特許第6065429号(P6065429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6065429
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   F25B1/00 396Z
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-155314(P2012-155314)
(22)【出願日】2012年7月11日
(65)【公開番号】特開2013-139990(P2013-139990A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2015年7月9日
(31)【優先権主張番号】特願2011-268851(P2011-268851)
(32)【優先日】2011年12月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】藤高 章
(72)【発明者】
【氏名】川邉 義和
(72)【発明者】
【氏名】丸本 一彦
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−190517(JP,A)
【文献】 特開2001−248941(JP,A)
【文献】 特開2001−304116(JP,A)
【文献】 特開2009−300001(JP,A)
【文献】 特開2010−002074(JP,A)
【文献】 特開2010−002092(JP,A)
【文献】 特開2010−002111(JP,A)
【文献】 特開2010−261679(JP,A)
【文献】 特開2011−002217(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/023923(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/144909(WO,A2)
【文献】 国際公開第2012/160598(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、四方弁、室外熱交換器、減圧器それぞれを冷媒配管で接続して構成した室外機と室内熱交換器を有する室内機とを接続冷媒配管で接続して冷凍サイクルを構成した空気調和機であって、上記冷凍サイクルの冷媒は、HFO−1234yfの単一冷媒または、HFO−1234yfを主成分とし、R−32を22%未満含む混合冷媒とするとともに、冷房定格能力が4kW以下である前記空気調和機の前記冷媒配管および前記接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径は、前記空気調和機に対応するR−410A用の4kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1.2〜1.8倍で、9.5mm〜14mmの内径の配管としたことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
圧縮機、四方弁、室外熱交換器、減圧器それぞれを冷媒配管で接続して構成した室外機と室内熱交換器を有する室内機とを接続冷媒配管で接続して構成した冷凍サイクルを有する空気調和機であって、上記冷凍サイクルの冷媒は、HFO−1234yfの単一冷媒または、HFO−1234yfを主成分とし、R−32を22%未満含む混合冷媒とするとともに、冷房定格能力が4kWを超え、6kW以下である前記空気調和機の前記冷媒配管および前記接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径は、前記空気調和機に対応するR−410A用の4kWを超え、6kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1.2〜1.7倍で、13mm〜19mmの内径の配管としたことを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
圧縮機、四方弁、室外熱交換器、減圧器それぞれを冷媒配管で接続して構成した室外機と室内熱交換器を有する室内機とを接続冷媒配管で接続して構成した冷凍サイクルを有する空気調和機であって、上記冷凍サイクルの冷媒は、HFO−1234yfの単一冷媒または、HFO−1234yfを主成分とし、R−32を22%未満含む混合冷媒とするとともに、冷房定格能力が6kWを超え、8kW以下である前記空気調和機の前記冷媒配管および前記接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径は、前記空気調和機に対応するR−410A用の6kWを超え、8kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1.5〜2.1倍で、16mm〜23mmの内径の配管としたことを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
圧縮機、四方弁、室外熱交換器、減圧器それぞれを冷媒配管で接続して構成した室外機と室内熱交換器を有する室内機とを接続冷媒配管で接続して構成した冷凍サイクルを有する
空気調和機であって、上記冷凍サイクルの冷媒は、HFO−1234yfの単一冷媒または、HFO−1234yfを主成分とし、R−32を22%未満含む混合冷媒とするとともに、冷房定格能力が8kWを超え、24kW以下である前記空気調和機の前記冷媒配管および前記接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径は、前記空気調和機に対応するR−410A用の8kWを超え、24kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1.5〜2.1倍で、16mm〜23mmの内径の配管としたことを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
圧縮機、四方弁、室外熱交換器、減圧器それぞれを冷媒配管で接続して構成した室外機と室内熱交換器を有する室内機とを接続冷媒配管で接続して冷凍サイクルを構成した空気調和機であって、上記冷凍サイクルの冷媒は、HFO−1234yfを主成分とし、R−32を22%以上50%以下含む混合冷媒とするとともに、冷房定格能力が4kW以下である前記空気調和機の前記冷媒配管および前記接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径をR−410A用の4kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1〜1.2倍で、7.9mm〜10mmの内径の配管としたことを特徴とする空気調和機。
【請求項6】
圧縮機、四方弁、室外熱交換器、減圧器それぞれを冷媒配管で接続して構成した室外機と室内熱交換器を有する室内機とを接続冷媒配管で接続して冷凍サイクルを構成した空気調和機であって、上記冷凍サイクルの冷媒は、HFO−1234yfを主成分とし、R−32を22%以上50%以下含む混合冷媒とするとともに、冷房定格能力が4kWを超え、6kW以下である前記空気調和機の前記冷媒配管および前記接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径をR−410A用の4kWを超え、6kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1〜1.25倍で、11mm〜14mmの内径の配管としたことを特徴とする空気調和機。
【請求項7】
圧縮機、四方弁、室外熱交換器、減圧器それぞれを冷媒配管で接続して構成した室外機と室内熱交換器を有する室内機とを接続冷媒配管で接続して冷凍サイクルを構成した空気調和機であって、上記冷凍サイクルの冷媒は、HFO−1234yfを主成分とし、R−32を22%以上50%以下含む混合冷媒とするとともに、冷房定格能力が6kWを超え、8kW以下である前記空気調和機の前記冷媒配管および前記接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径をR−410A用の6kWを超え、8kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1.2〜1.5倍で、13mm〜17mmの内径の配管としたことを特徴とする空気調和機。
【請求項8】
圧縮機、四方弁、室外熱交換器、減圧器それぞれを冷媒配管で接続して構成した室外機と室内熱交換器を有する室内機とを接続冷媒配管で接続して冷凍サイクルを構成した空気調和機であって、上記冷凍サイクルの冷媒は、HFO−1234yfを主成分とし、R−32を22%以上50%以下含む混合冷媒とするとともに、冷房定格能力が8kWを超え、24kW以下である前記空気調和機の前記冷媒配管および接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径は、前記空気調和機に対応するR−410A用の8kWを超え、24kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1.2〜1.5倍で、13mm〜17mmの内径の配管としたことを特徴とする空気調和機。
【請求項9】
冷媒は、地球温暖化係数が3以上で750以下、望ましくは350以下、更に望ましくは150以下となるように、単一冷媒または2成分混合した冷媒を用いたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項10】
圧縮機に用いる冷凍機油として、ポリオキシアルキレングリコール類、ポリビニルエーテル類、ポリ(オキシ)アルキレングリコールまたはそのモノエーテルとポリビニルエーテルの共重合体、ポリオールエステル類、及びポリカーボネート類のいずれかの含酸素化合物を主成分とする合成油か、アルキルベンゼン類やΑオレフィン類を主成分とする合成油
、または鉱油を用いたことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温暖化係数の低い冷媒を用いた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、空気調和機などの冷媒には、オゾン層を破壊しないHFC系フロン冷媒が使用されている。しかしこのHFC系冷媒は、温暖化係数が非常に高く、温暖化防止のため、排出規制の対象となっている。そのため、温暖化係数の低い冷媒の使用が検討されている。特にカーエアコンではR−134aの代替冷媒として、温暖化係数が4で、圧力がR−134Aとほぼ同等のHFO−1234yfが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4571183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、HFO−1234yfは従来の空気調和機に使用されているR−410Aと比較して、同じ温度に対する飽和ガスの比容積が大きく、同じ冷房能力、または暖房能力を得るためには、冷媒の体積循環量を増加させる必要があり、その結果、配管の冷媒流速が増加して、冷媒の圧力損失が大きくなるという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、HFO−1234yfやその混合冷媒を空気調和機に使用する場合に、冷凍サイクルのガス冷媒が流れる配管の管径を大きくして、エネルギー効率の高い空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の空気調和機は、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、減圧器それぞれを冷媒配管で接続して構成した室外機と室内熱交換器を有する室内機とを接続冷媒配管で接続して冷凍サイクルを構成した空気調和機であって、上記冷凍サイクルの冷媒は、HFO−1234yfの単一冷媒または、HFO−1234yfを主成分とし、R−32を22%未満含む混合冷媒とするとともに、冷房定格能力が4kW以下である前記空気調和機の前記冷媒配管および前記接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径は、前記空気調和機に対応するR−410A用の4kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1.2〜1.8倍で、9.5mm〜14mmの内径の配管としたものである。
【0007】
これにより、温暖化係数の低い冷媒を使用しても、圧力損失を低減させ、従来のR−410Aを用いた空気調和機と同等の性能を得ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、空気調和機に温暖化係数の低い冷媒を使用しても、圧力損失を低減させ、エネルギー効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1における空気調和機の冷凍サイクル図
図2】同実施の形態1における空気調和機の冷媒配管径と圧力損失の関係図
図3】同実施の形態1における他の空気調和機の冷媒配管径と圧力損失の関係図
図4】同実施の形態1における他の空気調和機の冷媒配管径と圧力損失の関係図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、冷房定格能力が4kW以下である空気調和機の冷媒配管および接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径が、R−410A用の4kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1.2〜1.8倍で、9.5mm〜14mmの内径の配管としたものであり、R−410Aを用いた空気調和機と同等の性能を得ることができる。
【0011】
第2の発明は、冷房定格能力が4kWを超え、6kW以下である空気調和機の冷媒配管および接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径が、R−410A用の4kWを超え、6kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1.2〜1.7倍で、13mm〜19mmの内径の配管としたものであり、R−410Aを用いた空気調和機と同等の性能を得ることができる。
【0012】
第3の発明は、冷房定格能力が6kWを超え、8kW以下である空気調和機の冷媒配管および接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径が、R−410A用の6kWを超え、8kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1.5〜2.1倍で、16mm〜23mmの内径の配管としたものであり、R−410Aを用いた空気調和機と同等の性能を得ることができる。
【0013】
第4の発明は、冷房定格能力が8kWを超え、24kW以下である空気調和機の冷媒配管および接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径が、R−410A用の8kWを超え、24kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1.5〜2.1倍で、16mm〜23mmの内径の配管としたものであり、R−410Aを用いた空気調和機と同等の性能を得ることができる。
【0014】
第5の発明は、冷房定格能力が4kW以下である空気調和機の冷媒配管および接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径を、前記空気調和機に対応するR−410A用の4kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1〜1.2倍で、7.9mm〜10mmの内径の配管としたものであり、R−410Aを用いた空気調和機と同等の性能を得ることができる。
【0015】
第6の発明は、冷房定格能力が4kWを超え、6kW以下である空気調和機の冷媒配管および接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径を、R−410A用の4kWを超え、6kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1〜1.25倍で、11mm〜14mmの内径の配管としたものであり、R−410Aを用いた空気調和機と同等の性能を得ることができる。
【0016】
第7の発明は、冷房定格能力が6kWを超え、8kW以下である空気調和機の冷媒配管および接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径を、R−410A用の6kWを超え、8kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1.2〜1.5倍で、13mm〜17mmの内径の配管としたものであり、R−410Aと同等の性能を得ることができる。
【0017】
第8の発明は、冷房定格能力が8kWを超え、24kW以下である空気調和機の冷媒配管および接続冷媒配管のガス側冷媒配管の内径を、R−410A用の8kWを超え、24kW以下である空気調和機のガス側冷媒配管の1.2〜1.5倍で、13mm〜17mmの内径の配管としたものであり、R−410Aと同等の性能を得ることができる。
【0018】
第9の発明は、第1から第8の発明の空気調和機において、地球温暖化係数が、3以上で750以下、望ましくは350以下、更に望ましくは150以下となるように、単一冷媒または2成分混合した冷媒を用いたもので、地球温暖化防止に貢献することができる。
【0019】
第10の発明は、第1から第9の発明の空気調和機において、圧縮機に用いる冷凍機油として、ポリオキシアルキレングリコール類、ポリビニルエーテル類、ポリ(オキシ)アルキレングリコールまたはそのモノエーテルとポリビニルエーテルの共重合体、ポリオールエステル類、及びポリカーボネート類のいずれかの含酸素化合物を主成分とする合成油か、アルキルベンゼン類やΑオレフィン類を主成分とする合成油、または鉱油を用いたもので、温暖化防止に貢献するとともに、空気調和機の信頼性の向上に貢献することができる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における空気調和機の冷凍サイクル図である。
【0022】
図1において、この空気調和は、冷媒を圧縮する圧縮機1、冷房暖房運転時の冷媒回路を切り替える四方弁2、冷媒と外気の熱を交換する室外熱交換器3、冷媒を減圧する減圧器4、を冷媒配管10で接続して室外機5を構成し、冷媒と室内空気の熱を交換する室内熱交換器6を有す室内機7と、前記室外機5とを液側接続冷媒配管8、ガス側接続冷媒配管9で環状に接続して構成してある。
【0023】
本実施の形態による空気調和機を構成する冷媒回路には温暖化係数の低い冷媒が封入してあり、この温暖化係数の低い冷媒の一例としてのハイドロフルオロオレフィンはテトラフルオロプロペン(HFO−1234yf、HFO−1234ze、HFO−1243zf)またはトリフルオロプロペンをベース成分とし、ジフルオロメタン(R−32)を22%未満含む混合冷媒を使用し、空気調和機の冷房定格能力が4kW以下であるガス側接続冷媒配管9の内径は、9.5mm〜14mmとしてある。
【0024】
冷房運転時には、圧縮機1によって圧縮された冷媒は高温高圧の冷媒となって四方弁2を通って室外熱交換器3に送られる。そして、外気と熱交換して放熱し、高圧の液冷媒となり、減圧器4に送られる。減圧器4では減圧されて低温低圧の二相冷媒となり、液側接続冷媒配管8を通って室内機7に送られる。室内機7では、冷媒は室内熱交換器6に入り室内空気と熱交換して吸熱し、蒸発気化して低温のガス冷媒となる。この時室内空気は冷却されて室内を冷房する。さらに冷媒はガス側接続冷媒配管9を通って、室外機5に戻り、四方弁2を経由して圧縮機1に戻される。
【0025】
暖房運転時には、圧縮機1によって圧縮された冷媒は高温高圧の冷媒となって四方弁2、ガス側接続冷媒配管9を通り、室内機7に送られる。高温高圧の冷媒は室内熱交換器6に入り、室内空気と熱交換して放熱し、冷却され高圧の液冷媒となる。この時、室内空気は加熱されて室内を暖房する。その後、冷媒は液側接続冷媒配管8を通って、減圧器4に送られ、減圧器4において減圧されて低温低圧の二相冷媒となり、室外熱交換器3に送られて外気と熱交換して蒸発気化し、四方弁2を経由して圧縮機1へ戻される。
【0026】
次に、本実施の形態による空気調和機の配管径による作用について説明する。
【0027】
空気調和機のガス側接続冷媒配管9内の冷媒の流れが層流状態とすると、ガス側接続冷媒配管9を流れる冷媒の圧力損失は下記の式1であらわされる。
【0028】
【数1】
【0029】
ここで、ΔP : 圧力損失
F : 摩擦係数
L : 配管長
D : 配管内直径
Ρ : 密度
U : 流速
V : 動粘性係数
Ν : 比容積
Η : 粘性係数
Φ : 体積冷凍能力
ΔH : 冷凍効果
A : 配管断面積
この式に対して、図2に、配管長:5m、冷房定格能力:4kW、冷媒R−410A、R−32/1234yf=22/78wt%、50/50wt%の飽和ガス冷媒の圧力損失を算出し、配管径を横軸に、R−410Aの配管外径9.52mm、配管内径7.93mmの圧力損失を100として表している。
【0030】
図2より、R−1234yfは、配管内径が12mm以上で、R−32/R−1234yf=22/78wt%は、配管内径が10mm以上で、R−32/R−1234yf=50/50wt%は、配管内径が8.9mm以上で、R−410Aの圧力損失と同等となる。
【0031】
また、通常、空気調和機に使用される冷媒配管は、25.4mm(1インチ)を8または16で除した値の整数倍の配管外径が使用されるため、R−1234yfおよびR−32/R−1234yf=22/78wy%は、配管外径が11.1mm以上(配管肉厚を0.8mmとすると、内径9.5mm)で、R−32/R−1234yf=50/50wt%は、配管外径が9.5mm以上(配管肉厚を0.8mmとすると、内径7.9mm)の配管を使用すれば、圧力損失がR−410Aとほぼ同等以下となり、性能低下を防止することができる。
【0032】
ここで、上記「R−410Aの圧力損失とほぼ同等以下」とは、本発明においては前記条件でのR−410Aの圧力損失を100とした場合の±20%と見做し、前記各値、すなわちR−1234yf、R−32/R−1234yf=22/78wt%と、R−32/R−1234yf=50/50wt%の各配管内径は、R−410Aの配管内径7.9mmの圧力損失を100とした場合、それぞれ前者は1.2〜1.8倍で、9.5mm〜14mmの内径(R−1234yf、R−32/R−1234yf=22/78wt%の場合)、後者は1〜1.2倍で、7.9mm〜10mmの内径(R−32/R−1234yf=50/50wt%の場合)となる。
【0033】
さらに、図3に、配管長:5m、冷房定格能力:6kW、冷媒R−410A、R−32/1234yf=22/78wt%、50/50wt%の飽和ガス冷媒の圧力損失を算出し、配管径を横軸に、R−410Aの配管外径12.7mm、配管内径11.1mmの圧力損失を100として表している。
【0034】
図3より、R−1234yfは、配管内径が17mm以上で、R−32/R−1234yf=20/80wt%は、配管内径が15mm以上で、R−32/R−1234yf=50/50wt%は、配管内径が12mm以上で、R−410Aの圧力損失と同等となる。
【0035】
また、通常使用される冷媒配管は、25.4mmを8で除した値の整数倍の配管外径が使用されるため、R−1234yfは、配管外径が15.5mm以上(配管肉厚を1mmとすると、内径17.5mm)で、R−32/R−1234yf=22/78wt%は、配管外径が13.9mm以上(配管肉厚を1mmとすると、内径15.9mm)で、R−32/R−1234yf=50/50wt%は、配管外径が11.1mm以上(配管肉厚を0.8mmとすると、内径12.7mm)の配管を使用すれば、圧力損失がR−410Aとほぼ同等以下となり、性能低下を防止することができる。
【0036】
ここで、前記の場合と同様、「R−410Aの圧力損失とほぼ同等以下」とは、本発明においては前記条件でのR−410Aの圧力損失を100とした場合の±20%と見做し、前記各値、すなわちR−1234yf、R−32/R−1234yf=22/78wt%と、R−32/R−1234yf=50/50wt%の各配管内径は、R−410Aの配管内径11.1mmの圧力損失を100とした場合、それぞれ前者は1.2〜1.7倍で、13mm〜19mmの内径(R−1234yf、R−32/R−1234yf=22/78wt%の場合)、後者は1〜1.25倍で、11mm〜14mmの内径(R−32/R−1234yf=50/50wt%の場合)となる。
【0037】
さらに、図4に、配管長:5m、冷房定格能力:8kW、冷媒R−410A、R−32/1234yf=22/78wt%、50/50wt%の飽和ガス冷媒の圧力損失を算出し、配管径を横軸に、R−410Aの配管外径15.9mm、配管内径13.9mmの圧力損失を100として表している。
【0038】
図4より、R−1234yfは、配管内径が21mm以上で、R−32/R−1234yf=22/78wt%は、配管内径が18mm以上で、R−32/R−1234yf=50/50wt%は、配管内径が15mm以上で、R−410Aの圧力損失と同等以下となる。
【0039】
通常使用される冷媒配管は、25.4mmを8で除した値の整数倍の配管外径が使用されるため、R−1234yfは、配管外径が19.1mm以上で、R−32/R−1234yf=22/78wt%は、配管外径が16.7mm以上で、R−32/R−1234yf=50/50wt%は、配管外径が13.9mm以上の配管を使用すれば、圧力損失がR−410Aと同等またはそれ以下となり、性能低下を防止することができる。
【0040】
ここで、前記の場合と同様、「R−410Aの圧力損失とほぼ同等以下」とは、本発明においては前記条件でのR−410Aの圧力損失を100とした場合の±20%と見做し、前記各値、すなわちR−1234yf、R−32/R−1234yf=22/78wt%と、R−32/R−1234yf=50/50wt%の各配管内径は、R−410Aの配管内径13.9mmの圧力損失を100とした場合、それぞれ前者は1.5〜2.1倍で、16mm〜23mmの内径(R−1234yf、R−32/R−1234yf=22/78wt%の場合)、後者は1.2〜1.5で、13mm〜17mmの内径(R−32/R−1234yf=50/50wt%の場合)となる。
【0041】
また、配管長:5m、冷房定格能力:8kW以上、24kW以下の場合においても、前記式1による計算の結果から、R−410Aの圧力損失を100とした場合の±20%と見做し、R−1234yf、R−32/R−1234yf=22/78wt%と、R−3
2/R−1234yf=50/50wt%の各配管内径は、それぞれ前者は1.5〜2.1倍で、16mm〜23mmの内径(R−1234yf、R−32/R−1234yf=22/78wt%の場合)、後者は1.2〜1.5倍で、13mm〜17mm以上の内径(R−32/R−1234yf=50/50wt%の場合)となる。
【0042】
なお、室外機5、室内機7のガス冷媒が流れる配管も、上記と同様の配管径の配管を用いても同様の効果を奏す。
【0043】
また、この実施の形態の空気調和機に使用する混合冷媒は、そのGWPが、3以上で750以下、望ましくは350以下、更に望ましくは150以下となるように、先に述べたそれぞれの成分の2成分混合もしくは3成分混合で作成してある。これによって、万一回収されない冷媒が大気に放出されても地球温暖化に対しその影響を極少に保つことができる。
【0044】
また、圧縮機に用いる冷凍機油として、ポリオキシアルキレングリコール類、ポリビニルエーテル類、ポリ(オキシ)アルキレングリコールまたはそのモノエーテルとポリビニルエーテルの共重合体、ポリオールエステル類、及びポリカーボネート類のいずれかの含酸素化合物を主成分とする合成油か、アルキルベンゼン類やΑオレフィン類を主成分とする合成油、または鉱油を用いており、空気調和機の信頼性の向上に貢献することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、低GWP冷媒を使用する冷凍サイクルの高効率を図ることができ、ヒートポンプ温水暖房器等のさまざまな機器に搭載可能であり、温暖化防止に貢献することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 圧縮機
2 四方弁
3 室外熱交換器
4 減圧器
5 室外機
6 室内熱交換器
7 室内機
8 液側接続冷媒配管
9 ガス側接続冷媒配管
図1
図2
図3
図4