特許第6065300号(P6065300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6065300改良された化学的および機械的耐久性を有するガラス組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6065300
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】改良された化学的および機械的耐久性を有するガラス組成物
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/087 20060101AFI20170116BHJP
   C03C 3/091 20060101ALI20170116BHJP
   A61J 1/00 20060101ALI20170116BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   C03C3/087
   C03C3/091
   A61J1/00 370Z
   A61J1/05 311
【請求項の数】12
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-124363(P2016-124363)
(22)【出願日】2016年6月23日
(62)【分割の表示】特願2014-538997(P2014-538997)の分割
【原出願日】2012年10月25日
(65)【公開番号】特開2016-193823(P2016-193823A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2016年6月23日
(31)【優先権主張番号】61/551,163
(32)【優先日】2011年10月25日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ポール スティーヴン ダニエルソン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン エドワード デマルティーノ
(72)【発明者】
【氏名】メリンダ アン ドレイク
(72)【発明者】
【氏名】ロバート マイケル モリーナ
(72)【発明者】
【氏名】サントナ パル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート アンソニー シャウト
【審査官】 立木 林
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−241033(JP,A)
【文献】 国際公開第96/024559(WO,A1)
【文献】 特開平09−124338(JP,A)
【文献】 特開平09−124339(JP,A)
【文献】 特開2012−184118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00−14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品パッケージ用ガラスであって、
74モル%超〜80モル%の濃度のSiOと、
MgOおよびCaOを含有するアルカリ土類酸化物であって、CaOの濃度が0.1モル%〜1.0モル%であり、(CaO(モル%)/(CaO(モル%)+MgO(モル%)))比が0.5以下である、アルカリ土類酸化物と、
Xモル%のAlであって、Xは4〜8モル%である、Alと、
Yモル%のアルカリ酸化物であって、Yは8モル%超であり、NaOおよびKOを含有し、NaOの濃度は2モル%〜15モル%である、アルカリ酸化物と、
を含み、
Y:Xの比が1以上であり、および
(モル%)/(Y(モル%)−X(モル%))比が0.3以下であるガラス組成を有する、医薬品パッケージ用ガラス。
【請求項2】
前記アルカリ土類酸化物が、3モル%〜7モル%のMgOを含む、請求項1記載の医薬品パッケージ用ガラス。
【請求項3】
Y:Xの比が2以下である、請求項1記載の医薬品パッケージ用ガラス。
【請求項4】
前記アルカリ酸化物が、8モル%超の量でNaOを含む、請求項1記載の医薬品パッケージ用ガラス。
【請求項5】
前記ガラス組成が、ホウ素およびホウ素化合物を含まない、請求項1記載の医薬品パッケージ用ガラス。
【請求項6】
該ガラスは、イオン交換により強化されたものであり、10μm以上の層深さおよび250MPa以上の表面圧縮応力を有する圧縮応力層を有する、請求項1記載の医薬品パッケージ用ガラス。
【請求項7】
ISO719に準じたタイプHGB1の耐加水分解性を有する、請求項1記載の医薬品パッケージ用ガラス。
【請求項8】
70×10−7−1未満の熱膨張係数を有する、請求項1記載の医薬品パッケージ用ガラス。
【請求項9】
医薬品パッケージ用ガラスであって、
70モル%〜80モル%のSiOと、
4モル%〜8モル%の、MgO、CaO、SrOおよびBaOよりなる群から選択されるアルカリ土類酸化物であって、MgOおよびCaOを含有し、CaOの濃度は0.07モル%〜4モル%であり、(CaO(モル%)/(CaO(モル%)+MgO(モル%)))比が0.5以下である、アルカリ土類酸化物と、
Xモル%のAlと、
Yモル%のアルカリ酸化物であって、Yは9モル%超であり、NaOおよびKOを含有し、NaOの濃度は2モル%〜15モル%である、アルカリ酸化物と、
を含み、
Y:Xの比が1以上かつ2以下であり、および
(モル%)/(Y(モル%)−X(モル%))比が0.3以下であるガラス組成を有する、医薬品パッケージ用ガラス。
【請求項10】
前記アルカリ土類酸化物が、3モル%〜7モル%のMgOおよび0.1モル%〜1.0モル%のCaOを含む、請求項9記載の医薬品パッケージ用ガラス。
【請求項11】
前記アルカリ酸化物が、8モル%超の量でNaOを含む、請求項9記載の医薬品パッケージ用ガラス。
【請求項12】
70×10−7−1未満の熱膨張係数を有する、請求項9記載の医薬品パッケージ用ガラス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本発明は、全体が参照により本明細書に援用されている、「Glass Compositions With Improved Chemical and Mechanical Durability」という名称の2011年10月25日出願の米国仮特許出願第61/551,163号明細書(代理人整理番号SP11−240P)に対する優先権を請求するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書は概して、ガラス組成物に関し、より具体的には医薬品包装において使用するのに好適である化学的および機械的耐久性を有するガラス組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
歴史的に、ガラスは、他の材料に比べて密閉性、光学的透明度および優れた化学的耐久性があることから、医薬品を包装するための好ましい材料として使用されてきた。具体的には、医薬品包装において使用されるガラスは、中に収納される医薬組成物の安定性に影響を及ぼさないように適切な化学的耐久性を有していなければならない。好適な化学的耐久性を有するガラスとしては、化学的耐久性が歴史的に証明されているASTM規格「タイプ1B」ガラス組成物中に入るガラス組成物がある。
【0004】
しかしながら、このような利用分野のためのガラスの使用は、ガラスの機械的性能により限定される。具体的には、医薬品業界において、ガラスの破損は、破損したパッケージがエンドユーザーを負傷させる場合があるため、エンドユーザーにとって安全上の懸念事項である。充填ライン内での破損では、近くにある未破損の容器も破損した容器由来の破片を含み得ることから廃棄する必要があるため、医薬品メーカーにとって破損は費用のかかることとなり得る。破損が起こると、充填ラインを減速または停止させることも必要となり得、歩留りは低下する。さらに、破損の結果として、活性薬物製品は失われ、コスト増加を招く。さらに、非壊滅的破損(すなわちガラスに亀裂が入っているものの壊れていない場合)は、中味の無菌性を失わせ、今度はコストのかかる製品リコールを結果としてもたらし得る。
【0005】
ガラスパッケージの機械的耐久性を改善させるための1つのアプローチは、ガラスパッケージを熱的に焼戻しすることである。熱的焼戻しは、成形後の急冷中に表面圧縮応力を誘発することによってガラスを強化する。この技術は、平坦な幾何形状を有するガラス物品(例えば窓)、厚み2mm超のガラス物品および高い熱膨張を有するガラス組成物については良好に機能する。しかしながら、医薬品ガラスパッケージは典型的に複雑な幾何形状(バイアル、管状、アンプルなど)、薄い壁(約1〜1.5mm)を有し、低膨張ガラス(30〜55×10−7−1)から生産されており、これはガラス製医薬品パッケージを熱的焼戻しによる強化に不適なものにしている。
【0006】
化学的焼戻しも同様に、表面圧縮応力を導入することによってガラスを強化する。応力は、溶融塩浴内に物品を沈めることにより導入される。ガラス由来のイオンは溶融塩由来のより大きなイオンによって置換されることから、ガラスの表面内に圧縮応力が誘発される。化学的焼戻しの利点は、複雑な幾何形状、薄いサンプル上で使用でき、ガラス基板の熱膨張特性に対する感応性が比較的低いという点にある。しかしながら、化学的焼戻しに対する感受性がわずかであるガラス組成物は、化学的耐久性が低く、その逆も成り立つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、ガラス製医薬品パッケージおよび類似の利用分野において使用するための、化学的耐久性を有しかつイオン交換による化学的強化に対する感受性を有するガラス組成物に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施形態によると、ガラス組成物は、約70モル%超の濃度のSiOとYモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNaOを含み得る。ガラス組成物は、ホウ素およびホウ素化合物を含まなくてもよい。
【0009】
別の実施形態によると、ガラス組成物は、約68モル%超のSiOと、Xモル%のAlと、Yモル%のアルカリ酸化物と、Bとを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNaOを含み得る。(B(モル%)/(Yモル%−Xモル%))比は0超の0.3未満であってよい。
【0010】
さらに別の実施形態において、ガラス物品は、ISO719に準じたタイプHGB1の耐加水分解性を有し得る。ガラス物品は、約8モル%超のNaOおよび約4モル%未満のBを含み得る。
【0011】
さらに別の実施形態において、ガラス製医薬品パッケージは、約70モル%超の量のSiOと、Xモル%のAlと、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNaOを含み得る。ガラス製医薬品パッケージ中のBの濃度(モル%)の(Yモル%−Xモル%)に対する比は、0.3未満であってよい。ガラス製医薬品パッケージは、ISO719に準じたタイプHGB1の耐加水分解性を有し得る。
【0012】
別の実施形態において、ガラス組成物は、約70モル%〜約80モル%のSiOと、約3モル%〜約13モル%のアルカリ土類酸化物と、Xモル%のAlと、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNaOを含み得る。Y:X比は、1超であり、ガラス組成物はホウ素およびホウ素化合物を含んでいなくてもよい。
【0013】
さらに別の実施形態において、ガラス組成物は、約72モル%〜約78モル%のSiOと、約4モル%〜約8モル%のアルカリ土類酸化物と、Xモル%のAlと、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ土類酸化物の量は、約4モル%以上かつ約8モル%以下であってよい。アルカリ酸化物は、約9モル%以上かつ約15モル%以下の量でNaOを含み得る。Y:Xの比は1超であってよい。ガラス組成物はホウ素およびホウ素化合物を含んでいなくてもよい。
【0014】
さらに別の実施形態において、ガラス組成物は、約68モル%〜約80モル%のSiOと、約3モル%〜約13モル%のアルカリ土類酸化物と、Xモル%のAlと、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNaOを含み得る。ガラス組成物はBも含み得る。(B(モル%)/(Yモル%−Xモル%))比は0超で0.3未満であってよく、Y:Xの比は1超であってよい。
【0015】
別の実施形態において、ガラス組成物は約70モル%〜約80モル%のSiOと、約3モル%〜約13モル%のアルカリ土類酸化物と、Xモル%のAlと、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ土類酸化物は、約0.1モル%以上かつ約1.0モル%以下の量でCaOを含み得る。Xは約2モル%以上かつ約10モル%以下であってよい。アルカリ酸化物は、約0.01モル%〜約1.0モル%のKOを含み得る。Y:Xの比は1超であってよい。ガラス組成物はホウ素およびホウ素化合物を含んでいなくてもよい。
【0016】
さらに別の実施形態において、ガラス組成物は、約70モル%以上かつ約80モル%以下の量のSiOと、約3モル%〜約13モル%のアルカリ土類酸化物と、Xモル%のAlと、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNaOを含み得る。ガラス組成物中のBの濃度(モル%)の(Yモル%−Xモル%)に対する比は0.3未満であってよい。Y:X比は1超であってよい。
【0017】
別の実施形態において、ガラス物品は、ISO719に準じたタイプHGB1の耐加水分解性を有し得る。ガラス物品は同様に、450℃以下の温度で16μm/hr超の閾値拡散率を有し得る。
【0018】
さらに別の実施形態において、ガラス物品は、ISO719に準じたタイプHGB1の耐加水分解性を有し得る。ガラス物品は、25μm超の層深さと350MPa以上の表面圧縮応力も有し得る。ガラス物品は、イオン交換により強化されてもよく、イオン交換による強化には、450℃以下の温度で5時間以下の時間、溶融塩浴中でガラス物品を処理することが含まれていてもよい。
【0019】
追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明中に明記されており、ある程度、当業者にはこの説明から直ちに明らかとなるか、あるいは、以下の詳細な説明、クレームならびに添付図面を含めた本明細書中に記載の実施形態を実施することによって認識される。
【0020】
以上の一般的説明および以下の詳細な説明の両方共がさまざまな実施形態を記述しており、請求対象の主題の内容および特徴を理解するための概観または枠組を提供するように意図されているということを理解すべきである。添付図面は、さまざまな実施形態をさらに理解できるようにするために含み入れられ、本明細書内に組込まれその一部分を構成している。図面は、本明細書中に記載のさまざまな実施形態を例証し、明細書と共に、請求対象の主題の原則および運用を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明によるガラス組成物および比較用ガラス組成物のアルカリ酸化物対アルミナの比(x軸)と歪点、焼鈍点および軟化点(y軸)との間の関係をグラフで表している。
図2】本発明によるガラス組成物および比較用ガラス組成物のアルカリ酸化物対アルミナの比(x軸)と最大圧縮応力および応力変化(y軸)との間の関係をグラフで表している。
図3】本発明によるガラス組成物および比較用ガラス組成物のアルカリ酸化物対アルミナの比(x軸)とISO720規格から決定した耐加水分解性(y軸)との間の関係をグラフで表している。
図4】本発明によるガラス組成物および比較用ガラス組成物について、(CaO/(CaO+MgO))比(x軸)の関数としての拡散率D(y軸)を、グラフで表している。
図5】本発明によるガラス組成物および比較用ガラス組成物について、(CaO/(CaO+MgO))比(x軸)の関数としての最大圧縮応力(y軸)を、グラフで表している。
図6】本発明によるガラス組成物および比較用ガラス組成物について、(B/(RO−Al))比(x軸)の関数としての拡散率D(y軸)を、グラフで表している。
図7】本発明によるガラス組成物および比較用ガラス組成物について、(B/(RO−Al))比(x軸)の関数としての、ISO720規格から決定される耐加水分解性率(y軸)を、グラフで表している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、改良された化学的および機械的耐久性を示すガラス組成物のさまざまな実施形態を詳しく参照する。このようなガラス組成物は、非限定的に医薬品包装材料としての使用を含めたさまざまな利用分野における使用に好適である。ガラス組成物は同様に、化学的に強化されて、ガラスに増大した機械的耐久性を付与してもよい。本明細書中に記載のガラス組成物は概して、ガラス組成物に対して化学的耐久性を付与する量でシリカ(SiO)、アルミナ(Al)、アルカリ土類酸化物(例えばMgOおよび/またはCaO)およびアルカリ酸化物(例えばNaOおよび/またはKO)を含み得る。さらにガラス組成物中に存在するアルカリ酸化物は、イオン交換によるガラス組成物の化学的強化を促す。ガラス組成物のさまざまな実施形態が本明細書中に記載されており、具体的実施例を参照してさらに例証される。
【0023】
本明細書中で使用する「軟化点」という用語は、ガラス組成物の粘度が1×107.6ポアズである温度を意味する。
【0024】
本明細書中で使用する「焼鈍点」という用語は、ガラス組成物の粘度が1×1013ポアズとなる温度を意味する。
【0025】
本明細書中で使用する「歪点」および「Tstrain」という用語は、ガラス組成物の粘度が3×1014ポアズである温度を意味する。
【0026】
本明細書中で使用する「CTE」という用語は、およそ室温(RT)〜約300℃までの温度範囲にわたるガラス組成物の熱膨張係数を意味する。
【0027】
本明細書中に記載のガラス組成物の実施形態において、構成成分(例えばSiO、Alなど)の濃度は、別段の規定のないかぎり、酸化物に基づくモル百分率(モル%)単位で規定される。
【0028】
ガラス組成物の特定の構成成分の濃度および/または不在を記述するために使用される場合の「〜を含まない」および「〜を実質的に含まない」という用語は、その構成成分が意図的にガラス組成物に添加されないことを意味する。しかしながら、ガラス組成物は、0.01モル%未満の量で汚染物質または不定要素としての微量の構成成分を含有し得る。
【0029】
本明細書中で使用される「化学的耐久性」という用語は、規定の化学的条件に曝露された場合に劣化に耐えることのできるガラス組成物の能力を意味する。具体的には、本明細書中に記載のガラス組成物の化学的耐久性は、3つの実証された材料試験規格、すなわち、「Testing of glass−Resistance to attack by a boiling aqueous solution of hydrochloric acid − Method of test and classification」という題の2001年3月付けDIN12116;「Glass−−Resistance to attack by a boiling aqueous solution of mixed alkali−−Method of test and classification」という題のISO695:1991;および「Glass−−Hydrolytic resistance of glass grains at 121 degrees C−−Method of test and classification」という題のISO720:1985に準じて査定された。ガラスの化学的耐久性は同様に、上述の規格に加えて、ISO719:1985「Glass−−Hydrolytic resistance of glass grains at 98 degrees C−−Method of test and classification」に準じて査定されてもよい。ISO719規格はISO720規格よりも厳格度の低いバージョンであり、そのためISO720規格の規定の分類に適合するガラスはISO719規格の対応する分類にも適合するものと考えられている。各規格に付随する分類については、本明細書中でさらに詳しく説明する。
【0030】
本明細書中に記載のガラス組成物は概して、SiOと1つまたは複数のアルカリ酸化物、例えばNaOおよび/またはKOとの組合せを含み得るアルカリアルミノケイ酸ガラス組成物である。ガラス組成物は同様に、Alと少なくとも1つのアルカリ土類酸化物をも含み得る。一部の実施形態において、ガラス組成物はホウ素およびホウ素を含有する化合物を含んでいなくてもよい。ガラス組成物は化学的劣化に対する耐性を有し、イオン交換による化学的強化にも好適である。一部の実施形態において、ガラス組成物はさらに少量の1つまたは複数の追加の酸化物、例えばSnO、ZrO、ZnO、TiO、Asなどを含み得る。これらの構成成分は、清澄剤としておよび/またはガラス組成物の化学的耐久性をさらに増強するために添加されてもよい。
【0031】
本明細書に記載のガラス組成物の実施形態において、SiOは組成物の最大の成分であり、そのため、結果として得られるガラス網状組織の主要成分である。SiOはガラスの化学的耐久性、詳細にはガラス組成物の酸中での分解に対する耐性、およびガラス組成物の水中での分解に対する耐性を増強する。したがって、高いSiO濃度が概して所望される。しかしながら、SiO含有量が過度に高い場合、SiOの濃度が高くなるとガラスの溶融難度が増し今度はガラスの成形性に不利な影響を及ぼすことからガラスの成形性は低下し得る。本明細書中に記載の実施形態において、ガラス組成物は概して67モル%以上かつ約80モル%以下、さらには78モル%以下の量でSiOを含む。一部の実施形態において、ガラス組成物中のSiOの量は、約68モル%超、約69モル%超さらには約70モル%超であってよい。他の一部の実施形態において、ガラス組成物中のSiOの量は、72モル%超、73モル%超、さらには74モル%超であってよい。例えば、一部の実施形態において、ガラス組成物は約68モル%〜約80モル%、さらには約78モル%までのSiOを含み得る。他の一部の実施形態において、ガラス組成物は、約69モル%〜約80モル%、さらには約78モル%までのSiOを含み得る。他の一部の実施形態において、ガラス組成物は約70モル%〜約80モル%、さらには約78モル%までのSiOを含み得る。さらに他の実施形態において、ガラス組成物は、70モル%以上かつ78モル%以下の量でSiOを含む。一部の実施形態において、SiOは、約72モル%〜約78モル%の量でガラス組成物中に存在し得る。他の一部の実施形態において、SiOはガラス組成物中に約73モル%〜約78モル%の量で存在し得る。他の実施形態において、SiOは、約74モル%〜約78モル%の量でガラス組成物中に存在し得る。さらなる他の実施形態において、SiOは、約70モル%〜約76モル%の量でガラス組成物中に存在し得る。
【0032】
本明細書中に記載のガラス組成物はさらにAlを含み得る。Alは、ガラス組成物中に存在するNaOなどのアルカリ酸化物と共に、イオン交換による強化に対するガラスの感受性を改善する。本明細書中に記載の実施形態において、Alは、Xモル%でガラス組成物中に存在し、一方アルカリ酸化物はガラス組成物中にYモル%で存在する。本明細書中に記載のガラス組成物中のY:X比は、前述のイオン交換による強化に対する感受性を促す目的で、1超である。具体的には、ガラス組成物の拡散係数つまり拡散率Dはイオン交換中にアルカリイオンがガラス表面内に浸透する速度と関係する。約0.9超さらには約1超のY:X比を有するガラスは、0.9未満のY:X比を有するガラスよりも大きい拡散率を有する。アルカリイオンがより大きい拡散率を有しているガラスは、アルカリイオンがより低い拡散率を有しているガラスに比べて、所与のイオン交換時間およびイオン交換温度についてより大きい層深さを得ることができる。さらに、Y:X比が増大するにつれて、ガラスの歪点、焼鈍点および軟化点は低下し、こうしてガラスはより容易に成形可能になる。さらに、所与のイオン交換時間およびイオン交換温度について、約0.9超で2以下のY:X比を有するガラス中で誘発される圧縮応力は概して、Y:X比が0.9未満または2超であるガラス中で生成されるものよりも大きい。したがって、一部の実施形態では、Y:X比は0.9超、さらには1超でさえある。一部の実施形態において、Y:X比は0.9超、さらには1超で、かつ約2以下である。さらに他の実施形態では、Y:X比は、規定のイオン交換時間および規定のイオン交換温度についてガラス中で誘発される圧縮応力の量を最大限にするため、約1.3以上かつ約2.0以下であってよい。
【0033】
しかしながら、ガラス組成物中のAlの量が過度に高い場合、酸攻撃に対するガラス組成物の耐性は低下する。したがって本明細書中に記載のガラス組成物は概して、約2モル%以上かつ約10モル%以下の量でAlを含む。一部の実施形態において、ガラス組成物中のAlの量は、約4モル%以上かつ約8モル%以下である。他の一部の実施形態において、ガラス組成物中のAlの量は、約5モル%以上〜約7モル%以下である。一部の他の実施形態において、ガラス組成物中のAlの量は、約6モル%以上〜約8モル%以下である。さらに他の実施形態において、ガラス組成物中のAlの量は、約5モル%以上〜約6モル%以下である。
【0034】
ガラス組成物は同様に、NaOおよび/またはKOなどの1つまたは複数のアルカリ酸化物も含んでいる。アルカリ酸化物は、ガラス組成物のイオン交換能を促進し、このためガラスの化学的強化を促す。アルカリ酸化物は、NaOおよびKOのうちの1つまたは複数を含み得る。アルカリ酸化物は概して、Yモル%の合計濃度でガラス組成物中に存在する。本明細書中に記載されている一部の実施形態において、Yは約2モル%超かつ約18モル%以下であってよい。一部の他の実施形態において、Yは、約8モル%超、約9モル%超、約10モル%超さらには約11モル%超であってよい。例えば、本明細書中に記載の一部の実施形態において、Yは約8モル%以上かつ約18モル%以下である。さらに他の実施形態において、Yは、約9モル%以上かつ約14モル%以下であってよい。
【0035】
ガラス組成物のイオン交換能は、主として、イオン交換に先立ってガラス組成物中に当初から存在するアルカリ酸化物NaOの量よりガラス組成物に対し付与される。したがって、本明細書中に記載のガラス組成物の実施形態において、ガラス組成物中に存在するアルカリ酸化物は、少なくともNaOを含む。具体的には、イオン交換による強化の時点でガラス組成物中に所望の圧縮強度および層深さを達成するため、ガラス組成物は、ガラス組成物の分子量に基づいて約2モル%〜約15モル%の量でNaOを含む。一部の実施形態において、ガラス組成物はその分子量に基づいて少なくとも約8モル%のNaOを含む。例えば、NaOの濃度は、9モル%超、10モル%超、さらには11モル%超であってよい。一部の実施形態において、NaOの濃度は9モル%以上さらには10モル%以上であってよい。例えば、一部の実施形態において、ガラス組成物は、約9モル%以上かつ約15モル%以下さらには約9モル%以上かつ13モル%以下の量で、NaOを含み得る。
【0036】
上記で指摘した通り、ガラス組成物中のアルカリ酸化物はさらにKOを含み得る。ガラス組成物中に存在するKOの量も同様に、ガラス組成物のイオン交換能に関係する。具体的には、ガラス組成物中に存在するKOの量が増大するにつれて、イオン交換を通して得ることのできる圧縮応力は、カリウムおよびナトリウムイオンの交換の結果として減少する。したがって、ガラス組成物中に存在するKOの量を制限することが望ましい。一部の実施形態において、KOの量は0モル%以上かつ3モル%以下である。一部の実施形態において、KOの量は、2モル%以下さらには1.0モル%以下である。ガラス組成物がKOを含む実施形態において、KOは約0.01モル%以上かつ約3.0以下、さらには約0.01モル%以上かつ約2.0モル%以下の濃度で存在し得る。一部の実施形態において、ガラス組成物中に存在するKOの量は約0.01モル%以上かつ約1.0モル%以下である。したがって、KOがガラス組成物中に存在する必要はないと理解すべきである。しかしながら、KOがガラス組成物中に含まれている場合、KOの量は概して、ガラス組成物の分子量に基づいて約3モル%未満である。
【0037】
ガラスバッチ材料の溶融性を改善しガラス組成物の化学的耐久性を増大させるために、組成物中にはアルカリ土類酸化物が存在し得る。本明細書中に記載のガラス組成物において、ガラス組成物中に存在するアルカリ土類酸化物の合計モル%は、ガラス組成物のイオン交換能を改善させるためにガラス組成物中に存在するアルカリ酸化物の合計モル%よりも概して少ない。本明細書中に記載の実施形態では、ガラス組成物は概して約3モル%〜約13モル%のアルカリ土類酸化物を含む。これらの実施形態の一部において、ガラス組成物中のアルカリ土類酸化物の量は、約4モル%〜約8モル%、さらには約4モル%〜約7モル%であってよい。
【0038】
ガラス組成物中のアルカリ土類酸化物はMgO、CaO、SrO、BaOまたはその組合せを含み得る。一部の実施形態において、アルカリ土類酸化物は、MgO、CaOまたはその組合せを含む。例えば、本明細書中に記載の実施形態において、アルカリ土類酸化物はMgOを含む。MgOはガラス組成物中に、約3モル%以上かつ約8モル%以下の量で存在する。一部の実施形態において、MgOは、ガラス組成物の分子量で約3モル%以上かつ約7モル%以下、さらには4モル%以上かつ約7モル%以下の量でガラス組成物中に存在していてもよい。
【0039】
一部の実施形態では、アルカリ土類酸化物はさらにCaOを含み得る。これらの実施形態において、CaOは、ガラス組成物の分子量で約0モル%〜6モル%以下までの量でガラス組成物中に存在する。例えばガラス組成物の中に存在するCaOの量は、5モル%以下、4モル%以下、3モル%以下さらには2モル%以下であってよい。これらの実施形態の一部において、CaOはガラス組成物中に、約0.1モル%以上かつ約1.0モル%以下の量で存在し得る。例えば、CaOはガラス組成物中に、約0.2モル%以上かつ約0.7モル%以下、さらには約0.3モル%以上かつ約0.6モル%以下の量で存在し得る。
【0040】
本明細書中に記載の実施形態において、ガラス組成物は概してMgOを富有する(すなわちガラス組成物中のMgOの濃度は、非限定的にCaOを含めたガラス組成物中の他のアルカリ土類酸化物の濃度よりも高い)。ガラス組成物がMgOを富有するような形でガラス組成物を形成することは、特にイオン交換による強化の後、結果として得られるガラスの耐加水分解性を改善する。その上、MgOを富有するガラス組成物は概して、他のアルカリ土類酸化物を富有するガラス組成物と比べて改善されたイオン交換性能を示す。具体的には、MgOを富有するガラス組成物から形成されたガラスは概して、CaOなどの他のアルカリ土類酸化物を富有するガラス組成物よりも大きい拡散率を有する。拡散率が大きくなれば、ガラス中により深い層深さを形成することができる。MgO富有ガラス組成物は同様に、CaOなどの他のアルカリ土類酸化物を富有するガラス組成物に比べてガラスの表面でより高い圧縮応力を達成できるようにする。さらに、概してイオン交換プロセスが進行しアルカリイオンがガラス中のより深いところに進入するにつれて、ガラスの表面で達成される最大圧縮応力が経時的に低下し得ることが理解される。しかしながら、MgOを富有するガラス組成物から形成されたガラスは、CaOを富有するガラス組成物または他のアルカリ土類酸化物を富有するガラス組成物から形成されたガラス(すなわちMgOが少ないガラス)に比べて圧縮応力の低下が少ない。したがって、MgO富有ガラス組成物は、他のアルカリ土類酸化物を富有するガラスに比べて高い表面圧縮応力および大きい層深さを有するガラスを可能にする。
【0041】
本明細書中に記載されているガラス組成物中のMgOのメリットを完全に実現するために、モル%単位のCaOの濃度とMgOの濃度の合計に対するCaOの濃度の比率(すなわち(CaO/(CaO+MgO))を最小限に抑えるべきであることが決定された。具体的には、(CaO/(CaO+MgO))は0.5以下であるべきであると決定された。一部の実施形態において、(CaO/(CaO+MgO))は0.3以下さらには0.2以下である。他の一部の実施形態では、(CaO/(CaO+MgO))は0.1以下でさえあってもよい。
【0042】
酸化ホウ素(B)は、所与の濃度(例えば歪、焼鈍および軟化温度)における粘度を低下させてガラスの成形性を改善するために添加してよい融剤である。しかしながら、ホウ素の添加がガラス組成物中のナトリウムおよびカリウムイオンの拡散率を著しく減少させ、このことが今度は、結果として得られるガラスのイオン交換性能に不利な影響を及ぼすことがわかっている。詳細には、ホウ素の添加が、ホウ素を含まないガラス組成物に比べて所与の層深さを達成するのに必要とされる時間を著しく増大させることが発見されている。したがって、本明細書中に記載されている一部の実施形態において、ガラス組成物に添加されるホウ素の量は、ガラス組成物のイオン交換性能を改善するために最小限に抑えられる。
【0043】
例えば、ガラス組成物のイオン交換性能に対するホウ素の影響は、アルカリ酸化物(すなわちRO(式中Rはアルカリ金属))の合計濃度とアルミナの濃度の間の差に対するBの濃度の比(すなわちB(モル%)/(RO(モル%)−Al(モル%))を制御することによって軽減されることが確定している。詳細には、B/(RO−Al)の比が約0以上かつ約0.3未満、さらには約0.2未満である場合、ガラス組成物中のアルカリ酸化物の拡散率は減少せず、したがってガラス組成物のイオン交換性能が維持されることが確定している。したがって、一部の実施形態においては、B/(RO−Al)の比は0超で0.3以下である。これらの実施形態の一部においては、B/(RO−Al)の比は0超で0.2以下である。一部の実施形態において、B/(RO−Al)の比は、0超で0.15以下、さらには0.1以下である。他の一部の実施形態において、B/(RO−Al)の比は0超で0.05以下であってよい。B/(RO−Al)比を0.3以下さらには0.2以下となるように維持することで、Bの含有によって、ガラスのイオン交換性能に不利な影響を及ぼすことなく、ガラス組成物の歪点、焼鈍点および軟化点を低下させることが可能になる。
【0044】
本明細書中に記載の実施形態において、ガラス組成物中のBの濃度は概して、約4モル%以下、約3モル%以下、約2モル%以下さらには1モル%以下である。例えば、Bがガラス組成物中に存在する実施形態において、Bの濃度は約0.01モル%以上かつ4モル%以下であってよい。これらの実施形態の一部において、Bの濃度は、約0.01モル%超で3モル%以下であってよい。一部の実施形態において、Bは、約0.01モル%以上かつ2モル%以下、さらには1.5モル%以下の量で存在し得る。あるいは、Bは、約1モル%以上かつ4モル%以下、約1モル%以上かつ3モル%以下、さらには約1モル%以上かつ2モル%以下の量で存在し得る。これらの実施形態の一部において、B濃度は、約0.1モル%以上かつ1.0モル%以下であってよい。
【0045】
一部の実施形態では、ガラス組成物中のBの濃度はガラスのイオン交換性能を損なうことなくガラスの成形特性を改善するように最小限に抑えられるものの、他の一部の実施形態では、ガラス組成物はBなどのホウ素およびホウ素化合物を含まない。具体的には、ホウ素およびホウ素化合物無しでガラス組成物を形成すると、圧縮応力および/または層深さの特定の値を達成するのに必要とされるプロセス時間および/または温度を削減することによりガラス組成物のイオン交換能が改善されることが確定している。
【0046】
本明細書中に記載のガラス組成物の一部の実施形態において、ガラス組成物は、非限定的にPを含めたリンおよびリン含有化合物を含まない。具体的には、リンまたはリン化合物無しでガラス組成物を調合することでガラス組成物の化学的耐久性が増大することが確定している。
【0047】
SiO、Al、アルカリ酸化物およびアルカリ土類酸化物に加えて、本明細書中に記載のガラス組成物は、任意選択的にはさらに、1つまたは複数の清澄剤、例えばSnO、Asおよび/またはCl(NaClなど由来)を含み得る。清澄剤がガラス組成物中に存在する場合、清澄剤は約1モル%以下、さらには約0.4モル%以下の量で存在していてもよい。例えば一部の実施形態において、ガラス組成物は清澄剤としてSnOを含み得る。これらの実施形態において、SnOは、ガラス組成物中に、約0モル%以上かつ約1モル%以下の量、さらには約0.01モル%以上かつ約0.30モル%以下の量で存在し得る。
【0048】
さらに、本明細書中に記載のガラス組成物は、ガラス組成物の化学的耐久性をさらに改善するため1つまたは複数の追加の金属酸化物を含み得る。例えば、ガラス組成物はさらにZnO、TiOまたはZrOを含み得、その各々が化学的攻撃に対するガラス組成物の耐性をさらに改善する。これらの実施形態において、追加の金属酸化物は、約0モル%以上かつ約2モル%以下の量で存在し得る。例えば、追加の金属酸化物がZnOである場合、ZnOは1モル%以上かつ約2モル%以下の量で存在し得る。追加の金属酸化物がZrOまたはTiOである場合、ZrOまたはTiOは約1モル%以下の量で存在し得る。
【0049】
上記で指摘した通り、ガラス組成物中のアルカリ酸化物の存在は、イオン交換によるガラスの化学的強化を促進する。具体的には、カリウムイオン、ナトリウムイオンなどのアルカリイオンは、イオン交換を促すのに充分な移動性をガラス組成物中で有している。一部の実施形態において、ガラス組成物は、10μm以上の層深さを有する圧縮応力層を形成するためのイオン交換能を有する。一部の実施形態において、層深さは、約25μm以上、さらには約50μm以上であってよい。他の一部の実施形態において、層深さは75μm以上、さらには100μm以上であってよい。さらに他の実施形態において、層深さは10μm以上かつ約100μm以下であってよい。付随する表面圧縮応力は、ガラス組成物が100%溶融KNOの塩浴中で350℃〜500℃の温度で約30時間未満さらには約20時間未満の時限の間処理した後、約250MPa以上、300MPa以上、さらには約350MPa以上であってよい。
【0050】
本明細書中に記載のガラス組成物から形成されるガラス物品は、イオン交換による強化に起因して改善された機械的特性を有することに加えて、(本明細書中でさらに記述される通り)、ISO719に基づくHGB2さらにはHGB1の耐加水分解性および/またはISO720に基づくHGA2さらにはHGA1の耐加水分解性を有し得る。本明細書中に記載の一部の実施形態において、ガラス物品は、表面から25μm以上、さらには35μm以上の層深さまでガラス物品内に延在する圧縮応力層を有し得る。一部の実施形態において、層深さは40μm以上さらには50μm以上であってよい。ガラス物品の表面圧縮応力は、250MPa以上、350MPa以上さらには400MPa以上であってよい。本明細書中に記載のガラス組成物は、以上で記述したガラス組成物のアルカリイオン拡散率の増強に起因して、従来のガラス組成物よりも速くおよび/またはより低い温度での上述の層深さおよび表面圧縮応力の達成を促す。例えば層深さ(すなわち25μm以上)および圧縮応力(すなわち250MPa以上)は、5時間以下さらには4.5時間以下の時限の間500℃以下さらには450℃以下の温度で、100%KNOの溶融塩浴(またはKNOおよびNaNOの混合塩浴)中においてガラス物品のイオン交換を行うことによって達成されてもよい。一部の実施形態において、これらの層深さおよび圧縮応力を達成するための時限は、4時間以下、さらには3.5時間以下であってよい。これらの層深さおよび圧縮応力を達成するための温度は、400℃以下さらには350℃以下であってよい。
【0051】
これらの改善されたイオン交換特性は、ガラス組成物が450℃以下の温度で約16μm/hr超の閾値拡散率、さらには450℃以下の温度で20μm/hr超の閾値拡散率を有する場合に達成可能である。一部の実施形態において、閾値拡散率は、450℃以下の温度で約25μm/hr以上、さらには450℃以下の温度で30μm/hr以上であってよい。他の一部の実施形態において、閾値拡散率は、450℃以下の温度で約35μm/hr以上、さらには450℃以下の温度で40μm/hr以上であってよい。さらに他の実施形態において、閾値拡散率は、450℃以下の温度で約45μm/hr以上、さらには450℃以下の温度で50μm/hrであってよい。
【0052】
本明細書中に記載のガラス組成物は概して、約525℃以上かつ約650℃以下の歪点を有し得る。ガラスは同様に、約560℃以上かつ約725℃以下の焼鈍点および約750℃以上かつ約960℃以下の軟化点を有し得る。
【0053】
本明細書中に記載の実施形態において、ガラス組成物は、約70×10−7−1未満さらには約60×10−7−1未満のCTEを有する。これらのより低いCTE値は、より高いCTEを有するガラス組成物に比べて、熱サイクルまたは熱応力条件に対するガラスの存続性を改善する。
【0054】
さらに上記で指摘した通り、ガラス組成物は化学的耐久性を有し、かつDIN12116規格、ISO695規格およびISO720規格により決定される劣化に対する耐性を有する。
【0055】
具体的には、DIN12116規格は、酸性溶液中に入れられた場合のガラスの分解に対する耐性の尺度である。簡単に言うと、DIN12116規格は、公知の表面積の研磨済みガラス試料を使用し、それは計量されその後6時間比例する量の6Mの沸とう塩酸と接触状態に置かれる。試料はその後、溶液から取り出され、乾燥させられ、再び計量される。酸性溶液に対する曝露中に失われたガラス質量は、試料の酸耐久性の尺度であり、より小さい数はより大きい耐久性を表わす。試験結果は、表面積あたりの半質量、具体的にはmg/dmの単位で報告される。DIN12116規格は個別のクラスに細分される。クラスS1は0.7mg/dmまでの重量損失を表し、クラスS2は、0.7mg/dm〜1.5mg/dmの重量損失を表し、クラスS3は、1.5mg/dm〜15mg/dmの重量損失を表し、クラスS4は、15mg/dm超の重量損失を表わす。
【0056】
ISO695規格は、塩基性溶液中に入れられた場合のガラスの分解に対する耐性の尺度である。簡単に言うと、ISO695規格は、研磨済みガラス試料を使用し、それは計量されその後3時間沸とうする1MのNaOH+0.5MのNaCO中に置かれる。試料はその後、溶液から取り出され、乾燥させられ、再び計量される。塩基性溶液に対する曝露中に失われたガラス質量は、試料の塩基耐久性の尺度であり、より小さい数はより大きい耐久性を表わす。DIN12116の場合と同様、ISO695の結果は、表面積あたりの質量、具体的にはmg/dmの単位で報告される。ISO695規格は個別のクラスに細分される。クラスA1は75mg/dmまでの重量損失を表し、クラスA2は、75mg/dm〜175mg/dmの重量損失を表し、クラスA3は、175mg/dm超の重量損失を表わす。
【0057】
ISO720規格は、COを含まない精製水中での劣化に対するガラスの耐性の尺度である。簡単に言うと、ISO720規格プロトコルは、オートクレーブ条件(121℃、2atm)下で30分間COを含まない精製水と接触状態に置かれた粉砕ガラス粒を使用する。溶液はその後、中性pHになるまで希HClで比色滴定される。中性溶液に至るまで滴定するのに必要とされたHClの量は次に、ガラスから抽出されたNaO当量に変換され、ガラス重量あたりのNaOμg単位で報告され、より小さい値がより大きい耐久性を表わす。ISO720規格は、個別のタイプに細分される。タイプHGA1は、試験対象のガラス1グラムあたり62μgまでの抽出されたNaO当量を表し、タイプHGA2は、試験対象のガラス1グラムあたり62μg超で527μgまでの抽出されたNaO当量を表し、タイプHGA3は、試験対象のガラス1グラムあたり527μg超で930μgまでの抽出されたNaO当量を表わす。
【0058】
ISO719規格は、COを含まない精製水の劣化に対するガラスの耐性の尺度である。簡単に言うと、ISO719規格プロトコルは、1気圧で98℃の温度で30分間COを含まない精製水と接触状態に置かれた粉砕ガラス粒を使用する。溶液はその後、中性pHになるまで希HClで比色滴定される。中性溶液に至るまで滴定するのに必要とされたHClの量は次に、ガラスから抽出されたNaO当量に変換され、ガラス重量あたりのNaOμg単位で報告され、より小さい値がより大きい耐久性を表わす。ISO719規格は、個別のタイプに細分される。タイプHGB1は、31μgまでの抽出されたNaO当量を表し、タイプHGB2は、31μg超で62μgまでの抽出されたNaO当量を表し、タイプHGB3は、62μg超で264μgまでの抽出されたNaO当量を表し、タイプHGB4は、264μg超で620μgまでの抽出されたNaO当量を表し、タイプHGB5は、620μg超で1085μgまでの抽出されたNaO当量を表わす。本明細書中に記載のガラス組成物は、タイプHGB2以上のISO719耐加水分解性を有し、一部の実施形態はタイプHGB1の耐加水分解性を有する。
【0059】
本明細書中に記載のガラス組成物は、イオン交換による強化の前後両方においてDIN12116に準じた少なくともクラスS3の耐酸性を有し、一部の実施形態は、イオン交換による強化の後少なくともクラスS2、さらにはクラスS1の耐酸性を有する。他の一部の実施形態において、ガラス組成物は、イオン交換による強化の前後両方において、少なくともクラスS2の耐酸性を有していてもよく、一部の実施形態はイオン交換による強化の後クラスS1の耐酸性を有する。さらに、本明細書中に記載のガラス組成物は、イオン交換による強化の前後両方において、少なくともクラスA2のISO695に準じた耐塩基性を有し、一部の実施形態は少なくともイオン交換による強化の後、クラスA1の耐塩基性を有する。本明細書中に記載のガラス組成物は同様に、イオン交換による強化の前後両方において、ISO720タイプHGA2の耐加水分解性も有しており、一部の実施形態は、イオン交換による強化の後タイプHGA1の耐加水分解性を有し、他の一部の実施形態は、イオン交換による強化の前後両方においてタイプHGA1の耐加水分解性を有する。本明細書中に記載のガラス組成物は、タイプHGB2以上のISO719耐加水分解性を有し、一部の実施形態は、タイプHGB1の耐加水分解性を有する。DIN12116、ISO720およびISO719に準じた上記分類に言及する場合、「少なくとも」規定の分類を有するガラス組成物またはガラス物品とはすなわち、ガラス組成物の性能が規定の分類と同じ程度に良好であるかまたはそれ以上であることを意味するものと理解すべきである。例えば、「少なくともクラスS2」のDIN12116耐酸性を有するガラス物品は、S1またはS2のいずれかのDIN12116分類を有し得る。
【0060】
本明細書中に記載のガラス組成物は、ガラス原料(例えばSiO、Al、アルカリ酸化物、アルカリ土類酸化物などの粉末)のバッチを、それが所望の組成を有するような形で混合することによって形成される。その後、ガラス原料のバッチは加熱されて溶融ガラス組成物を形成し、この溶融ガラス組成物はその後冷却され凝固されてガラス組成物を形成する。凝固中(すなわち、ガラス組成物が可塑変形可能である間に)、ガラス組成物は、それを所望の最終的形態に成形するため標準的な成形技術を用いて成形されてもよい。あるいは、ガラス物品をストック形態、例えばシート、管などに形成し、その後再加熱し、所望の最終的形態に成形してもよい。
【0061】
本明細書中に記載のガラス組成物は、例えばシート、管などのさまざまな形態を有するガラス物品に成形されてもよい。しかしながら、ガラス組成物の化学的耐久性のため、本明細書中に記載のガラス組成物は、液体、粉末などの医薬組成物を収納するための医薬品パッケージまたは医薬品容器として使用されるガラス物品の形成において使用するために極めて好適である。例えば、本明細書中に記載のガラス組成物は、非限定的にVacutainer(登録商標)、カートリッジ、シリンジ、アンプル、ボトル、フラスコ、ファイアル、試験管、ビーカー、バイアルなどを含めたさまざまな形状形態を有するガラス容器を形成するために使用されてもよい。その上、イオン交換を通してガラス組成物を化学的に強化できることを利用して、ガラス組成物から形成されたこのような医薬品包装またはガラス物品の機械的耐久性を改善することが可能である。したがって、少なくとも一実施形態において、ガラス組成物は医薬品包装の化学的耐久性および機械的耐久性を改善する目的で医薬品パッケージ内に取り込まれることを理解すべきである。
【実施例】
【0062】
本明細書中に記載のガラス組成物の実施形態について以下の実施例によりさらに明確に説明する。
【0063】
実施例1
6種の例示的な本発明によるガラス組成物(組成物A〜F)を調製した。各例示的ガラス組成物の具体的組成は以下の表1で報告されている。各例示的ガラス組成物について複数の試料を製作した。各組成の1つの試料セットを少なくとも5時間、450℃の温度で100%KNOの溶融塩浴中でイオン交換して、試料の表面内に圧縮層を誘発した。圧縮層は、少なくとも500MPaの表面圧縮応力と少なくとも45μmの層深さを有していた。
【0064】
その後、各例示的ガラス組成物の化学的耐久性を、上述のDIN12116規格、ISO695規格およびISO720規格を用いて決定した。具体的には、各例示的ガラス組成物のイオン交換されていない試験試料を、DIN12116規格、ISO695規格またはISO720規格の1つに準じた試験に付して、それぞれ試料の耐酸性、耐塩基性または耐加水分解性を決定した。各例示的組成のイオン交換された試料の耐加水分解性を、ISO720規格に準じて決定した。イオン交換された試料の耐加水分解性を決定するため、ガラスをISO720規格中で求められている粒径まで破砕し、450℃の温度で少なくとも5時間100%KNOの溶融塩浴中でイオン交換して個別のガラス粒内に圧縮応力層を誘発し、その後ISO720規格に準じて試験した。全ての試料の平均結果は、以下で表1に報告されている。
【0065】
表1に示されているように、例示的ガラス組成物A〜Fは全て、DIN12116に準じて試験した後、1mg/dm超で5mg/dm未満のガラス質量損失を示し、例示的ガラス組成物Eは1.2mg/dmという最低のガラス質量損失を有していた。したがって、例示的ガラス組成物の各々は、DIN12116規格の少なくともクラスS3に分類され、例示的ガラス組成物EはクラスS2に分類された。これらの試験結果に基づいて、ガラス試料の耐酸性はSiO含有量の増加と共に改善すると考えられている。
【0066】
さらに、例示的ガラス組成物A〜Fは全て、ISO695に準じて試験した後、80mg/dm未満のガラス質量損失を示し、例示的ガラス組成物Aは60mg/dmという最低のガラス質量損失を有していた。したがって、例示的ガラス組成物の各々は、ISO695規格の少なくともクラスA2に分類され、例示的ガラス組成物A、B、DおよびFはクラスA1に分類された。概して、より高いシリカ含有量を有する組成物が、より低い耐塩基性を示し、より高いアルカリ/アルカリ土類含有量を有する組成物が、より大きい耐塩基性を示した。
【0067】
表1は同様に、例示的ガラス組成物A〜Fのイオン交換されていない試験試料全てが、ISO720に準じて試験した後、少なくともタイプHGA2の耐加水分解性を示し、例示的ガラス組成物C〜Fが、タイプHGA1の耐加水分解性を有していたことも示している。例示的ガラス組成物C〜Fの耐加水分解性は、例示的ガラス組成物AおよびBに比べてガラス組成物中により多い量のSiOおよびより少ない量のNaOが存在することに起因するものであると考えられている。
【0068】
その上、例示的ガラス組成物B〜Fのイオン交換された試験試料は、ISO720規格に準じて試験した後、同じ例示的ガラス組成物のイオン交換を受けていない試験試料に比べて、ガラス1グラムあたり少ない量の抽出NaOを示した。
【0069】
【表1】
【0070】
実施例2
3種の例示的な本発明によるガラス組成物(組成物G〜I)と3種の比較用ガラス組成物(組成物1〜3)を調製した。各組成物中でアルカリ酸化物対アルミナ(すなわちY:X)の比を変動させて、結果として得たガラス溶融物およびガラスのさまざまな特性に対するこの比の効果を査定した。例示的な本発明によるガラス組成物と比較用ガラス組成物の各々の具体的組成は、表2に報告されている。各ガラス組成物から形成された溶融物の歪点、焼鈍点および軟化点を決定し、表2に報告している。さらに、結果として得たガラスの熱膨張係数(CTE)、密度、および応力光学係数(SOC)も決定し、表2に報告している。各々の例示的な本発明によるガラス組成物と各々の比較用ガラス組成物から形成されたガラス試料の耐加水分解性を、450℃で5時間100%KNOの溶融塩浴中でイオン交換の前後両方においてISO720規格に準じて決定した。イオン交換されたこれらの試料について、圧縮応力を、基本応力計(FSM)計器を用いて、測定された応力光学係数(SOC)に基づく圧縮応力値で決定した。FSM計器は、複屈折ガラス表面内およびこの表面から外に光を結合させる。その後、測定された複屈折を材料定数、応力光学係数または光弾性係数(SOCまたはPEC)を通して応力に関連づけし、2つのパラメータすなわち最大表面圧縮応力(CS)と交換済み層深さ(DOL)を得る。ガラス中のアルカリイオンの拡散率および時間の平方根あたりの応力変化も決定した。ガラスの拡散率(D)を測定された層深さ(DOL)およびイオン交換時間(t)から以下の関係式にしたがって計算する:DOL=約1.4sqrt(4t)。拡散率は、アレニウスの関係式にしたがって温度と共に増加し、そのため特定の温度で報告されている。
【0071】
【表2】
【0072】
表2中のデータは、アルカリ対アルミナ比Y:Xが、溶融挙動、耐加水分解性そしてイオン交換による強化を通して得ることのできる圧縮応力に影響を及ぼすことを表している。詳細には、図1は、表2のガラス組成物についてのY:X比の関数として、歪点、焼鈍点および軟化点をグラフで表している。詳細には、図1は、Y:X比が0.9より低く低下するにつれて、ガラスの歪点、焼鈍点および軟化点が急速に上昇することを実証している。したがって、直ちに溶融可能かつ成形可能であるガラスを得るためには、Y:X比は0.9以上、さらには1以上でなければならない。
【0073】
さらに、表2のデータは、ガラス組成物の拡散率が概してY:X比と共に減少することを表している。したがって、プロセス時間(およびコスト)の削減を目的として急速にイオン交換可能であるガラスを達成するためには、Y:X比は、0.9以上、さらには1以上でなければならない。
【0074】
さらに、図2は、所与のイオン交換時間およびイオン交換温度について、Y:X比が約0.9以上さらには約1以上かつ約2以下、具体的には約1.3以上かつ約2.0以下である場合に、最大の圧縮応力が得られることを表している。したがって、ガラスの耐荷重強度の最大限の改善は、Y:X比が約1超で約2以下である場合に得ることができる。概して、イオン交換によって達成可能な最大応力はイオン交換持続時間の増大と共に低下するものと理解されており、これは応力変化率(すなわち測定された圧縮応力をイオン交換時間の平方根で除したもの)によって表わされる通りである。図2は、概して、Y:X比が減少するにつれて応力変化率が減少することを示している。
【0075】
図3は、Y:X比(x軸)の関数として耐加水分解性(y軸)をグラフで表わす。図3で示されている通り、ガラスの耐加水分解性は概して、Y:X比が減少するにつれて改善する。
【0076】
以上のことに基づいて、良好な溶融挙動、より優れたイオン交換性能そしてより優れた耐加水分解性を有するガラスが、ガラスのY:X比を約0.9以上さらには約1以上かつ約2以下に維持することによって達成可能であることを理解すべきである。
【0077】
実施例3
3種の例示的な本発明によるガラス組成物(組成物J〜L)および3種の比較用ガラス組成物(組成物4〜6)を調製した。ガラス組成物中のMgOおよびCaOの濃度を変動させて、MgO富有組成物(例えば組成物J〜Lと4)およびCaO富有組成物(すなわち組成物5〜6)の両方を生成した。MgOおよびCaOの相対的量も同様に、ガラス組成物が(CaO/(CaO+MgO))について異なる値を有するような形で変動させた。例示的な本発明によるガラス組成物および比較用ガラス組成物各々の具体的組成は、以下で表3中に報告されている。各組成物の特性は、実施例2に関して以上で記述した通りに決定した。
【0078】
【表3】
【0079】
図4は、(CaO/(CaO+MgO))比の関数として表3中に列挙された組成物の拡散率Dをグラフで表している。具体的には、図4は、(CaO/(CaO+MgO))比が増大するにつれて、結果として得られるガラス中のアルカリイオンの拡散率は減少し、こうしてガラスのイオン交換性能が低下することを表している。この傾向は、図3および図5中のデータによって裏付けされている。図5は、(CaO/(CaO+MgO))比の関数として最大圧縮応力および応力変化率(y軸)をグラフで表している。図5は、(CaO/(CaO+MgO))が増大するにつれて、所与のイオン交換温度およびイオン交換時間について、獲得可能な最大圧縮応力が減少することを表している。図5は同様に、(CaO/(CaO+MgO))比が増大するにつれて、応力変化率が増大する(すなわちより不利かつより望ましくないものとなる)。
【0080】
したがって、表3ならびに図4および5中のデータに基づいて、(CaO/(CaO+MgO))比を最小限に抑えることによって、より高い拡散率を有するガラスを生成できるものと理解すべきである。(CaO/(CaO+MgO))比が約0.5未満である場合に、好適な拡散率を有するガラスを生成することができることが決定された。(CaO/(CaO+MgO))比が約0.5未満である場合のガラスの拡散率値は、所与の圧縮応力および層深さを達成するために必要とされるイオン交換プロセス時間を短縮させる。あるいは、(CaO/(CaO+MgO))比に起因してより高い拡散率を有するガラスを、所与のイオン交換温度およびイオン交換時間についてより高い圧縮応力および層深さを達成するために使用してもよい。
【0081】
さらに、表3中のデータは同様に、MgO濃度を増大させて(CaO/(CaO+MgO))比を減少させることによって、ISO720規格により測定される加水分解劣化に対するガラスの耐性は概して改善することも示している。
【0082】
実施例4
3種の例示的な本発明によるガラス組成物(組成物M〜O)および3種の比較用ガラス組成物(組成物7〜9)を調製した。ガラス組成物中のBの濃度を0モル%〜約4.6モル%まで変動させて、結果として得られるガラスがB/(RO−Al)比について異なる値を有するようにした。例示的な本発明によるガラス組成物および比較用ガラス組成物の各々の具体的組成は以下で表4中に報告されている。各ガラス組成物の特性は、実施例2および3に関して以上で記述した通りに決定した。
【0083】
【表4】
【0084】
図6は、表4のガラス組成物についてのB/(RO−Al)比(x軸)の関数として、表4中のガラス組成物の拡散率(D)(y軸)をグラフで表している。図6に示されているように、ガラス中のアルカリイオンの拡散率は概して、B/(RO−Al)比が増大するにつれて減少する。
【0085】
図7は、表4のガラス組成物についてのB/(RO−Al)比(x軸)の関数として、ISO720の規格に準じた耐加水分解性(y軸)をグラフで表している。図6に示されているように、ガラス組成物の耐加水分解性は概して、B/(RO−Al)比が増大するにつれて改善する。
【0086】
図6および7に基づいて、B/(RO−Al)比を最小限に抑えることでガラス中のアルカリイオンの拡散率が改善され、こうしてガラスのイオン交換特性が改善されるものと理解すべきである。さらに、B/(RO−Al)比を増大させることは同様に、概して加水分解劣化に対するガラスの耐性も改善する。さらに、(DIN12116規格により測定される)酸性溶液中の劣化に対するガラスの耐性が、概してB濃度の減少に伴って改善されることが発見されている。したがって、B/(RO−Al)比を約0.3以下に維持することにより耐加水分解性および耐酸性の改善がガラスに提供されると共に、イオン交換特性も改善されることが決定されている。
【0087】
ここで、本明細書中に記載のガラス組成物が、イオン交換の後、化学的耐久性ならびに機械的耐久性を示すことも理解すべきである。これらの特性はガラス組成物を、非限定的に医薬品包装材料を含めたさまざまな利用分野で使用するために充分好適なものにする。
【0088】
以上のことに基づいて、ここでガラス組成物およびガラス組成物から形成されるガラス物品のさまざまな態様が開示されているものと理解すべきである。第1の態様によると、ガラス組成物は、約70モル%超の濃度のSiOと、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNaOを含み得る。ガラス組成物はホウ素およびホウ素化合物を含んでいなくてもよい。
【0089】
第2の態様において、第1の態様のガラス組成物は、約72モル%以上の量でSiOを含む。
【0090】
第3の態様において、第1または第2の態様のガラス組成物は、リンおよびリン化合物を含まない。
【0091】
第4の態様において、第1〜第3の態様のいずれかのガラス組成物はさらにXモル%のAlを含み、Y:X比は1超である。
【0092】
第5の態様において、第4の態様におけるガラス組成物のY:X比は、2以下である。
【0093】
第6の態様において、第4または第5の態様中のガラス組成物のAlの量は、約2モル%以上かつ約10モル%以下である。
【0094】
第7の態様において、第1〜第5の態様のいずれかのガラス組成物はさらに、約3モル%〜約13モル%のアルカリ土類酸化物を含む。
【0095】
第8の態様において、第7の態様のアルカリ土類酸化物はMgOおよびCaOを含み、CaOは約0.1モル%以上かつ約1.0モル%以下の量で存在し、(CaO(モル%)/(CaO(モル%)+MgO(モル%)))比は0.5以下である。
【0096】
第9の態様において、ガラス組成物は、約68モル%超のSiOと、Xモル%のAlと、Yモル%のアルカリ酸化物と、Bとを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNaOを含み得る。(B(モル%)/(Yモル%−Xモル%))比は0超で0.3未満であってよい。
【0097】
第10の態様において、第9の態様のガラス組成物は約72モル%以上の量でSiOを含む。
【0098】
第11の態様において、第9の態様または第10態様のガラス組成物は、約0.01モル%以上かつ約4モル%以下の量でBを含む。
【0099】
第12の態様において、第9〜第11の態様のいずれかのガラス組成物は1超のY:X比を有する。
【0100】
第13の態様において、第12の態様のY:X比は2以下である。
【0101】
第14の態様は、Xが約2モル%以上かつ約10モル%以下である、第9〜第13の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0102】
第15の態様は、リンおよびリン化合物を含まない、第9〜第14の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0103】
第16の態様は、MgOおよびCaOをさらに含み、CaOが約0.1モル%以上かつ約1.0モル%以下の量で存在し、(CaO(モル%)/(CaO(モル%)+MgO(モル%)))比が0.5以下である、第9〜第15までの態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0104】
第17の態様において、ガラス物品は、ISO719に準じたタイプHGB1の耐加水分解性を有し得る。ガラス物品は、約8モル%超のNaOおよび約4モル%未満のBを含み得る。
【0105】
第18の態様において、第17の態様のガラス物品はさらに、Xモル%のAlとYモル%のアルカリ酸化物とを含み、ここで(B(モル%)/(Yモル%−Xモル%))比は、0超で0.3未満である。
【0106】
第19の態様において、第17〜第18の態様のいずれかのガラス物品はさらに、約250MPa以上の表面圧縮応力を有する圧縮応力層を含む。
【0107】
第20の態様は、DIN12116に準じた少なくともクラスS3の耐酸性を有する、第17〜第19の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0108】
第21の態様は、ISO695に準じた少なくともクラスA2の耐塩基性を有する、第17〜第20の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0109】
第22の態様は、ISO720に準じたタイプHGA1の耐加水分解性を有する、第17〜第21の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0110】
第23の態様において、ガラス製医薬品パッケージは、約70モル%超の量のSiOと、Xモル%のAlと、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNaOを含み得る。ガラス製医薬品パッケージ中のBの濃度(モル%)と(Yモル%−Xモル%)の比は、0.3未満であってよい。ガラス製医薬品パッケージは同様に、ISO719に準じたタイプHGB1の耐加水分解性を有し得る。
【0111】
第24の態様は、SiOの量が72モル%以上かつ約78モル%以下である、第23の態様のガラス製医薬品パッケージを含む。
【0112】
第25の態様は、Xが約4モル%以上かつ約8モル%以下である、第23〜第24の態様のガラス製医薬品パッケージを含む。
【0113】
第26の態様は、Y:Xの比が1超である、第23〜第25の態様のガラス製医薬品パッケージを含む。
【0114】
第27の態様は、Y:Xの比が2未満である、第23〜第26の態様のガラス製医薬品パッケージを含む。
【0115】
第28の態様は、約4モル%〜約8モル%のアルカリ土類酸化物をさらに含む、第23〜第27の態様のガラス製医薬品パッケージを含む。
【0116】
第29の態様は、さらにMgOとCaOを含み、CaOが約0.2モル%以上かつ約0.7モル%以下の量で存在し、(CaO(モル%)/(CaO(モル%)+MgO(モル%)))比が0.5以下である、第23〜第28の態様のガラス製医薬品パッケージを含む。
【0117】
第30の態様は、医薬品パッケージがISO720に準じたタイプHGA1の耐加水分解性を有する、第23〜第29の態様のガラス製医薬品パッケージを含む。
【0118】
第31の態様において、ガラス組成物は、約70モル%〜約80モル%のSiOと、約3モル%〜約13モル%のアルカリ土類酸化物と、Xモル%のAlと、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNaOを含み得る。Y:X比は1超であってよく、ガラス組成物はホウ素およびホウ素化合物を含んでいなくてもよい。
【0119】
第32の態様において、ガラス組成物は、約72モル%〜約78モル%のSiOと、約4モル%〜約8モル%のアルカリ土類酸化物と、Xモル%のAlと、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ土類酸化物の量は、約4モル%以上かつ約8モル%以下であってよい。アルカリ酸化物は、約9モル%以上かつ約15モル%以下の量でNaOを含み得る。Y:X比は1超であってよい。ガラス組成物はホウ素およびホウ素化合物を含んでいなくてもよい。
【0120】
第33の態様において、ガラス組成物は、約68モル%〜約80モル%のSiOと、約3モル%〜約13モル%のアルカリ土類酸化物と、Xモル%のAlと、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNaOを含み得る。ガラス組成物は、Bを含み得る。(B(モル%)/(Yモル%−Xモル%))比は、0超で0.3未満であってよく、Y:X比は1超であってよい。
【0121】
第34の態様において、ガラス組成物は、約70モル%〜約80モル%のSiOと、約3モル%〜約13モル%のアルカリ土類酸化物と、Xモル%のAlと、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ土類酸化物は、約0.1モル%以上かつ約1.0モル%以下の量でCaOを含み得る。Xは約2モル%以上かつ約10モル%以下であってよい。アルカリ酸化物は、約0.01モル%〜約1.0モル%のKOを含み得る。Y:X比は1超であってよい。ガラス組成物は、ホウ素およびホウ素化合物を含まなくてもよい。
【0122】
第35の態様において、ガラス組成物は、約70モル%以上かつ約80モル%以下の量のSiOと、約3モル%〜約13モル%のアルカリ土類酸化物と、Xモル%のAlと、Yモル%のアルカリ酸化物とを含み得る。アルカリ酸化物は、約8モル%超の量でNaOを含み得る。ガラス組成物中のBの濃度(モル%)対(Yモル%−Xモル%)の比は、0.3未満であってよい。Y:X比は1超であってよい。
【0123】
第36の態様は、SiOが78モル%以下の量で存在する、第31〜第35の態様のガラス組成物を含む。
【0124】
第37の態様は、アルカリ土類酸化物の量が約4モル%以上かつ約8モル%以下である、第31〜第36の態様のガラス組成物を含む。
【0125】
第38の態様は、アルカリ土類酸化物がMgOとCaOを含み、(CaO(モル%)/(CaO(モル%)+MgO(モル%)))比が0.5以下である、第31〜第37の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0126】
第39の態様は、アルカリ土類酸化物が約0.1モル%〜約1.0モル%以下のCaOを含む、第31〜第38の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0127】
第40の態様は、アルカリ土類酸化物が約3モル%〜約7モル%のMgOを含む第31〜第39の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0128】
第41の態様は、Xが約2モル%以上かつ約10モル%以下である、第31、第32または第34の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0129】
第42の態様は、アルカリ酸化物が約9モル%以上かつ約15モル%以下のNaOを含む、第31〜第41の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0130】
第43の態様は、Y:X比が2以下である、第31〜第42の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0131】
第44の態様は、Y:X比が1.3以上かつ2.0以下である、第31〜第43の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0132】
第45の態様は、アルカリ酸化物がさらに約3モル%以下の量でKOを含む、第31〜第44の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0133】
第46の態様は、リンおよびリン化合物を含まない、第31〜第45の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0134】
第47の態様は、アルカリ酸化物が約0.01モル%以上かつ約1.0モル%以下の量でKOを含む、第31〜第46の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0135】
第48の態様は、SiOの量が約70モル%以上である、第32または第34の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0136】
第49の態様は、(B(モル%)/(Yモル%−Xモル%))比が0.2未満である、第32または第34の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0137】
第50の態様は、Bの量が約4.0モル%以下である、第32または第34の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0138】
第51の態様は、Bの量が約0.01モル%以上である、第50の態様のガラス組成物を含む。
【0139】
第52の態様は、ホウ素およびホウ素化合物を含まない、第34の態様のガラス組成物を含む。
【0140】
第53の態様は、SiOの濃度が約72モル%以上である、第31〜第34の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0141】
第54の態様は、SiOの濃度が約73モル%以上である、第31〜第53の態様のいずれかのガラス組成物を含む。
【0142】
第55の態様において、ガラス物品は、第31〜第54の態様のいずれかのガラス組成物から形成されている。
【0143】
第56の態様は、ISO719に準じたタイプHGB1の耐加水分解性を有する第55の態様のガラス物品を含む。
【0144】
第57の態様は、イオン交換による強化の後ISO720に準じたタイプHGA1の耐加水分解性を有する第55〜第56の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0145】
第58の態様は、イオン交換による強化の前後にISO720に準じたタイプHGA1の耐加水分解性を有する第55〜第57の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0146】
第59の態様は、DIN12116に準じた少なくともクラスS3の耐酸性を有する、第55〜第58の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0147】
第60の態様は、ISO695に準じた少なくともクラスA2の耐塩基性を有する、第55〜第59の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0148】
第61の態様は、医薬品パッケージである第55〜第60の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0149】
第62の態様は、イオン交換による強化を受けている第55〜第61の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0150】
第63の態様は、10μm以上の層深さと250MPa以上の表面圧縮応力とを有する圧縮応力層をさらに含む、第55〜第62の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0151】
第64の態様において、ガラス物品はISO719に準じたタイプHGB1の耐加水分解性を有し得る。ガラス物品は同様に、450℃以下の温度で16μm/hr超の閾値拡散率も有し得る。
【0152】
第65の態様は、閾値拡散率が、450℃以下の温度で20μm/hr以上である、第64の態様のガラス物品を含む。
【0153】
第66の態様は、イオン交換による強化の後ISO720に準じたタイプHGA1の耐加水分解性を有する第63〜第64の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0154】
第67の態様は、25μm以上の層深さを有する圧縮応力層をさらに含む第64〜第66の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0155】
第68の態様は、層深さが35μm超である第67の態様のガラス物品を含む。
【0156】
第69の態様は、ガラス物品がイオン交換による強化を受けており、イオン交換による強化には、450℃以下の温度で5時間以下の時間溶融塩浴中でガラス物品を処理することが含まれる、第63〜第68の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0157】
第70の態様は、350MPa以上の表面圧縮応力をさらに含む第63〜第69の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0158】
第71の態様は、表面圧縮応力が400MPa以上である第63〜第70の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0159】
第72の態様は、ガラス物品がイオン交換による強化を受けており、イオン交換による強化には、450℃以下の温度で5時間以下の時間溶融塩浴中でガラス物品を処理することが含まれる、第63〜第71の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0160】
第72の態様は、医薬品パッケージである第63〜第72の態様のガラス物品を含む。
【0161】
第73の態様において、ガラス物品はISO719に準じたタイプHGB1の耐加水分解性を有し得る。ガラス物品は同様に、25μm超の層深さと350MPa以上の表面圧縮応力とを有する圧縮応力層をも有し得る。ガラス物品はイオン交換による強化を受けることができ、イオン交換による強化には、450℃以下の温度で5時間以下の時間溶融塩浴中でガラス物品を処理することが含まれ得る。
【0162】
第74の態様は、イオン交換による強化の後ISO720に準じたタイプHGA1の耐加水分解性を有する、第73の態様のガラス物品を含む。
【0163】
第75の態様は、450℃以下の温度で16μm/hr超の閾値拡散率を有する、第73〜第74の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0164】
第76の態様は、閾値拡散率が450℃以下の温度で20μm/hr以上である、第73〜第75の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0165】
第77の態様は、医薬品パッケージである第73〜第76の態様のいずれかのガラス物品を含む。
【0166】
当業者にとっては、請求対象の主題の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載の実施形態に対してさまざまな修正および変更を加えることができるということは明白である。したがって、本明細書は、その修正および変更が添付のクレームおよびその等価物の範囲内に入ることを条件として、本明細書中に記載のさまざまな実施形態の修正および変更を網羅するものであることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7