【実施例】
【0048】
図1のAは、エマルジョン系接着剤を30mmハニカム材頂部両面の一方に符号3のアクリル樹脂エマルジョン系接着剤を、他方には符号4の酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤をそれぞれに2〜4mmの塊として付着させ、符号3を通気性表面材符号1に押し当てた図である。
図1のAの通気性表面材符号1は開孔率が40%のエキスパンドメタルで挟んだアルミ繊維材で、符号3の接着剤が符号1の繊維に絡んだ状態の接着構造を示している。
【0049】
この時、符号4の酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤は未硬化の状態にある。但しこの工程では、符号4の接着剤はハニカム材に付着させず、ハニカム材と通気性表面材のみを接着させた後に符号4の接着剤を付着させる場合もある。
【0050】
フォーム材の充填は、通気性表面材と符号3の接着剤で接着されたハニカム材の反対面の符号4の接着剤が硬化しない状態の時に、
図1のBのように厚さ30mmの吸水性の連通気泡硬質フォーム材符号5を当て、押し込む。本条件によればフォーム材の脆さは関係しない。むしろ脆いフォーム材の方が押し込み易く、この脆さ(サクサク状態)は充填の抵抗によるフォーム材気泡を破壊させない。
【0051】
押し込み動作において、ハニカム材に付着させた流動性の良い酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤は、吸水性の連通気泡硬質フォーム材に対し滑り効果の発現により、押し込み抵抗が低減されることから気泡構造が壊れない効果も得られた。又酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤は、吸水性の連通気泡硬質フェノールフォーム材に良く染みこみ、ハニカム材とフォーム材を一体化さる効果もでた。
【0052】
図1によるサンドイッチパネル構造体の完成状態を
図1のCに示す。非通気性表面材符号8に酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤符号13を塗布し、非通気性表面材符号8と吸水性の連通気泡のフェノールフォーム材とハニカム材の面に酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤を符号7の如く染み込ませ、非通気性表面材と吸水性の連通気泡のフェノールフォーム材とハニカム材を接着させて完成する。
【0053】
図2は
図1のAの条件と同じであるが、フォーム材は厚さ86mm、密度20kg/m3の吸水性の連通気泡硬質フェノールフォーム材符号12で、厚さ15mmのハニカム材に押し込んだ図である。
図2は押し込みによりハニカム材頂部に塗布した符号4の接着剤が符号6のようにハニカム壁面に部分的に押し延ばされ、フォーム材に密着された図である。
【0054】
実測ではハニカム材頂部に付着した接着剤の2〜4mm塊が押し込みによる動作で5〜15mmまで延ばされ付着面積を拡大させた。接着剤の一部は通気性表面材符号1まで押し延ばされた状態も確認でき、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤が吸水性で連通気泡の硬質フェノールフォーム材に染み込んだ良好な接着状態も確認された。
【0055】
ハニカム材とフォーム材部分の接着力が強いので、ハニカム材面に接着させた重量2.5kg/m
2のエキスパンドメタルで挟まれたアルミ繊維材は、フォーム材からハニカム材と共に抜け落ちたり、或いはフォーム材に押し込まれたハニカム部分の緩み等がなく、強く固定されることが確認できた。
【0056】
図3は非通気性表面材を符号12のフォーム材の面に合わせた図で、符号8の非通気性表面材側に塗布した酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤符号13が吸水性の連通気泡硬質フェノールフォーム材に符号7の如く染み込んだ図である。
【0057】
図3には示されていないが、フォーム材の内部を更に詳細に見ると、フォーム材は、多数の微細な気泡より構成されている。個々の気泡はフォーム材気泡壁面で分離され、内部に空気を有している。連通気泡硬質フォーム材の吸水力により、連通気泡硬質フォーム材の気泡壁面まで接着剤が染み込み、全体としては接着剤接触部付近のフォーム材が強化される。
【0058】
染みこみの確認実験によれば高さ78mm、幅29mm、厚さ16mmの吸水性の連通気泡硬質フェノールフォーム材の吸水性は、水面高さが15mmとなるよう水を入れた容器に、15秒間浸漬させた時の吸い上げ高さは、水面より15mm高い30mmまで吸い上げ染みこんだ。一方、水の代わりにエマルジョン系接着剤(コニシCX−50、酢酸ビニル樹脂系))で試した場合は5mm高い20mmまで吸い上げ染み込んだ。又フォームの吸水重量で見た場合、水のみの場合は14g、エマルジョン系の場合は6gの増量になった。
【0059】
試験体に接着剤が染み込んだ後の重量は、水分を乾燥させた後に計測した所、当初の0.5gが1.5gと3倍に増加した。接着剤がフォーム材に染みこみ、増量している確認を得た。この結果を比較すると、染み込んでいないフォームは指でなぜると粉状であり、又フォーム切断時の切り粉が付着している状態であるが、染み込んだフォーム材は脆さがなくなり硬くなって、又粉末も固定されて同一材化し、接着させる材料として良好な状態を得た。
【0060】
以上の実施例では、フォーム材を押し込んだハニカム材の両面に通気性表面材及び非通気性表面材を接着する構造について示したが、通気性表面材及び非通気性表面材を接着させないで、フォーム材を充填したハニカム材だけで使用する場合もある。この場合のハニカム材セルからフォーム材を落下させない接着剤の塗布方法として、以下の方法がある。
【0061】
図4はハニカム材セル内にハニカム材と同じ厚さの吸水性の硬質フォーム材を押し込んだ構造体である。
図4のAは符号2のハニカム材の一方の頂部符号4に2〜4mm程度の接着剤塊を付着させる。
図4のBで、ハニカム材セル内にハニカム材と同じ厚さの吸水性の硬質フォーム材符号14を押し込み、接着剤を符号6のようにハニカム材壁に部分的に押し延ばし、ハニカム材と吸水性の硬質フォーム材を接着させる。これにより、非通気性表面材及び通気性表面材を用いない構造体が得られる。
【0062】
また、これによりハニカム材と吸水性の硬質フォーム材に酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤が染みこみ接着で一体化でき、落下させない構造体が得られた。使用する吸水性硬質フォーム材は連通気泡、独立気泡を限定しない。
【0063】
また、吸水性の硬質フォーム材の材質はウレタン系フォーム材、フェノールフォーム材の限定はしない。接着剤の無理な押しつけで通気性表面の開孔の潰しを避けるため、吸水性の硬質フォーム材はハニカム材より薄くして通気性表面と間に空間を設けた構造にする場合も選択できる。
【0064】
図5はハニカム材頂部の両面である符号4と9に酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤を塊として付着させ、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤の流動性を利用し、吸水性の硬質フォーム材を押し込み時の圧力で押し伸ばし、ハニカム材壁面に吸水性の硬質フォーム材を接着できるようにする。
【0065】
符号9の接着剤を付着させた側に下敷板として、予めポリエチレンフィルム、ポリエチレン板、テフロン(登録商標)板等の離型可能な材料符号11を配置する。ハニカム材セルへのフォーム材の充填は、ハニカム材と同じ厚さの吸水性の硬質フォーム材を接着剤が接着したハニカム材の符号4の面に合わせた後に、吸水性の硬質フォーム材符号5を下敷板の反対側から押し込み、符号4の接着剤をハニカム材壁面に
図5のBの符号6のように部分的に引き延し吸水性硬質フォーム材とハニカム材を接着させる。
【0066】
接着剤符号9はフォーム材の押し込み圧で符号11の下敷板面に沿い水平方向に延ばされ、接着剤で表皮膜符号10を造り、ハニカム材と吸水性の硬質フォーム材を一体化させる。
【0067】
この方法によれば
図4の構造体よりハニカム材と吸水性の硬質フォーム材の接着が安定し、落下しないハニカム構造体が得られる。符号11の下敷板は吸水性の硬質フォーム材の押し込み後に外す。下敷板を外した後は、
図4のBと同じく、非通気性表面材及び通気性表面材を用いない構造のものが得られる。
【0068】
図6はハニカム材符号2の吸水性硬質フォーム材を充填する面とは反対側の片方の頂部のみに符号9のエマルジョン系接着剤を付着させ、ハニカム材と同じ厚さの吸水性の硬質フォーム材を押し込んだ図である。押し込み圧により、符号9に付着させた接着剤は符号10のように符号11の下敷きに沿い水平方向に押し延ばされ、接着剤で表皮膜符号10が造られ、吸水性の硬質フォーム材をハニカム材セル内に保持させる構造体となる。
【0069】
この方法では接着剤の押し延ばしがなくハニカム材壁面に対する接着面積の拡大が起きないため、
図4及び
図5方法よりセル内の吸水性の硬質フォーム材は不安定である。符号11の下敷板は吸水性の硬質フォーム材を押し込み後に外す。下敷板を外した後は、
図4のBと同じく、非通気性表面材及び通気性表面材を用いない構造のものが得られる。
【0070】
図4のBの構造の使い方は、
図4のBのようにハニカム材に吸水性の硬質フォーム材を充填したのみの材料で構造空間に断熱材・吸音材として嵌め込み使用する方法もあるが、
図4のBの両面に
図7のAのように符号15の非通気性表面材を接着して、或いは
図7のBのように一方は符号16の通気性表面材、他方は符号15の非通気性表面材を接着して、断熱パネル材、又は吸遮音パネル材としての利用もできる。
【0071】
なお、
図4、
図5及び
図6の構成において、ハニカム材符号2が非吸水性であってもフェノールフォーム材気泡壁面との接着が可能であるが、ハニカム材符号2が吸水性であれば、より強固な接着力が実現できることを付言する。