【実施例】
【0062】
本明細書中に記載のガラス組成物の実施形態について以下の実施例によりさらに明確に説明する。
【0063】
実施例1
6種の例示的な本発明によるガラス組成物(組成物A〜F)を調製した。各例示的ガラス組成物の具体的組成は以下の表1で報告されている。各例示的ガラス組成物について複数の試料を製作した。各組成の1つの試料セットを少なくとも5時間、450℃の温度で100%KNO
3の溶融塩浴中でイオン交換して、試料の表面内に圧縮層を誘発した。圧縮層は、少なくとも500MPaの表面圧縮応力と少なくとも45μmの層深さを有していた。
【0064】
その後、各例示的ガラス組成物の化学的耐久性を、上述のDIN12116規格、ISO695規格およびISO720規格を用いて決定した。具体的には、各例示的ガラス組成物のイオン交換されていない試験試料を、DIN12116規格、ISO695規格またはISO720規格の1つに準じた試験に付して、それぞれ試料の耐酸性、耐塩基性または耐加水分解性を決定した。各例示的組成のイオン交換された試料の耐加水分解性を、ISO720規格に準じて決定した。イオン交換された試料の耐加水分解性を決定するため、ガラスをISO720規格中で求められている粒径まで破砕し、450℃の温度で少なくとも5時間100%KNO
3の溶融塩浴中でイオン交換して個別のガラス粒内に圧縮応力層を誘発し、その後ISO720規格に準じて試験した。全ての試料の平均結果は、以下で表1に報告されている。
【0065】
表1に示されているように、例示的ガラス組成物A〜Fは全て、DIN12116に準じて試験した後、1mg/dm
2超で5mg/dm
2未満のガラス質量損失を示し、例示的ガラス組成物Eは1.2mg/dm
2という最低のガラス質量損失を有していた。したがって、例示的ガラス組成物の各々は、DIN12116規格の少なくともクラスS3に分類され、例示的ガラス組成物EはクラスS2に分類された。これらの試験結果に基づいて、ガラス試料の耐酸性はSiO
2含有量の増加と共に改善すると考えられている。
【0066】
さらに、例示的ガラス組成物A〜Fは全て、ISO695に準じて試験した後、80mg/dm
2未満のガラス質量損失を示し、例示的ガラス組成物Aは60mg/dm
2という最低のガラス質量損失を有していた。したがって、例示的ガラス組成物の各々は、ISO695規格の少なくともクラスA2に分類され、例示的ガラス組成物A、B、DおよびFはクラスA1に分類された。概して、より高いシリカ含有量を有する組成物が、より低い耐塩基性を示し、より高いアルカリ/アルカリ土類含有量を有する組成物が、より大きい耐塩基性を示した。
【0067】
表1は同様に、例示的ガラス組成物A〜Fのイオン交換されていない試験試料全てが、ISO720に準じて試験した後、少なくともタイプHGA2の耐加水分解性を示し、例示的ガラス組成物C〜Fが、タイプHGA1の耐加水分解性を有していたことも示している。例示的ガラス組成物C〜Fの耐加水分解性は、例示的ガラス組成物AおよびBに比べてガラス組成物中により多い量のSiO
2およびより少ない量のNa
2Oが存在することに起因するものであると考えられている。
【0068】
その上、例示的ガラス組成物B〜Fのイオン交換された試験試料は、ISO720規格に準じて試験した後、同じ例示的ガラス組成物のイオン交換を受けていない試験試料に比べて、ガラス1グラムあたり少ない量の抽出Na
2Oを示した。
【0069】
【表1】
【0070】
実施例2
3種の例示的な本発明によるガラス組成物(組成物G〜I)と3種の比較用ガラス組成物(組成物1〜3)を調製した。各組成物中でアルカリ酸化物対アルミナ(すなわちY:X)の比を変動させて、結果として得たガラス溶融物およびガラスのさまざまな特性に対するこの比の効果を査定した。例示的な本発明によるガラス組成物と比較用ガラス組成物の各々の具体的組成は、表2に報告されている。各ガラス組成物から形成された溶融物の歪点、焼鈍点および軟化点を決定し、表2に報告している。さらに、結果として得たガラスの熱膨張係数(CTE)、密度、および応力光学係数(SOC)も決定し、表2に報告している。各々の例示的な本発明によるガラス組成物と各々の比較用ガラス組成物から形成されたガラス試料の耐加水分解性を、450℃で5時間100%KNO
3の溶融塩浴中でイオン交換の前後両方においてISO720規格に準じて決定した。イオン交換されたこれらの試料について、圧縮応力を、基本応力計(FSM)計器を用いて、測定された応力光学係数(SOC)に基づく圧縮応力値で決定した。FSM計器は、複屈折ガラス表面内およびこの表面から外に光を結合させる。その後、測定された複屈折を材料定数、応力光学係数または光弾性係数(SOCまたはPEC)を通して応力に関連づけし、2つのパラメータすなわち最大表面圧縮応力(CS)と交換済み層深さ(DOL)を得る。ガラス中のアルカリイオンの拡散率および時間の平方根あたりの応力変化も決定した。ガラスの拡散率(D)を測定された層深さ(DOL)およびイオン交換時間(t)から以下の関係式にしたがって計算する:DOL=約1.4
*sqrt(4
*D
*t)。拡散率は、アレニウスの関係式にしたがって温度と共に増加し、そのため特定の温度で報告されている。
【0071】
【表2】
【0072】
表2中のデータは、アルカリ対アルミナ比Y:Xが、溶融挙動、耐加水分解性そしてイオン交換による強化を通して得ることのできる圧縮応力に影響を及ぼすことを表している。詳細には、
図1は、表2のガラス組成物についてのY:X比の関数として、歪点、焼鈍点および軟化点をグラフで表している。詳細には、
図1は、Y:X比が0.9より低く低下するにつれて、ガラスの歪点、焼鈍点および軟化点が急速に上昇することを実証している。したがって、直ちに溶融可能かつ成形可能であるガラスを得るためには、Y:X比は0.9以上、さらには1以上でなければならない。
【0073】
さらに、表2のデータは、ガラス組成物の拡散率が概してY:X比と共に減少することを表している。したがって、プロセス時間(およびコスト)の削減を目的として急速にイオン交換可能であるガラスを達成するためには、Y:X比は、0.9以上、さらには1以上でなければならない。
【0074】
さらに、
図2は、所与のイオン交換時間およびイオン交換温度について、Y:X比が約0.9以上さらには約1以上かつ約2以下、具体的には約1.3以上かつ約2.0以下である場合に、最大の圧縮応力が得られることを表している。したがって、ガラスの耐荷重強度の最大限の改善は、Y:X比が約1超で約2以下である場合に得ることができる。概して、イオン交換によって達成可能な最大応力はイオン交換持続時間の増大と共に低下するものと理解されており、これは応力変化率(すなわち測定された圧縮応力をイオン交換時間の平方根で除したもの)によって表わされる通りである。
図2は、概して、Y:X比が減少するにつれて応力変化率が減少することを示している。
【0075】
図3は、Y:X比(x軸)の関数として耐加水分解性(y軸)をグラフで表わす。
図3で示されている通り、ガラスの耐加水分解性は概して、Y:X比が減少するにつれて改善する。
【0076】
以上のことに基づいて、良好な溶融挙動、より優れたイオン交換性能そしてより優れた耐加水分解性を有するガラスが、ガラスのY:X比を約0.9以上さらには約1以上かつ約2以下に維持することによって達成可能であることを理解すべきである。
【0077】
実施例3
3種の例示的な本発明によるガラス組成物(組成物J〜L)および3種の比較用ガラス組成物(組成物4〜6)を調製した。ガラス組成物中のMgOおよびCaOの濃度を変動させて、MgO富有組成物(例えば組成物J〜Lと4)およびCaO富有組成物(すなわち組成物5〜6)の両方を生成した。MgOおよびCaOの相対的量も同様に、ガラス組成物が(CaO/(CaO+MgO))について異なる値を有するような形で変動させた。例示的な本発明によるガラス組成物および比較用ガラス組成物各々の具体的組成は、以下で表3中に報告されている。各組成物の特性は、実施例2に関して以上で記述した通りに決定した。
【0078】
【表3】
【0079】
図4は、(CaO/(CaO+MgO))比の関数として表3中に列挙された組成物の拡散率Dをグラフで表している。具体的には、
図4は、(CaO/(CaO+MgO))比が増大するにつれて、結果として得られるガラス中のアルカリイオンの拡散率は減少し、こうしてガラスのイオン交換性能が低下することを表している。この傾向は、
図3および
図5中のデータによって裏付けされている。
図5は、(CaO/(CaO+MgO))比の関数として最大圧縮応力および応力変化率(y軸)をグラフで表している。
図5は、(CaO/(CaO+MgO))が増大するにつれて、所与のイオン交換温度およびイオン交換時間について、獲得可能な最大圧縮応力が減少することを表している。
図5は同様に、(CaO/(CaO+MgO))比が増大するにつれて、応力変化率が増大する(すなわちより不利かつより望ましくないものとなる)。
【0080】
したがって、表3ならびに
図4および5中のデータに基づいて、(CaO/(CaO+MgO))比を最小限に抑えることによって、より高い拡散率を有するガラスを生成できるものと理解すべきである。(CaO/(CaO+MgO))比が約0.5未満である場合に、好適な拡散率を有するガラスを生成することができることが決定された。(CaO/(CaO+MgO))比が約0.5未満である場合のガラスの拡散率値は、所与の圧縮応力および層深さを達成するために必要とされるイオン交換プロセス時間を短縮させる。あるいは、(CaO/(CaO+MgO))比に起因してより高い拡散率を有するガラスを、所与のイオン交換温度およびイオン交換時間についてより高い圧縮応力および層深さを達成するために使用してもよい。
【0081】
さらに、表3中のデータは同様に、MgO濃度を増大させて(CaO/(CaO+MgO))比を減少させることによって、ISO720規格により測定される加水分解劣化に対するガラスの耐性は概して改善することも示している。
【0082】
実施例4
3種の例示的な本発明によるガラス組成物(組成物M〜O)および3種の比較用ガラス組成物(組成物7〜9)を調製した。ガラス組成物中のB
2O
3の濃度を0モル%〜約4.6モル%まで変動させて、結果として得られるガラスがB
2O
3/(R
2O−Al
2O
3)比について異なる値を有するようにした。例示的な本発明によるガラス組成物および比較用ガラス組成物の各々の具体的組成は以下で表4中に報告されている。各ガラス組成物の特性は、実施例2および3に関して以上で記述した通りに決定した。
【0083】
【表4】
【0084】
図6は、表4のガラス組成物についてのB
2O
3/(R
2O−Al
2O
3)比(x軸)の関数として、表4中のガラス組成物の拡散率(D)(y軸)をグラフで表している。
図6に示されているように、ガラス中のアルカリイオンの拡散率は概して、B
2O
3/(R
2O−Al
2O
3)比が増大するにつれて減少する。
【0085】
図7は、表4のガラス組成物についてのB
2O
3/(R
2O−Al
2O
3)比(x軸)の関数として、ISO720の規格に準じた耐加水分解性(y軸)をグラフで表している。
図6に示されているように、ガラス組成物の耐加水分解性は概して、B
2O
3/(R
2O−Al
2O
3)比が増大するにつれて改善する。
【0086】
図6および7に基づいて、B
2O
3/(R
2O−Al
2O
3)比を最小限に抑えることでガラス中のアルカリイオンの拡散率が改善され、こうしてガラスのイオン交換特性が改善されるものと理解すべきである。さらに、B
2O
3/(R
2O−Al
2O
3)比を増大させることは同様に、概して加水分解劣化に対するガラスの耐性も改善する。さらに、(DIN12116規格により測定される)酸性溶液中の劣化に対するガラスの耐性が、概してB
2O
3濃度の減少に伴って改善されることが発見されている。したがって、B
2O
3/(R
2O−Al
2O
3)比を約0.3以下に維持することにより耐加水分解性および耐酸性の改善がガラスに提供されると共に、イオン交換特性も改善されることが決定されている。
【0087】
ここで、本明細書中に記載のガラス組成物が、イオン交換の後、化学的耐久性ならびに機械的耐久性を示すことも理解すべきである。これらの特性はガラス組成物を、非限定的に医薬品包装材料を含めたさまざまな利用分野で使用するために充分好適なものにする。
【0088】
以上のことに基づいて、ここでガラス組成物およびガラス組成物から形成されるガラス物品のさまざまな態様が開示されているものと理解すべきである。第1の態様によると、ガラス組成物は、約70モル%超の濃度のSiO
2と、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNa
2Oを含み得る。ガラス組成物はホウ素およびホウ素化合物を含んでいなくてもよい。
【0089】
第2の態様において、第1の態様のガラス組成物は、約72モル%以上の量でSiO
2を含む。
【0090】
第3の態様において、第1または第2の態様のガラス組成物は、リンおよびリン化合物を含まない。
【0091】
第4の態様において、第1〜第3の態様のいずれかのガラス組成物はさらにXモル%のAl
2O
3を含み、Y:X比は1超である。
【0092】
第5の態様において、第4の態様におけるガラス組成物のY:X比は、2以下である。
【0093】
第6の態様において、第4または第5の態様中のガラス組成物のAl
2O
3の量は、約2モル%以上かつ約10モル%以下である。
【0094】
第7の態様において、第1〜第5の態様のいずれかのガラス組成物はさらに、約3モル%〜約13モル%のアルカリ土類酸化物を含む。
【0095】
第8の態様において、第7の態様のアルカリ土類酸化物はMgOおよびCaOを含み、CaOは約0.1モル%以上かつ約1.0モル%以下の量で存在し、(CaO(モル%)/(CaO(モル%)+MgO(モル%)))比は0.5以下である。
【0096】
第9の態様において、ガラス組成物は、約68モル%超のSiO
2と、Xモル%のAl
2O
3と、Yモル%のアルカリ酸化物と、B
2O
3とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNa
2Oを含み得る。(B
2O
3(モル%)/(Yモル%−Xモル%))比は0超で0.3未満であってよい。
【0097】
第10の態様において、第9の態様のガラス組成物は約72モル%以上の量でSiO
2を含む。
【0098】
第11の態様において、第9の態様または第10態様のガラス組成物は、約0.01モル%以上かつ約4モル%以下の量でB
2O
3を含む。
【0099】
第12の態様において、第9〜第11の態様のいずれかのガラス組成物は1超のY:X比を有する。
【0100】
第13の態様において、第12の態様のY:X比は2以下である。
【0101】
第14の態様は、Xが約2モル%以上かつ約10モル%以下である、第9〜第13の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0102】
第15の態様は、リンおよびリン化合物を含まない、第9〜第14の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0103】
第16の態様は、MgOおよびCaOをさらに含み、CaOが約0.1モル%以上かつ約1.0モル%以下の量で存在し、(CaO(モル%)/(CaO(モル%)+MgO(モル%)))比が0.5以下である、第9〜第15までの態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0104】
第17の態様において、ガラス物品は、ISO719に準じたタイプHGB1の耐加水分解性を有し得る。ガラス物品は、約8モル%超のNa
2Oおよび約4モル%未満のB
2O
3を含み得る。
【0105】
第18の態様において、第17の態様のガラス物品はさらに、Xモル%のAl
2O
3とYモル%のアルカリ酸化物とを含み、ここで(B
2O
3(モル%)/(Yモル%−Xモル%))比は、0超で0.3未満である。
【0106】
第19の態様において、第17〜第18の態様のいずれかのガラス物品はさらに、約250MPa以上の表面圧縮応力を有する圧縮応力層を含む。
【0107】
第20の態様は、DIN12116に準じた少なくともクラスS3の耐酸性を有する、第17〜第19の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0108】
第21の態様は、ISO695に準じた少なくともクラスA2の耐塩基性を有する、第17〜第20の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0109】
第22の態様は、ISO720に準じたタイプHGA1の耐加水分解性を有する、第17〜第21の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0110】
第23の態様において、ガラス製医薬品パッケージは、約70モル%超の量のSiO
2と、Xモル%のAl
2O
3と、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNa
2Oを含み得る。ガラス製医薬品パッケージ中のB
2O
3の濃度(モル%)と(Yモル%−Xモル%)の比は、0.3未満であってよい。ガラス製医薬品パッケージは同様に、ISO719に準じたタイプHGB1の耐加水分解性を有し得る。
【0111】
第24の態様は、SiO
2の量が72モル%以上かつ約78モル%以下である、第23の態様のガラス製医薬品パッケージを含む。
【0112】
第25の態様は、Xが約4モル%以上かつ約8モル%以下である、第23〜第24の態様のガラス製医薬品パッケージを含む。
【0113】
第26の態様は、Y:Xの比が1超である、第23〜第25の態様のガラス製医薬品パッケージを含む。
【0114】
第27の態様は、Y:Xの比が2未満である、第23〜第26の態様のガラス製医薬品パッケージを含む。
【0115】
第28の態様は、約4モル%〜約8モル%のアルカリ土類酸化物をさらに含む、第23〜第27の態様のガラス製医薬品パッケージを含む。
【0116】
第29の態様は、さらにMgOとCaOを含み、CaOが約0.2モル%以上かつ約0.7モル%以下の量で存在し、(CaO(モル%)/(CaO(モル%)+MgO(モル%)))比が0.5以下である、第23〜第28の態様のガラス製医薬品パッケージを含む。
【0117】
第30の態様は、医薬品パッケージがISO720に準じたタイプHGA1の耐加水分解性を有する、第23〜第29の態様のガラス製医薬品パッケージを含む。
【0118】
第31の態様において、ガラス組成物は、約70モル%〜約80モル%のSiO
2と、約3モル%〜約13モル%のアルカリ土類酸化物と、Xモル%のAl
2O
3と、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNa
2Oを含み得る。Y:X比は1超であってよく、ガラス組成物はホウ素およびホウ素化合物を含んでいなくてもよい。
【0119】
第32の態様において、ガラス組成物は、約72モル%〜約78モル%のSiO
2と、約4モル%〜約8モル%のアルカリ土類酸化物と、Xモル%のAl
2O
3と、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ土類酸化物の量は、約4モル%以上かつ約8モル%以下であってよい。アルカリ酸化物は、約9モル%以上かつ約15モル%以下の量でNa
2Oを含み得る。Y:X比は1超であってよい。ガラス組成物はホウ素およびホウ素化合物を含んでいなくてもよい。
【0120】
第33の態様において、ガラス組成物は、約68モル%〜約80モル%のSiO
2と、約3モル%〜約13モル%のアルカリ土類酸化物と、Xモル%のAl
2O
3と、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNa
2Oを含み得る。ガラス組成物は、B
2O
3を含み得る。(B
2O
3(モル%)/(Yモル%−Xモル%))比は、0超で0.3未満であってよく、Y:X比は1超であってよい。
【0121】
第34の態様において、ガラス組成物は、約70モル%〜約80モル%のSiO
2と、約3モル%〜約13モル%のアルカリ土類酸化物と、Xモル%のAl
2O
3と、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ土類酸化物は、約0.1モル%以上かつ約1.0モル%以下の量でCaOを含み得る。Xは約2モル%以上かつ約10モル%以下であってよい。アルカリ酸化物は、約0.01モル%〜約1.0モル%のK
2Oを含み得る。Y:X比は1超であってよい。ガラス組成物は、ホウ素およびホウ素化合物を含まなくてもよい。
【0122】
第35の態様において、ガラス組成物は、約70モル%以上かつ約80モル%以下の量のSiO
2と、約3モル%〜約13モル%のアルカリ土類酸化物と、Xモル%のAl
2O
3と、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNa
2Oを含み得る。ガラス組成物中のB
2O
3の濃度(モル%)対(Yモル%−Xモル%)の比は、0.3未満であってよい。Y:X比は1超であってよい。
【0123】
第36の態様は、SiO
2が78モル%以下の量で存在する、第31〜第35の態様のガラス組成物を含む。
【0124】
第37の態様は、アルカリ土類酸化物の量が約4モル%以上かつ約8モル%以下である、第31〜第36の態様のガラス組成物を含む。
【0125】
第38の態様は、アルカリ土類酸化物がMgOとCaOを含み、(CaO(モル%)/(CaO(モル%)+MgO(モル%)))比が0.5以下である、第31〜第37の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0126】
第39の態様は、アルカリ土類酸化物が約0.1モル%〜約1.0モル%以下のCaOを含む、第31〜第38の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0127】
第40の態様は、アルカリ土類酸化物が約3モル%〜約7モル%のMgOを含む第31〜第39の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0128】
第41の態様は、Xが約2モル%以上かつ約10モル%以下である、第31、第32または第34の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0129】
第42の態様は、アルカリ酸化物が約9モル%以上かつ約15モル%以下のNa
2Oを含む、第31〜第41の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0130】
第43の態様は、Y:X比が2以下である、第31〜第42の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0131】
第44の態様は、Y:X比が1.3以上かつ2.0以下である、第31〜第43の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0132】
第45の態様は、アルカリ酸化物がさらに約3モル%以下の量でK
2Oを含む、第31〜第44の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0133】
第46の態様は、リンおよびリン化合物を含まない、第31〜第45の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0134】
第47の態様は、アルカリ酸化物が約0.01モル%以上かつ約1.0モル%以下の量でK
2Oを含む、第31〜第46の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0135】
第48の態様は、SiO
2の量が約70モル%以上である、第32または第34の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0136】
第49の態様は、(B
2O
3(モル%)/(Yモル%−Xモル%))比が0.2未満である、第32または第34の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0137】
第50の態様は、B
2O
3の量が約4.0モル%以下である、第32または第34の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0138】
第51の態様は、B
2O
3の量が約0.01モル%以上である、第50の態様のガラス組成物を含む。
【0139】
第52の態様は、ホウ素およびホウ素化合物を含まない、第34の態様のガラス組成物を含む。
【0140】
第53の態様は、SiO
2の濃度が約72モル%以上である、第31〜第34の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0141】
第54の態様は、SiO
2の濃度が約73モル%以上である、第31〜第53の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0142】
第55の態様において、ガラス物品は、第31〜第54の態様のいずれかのガラス組成物から形成されている。
【0143】
第56の態様は、ISO719に準じたタイプHGB1の耐加水分解性を有する第55の態様のガラス物品を含む。
【0144】
第57の態様は、イオン交換による強化の後ISO720に準じたタイプHGA1の耐加水分解性を有する第55〜第56の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0145】
第58の態様は、イオン交換による強化の前後にISO720に準じたタイプHGA1の耐加水分解性を有する第55〜第57の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0146】
第59の態様は、DIN12116に準じた少なくともクラスS3の耐酸性を有する、第55〜第58の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0147】
第60の態様は、ISO695に準じた少なくともクラスA2の耐塩基性を有する、第55〜第59の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0148】
第61の態様は、医薬品パッケージである第55〜第60の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0149】
第62の態様は、イオン交換による強化を受けている第55〜第61の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0150】
第63の態様は、10μm以上の層深さと250MPa以上の表面圧縮応力とを有する圧縮応力層をさらに含む、第55〜第62の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0151】
第64の態様において、ガラス物品はISO719に準じたタイプHGB1の耐加水分解性を有し得る。ガラス物品は同様に、450℃以下の温度で16μm
2/hr超の閾値拡散率も有し得る。
【0152】
第65の態様は、閾値拡散率が、450℃以下の温度で20μm
2/hr以上である、第64の態様のガラス物品を含む。
【0153】
第66の態様は、イオン交換による強化の後ISO720に準じたタイプHGA1の耐加水分解性を有する第63〜第64の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0154】
第67の態様は、25μm以上の層深さを有する圧縮応力層をさらに含む第64〜第66の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0155】
第68の態様は、層深さが35μm超である第67の態様のガラス物品を含む。
【0156】
第69の態様は、ガラス物品がイオン交換による強化を受けており、イオン交換による強化には、450℃以下の温度で5時間以下の時間溶融塩浴中でガラス物品を処理することが含まれる、第63〜第68の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0157】
第70の態様は、350MPa以上の表面圧縮応力をさらに含む第63〜第69の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0158】
第71の態様は、表面圧縮応力が400MPa以上である第63〜第70の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0159】
第72の態様は、ガラス物品がイオン交換による強化を受けており、イオン交換による強化には、450℃以下の温度で5時間以下の時間溶融塩浴中でガラス物品を処理することが含まれる、第63〜第71の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0160】
第72の態様は、医薬品パッケージである第63〜第72の態様のガラス物品を含む。
【0161】
第73の態様において、ガラス物品はISO719に準じたタイプHGB1の耐加水分解性を有し得る。ガラス物品は同様に、25μm超の層深さと350MPa以上の表面圧縮応力とを有する圧縮応力層をも有し得る。ガラス物品はイオン交換による強化を受けることができ、イオン交換による強化には、450℃以下の温度で5時間以下の時間溶融塩浴中でガラス物品を処理することが含まれ得る。
【0162】
第74の態様は、イオン交換による強化の後ISO720に準じたタイプHGA1の耐加水分解性を有する、第73の態様のガラス物品を含む。
【0163】
第75の態様は、450℃以下の温度で16μm
2/hr超の閾値拡散率を有する、第73〜第74の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0164】
第76の態様は、閾値拡散率が450℃以下の温度で20μm
2/hr以上である、第73〜第75の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0165】
第77の態様は、医薬品パッケージである第73〜第76の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0166】
当業者にとっては、請求対象の主題の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載の実施形態に対してさまざまな修正および変更を加えることができるということは明白である。したがって、本明細書は、その修正および変更が添付のクレームおよびその等価物の範囲内に入ることを条件として、本明細書中に記載のさまざまな実施形態の修正および変更を網羅するものであることが意図されている。