【文献】
三上直子ほか,アミノ酸系エモリエント剤N−アシルグルタミン酸コレステリルエステル(AGCE)の有用性,J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn,日本,1993年,Vol.27.No.3,pp.474-479
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、優れたフリーラジカル消去効果を有し、刺激性、使用感、臭い、保存安定性においても優れた組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、特定の環状ヒドロキシ酸またはその誘導体とステロールエステルを併用した場合には、相乗的にフリーラジカルを消去する効果を有することを見出した。また、特定の環状ヒドロキシ酸およびその誘導体とステロールエステルを配合した組成物は、刺激性、使用感(べたつき、エモリエント性、延展性)、臭い、保存安定性(乳化安定性、着色安定性)においても優れた組成物を提供することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1](A)式(1)で示される環状ヒドロキシ酸またはその誘導体、
式(1):
【化1】
(式中、R
1は水素原子、直鎖または分岐鎖状の飽和または不飽和のC
1−24炭化水素基、式(2)、あるいは、式(3)を示す。R
2、R
3およびR
4はそれぞれ独立に水素原子、直鎖または分岐鎖状の飽和または不飽和のC
1−24炭化水素基、あるいはC
1−24アルキル−カルボニル基を示す。
式(2):
【化2】
(式(2)中、*はOR
1における酸素原子との結合点を示す。)
式(3):
【化3】
(式(3)中、*はOR
1における酸素原子との結合点を示し、R
5、R
6、R
7、およびR
8はそれぞれ独立に水素原子またはガロイル基を示す。)
ただし、没食子酸を除く。)
ならびに、
(B)ステロールエステル
を含む組成物。
[2](A)が、シキミ酸、エチルガレート、プロピルガレート、エチルヘキシルガレート、ドデシルガレート、ステアリルガレート、リノレイルガレート、エピガロカテキンガレートおよびグルコシルペンタガレートから選択される、上記[1]に記載の組成物。
[3](A)の濃度が0.001重量%〜30重量%である、上記[1]または[2]に記載の組成物。
[4](A)の濃度が0.001重量%〜10重量%である、上記[1]〜[3]の何れか1項に記載の組成物。
[5](B)が、N−アシルアミノ酸ステロールエステルである、上記[1]〜[4]の何れか1項に記載の組成物。
[6](B)が、式(4):
【化4】
(式中、
Xは、水素原子、C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基、またはステロールのエステル生成残基を示し、
COR
10は、C
8−22アシル基を示し、
R
11は、水素原子、または−COOY(式中、Yは、水素原子、C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基、またはステロールのエステル生成残基を示す。)で示される基を示し、
R
12は、水素原子またはC
1−6アルキル基を示し、
nは1または2を示す。
但し、R
11が水素原子のとき、Xはステロールのエステル生成残基であり、R
11が−COOYで示される基のとき、XまたはYの少なくとも一方がステロールのエステル生成残基である。)
で示されるN−アシルアミノ酸ステロールエステルである、上記[1]〜[5]の何れか1項に記載の組成物。
[7]ステロールのエステル生成残基がフィトステロールのエステル生成残基であり、COR
10がラウロイル基であり、かつnが2である、上記[6]記載の組成物。
[8](B)が、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニン(フィトステリル/デシルテトラデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)またはN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル/イソステアリル)である、上記[1]〜[6]の何れか1項に記載の組成物。
[9](B)が、脂肪酸ステロールエステルである、上記[1]〜[4]の何れか1項に記載の組成物。
[10](B)が、酪酸フィトステリル、ノナン酸フィトステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、カプリル/カプリン酸フィトステリル、リシノール酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、分岐脂肪酸(C
12−31)フィトステリル、フィトステリルカノラ油脂肪酸グリセリズ、フィトステリルナタネグリセリズ、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸ジヒドロコレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)およびダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)から選択される、上記[1]〜[4]または[9]の何れか1項に記載の組成物。
[11](B)の濃度が0.001重量%〜40重量%である、上記[1]〜[10]の何れか1項に記載の組成物。
[12](A)の重量/(B)の重量が0.01〜100である、上記[1]〜[11]の何れか1項に記載の組成物。
[13](A)の重量/(B)の重量が0.1〜40である、上記[1]〜[12]の何れか1項に記載の組成物。
[14]上記[1]〜[13]の何れか1項に記載の組成物を含有する化粧料。
[15]皮膚用であることを特徴とする上記[14]に記載の化粧料。
[16]上記[1]〜[13]の何れか1項に記載の組成物を含有するシワ防止剤、シワ改善剤、またはアンチエージング剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、優れたフリーラジカル消去効果を有し、刺激性、使用感、臭い、保存安定性においても優れた組成物を提供することができる。これにより、シワの生成、皮膚弾力の消失、脱毛といった老化現象を防止または改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、(A)特定の環状ヒドロキシ酸またはその誘導体、および(B)ステロールエステルを含む。
【0010】
[(A)環状ヒドロキシ酸またはその誘導体]
本発明の特定の環状ヒドロキシ酸またはその誘導体は、式(1)で表される。
式(1):
【0012】
式中、R
1は水素原子、直鎖または分岐鎖状の飽和または不飽和のC
1−24炭化水素基、式(2)、あるいは、式(3)を示す。R
2、R
3およびR
4はそれぞれ独立に水素原子、直鎖または分岐鎖状の飽和または不飽和のC
1−24炭化水素基、あるいはC
1−24アルキル−カルボニル基を示す。
【0014】
式(2)中、*はOR
1における酸素原子との結合点を示す。
【0016】
式(3)中、*はOR
1における酸素原子との結合点を示し、R
5、R
6、R
7、およびR
8はそれぞれ独立に水素原子またはガロイル基を示す。
R
5、R
6、R
7、およびR
8の1以上がガロイル基であることが好ましく、2以上がガロイル基であることがより好ましく、3以上がガロイル基であることがより好ましく、すべてがガロイル基であることが好ましい。
【0017】
ただし、本発明においては、(A)環状ヒドロキシ酸またはその誘導体から没食子酸を除く。
【0018】
本発明において、直鎖または分岐鎖状の飽和または不飽和のC
1−24炭化水素基とは、炭素数1〜24個の直鎖または分枝鎖状の炭化水素基を意味する。たとえば、C
1−24アルキル基またはC
1−24アルケニル基が挙げられる。
C
1−24アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、sec−ヘキシル、ヘプチル、sec−ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、sec−オクチル、ノニル、sec−ノニル、デシル、sec−デシル、ウンデシル、sec−ウンデシル、ドデシル、sec−ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、sec−トリデシル、テトラデシル、sec−テトラデシル、ヘキサデシル、sec−ヘキサデシル、ステアリル、モノメチル分枝−イソステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2−ブチルオクチル、2−ヘキシルオクチル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルドデシル、2−デシルドデシル、2−オクチルテトラデシル、2−デシルテトラデシル、2−ドデシルテトラデシル、2−デシルヘキサデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−テトラデシルヘキサデシル、2−ドデシルオクタデシル、2−テトラデシルオクタデシル、2−ヘキサデシルオクタデシル、2−テトラデシルイコシル、2−ヘキサデシルイコシル、および2−オクタデシルイコシル等が挙げられる。
特に、C
1−6アルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、イソペンチル、およびヘキシルが挙げられる。
C
1−24アルケニル基としては例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル、およびリノレイル等が挙げられる。
【0019】
R
1における直鎖または分岐鎖状の飽和または不飽和のC
1−24炭化水素基としては、エチル基、プロピル基、エチルヘキシル基、ドデシル基、ステアリル基、またはリノレイル基が好ましい。C
1−24アルキル基がより好ましく、C
1−6アルキル基がより好ましい。
R
2、R
3およびR
4における直鎖または分岐鎖状の飽和または不飽和のC
1−24炭化水素基としては、C
1−24アルキル基が好ましく、C
1−6アルキル基がより好ましい。
【0020】
R
1は好ましくは、水素原子、エチル基、プロピル基、エチルヘキシル基、ドデシル基、ステアリル基、リノレイル基、式(2)または式(3)である。より好ましくは、水素原子、エチル基、プロピル基、またはエチルヘキシル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0021】
R
2は好ましくは、水素原子またはC
1−6アルキル基である。より好ましくは、水素原子メチル基、エチル基、プロピル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0022】
上記一般式(1)で示される化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【0024】
本発明の組成物中の(A)としては、シキミ酸、エチルガレート、プロピルガレート
エチルヘキシルガレート、ドデシルガレート、ステアリルガレート、リノレイルガレート、エピガロカテキンガレートまたはグルコシルペンタガレートから選ばれる化合物が好ましく、これらは単独または組み合わせて使用することができる。シキミ酸、エチルガレート、プロピルガレート、エチルヘキシルガレート、ドデシルガレート、ステアリルガレート、リノレイルガレートがより好ましく、シキミ酸、エチルガレート、プロピルガレートがより好ましく、シキミ酸がより好ましい。
【0025】
本発明の組成物中の(A)の濃度は、0.001重量%〜30重量%が好ましい。(A)の効能を発揮する組成物が得られるという観点で、下限値は、0.005重量%がより好ましく、0.01重量%がより好ましく、0.05重量%がより好ましく、0.1重量%がより好ましい。一方、得られる組成物の使用感の観点から、上限値は、20重量%がより好ましく、15重量%がより好ましく、10重量%がより好ましく、5重量%がより好ましく、3重量%がより好ましい。
【0026】
[B成分:ステロールエステル]
ステロールエステルとしては、ステロールをアシルアミノ酸でエステル化して得られるN−アシルアミノ酸ステロールエステル、またはステロールを脂肪酸でエステル化して得られる脂肪酸ステロールエステル等が挙げられる。
【0027】
ステロールとしては、カンペステロール、カンペスタノール、ブラシカステロール、22−デヒドロカンペステロール、スティグマステロール、スチグマスタノール、22−ジヒドロスピナステロール、22−デヒドロスチグマスタノール、7−デヒドロスチグマステロール、シトステロール、チルカロール、オイホール、フコステロール、イソフコステロール、コジステロール、クリオナステロール、ポリフェラステロール、クレロステロール、22−デヒドロクレロステロール、フンギステロール、コンドリラステロール、アベナステロール、ベルノステロール、ポリナスタノール等のフィトステロール;コレステロール、ジヒドロコレステロール、コレスタノール、コプロスタノール、エピコプロステロール、エピコプロスタノール、22−デヒドロコレステロール、デスモステロール、24−メチレンコレステロール、ラノステロール、24,25−ジヒドロラノステロ−ル、ノルラノステロ−ル、スピナステロール、ジヒドロアグノステロール、アグノステロール、ロフェノール、ラトステロール等の動物性ステロール;デヒドロエルゴステロール、22,23−ジヒドロエルゴステロール、エピステロール、アスコステロール、フェコステロール等の菌類性ステロール等、ならびにこれらの水添物およびこれらの配合物等が挙げられる。植物から抽出等によって得られるステロールの混合物を用いても良い。
ステロールとしては、フィトステロール、ラノステロール、コレステロールまたはジヒドロコレステロールが好ましく、フィトステロールまたはコレステロールがより好ましく、フィトステロールが特に好ましい。シトステロール、スティグマステロールおよびカンペステロールを含むフィトステロールを用いることがより好ましい。
シトステロール、スティグマステロールおよびカンペステロールの比、シトステロール:スティグマステロール:カンペステロールが35〜65:10〜40:10〜40であることが好ましく、55〜65:20〜30:10〜20であることがより好ましい。
【0028】
アシルアミノ酸のアミノ酸としては、グリシン、N−メチルグリシン、アラニン、β−アラニン、N−メチル−β−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リシン等が挙げられる。
【0029】
ステロールエステルは、好ましくは、N−アシルアミノ酸ステロールエステルであり、中でも、式(4)で示されるN−アシルアミノ酸ステロールエステルが特に好ましい。
【0031】
式中、Xは、水素原子、C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基、またはステロールのエステル生成残基を示し、
COR
10は、C
8−22アシル基を示し、
R
11は、水素原子、または−COOY(式中、Yは、水素原子、C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基、またはステロールのエステル生成残基を示す。)で示される基を示し、
R
12は、水素原子またはC
1−6アルキル基を示し、
nは1または2を示す。
但し、R
11が水素原子のとき、Xはステロールのエステル生成残基であり、R
11が−COOYで示される基のとき、XまたはYの少なくとも一方がステロールのエステル生成残基である。)
【0032】
XまたはYで示される「C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基」における「C
8−38脂肪族アルコール」としては、天然または合成の、直鎖または分岐鎖状の、飽和または不飽和の、一価のC
8−38脂肪族アルコールであり、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラギジニルアルコール、ベヘニルアルコール等の直鎖飽和アルコール;2−ヘキシルデシルアルコール、2−オクチルドデシルアルコール、イソステアリルアルコール、デシルテトラデシルアルコール等の分岐鎖飽和アルコール;オレイルアルコール、リノレイルアルコール等の直鎖不飽和アルコール;等が挙げられる。
XまたはYで示される「C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基」における「C
8−38脂肪族アルコール」は、好ましくは、C
8−30脂肪族アルコール(好ましくはC
12−24脂肪族アルコール、より好ましくはC
16−20脂肪族アルコール)でかつ融点が25℃以上のものであり、好適な具体例としては、例えば、2−ヘキシルデシルアルコール、2−オクチルドデシルアルコール、イソステアリルアルコール、デシルテトラデシルアルコール等の分岐鎖飽和アルコール;オレイルアルコール、リノレイルアルコール等の直鎖不飽和アルコールが挙げられる。中でも、2−ヘキシルデシルアルコール、2−オクチルドデシルアルコールまたはデシルテトラデシルアルコールが好ましく、2−オクチルドデシルアルコールがより好ましい。
別の態様として、XまたはYで示される「C
8−38脂肪族アルコールのエステル生成残基」における「C
8−38脂肪族アルコール」は、好ましくは、飽和C
12−38脂肪族アルコール(好ましくはC
12−24脂肪族アルコール、より好ましくはC
16−22脂肪族アルコール)でかつ融点が25℃未満のものであり、好適な具体例としては例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。中でも、ステアリルアルコールまたはベヘニルアルコールが好ましく、ベヘニルアルコールがより好ましい。
【0033】
XまたはYで示される「ステロールのエステル生成残基」における「ステロール」としては、前述のステロールが挙げられる。中でも、フィトステロール、ラノステロール、コレステロールまたはジヒドロコレステロールが好ましく、フィトステロールまたはコレステロールがより好ましく、フィトステロールが特に好ましい。シトステロール、スティグマステロールおよびカンペステロールを含むフィトステロールを用いることがより好ましい。
シトステロール、スティグマステロールおよびカンペステロールの比、シトステロール:スティグマステロール:カンペステロールが35〜65:10〜40:10〜40であることが好ましく、55〜65:20〜30:10〜20であることがより好ましい。
【0034】
R
11としては、−COOYで示される基が好ましい。
【0035】
COR
10で示される「C
8−22アシル基」としては、例えば、直鎖または分岐鎖状の、飽和または不飽和のC8−22脂肪酸より誘導されるアシル基が挙げられ、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイル、リノレイル等が挙げられる。単一組成の脂肪酸より誘導されるアシル基のほか、ヤシ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の天然より得られる混合脂肪酸、あるいは合成により得られる脂肪酸(分岐脂肪酸を含む)より誘導されるアシル基であっても良い。中でも、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイルまたはステアロイルが好ましく、ラウロイルがより好ましい。
【0036】
R
12で示される「C
1−6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。中でも、メチル、エチルが好ましい。
R
12としては、水素原子が好ましい。
【0037】
nは1または2を示す。nが1の場合、N−アシルアミノ酸ステロールエステルは、N−アシルアスパラギン酸ステロールエステルになり、nが2の場合、N−アシルグルタミン酸ステロールエステルとなる。nが2の場合、すなわちN−アシルグルタミン酸ステロールエステルが好ましい。なお、アミノ酸は光学活性体又はラセミ体のいずれであってもよい。
【0038】
なお、本発明において、N−アシルアミノ酸ステロールエステルは、2種以上の混合物であってもよい。
【0039】
N−アシルアミノ酸ステロールエステルとしては、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニン(フィトステリル/デシルテトラデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)またはN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル/イソステアリル)が好ましく、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/2−オクチルドデシル)またはN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)がより好ましく、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)またはN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)が好ましく、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)がより好ましい。
【0040】
なお、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)とは、N−ラウロイル−L−グルタミン酸の2つのカルボキシ基を、フィトスロールおよび2−オクチルドデシルアルコールでエステル形成して得られる化合物を示す。即ち、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジフィトステリルエステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸γ−フィトステリル−α−2−オクチルドデシルエステル、およびN−ラウロイル−L−グルタミン酸α−フィトステリル−γ−2−オクチルドデシルエステルを含む。
また、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)とは、N−ラウロイル−L−グルタミン酸の2つのカルボキシ基を、フィトスロール、ベヘニルアルコールおよび2−オクチルドデシルアルコールでエステル形成して得られる化合物を示す。即ち、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジフィトステリルエステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸γ−フィトステリル−α−2−オクチルドデシルエステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸α−フィトステリル−γ−2−オクチルドデシルエステルおよびN−ラウロイル−L−グルタミン酸γ−フィトステリル−α−ベヘニルエステルおよびN−ラウロイル−L−グルタミン酸α−フィトステリル−γ−ベヘニルエステルを含む。
【0041】
ステロールエステルとしては、脂肪酸ステロールエステルを用いることもできる。ここで、脂肪酸としては、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ネルボン酸等の、直鎖または分岐鎖状の、飽和または不飽和のC4−31脂肪酸の1種または2種以上が挙げられる。これらは、天然の動植物油由来の脂肪酸でもよく、例えば、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、マカデミアナッツ油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、ピーナッツ油脂肪酸、魚油脂肪酸、菜種油脂肪酸(カノラ油脂肪酸)、ハイブリッドヒマワリ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、ヒマワリ種子油脂肪酸、パーム油脂肪酸、綿実油脂肪酸、大豆油脂肪酸、サンフラワー油脂肪酸、小麦胚芽油脂肪酸、コメヌカ油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、コーン油脂肪酸、月見草種子油脂肪酸、ラノリン脂肪酸、非ヒドロキシラノリン脂肪酸、ヒドロキシラノリン脂肪酸、乳脂肪脂肪酸等が挙げられる。これらの脂肪酸は、水素添加がされていてもよい。また、不飽和脂肪酸の分子間重合反応によって得られる二塩基酸であるダイマー酸(例えばダイマージリノール酸)であってもよい。この中でも、酪酸、ノナン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、リシノール酸、オレイン酸、マカデミアナッツ油脂肪酸、ヒマワリ種子油脂肪酸、コメヌカ油脂肪酸、またはダイマージリノール酸が好ましく、マカデミアナッツ油脂肪酸またはダイマージリノール酸がより好ましく、ダイマージリノール酸がより好ましい。
【0042】
脂肪酸ステロールエステルとしては、例えば、酪酸フィトステリル、ノナン酸フィトステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、カプリル/カプリン酸フィトステリル、リシノール酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、分岐脂肪酸(C
12−31)フィトステリル、フィトステリルカノラ油脂肪酸グリセリズ、フィトステリルナタネグリセリズ、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸ジヒドロコレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)およびダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)等が挙げられる。
【0043】
本発明の組成物には、B成分としてステロールエステルを1種以上含有させることができる。
【0044】
本発明の組成物中、(B)の濃度は、0.001〜40重量%が好ましい。下限値は、0.005重量%がより好ましく、0.01重量%が更に好ましい。上限値は、35重量%がより好ましく、30重量%が更に好ましく、25重量%が更により好ましく、20重量%が更に一層好ましく、10重量%が特に好ましい。
【0045】
(B)の重量に対する(A)の重量、すなわち、(A)の重量/(B)の重量は、0.01〜100が好ましい。下限値は、0.05がより好ましく、0.1がより好ましく、0.2がより好ましく、0.5がより好ましい。上限値は、50がより好ましく、40がより好ましく、20がより好ましく、5がより好ましく、3がより好ましい。
【0046】
本発明の組成物の形態には特に制限はなく、液状、ペースト状、ゲル状、固体状、粉末状等の任意の形態をとることができる。
【0047】
本発明の組成物を使用して、化粧料とすることができる。具体的には、化粧水、ローション、クリーム、乳液、美容液、シャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアムース、ヘアジェル、ヘアワックス、エナメル、ファンデーション、アイライナー、アイブロウペンシル、マスカラ、アイシャドウ、チーク、リップスティック、おしろい、パウダー、パック、パックマスク、香水、オーデコロン、洗顔フォーム、クレンジングフォーム、クレンジングオイル、クレンジングジェル、クレンジングミルク、マスカラ、歯磨、石鹸、エアゾル、浴用剤、養毛剤、日焼け防止剤の形態とすることができる。
【0048】
本願発明の組成物は、シワの生成、皮膚弾力の消失、脱毛といった老化現象を防止または改善する組成物であるため、皮膚用の化粧料とするのが好ましい。
【0049】
また、本発明の組成物を薬用の組成物(医薬部外品を含む)として使用することもでき、シワ防止剤、シワ改善剤、またはアンチエージング剤とすることもできる。
【0050】
化粧料または薬用の組成物とする場合、本発明の成分に加え、化粧料または薬用の組成物に通常に使用し得る成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で配合しても良い。例えば、油性成分、界面活性剤、アミノ酸類、アミノ酸誘導体類、低級アルコール、高級アルコール、多価アルコール、糖アルコールおよびそのアルキレンオキシド付加物、水溶性高分子、ゲル化剤、保湿剤、殺菌剤および抗菌剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗真菌剤、角質軟化剥離剤、皮膚着色剤、ホルモン剤、紫外線吸収剤、育毛剤、発汗防止剤および収斂活性成分、汗防臭剤、ビタミン剤、血管拡張剤、生薬、pH調整剤、金属イオン封鎖剤、粘度調整剤、パール化剤、天然香料、合成香料、色素、顔料、酸化防止剤、防腐剤、乳化剤、脂肪及びワックス、シリコーン化合物、香油等が挙げられる。
【実施例】
【0051】
次に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0052】
[評価1:フリーラジカル消去効果]
安定な人工的ラジカルである、ジフェニルピクリルヒドラジル(DPPH)を用いて、以下のようにフリーラジカル消去能を測定した。
200μMのDPPHエタノール溶液100μLに、表2に記載の濃度の各試料溶液100μLを加え、直ちに容器を密栓して振り混ぜ2時間室温、暗所にて静置し、波長516nmの吸光度をサーモフィッシャーサイエンティフィック社製吸光マイクロプレートリーダーにて測定した(I)。また、200μMのDPPHエタノール溶液100μLに前記試料溶液作成に使用した溶媒のみ100μLを加え、上記同様に吸光度を測定した(II)。
なお、ブランク1として、DPPHを含まないエタノール100μLに、表2に記載の濃度の試料溶液100μLを加えた溶液の吸光度(III)、および、ブランク2として、DPPHを含まないエタノール100μLに前記試料溶液作成に使用した溶媒のみ100μLを加えた溶液の吸光度(IV)を測定した。
次式よりフリーラジカル消去効果(%)を求めた。
フリーラジカル消去効果(%)={1−(I−III)/(II−IV)}×100
【0053】
[評価2:相乗効果]
併用による相乗効果の有無は、上記のフリーラジカル消去効果(%)を用いて以下の式により評価した。
(併用した場合の消去効果/フリーラジカル消去効果の和)
相加的な効果の場合、理論値は1となり、1を超える結果となれば、相乗効果があると判断できる。1を超えた場合○、1以下の場合×とした。
【0054】
[評価3:刺激性]
表3に記載の組成物を調製し、組成物を皮膚に塗布した際の刺激について、5人の専門パネラーが下記の評価基準により評価を行った。
3点:刺激がまったく感じられない
2点:刺激があまり感じられない
1点:刺激がやや感じられる
0点:刺激が感じられる
専門パネラーの合計点が13以上を◎、10以上12未満を○、6以上10未満を△、5以下を×とした。
【0055】
[評価4:べたつき]
表3に記載の組成物を調製し、組成物を皮膚に塗布した際のべたつきついて、5人の専門パネラーが下記の評価基準により評価を行った。
3点:べたつきがまったく感じられない
2点:べたつきがあまり感じられない
1点:べたつきがやや感じられる
0点:べたつきが感じられる
専門パネラーの合計点が13以上を◎、10以上12未満を○、6以上10未満を△、5以下を×とした。
【0056】
[評価5:エモリエント性]
表3に記載の組成物を調製し、組成物を皮膚に塗布した後のエモリエント性について、5分後に5人の専門パネラーが下記の評価基準により評価を行った。なお、エモリエント性については、「油性の膜の働きにより肌からの水分の蒸散がおさえられることにより、皮膚を柔軟にする作用を意味する」ことを事前にパネラーに説明した。
3点:エモリエント性が感じられる
2点:エモリエント性がやや感じられる
1点:エモリエント性があまり感じられない
0点:エモリエント性がまったく感じられない
専門パネラーの合計点が13以上を◎、10以上12未満を○、6以上10未満を△、5以下を×とした。
【0057】
[評価6:延展性]
表3に記載の組成物を調製し、組成物の塗布時ののびについて、5人の専門パネラーが下記の評価基準により評価を行った。
3点:塗布時に非常にのびが感じられる
2点:塗布時にのびが感じられる
1点:塗布時にのびがあまり感じられない
0点:塗布時にのびがまったく感じられない
専門パネラーの合計点が13以上を◎、10以上12未満を○、6以上10未満を△、5以下を×とした。
【0058】
[評価7:臭い]
表3に記載の組成物を調製し、組成物の塗布時の臭いについて、5人の専門パネラーが下記の評価基準により評価を行った。
3点:塗布時にまったく臭わない
2点:塗布時に僅かに臭いを感じる
1点:塗布時にやや臭いを感じる
0点:塗布時に強く臭いを感じる
専門パネラーの合計点が13以上を◎、10以上12未満を○、6以上10未満を△、5以下を×とした。
【0059】
[評価8:保存安定性1(乳化)]
表○○組成物を調製した後、40℃で1週間保存し、その分離の様子を目視観察した。
◎:乳化が完全に維持されている
○:分離とまではいかないがわずかに変化がある
△:少し分離が認められる
×:完全に分離が認められる
【0060】
[評価9:保存安定性2(着色)]
表○○の組成物を調製した後、40℃で1週間保存し、その着色の様子を目視観察した。
◎:まったく着色が見られない
○:ほとんど着色が感じられない
△:やや着色が観察された
×:着色が見られた
【0061】
結果を表2および表3に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
表2に示す通り、シキミ酸とラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)を併用した場合、相乗効果の計算値は1.46となり、シキミ酸およびラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)が共存した場合の明らかな抗酸化活性の相乗効果が確認された。
一方、α‐トコフェロールとラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)を併用した場合、相乗効果の計算値は1.00となり、α‐トコフェロールとラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)の場合には、相乗効果はまったく認められなかった。
【0064】
【表3】
【0065】
実施例2から5の組成物は、刺激性、使用感(べたつき、エモリエント性、延展性)、臭い、保存安定性(乳化安定性、着色安定性)において優れた組成物であることがわかる。
全体的に評価すると、実施例5の組成物より、実施例2,3および4の組成物のほうが優れており、実施例2および4の組成物より実施例3の組成物のほうが優れているということができる。
【0066】
さらに以下の組成物を調製した。
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】
処方例1から9の組成物は、優れたフリーラジカル消去効果を有し、刺激性、使用感(べたつき、エモリエント性、延展性)、臭い、保存安定性(乳化安定性、着色安定性)において優れた組成物であった。
【0071】
なお、成分の詳細は以下の通りである。
(A成分)
シキミ酸:Sigma社製
エチルガレート:Aldrich社製
エピガロカテキンガレート:Sigma社製
ドデシルガレート:Aldrich製
グルコシルペンタガレート:味の素オムニケム社製
プロピルガレート:Sigma社製
(B成分)
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル):味の素社製「エルデュウ」PS-203
ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル):味の素社製「エルデュウ」PS-306
(その他)
α‐トコフェロール:Sigma社製
PPG-6デシルテトラデセスー30:「NIKKOL」PEN−4630、Nikkol社製
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー:「PEMULEN」TR−1、日光ケミカルズ社製
メチルパラベン:和光純薬工業社製