(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6065257
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】豆分離装置
(51)【国際特許分類】
A23L 11/00 20160101AFI20170116BHJP
B07B 13/11 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
A23L11/00 B
B07B13/11 A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-122100(P2012-122100)
(22)【出願日】2012年5月29日
(65)【公開番号】特開2013-244000(P2013-244000A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】509245164
【氏名又は名称】株式会社PSS
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100106356
【弁理士】
【氏名又は名称】松枝 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】渥美 春人
【審査官】
濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−050260(JP,A)
【文献】
特開平02−152583(JP,A)
【文献】
特開昭62−151137(JP,A)
【文献】
特開平10−276748(JP,A)
【文献】
特開平11−243894(JP,A)
【文献】
特開平09−322728(JP,A)
【文献】
米国特許第04173177(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 11/00
B07B 13/11
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮が剥かれた豆とその皮の混合物から当該豆と皮を分離する豆分離装置において、
2つのローラを備え、該2つのローラはその周面が互いに接触して軸方向に平行且つ傾斜させて並列に配置され、互いに反対方向に回転して、周面の接触部分において上から下に向けて回転し、前記2つのローラの周面上の豆とその豆から剥かれた皮のうち、皮を前記周面の接触部分から引き込んで下方に排出し、豆は、周面上で軸方向に移送され、軸端部から落下し、前記2つのローラはそれぞれ軸方向に延びる少なくとも一つの溝を有し、該溝は、豆と皮が該溝に嵌合せずに引っ掛かる程度の幅と深さであることを特徴とする豆分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸漬された豆から皮が除去された工程の後、皮が剥かれた豆とその皮の混合状態から豆を分離する豆分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、浸漬された豆の皮を除去する豆脱皮装置を開発し、実用化している。さらに、皮が剥かれた豆とその皮が一緒に回収される場合に、皮が剥かれた豆とその皮の混合状態から豆を選別(分離)する豆選別装置(豆分離装置)についても、開発を行った(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−050260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において開示された豆選別装置(豆分離装置)は、回転棒を振動させる振動手段を有し、構成がやや複雑であるとともに、動作音もやや大きいという難点がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、皮が剥かれた豆とその皮の混合物から当該豆と皮を分離する豆分離装置において、より簡略化された構成で、且つ動作音も小さい豆分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の豆分離装置は、皮が剥かれた豆とその皮の混合物から当該豆と皮を分離する豆分離装置において、2つのローラを備え、該2つのローラはその周面が互いに接触して軸方向に平行且つ傾斜させて並列に配置され、互いに反対方向に回転して、周面の接触部分において上から下に向けて回転し、2つのローラの周面上の豆とその豆から剥かれた皮のうち、皮を周面の接触部分から引き込んで下方に排出し、豆は、周面上で軸方向に移送され、軸端部から落下する。
この2つのローラはそれぞれ軸方向に延びる少なくとも一つの溝を有し、該溝は、豆と皮が該溝に嵌合せずに引っ掛かる程度の幅と深さである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の豆分離装置によれば、皮が剥かれた豆とその皮が混合した状態のものから、豆のみを確実に分離することができる。簡易な構成で実現でき、動作音も低減される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】本実施の形態における豆分離装置の構成例を示すである。
【
図5】本実施の形態における豆分離装置の豆と皮の分離動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
本実施の形態における豆分離装置は、例えば、特許文献1(特開2011−050260号公報)の
図7、8及び9に示す構成の豆脱皮装置の下部に回収ボックスに代わって配置され、豆脱皮装置により皮が剥かれた豆とその皮が混合したものが、豆分離装置に落下する。本実施の形態における豆分離装置の説明の前に、特許文献1の豆脱皮装置について簡単に説明する。
【0011】
図1及び
図2は、特許文献1の
図7及び
図8に示される豆脱皮装置の構成を示す図である。この豆脱皮装置は、コイルスプリング50と、そのコイルスプリング50の内周側に貫通するように挿入されるシャフト52と、コイルスプリング50の外周側を覆うゴム製筒部材54と、コイルスプリング50を回転駆動させる駆動モータ56とを備えて構成される。駆動モータ56は、シャフト52の上端部に連結され、シャフト52の下端部には、回収ボックス62が配置される。
【0012】
この豆脱皮装置の動作は次の通りである。駆動モータ56により、コイルスプリング50が回転する。ゴム製筒部材54は、コイルスプリング50とともに回転せずに、コイルスプリング50は、ゴム製筒部材54の内周面に接触しながら回転する。
【0013】
ホッパ60の上側開口部から投入された大豆は、下側開口部から落下して、シャフト52とゴム製筒部材54の間隙に落ちる。
【0014】
図3は、間隙内の大豆の状態を示す図である(特許文献1の
図9)。コイルスプリング50は、当該間隙にある大豆を下方向に移動させるように回転し、コイルスプリング50の回転に伴って、当該間隙にある大豆は、
図3(a)に示されるように、シャフト52の周面とゴム製筒部材54の内周面と接触しながら、コイルスプリング50により上から押されるようにして下方向に移動する。そして、この下方向への移動中に、
図3(b)に示されるように、大豆とシャフト52の周面及びゴム製筒部材54の内周面との接触による摩擦作用により、大豆の皮が剥がれる。
【0015】
大豆が、間隙の下端位置まで到達すると、大豆は間隙から解放されて落下し、回収ボックス62内に回収される。間隙には、分離した皮もそのまま残っており、分離した皮も、大豆と一緒に下端に押し出されるため、皮が分離した豆とその皮が一緒に回収ボックス62に落下して回収される。
【0016】
このように、皮が分離した大豆とその皮が一緒に回収される場合、以下に説明する本実施の形態における豆分離装置により、皮が分離した大豆とその皮の混合状態から皮が剥かれた豆のみを分離する。
【0017】
図4は、本実施の形態における豆分離装置の構成例を示す図であり、
図4(a)は上面図、
図4(b)は側面図、
図4(c)は正面図である。
【0018】
豆分離装置は、フレーム状の本体10と、本体10の上部に落下してくる豆と皮の混合物を受け入れる受け口11と、本体10に水平且つ並列に取り付けられる少なくとも2つのローラ12(図では4本)と、このローラ12を回転させるモータ及び歯車機構を含む駆動機構部13とを備える。ローラ12は、互いに軸方向に平行に並べられ、隣接するローラの周面同士が互いに接触するように配置される。また、少なくとも本体10とローラ12は、ローラ12の軸方向に傾斜して(角度は例えば15度程度)配置される。
【0019】
ローラ12は互いにその周面が接触するように配置され、駆動機構部13は、ローラ12を1000〜3000rpm程度で高速回転させ、隣接するローラ12は互いに反対方向に回転させる。
【0020】
図5は、本実施の形態における豆分離装置の豆と皮の分離動作を説明する図である。回転しているローラ12上に落下した豆と皮が混合したものは、ローラ12の回転により、ローラ12の周面上で跳ね、豆と皮の混合状態がほぐれ、皮のみが、周面が上から下方向に回転しているローラの周面間の接触部分に引き込まれ、その接触部分から下方向に排出される。一方、豆、ローラ12の周面上を跳ねながら、傾斜しているローラ12の斜め下方向に下っていき、ローラの軸端に達すると、そこから下に落下し、容器に収容される。このようにして、豆と皮が分離され、豆のみを効率的に回収することができる。このように、振動手段を用いず、ローラの回転のみで分離可能となるため、構成が簡易であり、また動作音も低減される。
【0021】
図4に示すように、ローラ12が4つ並列に配置される構成の場合、中2つのローラ12の周面の接触部分(中央接触部分)は、下方向から上方向に回転する。そこで、受け口11内部には、当該中央接触部分に豆と皮が混合したものを落下させずに、その両側の接触部分(周面が上方向から下方向に回転する接触部分)に誘導するような分岐部材11aが配置される。
【0022】
各ローラ12は、例えば直径30〜40mm、長さ250mm程度の寸法を有し、ウレタンライニングされ、好ましくは、軸方向に溝が形成される。ライニングの素材は、ウレタンに限らず、他の適切な弾性材料であってもよい。溝は、例えば幅2〜3mm、深さ1〜2mm程度であり、各ローラの周面に少なくとも1本形成される。
【0023】
図6は、ローラの溝を示す図であり、ローラ12の周面を平面に展開した状態を示す。一例として、ローラ12の溝12aは、軸方向又は軸方向より若干の角度(10〜30度程度)をつけて、複数本形成される。溝を形成することで、回転しているローラ12上に落ちた豆と皮が、溝に引っ掛かり、ローラ12上で躍るように跳ねることで、豆と皮の混合状態がほぐれやすくなる。これにより、例えば、豆の上に皮が載っているような場合でも、ローラ上で豆と皮が分離され、皮がローラに接触し、確実にローラ周面の接触部分に引き込んで、皮を豆から分離することができる。
【0024】
以上説明したとおり、本実施の形態における豆分離装置は、少なくとも2つのローラを備え、その2つのローラはその周面が互いに接触して軸方向に平行且つ傾斜させて並列に配置され、互いに反対方向に回転して、周面の接触部分において上から下に向けて回転し、2つのローラの周面上の豆とその豆から剥かれた皮のうち、皮を周面の接触部分から引き込んで下方に排出し、豆は、周面上で軸方向に移送され、軸端部から落下する。
【0025】
上述の実施の形態例では、浸漬された大豆の脱皮を例に説明したが、大豆に限られず、浸漬された他の豆、例えば枝豆などにも適用可能である。
【0026】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る各種変形、修正を含む要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
10:フレーム、11:受け口、12:ローラ、12a:溝、13:駆動機構部、50:コイルスプリング、52:シャフト、54:ゴム製筒部材、56:駆動モータ、60:ホッパ、62:回収ボックス