは一般に、実質的に反射板全体に光を照射する。
【0078】
一例として、反射板(セグメントのあるなしに関わらず)を備えるLEDチップの構成は、正確に1つのセグメントを配光に生成する。
【0079】
反射板(セグメントのあるなしに関わらず)を備える複数のLEDチップは、LEDチップを個別に起動することはできず、同様に正確に1つのセグメントを配光に生成する。
【0080】
反射板(セグメントのあるなしに関わらず)を備える複数のLEDチップ、たとえばx個のLEDチップを用いて、LEDチップを個別に起動することができる場合は、x個の配光のセグメントを生成することができる。
【0081】
反射板のセグメントの構成によって、これらは、たとえば、互いに隣接して、または重なって配置されるセグメントを配光に形成してもよい。
【0082】
光源の薄暗さに関して、少なくとも外側の光源を暗くすることができると特に有利でありえる。ここで、「外側」の光源(または照明ユニット)とは、外側の副配光、つまり配光の中心から離れた副配光を生成する光源のことである。このように、照明装置の配光が横方向に拡大することを最適に制御することができる。
【0083】
簡潔かつ標準化された照明装置の構成という観点から、
図1〜
図4に例示するように、すべての光源4が共通の取り付け本体10上に配置されると有利である。ここで、各光源4は好ましくは専用のヒートシンク6上に装備される。このようにヒートシンク6に取り付けられる光源4は交換可能ユニットを形成する。これらの交換可能ユニットは対応する反射板3によって補助され、取り付け本体10に固定される。
【0084】
さらに、照明ユニット2の各光源4は少なくとも1つの光線遮蔽板5と対になると有利でありえる。
【0085】
光線遮蔽板の光学的に有効な遮蔽板端部は、光照射で写し出され、それによってさらに明瞭な明暗線を生成することができる。さらに、(発光ダイオードの照射特性のために)各反射板に届かない光は光線遮蔽板によって遮断され、それによって光は照明ユニットから外に漏れることはない。
【0086】
反射板は、光線遮蔽板がない場合であっても、明瞭な明暗境界が光照射に生成されるように形成される。光線遮蔽板は、光源が直接見えないように用いられる。さらに、この光線遮蔽板は、光路に適切に配置し、適切に形成することによって、垂直な明暗境界の形状を変更(最適化)するために用いることができる。さらに、1または複数の別の光線遮蔽板を光路に導入して、1つまたは両方の垂直な明暗境界を形成(最適化)する。
【0087】
図1〜
図4に示す変形例では、まさにこのような光線遮蔽板5が提供される。
【0088】
たとえば走行用配光などのセグメントに区切られた配光を生成するために、例示するように、反射板3または照明ユニット2が水平面に配置されると有利である。一例として例示するように、反射板3または照明ユニット2はまた、1列に隣接して配置され、光の放出方向において互いに相殺する。
【0089】
ここで、原則として、隣接する照明ユニット2の副配光は、互いから離れて、互いに直接隣接し、または互いに重なって写し出される。
【0090】
例示する実施形態では、副配光が互いに重なる好ましい変形例を示す。このように、均質の配光を本照明装置で生成することができそれに応じて重なる領域を選択する場合は、個別のセグメントをマスクするための十分な空間、または一定のセグメントを選択的に照明するための十分な空間が残る。
【0091】
図5は上から見た照明ユニット2の概略図を示す。照明ユニット2は反射板3と、光源4と、光線遮蔽板5とを備える。
図6に示すように、このような照明ユニット2は照明装置1(以下ヘッドライト1と称する)で用いられる。
図6は、後で詳細に説明する全体的な配光の左の部分を生成するための左のヘッドライトを示す。
【0092】
例示する光路からはっきりと分かるように、反射板3は交差光発光体である。図示する反射板3の場合は、反射板端部3’は垂直な明暗境界として副光照射に明瞭に写し出される。光の出射方向で構成を考慮すると、光線が交差する結果として、この端部3’は左に位置し、右の垂直な内側の明暗境界として光照射に写し出される。副配光の左側はこれほど明瞭には示されない。
【0093】
図7は、
図6に例示する個別の照明ユニットで生成される副配光L1-L7を示す。ここで、照明ユニットはまた、さらに、符号R1-R7で示される。
図8の照明ユニットRi(i=1-7)は副配光Li(i=1-7)を生成する。
【0094】
図7から分かるように、副配光L1-L7は、比較的直線で垂直に伸びる明瞭な右の明暗境界を有する。この明暗境界は、左の反射板端部3’によって生成される(
図5参照)。その一方、左側では、副配光L1-L7は左に伸びる軌道を取る。したがって、反射板3の右の端部3’’は本実施形態ではあまり明瞭には写し出されない。
【0095】
HとVの交点周囲の区域において、より高い強度の配光および内側の領域の副配光を細かく重ね合わせることを実現するために、「内側」配光L1-L3は有利には、図示するように、外側の配光L4-L4よりも水平方向の拡大が狭い。「内側」配光L1-L3の中心は、配光L4-L7の中心に比べて、水平方向において互いに近く配置されている。このために、図示する変形例において、照明ユニットは、水平方向において、より具体的には垂直軸の回りを互いに対して回転する。垂直軸は、好ましくはそれぞれの照明ユニットの領域に配置されるか、または照明ユニットを貫通して伸びる。
【0096】
具体的には、照明ユニットR1-R3は第1の方向に発光し、照明ユニットR4-R7はこの第1の方向に対して回転する。これらの照明ユニットは、照明ユニットR1-R3に対して斜めに発光する。したがって、副配光L1-L3は配光L4-L7より狭く、さらに、配光R1-R3はより精細に写される。
【0097】
照明ユニットの回転角度が様々であることによって、たとえば光照射の中央領域では増加は小さくなる。つまり、副光照射は互いにより近くに配置され、3以上、たとえば3つの副光照射が互いに合わさって重なり合ってもよい。このように、中央領域には高解像度が生成される。つまり、外側の領域よりもマスクされる光照射のセグメントは少なくなる。さらに、中央領域の最大光度をこれにしたがって増加することができる。
【0098】
同一の反射板を備え、基本的に同一に構成される照明ユニットを用いることができる。ただし、構成が異なる反射板も用いることができる。このため、多数の異なる反射板を用いる場合にも最適な適応がもちろん可能である。ただし、ツールの数を最低限にし、したがって費用に加えて部品の種類を最低限にするため、最小数の異なる反射板、たとえば2種類の異なる反射板を用いることが求められる。
【0099】
設計とともに、設置空間および性能もまた考慮すべきである。大きな反射板を用いると最大値が大きくなり、高効率になる一方、小さな反射板は設置空間を縮小するために有利である。
【0100】
照明装置の配光の中央領域では、高強度の狭い光照射を生成し、配光の個別のセグメントの精細な重ね合わせを可能にする幅広の反射板が有利である。一方、狭い反射板は、図の変形例でも示したように、好ましくは、幅広い照明のために、幅広い光照射の配光の外側の領域において用いられる。反射板の幅を狭くすることによって、必要な設置空間をさらに低減することができる。
【0101】
再度
図5を参照すると、
図5は照明ユニット2を示す。照明ユニット2の反射板3は交差光発光体として形成される。光線遮蔽板5は光源4が直接見えないようにする。したがって、所望する副配光外側に散乱光が生成されることを防ぐ。たとえば、散乱光は部分的な走行用配光操作によって、対向交通のまぶしさにつながることもある。
【0102】
適切な設計(端部の位置および輪郭)の結果として、この光線遮蔽板5を用いて、配光の垂直な明暗線を形成する、つまり最適化する(より明瞭に形成する)ことができる。
【0103】
交差する光路の場合は、
図5に示すように、光線遮蔽板に対向する配光の明暗境界が影響を受ける。つまりこの場合には、副配光の右の明暗境界が影響を受ける。
【0104】
さらに、第2の光線遮蔽板5’を用いて、第2の垂直な明暗境界(
図8参照)を最適化し/明瞭にすることができる。
【0105】
最後に、
図9も照明ユニットを示す。照明ユニットの反射板は幅広の光路を生成する。光線遮蔽板5’’、5’’’をここで用いる場合は、光線遮蔽板の側面に配置される配光の明暗境界はそれによって影響される。
【0106】
図10および
図11は、左右のヘッドライトからなるヘッドライトシステムで生成される走行用配光を示す。各ヘッドライトは、たとえば、本発明による7つの照明ユニットを持つ照明装置を備える。
【0107】
左のヘッドライトSWlは左の配光LVlを生成し、右のヘッドライトSWrは右の配光LVrを生成する。概略的に示すように、各ヘッドライトSWl、SWrは7つの照明ユニットを有し、それらは重なり合って、それぞれの配光を生成する。
【0108】
ここで、(水平方向から見て)全体的な配光の左右の部分LVl、LVrは好ましくは中央で重なる。一例として、左右の配光の重なる領域は水平方向に約3°で配置される。重なる領域が大きくなるほど、この重なる領域において、全体的な光照射のセグメントを(完全に)マスクすることが難しくなる。
【0109】
図10に示すように、左のヘッドライトSWlでは、2つの外側の照明ユニットのみが起動され(斜線で例示する)、右のヘッドライトSWrでは、最も内側の照明ユニット以外のすべての照明ユニットが照明されている。
図10に示すマスクされた光照射の領域を備える全体的な配光はこのように生成され、照明領域および非照明領域との間を明瞭に区切るための垂直な明暗境界がはっきりと分かる。
【0110】
図11は全体的な配光を示す。全体的な配光では、左のヘッドライトSWlの最も外側の4つの照明ユニットを起動する。右のヘッドライトSWrの場合は、最も外側の3つの照明ユニットを起動する。したがって、マスクされた領域は全体的な配光の右の部分に位置する。
【0111】
本明細書で請求する照明装置は従来の法規定、たとえばSAE(アメリカ自動車技術会)、CCC(中国製品安全強制認証制度)またはECE(欧州経済委員会)規則に合致している。