(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記充填部の前記軸線方向の長さをL1、前記第1及び第2のシール部の幅をD、としたときの比率D/L1が、0.15〜0.45の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の充填包装体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により
図1〜
図9を用いて説明する。
【0012】
まず、本発明の実施形態における充填包装体1(以下、単に包装体1とも称する)について、
図1〜
図4を参照して説明する。包装体1は、後述する充填包装装置11で製造することができるものである。
図1(a)は包装体1の前面図であり、
図1(b)は下面図であり、
図1(c)は背面図であり、
図1(d)は右側面図である。
図2は、包装体1を手で把持した状態を説明するための斜視図である。
図3は、包装体1のシール部2bを説明するための図である。
図4は、個々の包装体1を得る前の状態を説明するための図である。
【0013】
包装体1は、軟容器である充填包装容器2の中に充填物3を充填したものである。充填包装容器2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材としたガスバリア性を有する不透明の多層フィルムから形成されている。その多層フィルムの具体的構成は、一例として次のものである。
PET/AL/ONY/LLDEP
すなわち、ポリエチレンテレフタレート/アルミ箔/二軸延伸ナイロン/直鎖状低密度ポリエチレンの多層(四層)構成である。この構成において、PET層〜ONY層が基層、LLDEP層がシーラント層として機能する。
また、この構成においてAL層は酸素バリヤ層となるが、酸素バリア層としてAL以外の他の材料を用いてもよい。また、ONY層とLLDEP層との間に、酸素吸収層を設けてもよい。
酸素バリア性が不要であれば、上記構成からAL層等の酸素バリヤ層をなくし、構成を、例えば、PET/ONY/LLDPE としてもよい。
【0014】
包装体1は、内部に充填物3が充填された細長い充填部2aと、充填部2aの長手方向の両端に形成されたシール部2b,2cと、充填部2aの背面において、幅方向(短手方向)の概ね中央部位に長手方向に沿って鰭状に形成された筒シール部2dと、を有している。
筒シール部2dは、フィルム状の原材料を筒状にするために設けられた縦方向(筒の軸線方向)のベタシールによる熱シール封止部位である。
シール部2b,2cは、原材料を筒状にしつつ内部に充填物3を充填し、その状態で熱シールを施すことで形成された部位である。
この包装体1の製造方法例については後述する。
【0015】
充填物3は、例えば印刷インキ(以下、便宜的に印刷インキ3とも記載する)であり、詳しくは、例えば酸化重合型の油性枚葉インキ,UVインキ,シルクスクリーンインキ等である。
包装体1において、充填された印刷インキ3の質量は、例えば約0.5kgと設定される。これは、従来の缶容器の場合に収められる質量が、1kg及び5kgとして定量化されていることから、包装体1についても概ね区切りのよい質量(容量)であることがユーザにとって扱い易いことから設定されている。
また、この包装体1は、使用者が手で把持でき、扱い易いものであることが考慮されている。特に、0.5kgという充填質量に関しては、1kgでは作業者が把持する際に重く、負担が大きいことから、把持及び把持したままの作業における無理のない質量としても好ましいものと考えられる。
【0016】
包装体1の外形サイズの一例は、充填部2aの長手方向の長さをL1、シール部2b,2cの長手方向長さをLbs,Lcs、シール部2b,2cの幅をD、とすると、概略次の寸法とされている。
すなわち、L1≒290mm,Lbs=Lcs≒13mm,D≒90mmである。すなわち、縦横比であるD/L1は、約0.31となっている。
また、印刷インキ3を0.5kg充填した場合、ふくらみ量である厚さHは、約30mmとなる。また、充填物3を偏らせることなく包装体1内に均一的に収容した状態での、充填部2aの周長(胴周り長)は、約180mmとなっている。
【0017】
充填包装容器2が柔軟性を有し、充填された印刷インキ3は液状又はゲル状を呈するので、
図2に示されるように、人の手HDで充填部2aの中央部分を掴むと、印刷インキ3は両端側に移動して胴周り長が短くなる。
このため、作業者の手が平均的な大きさであってもそれより小さい場合でも、包装体1を容易に把持することができる。
逆の見方で説明すると、手の小さい作業者でも容易に把持できるように胴周り長が設定され、それに伴い、充填部2aの長さL1とシール部2b,2cの幅Dとが決められている。
【0018】
これにより、包装体1に充填された印刷インキ3を、例えば、印刷機のインキ壺に補充する作業においては、包装体1の一方端側に破断や切断により開口部を形成し、充填部2aを手で把持しつつ扱くことで、開口部から印刷インキを絞り残しなく良好に補充することができる。
すなわち、包装体1から充填物である印刷インキ3を排出する際に、専用の排出装置や治具などを用いることなく、素手のみによって排出を簡単に行うことができる。また、その作業では、印刷インキ3を残留分がほとんどないように排出できるので、充填された印刷インキ3を無駄なく利用することができる。
【0019】
包装体1におけるシール部2b,2cは、ベタシール方式ではなく、線シール方式で熱シールされている。詳しくは、幅方向(短手方向)に延在する線状シール部を、長手方向に所定の間隔で複数箇所形成することでシールを行っている。
これについて
図3を参照し詳細に説明する。
図3(a)は、シール部2bを説明するための
図1におけるA部詳細図であり、
図3(b)は
図3(a)におけるS1−S1位置での断面図である。
【0020】
シール部2bにおいて、線状シール部SEは、包装体1の正面側にあたる正面フィルム2eと背面側にあたる背面フィルム2fとが熱溶着されて一体化されている部位である。
この例では、包装体1の長手方向(
図3の左右方向)に交叉する方向で複数の線状シール部SEが所定の間隔d1を隔てて形成されている。また、交叉角度は例えば90°であって、幅d2なる五つの線状シール部SE1〜SE5が形成されている。
図3(a)では、見易くするために、線状シール部SEには便宜的にハッチングを付してある。
【0021】
間隔d1に対応する部位、すなわち、隣接する線状シール部SEの間となる部位は、正面フィルム2eと背面フィルム2fとが溶着されていないシール狭間部SH(SH1〜SH4)となっている。
シール部2bの形成時には、複数の線状シール部SEそれぞれの間にシール狭間部SHが設けられるので、正面フィルム2eと背面フィルム2fとの間に挟まれる位置にある充填物3は、両フィルム2e,2fを挟むヒータ部17a(
図5参照)の両フィルム2e,2fを密着させる方向の押圧により大部分が充填部2a側に移動するものの、残った微量分も最終的にはシール狭間部SHに追い込まれてそこに溜まる。すなわち、シール狭間部SHは充填物溜まりとして機能する。
そのため、線状シール部SEに挟まれる充填物3はほとんど無く、シーラント層同士が高い密着度で密着した状態で熱シールが行われる。従って、シール部2b,2cは高いシール強度が得られる。
【0022】
一つの線状シール部SEは、線状故にシール面積が比較的小さいので、複数の線状シール部SEで必要なシール強度が得られるように、線状シール部SEの幅d2や数を設定するとよい。
また、線状シール部SEの数を三つ以上とすると、個々の線状シール部SE毎にシール強度のばらつきが仮に生じていたとしても、互いに補完し合い、包装体1のシール強度の個体間ばらつきが抑えられるので好ましい。
充填物3が上述の0.5kgの印刷インキの場合の、線状シール部SEの幅d2と数の設定例は、d2:1mm,数:4である。また、シール狭間部SHの幅d2は、例えば1.5mmである。
【0023】
包装体1は、
図4に示されるように、個々の個体に分離される前には、シール部SEaにより長手方向に繋がっている。分離は、シール部SEaの中間位置(概ね中央となる位置が好ましい)CTで、カット機構部18(
図5参照)による切断又は溶断で行われる。
すなわち、分離前のシール部SEaは、長手方向の幅d3が、概ね分離後のシール部2bの幅Lbsとシール部2cの幅Lcsとを足した幅で形成されている。
また、位置CTに対応した線状シール部SECは、分離により半分になるため、他の線状シール部SEよりも幅広(例えば二倍)に形成されているとよい。
【0024】
上述した充填包装体1及び充填包装体1に利用される充填包装容器2は、従来の金属や樹脂を材料とする缶及びその缶に充填物を収容した収容体に比べて、生産から廃棄までのCO
2排出量が顕著に少ない。また、充填物3を排出した後には、折りたたむ、丸めるなどにより、充填容量によらず大幅に小さくすることができるので、廃棄物が省スペースであるという点で優れ、また素材の廃棄容易性の点でも缶容器よりも有利であって、エンドユーザの廃棄コストが大幅に低減される。
また、充填包装体1は軟容器であるから形状をある程度変形させることができる。従って、箱詰めした際の隣接する充填包装体1同士の隙間、いわゆるデッドスペースを顕著に少なくてきるので、梱包効率は極めて高い。。
【0025】
次に、上述した充填包装体1を製造するための充填包装装置11について詳述する。
図5は、充填包装装置11の概略の全体構成を示す斜視図である。
充填包装装置11は、多層のフィルムF(例えば、上述のPET/AL/ONY/LLDEPで構成されたフィルム)をロールRから引き出し、複数の案内ローラ12を介して装置の上方位置に案内するフィルム案内部11Aと、フィルム案内部11Aの下方に配置されフィルムFの左右の縁部Fa,Fbを筒状化シール部13により縦方向に熱シールして筒状の筒状体Tとする筒状化機構部11Bと、筒状化機構部11Bの下方に配置され、筒状体Tの内部に充填物3を充填すると共に長手方向の所定間隔毎に扱いて熱シールを施し、さらに個々の包装体1に分離する包装体作成部11Cと、分離した包装体1を外部に搬送する搬送部11Dと、を備えて構成されている。
充填包装装置11の動作は、制御部SG(
図9参照)により総合的に制御される。制御部SGは、充填包装装置11に備えられていてもよく、また、外部に設けられて充填包装装置11との間を無線又は有線で接続されるものでもよい。
尚、
図5においては、斜視図における構造理解を容易にするため、描画上で筒状体Tを破断し、その破断位置よりも上方の筒状化機構部11B及びフィルム案内部11Aを、筒状体Tの軸線まわりに90°回転した状態で示している。すなわち、実際の充填包装装置において、例えば筒状化シール部13の周方向位置は、下方に配置された一対のヒータ部17a(詳細後述)のいずれか一方と同じ位置にある。
【0026】
以下、充填包装装置11の要部構造について詳しく説明する。
フィルム案内部11Aの後段と筒状化機構部11Bの前段との間において、外部の充填物供給装置(図示せず)に接続された充填物供給管の先端側であるノズル14が、筒状体Tの内部に進入する共に最先端側が下方に向かって延びるように配管されている。
このノズル14には、充填物3が供給される。充填物3が脱泡を必要とする場合(例えば印刷インキ)、充填物供給装置側の脱泡装置により充分に脱泡された充填物3が供給される。
筒状体Tは、一対の回転する送りローラ機構部15に挟まれて下方に向け搬送される。
ノズル14の最先端は、送りローラ機構部15よりも下方の位置まで延びて開口しており、その開口部14aから筒状体Tの内部に充填物3が充填される。
【0027】
送りローラ機構部15の下方の所定位置には、一対の扱き機構部16が配設されている。この扱き機構部16において施される扱きローラを用いた扱きにより、筒状体Tには、正面フィルム2eと背面フィルム2fとの間の充填物3が排除されて両フィルム2e,2fの内面同士が直接接触する扱き部T1が形成される。
【0028】
扱き機構部16の下方には、シール機構部17とカット機構部18とが配設されている。
シール機構部17とカット機構部18とは、上下方向に延在する支柱Pに支持されており、両機構部17,18の上下の間隔H1を一定として支柱P上を上下方向に同期して所定の移動経路上を往復移動するようになっている(白抜き矢印参照)。この間隔H1は、包装体1の充填部2aの長手方向長さL1に対応している。
【0029】
シール機構部17は、扱き部T1を挟む位置に一対のヒータ部17aを有しており、一対のヒータ部17aは、扱き部T1に対し同期して水平方向に離接するようになっている(両矢印DR1参照)。一対のヒータ部17aは、詳しくは、
図6における左側のヒータ部17a1と、右側のヒータ部17a2と、の対である。
そして、一対のヒータ部17aが扱き部T1を挟み正面フィルム2eと背面フィルム2fとを圧着するように押圧し、その状態で加熱することで正面フィルム2eと背面フィルム2fのシーラント層同士が溶着してシール部SEa(
図4も参照)が形成される。
【0030】
図6は、ヒータ部17a1,17a2の近傍を示す図である。
図6に示されるように、ヒータ部17a1とヒータ部17a2とは、扱き機構部16に最接近した移動経路の最上方位置において、両矢印DR1のように扱き部T1を挟むように離接動作する。
各ヒータ部17a1,17a2には、ヒータ17hが内蔵されており、一方(
図6の左側)のヒータ部17a1における他方のヒータ部17a2と対向する対向面には、複数の線状シール部SE(
図4参照)を形成するための扱き部T1の幅方向に延在する複数の凸部17b及び中央の線状シール部SECを形成するための凸部17cが形成されている。また、他方のヒータ部17a2における一方のヒータ部17a1と対向する対向面は、凸部17bが形成されていない平坦面とされている。
【0031】
図7は、カット機構部18の近傍を示す図である。
図7に示されるように、カット機構部18は、一対の溶断部19をシール部SEaを挟む位置に有しており、一対の溶断部19は、シール部SEaに対し同期して水平方向に離接するようになっている(両矢印DR2参照)。そして、一対の溶断部19がシール部SEaを挟んで両面側から押圧し、その状態で所定のカット位置を局部的に加熱することで、シール部SEaは溶断される。
【0032】
シール機構部17とカット機構部18とは、同期した下降動作において、シール機構部17が扱き部T1を挟んで加熱押圧する水平動作と、カット機構部18がシール部SEaを挟んで加熱押圧する水平動作とを含んでいる。また、同期した上昇動作において、シール機構部17とカット機構部18とは、両方とも筒状体Tから離れた状態とされる。
【0033】
図7において、溶断部19は、基部19kと、基部19kに連結されたヒータ部19aと、基部19kに連結しヒータ部19aの上側と下側とに近接配置された冷却部19b,19cと、を有している。
ヒータ部19aは、シール部SEaの幅方向に延在する当接面19a1を有すると共に内部にヒータ19a2が通されている。
シール部SEaを両面側から押圧した状態で、このヒータ19a2から発せられた熱が当接面19a1を介してその面に当接したシール部SEaに伝達される。
冷却部19b,19cは、シール部SEaの幅方向に延在する当接面19b1,19c1を有すると共に、内部に冷却源として水路19b2,19c2を有している。そして、水路19b2,19c2に流通された水により冷却部19b,19cの温度が、ヒータ部19aの昇温の影響で上昇することを防止している。
そのため、当接面19b1,19c1の温度は、ヒータ部19aの当接面19a1に対して充分に低い温度になっている。
【0034】
このような溶断部19は、各部位の寸法が、溶断部19でシール部SEaを挟んで両面側から押圧した際に、ヒータ部19aの当接面19a1が中央の線状シール部SECに当接し、冷却部19b,19cの当接面19b1,19c1が、線状シール部SECにおける当接面19a1が当接した部位に隣接する部位に当接するようになっている。この当接面19b1,19b2の当接部位は、線状シール部SECに隣接する一対のシール狭間部SHに跨って当接するように設定されていてもよい。
すなわち、各部位の寸法は、溶断する相手である包装体1のシール部SEaの仕様と緊密に関連して設定されている。
この溶断部19を用いれば、そのカット動作に伴い、シール部SEaにおいて温度が上昇する部位は、線状シール部SECのさらに当接面19a1が当接した範囲に限定された極めて局所的な部位となる(
図7においてクロスハッチを付した範囲)。
【0035】
線状シール部SEC以外の線状シール部SEの温度が溶断温度に近くなると、シールが破壊される虞がある。そのため、温度上昇範囲はできるだけ局所的であることが望まれる。
また、充填物3の溜まり機能を有するシール狭間部SHに影響が及ぶと、溶断した端面から充填物3が浸み出す場合があり、その場合、包装体1は商品として不合格となる。そのため、シール狭間部SHに影響が及ばないように溶断されることが望まれる。
【0036】
充填包装装置11は、上述のカット機構部18を備えているので、温度上昇範囲は極めて限定され局部的である。
従って、溶断する線状シール部SEC以外の線状シール部SEが破壊される可能性がほとんどなく、包装体1のシール強度は良好に維持される。
また、溶断する線状シール部SECに隣接するシール狭間部SHは、熱がシール狭間部SHに伝達される前に冷却部19b,19cにより、又は冷却部19b,19cの直接の接触により放熱するので温度上昇が抑えられ、ヒータ部19aの影響を受けることがない。
従って、シール狭間部SHに溜まっている充填物3が溶断した端面から浸み出すことがなく、その浸み出しを理由として包装体1が不合格となることがない。
【0037】
上述したカット機構部18で溶断した包装体1の溶断部断面が、
図8に模式的に示されている。すなわち、
図8は、包装体1のシール部2bの先端部位を拡大し、先端部の線状シール部SE5と、それに隣接するシール狭間部SHと、更にそれに隣接する線状シール部SE4の一部と、を含む部位を拡大した模式的断面図である。また、
図8では、正面フィルム2eを基層2ekとシーラント層2esとに区分けし、背面フィルム2fも基層2fkとシーラント層2fsとに区分けして示されている。
【0038】
図8に示されるように、線状シール部SE4において、シーラント層2esとシーラント層2fsとは溶合して一体化されている。シール狭間部SHでは、正面フィルム2eと背面フィルム2fとは溶着されず、両者間に充填物溜まり2tmが形成されている。充填物溜まり2tmには、充填物3が溜まる場合がある。
【0039】
線状シール部SE5の先端部側の範囲YTは、ヒータ部19aにより局部的に著しく高温になった部分であり、その温度上昇によって溶断が行われている。
また、その温度上昇により、正面フィルム2eの基層2ek及びシーラント層2es、並びに、背面フィルム2fの基層2fk及びシーラント層2fsが、互いに明瞭な境界がないように溶融して一体化された混合部Jを形成している(クロスハッチングの部分)。
従って、シール狭間部SHの充填物溜まり2tmに溜まった充填物3が、混合部Jを通過して外部に浸み出すことはない。
また、線状シール部SE5において、仮に微量の充填物3が挟まれて残っていたとしても、混合部Jの内部に微視的に閉じこめられるので、溶断部位から外部に浸み出すことはない。
従って、充填包装装置11で製造した包装体1は、溶断した両端面から充填物3が浸み出すことがなく、包装体1はそれを理由に商品として不合格となることはない。
【0040】
カット機構部18により個々に分離されて得られた包装体1は、下方に待機している搬送部11Dのベルトコンベア20上に載置され、所定の位置に搬出される。
【0041】
この充填包装装置11により充填包装体1を製造すれば、充填包装容器2を軟容器として連続的に生産できるので、高速で充填包装体1を生産することができる。
また、充填包装装置11は、冷却部19b,19cを有するカット機構部18を備えているので、個々の充填包装体1を分離する際に、既にシールされた部位のシール性能に影響を与えることなく分離を行うことができる。従って、充填包装体1は、シール強度が安定的に維持され、歩留まりがよく、ばらつきが少なく、高品質の商品として市場提供することが可能である。
【0042】
図9は、充填包装装置11のブロック図である。このブロック図では、フィルム案内部11A,筒状化機構部11B,包装体作成部11C,及び搬送部11Dの動作をそれぞれ駆動する駆動部をまとめて駆動系KDとして表記してある。
制御部SGは、駆動系KDの動作制御と、ヒータ19a2の温度制御と、水路19b2内の水の温度管理及び流量管理を司る水路系WTの制御と、ノズル14から供給される充填物3の供給量を管理する供給系Nの制御と、を、各ブロックからのフィードバック情報を参照して実行する。
図9では、制御部SGが充填包装装置11の外部に設けられている例が示されているが、内部に備えられたものであってもよい。
【0043】
包装体1に求められるシール強度は、シール部2b,2cの長手方向長さLbs,Lcsが15mmの場合、例えば50Nとされる。
このシール強度を得るために設定される包装体1の製造条件の一例を以下に示す。この条件は制御部SGにより管理制御される。
印刷インキ3の充填温度:40〜50℃
シール温度:220〜230℃
シール圧力:480kgf
生産速度:35個/min
これらの条件設定は、求めるシール強度及び生産効率に応じて適宜変えることができる。
【0044】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
包装体1に充填する充填物3は、印刷インキに限るものではなく、液状又はゲル状の物質で筒状体Tにノズル14から注入できるものであればよい。
線状シール部SEは、直線状に延在するものに限らない。例えば、弧状や波状に延在するものでもよい。
充填包装体1の縦横比であるD/L1は、上述の0.31に限るものではなく、これを含む所定の範囲内に設定されているとよい。
縦横比が小さすぎると、充填部2aの中央を把持し易いものの、全体形状が細長くなりすぎて、手で支えた際に両端が垂れさがってしまい印刷インキの排出作業が返って難くなってしまう。
一方で、縦横比が大きすぎると、充填部2aの中央を把持し難くなって扱いが容易ではなくなり、充填物を排出する際には、シール部全体を除去すると開口が大きくなり過ぎて、補充する相手の入り口サイズに合わなくなるという問題が生じる。また、シール部の一部のみを切断して小さい開口部を設けると、排出しきれない残留分すなわち無駄が生じる虞がある。
そのため、発明者が鋭意検討した結果、これらの問題が生じ難い良好な縦横比範囲として、0.15〜0.45を見い出した。充填包装体1の外形形状は、この縦横比の範囲内に設定されていることが好ましい。
例えば、上述の充填包装体1の場合に適用すると、
縦横比0.15の場合、L1=417mm,D=62.6mm
縦横比0.40の場合、L1=255mm,D=102mm
のサイズとなる。
尚、
図3(b)及び
図9において、シール狭間部SHの充填物溜まりとして空間が存在するように記載されているが、これは理解容易のため、便宜的に誇張して記載したものであり、必ず空間が生じるものとは限らない。シーラント層2es,2ef同士が非溶着状態で空間なく密着している場合もあり得る。