特許第6065500号(P6065500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6065500
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/00 20060101AFI20170116BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   H01L25/00 B
   H02M3/155 Y
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-216831(P2012-216831)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-72349(P2014-72349A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大美賀 孝
【審査官】 井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−163250(JP,A)
【文献】 特開平02−132877(JP,A)
【文献】 特開2012−146815(JP,A)
【文献】 特開2010−098256(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0303125(US,A1)
【文献】 実開昭61−61847(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/00
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームと、
前記リードフレームの主面側に搭載された有機基板と、
前記有機基板上にはんだ接合された基板上チップコンデンサと、
前記リードフレームの裏面側に搭載されたインダクタと、
前記基板上チップコンデンサおよび前記インダクタを樹脂封止する樹脂体と、
を備えたSIP型の半導体装置であって、
前記リードフレームは、正面側から見て、中央側分割フレームと、前記中央側分割フレームの左右両側にそれぞれ位置する左側分割フレームおよび右側分割フレームとに3分割されて相互に非連続とされており、
前記左側分割フレームおよび前記右側分割フレームの一方では、前記有機基板が配置されているとともに前記有機基板上には前記基板上チップコンデンサが実装されており、
前記中央側分割フレームにはMICが搭載され、
前記左側分割フレームと前記中央側分割フレームとに跨って実装された第1チップコンデンサが設けられ、
前記右側分割フレームと前記中央側分割フレームとに跨って実装された第2チップコンデンサが設けられ、
前記インダクタの実装面の両サイド側に電気接続面が形成されており、一方のサイド側の前記電気接続面が前記左側分割フレームの裏面側に面接触で直接に実装され、他方のサイド側の前記電気接続面が前記右側分割フレームの裏面側に面接触で直接に実装されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記基板上チップコンデンサは錫で構成される錫電極を有し、前記基板上チップコンデンサが前記有機基板にはんだ接合されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタを有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源電圧を所定の動作電圧に変換する電力変換装置としてDC−DCコンバータを備えた半導体装置が知られている。このような半導体装置では、フレームの主面側に、インダクタ(コイル)、IC、およびコンデンサを搭載した、小型低背のSON型半導体装置が一般的に知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−098256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、SON型半導体装置では基板の一方の平面に部品を搭載することで低背にすることはできるが、搭載面積を広くする必要があり、平面寸法が大きくなる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、短時間で容易に製造可能で、厚み寸法の増大を抑えつつ平面寸法を小さくし、しかもインダクタで発生した熱によるコンデンサへの悪影響を懸念しなくてもよい半導体装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る半導体装置は、リードフレームと、前記リードフレームの主面側に搭載された有機基板と、前記有機基板上にはんだ接合されたコンデンサと、前記リードフレームの裏面側に搭載されたインダクタと、前記コンデンサおよび前記インダクタを樹脂封止する樹脂体と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、短時間で容易に製造可能で、厚み寸法の増大を抑えつつ平面寸法を小さくし、しかもインダクタで発生した熱によるコンデンサへの悪影響を懸念しなくてもよい半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(a)〜(c)は、それぞれ、本発明の一実施形態に係る半導体装置の内部構成を説明する正面図、側面図、および、背面図である。
図2図2(a)および(b)は、本発明の本実施形態の外観構成を説明する半導体装置の正面図および側面図である。
図3図3(a)〜(d)は、本実施形態に係る半導体装置の製造工程を説明する工程毎の説明図である。
図4】本発明の一実施形態で、樹脂成形後であって個別の半導体装置に切断する前の段階を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1(a)〜(c)は、それぞれ、本発明の一実施形態(以下、本実施形態という)に係る半導体装置の内部構成を説明する正面図、側面図、および、背面図である。図2(a)および(b)は、本実施形態の外観構成を説明する半導体装置の正面図および側面図である。
【0010】
本実施形態に係る半導体装置10は、SIP型樹脂封止半導体装置であり、インダクタ内蔵型3端子モジュール(インダクタ内蔵型3端子レギュレータ)である。
【0011】
半導体装置10は、リードフレームRMと、リードフレームRMの主面側MF(表面側)に電子部品として搭載された回路素子Dと、リードフレームRMの裏面側BFに搭載されたインダクタ(コイル)12と、回路素子Dおよびインダクタ12を樹脂封止する樹脂体14と、裏面側BFであって樹脂体14の外壁にビス止めされ、装置内部で発生した熱を装置外方へ放熱する放熱板15とを備えている。従って、半導体装置10はインダクタ12を内蔵するパワーモジュール型の半導体装置である。
【0012】
リードフレームRMは、銅または銅合金などの金属製である。本実施形態では、リードフレームRMは、分割されて相互に非連続とされた主に3つの分割フレーム16p〜rからなる。すなわち、分割フレーム同士は電気的に相互に絶縁されている。
【0013】
図1(a)に示すように、半導体装置10を正面側から見て、分割フレーム16p、16qは左右位置に、分割フレーム16rは中央位置にそれぞれ配置されている。
【0014】
また、本実施形態では、回路素子Dとして、MIC(モノリシック集積回路)18と、有機基板20pと、有機基板20p上に配置されたチップコンデンサ22cと、リードフレームのリード端子近傍に配置されたチップコンデンサ22a、22bと、が搭載されている。
【0015】
MIC18は分割フレーム16rに搭載されている。チップコンデンサ22aは分割フレーム16p、16rに跨って実装されており、チップコンデンサ22bは分割フレーム16q、16rに跨って実装されている。
【0016】
基板20pは分割フレーム16pに配置されている。そして、チップコンデンサ22cは基板20pに実装されている。
【0017】
有機基板20pは分割フレーム16pのタブ部16pt(ダイパッド)に配置されている。有機基板20pは熱伝導率が著しく低く断熱材として機能するので、インダクタ12で発生した熱が有機基板20pを経由してチップコンデンサ22cに伝わる熱量は極めて小さい。
【0018】
有機基板20p上には、電極22psが形成されている。チップコンデンサ22cは有機基板20p上の電極22psにはんだ接合で実装されている。有機基板20pの電極22psは一般電極(銅)で構成され、チップコンデンサ22cの電極は錫(Sn)で構成される。つまり、チップコンデンサ22cは錫電極22csを裏面側に有する。
【0019】
そして、図1(b)および(c)に示すように、インダクタ12の実装面側の両サイド側に電気接続面12p、12qが形成されており、この電気接続面12p、12qがそれぞれ分割フレーム16p、16qに面接触するようにインダクタ12がリードフレームRMの裏面側BFに実装されている。しかも、主面側MFのMIC18と裏面側BFのインダクタ12とがリードフレームRMを挟むように配置されている。本実施形態ではインダクタ12は、多角柱状(例えば図1(c)に示すような八角柱状)であるが、円柱状であってもよい。
【0020】
また、半導体装置10は、樹脂体14から延び出す複数本の外部リードERを有する。そして、樹脂体14は、MIC18、基板20、チップコンデンサ22、および、分割フレーム16の外部リード以外の部分を樹脂封止するように、モールド樹脂等で形成されている。樹脂体14のうち半導体装置上部(外部リードERの延び出し側とは反対側の部分)には、ビスが挿通可能な貫通孔14hが形成されている。なお、分割フレーム16p、16qの半導体装置上部は、この貫通孔14hに露出しない形状、配置にされている。
【0021】
また、放熱板15は、ビス係合孔15h(雌ネジ。図2(b)参照)が形成され樹脂体14の外壁に当接する平板状の放熱基板15bと、放熱基板15bに立設するように配列された複数本の放熱フィン15fと、を有するものであり、半導体装置10を製造する前に予め製造しておいたものである。放熱板15の材質は、例えば、銅やアルミニウムである。
【0022】
ここで、樹脂体14のうちリードフレームRMの主面側を形成する樹脂体部分14pでは、電子部品から樹脂体表面14fまでの距離(樹脂体の厚み)が最も小さいのは、基板20p上に配置されたチップコンデンサ22cから樹脂体表面14fまでの距離(厚み)LF(例えば0.4mm)である。そして、この距離(厚み)LFよりも、インダクタ12の表面12sから樹脂体裏面14Bまでの距離LB(例えば0.75mm)が大きくされている。そして、距離LBは、所定距離(所定厚み)以下とされている。ここで所定距離とは、インダクタ12で発生した熱を、リードフレームRMの裏面側を形成する樹脂体部分14qに伝えて放熱させる上で支障のない距離(厚み)であり、インダクタ12の発熱量、厚みなどによって決められる。
【0023】
そして、リードフレームRMの主面側を形成する樹脂体部分14pには、樹脂成形する際の流動樹脂の注入方向に直交する方向(半導体装置10の横幅方向)に沿って溝19が形成されている。溝19の断面は、樹脂体表面14f側が底辺となる台形状である(図2(b)参照)。
【0024】
(半導体装置の製造方法)
図3(a)〜(d)は、本実施形態に係る半導体装置10の製造工程を説明する説明図である。以下、半導体装置10の製造方法について、図3を参照しつつ説明する。なお、以下の製造手順は一例であり、手順を適宜入れ替えてもよい。
【0025】
半導体装置10を製造するには、まず、所定形状の分割フレーム16p〜rを、薬品を使ったエッチングにより製造する(図3(a)参照)。なお、エッチングに代えて、パンチダイを使ったプレスカットなどで製造してもよい。
【0026】
そして、MIC18を分割フレーム16rの所定位置に直接に実装する。また、絶縁性の接着剤を用いて、有機基板20pを分割フレーム16pに固定する。そして、チップコンデンサ22cを基板20pにはんだ付けで実装する(図3(b)参照)。
【0027】
そして、MIC18と基板20pと分割フレーム16p〜rとを金線(Au線)でワイヤボンディングするとともに、チップコンデンサ22a、22bをそれぞれリード間に跨るようにリードに直接に実装する(図3(c)参照)。
【0028】
更に、分割フレーム16の裏面側BFにインダクタ12を直接に実装する(図3(d)参照)。
【0029】
本実施形態では、チップコンデンサ22cの実装以外では、銀ペーストを塗布して銀ペーストを熱硬化させることで相互位置を固定してもよいし、リフローなどのはんだ付けで固定してもよい。
【0030】
その後、モールド樹脂などで樹脂封止することで樹脂体14を形成する。樹脂封止する方法は、例えばトランスファーモールド方法である。
【0031】
この樹脂封止では、樹脂成形用の金型を用いる。この金型には、キャビティ内に連通する樹脂注入口G(ゲート。図1(b)参照)が形成されている。本実施形態では、樹脂注入口Gはスリット状であり、樹脂注入口Gの横幅(樹脂注入口Gのスリット幅に直交する方向の長さ)が半導体装置10の横幅Wに対応した同等の長さにされている。本実施形態では、樹脂成形する際、樹脂注入口GがリードフレームRMの裏面側に位置するようになっている。
【0032】
そして、この金型のうち、リードフレームRMの主面側MFの樹脂体部分14pを成形する表面側金型内壁面KFに、チップコンデンサ22pよりも樹脂注入口G側の所定位置に、樹脂注入口Gからの樹脂注入方向に直交する方向に沿った細長状の凸部T(図1(b)参照)を設ける。凸部Tは予め金型に一体的に形成しておいてもよいし、金型に着脱自在に取り付けられるようにしてもよい。
【0033】
この凸部Tを設ける上記の所定位置は、リードフレームRMに電子部品(MIC、チップコンデンサ22a〜cなど)およびインダクタ12が実装されてなる被封止体11を金型内の樹脂封止用位置に配置したときに、樹脂注入口Gから射出された樹脂の流動方向が凸部Tによって変えられ、従来に比べ、リードフレームRMの主面側MFに流入した樹脂をリードフレームRMの裏面側BFに大量に流動する位置であり、より多くの樹脂がインダクタ12の表面12sと樹脂体裏面14bとの間に注入されるような位置にされている。なお、凸部Tが形成されている結果、樹脂体部分14pに溝19が形成されている。
【0034】
従って、樹脂注入口Gから注入した樹脂を、リードフレームRMの裏面側BFの樹脂体部分14qを成形する裏面側金型内壁面KBとインダクタ12の表面12sとの間に流入させ易くすることができ、樹脂充填を充分に良好に行うことができる。従って、インダクタ12の表面12sと樹脂体裏面14bとの間を形成する樹脂体部分14iには、ピンホールやエクボ(凹部)などの不具合が発生し難いので、樹脂体部分14iと放熱板15との密着性が良い。そして、樹脂体部分14iの厚み、すなわち距離LBは、上記の所定距離以下となっているので、インダクタ12で発生した熱を、樹脂体部分14qに伝えて放熱板15から放熱させる上で支障のない距離とされている。従って、インダクタ12から発生した熱を放熱板15から良好に放熱することが確保されており、インダクタ12で発生した熱によるMIC18への悪影響を懸念しなくてもよい。
【0035】
ここで、分割フレーム16p〜rを製造した際、複数組の分割フレーム16p〜rを配列させて製造しており、各製造工程では複数組の分割フレーム16p〜rに対して回路素子D、インダクタ12の実装や基板20の接着を行っている。このため、このようにして樹脂封止されたものは、図4に示すように、複数の半導体装置10が1枚の板状に連なった製品群となっている。よって、この後、この製品群を切断(例えば、プレスカット)することで、放熱板15を取り付ける前の段階の個々の半導体装置が多数得られる。
【0036】
この切断を行った後、裏面側BFの樹脂体外壁に放熱板15を当接させ、外周側に雄ネジが形成されたビスV(図2(b)参照)を樹脂体14の貫通孔14hに挿通させ、放熱基板15bのビス係合孔15hにビス止め(ネジ係合)することで、半導体装置10が得られる。
【0037】
なお、上述したように、これらの製造行程の手順は適宜入れ替えることが可能である。例えば、基板20pにチップコンデンサ22cを予めはんだ接合しておき、この基板20pを分割フレーム16pに接着剤で接着してもよい。また、切断する前に放熱板15を樹脂体14にビス止めし、その後に切断して多数の半導体装置10を製造することも可能である。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、リードフレームRMを形成している分割フレーム16p〜rの主面側MFに回路素子Dが搭載され、分割フレーム16p〜rの主面側MFとは反対面側である裏面側BFにインダクタ12が搭載されており、実装可能なスペースを有効利用している。従って、回路素子Dとインダクタ12とを主面側MFにのみ実装する場合に比べ、リードフレームRM(分割フレーム16p〜r)の面積を大幅に小さくすることが可能になる。よって、厚み寸法(高さ寸法)を抑えつつ平面寸法を大幅に小さくした半導体装置10とすることができる。
【0039】
また、本実施形態では、チップコンデンサ22cの裏面側(実装面側)に錫電極22csを設け、リードフレームRM上の有機基板20pに形成された電極22psに錫電極22csをはんだ付けすることで、チップコンデンサ22cを有機基板20p上にはんだ接合で実装している。従って、チップコンデンサを銀ペーストで電気接続させる従来例に比べてショートし難いので、実装工程が容易であり、製造時間を大幅に短縮することができる。また、錫電極をはんだ付けする際に、はんだに錫が含有されていても問題はなく、銀ペーストと錫電極の錫との相性の悪さという従来からの問題が解決されている。なお、はんだに鉛が含有されていてもいなくても良好にはんだ付けができる。
【0040】
また、熱伝導性が著しく低い有機基板20p上にチップコンデンサ22cが配置されているので、インダクタ12で発生した熱が有機基板20pを経由してチップコンデンサ22cに伝わる熱量は極めて小さい。
【0041】
また、チップコンデンサ22aの実装位置は、外部リードERの近傍であり、熱発生源となるインダクタ12から遠くて熱影響を受け難い位置であり、しかも半導体装置外部へ放熱し易い位置に設定されている。チップコンデンサ22bについても同様である。
【0042】
そして、この金型には、樹脂注入口Gからの樹脂注入方向に直交する方向に沿って細長状の凸部T(図1(b)参照)が設けられており、しかも距離LBが距離LFよりも大きくされている。よって、インダクタ12の表面12sと樹脂体裏面14bとの間での樹脂充填性を従来に比べて大幅に良好にすることができ、この領域に充填された樹脂体部分14iにピンホールやエクボ等の不具合の発生が充分に抑えられている。従って、金型内に凸部Tを設けるという簡易な手段により、インダクタ12で発生した熱によるMIC18への悪影響を懸念しなくてもよい半導体装置10を製造できる。
【0043】
また、熱の影響を受け易いMIC18とチップコンデンサ22との両者を電子部品として搭載しても、このような効果が奏される。
【0044】
また、インダクタ12の外形が六角形以上の多角柱状(図1(c)では一例として八角形状)とされており、このような面取り形状にすることで、金型内に注入した樹脂がインダクタ12の周囲を流動し易い。なお、インダクタ12の外形が円柱状であっても、同様に、インダクタ12の周囲を樹脂が流動し易い。
【0045】
また、半導体装置10は、主面側MFにMIC18を搭載し、裏面側BFにインダクタ12を搭載することにより、ネジ締め等の機械的応力に対して強い構造にされている。
【0046】
また、リードフレームRMが、相互に分割された複数(3つ)の分割フレーム16からなる。従って、分割フレーム同士が絶縁されているので、MIC18、基板20p、チップコンデンサ22a、22b、および、インダクタ12を分割フレーム16に直接に実装することが可能になる。従って、インダクタ12の通電量を従来に比べて大きくすることができるので、インダクタ12として、従来よりも容量が大きいものを用いることができる。また、回路素子Dやインダクタ12から発生した熱を金属製の分割フレーム16に直接に伝達することができるので、放熱特性の優れた半導体装置10とすることができる。
【0047】
更に、図2(a)から明らかなように、本実施形態では、分割フレーム16p〜rの形状が、中心線Cに対して略線対称とされている。これにより、熱応力による内部歪の発生を抑え易い構成にした半導体装置10とすることができる。
【0048】
また、放熱フィン15fを有する放熱板15が、リードフレームRMの裏面側BFであって樹脂体14の外壁に設けられており、インダクタ12の表面(上面)からは放熱板15とインダクタ12との間の樹脂層を経由して放熱板15から熱が放散され、インダクタ12の裏面(下面)からはリードフレームRMの外部リード(リード端子)ERから外部へ熱が放散され、インダクタ12の両面側から効率良く熱が放散される構成になっている。これにより、半導体装置10の装置外方への放熱特性が更に向上しており、半導体装置10を更にハイパワーで作動させることが可能である。
【0049】
なお、以上の説明では、リードフレームRMが分割フレーム16p〜rからなる例で説明したが、リードフレームRMを1枚の連続したものにし、表面側に回路素子Dを配置するとともに裏面側BFにインダクタ12を配置した半導体装置とすることも可能である。この場合、絶縁性の基板上にリードフレームRMを載置してリードフレームRMと基板裏面側とを絶縁させ、リードフレームRMが設けられていない基板裏面側にインダクタ12を配置することが、短絡を防ぐ観点で好ましい。
【0050】
また、本実施形態では、回路素子Dとして、MIC18、基板20およびチップコンデンサ22を挙げたが、これら以外の他のもの(特に発熱量が多いもの)が含まれている構成であってもよい。
【0051】
また、樹脂体14を形成する際に放熱板15を配置し、放熱基板15bの当接面側(樹脂体側)の部位も併せて樹脂封止してもよい。これにより、インダクタ12などの樹脂封止された発熱源からの熱が放熱基板15bに効率良く伝わるので、放熱フィン15fから高い効率で放熱することができる。また、放熱板15を主面側MFに設けてもよく、更には、主面側MF、裏面側BFの両方に設けてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、放熱板15がネジ止めされる構成で説明したが、クリップ接合などの他の形態で放熱板15を固定してもよい。
【0053】
また、回路素子Dに接続している外部リードERを他の機器に接続させる形式は、外部リードERを他の機器に差し込む挿入形式や、外部リードERをクランク状に曲げておいて面実装する面実装形式など、特に限定しない。
【0054】
また、樹脂体14の主面側MFの厚みを、樹脂体14の裏面側BFの厚みの1.7倍以下にすることが好ましく、これにより、樹脂体14内に発生する熱応力を抑え易い構成にすることができる。
【0055】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための例示であって、構成部品の材質、形状、構造、配置等を上記のものに特定するものではない。本発明は、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、図面は模式的なものであり、寸法比などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法比などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明に係る半導体装置は、リードフレームのタブ部上に有機基板を配置しこの有機基板上にチップコンデンサをはんだ接合しており、しかも、リードフレームの裏面側にインダクタを搭載することでリードフレームの面積を大幅に小さくすることが可能になっているので、短時間で容易に製造可能で、厚み寸法の増大を抑えつつ平面寸法を小さくし、しかもインダクタで発生した熱によるコンデンサへの悪影響を懸念しなくてもよい半導体装置として用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0057】
10 半導体装置
12 インダクタ
14 樹脂体
14b 樹脂体裏面(裏面)
20p 有機基板
22a チップコンデンサ(第2コンデンサ)
22b チップコンデンサ(第2コンデンサ)
22c チップコンデンサ(コンデンサ)
22cs 錫電極
ER 外部リード
RM リードフレーム(リードフレーム、フレーム)
図1
図2
図3
図4